世界の労働組合、労働者の権利に関する資産運用会社への期待事項を発表

2022年7月中旬、グローバルユニオンの労働者資本委員会(CWC)が、基本的労働権についての資産運用会社への基本的期待事項(以下、「CWC基本的期待事項」と表記)を発表した。資産運用会社の説明責任イニシアティブの一環として、労働組合と年金基金理事会が策定したCWC基本的期待事項は、アセットオーナーが、契約している資産運用会社に基本的労働権に関する説明責任を持たせる上で有用だ。

グローバルな資産運用会社は、労働者の退職基金の資金を運用している。CWCネットワークに参加しているこうした基金の役員は、資産運用会社が、投資先において労働者の権利への悪影響を緩和する責任を果たすことを期待している。同様に、財団や宗教系投資家などの他のアセットオーナーも、資産運用会社に対する期待を高めている。

国際運輸労連(ITF)会長を務めるパディ・クラムリンCWC副議長は、「グローバルな資産運用会社は、結社の自由や団体交渉の権利など、労働者の基本的権利が侵害されている公共・民間市場の投資に大きな出資をしている場合がある」と指摘し、「アセットオーナーは、基本的期待事項を用いて資産運用会社が影響力を行使した行動をとるよう、促すことができるようになった。そして最終的には、権利を侵害された現場の労働者に良い結果がもたらすことができる 」と述べ、その意義を説明した。

「CWC基本的期待事項」は、「基本的事項」から「優れた実践」へと進み、資産運用会社による労働者の基本的権利の尊重と支持に関する取組みレベルを評価するための、以下4つのカテゴリーに分けられる。

1.受託者責任の枠組み
2.上場株式における受託者責任の実践(委任状による議決権行使と株主参画)。
3.民間市場での受託者責任の実践
4.政策提言

この枠組みは、国連ビジネスと人権に関する指導原則およびOECD多国籍企業行動指針に基づくもので、デューディリジェンスを実施し、環境および社会への悪影響を防止または軽減するための投資家責任を定めている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「資産運用会社は、結社の自由や団体交渉のような労働者の基本的権利を、自社の受託者責任の枠組みや実務慣行に組み込むため妥協のない行動を取る必要があり、これらの期待事項は、今取るべき措置の指針となる」と述べ、「組合の退職基金は、労働者の基本的権利の侵害を存続させるために使われてはならない」と強調した。

スウェーデンのFOLKSAM-LO年金基金のCEOであるクリストファー・ジョンソンCWC議長は「環境、社会、ガバナンスを考慮したESG投資のマーケティングは、人権や労働者の権利に関する受託者責任について、有言実行する資産運用会社とそうでない会社を区別するよう、アセットオーナーに求めている」と指摘し、「このツールを使って外部の資産運用会社に質問を投げかけ、トップへの競争を促したい」と語った。

CWC基本的期待事項は、組合役員および以下の組織に属する年金基金受託者が共同で策定したものである:オーストラリア労働組合評議会、米国AFL-CIO、スペイン労働者委員会、オランダFNV、国際労働組合総連合(ITUC)、UNI、国際運輸労連(ITF)、OECD労働組合諮問委員会(TUAC)

労働者資本委員会(CWC)とは、労働者資本の責任ある投資に関して対話し行動を起こす国際労働組合ネットワークである。国際労働組合総連合(ITUC)、グローバルユニオン(GUF)、OECD労働組合諮問委員会(TUAC)の共同イニシアチブであり、UNIは事務局に参加している。