UNI Aproユース、デジタルツールによる青年の組合参加を推進

2021年8月28日、第17回UNI Apro青年委員会が昨年に続きオンラインで開催された。各国委員からは、コロナ禍により依然として対面の活動が大幅に制限される中でも、デジタルツールを活用し、啓発活動や研修の提供、新規組合員の獲得や組織化、ネットワークの維持・強化など、青年の組合への参加を促進する様々な取組みを粘り強く継続していることが報告された。

日本からは、太田委員(情報労連・新任)、藤原委員(UAゼンセン)、松波委員(日放労)、齋藤委員(JP労組・新任)他オブザーバーが出席し、各組織の青年活動について報告した。また、7月に初めてオンライン開催された第20回UNI-LCJユース英語セミナーについて、出席した藤原委員が報告を行った。

UNI Apro青年委員会構成の変更については、情報労連の齋藤前委員から太田委員、JP労組の小野前委員から齋藤委員への交代を含む各地域の変更が確認され、レイズ議長からUNI Apro青年委員会を代表して新メンバーへの歓迎と退任した委員への感謝の言葉が述べられた。

最後に、2018~2022年活動計画の進捗状況と今後の予定(2021年末からのオンライン研修、2022年UNI Apro青年大会をバーチャルまたは対面で開催等)について確認し、閉会した。

 

各国報告(要約)

  • 松波清美副議長(日本 日放労):メディア・放送業界の若年労働者へのコロナの影響について報告。オリンピック、パラリンピックの取材・番組制作のために全国から多くの若い労働者が集められたが、若年層のワクチン接種が進んでおらず感染者が出た例もある。同僚との関係の希薄化や対面によるOJT研修ができないため、メンタルヘルスや人材育成にも影響が出ている。若手組合員の声を活動に反映させるべく、テーマごとにチーム化し、情報共有や意見交換の場を設ける計画である。
  • 太田佳織委員(日本 情報労連):青年層の課題は、組合活動へ参加する組合員、組合役員の担い手が少ないことである。組合員教育や役員研修に参加してもらい、組合活動への理解促進に努め、人材育成を図っている。組合活動を通じ、幅広い知識や人脈、キャリアアップの機会が得られることを伝えている。自由な発想で若年層のニーズにあった活動を行い、情報発信だけでなく組合員が気軽に相談できる窓口としてSNSを活用していく。
  • 藤原尚子委員(日本 UAゼンセン):流通部門で行っている次世代役員育成・青年組合員の参画拡大に向けた取組みについて報告。 流通部門に所属する青年組合員10人が2年間に渡って議論し、提言をまとめた。組合が「ミレニアル世代」「デジタルネイティブ」と呼ばれる世代の特徴やニーズを的確に把握することが必要。彼らはワークライフバランスを重視し、社会問題や社会貢献の意識が高く、「モノ」よりも「コト」の消費に高い価値を感じており、こうしたニーズに対応した新しい組合活動が求められる。7月20日に第20回UNI-LCJ英語セミナーがオンライン開催され、6組織21人が参加。UNIの取組みについて学び、コロナ禍の青年への影響等について議論、共有した。
  • 齋藤優輔委員(日本 JP労組):全国の組合員24万人のうち4万人が30歳以下のユース組合員。組織拡大が処遇改善につながる重要な要素であることを青年世代に伝えている。労使交渉による政策実現には限界があり、政治活動が特に重要であるため、青年層の政治意識や投票率の向上に重点的に取り組んでいる。また、組合員による相互扶助活動である共催制度への参加率向上にも取り組んでいる。
  • ガディス・レスマナ委員(インドネシア ASPEK):コロナ禍の対応について政労使共同宣言を策定した。政労使それぞれが取組み項目を設定し、取組んでいる。労働条件の引き下げを行わない、景気刺激策導入、不利益な取り扱い、差別の禁止など。ASPEK青年活動としては、2020年の雇用創出オムニバス法への抗議行動への参加、献血活動、組合を通じた基礎研修などの提供などを行った。
  • ムハマド・ニザム・ビン・ハジー委員(マレーシアUNI加盟協):青年活動として、年金基金に関する取組み、医療従事者への募金活動、労働者のワクチン接種加速化を求める署名活動と政府への要請行動をUNI-MLCと連携して実施。今後の計画としては、SNSを活用した青年メンバーとの定期的な情報共有、小グループによるチームワーク養成、スポーツ、ワークショップの実施。青年組合リーダーの育成(役割を与え達成感を得て自信をつけてもらう)に努めていく。
  • カイ・フック・タン委員(シンガポールUNI加盟協):コロナ禍によってシンガポールの若者はいくつかの問題に直面している。デジタル化への対応、コミュニケーションの希薄化、人間関係の希薄化、リモートワークによる長時間労働、メンタル面でのプレッシャー、自宅の環境整備など。シンガポールでは政労使による諮問会議が設立され、例えばメンタルヘルス対策について、個人、チーム、企業それぞれのレベルで取り組めるよう勧告した。信頼関係を築くことがより重要になっている。ワークライフバランスとリモートワーク、個人のバランスを実現する取組みである。
  • ベルナデット・レイズ議長(フィリピンUNI加盟協):パヤタス地区への支援活動として、子どもたちの栄養改善活動、奨学金プログラムを継続していく。現在100人の奨学生がいる。日本の個人および加盟組合からの支援に感謝。昨年ファンドレイジングを行った結果、7610米ドルの資金が集まり、500家族以上への支援をすることができている。
  • ロイ・タパン委員(バングラデシュUNI加盟協):バングラデシュでは、専門家、官僚、研修者等多様なステイクホルダーが参加するデジタル・ファイナンス・フォーラムが設立され、自分も執行委員を務めている。規制に関する取組み、能力開発、官僚のリーダーシップスキル向上、情報共有等を使命とし、学びの場の提供、知識のデータベース化、デジタル金融コンテンツ制作等の活動を行っている。青年もデジタル技術を活用して活動を活性化すべきだ。UNIバングラデシュ加盟協ユースは、デジタル技術を活用した情報共有、ジェンダー平等の啓発、持続環境な労働環境づくり、SDGsの達成、青年ネットワーク強化等を目指して活動していく。
  • キマヤ・ウキダブ委員(インドUNI加盟協):女性のための生理休暇導入に取り組んでいる。「一人が一人を勧誘する」という方法で組合加入者を増やし、自分たちの組合であるという意識向上を図っている。UNI-LCJ/UNIインド加盟協セミナーには多くの青年女性が参加し、自分たちの問題について議論することができた。青年に自らの権利を認識し、組合に入ることのメリットについて教えるウェビナーを開催している。
  • ジョティ・シュレスタ副議長(ネパールUNI加盟協):コロナ禍の中、暴力やメンタルヘルスにおいて若年層の被害が増えている。特に労働者の7割以上を占める非正規雇用やインフォーマル部門労働者の状況は厳しく、社会的保護が必要。非正規、フリーランス労働者を組織化し、声を上げることができる仕組み作りが必要。インフラの課題はあるが、デジタルプラットフォームを活用し、組織化や研修を進めていきたい。
  • ミヒリ・ハプアラチャチ委員(スリランカUNI加盟協):小売部門(スーパー、モール)の若い労働者の組織化に力を入れており、産別労組の結成と団体医療・生命保険の設立を目指しているが度重なるロックダウンにより、大きく影響を受けている。青年の研修や医療支援活動も引き続き取り組んでいきたい。
  • シャーリーン・ペレラ副議長(オーストラリアSDA):小売部門には青年が多く、顧客からのハラスメントに直面することが多いため、カスハラキャンペーンに取り組んでいる。労働者、会社、顧客それぞれへの啓発活動が重要。コロナ禍で青年労働者へのカスハラやセクハラは増えている。マクドナルド労働者への啓発キャンペーンでは、デジタルと対面の併用でコミュニケーションを取り続け、組織化を進めている。デジタル組織化にも注力しており、オンライン組合加入システムを導入したことでこの2年間で大幅に組合員が増加した。