メディア労働者のメンタルヘルス改善に向け、アジア太平洋放送連合(ABU)との連携を確認

2021年4月30日、UNI Aproメディア部会は、アジア太平洋放送連合(ABU)と第3回共同ウェビナーを開催した。コロナ禍において経済が悪化する中、メディア労働者のメンタルヘルスに与える影響や課題、組合の対応について、フィリピンおよびパキスタンのUNI加盟組合が報告を行った。

開会にあたり、ABUのナタリア・イリーバ事務局長室長は、日々コロナ禍に関するニュースを伝え続けているメディア労働者が抱えるストレスや不安については注目されにくいが、非常に重要な問題だと強調し、本ウェビナーでの議論に期待した。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、アジア地域での感染状況が悪化し危機が長期化する中、メディア、エンターテイメント産業で人員削減や解雇が増えており、多くの労働者が不安やストレスを抱えていると訴えた。こうした困難な状況にある組合員への支援は組合にとっても喫緊の課題であり、ウェビナー開催は時節を得たものだと歓迎した。

フィリピンABS-CBN労組及び放送労連(NABU)のジョン・ビラヌエバ委員長は、冒頭ドゥテルテ政権下で放送停止に追い込まれていた同国最大の民間放送ネットワークABS-CBNの閉鎖が2020年7月に議会で可決されたことを受け、直雇用だけで6000人の労働者が解雇され、コロナ禍と重なり再就職も難しい状況だと報告した。業界全体としても主な収入源だったイベント自粛などの影響により厳しい状況が続いている。リモートワークも行われているが、仕事をしながら子供の面倒を見なくてはならないという問題が生じている。シフトの見直し等により給与も低下しており経済的な不安も高まっている。こうした中、労働者のやる気の低下、失望感やストレスの増加が見られ、連帯意識の低下にもつながっている。組合としては、組合員にメンタルヘルスに関するウェビナーや研修に参加するよう呼びかけるとともに、労働者へのコロナ禍の影響について定期的に政労使の協議を行っている。

パキスタンPTV労組のサージャ・メフムッド氏は、南アジア諸国のメディア・エンターテイメント産業におけるコロナ禍のメンタルヘルスへの影響と諸課題について、最新の研究や調査を基に詳細に報告した。求められる労使の対応として、正しい情報への安価で平等なアクセス、NGO等専門的な知識を持つ団体との連携、SNSの積極的な活用による労働者同士のつながりの強化、アプリによるカウンセリングの実施、適切なガイドラインと防護具の支給、インターネット・プラットフォームを活用したニューノーマル時代の新しい働き方に関する研修の提供等を上げた。

閉会にあたり、中村UNI Aproメディア部会議長は、報告者の労を労い、ABUやUNI-MEIの協力に感謝するとともに、「コロナ禍の中、多くのメディア労働者は非常に不安な中で仕事をしている。各労組の粘り強い地道な取組みに敬意を表したい。今後も継続的に連絡を取り合い、この難局を共に乗り越えていこう」と更なる連携強化を呼びかけた。