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フィリピン上院、全会一致でILO第190号条約の批准を承認-フィリピン労働者に歴史的な瞬間

2023年12月11日、フィリピン上院が「仕事の世界における暴力およびハラスメントに関するILO第190号条約」の批准を全会一致で承認し、フィリピン労働者の権利にとって画期的な勝利がもたらされた。

ILOがこの条約を2019年に採択して以来、UNIフィリピン加盟協(UNI-PLC)は、フィリピンの他の労働組合、労働団体、権利擁護団体とともに、職場におけるあらゆる形態の暴力やハラスメントから労働者を保護するこの重要な条約の批准に向けて、キャンペーンを精力的に展開してきた。広範なロビー活動、大規模集会、政策立案者との対話、さらに労働者の権利保護における190号条約の重要性について認識を高めるための草の根アドボカシーなどを行ってきたのである。

UNI-PLCは、組合活動家やこの大きな成果のために取組んできた他の労働組合に敬意を表し、次のようにコメントした。「ILO第190号条約の批准は、フィリピン人労働者とその権利擁護のために取組んできた人々の声を結集した重要な勝利。ILO第190号条約が国内法の一部となるということは、フィリピンの労働組合・労働運動にとって重要な勝利として記憶される歴史的瞬間だ。この条約は、意味のある変化をもたらし、労働者の権利を前進させる上で、集団行動とアドボカシーの力がいかに重要であるかを示すものである。この画期的な勝利は、フィリピンのあらゆる労働者が暴力やハラスメントを受ける恐れを抱くことなく、まっとうな雇用に従事し、国内の職場で敬意と平等、安全の文化を育む未来への道を拓くものだ」

UNI-PLCはさらに、条約の批准という決定的な一歩を踏み出すことは、持続可能な開発と社会進歩の目標に沿い、すべての労働者の尊厳と権利を守る職場環境を構築するという国際労働基準と人権原則に対するフィリピンのコミットメントについて強力なメッセージを送ることになる、と期待している。

フィリピン政府は現在、法的枠組みの確立、執行のメカニズム、被害者への支援サービス、この問題に関する教育・啓発の促進など、包括的な施策を実施する体制を整えている。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、「UNI Aproは、この画期的な成果を達成したUNI-PLCと加盟組織の精力的な活動、フィリピン労働運動への貢献を非常に誇りに思う」と述べ、勝利を祝した。

ILO第190号条約は、職場における暴力やハラスメントに対処・防止することを目的とし、そのような行為が人権や職場における基本原則・権利を侵害するだけでなく、個人の尊厳や社会全体の健全性を損なうものであるとしている。現在、ILO加盟国のうち36か国がこの条約を批准しており、うち太平洋地域からはオーストラリア、フィジー、パプアニューギニアの3か国が批准しているが、今回の画期的な決定により、フィリピンはアジアで初めて190号条約に加盟した国となった。


第22回UNI-LCJユース英語セミナーを開催!

2023年12月8~10日、東京・府中においてUNI-LCJユース英語セミナーが4年ぶりに対面開催された。6組織(情報労連、全印刷、全労金、UAゼンセン、大日本印刷労組、JP労組)14名の参加者(男性5名、女性9名)は、海外から招いた3人のリソースパーソンを交え、英語でコミュニケーションをはかりながら、国際労働運動について理解を深めた。

「2023~2027年UNI-LCJアクションプラン」の重点課題に挙げられる「国際労働運動で活躍できる人材の育成」という方針に沿って開催された本英語セミナーの開会式では、北村聡太UNI-LCJ副議長が英語で開会挨拶を行い、「将来、日本のみならずアジア太平洋地域の労働運動のリーダーとなる皆さんにとって、このセミナーへの参加は国際労働運動への第一歩となる。ぜひ職場の仲間にも、この合宿で得た体験を共有してほしい」と呼びかけた。

自己紹介とオリエンテーションを経て、参加者は、上田智亮UNI-LCJ事務局長より国際労働組合運動の概要やUNIの取組みについて説明を受けた。また、インド出身のプージャ・カパヒUNI Aproオルグ(デジタルコミュニケーション・キャンペーン担当)は、同国における貧富の差や女性差別などの問題に触れつつ、非正規層や青年女性の組織化、縁故主義の蔓延する労働組合運動の課題を指摘した。マレーシアのメディア労組のアメリア・ナディアKESTMB労組副書記長は、多文化共生の同国の風土、メディア産業、労働組合の現状、女性や青年の課題、組合の活動などについて報告した。また、オーストラリア出身のホビッグ・メルコニアンUNI Apro組織化・キャンペーン部長は、同国の労働組合運動の概要や、出身組織である店舗流通関連労組が取組んできたハラスメント撲滅キャンペーンやフランチャイズ店舗における移民労働者搾取に対する闘い等について、報告した。進藤葉月UAゼンセン国際局職員は、11月に開催されたUNI Apro青年委員会及びワークショップについて報告するとともに、UAゼンセンの青年組織である「ヤングリーブス」の取組みについて紹介した。

最終日には、前日より準備と練習を重ねてきた最終プレゼンテーションが行われた。

グループ1は、Make Amazon Payやジェンダーに基づく暴力に反対するキャンぺーン等を事例にUNIの取組みを説明し、組合の下で団結すれば変革していく力を得ることができる、とまとめた。

グループ2は、青年や女性がどのように労働運動の中で闘ってきたか、いくつかの事例をもとに歴史を振り返った。同時に、寸劇とクイズを盛り込み、参加者を惹きつける対話型の構成で発表を行った。

グループ3は、日本に来た外国人労働者が、日本の独特の職場文化に触れて違和感を表明しつつ、日本の労働者もそれによって視野を広げていくというストーリーで寸劇を行った。

いずれのグループも本セミナーで学んだ内容を盛り込みつつ、短い練習時間の中でもチームワークを発揮して、助け合いながらプレゼンテーションを成功させた。

またセミナー中、上記グループワーク以外にも、プレゼンの司会進行を担う「モデレーター」、参加者同士のアクティビティを企画・実施する「ソーシャルファン」、その日の出来事を英文記事にしてFacebookにアップする「レポーター」の3委員会が設置され、参加者は各委員会の中で積極的に役割を果たした。さらに懇親会や休憩時間、ソーシャルファンのセッションを通じて、参加者同士やリソースパーソンとの活発な交流が行われ、懇親と友情を深めた。

参加者からは、「日本と異なる組合の課題や社会問題を聞くことができて視野が広がった」、「英語への興味を今まで以上に持つことができた」、「他労組のメンバーと共に団結して達成感を味わい、横のつながりをのばすことができた」といった前向きな感想が寄せられた。


UNI欧州、欧州労働組合連合のテレワーク法制化要求を支持

UNI欧州は、使用者による欧州社会パートナー協約の締結拒否を受け、欧州委員会がテレワークとつながらない権利に関する迅速な立法措置を開始するよう求める欧州労働組合連合(ETUC)の呼びかけを支持する。

2022年6月、欧州の3つの使用者団体はETUCとの社会対話作業プログラムに署名したが、その中には、指令の形で導入予定のテレワークに関する法的拘束力のあるEU全体レベルの協約を交渉することが盛り込まれていた。

しかし1年以上にわたる交渉の末、3つの使用者団体のうち2組織が、いかなる文書の提出も拒否し、成功への道筋を提示できないまま交渉から離脱したのである。

パンデミック以降、欧州においてテレワークに関する強力な規制の必要性は、さらに緊急性を増している。EUの労働条件調査では、常時在宅勤務をしている労働者は、自由時間に仕事をする傾向が6倍高く、48時間勤務の可能性が2倍高いことが示されているのである。

欧州委員会は、在宅勤務をする労働者のために適切な労働条件を確保するための立法措置を直ちに行うべきである。UNI欧州は欧州委員会に対し、以下のような指令の提出を求める:

・既存のつながらない権利を保証する。
・情報への権利やデジタル・アクセス権など、労働組合の権利を保証する。
・テレワークを行う人々の賃金と待遇の平等を確保する。
・プライバシーを保護し、人権侵害的な監視を防止する。
・テレワークの決定が労働者の手に委ねられ、職場を代替するものではないことを保証する。
・テレワークの設計と提供について、団体交渉を通じて労働組合の関与を保証する。


組合は、労働者がテクノロジーについて交渉できるようにしなければならない

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「AIと公共の利益」と題された幅広い討論の中で行われた基調講演において、労働者がAIの影響と導入について交渉する必要性を強調した。

2023年11月15日に オープンマーケッツ・インスティテュートとAIナウ・インスティテュートが、ワシントンDCで主催したイベントでは、AIの出現後に我々が地域社会や職場で直面する将来予測、脅威、規制上の課題について、議論が展開した。欧米から第一線の政策立案者、規制当局者、技術者、起業家、作家、音楽家、政策専門家、学者が集った。

ホフマン書記長は講演の中で、AIの使用に関する懸念について、職場における新技術の導入をめぐる集団的闘争という、より広範な歴史的文脈の中に位置づけた。産業革命の黎明期から、労働者は団結して、今日で言うところの「公正な移行」を要求してきたのである。

1980年代にホフマン書記長が交渉担当を務めたジェットエンジン工場を含め、現代の労働組合運動は1970年代からロボットやオートメーションといった技術をめぐって、本格的な交渉を開始した。同書記長は、今日のテクノロジーをめぐる闘いには、数十年前の闘いと同じ力が必要だと指摘し、次のように述べた。「我々が主に求めてきたのは、技術導入前の事前通告と、雇用、安全衛生、トレーニングの分野におけるリスクに対処する機会でした。また、新しい機械やテクノロジーを導入するための最善の方法を提案する機会も求めてきました。そして、こうした要求は現代にも通じることなのです…(中略)…しかし、より長期的には、新たな効率化によってもたらされるメリットを分かち合いたいと考えていました。実際にこの時代、自動車産業では、自動車製造に必要な労働者数が減ったという事実を踏まえ、賃金をめぐって大規模なストライキが起こりました。そしてまた、これこそ、私たちが生成AIに関して直面している重要な課題なのです」

ホフマンUNI書記長は、非常に人権侵害的なアルゴリズム管理など、他のタイプの職場技術に保護措置を設置することで、世界中の組合が成功を収めていることを指摘した。このようなプログラムは通常、継続的な監視とフィードバックによって生産性を向上させ、労働者を安全上好ましくない、持続不可能な速度で働かせている。

労働運動は、団体交渉と社会対話を必要とする規制枠組みの両方を通じて、職場監視の量と労働者のデータの使用方法を規制してきた。その例として、コールセンターにおける全米通信労組(CWA)とATTの団体協約や、ドイツの労使協議会とアマゾンの個別データに関する協約が挙げられる。

同様に、昨年登場した生成AIは、生産性の向上が期待されているが、アルゴリズム管理とは異なり、これらの利益は、単に労働者を過酷に働かせて搾り取るのではなく、作業の自動化や労働者の能力の増強によってもたらされる可能性がある。 生成AIを職場で使用することに関する唯一の大規模な調査研究のひとつは、コールセンターを対象としたもので、そこではこのテクノロジーによって通話時間が14%短縮され、顧客満足度が向上した。

ホフマン書記長は、 「これは良い話であり、労働者の離職率が下がり、雇用が安定するということになるかもしれない…(中略)…しかし、より多くの電話に応対できるようになったからといって、労働者の賃金は上がるのでしょうか? スピードアップによって、仕事のストレスはさらに増えるのでしょうか? これらの疑問は、こうした労働者が交渉の席で交渉し、ある程度の力を発揮できるかどうかによって多くの部分が決まる、未知の問いなのです」と続けた。

UNIメディア部会の加盟組織による最近の勝利が示しているのも、集団的な行動の力だ。こうした組合は、労働者の補償と雇用が完全に保護されるよう、AIの規制について交渉することができたからだ。

このことは、今後の組合闘争のモデルになるはずだ。ホフマンUNI書記長は次のように締めくくった。「米国で議論されているAIに対する規制は、組合を作るのが難しすぎるという核心的な問題を回避しています。実際、肖像権や知的財産の保護を強化する必要があるのです。 監視は継続的なものであってはならず、安全衛生規則は強力に実施されるべきであり、すべての労働者が休憩を得られるべきです。しかし最も重要なことは、労働組合結成への障壁を減らすことによって、すべての労働者がテクノロジーに関して交渉できるようにすることなのです。…(中略)…労働者には、我々が組織化の進んだ部門で何十年も行ってきたように、テクノロジーに関して使用者と交渉するための本当の力が必要です。 我々はその方法を知っています。ただ、扉を開くだけでいいのです」


第10回UNI Apro東アジア労組フォーラム(2日目)

テーマ2:各国で進む働き方改革と労働組合の対応-長時間労働、少子高齢社会、労働力不足等、東アジア共通の課題解決に向けた取組み
2-1)長時間労働の是正に向けた取組み
●日本(中島遥香 損保労連事務局次長):同労組の中期重点取組み課題において、多様な働き方の実現が掲げ、その一つに「長時間労働につながる商慣習の見直し」がある。時間外電話や至急の対応依頼などの行動を見直し、相手の働き方への配慮が重要である。連合と連携したシンポジウム開催や他産別との意見交換、労使協議等を行い、組合員の行動変革を促している。
●韓国(キム・ミュンソ KFIU副委員長):労働時間短縮に向けた同労組の取組みについて概説した。2002年に金融労使交渉の成果として同国で初の週5日制が導入され、他産業に対しても起爆剤となった。他に昼食休憩の一斉付与、パンデミック時の営業時間短縮などを要求してきた。現在は週休3日制を目指している。
●台湾(ナガオ・クナウ TPTSEU委員長):台湾の公共テレビとその組合員構成、同労組による長時間労働是正と勤務形態の多様化に向けた取組みについて、概説した。組合として次の勤務までの休息時間の確保等に取組んでいる。高齢化が進む中、交渉によって年5日の有給の介護休暇を獲得した。また「報道者」について、残業削減に向けて、超過勤務指示が直前に行われた場合には代休時間を増やすことを協約で定めた。
●モンゴル(バトチメグ・ナサンバータル 新国際空港労組):政労使で公正される国家労働安全衛生委員会があり、2023年7月に労働条件の基準が改定、これにより労働安全衛生管理に重点がおかれることになった。最近はメンタルヘルス課題にも注力している。組合として、公務員の給与水準の統一、勤務歴に応じた手当、地方勤務手当の支払い、インフレに見合わない賃金水準の改善と求めている。

2-2)女性が働きやすい職場作り
●日本(阪本裕実子 生保労連中央副執行委員長):同労組では「誰もが安心と働きがい・生きがいをもてる職場の実現」に向けて、ジェンダー平等に向けたポジティブ・アクションの推進、両立支援制度の拡充・活用推進を柱に、働き方を柔軟に選択できる制度の整備に取組んでいる。ジェンダー平等に関する意見交換会、管理職フォーラム等を開催し、今後さらに女性が活躍できる環境を整備していく。
●韓国(バン・キウォン KHMU教育委員会議長):約9万人の組合員のうち、多くが女性看護師である。過重労働ゆえに高離職率で、看護師有資格者で実際の稼働率は約5割である。組合は、長時間労働の是正、交代勤務の改善、ワークライフバランス向上について、病院や政府と交渉・闘争し、成果を勝ち取ってきた。
●台湾(リュウ・チュンハン CPWU企画部長):台湾における女性の安全衛生に関する法的保護、中華郵政による女性が働きやすい職場環境促進に向けた措置、(各種休暇や補助金、育児支援など)ワークライフバランスの取組みなどを紹介した。 

2-3)多様な働き方(リモートワーク、フレックス勤務、ワークライフバランス、つながらない権利等)
●日本(水野和人 情報労連書記長): 2020年よりテレワークが急速に拡大、ICT産業で特に顕著であるが、東京と地方、業種間や事業所規模により開きがある。情報労連では加盟組織では7割以上がテレワークを実施、勤務時間管理や業務に必要な現物や手当ての支援、柔軟な働き方等について取組んできた。在宅勤務によるメンタルヘルス維持、つながらない権利が課題であり、労働条件と職場環境の改善に引き続き取組む。
●日本(井上克彦 UAゼンセン常任中央執行委員/イオンフィナンシャルサービスユニオン中央執行委員長):男性の育児休業取得率は2020年以降100%であり、取得日数も増加している。全国規模でのサテライトオフィスの活用や、誰でも時短制度の導入など、多様な働き方の促進に取組んでいる。

テーマ3:賃金・労働条件交渉の成果と今後の課題-物価高騰に対応した労働者への公正な分配・労働条件の向上は実現したか?
●韓国(キム・オクラン FKMTU政治部長):全国医療産業労連は大学病院と交渉、週休3日のパイロット事業の期間と部署を拡大した。また仁荷大学病院労組は2023年に医療労組として初めて中央労働委員会の調停制度を活用、賃金引上げについて早期に協約を締結しただけでなく、適正な人材配備による業務強度の改善、及び病院サービスの質の向上等、労働条件と密接な関連がある部分に対する合意を導出できた。
●日本(徳田和宏 自動車総連国際局部長):2023年の春闘は、全体的または中小組合についてもほぼ30年ぶりとなる水準の賃上げが実現した。2023年度は自動車販売部門においても物価上昇、人手不足を背景に、高い賃上げを獲得、自動車総連全体の底上げ・底支えに確実につながった。整備士を含むサービス職についても、資格手当や役職手当の新設、手当額の引上げを獲得した組合もある。
●日本(中田綾子 UAゼンセン流通部門執行委員):物価上昇やマイナスの実質賃金などを背景に2023年には全加盟組織より署名を集め、UAゼンセンとして賃上げ促進を政府に要請した。結果、政府や経営者団体の間で賃上げの必要性について認識が広がって賃上げの機運も大きく高まり、高い賃金妥結水準となった。短時間組合員の賃金引上げも8年連続で正社員の引上げを上回り、雇用形態間格差是正につながっている。また、労働時間の改善や、カスタマーハラスメント対策などについても多くの加盟組合で交渉が行われた。
●台湾(スー・ホンティン CTWU台北支部長):中華電信および組合、台湾の経済状況、CTWUの方針や戦略枠組みについて概説した。実際の成果として、会社収益に関わらず賃上げを確保すること、育児対策と補助の拡充、永年勤続者の賞与改善などがある。また労働権益の向上にむけた取組みとして、労使協議や政府陳情、労働者教育という3つのチャネルを説明した。
●モンゴル(バトチメグ・ナサンバータル 新国際空港労組):組合の意見も反映した上で2021年に改定された同国の労働法では、雇用契約、労働時間、賃金・手当、柔軟な労働条件などの点において改善が見られた。リモートワークやパートタイムの環境整備を団協協約で決められるようになり、超過勤務や深夜勤務の手当、同一労働同一賃金も明記された。また一度のシフトにおける勤務上限は12時間となり、健康面で大きな成果である。また、男性の育休や障がい者の雇用割合についても規定された。

■閉会式
砂川翔UNI Apro青年委員(JP労組)より、今回のフォーラムを総括し「今後もUNI、UNI Aproと連携し、東アジアの加盟組織間の情報交換を継続しながら、政労使の社会対話を促進し、労働者の声を政府および使用者に届けていく」ことを確認する共同声明が読み上げられ、採択された。また、次回フォーラムホスト国である韓国のキム・ドンホKPWU委員長が、次回は2025年にキョンジュで開催することを発表した。最後に、安藤京一UNI-LCJ副議長が、二日間で学んだことを生かし、UNIファミリーとして「共にこの地域の社会・経済の発展に貢献していこう」と挨拶し、閉会した。

なお、各セッションでは以下の方々が司会を務めた。
• 開会/基調講演:(日本)山下茂美 日放労中央執行委員
• サブテーマ1 :(日本)加藤友樹 全印刷組織部長
• サブテーマ2 :(韓国)ヨン・ユンギュ KHMUプサン支部長 
• サブテーマ3 :(台湾)ジュリア・ロー CPWU書記長 
• 閉会 :(日本)大澤佳之 全労金ろうきんセントラル労組 執行委員


第10回UNI Apro東アジア労組フォーラムを東京で開催!(1日目)

UNI Apro東アジア労組フォーラムは第10回目を迎え「Rising Together! 共に立ち上がろう!東アジアにおける公正な分配と働き方改革の実現を目指して」をテーマに、2023年10月26~27日、東京・神田明神ホールにて開催され、日本、韓国、台湾、香港、モンゴルより延べ約160名(日本から14組織約100名)が参加した。

■開会式
ホスト国を代表し、石川幸德UNI-LCJ議長は4年ぶりの対面開催となった今回のフォーラム参加者を歓迎し、「実り多い経験の共有と交流の機会になることを期待する」と冒頭の挨拶をした。各国代表より、韓国からシン・ソンイルUNI-KLC議長が、台湾からジョン・フージー台湾金融労連(TFFU)委員長が、モンゴルからオユンバヤル・チュルテムドルジUNI-MLC議長が、そして香港から挨拶があった。続いて、松浦昭彦UNI Apro会長は「UNIファミリーのネットワークを活用し、東アジア共通の諸課題の解決に向けて、労働者の声をよりよく反映させていこう」と連帯挨拶を述べた。

■基調講演
「アジア太平洋地域の労働者を取り巻く環境と課題」と題して、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長がについて講演した。デジタル化等によって急速に変化する仕事の世界において、労働者の新たなスキルを強化して公正な移行を確保すること、ギグ・エコノミーやリモートワークの普及によって組織化が困難になった労働者層を代表していくこと、監視によるプライバシー侵害から労働者を保護すること、正規雇用であったものが非正規化されていくことを阻止すること、などの重要性に言及した。

■テーマ別セッション:3つのテーマについて、各国の加盟組織より報告が共有された。

テーマ1:東アジアの労働者を取り巻く政治・経済・社会の現状と課題
●日本(浅香朋子 JP労組中央執行委員):デフレ経済と停滞する賃金水準、格差拡大、少子高齢化と生産年齢人口の減少といった日本ンの社会経済の抱える課題、政府政策等を概説した。賃上げ機運を継続するために組織拡大が重要である。
●韓国(ユン・チャン KFIU/KDB銀行労組副委員長):反労働保守政権による労働政策改悪の状況と韓国の経済状況や少子高齢社会について言及し、労働弾圧に立ち向かう組合の活動や韓国産業銀行移転阻止に向けた取組みについて紹介した。
●台湾(ハン・シューシェン TFFU事務局長):台湾におけるメーデーの取組み、Mee too運動、インフレに伴う基本給の引き上げについて触れるとともに、2024年の総統選に向けて与党が最低賃金法を提出していること、交渉中の台米貿易協定の状況等について概説した。
●モンゴル(バトチメグ・ナサンバータル 新国際空港労組):政府は経済発展、人材育成、産業推進などの分野で2050年の達成を目標に掲げている。全人口の約半数が労働可能人口であるが、高度人材の不足が課題となっている。組合は賃上げ実現に尽力し、2023年7月に国家公務員の賃上げを獲得、高齢者の年金の均一化も図られた。また都市部での渋滞解消のためにも組合として柔軟な勤務時間の導入に取組んでいる。


イスラエルとガザにおける戦争に関するUNI声明

以下の声明が、2023年11月8日に開催されたUNI世界執行委員会で採択された。

UNIは、イスラエルとガザで生じている悲劇に衝撃を受け、驚愕している。我々は、イスラエルとパレスチナのすべての暴力による犠牲者に思いを寄せ、連帯する。我々は、国際法の完全な適用に基づく平和と民主主義が実現する恐怖のない平和な世界に強くコミットしている。この目的を達成するため、我々全員が取り組みを強化する必要性は、かつてないほど高まっている。

敵対行為の即時停止が不可欠であり、国際社会は、すべての当事者が国際法の基本原則を守り、すべての民間人が保護されるよう、介入すべきである。

我々は、ハマスによるイスラエル市民に対する残忍な攻撃と殺害を非難し、すべての人質を即時且つ無条件に無事解放することを要求する。

ハマスによるイスラエル市民の殺害も、イスラエル政府によるガザ市民への砲撃も、恒久的な和平をもたらすものとはならない。

ガザでは今、破滅的な状況が続いている。 住民は容赦ない爆撃下に追い込まれ、ガザの医療体制は、必死に助けを求める人々を治療することがますます困難となり、電気、水、食料の遮断は、多数の男性、女性、子どもの死を引き起こしかねない広範な人道危機につながっている。ガザへの人道回廊を開き、切実に支援が必要な人々に援助を提供することが急務である。

UNIは、国連安全保障決議に則った公正で持続可能な和平と、占領の終結を求める長年の方針を掲げている。イスラエル、パレスチナ、そして国際社会が、何世代にもわたって続いてきたこの紛争の公正な解決の実現にこれまで失敗し続けてきたことは、あらゆる立場の多くの人々に影響を与えてきた暴力、トラウマ、殺戮の継続を意味する。

すべての国々は今、平等、民主主義、人権と労働権の尊重を促進する包括的かつ恒久的な和平に向けた取り組みを一層強化しなければならない。我々は、この地域全体のコミュニティを荒廃させてきた暴力の連鎖を終わらせなければならない。

世界中で反ユダヤ主義やイスラムへの嫌悪がエスカレートしていることに我々全員が警鐘を鳴らしている。だが我々は、この危機を利用して分断を煽ろうとする勢力を決して許さない。戦争、暴力、そしてあらゆる形の人種差別に反対する我々の断固たる姿勢は、すべての人のための平和と正義を希求する闘いにおいて、我々全員を団結させるに違いない。

ガザへの人道支援、人質の解放、そして即時停戦は、この危機を脱するための第一歩である。戦争と暴力から抜け出し、我々を平和な未来へと導く道である。


UNI、AI安全サミットに労働者の声を反映させるよう呼びかけ

2023年10月末、UNIとUNI欧州は、世界中の100を超える市民団体とともに、英国政府が開催するAI安全サミットについて「チャンスを逃した」と非難した。

リシ・スナク英国首相に宛てた公開書簡の中で、各団体は、AIによって最も影響を受ける地域社会や労働者がサミットから疎外されている一方で、一部の企業がルールを形作ろうとしている、と警鐘を鳴らした。

2023年11月1日、2日にロンドン近郊で開催予定のAI安全サミットでは、政治家やテック企業幹部を中心に、オープンAIのChatGPTのような高度なAI技術のリスクについて、議論がなされる予定だ。

ケイト・ベルTUC書記次長は、「AIはすでに、我々の働き方、雇用や解雇のされ方など、人々の人生を変えるような決定を下している。しかし、働く人々にはまだその交渉の席が与えられていない」と述べ、「このイベントは、幅広い声を集め、差し迫った脅威にどう対処し、いかにしてAIがすべての人に利益をもたらすようにするかを議論する機会となるべきだった。AIの未来を形作るのは、技術者や政治家だけであってはならない」と指摘した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「サミットから労働者の声を排除することは恥ずべきこと」と批判し、「AIを経済全体に展開する計画があるなら、労働者は初日からそのテーブルにつく必要がある。 AIは多くの人々にとって仕事が改善される機会を提供するが、それは適切な保護が導入され、労働者が利益を共有する場合に限られる」と強調した。


グローバルユニオン、イランで高まる人権・労働権および市民的自由の侵害を非難

グローバルユニオン評議会(CGU)による声明 (2023 年 9 月 12 日付)

グローバルユニオン評議会(CGU)は、国際労働組合総連合(ITUC)、国際産業別労働組合組織(GUFs)、経済協力開発機構(OECD)労働組合諮問委員会(TUAC)を通じ て2 億人以上の労働者を代表し、イランの様々な当局による労働組合指導者・ 活動家の人権・労働権および市民的自由の侵害がエスカレートしていることを、非難する。

特に、ジナ・マハサ・アミニさんが超法規的に死亡に至った2022年9月16 日から1年となる節目の日が近づいていることに鑑み、教員、ジャーナリスト、労働組合活動家、学生活動家、女性の権利擁護者を標的とした弾圧措置の強化に対し、CGUは深い懸念を表明する。我々は、この弾圧を糾弾し、その即時停止を要求する。そうすることで、労働組合員が、あらゆる民主主義社会の礎石である労働者の権利をイランにおいて擁護し、支持することができるようになる。

我々はまた、「道徳警察」の影響力の増大と、強制ハビド法の施行によって女性への嫌がらせが行われ、教育へのアクセスが妨げられていることを懸念する。

特に、教育インターナショナル(EI)、国際運輸労連(ITF)、国際ジャーナリスト連盟(IFJ)の加盟組織、すなわち、イラン教職員組合連絡協議会、テヘラン・郊外バス会社労働組合(VAHED労組)、イランジャーナリスト協会(AOIJ)は、執拗な嫌がらせ、逮捕、長期拘留、刑務所での拷問に直面している。

さまざまなグローバルユニオンの加盟組織、指導者、各部門の労働者は、以下を含む同様の人権侵害を報告している:

教師や労働組合の権利活動家を標的にした解雇: イランでは、教師や労働組合の権利活動家が不当に標的にされ、解雇されることで、彼らの生活が著しく損なわれている。強制的な「自白」の公開放送など、拘禁中に肉体的・精神的拷問が行われている。恣意的な不定期刑の下で、劣悪な環境で、医療を受けられずに投獄されている。

労働者の集会や平和的なデモを攻撃し、労働活動家、ジャーナリスト、抗議する労働者を威嚇し、恣意的な略式解雇を行い、労働組合活動家を逮捕し、「公の秩序を乱す」、「国家に反対するプロパガンダ」、「国家の安全に反する行為」などの罪で起訴されている。死刑を含む厳罰が科されることもある。

組合活動に関するニュースの自由な伝達が妨げられ、政権が支援する並列組織が設立されて善意の労働組合が妨害されている。メーデーに関連するものを含め、組合が公的行事を開催しようとする試みが、攻撃されている。

囚人の権利の侵害: 労働組合活動家を含むすべての被拘禁者は、国際法が規定する敬意と尊厳をもって処遇されるべきである。不法に拘留されている教師、学生、労働組合活動家、人権擁護者は、釈放されるべきである。また、すべての拘置所において、拷問を禁止すべきである。

労働組合指導者の家族に対する圧力:活動家の家族に対する圧力が高まっていることは、深く憂慮すべき事態である。家族には、報復の恐怖から解放され、平穏に暮らす権利がある。

組織化し、集会を開く権利:イランの労働組合員には、迫害の脅威なしに組合を組織し、総会を開く基本的権利が認められるべきである。

労働者の要求を敵視する政府:労働者の正当な要求と退職者の要求に無関心であることは不当である。我々は、公平な待遇と尊厳ある生活に値するすべての労働者・退職者と連帯する。

我々はイラン当局に対し、国際労働基準、特に結社の自由を尊重し、人権、正義、尊厳、 公正の原則が優先されるよう、求める。CGUは特に、民主的で公正な社会を求める女性の権利擁護者の闘いに対し、連帯を表明する。

我々は結束して、イランと世界の労働者、女性、教育者、ジャーナリスト、権利擁護者、活動家の権利擁護に取組む。


EU、労働者の権利を損なう企業に対して10億ユーロの助成金

ITUCが発表した2023年度版のグローバル権利指数は、労働者の基本的権利を損なう企業に対し、10億ユーロという途方もない金額が支払われていることを、明らかにした。ギリシャのディミトリオス・パパディムーリス欧州議会議員兼欧州議会副議長が、欧州委員会に書簡を送り、説明を求めた。

UNI欧州は、欧州委員会の回答は非常に不満足であると考えている。同委員会は、欧州全域の労働者に影響を及ぼしている問題の制度的性質を認識するのではなく、こうした状況を説明するために、法的拘束力のない社会規範(ソフト・ロー)と優良事例のガイドラインを提案しているのだ。

反対意見が高まるにつれ、より実質的な行動の必要性は明らかである。権利を侵害する企業に多額の財政支援が与えられている状況については、もっと強力で実効的な解決策が必要である。

公共調達指令の見直し
この差し迫った問題に対処するため、ディミトリオス・パパディムーリス欧州議会副議長は、労働者の権利を尊重し、団体協約を結んでいる企業だけが公的資金を受け取るべきだと提起している。同氏は、公共契約がディーセント・ワークの基準と団体協約を尊重する企業にのみ発注されるようにすることを目的としたUNI欧州のキャンペーン『ディーセント・ワーク調達宣言』に賛同した160名の欧州議会議員連盟の一人だ。

EUの公共調達は年間2兆ユーロ(GDPの14%)に相当する。公共入札の半分が、他のいかなる側面についての考慮もなく、最低価格であることのみが理由で落札されている。その結果、公的資金が労働者の底辺への競争に拍車をかけている。職場の民主主義を回避し、賃金や人件費を切り下げることを最も厭わない企業が、公的契約によって報われているのだ。

労働組合は、ディーセント・ワークを確保するには公的資金が不可欠だと主張している。団体協約を結んでいる企業にのみ公契約を発注することで、労働者の最低限度の尊厳が確保される。

今こそ、行動の時!
懸念が高まる中、具体的な行動が不可欠である。欧州委員会には真の変革をもたらす力がある。ソフト・ロー指針や優良事例はそれなりの役割を果たすであろうが、問題の深刻さに見合った、より強力な措置が必要である。今こそ、言葉だけでなくて、深く響く変化を実行に移す時なのだ。


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