8月 2024のお知らせ

ILO、職場の暴力をなくすUNIと加盟組織の取組みを紹介

ILOの新しい報告書『仕事の世界における暴力とハラスメント:暴力およびハラスメントに関する第190号条約および第206号勧告の採択(2019年)以降の労働組合の取組み、戦略、交渉』が、職場における暴力やハラスメントと闘うUNIや加盟組織の取組みにスポットライトを当てている。

報告書では、特にリモートの職場環境における第三者からの暴力、ジェンダーに基づく暴力、デジタル化の影響、家庭内暴力の増加への対処を含め、組合がパンデミック時にどのように戦略を適応させたかを詳しく紹介している。

また、ILO第190号条約の批准・実施などの機会均等局のキャンペーンとともに、UNIのグローバルなキャンペーン『商業部門における暴力とハラスメントを根絶しよう』を取り上げており、さらにUNIのグローバル協定や組合の取組み、キャンペーン、ベストプラクティスが与えた影響についても論じている。 

UNIが、カルフール、クレディ・アグリコル、オレンジなどと締結した協約は、労働者が暴力やハラスメントのない職場で働く権利を持てるよう、グローバルユニオンが後押ししている事例として紹介されている。

さらにILOは、UNI欧州の『金融部門における多様性と包摂に関する共同声明』(2022年)を、LGBTI+労働者に対する差別禁止と包摂、そして暴力やハラスメントに対する脆弱性と彼らの直面する状況の両方に取組む画期的な方法として評価している。

報告書は、日本のUAゼンセン、オーストラリアの店舗流通関連労組(SDA)、スペインのCCOO、フィンランドのPAMなどといった加盟組織の活動も紹介している。

こうした活動をさらに推し進めていくために、ILOは労働組合に対し、あらゆる形態の暴力とハラスメントに関する研修・啓発を継続し、第190号条約および第206号勧告に沿って職場の交渉を行い、女性のリーダーシップ研修を促進するよう勧告している。


アンディ・カー前UNI世界ICTS部会議長を追悼

UNIファミリーの皆様に対し、世界の労働組合運動の伝説的存在であるアンディ・カー氏が2024年8月下旬に逝去したことを、謹んでお知らせいたします。

英国通信労組(CWU)でテレコム・金融サービス担当副書記長を務めた同氏は、議長としてUNI世界ICTS部会を率い、2024年4月に退任したばかりだ。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は「働く人々に対するアンディの献身は、その優しさと同じくらい偉大でした。絶えず正義を擁護し、そのリーダーシップは英国だけでなく世界中で組合の力を構築してきました。アンディを友人と呼べることを光栄に思います。アンディの知性、闘争心、そして不屈の精神を惜しみます。彼の家族に深い哀悼の意を表します」と述べた。

生涯を通じて労働組合主義に献身し、労働者の代表として多大な貢献をしたアンディ・カー氏は、CWUとその前身労組の歴史において最も影響力のある指導者の一人として記憶されるだろう。

同氏はまた、9年間にわたってUNI世界ICTS部会を牽引し、アウトソーシングや労働のウーバー化への取組みから、テレパフォーマンスにおける画期的なグローバル協定の交渉、監視・モニタリングや生成AIとその労働者への影響に関する活動まで、同部会の取組みを大幅に拡大させた。

今年4月、アンディ氏の後にUNI世界ICTS部会議長に選出されソー・ソールマン新議長(ブルキナファソ、SYNATEL)は、「最後にアンディに会った際、彼は我々に『団結した労働者は決して負けない。そのことを決して忘れてはならない』と伝えてくれた。彼は、集団で行動する力は、我々の仕事だけでなく世界をも変えることができるという信念を持っていた。労働運動として、我々はアンディが灯した炎を絶やさず、我々の直面する課題に取組む上で、彼の情熱を持ち続けなければならない。アンディは素晴らしい同志であり、世界中の労働組合員を鼓舞し続けるだろう」と語った。


米国でスト中の1万7,000人の通信労働者に連帯

通信大手AT&Tに雇用される17,000人以上の全米通信労組(CWA)の組合員が、新たな協約交渉中に経営陣が行った不当労働行為に抗議し、ストライキを行っている。

ストライキは2024年8月16日に始まり、CWAとAT&Tは今週、米連邦政府による調停に入った。組合側は、同社が違法行為を行っていること、そして特に誠実な交渉に応じていないことを主張している。

CWA交渉チームは、スト中のCWA組合員に送った声明の中で、「我々は調停が組合員にふさわしい合意に導いてくれることを期待している」と述べた。

ノースカロライナ州シャーロットにあるCWA3603支部長のエディ・マレスカ 氏も同じ思いでこう述べる 。「我々は仕事に戻ることができ、いつもしてきたように、お客さまにサービスを提供することができたら、この上ない幸せだ。しかし、AT&Tが正しい行動を始めるまで、ピケットラインに立ち続けるつもりだ。なぜなら会社側が不誠実な交渉をしているからだ」

CWA南東部第3地区のリチャード・ハニーカット副委員長によると、米国南東部の多くの州を対象とするストの開始以来、CWAは安全でない労働環境について懸念を表明してきた。ストライキ期間中、高度に技術的な作業を行うために、会社側が訓練が不十分な管理職や請負業者を派遣しているためだ。

同副委員長は「組合員は、仕事に従事し、顧客にふさわしい質の高いサービスを提供したいと考えている」と述べ、「 AT&Tは正しい行動をとり、我々と誠実に交渉を始める必要がある」と続けた。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「AT&Tは時間稼ぎをやめ、有意義な交渉を開始しなければならない。(…中略…)AT&Tの労働者は地域社会のつながりを維持するために不可欠であり、会社は誠実に交渉することで、彼らの貢献を認めるべきだ。我々は100%、労働者に連帯する」と米国の仲間にメッセージを送った。


ブラジルのサンタンデール銀行での抗議行動に対する暴力的対応を糾弾する

UNIは、外部委託と不誠実な交渉に反対する労働者の平和的抗議が警察による暴力で終結したことを受け、ブラジルのUNI加盟組織である全国金融労連(CONTRAF)とその加盟組織であるサンパウロ銀行金融労組に連帯する。

2024年8月22日、サンパウロにあるサンタンデール銀行事務所前での集会中、銀行は軍警察び、軍警察は抗議行動を追い払うためにスタンガンや催涙ガスで労働者を攻撃、複数の組合員数を負傷させた。この日の行動は、外部委託に反対する全国行動デーの一環であった。

マルシオ・モンザネUNI米州地域書記長は、「サンタンデールが労働者と交渉するのではなく、警察を呼びつけたことは極めて不愉快だ」と述べ、「ブラジル、そして南北米大陸の銀行労働者は、自らの雇用の質と提供するサービスの質を守るために組織化しているのであり、警察による悪質な攻撃を受けるのではなく、公正な団体協約を得るべきだ」と強調した。

労働者はまた、インフレ率に見合った実質賃金の引き上げも要求している。2023年中のブラジル国内における銀行業界の総利益が1,442億ブラジルレアル(258億米ドル)であることを考えれば、銀行が容易に支払える金額だと言う。

だが CONTRAFによると、これまでのところ全国銀行連盟(FENABAN)は、銀行の雇用の維持、労働条件の改善、乱暴な販売手法の廃止など、労働者の重要な懸念事項について誠実に交渉することを拒否している。

ブラジルはサンタンデール銀行にとって重要な市場である。同行は世界全体の利益の約17%(2023年には16億8000万米ドル)をブラジルから得ている。

サンタンデールが利益を得ている一方で、CONTRAFによると、同行はさまざまな部門で外部委託会社を設立して労働者の交渉力を細分化して弱めるなど、多くの不正な雇用慣行を行っているという。こうした外部委託は、極右前政権が行った改革によって可能となっている。

それ以来、CONTRAFは一貫してこうした慣行と、その結果としての組合幹部への迫害と闘ってきた。

モンザネUNI米州地域書記長は、CONTRAFへの支持を表明し、「労働者はこうした扱いを一切容認しない。ブラジルのサンタンデール銀行の労働者に対する暴力は、新自由主義的改革を撤回し、正義を前進させようとする時に組合が直面する抵抗を示している。だが我々は今後も手を緩めずに闘い続ける」と述べた。


インド・ビハール州の救急隊員102人に対する即時行動と支援を!

インドが独立から78年を迎える中、UNIは、ビハール州の救急隊員102人が直面している不公正を明るみに出さざるを得ない。正義を求める労働者たちは、40日以上ストライキを続けている。

隊員らは、従来のサービス提供事業者であるPDPLによって、労働者の基本的権利を不当に奪われ、不安定な立場に置かれてきた。最高裁がPDPLの契約を打ち切る判決を下し、新たな事業者Ziqitzaに移行することは、こうした長年の問題を是正する好機となるはずであった。しかし、隊員らの正当な11項目の要求が未解決のままであり、UNI加盟組織BRCKS労組の下で段階的な闘争を継続せざるを得なくなっている。

パンデミックの危機的な時期に、救急隊員は自らの命を危険にさらして人命を救った。公正な賃金、雇用保障、安全な労働条件を求める彼らの要求は、当然の内容であるのみならず、医療の緊急事態において最前線で業務に従事する者の福利と有効性にとって不可欠である。 現在の状況は容認できないものであり、現在進行中のストは、労働者の深い不満と絶望を反映している。この問題を迅速かつ公平に解決するために、Ziqitzaと関連当局がBRCKS労組と意味のある建設的な対話を行うことが不可欠である。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、「こうした労働者の闘いは、単なる権利の問題ではなく、職場における尊厳、尊重、公正さを求める闘いだ。彼らは医療現場で非常に厳しい条件のもと、ビハール州の人々に奉仕してきた。その基本的権利がないがしろにされてきたことは不当であり、憂慮すべきことだ」と指摘する。

主な使用者であるビハール州政府には、これらの労働者が公正に扱われ、彼らの要求が速やかに対処されるようにする道徳的・法的義務がある。この問題の解決が遅れれば、不公正が永続するだけでなく、労働者の権利に対する州のコミットメントも損なわれることになる。

アラン・セーブルUNI世界ケア部会担当局長は、「UNIは、正義を追求する102人の救急隊員とインドのBRCKS労組を全面的に支持する。我々は、彼らの権利が完全に認められ、支持されるまで、彼らの訴えを支援し続ける」と述べた。

UNIは、州首相、保健大臣、労働大臣、州保健協会事務局長、保健家族福祉・労働資源省主席秘書官に対し、これらの労働者の11項目の要求に取組むため、即時かつ断固とした行動をとるよう、強く要請する。


ドイツでゲーム開発の労働者、労働条件の改善を求め新組織を結成

ドイツのゲーム開発部門の労働者は、UNI加盟組織ver.diとともに、ケルンで開催中の欧州最大の電子ゲーム開発者会議「devcom」にて、一連の要求を発表した。

ドイツをはじめ世界中でビデオゲーム開発に携わる労働者が、人間らしい労働時間、雇用の安定、適正な賃金、尊敬を求めて組織化している。ver.diは、労働者の諸課題に対する継続的な働きかけを強化し、業界変革に向けて労働者主導の団体「Game Devs Round Table」(GDRT)を発足させる。

マティアス・グルツェゴルチク書記長は、「仕事量の多さやハラスメント、不透明な意思決定について単に不平を言うのをやめ、ゲーム産業の労働者はver.di内でのGDRT結成を積極的に支えてきた。我々の目標は、労働条件を大幅に改善することだ。公正な賃金、団体協約、予告期間の延長、ジェンダー平等を提唱していく。業界は早急にアプローチを見直す必要がある」と述べた。

GDRTを通じて、労働者が求める主な要求は以下の6つである:

1.公正な賃金:この業界は記録的な利益を上げているにもかかわらず、従業員の賃金は伸び悩んでおり、インフレに追いついていない。そのため労働者は年俸調整と公正な報酬を要求する。

2. 団体協約: 団体協約は、賃金、休暇、労働時間などの労働条件を透明性と拘束力を持って規定する。我々は、このような協約を企業内で段階的に確立し、最終的にはドイツのゲーム産業全体で確立することを目指す。

3.労働時間 :残業は常に自主的なものであるべきであり、残業の受諾や拒否によって労働者が不利益を被ることがあってはならない。残業代の支払いを受けるか、休暇を追加するかは、従業員が決められるようにすべきである。長期的には、使用者は完全な賃金を維持しながら労働時間を短縮しなければならない。

4.透明性: 企業、財務、プロジェクトの状況に関する定期的な情報が必要である。我々は、成果を最大限に支援するべく、意思決定プロセスへの早期の参加を要求する。

5.契約基準:有期契約や長い試用期間は不安を生む。したがって我々は、ワークライフバランスと柔軟性の向上を可能にする透明性のある契約を要求する。さらに、予告期間の延長とプロジェクト終了後の保護措置を求める。

6.ジェンダー平等: この業界は現在、労働者の家族に優しい存在ではなく、女性にとっても不利である。制度的差別と闘うため、昇進の機会均等、公正な賃金、柔軟な労働時間を要求する。また、虐待やハラスメントの被害者は保護を受け、加害者には責任を負わせなければならない。

UNIは、ゲーム開発に携わる労働者が職場で力を発揮できるよう支援する世界的な取組みの一環として、ver.diと連携している。

GDRTの結成を支援するためケルンを訪問中のカリ・リベックUNI世界ICTS部会テック・ゲーム部門シニアコーディネータは、「我々は、すべてのゲーム開発者が団体協約を結び、公正な給与、バランスの取れた労働時間、平等が例外ではなく、当たり前の業界を目指して共に立ち上がる。正義のための組織化は、ここではサイドクエスト(副次的に求めるもの)ではなく、本筋の部分だ」と語った。


バングラデシュの衣料労働者に正義を!

2024年6月上旬、数十万人のバングラデシュ国民が街頭に繰り出した。政府が公務員採用に際して、1971年の独立戦争時の退役軍人の家族を優遇する雇用割当制度を復活させようとしていることに抗議するためだ。以来、首相は国外逃亡し、バングラデシュの最高裁判所は不公平な割当制の大部分を撤回した。

しかし、抗議行動に対する政府の暴力的な措置により、死者は学生や労働者を始めとして560人以上、負傷者15万人と推定されている。

UNIは国際アコードの調印組織として、インダストリオールの加盟組織NGWF(バングラデシュ衣料労連)と長年にわたって関係を築いてきたが、同労組の組合員は今回の暴力の大きな被害を受けている。5人の組合員が死亡し、50人が負傷、100人が逮捕されたのだ。

420万人の縫製労働者を代表して、NGWFは暫定政府に対し、以下の行動を求めている:

1. NGWFの組合員5人を含む11人の縫製労働者が殺害された事件に対し、ただちに司法による裁きを下すこと。労連は、事件の加害者、および他の労働者に対する事件の加害者が責任を問われることを求める。

2. 負傷したすべての縫製労働者に必要かつ高度な治療を保障すること。

3. 逮捕されたすべての縫製労働者を無条件で直ちに釈放すること。

4. 死傷した縫製労働者の家族に対する適切な補償を準備すること。

5. 衣料品労働者の賃金を直ちに引き上げ、「最低賃金」を「生活賃金」または「適正賃金」に改めること。

6. 全国のすべての部門に適用かつ容認可能な全国最低賃金を直ちに発表すること。

7. 直ちに 420 万人の縫製労働者に対する配給制度を導入すること。

8. 輸出加工区(EPZ)に関する個別法を直ちに廃止し、EPZを現行の労働法の下に置き、労働者が意見を表明し、組織化し、交渉する権利を持てるようにすること。EPZの個別法は違憲であり、ILO条約に違反している。

9. ILO第87号条約および第98号条約を考慮し、バングラデシュの現行労働法および労 働規則を改革する:
●バングラデシュの縫製部門において、労働組合を結成し、労働組合活動を実施するためのすべての法的、社会的な障壁を撤廃すること。
●女性の同一賃金および、家族、国家、社会、職場における同一権利を確保すること。


イタリアでビデオゲーム開発の労働者、ストを経てレイオフ取消しを勝ち取る

ビデオゲームの開発に携わる労働者が、重要な勝利を獲得した。2日間の強力なストライキの後、イタリアのキーワード・スタジオが集団解雇の手続きを取り消したのだ。この成果は、この部門における集団行動と連帯の強さを示すものであり、イタリアのビデオゲーム開発部門にとって先駆けとなるものである。

2024年6月27日、キーワード・スタジオは31人の従業員を対象とする集団解雇計画を発表した。これに対し、労働組合Filcams、Fisascat、Uiltucsの支援を受けて、労働者は8月5日と6日にストライキを組織した。従業員の約半数が参加し、団結と抵抗の強い意志を示した。

イタリアのキーワード・スタジオ、労働組合、およびその代表者による4回目の協議は、同社が人員削減の手続きを撤回することで速やかに妥結した。この決定は、当初の解雇計画に事実上の欠陥があったことを会社側が認めた後に下されたものだ。しかし、キーワード・スタジオは、今後数週間のうちに新たな手続きを導入することを示唆しており、これを受けて組合側は、労働争議と残業禁止措置の継続を促している。

Uiltucs労組のマリオ・グラッソ代表は、この勝利における国際連帯とグローバルな労働組合運動の極めて重要な役割について強調し、「イタリア国内だけでなく、世界中の組合員や支援者の動員は、会社の決定を覆す上で重要な役割を果たした」と述べ、「この勝利は集団行動の力を例証するものであり、他のビデオゲーム労働者にも組合結成と権利のための闘いを鼓舞するものだ」と指摘した。

ベンジャミン・パートンUNI世界ICTS部会担当局長は、今回の勝利の重要性について「労働者が団結し、声を一つにしたときに力を発揮することを明確に示している。これまでゲーム開発部門における組織率は低水準だったが、今回の勝利は団結と決意によって労働者が大きな勝利を達成できることを証明している」と説明し、「我々は、キーワード・スタジオの従業員、そして権利のために闘うすべての労働者と連帯する」と述べた。

レイオフの取り消しは、労働者の団結の重要性と、変化をもたらす団体交渉の可能性を証明するものである。


マレーシアのイオン労使が画期的な団体協約を締結

2024年7月25日、マレーシアのクアラルンプールで、イオンワーカーズユニオン(マレーシア)とイオンマレーシアとの間で画期的な団体協約が締結された。2024年から2026年までの期間を対象とするこの協約は、イオンのマレーシア進出40周年に合わせたもので、マレーシアの小売部門にとって新たな基準を打ち立てるものとなる。

スマートパートナーシップ(建設的な労使関係)のコンセプトに基づくこの協約は、イオンの小売・スーパーマーケット・チェーンで働く1万人以上の従業員に恩恵をもたらす。この協約では、保険加入や休暇の拡充、賞与、最低年俸の増額を含む給与調整、勤続15年以上の従業員に対する宗教休暇などが規定されている。特筆すべきは、協約は従業員と使用者双方の共同決定プロセスを促進するための事項も導入していることだ。

世古継敏イオンマレーシア副社長、カスマ・サトリア・マットジャディ同人事部長、ハミダ・モハマド・イオン労組委員長、ムハンマド・ファドリ・ムハンマド・ザムスリ書記長が、協約に署名した。

また、スティーブン・シム・チー・キョン人的資源相、岡田尚也イオンマレーシア社長、モハメド・シャフィー・BP・ママルUNIマレーシア加盟組織連絡協議会(UNI-MLC)議長が立ち会った。

報道によると、シム人的資源相は今回の協約を称賛し、公正な所得、有意義な生活の質、人権を尊重する労働環境という同省のビジョンに沿ったものであるとしている。

シャフィーUNI-MLC議長は、人定資源省の労働組合への支援に感謝の意を表した。UNI-MLCに加盟するイオンワーカーズユニオンは、同省の労働組合関係プログラム(PHEKS)より、活動支援のために18,000リンギットの助成金を受け取った。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、協約への強い支持を表明し、「イオンの労働者と組合にとって素晴らしいニュースであり、長年にわたってイオン経営陣との広範な対話と関与を可能にしたグローバル枠組み協定の成果を示すものだ。また、締結を可能にしたUAゼンセンとイオングループ労働組合連合会の強力な支援にも感謝したい。おめでとう!」と称えた。

2014年11月、UNIはUAゼンセン、イオン株式会社、イオン労連の4者間でグローバル枠組み協定を締結して以来、同社が事業を展開するあらゆる場所での労使対話と組織化の推進に貢献している。


フィリピンで、ジェンダーに基づく暴力の撲滅に向けた医療従事者向けワークショップを実施

職場でのジェンダーに基づく暴力(GBV)と闘うため、UNIフィリピン加盟協(UNI-PLC)は最近、『安全で包摂的な職場づくりージェンダーに基づく暴力への取組み』と題した一連の集中的な研修セッションを実施した。

セッションは、バランガイ医療従事者(BHW)と民間医療従事者を対象に行われ、さまざまな形態のジェンダーに基づく暴力(GBV)とその根本原因、より安全で尊重される職場環境を促進するために必要な予防と対応のためのさまざまな戦略の理解など、重要なテーマを扱った。

研修では、医療従事者への影響を中心に、GBVについての徹底的な調査と事例研究が行われた。フィリピン労働組合会議(TUCP、ナショナルセンターの一つ)の教育・広報担当者であるキャスリン・ガヨ=ヴィヨン氏の指導のもと、このプログラムでは、言葉による虐待、感情的虐待、心理的虐待など、さまざまな形態のジェンダーに基づく暴力を定義した上で、これらの問題は多くの場合、目立たず分かりにくいものであり、女性に大きな影響を与えていることが強調された。参加者はまた、社会規範や制度的不平等など、GBVの根本原因について議論し、個人や職場文化への影響について考察した。

研修の大部分は、GBVに関連するさまざまな法律や政策についての徹底的な議論を含め、GBVを予防し対応するための実践的な戦略に焦点を当てたものであった。参加者は、職場におけるGBVと闘う上で極めて重要な法的権利と利用できる保護措置について学んだ。セッションは行動への呼びかけで締めくくられ、地域社会や職場で変化を提唱するよう参加者に働きかけ、安全、尊重、包摂性が日々の職場に不可欠なものだと強調した。

中国総合病院従業員協会から参加した保健ワーカーのキャサリン・グティエレス氏は、さまざまな形態のGBV、特に非言語的・言語的暴力を認識することの重要性を強調し、「研修前は、こうした微妙な形態のハラスメントを見過ごすことが多かったが、今ではよく理解できるようになった。身体的な攻撃だけでなく、ジェンダーに基づく暴力のさまざまな現れ方について学ぶことは、非常に貴重な経験。今回のセッションを受けて、以前は気づかなかったかもしれない問題に気が付き、対処することができるようになり、誰にとってもより安全な環境を作ることができるようになった」と振り返る。

同様に、ケソン市のバランガイ医療従事者連盟のメイベル・ナポレス会長は、労働者を保護する法的枠組みを理解することの重要性を強調し、「コミュニティの最前線にいる我々にとって、特に女性を保護する法的保護について知っておくことは不可欠だ。関連する法律や政策についての議論は非常に洞察に富んでおり、自身の役割への取組み方や、我々がサービスを提供する人々を支える方法について、間違いなく参考になるものだ。自らの権利と救済手段を知ることは、仕事にとって大きな違いをもたらす」と意欲的だ。

『Together We Care』プロジェクトのリード・オルグを務めるUNI-PLCのアントニオ・フルガド氏は、「参加者は、安全で包摂的な職場の醸成に向けた決意を新たにした。研修セッションの成果は顕著だ」と述べ、この研修は医療部門におけるGBVに対処するための後半な取組みの始まりに過ぎないと強調した。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「我々は、尊重された安全な職場環境を育むために必要な知識とツールを労働者に与える取組みを続けていく。すべての医療従事者が支援され、保護されていると感じられるようにするため、UNIは今後もこうした価値観を後押しする政策と慣行を推進していく」と述べた。

この取組みは、 USAID、フォード財団、ケア基金のサポートを得て、 『Together We Care』プロジェクトを通じ、UNIが支援している。 同プロジェクトでは、医療・介護部門においてエンパワーされたスキルのある労働者を育成することにより、女性の経済的安定の強化を目指している。


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