11月 2023のお知らせ

労働者の権利に焦点を当てた資産家のグローバル・ネットワークが発足

2兆2,000億米ドルを超える運用・助言資産を持つ投資家が、投資先企業に対し、結社の自由および団体交渉に関する労働者の基本的権利を尊重するよう求めるため、結集した。

労働者の権利投資家ネットワーク(LRIN)は、スチュワードシップ(財産を管理することを任された者の責務)の実践に労働者の権利を組み込むことにコミットする、資産運用会社、資産家、投資サービス・プロバイダーを集めた世界的なイニシアティブである。LRINの参加組織には、ニューヨーク市職員退職金制度および教員退職金制度、スウェーデンのフォルクスサム、英国を拠点とする地方自治体年金基金フォーラム(LAPFF)等が含まれる。

LRINは、労働者資本の責任ある投資を提唱するグローバル・ユニオン労働者資本委員会(CWC)に置かれている。

同ネットワークの指針となる投資家声明において、労働者の権利は、国連や経済協力開発機構(OECD)によって認められているように、「人間の自由の基本的な柱」であると指摘されている。同声明は、「労働者の権利を尊重する企業は、生産性の向上、職場の安全性強化、従業員エンゲージメントの向上など、多くの利益を得ることができる」としている。

クリストファー・ヨンソン労働者資本委員会(CWC)委員長は、 「我々はこのネットワークによって、基本的権利を侵害されている労働者の声が、労働者の権利がポートフォリオの中で確実に守られるよう尽力している投資家の耳に届くようにしていく。これにより、投資家は人権デュー・ディリジェンスを改善し、リスクを軽減し、国際的な規範と枠組みの下で責任を果たすことができるようになる」と述べた。

投資家声明では、投資先企業の取締役会や上級管理職が労働者の権利について監督責任を負い、結社の自由や団体交渉に対する労働者の権利が尊重されるようにし、労働関連の指標に関する情報開示を行うよう、求めている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「このネットワークは、世界中の労働者の権利を守る上で重要な役割を果たしている。介護やその他の部門において、投資家の効果的なスチュワードシップが、基本的権利の行使を望む労働者に変化をもたらすことを、我々は目の当たりにしてきた。また、投資家が投資先企業のリスクを理解し、軽減するためには、現場の組合からの情報が必要であることも分かっている」とその意義を強調した。LRINは、投資家メンバーがスチュワードシップの実践にこれを組み入れる上で必要な情報とツールを提供する。

以下は労働者の権利投資家ネットワークに参加した投資家のコメントである。
「何千人もの労働者の退職貯蓄を預かる金融資産管理者として、我々は投資先企業が確実に労働者に投資するようにしたい。基本的な労働者の権利を無視することは、長期的な株主価値を損なうリスクがある。労働者の権利が尊重されるよう求める歴史的な運動は、何十万人もの労働者に目に見える利益をもたらしてきた。我々はCWCと共に力強く立ち上がり、この重要な取組みを発表できることを誇りに思う」 — ニューヨーク市会計監査官 ブラッド・ランダー氏

「LRINは、我々のスチュワードシップ強化に真価を発揮するものであり、早期に参加できたことを嬉しく思う。投資先企業が結社の自由や団体交渉を尊重することを期待しているが、現実にはあまりに多くの場合、そうはなっていないことも知っている。情報を得たり、労働組合から直接見識を聞いたりすることで、LRINがこの問題に取組む一助になると信じている」 ―フォルクサム責任投資・コーポレートガバナンス部門責任者 エミリー・ウェストホルム氏

「LRINの発足を支援できることを大変嬉しく思う。長年にわたり、我々は労働力の管理をめぐって多くの企業や労働組合と関わってきており、こうしたテーマが提起される頻度も高まっている。また、気候変動のような問題については、協力的なネットワーキング・イニシアチブが投資家のスチュワードシップ活動の効果を高めることも分かっている。ゆえに、労働者の権利に焦点を当てたネットワークの設立については、これ以上良いタイミングはないだろう」 ―ダグ・マクマートLAPFF議長


UNI Aproテック組織化ネットワーク・フォーラムがソウルで開催

第5回UNI Aproテック組織化ネットワーク・フォーラムが、2023年11月21~22日、韓国・ソウルの中央郵便局で開催され、世界の組合リーダーとテック従業員 が、テック部門で労働者の力を構築するための戦略を議論した。

安藤京一UNI Apro ICTS部会議長、イ・ジェジャン韓国金融サービス労組(KFSWU)委員長、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長などが出席し、米国のパルル・コール・アルファベット労組(全米通信労組参加)委員長は、グーグル労働者の組織化について詳しく語った。

この日はまた、韓国グーグル労組のキム・ジョンサブ委員長が、グーグル等のグローバルなテック企業における組織化活動について見識を共有し、さまざまな国や主要企業における組合活動について最新情報を紹介し、締めくくった。

韓国SAP労組のソ・ヨンイム氏は「労働組合に加入したことで、組合の支援を受けられるだけでなく、雇用保障や透明性が格段に向上し、すっかり変わった。組合のおかげで、韓国SAPはより安全で、より良い会社になった」と、語る。

2日目には、参加者は労働組合の招待でスマイルゲートとネイバーの職場を訪れ、韓国の大手テック及びゲーム開発企業における組合活動の現場を視察した。ネイバー労組は組合員数が世界最大のテック労組であり、世界的にも強力な労働組合である。ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、この会議の重要性について「Apro地域では、テック労働者が増加している。これらの企業は地域で事業を拡大し、ますます多くの労働者を雇用しているが、労働者は職場で声を上げ、権利を守り、職場の民主主義を促進する必要がある」と述べた。


労働組合の力を取り戻す!UNI世界印刷・パッケージング部会大会他、開催(4日目)

2日目:主な議題
地域活動支援については、フェルナンデス局長より、部会活動において、加盟組織の組織化と団体交渉を強化・促進しながら、労働者の基本的権利の尊重の全体的な改善につなげることが重要であり、そのための研修プログラム等を実施し、組合の力を強化する旨報告があった。
部門横断的政策については、古賀 初代 代議員(日本・印刷労連)より、ジェンダー平等に関する印刷労連の取り組み報告を行い、創造的で付加価値の高い産業になるためには、男女平等・ジェンダー平等の推進が必須であり、女性が働きやすい環境は、高齢者も働きやすい環境であり、更には男性にとっても働きやすい環境である。継続した運動を推進し、印刷労連として真の男女平等参画・ジェンダー平等社会の実現を目指してあらゆる角度から、取り組み、誰もが公平で公正に自己の能力を発揮し、活躍できる社会を目指していく必要がある旨述べた。その他、AIの利用に関する取り組み、業種別ネットワークに関する取り組み等に関する報告があった。
動議及び決議案に関しては、安部 正 代議員(日本・全印刷)がキャッシュレス化の進展と公的印刷部門の展望について発表を行い、決議「現金の未来」として現金を使用することは市民の基本的権利であり、その権利を守るため部会として、①各国加盟組織間の情報交換を強化する。②市民の基本的権利の尊重を支持する団体との連携によって共同行動計画を策定する。③雇用の喪失に対応するため、高技能労働者の再訓練と政労使の社会対話を展開する旨を提案し、採択された。その他「環境と公正な移行」パスカル・ラファブル(フランス・FILPAC-CGT)、トニー・バーグレン(スウェーデン・GS Facket)、「ジェンダー平等」ホアキナ・ロドリゲス(スペイン・FSC-CCOO)、「出版に関する動議」アニバル・シュミット(アルゼンチン・FATIDA)が動議を提案し、採択された。
緊急決議「パレスチナの人々への連帯決議」パスカル・ラファブル(フランス・FILPAC-CGT)は、現在ガザで起こっている深刻な虐殺と言っていい人道危機について、緊急動議を提案し、G&P部会としてパレスチナの人々との連帯、ガザにおける即時停戦と国際法の遵守、パレスチナ難民の帰還とイスラエル政府によるアパルトヘイトを止めるよう求めた。各代議員からは、それぞれの立場で活発な討議が行われ、一部修正提案があり、圧倒的賛成多数で採択された。
大会の終わりに選挙が行われ、2023-27年のUNI世界G&P部会運営委員、同執行委員及び同部会議長の選挙が行われ、サイモン・ダビンズ代議員(英国・UNITE)が新議長に選出された。日本からは、安部 正 代議員(全印刷)がUNI世界G&P部会執行委員、佐藤 正治氏(印刷労連)が予備委員に選出された。


労働組合の力を取り戻す!UNI世界印刷・パッケージング部会大会他、開催(3日目)

2023年11月14-15日、フランス・マルセイユにおいて、UNI世界印刷・パッケージング部会大会が開催され、29か国、33組合、120名(オブザーバー、オンライン参加含む)が出席した。日本からは安部正 代議員(全印刷)、戸口剛 代議員(全印刷)、古賀初代 代議員(印刷労連)、吉岡貞治 代議員(印刷労連)、上田智亮UNI-LCJ事務局長が出席した。

1日目:主な議題
クリスティ・ホフマンUNI書記長の挨拶に続いて、今大会で退任するホアキナ・ロドリゲスUNI 世界印刷・パッケージング部会議長が開会挨拶を行い、昨年退任したニコラ・コンスタンティノ前担当局長への感謝を述べ、本大会において充実した討議が行われ、印刷・パッケージング産業の成長と働く労働者の労働条件の向上につながることを期待する旨述べた。続いてホスト労組を代表し、パスカル・ラファブルFILPAC-CGT会長が歓迎挨拶を述べた。
「印刷・パッケージング部門の進化と動向」に関する調査報告で、ステファン・グーガ(ルーマニア・シンデックス)は、紙製品および紙印刷の生産量は、衛生関連を除いて減少しているが、世界的な脱プラスチックの流れを上手くつかみ、環境に配慮した紙素材の包装・梱包製品が代替となる可能性を持っている。今後は、国別・地域別の傾向を分析し、対応を図っていくべきであると述べた。
部会活動報告において、フェルナンデス局長は、当部会は2019 年10 月にトレドで採択された7 つの行動計画、①多国籍企業における組織化の強化と団体交渉の支援、②組合アライアンスの強化と発展、③新たなグローバル協定への移行と既存協定の改善、④全国組織化キャンペーンを支援し、印刷部門労組の組織能力を構築する。⑤政治的・経済的影響力の拡大、⑥部会方針をUNIの方針と一致させ、他部会やグループ、インダストリオールとの協力を改善する。⑦コミュニケーション・システムの改善をコロナ禍の中でも中心に取り組み成果を挙げた旨述べた。
2023-27年アクションプランに関し、フェルナンデス局長は、①グローバル・キャンペーンによる多国籍企業に対する組織化戦略とグローバル枠組み協定推進のためのアライアンス結成、②組合の力を強化するための地域活動支援、③部門横断的政策と部会の影響力拡大に関する提案を行い、採択された。


労働組合の力を取り戻す!UNI世界印刷・パッケージング部会大会他、開催(2日目)

2023年11月13日、2日目は、部会大会に先駆けて「極右勢力の台頭に対抗する労働組合会議~民主主義と人権の危機」が開催され、29か国、33組合、120名(オブザーバー、オンライン参加含む)が出席した。日本からは安部正 委員(全印刷)、戸口剛オブザーバー(全印刷)、古賀初代オブザーバー(印刷労連)、上田智亮UNI-LCJ事務局長が出席した。会議では、世界中を席捲する極右勢力による労働組合運動への暴力・弾圧に対し、どのように対抗すべきか、各国加盟組織はいかに組織を守り、役員を守り、組合員を守るかが共有され、活発な討議が行われた。

フェルナンデス局長は、世界中で極右勢力が台頭しており、極右政権が各国で誕生している。極右政権がまず最初に着手する行動の一つが組合潰しであり、イタリアでは、CGIL労組本部が襲撃され、破壊されたことは一例である。我々は極右に対抗する手段として、連帯し、組織化を通じて民主主義、人権と労働権の尊重を守っていかねばならないと述べた。歴史的観点と現在の極右勢力の台頭状況に関して各国の加盟組織が報告を行った。英国からパレスチナの現状について、これも極右政権による暴挙であるとする発言があり、パレスチナから参加しているアブドラ・ダグラス氏(PGFTU、パレスチナ)より、現地ガザの報告と連帯支援の要請があった。パレスチナ問題の他にウクライナも同様であり、世界中の極右勢力・ファシズムの台頭は、労働者への圧力、特に社会的に脆弱な人々へのヘイトなどの圧力が強まることとなり、組合として組織化を通じて闘っていかねばならない旨報告があり、各国から活発な意見交換が行われた。


労働組合の力を取り戻す!UNI世界印刷・パッケージング部会大会他、開催(1日目)

2023年11月12日、フランス・マルセイユにおいて8か国、25名(オブザーバー、オンライン参加含む)が出席し、UNI Apro 印刷・パッケージング部会委員会が開催され、2023年度地域活動報告、2024年度活動計画に関する議論が行われた。日本からは安部正 委員(全印刷)、戸口剛オブザーバー(全印刷)、古賀初代オブザーバー(印刷労連)、上田智亮UNI-LCJ事務局長が出席した。また部会を代表して、ホアキナ・ロドリゲスUNI世界G&P部会議長(FSC-CCOO、スペイン)、サイモン・ダビンズUNI欧州G&P部会議長(UNITE、英国)、トニー・ベルゲン同欧州部会副議長(GS-FACKET)、ダニエル・フェルナンデスUNI世界G&P部会担当局長が参加した。
2022-23年地域活動報告及び2023-24年活動計画に関して、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro G&P担当部長が報告を行い、当部会は、コロナ禍後、様々な活動を再開し、Apro地域におけるG&P労組の組織化と強化に向けた取組みを産業内の各部門で成果を挙げた旨述べた。2024年活動計画では、①セキュリティ印刷部門への支援、②包装部門組合に対するU2Uプロジェクト実施、③多国籍企業に対するアライアンス会議の実施、④各国加盟組織支援等が提案され、採択された。

午後からは、19か国、18組合、33名(オブザーバー、オンライン参加含む)が出席し、UNI世界印刷・パッケージング部会執行委員会が開催され、部会大会の運営と動議案、決議案に関する議論が行われた。日本からは安部正 執行委員委員(全印刷)、戸口剛オブザーバー(全印刷)、古賀初代オブザーバー(印刷労連)、上田智亮UNI-LCJ事務局長が出席した。フェルナンデス局長、各パネリストから各々の議案と各地域の活動報告に関する解説があり、大会への上程が承認された。また、今年度の役員交代等により、執行委員の変更が提案され、承認された。日本については、梅原貴司 執行委員(全印刷)が安部正 執行委員に交代する旨、承認された。大会運営に関しては、決議委員会及び資格審査委員会の指名があり、承認された。本執行委員会では特に米州の加盟組織における組合役員への暴力・弾圧に対する非難決議だけでなく、パレスチナから出席したアブドラ・ダグラス委員より、ガザの現状に関する報告が行われ、活発な討論が行われた。その後各地域から組織化対象企業としての多国籍企業との交渉に対する報告が行われた。その後、今後の会議日程等が確認された。


イタリアの金融労組、新たな全国労働協定で大きな成果

イタリアのUNI金融部会加盟組織が、銀行部門の労働者約28万人を対象とする全国労働協定を更新し、大幅な賃上げ、有給訓練の拡充、労働時間の短縮、暴力やハラスメントに対する新たな保護が盛り込まれた。

UNI加盟組織であるFABI、FIRST-CISL、FISAC-CHIL、UILCA、UNISINは、新協定によって「強力な経済的承認、労働者の新たな保護、技術革新とデジタル化による産業の変化を管理するために必要なツールが導入される」としている。

労働者は、2026年3月31日に満了する協定の期間中、4回に分けて適用される月平均435ユーロの賃上げを受けることになる。2024年7月1日からは、労働時間が短縮されて週37時間となり、従業員には、1.81ユーロから4ユーロに増額された昼食券も支給される。また、技術革新に関するものを含む有給研修と能力強化の時間も、週32時間から37時間に増加する。

暴力とハラスメントに関する従来の規約が全国協定に盛り込まれ、全国安全委員会が業務上のストレスを扱うこととなった。

アンジェロ・ディ・クリストUNI世界金融部会担当局長は、「今回、更新された協定は、大幅な成果を獲得したイタリアの加盟組織の強さを改めて示している。デジタル化や職場における暴力やハラスメントの増加など、多くの同じ課題に取組んでいる世界中の金融産業の労働者の先例となるだろう」 とコメントした。


ブラックフライデーにあわせ、30か国以上でストライキと抗議行動―Make Amazon Payの新たな波

2023年11月24日、1年で最も消費行動が忙しくなるブラックフライデーの金曜日から、週明けの月曜日にかけて、アマゾンは世界30か国以上でストライキと抗議行動に直面することになる。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「アマゾンの責任を追及する運動は強大化し続け、この行動日は年々、活発になっている。労働者は、国や職種に関係なく、賃上げ、不合理なノルマの廃止、そして仕事上の発言権を求めて、団結して闘っている。それこそが、英国コベントリーの労働者がストライキを行なっている理由であり、世界中の労働者がアマゾンに支払わせるため(Make Amazon Pay)に立ち上がっている理由だ」と強調した。

Make Amazon Payがブラックフライデーに世界的な行動日を展開するのは、今年で4年目だ。過去には、ドイツ、フランス、スペイン、英国、イタリアの倉庫などで数千人の労働者がストライキを行い、バングラデシュでは衣料品労働者が街頭に立ち、米国では労働者がストを組織し、市民団体が世界中のアマゾン本社でMake Amazon Payのロゴを投影する抗議行動を行い、またジェフ・ベゾス氏の邸宅に「pandemic profiteer」(パンデミックで暴利を貪る者)の文字を投影し、気候変動の活動家は欧州3か国でアマゾン倉庫を封鎖する等してきた。

UNIとプログレッシブ・インターナショナルが共同提唱するMake Amazon Payは、グリーンピース、350.org、タックス・ジャスティス・ネットワーク、アマゾン・ワーカーズ・インターナショナルを含む80以上の労働組合、市民社会団体、環境活動家、税金監視団等で構成され、アマゾンが労働者に公正な賃金を支払い、労働組合に加入する権利を尊重し、公正な税負担を行い、環境面における真の持続可能性に向けて取組むことを要求している。

プログレッシブ・インターナショナルの共同コーディネーターのヴァルシャ・ガンディコタ=ネルトラ氏は、「コベントリーの倉庫からダッカの工場まで、この世界行動デーは、単なる抗議行動を超えるものであり、この搾取の時代を終わらせなければならないということを、世界的に宣言する日だ。労働者、地域社会、そして地球を搾取するアマゾンの世界帝国は、今、Make Amazon Payを求める世界規模の運動に直面している」と語る。

今年のMake Amazon Payの主な取り組みは以下;
1:英国、イタリア、米国、スペイン、ドイツでのストライキ。
2:オランダ、ドイツ、アイルランド、イタリア、英国、カナダ等の気候活動家が、アマゾンのグリーンウォッシング、データセンターの気候への影響と電力消費の増大、アマゾンウェブサービス(AWS)と化石燃料企業との契約について訴えるため、AWSの建物で抗議行動。
3:インドの10以上の都市で、数千人の労働者が集会と抗議行動。
4:バングラデシュの衣料品労働者によるダッカでの大規模な抗議行動。月209ドルの最低賃金や、「火災と建設物の安全に関する協定」へのアマゾンの署名等を要求。

これらの行動は、アマゾンの企業慣行に対する広範な批判を反映したものだ。2023年にUNIが実施した包括的な調査によると、アマゾンの厳しい業績監視は、主要8か国の従業員にストレス、プレッシャー、不安感を与えている。この調査では、驚くべき統計が明らかになっており、 従業員の51%が健康への悪影響を報告し、57%がアマゾンの人権侵害的な監視による精神衛生の悪化を訴えているのだ。このため、バーニー・サンダース米上院議員が、アマゾンの「ひどい安全記録」を調査するなど、議員や一般市民からの批判が高まっている。

また米国を拠点とする全米雇用法プロジェクト(NELP)の新たな報告書によると、アマゾンの倉庫労働者の賃金は、同業種の他の労働者と比べて著しく低く、平均賃金を大幅に下回っている。

さらに画期的な動きとして、米連邦取引委員会(FTC)と17州の検事総長は、アマゾンに対し、独占的なサービスを維持しているとして訴訟を開始した。

米国のUNI加盟組織である小売・卸売・百貨店労組(RWDSU)のスチュアート・アッペルバウム会長は、「この世界的な行動が強調しているのは、アマゾンは自社のひどい労働慣行に向き合い、緊急に労働者と公正な交渉を行わなければならないということ」と述べ、「我々の集団的な取組みは勢いを増し、アマゾンの不公正な慣行に異議を唱え、労働者の権利とすべての人のための持続可能な未来を提唱している。共に闘えば、アマゾンに支払わせる(Make Amazon Pay)ことができる」と訴えた。

ナズマ・アクタール統一衣料労連会長は、「バングラデシュの衣料品労働者は、アマゾンが販売して利益を得る衣服を作っている。しかし、アマゾンは我々を労働者として認めず、我々の工場の安全を守るために『火災と建設物の安全に関する協定』に署名すらしていない。世界中の仲間とともに、アマゾンに支払わせていく!」と決意を述べた。

米国カリフォルニア州のチームスターズ396支部の組合員であるジェシー・モレノ氏は、「アマゾンの労働者たちは、自分たちが得るべきまっとうな雇用を求めて、世界中で行動を起こしている。米国では、チームスター労組の仲間が、アマゾンの不当労働行為に反対してストライキを行っている。我々は全米でピケを組み、そして今、世界中の仲間たちとともに、敬意と公正な賃金、そして安全衛生が優先される職場を求めて闘っている。アマゾンは、団結した労働者の力にはかなわない」と、語気を強めた。


ジェンダーに基づく暴力に反対し、労働組合が共に立ち上がる16日間

毎年11月25日は、「女性に対する暴力撤廃の国際デー」である。この日は世界中のUNI加盟組織にとって、12月10日の世界人権デーまでの16日間を、ジェンダーに基づく暴力に反対するために共に取組みを開始する、重要な1日だ。

ジェンダーに基づく暴力とは、事実上または認識された性、ジェンダー、性的指向、性自認に起因する攻撃や敵意のことで、深刻な人権侵害となる。生命を脅かす健康上の問題であり、保護が必要となる。

今年、UNIの16日間キャンペーンでは、あらゆる形態のジェンダーに基づく暴力を理解すべく、基本に立ち返る。労働者が自分自身と同僚を守るためにUNI加盟組織が行っている取組みを紹介していく。

ベロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は、「ジェンダーに基づく暴力を防ぐ上で、誰もが役割を担っている。我々は、不平等やそれを生み出す社会的・文化的規範と闘い、組合や労働者の間で力を高め、変革を訴えていく必要がある。女性の権利は労働組合の権利であり、我々はあらゆる形態の暴力やハラスメントから女性を守るために闘っていかなければならない」と述べている。

労働組合には、ジェンダーに基づく暴力を含むあらゆる形態の暴力やハラスメントから労働者を守る義務がある。労働組合は、安全な職場を作るために使用者と協約を交渉し、被害者を支援し、特別休暇手当を提唱し、暴力とハラスメントの根絶を目指す法律文書の採択をロビー活動で働きかけ、労働者の側に立つことによって、この義務を実践している。

職場における暴力とハラスメントを撤廃するためのILO第190号条約と第206号勧告は、労働組合がジェンダーに基づく暴力を根絶し、労働者を保護する政策を実施する上で不可欠なツールである。この条約はこれまで35 か国で批准されており、コロンビアを含め、多くの国でUNI加盟組織は条約の批准を働きかけている。

その他にもUNIは、フランスの銀行グループであるクレディ・アグリコルとのグローバル協定を含め、暴力やハラスメントの撤廃を求めて多国籍企業との協定にILO第190号条約や第206号勧告を盛り込んできた。UNIの加盟組織も、ウガンダのカルフールなど、それぞれの団体協約に190号条約の原則を盛り込んでいる。

ジェンダーに基づく暴力に反対する16日間の取組みに乗り出すにあたり、ソーシャルメディアで#16Daysのハッシュタグを使用して、活動を共有することをお忘れなく。


UNI欧州、欧州労働組合連合のテレワーク法制化要求を支持

UNI欧州は、使用者による欧州社会パートナー協約の締結拒否を受け、欧州委員会がテレワークとつながらない権利に関する迅速な立法措置を開始するよう求める欧州労働組合連合(ETUC)の呼びかけを支持する。

2022年6月、欧州の3つの使用者団体はETUCとの社会対話作業プログラムに署名したが、その中には、指令の形で導入予定のテレワークに関する法的拘束力のあるEU全体レベルの協約を交渉することが盛り込まれていた。

しかし1年以上にわたる交渉の末、3つの使用者団体のうち2組織が、いかなる文書の提出も拒否し、成功への道筋を提示できないまま交渉から離脱したのである。

パンデミック以降、欧州においてテレワークに関する強力な規制の必要性は、さらに緊急性を増している。EUの労働条件調査では、常時在宅勤務をしている労働者は、自由時間に仕事をする傾向が6倍高く、48時間勤務の可能性が2倍高いことが示されているのである。

欧州委員会は、在宅勤務をする労働者のために適切な労働条件を確保するための立法措置を直ちに行うべきである。UNI欧州は欧州委員会に対し、以下のような指令の提出を求める:

・既存のつながらない権利を保証する。
・情報への権利やデジタル・アクセス権など、労働組合の権利を保証する。
・テレワークを行う人々の賃金と待遇の平等を確保する。
・プライバシーを保護し、人権侵害的な監視を防止する。
・テレワークの決定が労働者の手に委ねられ、職場を代替するものではないことを保証する。
・テレワークの設計と提供について、団体交渉を通じて労働組合の関与を保証する。


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