10月 2023のお知らせ

UNI、公共放送を擁護する韓国加盟組織を支援

2023年10月30日、UNIメディア部会の代表者は、韓国の加盟組織である全国メディア労組(NUMW)とともに、ソウルで記者会見を開き、韓国政府に対し、同国の労働組合との対話を行い、公共放送と報道の自由に対する攻撃をやめるよう促した。

右派の尹錫烈(ユン・ソンニョル)大統領が1年前に政権に就いて以来、政府は公共放送を監督する韓国放送通信委員会(KCC)の委員長に大統領の推薦候補を選出させるため、公共放送の首脳を違法に解任した。

KCCは現在、「フェイクニュース撲滅計画」を提案している。この計画は、政府が恣意的に「フェイクニュース」判定を下した後、事実上、報道機関を検閲できるようにするものだ。同委員会は『ワン・ストライク』ルールでニュース局を閉鎖する可能性がある。

NUMWによれば、政府はまた、公共放送の受信料を約30年ぶりに電気料金から切り離し、人々が受信をやめられるようにすることで、公共放送を弱体化させようとしている。資源の減少は、公共放送の質だけでなく、ジャーナリズムの能力にも影響を与えるだろう。独立したニュースを提供することを仕事とする公共放送ではなく、公的な情報が商業放送でしか得られないという状況が生まれかねない。

同時に、政府は24時間放送のニュース専門チャンネルYTNの株式を売却しようとしており、より多くの放送局が政府支持者の手に渡ることで、報道の自由をさらに脅かすことになりかねない。

NUMWは、政府が安定した視聴率と知名度を持つ公的資産を、民間事業者に引き渡そうとしていることを非難している。民間事業者は政府庇護の恩恵を受けおり、韓国国民にバランスの取れた情報を提供するよりも、むしろ政府を支持する可能性が高いからだ。

以下はNUMWとUNIメディア部会の共同声明の抜粋である。
「メディアを敵視し、表現の自由を損ない、批判的な報道を封じることで支持率を上げようとする韓国政府のメディア政策は、アジアの民主主義のモデルとなってきた韓国の民主主義の衰退を予感させるものだ。(中略)我々は、メディアを統制するためにブレーキのない列車のように暴走する韓国政府を強く非難する。我々は、表現の自由と報道の民主主義を守るための良心的な韓国市民とメディア労働者の闘いを強く支持する。この闘いに勝利するまで、世界中のメディア労働者は連帯する」


UNI、AI安全サミットに労働者の声を反映させるよう呼びかけ

2023年10月末、UNIとUNI欧州は、世界中の100を超える市民団体とともに、英国政府が開催するAI安全サミットについて「チャンスを逃した」と非難した。

リシ・スナク英国首相に宛てた公開書簡の中で、各団体は、AIによって最も影響を受ける地域社会や労働者がサミットから疎外されている一方で、一部の企業がルールを形作ろうとしている、と警鐘を鳴らした。

2023年11月1日、2日にロンドン近郊で開催予定のAI安全サミットでは、政治家やテック企業幹部を中心に、オープンAIのChatGPTのような高度なAI技術のリスクについて、議論がなされる予定だ。

ケイト・ベルTUC書記次長は、「AIはすでに、我々の働き方、雇用や解雇のされ方など、人々の人生を変えるような決定を下している。しかし、働く人々にはまだその交渉の席が与えられていない」と述べ、「このイベントは、幅広い声を集め、差し迫った脅威にどう対処し、いかにしてAIがすべての人に利益をもたらすようにするかを議論する機会となるべきだった。AIの未来を形作るのは、技術者や政治家だけであってはならない」と指摘した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「サミットから労働者の声を排除することは恥ずべきこと」と批判し、「AIを経済全体に展開する計画があるなら、労働者は初日からそのテーブルにつく必要がある。 AIは多くの人々にとって仕事が改善される機会を提供するが、それは適切な保護が導入され、労働者が利益を共有する場合に限られる」と強調した。


国連の第1回国際ケア・サポート・デー:労働組合が質の高いケアの道を拓く

国連が定めた「国際ケア・サポート・デー」の第一回目となる2023年10月29日に、世界中でケアに関わる労働者の果たす重要な役割にスポットライトが当てられる中、世界の労働組合が、この分野における団体交渉の拡大とケアの質の向上を目指して行動を起こしている。

国連が10月29日を正式に「国際ケア・サポート・デ―」に定めるのに先立ち、この日を機にUNIやITUCを含むケアに関わる労働者の権利を擁護する広範な連合体は、世界中でケア部門への投資拡大を訴えた。

介護・ケア労働者は、緊急にさらなる支援を必要としている。UNIが3,000人の労働者を対象に実施した2021年の世界的な調査では、広範な人員不足、貧困レベルの賃金、ハラスメント被害、危険な労働条件が明らかになった。調査対象となった介護・ケア労働者の半数以上が、日々の基本的なニーズを賄えないほどの賃金水準について報告し、30%以上が個人用保護具を十分に利用できなかったと訴えている。

2年経った今も、十分な変化は見られない。しかし、「ケア・サポート・デー」は、ケアに関わる労働組合がいかに闘い、成果を勝ち取ってきたかを示す機会となる。

アラン・サブレUNI世界ケア部会担当局長は、「圧倒的に女性が多く、そのほとんどが過重労働と低賃金の世界中の介護労働者は、もっと多くを受け取るべきだ。国際ケア・サポート・デーを祝うとともに、このような名もなき英雄たちが日々立ち向かっている闘いを認識し、彼らが職場で声を上げるために組織化する支援をさらに強化していく」と決意を語り、「#TogetherWeCareというハッシュタグを使っている。この部門を変革するには、介護労働者が団結して集団の力を発揮し、より良い労働条件とケアの質の向上を求めて闘うことが必要だからだ」と説明した。

COVID-19パンデミックの際、介護・ケア部門において組合が不可欠であることが証明され、感染症制御と安全衛生の強化につながった。英国を含む数カ国で、介護労組の主要な要求である人員配置比率の改善が実現した介護施設では、COVID-19感染が少なかったという証拠がある。米国では、組織化されている介護施設ではCOVID-19による死亡と症例が大幅に少なかった。未組織の施設よりも職員配置比率が改善され、個人防護具(PPE)を多く使用できたためである。

さらに、労働組合に加入している介護労働者は、一般的に収入が高く、離職率が低く、燃え尽き症候群になりにくい。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「ケアに関わる労働者は、変化を待っているのではなく、求めているのだ。まさに今、安全な仕事、適正な人員比率、安定した労働時間、家族を支えられる賃金を必要としている。パンデミック後のケア部門における組織化の急増は、労働者がいかにケア部門を再建し、家族、利用者、入居者の利益につなげているかを示している」と語った。

UNI加盟組織は、前進している。例えば、ドミニカ共和国では、組合が労働者向け研修の強化、労働条件の改善、高齢者介護職の正規雇用化を勝ち取った。チリでは、組合が民間部門の介護労働者の「休息権」を確保し、介護労働者のメンタルヘルスへの配慮の重要性が認識された。

米国では最近、ケアに関わる労働者が国内最大規模のストライキを実施し、賃金とケアの改善をもたらした。一方、フィリピンでは、フレゼニウス社の労働者が問題のある雇用慣行と闘っている。スロベニアでは今年、障がい者の介助者が、資金強化と雇用改善を勝ち取るために歴史的なストライキを決行した。

こうした世界中で行われている数百のキャンペーンは、人々の雇用と生活を変えていくだろう。だが、もっと多くのことをしなければならない。公正で良質、公共性の高い、ジェンダー役割を変革していくような医療・介護制度への投資が急務であることは、強調してもしすぎることはない。介護を必要とする人の数は、 2030年までに23億人に達すると予想されており、この急増する需要に対応するためには、介護部門において4億7500万の良質な雇用を創出する必要がある。

UNIが国際ケア・サポート・デーだけでなく、日々、世界中の労働組合とともに介護労働者の支援に取り組んでいるのは、そうした理由からだ。共に力を合わせれば、成果を獲得できる。


MAKE AMAZON PAYサミットで、労働組合と関連団体がブラックフライデーのストとアマゾンに対する抗議行動を発表

2023年10月27日に英国・マンチェスターで開催されたMake Amazon Pay(アマゾンに支払わせる、MAP)サミットにおいて、労働組合と政治指導者が、11月24日のブラックフライデーにあわせて世界30か国以上でストライキを行い、アマゾンに抗議する計画を発表した。

これはアマゾンが10月26日に四半期決算を発表したことに伴うものであり、アマゾンの収益は1431億ドルに達し、利益はほぼ3倍になった。

同サミットの共同主催者であるクリスティ・ホフマンUNI書記長は、「労働組合、政治指導者、NGOからなるこのコミュニティが一堂に会し、アマゾンの労働者に対する横暴と地域社会への影響をなくすために、我々の総力を結集して戦略を練ることは非常に重要だ。アマゾンのビジネスモデルは環境を破壊し、中小企業を潰し、倫理も説明責任もないまま、独占だけが残っていく。これは我々の時代の重要な戦いであり、我々は力を結集してアマゾンに支払わせることができる」と挨拶した。

ブラックフライデーに開催されるMAPの世界行動デーは、史上最大規模となる予定だ。昨年、この連合体はブラックフライデーに35か国で135以上のストライキと抗議行動を組織した。そして今年、アマゾンはさらなる混乱に直面することになるだろう。労働者が仕事を放棄し、活動家がアマゾン・ウェブ・サービスの環境破壊的行為に抗議し、市民がアマゾンに税金の支払いを要求し、中小企業や独立系書店がアマゾンの反競争的行為を非難するからだ。

アマゾンは、その不正行為に対する大規模の異議申し立てに直面している。各国では、労働者が一丸となって賃金や労働条件の改善、労働組合の承認を求めている。様々な都市や州、国において、規制当局や立法者が、労働者、地域社会、地球環境に対する損害の代償をアマゾンに払わせるため、行動をとり始めている。

昨年、英国では倉庫労働者がストライキを行った。ドイツでは、プライムデーに国中の事業所でストライキが行われた。米国では、アマゾンの配送ドライバーが史上初のドライバー労組を結成し、賃金改善、安全な仕事、組合承認を求めてピケットを張った。同時に、全米脚本家組合の脚本家たちは、アマゾンをはじめとする映画・テレビ制作スタジオに大勝利を収め、かつてまともな仕事であったはずの労働条件が、テクノロジーによって引き下げられるのを防いだ。インドのニューデリー郊外では、数百人の倉庫労働者による大規模な抗議行動がアマゾンに大幅な譲歩を迫った。バングラデシュでは、衣料品労働者が自身の安全を守るため、アマゾンに対して国際アコードに署名を求めて世界中の仲間とともに立ち上がった。また、アマゾンのシアトル本社のテックワーカーは、アマゾンのグリーンウォッシングの試みに抗議してストを行った。

バルセロナでは先進的な自治体が、アマゾンのラストワンマイル配送のための「無料」公共スペース利用に課税を実施した。ミネソタ州の議会は、米国で最も強力なアマゾン倉庫労働者に対する保護法案を可決した。アイルランドの上院は、アマゾンによる新品・未使用品の投棄を禁止する法律を可決した。また、米国と欧州の両方で、市場における競争についてアマゾンに対する画期的な調査が進行中であり、アマゾンの独占的慣行を阻止できる可能性がある。

UNIとプログレッシブ・インターナショナルが共同で主催するMAPキャンペーンは、労働、税制、気候、データ保護、人種的な観点で公正を目指す80以上の団体と、400人以上の国会議員、数万人の支持者を世界中から集めている。2020年以降、このキャンペーンは4回の世界行動デーを開催し、そのたびにアマゾンが労働者、地域社会、地球から搾取するのを阻止するため、惑星規模の運動を拡大してきた。

バーニー・サンダース米上院議員は、MAPサミットの中で次のように発言した。「アマゾンほど、米国、英国、そして世界中で見られる企業の貪欲さと傲慢さの見本となる企業はない。(中略)この企業の価値は1兆3000億ドル以上だ。単位を見誤ってはいけない。アマゾンは昨年、120億ドル以上の利益を上げた企業だ。昨年60億ドル以上を、労働者の生活向上や倉庫の安全性向上のためではなく、裕福な株主をさらに金持ちにするための自社株買いに費やした企業だ。アマゾンの労働者が組合に加入したり、最初の協約を結んだりするのを阻止するために、反組合コンサルタントや弁護士に1400万ドル以上を費やした会社だ。(中略)兄弟姉妹の皆さん、もしベゾス氏が豪邸やヨットやロケット船を買う余裕があるのなら、私がどう思うかお分かりでしょう。アマゾンの労働者が組合結成に投票した時、ベゾス氏は公平で公正な団体協約が結ばれるようにすることができるはずなのだ。ベゾス氏は、アマゾンで働くすべての労働者が、充実した福利厚生と安定したシフトで生活できる賃金を得られるようにし、アマゾンが世界で最も危険な職場ではなく、最も安全な職場となるようにすることができるはずなのだ」


ルーマニアのテレパフォーマンス労働者が組合承認を獲得

ルーマニアのテレパフォーマンス労働者は、フランスの大手カスタマー サービス企業、テレパフォーマンスとの団体協約締結に向けて大きな一歩を踏み出した。

テレパフォーマンス・ルーマニアに600人近い組合員を擁するUNI加盟組織のSITTは、同国の法律で義務づけられている組合承認基準である35%の組織率を大幅に上回ったため、同社で法的に組合承認を勝ち取った。特に注目すべきは、組合員の 80%以上がリモートワーカーであることだ。

UNIとテレパフォーマンスは2022年12月にグローバル協定を締結し、労働者が恐怖を感じたり脅迫を受けることなく組織化することを保証し、組合が在宅勤務の従業員 にアクセスできるようになった。

この協定は、テレパフォーマンスがデジタル・ビジネス・サービス業界をリードする一例だ。UNIは、同社が安全衛生に重点を置き、良好で安全な雇用をグローバルにコミットし、労働組合と現場で協力していることが、この部門で同社を際立たせていると指摘している。

ルーマニアでは、協定締結以来、SITTと現地経営陣との協力関係が発展し続けており、いくつかの労働者の懸念事項に関して、前向きな成果を上げている。SITTは、すべての労働者に利益をもたらす団体協約の締結について明るい見解を示している。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「リモートワーカーを組織化するのは特に難しいが、ルーマニアでのこの成功は、より良い雇用を求めてさまざまな場所の労働者が団結できることを示している」と指摘、「また、グローバル協定によって労働者の権利に対するコミットメントをさらに強化し、労使の協力を深められることも示している。ルーマニアだけでなく、それ以外の場所でも、テレパフォーマンスとの建設的な関係を前進させることを楽しみにしている。

SITTは、今後数週間以内に同社との全国協約に向けた交渉を開始する予定だ。シフトや賃金など、様々なテーマを取り上げていく。

コロンビア、エルサルバドル、ジャマイカ、ポーランドとともに、ルーマニアはグローバル協定で特定された優先5か国の1つである。どの国にも労働組合があり、強力な団体協約の締結に向けて組織化を進めている。


オーストラリアのアップル小売労働者、新たな団体協約で雇用改善

12か月を超える交渉の末、UNI加盟組織の店舗流通関連労組(SDA)とオーストラリアサービス労組(ASU)が、アップルとの全国協約に調印した。協約により、賃金や労働区分、休暇取得の改善、より予測可能なシフトと労働時間の公正化、時間外労働、週末労働、深夜労働、祝祭日労働に対する賃上げが小売労働者に供される。

2023年8月にアップル労働者の圧倒的多数が賛成票を投じてこの協約が支持され、オーストラリア公正労働委員会が10月16日に団体協約を承認した。協約は2023年10月23日に発効する。

協約のハイライトは以下の通り:
●協約は、対象となるすべてのアップル従業員に対し、2023年の最低賃上げ率を5.75%(2023年7月1日に遡及)とし、正社員の最低初任給を時給29.23豪ドルとする。2023年以降、労働者は公正労働委員会の最低報酬の引き上げ、または少なくとも2%の年間最低賃上げのいずれか高い方を保証される。

●協約は、現行の年次休暇20日を恒久的な権利として確保することに加え、傷病、介護、生理に使用できる有給休暇を年間5日、追加導入する。さらに、労働者は、小売業労働者では初となる2日間の有給学習休暇と、10日間のジェンダー・アファーメーション休暇(トランスジェンダーの労働者のための移行期間)を獲得する。

アップルのグローバルな規定である20日間の有給家族介護休暇と、10日間の有給忌引休暇の方針も協定に組み込まれ、オーストラリアのアップル労働者の恒久的な権利として設定された。忌引休暇は、アボリジニおよびトレス海峡諸島民が伝統的な儀式や慣習に従って家族の喪失を悼むためのものだ。

協定は、より予測可能で公正な労働時間を規定している。フルタイム従業員は2週間に1度、希望すれば自由な週末が保証され、発表後のシフト変更はできない。パートタイム従業員には労働時間の保証が強化され、勤務は自身が示した労働可能な時間帯でなければならず、すべての労働者のシフトは4時間より短くすることはできない。

協約は、週末、祝祭日、およびほとんどの深夜労働について、法定最低賃金と同等か、それを上回る割増賃金を確保し、125%から250%の間で変動する。また、フルタイム、パートタイム、非正規労働者についても時間外手当の対象が拡大され、最初の2時間の時間外労働については150%、それ以降の労働については200%の割増賃金が支払われる。

マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「オーストラリアの加盟組織が多くの困難に直面しながらも、この協約を締結したことを祝福したい」と述べ、「この協約は、アップルの小売労働者に力強い成果をもたらすだけでなく、使用者側が押し付ける不誠実な取引に打ち勝つ上で、団体交渉が大きな違いをもたらすことを示している」と語った。

SDA書記長を務めるジェラード・ドワイヤーUNI会長は、「強力な賃金と良好な労働条件を供する包括的な協約が締結され、オーストラリアのアップル従業員にとって画期的なことだ」と祝福した。労働者が組合の下に結集し、公正さを求めて訴えを起こすことが強力な力となることが、改めて示された。

アップル小売労働者の企業レベルの団体協約は、直近では2014年に締結された。2022年8月に同社は、新たな条件を交渉したい旨を労働者に通告した。組合と公正な交渉を行うのではなく、基準以下の条件を押し付けようとしたのである。これに対してUNIは、オーストラリアのSDAやASUとともに、最初に同社が提示した案に反対を示してきた。


米国の脚本家、画期的な団体協約を締結

UNI加盟組織である全米脚本家組合東部(WGAE)および全米脚本家組合西部(WGAW)の組合員は、映画テレビ製作者連盟(AMPTP)との画期的な団体協約を締結した。約5か月に及んだストライキに終止符を打ったこの協定には、生成AIの使用に関する先駆的な保護が盛り込まれ、テレビ制作の最低人員レベルが定められ、ストリーミングの影響に対処する新たな仕組みを含む報酬の大幅増額が規定されている。

WGA組合員の圧倒的多数である99%が、この協約に賛成票を投じた。有効投票数8,525票のうち、「賛成」は8,435票、「反対」は90票(1パーセント)だった。新協約の期間は2023年9月25日から2026年5月1日までとなっている。

メレディス・スティームWGAW会長は「連帯と決意をもって、我々は組合員である、あらゆる部門の脚本家にとって有意義な利益と保護を含む協約を締結した」と述べ、「6か月前、多くの人々が不可能だと言ったことを、我々は共に成し遂げることができた。エレン・スタッツマンWGA主任交渉担当、交渉委員会共同委員長のクリス・キーサー氏とデビッド・A・グッドマン氏、WGA交渉委員会の全員、ストライキ・リーダー、支部コーディネーター、そして交渉とストライキのあらゆる部分を支えたスタッフなくして、この業界を変える協約を実現することはできなかっただろう」と振り返る。

リサ・タケウチ・カレンWGAE会長は、「今こそAMPTPは、交渉を通じて脚本家を支えてくれた 全米映画俳優組合 (SAG-AFTRA)の仲間と公正な協約を交渉し、人々を仕事に戻す時だ」と述べ、「スタジオが俳優のニーズに対応する協約を結ぶまで、WGA組合員はピケットラインに立ち、SAG-AFTRAと連帯して共に歩んでいく」と決意を語った。

フィラデルフィアで開催された世界大会の間、UNIは脚本家たちとの連帯行動を実施し、世界中のメディア部会の組合からのグローバルな連帯を得てきた。UNIは脚本家組合とともに、AMPTPに対し、SAG-AFTRAとの公正な協約を求めて交渉を引き延ばすことをやめるよう、求めている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は寄稿した記事の中で、「今回の協約は生成AIに関する組合の大勝利であり、これが最後ではないだろう。他の労働者も、WGAが交渉したようなセーフガードを緊急に必要としている。(中略)労働運動には、虐待を抑制し利益を共有するために新たなテクノロジーの使用を規制してきた長い伝統があるが、この勝利は新しい時代の転換点のように感じられる」と述べている。


米国・フィラデルフィアのSEIU清掃労働者、コロナ後の歴史的な団体協約を獲得

2023年10月中旬、米国・フィラデルフィアで画期的な団体協約が締結され、国際サービス従業員労働組合(SEIU)32BJ支部の組合員である2,000の清掃労働者によるストライキが回避された。

UNIの組合員1,000人が市内中心部に集まり、清掃労働者を支援してからわずか1か月余りで結ばれたこの暫定協約は、パンデミックの影響で苦境に立たされた商業用不動産において、先例となるモデルを打ち立てた。同労組はすぐに、ピッツバーグとワシントンDCの使用者との間で追加協約を締結し、全米の都市で働く10万人の清掃労働者の賃金・条件改善を求め続けている。

フィラデルフィアの清掃労働者は、今後4年間の協約期間中、18.6%の賃上げを受け、インフレ高騰期には相当のボーナスを支給され、退職金拠出も増額される。同様の賃上げは、ピッツバーグやワシントンD.C.などの都市でも1万人以上の労働者についても交渉された。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、 「この新協約は単なる協約ではなく、真の勝利だ。UNI世界大会の期間中、我々はフィラデルフィアでSEIUの32BJ支部の清掃員とともに結集し、共に立ち上がろうというメッセージを発してきた。フィラデルフィアをはじめとする今回の勝利は、共に立ち上がることが単なるスローガンではなく、現実であることを示している。我々は共に立ち上がり、共に勝利する!」と強調した。

フィラデルフィアにおける協約は、10月15日に期限満了を迎え、市内中心部のビルでは、ストライキが迫っていた。

32BJ支部の清掃労働者で交渉委員を務めるティファニー・チェリー氏は、「我々が団結し、子どもたちを養うことのできる、インフレに見合った賃金の協約を勝ち取ったことは、特にこの時代において、大きな成果だ」と述べた。

今回の協約は、地域の清掃労働者による数十年にわたる組織化と活動を基盤としており、使用者負担の家族健康保険の維持、有給休暇の追加、全組合員の包括的な疾病・障害保障の保証など、清掃員の労働条件と報酬を強化するものとなっている。


ネパールの組合、コミュニティ・ヘルス・ワーカーに画期的な無償の医療保険を獲得

ネパールの労働組合が、UNIの大幅な支援のもと、絶え間ないキャンペーンの集大成として、バグマティ県 の女性コミュニティ・ヘルス・ワーカー(FCHW)とその家族に完全無償の医療保険を確保した。この画期的な取組みは、ネパールにおける組合の力強い提言活動を浮き彫りにするものだ。

今回の成果は、バグマティ県全域の無数のFCHVが恩恵を受け、無償の医療保険の提供を通じて福利の向上と安全が保証される。

これまで、地域の医療ボランティアは1,750ルピーの保険料に悩まされていたが、今回の成果によって経済的負担が完全に軽減された。ヘボンFCHW労組のバサンティ・マハルジャン委員長は、「我々は少しずつ組織化し、組合の力を得ている。関係する政府当局に要求を提出しており、活動成果の始まりとなる」と述べ、前向きな決意を示した。UNIは、ヘボンFCHW労組の影響力と活動の強化に大きく寄与し、バグマティ県の地域保健ボランティアに大きな改善をもたらした。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、ネパールにおける組合の重要な役割を強調し「この功績は、ネパールの労働組合の回復力と熱意の証であり、組合がネパールで果たす重要な役割を浮き彫りにしている。我々はともに、すべての人のために、より明るく健康的な未来を築いていく」と述べ、組合の勝利を祝福した。

同州のウッタム・ジョシ保健相は2023年9月下旬に公式発表を行い、連邦政府が5割を拠出し、州政府が残りの保険料を負担することで、包括的な医療保険制度が確保されることを強調した。

この事業は、女性ヘルスワーカーの福祉に対するコミットメントを重視し、公衆衛生と社会的公正の推進における労働組合と政府機関の相乗的な取組みを示すものである。UNIが支援するヘボンFCHW労組などの組合のたゆまぬ努力は、進歩的な変化を推進し、ネパールにおける労働者の権利と社会正義の確立に向けて、力強く前進している。


米連邦取引委員会と17州、独占的慣行でアマゾンを提訴

2023年9月下旬、米連邦取引委員会(FTC)と17州の検事総長が、Eコマース大手のアマゾンを相手取り、同社が広範な反競争的慣行に関与しているとして訴訟を開始、 画期的な法的措置に乗り出した 。

クリスティ・ホフマンUNI書記長はこの提訴について、「この重要な訴訟を起こしたリナ・カーン委員長とFTC、そして検事総長たちに敬意を表したい。アマゾンはフェアプレーの意味を理解していない。アマゾンの威圧的な戦術とルールに従わない態度は、労働者、競合他社、そしてアマゾンのEコマース・プラットフォームで商品を販売する企業のすべてが、同社の権力乱用による厳しい打撃を感じていることを意味する。アマゾンが販売業者の値下げを制限しているため、顧客でさえも高い支払いを強いられている。今こそ、これを終わらせる時だ」とコメントした。

共同訴状は、アマゾンがその規模だけでなく、競合他社の成長を妨げ、新規参入を阻む戦術によってEコマース市場を支配していると主張している。 訴状によると、このため、同社のプラットフォーム上の商品に関しては、価格、種類、品質に関する競争が制限されているという。

リナ・カーンFTC委員長は、「我々の訴状は、アマゾンが違法に独占を維持するために、いかに過酷で強圧的な戦術を駆使してきたかを明らかにしている。この訴訟は、こうした独占的慣行についてアマゾンの責任を追及し、失われた自由で公正な競争の約束を回復することを求めるものだ」と語った。

訴状では、アマゾンの反競争的行為が重要な市場、つまり同社のルールが競争を制限するように設計されている、消費者向けのオンライン・スーパーストアと、販売者向けのオンライン・マーケットプレイス・サービスの2つに及んでいると主張している。また、アマゾンは、販売者が他でより安い価格を提供することを妨げ、販売者にアマゾンの配送サービスを利用するよう圧力をかけ、自然な検索果を有料広告に置き換えることで顧客体験を低下させているとしている。

競合他社は地位の確立に苦心しており、オンラインで商品を販売する小規模ビジネスにとって、アマゾンが唯一の選択肢であることが多い。このためアマゾンは、自社のプラットフォームで販売するために独占的な手数料を請求しうるのだ。

FTCと各州は、このような行為に終止符を打ち、競争を回復させるため、連邦裁判所に永久差し止め命令を求めている。

連邦取引委員会のジョン・ニューマン競争局副局長は、「米国の反トラスト法の歴史において、1つの訴訟がこれほど多くの人々のためになる可能性を持つことは、非常に稀なことだ」と述べ、訴訟の意義を強調した。

アマゾンに対するこの訴訟は、公正な競争を求める闘いにおける決定的な瞬間であり、デジタル・マーケットプレイスに広範囲に影響を及ぼすものだ。

2020年にUNIは、欧州委員会に対し、デジタルサービス法が労働者の権利を保護し、欧州の社会モデルを維持するよう、包括的な勧告を提出した。

EUはすでに、アマゾンとの2022年の反トラスト法上の和解やデジタル市場法を通じて、FTCの訴訟で求められている措置の一部を講じている。公平な競争条件を確立し、確実に実施されるようにするためには、さらに多くの課題が残されている。


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