
UNI-LCJ第5次アクションプランに基づき、UNI-LCJ加盟組織の青年・女性役員の交流・情報交換の場として標記会議が開催され、印刷労連、UAゼンセン、全労金、損保労連、大日本印刷労組、日放労、JP労組、事務局より、21名が出席した。昨年の各ネットワーク会議を踏まえ、青年・女性の活動には多様性や機会均等の推進等の共通点も多いことから、今回は両会議を合同開催とした。
はじめに出席者が自己紹介を行った後、森川UNI-LCJ事務局次長より、UNIおよびUNI Aproの青年・女性活動について報告がなされた。女性委員会の活動として、メンタリングプロジェクトや労働安全衛生、LGBTI+、暴力・ハラスメント撲滅に向けた取組み、また青年委員会の活動として、各国での教育・研修、組織化、社会貢献活動、SNSを通じた情報発信の取組み等が紹介された。
次いで、参加組織から青年・女性、ジェンダー、ダイバーシティに関する活動や課題が共有された。
●印刷労連(古賀初代副中央書記長、佐々木冴子中央委員・女性参画プロジェクトメンバー):ジェンダー平等推進計画に基づく活動として、広報・アピール活動、連合「女性リーダー養成講座」への積極参加、ジェンダー平等・多様性推進会議等に取組んでいる。推進会議はプロジェクトメンバーが中心となって運営し、意思決定権のある男性役員にも参加を要請したことが、従来との違いである。今後はプロジェクトから専門委員会への格上げを検討しており、各組織にジェンダー平等を組み込んでいく事が課題であり、産別としてフォローしていきたい。
●UAゼンセン
✓女性に関する活動(寺嶋雪乃多様性協働局副部長、UNI Apro女性委員):同組織の掲げる男女共同参画推進計画では、①職場におけるジェンダー平等の実現、②ワークライフバランスの実現、③組合活動における男女共同参画の実現、の3つを柱とし、アクションプランを策定している。男女共同参画推進キャンペーンでは、短時間組合員向けのみに交流会や男性の育休取得促進に向けたツール(パパのリアルな育休ニュース発行など)の開発、女性の活躍・定着に関する調査とその活用、女性の健康支援の強化に向けた学習会や啓発リーフレット作成などを行っている。
✓青年に関する活動(藤原尚子運動推進局員。UNI Apro青年委員):同組織35歳以下の青年組合員による『Young Leaves』は、若年労働者の力を労働運動に生かし、次世代リーダーの育成を目的としており、弁論大会や自然保護活動、領土問題等啓発推進月間、北朝鮮による日本人拉致被害者家族支援、オンライン交流会などを実施している。
●全労金(桐田真弓書記次長):同組織のジェンダー平等推進計画について、まず、「全ての労働者を代表する組織体制の実現」に向けて、女性役員の三役・四役への選出、あらゆる意思決定の場への女性役員の参画などが掲げられている。また、「安心して働き続けることができる職場環境の実現」に向けて、全労金として再雇用支援策の運用実態の把握と改善、DV対策と休暇制度の新設にむけた検討、ハラスメント禁止ガイドラインの運用等に取組んでいる他、単組レベルでも、学ぶ→知る→考える→行動する、のステップ別に様々な取組みが行われている。さらに、「性のあり方の多様性を理解しあう社会の実現」、「社会的労働運動の実践によるジェンダー平等と男女平等参画社会の実現」を目指した取組みも展開中である。
●損保労連(須齋弥緒事務局次長、UNI Apro女性委員会副議長):「ユニオンサークル」は、単組の枠を超えた青年組合員の交流の場となっている。また、同労連の中期重点取組み課題の中に「多様性の受容」が据えられ、「ジェンダー平等推進アクションプラン」が策定されている。「多様性の受容」は、全国各地で開催されるユニオンミーティングでもテーマとなり、必要な対応策を労連として経営側に伝えたり、労使懇談会等においても「多様性の受容」について議論されたりするなど、課題認識が労使で共有されている。
●大日本印刷労組(三崎友香里副執行委員長、UNI Apro女性委員):専従の平均年齢が37.4歳、執行部の平均年齢が35歳であり、比較的若いメンバー構成である。専従の男女比は13:4であり、今回、時短勤務の女性もはじめて専従となった。若手向けの取組みとして、気軽に職場のことを先輩に相談できるランチ会を月1回開催している。また大阪の事業所では育休明けの社員に対して「おかえり会」を実施し、本人および周囲の意識付けが図られているが、組合としては今後、育休を十分にとれなかった社員の声にもしっかり焦点をあて、対応を検討していきたい。
●日放労(山下茂美中央執行委員、UNI Apro青年委員会副議長):全国で開催される新人対象のセミナーでは、組合の仕組みや意義、NHKを取り巻く状況や処遇・制度などを学んでいる。青年層はワークライフバランス等を重視する傾向が強く、組合としては、青年組合員の要望をしっかりと吸い上げて労使交渉に盛り込んでいく方針である。今年の春闘では、自己啓発休職について1年から2年に延長を勝ち取った。また、子育て世代が参加しやすい環境作りが急務の中、今年新たな取組みとして、全国の書記長会議に、子育て中の書記長等が子ども同伴で出張し、業務時間中は現地の保育園で一時保育を利用した場合、組合で保育料を負担することにした。子育て中の人も参加しやすい環境をどのように整えていくのか、今後も模索を続けながら取組んでいきたい。
●JP労組
✓青年に関する活動(齋藤優輔中央ユースネットワーク議長、UNI Apro青年委員):30歳以下の青年組織であるユースネットワークに約3万人の組合員がいる。2年に一度、組織活性化や人材育成を目的に、全国の青年組合員が集う「ユースマイル」というレクリエーション活動を行い、2017年から1000名以上が参加している。他に、社会貢献活動として、書き損じ葉書を集約、換金し、定期大会開催地の社協に寄付する取組みや、本やCDを換金し、国際協力NGOに寄付する活動などを行っている。
✓女性に関する活動(浅香朋子中央執行委員): JP労組の女性フォーラムは、約6.5万人の組合員を擁する。女性役員を中心に、職場での課題を洗い出してもらったところ、男性中心の普段の組合活動では発言しづらい、生理休暇や更年期障害といった女性の健康に関する声が多く聞かれた。生理休暇中であることが出勤モニターに表示されてしまう状態であることを会社側に伝え、これを変えていくことができたのは今回の春闘の成果の一つであり、女性組合員へのアピールにもなった。
会議後の交流会では、世界大会で使用するユースビデオの撮影や、本年10月に開催予定の東アジア労組フォーラム懇親会での出し物について相談・練習をしながら、各組織の青年・女性活動の担当者が交流を深め、充実した会議となった。