6月 2023のお知らせ

バングラデシュにおける正義と暴力の根絶、団結権の尊重を要求―労組指導者に対する殺害を受けて

インダストリオールとUNIは、2023年6月25日にバングラデシュのガジプールで労働組合指導者であるシャヒドゥル・イスラム・シャヒッド氏が殺害された事件について、最も強い言葉で非難する。

インダストリオール加盟組織であるバングラデシュ衣料労連(BGIWF)のガジプール支部長であったシャヒドゥル・イスラム・シャヒッド氏は、6月25日の夜、ガジプール地区で暴漢に殺害された。同氏の同僚によると、プリンス・ジャカード・セーター社で労働者への賃金支払いを求める発言をしたところ、襲撃されたという。この襲撃で他に3人の組合指導者が負傷している。

地元の情報筋によると、プリンス・ジャカード・セーター社の労働者は2ヶ月分の賃金と賞与の支払いを受けておらず、ここ数日、不満を募らせていた。殺害されたシャヒドゥル・イスラム・シャヒッド氏が労働者を代表し、経営側とこの問題について話し合い、労働者は日曜日に未払いの賃金と賞与を受け取ることになっていた。労働者たちは日曜日に一日中待たされたが、何の支払いもなかった。

午後7時頃、シャヒドゥル・イスラム・シャヒッド氏ら4人が工場から出てきて、正門の前に立っていたところ、突然10~12人の暴漢が襲いかかった。地元の人々が負傷者をガジプールの病院に運んだが、同氏の死亡が確認された。負傷した3人の組合幹部は、同病院で治療を受けた。

我々は、インダストリオールのバングラデシュ加盟協と連携し、ガジプール地方委員会庁舎前で人間の鎖と抗議を組織し、この理不尽な殺人と労働組合指導者に対する攻撃について、正義を要求する。この凶悪な襲撃の責任者は、その責を問われ、法の及ぶ限り訴追されるべきである。

同国では結社の自由が侵害され続けており、政府は、労働組合とその代表者が、労働者に選ばれた代表者としての役割において、脅迫や暴力を受けることなく活動できるようにしなければならない。

極めて遺憾なことであるが、 憲法上の権利である団結権を行使したために生じたこの殺人事件は、バングラデシュで組織化された労働者を取り巻く厳しい状況をあらためて痛切に思い起こさせる。バングラデシュ政府は、この犯罪を捜査し、加害者を裁判にかけ、法的責任を問う責任がある。


UNI、ソシエテ・ジェネラルとグループ従業員の権利を強化する新たなグローバル協定を締結

2023 年 6 月 27 日、UNIとソシエテ・ジェネラルは、2015 年および 2019 年の従来の協約を基礎とする、従業員の権利に関する新たな世界規模の協定に調印した。この協定は、同行の「配慮義務」計画におけるUNIのステークホルダーとしての役割を強化し、グループ従業員の新たな権利を確立し、労働組合の権利を近代化するとともに、新たな働き方の増加の中で実施される同行の取組みを確認するものである。

フランス・パリに本社を置くメガバンク、ソシエテ・ジェネラルの66か国、11万7,000人の従業員を対象とする新協定は、「善管注意義務」計画の公表前に、銀行の人的資源の柱に関するフィードバックを行い、潜在的なリスクと緩和策の特定といったUNIのステークホルダーとしての役割を、正式な枠組みを通じて強化するものである。

この4年間の協定は、結社の自由、社会対話、労働組合のアクセス権など、従業員の基本的権利に対するソシエテ・ジェネラルの取組みを強化する。母親の14週間の産休、父親の1週間の産暇(いずれも固定給の全額支給)、および最高で固定給の2年分の死亡給付金(既存の地域制度をカバーまたは補完)など、グループ従業員の社会権保障について新たな最低基準を定めている。また協定には、安全衛生、職業生活、差別防止、ハラスメントや不適切な行為、多様性、ジェンダー平等の発展など、その他多くのテーマも盛り込まれている。

金融部門の大規模なデジタル化によって業務編成が変化する中、同グループはリモートワークの取組み促進にコミットしている。また協定は、結社の自由、社会対話、責任あるデジタル・アプローチの枠組みにおけるデジタルツールの責任ある利用を提唱している。

アンヌ・ソフィー・ショヴォー・ガラス同行グループ人事部長は、「責任ある使用者として、ソシエテ・ジェネラルは、基本原則にとどまらず、全地域の従業員の利益のための業務実施ガイドラインを含む、グローバルな従業員の権利に関する新協定を歓迎する。2015年以来、ソシエテ・ジェネラルとUNIは、継続的かつ前向きで実りある関係を築き、維持してきた。この新しい協定は、グループ全従業員に対する社会的権利の保証と保護の共通基盤を提供するものだ」と述べた。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「ソシエテ・ジェネラルとの間で強化された本協定により、UNIは人材に関する同行の配慮義務の中核を担うことになる。また、リモートワーク、AI、デジタル化に関する労働組合の権利を初めて世界的規模で確立し、金融労働者保護の新たな基準を打ち立てるものだ。仕事の世界が電光石火のスピードで変化する中、労働者が取り残されることのないよう、また従業員が新技術の恩恵を共有できるようにすることは、不可欠だ。我々が達成したのは、現在と未来にふさわしい協定だ」と語り、協定の意義を強調した。


欧州:メディア・芸能部門におけるフリーランス労働者の組織化

2023年6月上旬、スペイン・マドリードで、メディア、娯楽、芸術の各分野のグローバルユニオンが一堂に会し、これらの部門で働くフリーランサーや自営業者が直面する課題と、組合が組織化を行う上で直面する障害を克服する方法について、議論が交わされた。

UNI、国際俳優連合(FIA)、国際音楽家連盟(FIM)、欧州ジャーナリスト連盟(EFJ)が参加した今回の会議は、この部門の非典型労働者に関する3年間のEUプロジェクトの集大成である。

これまで多くの国で、この分野のフリーランス労働者は組合に加入することが法的に認められておらず、また競争法によって労働者が団体交渉を行うことができなかった。しかし、2022年に9月に欧州委員会が策定した「単独自営業者の団体協約に対するEU競争法の適用に関するガイドライン」によって、EU競争法による障壁が取り除かれ、こうした労働者のために組合が代弁し、団体交渉を行う可能性が開かれた。ガイドラインの起草にあたっては、今回会議に参加した各組織が、協議を受けている。

この会議の重要な要素は、非典型労働者に効果的に働きかけ、特にデジタル手段を通じて、フリーランサーの権利と利益を代表できるようにするための、優れた戦略の決定である。

この会議で発表された新たな調査報告では、デジタル化と新しい働き方が非典型労働者に及ぼす影響、特にソーシャルメディアや多くの制作がストリーミング・プラットフォームに移行していることによる業界の収入と労働条件への影響が、浮き彫りになった。

EUプロジェクトには充実した訓練も含まれており、参加組合は非典型労働者の組織化に関する個々の状況に対応した個別訓練を受け、組合は能力とリソースを強化した。会議ではキャンペーンの成功事例や組合成長に関する報告も、共有されている。

ヨハネス・ストゥディンガーUNI世界メディア部会担当局長は、 「いくつものプロジェクトで姉妹組織と連携できたことで、非典型労働者をめぐる問題を掘り下げて調査する継続性が生まれ、労働環境の変化に取組む機会が得られた」と振り返り、「今後もパートナーシップを継続し、成果を土台に共同戦略を練り上げていくことを期待している」と語った。


H&M従業員、スペインで待遇改善と適正賃金を求めて立ち上がる

2023年6月下旬、スペインのH&M労働者とスペイン労働者委員会(CCOO)サービス部門およびFESMC-UGTが、大規模なストライキを実施した。同社との交渉が何か月も難航したことに不満を募らせた従業員は、労働条件の改善と賃金の公正化を要求するため、決定的な一歩を踏み出した。

労働条件の改善と公正な賃金を求めて数か月に及ぶ交渉に耐えてきたスペインのH&M労働者が受けたのは、会社からの期待はずれの提案であった。「不十分で非常に具体性に欠ける」回答を得た従業員には、行動を起こす以外の選択肢は、残されていなかった。労働組合を通じて集団的に業務を停止し、その結果、スペイン全土の推定100のH&M店舗で混乱が生じた。

労働者の不満の中心には、差し迫ったさまざまな懸念がある。スペインのH&Mの従業員は過重労働が負担となっているが、低賃金のパートタイム従業員の割合が高いことが、その状況をさらに悪化させている。加えて、内容に大きなバラつきのある複数の地方協定が存在するため、全国で労働者が受け取る報酬や福利厚生は、統一性や公平性に欠けている。

2023年6月20日に、H&Mの労働者は11時から13時までと、20時30分から22時30分まで、続く2日間のストライキの前哨戦として、部分的な作業停止を行った。作業停止は大成功を収め、約100店舗で混乱を生じさせた。2日後の22日には、初の24時間ストライキを実施し、H&Mの経営陣に明確なメッセージを送った。6月26日(月)にも行動が予されている。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「H&MはEU全域で巨大な使用者であるが、スウェーデンからスペインに至るまで、H&Mは最近、労使関係において対立的なアプローチをとっている。労働者と組合は、収益を労働者から利益へと振り向けようとする経営陣による、労働時間の削減と低賃金の常態化を許さない。我々は経営陣に対し、労使関係のアプローチを再考するよう、強く求める」と述べた。

このストライキは、スペイン全土の他の企業や産業の組合から大きな支持を集めており、H&Mの従業員が示した強靭さと決意は、同国の労働者全体における公正な待遇と労働条件改善の必要性を強調し、結集点としての役割を果たした。自らの権利のために立ち上がったH&M従業員の勇気は、同じような困難に直面する他の労働者を、鼓舞している。


VER.DIとUNI、ドイツの新デュー・ディリジェンス法における人権リスク評価のための組合ガイドを発表

2023年6月21日、UNIとドイツの加盟組織ver.diが、『ドイツのサプライチェーン法に基づく人権デュー・ディリジェンスのリスク分析に関する労働組合ガイド』を発表した。

この新しいガイドは、労働組合の代表、特にドイツの労使協議会や監督委員会の代表が、国際基準や人権デュー・ディリジェンスを義務付けるドイツ・サプライチェーン法に基づくリスク評価から何を期待すべきかについて、詳述している。

ガイドには、労働組合の活動家が、人権デュー・ディリジェンスに関する企業の報告をどのように分析・評価できるかについて、重要な情報が提示されている他、さらなる行動を取るべき問題の特定方法も示されている。

ガイドは、サービス部門に焦点を当て、特に労働組合の関与について全体的なプロセスを網羅している。また、企業本体の事業領域、企業本体の事業領域で直接雇用されていない労働者、サプライヤーについて、それぞれのリスク箇所を特定するための質問事項が提示されている。

企業がこれらの質問にどのように回答するかによって、労働組合代表は会社の主なリスクがどこにあるかを把握することができ、企業が回答できない場合は、企業独自の分析に問題があることがわかる。

Ver.diのジェニー・ユンゲヒュルシング氏は、「サプライチェーン法は、ドイツで活動する企業のバリューチェーン全体で労働者の権利を守るための重要なツールであるが、この法律が企業によって効果的に実施されるようにするためには、ドイツとバリューチェーン内の労働組合が関与することも重要である。リスク分析は、デュー・ディリジェンスのあらゆるプロセスの中核的要素。労働組合の活動家は、適切な質問をし、企業のデュー・ディリジェンス報告を積極的に分析することで、デュー・ディリジェンスを効果的なものにすることができる」と指摘した上で、「このガイドブックは、労使協議会の代表や監督委員会の委員が、ドイツや世界中で権利を促進するのに役立つだろう」と述べた。

ドイツのサプライチェーン法は、児童労働、有害化学物質の使用、差別、組合加入や団体交渉の拒否など、第三国で発生したサプライチェーンにおける人権・環境違反に取組もうとするものである。2023年1月1日以降、この法律はドイツ国内で3,000人以上の従業員を雇用する企業に適用され、2024年にはドイツ国内で1,000人以上の従業員を擁する全企業に適用される。同法はまた、サプライチェーンにおける企業のデュー・ディリジェンスの問題について、労使協議会が情報や協議を受ける権利を与えている。

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欧州テレコム部門の社会パートナー、リモートワークに関する共同声明を採択

欧州テレコム部門の社会パートナーである欧州電気通信事業者協会(ETNO)およびUNI欧州ICTS部会が、リモートワークに関する共同声明を発表した。この声明には、地方レベルでの社会対話を通じてリモートワークの取決めを実施するための一連の指針と勧告が盛り込まれている。

リモートワークおよびハイブリッドワークの仕事モデルは、COVID-19パンデミック時に広く導入されてきた。今回の声明により、社会パートナーは、この社会的・技術的発展に適応するための具体的なツールをテレコム部門に提供する。さらに、社会パートナーは、従業員の権利保護を促進し、多様性とつながらない権利を確保するとともに、人権を侵害するような監視方法が制限されるよう、コミットしていく。

指針は、職場での労働安全衛生、ワークライフバランス、リモートワーカーの労働時間、トレーニングに焦点を当て、優良事例を紹介している。また、リモートワーカーの権利と労働条件を、使用者の敷地内で働く労働者と同等になるよう維持するため、労使対話を促進することの重要性が強調されている。

共同声明は、 機会均等とジェンダー中立を確保するために、このワークモデルがワークライフバランスに与える影響を測るべく、リモートワーカーの状況を評価することを推奨している。また、リモートワークとハイブリッドワークの仕事モデルは、技術の進歩に伴って進化し続けることを認識した上で、共同声明は、職場におけるこれらの変化に対応した継続的な社会対話の重要性を強調している。

対面型のハラスメントは減少するかもしれないが、リモートワークは、仕事に関連したネット上のいじめ等、テクノロジーを利用したハラスメントのリスクを高めうる。社会パートナーは、全従業員の意識向上に焦点を当て、そうした状況を予防・監視し、最小限に抑えるための政策の実施や拡充を呼びかけている。

ICT ツールの普及は、リモートワーカーがより生産的に仕事をし、デジタル作業環境を自宅などで再現する上で役立つが、リモートワーカーを監視するための監視ツールのリスクも浮上している。社会パートナーは、国内法または労働組合の団体協約によってしっかりと規制されない限り、そのような監視ツールは制限されるべきであると声を上げている。

指針は、リモートワーカーが、休憩時間、労働時間、仕事関連のデジタル通信を遮断し、つながらない権利、適切なサイバーセキュリティ基準など、オフィス勤務の従業員と同じ権利を享受すべきことを再確認している。明確な期待を設定し、デジタル通信につながらない権利を尊重する文化を醸成することで、使用者はリモートワーカーが健全なワークライフバランスを実現できるよう、支援することができる。

指針は拘束力を持たないが、社会パートナーは、リモートワークに関連する課題に取組むための解決策を見出し、提案を行う。欧州テレコム部門の社会パートナーは、使用者、従業員、政策立案者が共同声明を支持し、労使双方に利益をもたらすリモートワークの取決めを確立するために指針を活用することを奨励している。そうすることで組織は、従業員の権利を守り、包摂性を育みながら、変化する仕事の状況に適応していくことができるのである。


UNI、トリニダード・トバゴの郵便労働者に連帯

UNIおよび世界中のUNI郵便・ロジスティクス部会加盟組織が、10年にわたる低水準の賃金を経て、賃上げを求めて闘うトリニダード・トバゴの郵便労働者に連帯している。

トリニダード・トバゴ郵便労組(TTPWU)が、国内のインフレ高騰の中で36%の賃上げを求める中、ドイツから日本に至るまで世界中のUNI加盟組織が、TTPWUの要求を支持し、トリニダード・トバゴ郵政(TTPost)の経営陣と政府当局に書簡を送付した。

同国政府は、すべての公共部門職員に対して4%の賃上げを提案しているが、ここには2013年以降昇給がなく、2007年以降手当の増額もない郵便労働者も含まれる。組合は、2014年にさかのぼる複数の交渉期間に対する補償を求めているが、政府はこれを繰り返し回避しており、無視し続けている。

デビッド・フォーブスTTPWU書記長は、「政府は団体交渉を避け、非現実的で不当な賃上げを一律に実施しようとしている。賃上げはずっと以前から求められていたことだが、今、急激なインフレとコスト上昇で、労働者は苦しんでいる。多くの労働者は生活のために借金せねばならず、組合も財政難にある組合員を支援している。世界中の仲間からのこのような連帯の意思を示していただき、非常に感謝している。我々のキャンペーンと組合員の後押しになっている」と語った。

トリニダード・トバゴの郵便労働者の平均月給は6,500TTドル(940米ドル)であるが、組合が認識するカリブ海諸国の生活賃金は、月10,000TTドル(1,445米ドル)程度である。2010年に行われた郵便労働者の賃金に関する独立した見直しでは、36%の賃上げが勧告されたが、現在政府はさらなる賃金の見直しを提案している。しかし組合は、この見直しは不要であり、賃金交渉をさらに遅らせるものであると主張している。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「世界中のUNI郵便・ロジスティクス部会加盟組織とともに、我々は賃上げを待ち望んできたトリニダード・トバゴの郵便労働者たちを支持する。皆さんの闘いは、我々の闘いであり、我々は団結し、皆さんに連帯する。我々は政府に対し、郵便労働者が相応の賃金と評価を得られるよう、時間稼ぎをやめ、遅滞なくTTPWUとの真剣な交渉に入ることを求める」と力強く述べた。


米国:アマゾン配送ドライバーと配車担当者がスト

2023年6月15日、アマゾンの配達ドライバーと配車係がピケットラインを張り、米国ではアマゾン初となるストライキを実施した。アマゾンの不当労働行為の停止を要求し、Eコマースの巨大企業が労働組合であるチームスターズと交渉し、低賃金や危険な労働条件などの懸念に対応することを強く求めている。

マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「米国のアマゾン配送ドライバーによるチームスターズのストライキは、同社をあまりにも長く蝕んできた不当労働行為に対する勇気ある行動だ」と称え、「労働者たちは、アマゾンの経営を支える存在であり、公正な待遇と安全な労働条件を求める彼らの要求は完全に正しい。アマゾンの企業行動について責任を追及する彼らの勇気と連帯を賞賛したい。アマゾンはチームスターズと有意義な対話を行い、これらのエッセンシャルワーカーが提起したまっとうな懸念に対応する時が来たのだ」と指摘した。

今回のストライキは、アマゾンのデリバリーサービスパートナー(DSPs)であるバトルテスト・ストラテジー(BTS)の配送ドライバーと配車係が、ロサンゼルスに拠点を置くチームスターズ396支部と共同で、4月に組合を結成したことに端を発する。この労働者たちは、BTSとの間で団体協約の交渉と締結に成功し、アマゾンの広範な配送ネットワークに従事する労働者をカバーする初の協約となった。しかしアマゾンは、BTSおよび労働者の雇用条件について大幅な管理権限を有しているにもかかわらず、協約の承認と尊重を拒否し、米国の労働法に反する数々の不当労働行為を行っている。

チームスターズのランディ・コーガン・アマゾン部門長は、「アマゾンは、法の支配、労働者の健康や労働者の家族の生活を全く尊重していない」と述べ、「労働者がストライキを打ったのは、この企業犯罪者が利益だけに関心を寄せているからだ。我々は、労働者の権利を侵害することは、もはや通常のビジネスとして通用しないというメッセージをアマゾンに送っている」と、強い言葉で非難した。

夏の間、ロサンゼルスのパームデールでは、気温は常に37度を超える。こうした環境の中で働くことについての安全上の懸念から、アマゾンの配送ドライバーは、労働組合であるチームスターズと手を組んだ。団体協約では、安全な機器を操作し、危険な配送を拒否する労働者の権利が保障されている。しかし、こうした協約上の保護を実現するには、アマゾンがDSPsを全面的に管理下においていることを考慮すれば、アマゾンの搾取的な労働慣行を全面的に改める必要がある。

アマゾンの配送ドライバーでチームスターズの組合員セシリア・ポーター氏は、「アマゾンのバンの後部は、夏にはオーブンのように熱い。めまいや脱水症状を感じたこともある」と訴え、「だが、休憩を取ると、なぜ配達が遅れているのかと電話がかかってくる。自らを守ること、安全が第一だと伝えている」と語った。

ストを展開する中で労働者は、公正な待遇と労働条件の改善を求めて闘う姿勢を貫いている。集団的な行動によって、アマゾンに対し、労働者の福利厚生について責任を負わせ、労働者の権利が決して損なわれたり軽視されたりしてはならないという強力なメッセージを送っているのだ。


スイス:ジェンダー平等を求める数十万人の女性がストライキ

2023年6月14日、スイスで30万人以上の女性が街頭で「フェミニスト・ストライキ」を実施した。欧州の富裕国スイスにおいても、ジェンダー平等は現実にはほど遠く、平均的な女性の収入は、依然として男性よりも5分の1程度低い。

全国各地の職場行動やその後の大規模な集会で、女性労働者は、尊厳ある賃金と年金、公正な労働時間、差別とセクハラの撲滅などを要求した。

ルツェルンでは、25人の女性が職場の同僚を率いて、始業時に職場であるSOSクリーニングの入り口を封鎖し、同一賃金、嫌がらせや差別の撲滅を求めるとともに、移動時間の未払いや賃金支払いの遅延に抗議した。こうした行動が功を奏し、会社は要求に同意し、組合Uniaとの間で協約を結んだ。

ベルン州ドッツィゲンの民間介護施設テルティアヌムで働く女性たちは、昼休みを延長し、経営者に要求リストを提出した。介護労働者は、人員配置の強化と尊厳を得るために闘っている。ラ・ショー・ド・フォンの町では、さまざまな介護施設から集まった50人以上の女性が、午後に一斉に職場を離れ、介護部門の労働条件改善を求めて集会を開いた。

小売業に従事する女性労働者もスイスの複数都市で抗議行動を行い、ローザンヌとジュネーブの主要なショッピング街で最大規模の行動を実施した。労働組合Uniaの支援の下、小売業における賃金改善、正規雇用、ワークライフバランスの改善を求めて闘っている。

ヴォー州では、准薬剤師がより良い条件を求めて闘っており、ローザンヌやルトリなどの地域では、低賃金と不当な労働条件について注意を喚起し、団体協約を求めてストライキを行った。大きな責任を伴う業務であるにもかかわらず、それに見合った評価が得られていないのである。

郵便・ロジスティクス部門で働く女性労働者は、所属する組合syndicomとともに、ベルンのスイスポスト本社や、ヘルキンゲンとミューリンゲンのレターセンター前など全国でジェンダー平等と同一賃金を求める行動を行った。

フェミニスト行動日には、syndicomはスイス最大の通信会社スイスコムに公開書簡を届け、同社で働くすべての労働者の均等待遇を実現するための追加措置を求めた。

アルケ・ベシガーUNI副書記長は、ローザンヌのデモ行進において、「フェミニスト・ストライキにおける大規模な女性の参加と、職場での力強い行動の数々は、女性がジェンダー平等の実現に、待ちくたびれていることの現れだ。政府と使用者は、職場の水準引き上げのために、今すぐ行動しなければならない。我々は、スイスをはじめ世界中の加盟組織とともに、女性の尊重、権利、同一賃金を求めていく」と語った。


ベラルーシは、投獄された労働組合員の釈放を!

2023年6月中旬にジュネーブで、UNIは世界中の組合や労働組合活動家とともに、ベラルーシにおける労働者の権利の抑圧に抗議し、投獄されたベラルーシの労働組合員の即時釈放を求めた。

今回の釈放要求は、ベラルーシ政府が20年間にわたって不作為を続け、労働者の権利を無視し、無数の労働組合員を逮捕していることについて、ILOが同憲章第33条に基づく決議を採択するという歴史的な決定を受けたものである。このプロセスは、ILOの100年を超える歴史の中で、過去に一度だけ適用されたことがある。 今回の動きによって、結社の自由を侵害するベラルーシに対する制裁と、同国で労働者の権利を守るために迫害されている人々への支援が、強化されることが期待される。

マクシム・パズニアコウ・ベラルーシ民主労働組合会議(BKDP)会長代行は、集会の中で、「刑務所にいる人たちにとって、皆さんからの支援は非常に重要だ。『外から支援を受けている自分たちは、決して孤独ではない』と感じることができる」と挨拶した。

アルケ・ベシガーUNI副書記長は、「ベラルーシ政府は、労働者の基本的権利を守るために立ち上がったために投獄された労働組合員全員を、直ちに釈放しなければならない。UNIは国際社会に対し、ILOの歴史的な決定をフォローアップし、ベラルーシの人々の自由を守り、同国のすべての労働者が基本的権利を自由に行使できるよう、必要なすべての措置を講じていくことを求める」と訴えた。

ベラルーシにおける労働組合の権利を求める闘いについて、詳細はこちらから(英文)。


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