5月 2023のお知らせ

UNI書記長「ILOは米国型の組合潰しを基本的権利の侵害と認めるべき」

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、フォーチュン誌に寄せた記事の中で、ILOは、米国式の組合潰しが結社の自由と団体交渉権を保護する中核的労働基準を定めた条約違反であることを明確にすべきだ、と主張した。

国際基準が徐々にグローバル・ガバナンスの一部となる中、米国の使用者は、反組合キャンペーンを禁止するILO条約の批准に反対するロビー活動を自国政府に対して行うことから遠ざかっている。代わりに使用者は、これらの基準をねじ曲げて、米国のモデルをグローバルなものに仕立てようとしているのである。同書記長は、次のように警鐘を鳴らす。

今日、使用者は主張を変えてきている。彼らは、米国における使用者の干渉を保護するだけでなく、これをグローバルな慣行として規範化することを望んでいるのである。今や米国の使用者は、国連グローバル・コンパクトのような、国際的なルールの尊重を義務づけるグローバルな原則に署名することを躊躇しない。しかし使用者側が主張しているのは、「言論の自由」は、「不干渉」、つまり使用者から一方的な圧力をかけられることなく、労働組合を持つか持たないかを選択する従業員の権利に優先するのであり、ゆえに、自らの組合潰し行為は、ILO基準に矛盾しないということなのだ。そうすることで企業は、従業員に対してほとんど無制限に大々的に演説し、さらには労働組合の「危険性」について嘘をつく、国際的に認められた権利があるとしているのである。

今回のホフマンUNI書記長のILOに対する呼びかけは、米国の組合(AFL-CIO、SEIU、Workers United)が、米国の労働法は労働者の結社の自由および団体交渉の権利を保護していないと主張する訴状を提出したのを受けてのものだ。スターバックスにおけるいくつかの違法な反組合的行動を挙げ、訴状は、同社の経営陣、労働者、組合スタッフ、政府関係者にインタビューする「現場でのミッション」を求めている。

ホフマンUNI書記長は、ILOがこれらの違反を認めたところで、米国の法律が変わるわけではないとしつつ、「国連やILOの陰に隠れて組合潰しの戦術を正当化することはできないというメッセージを企業に送ることになる」と述べている。


アマゾン株主、労働者の権利を守るために立ち上がる

2023年5月24日のアマゾン株主総会では、労働組合の権利を含め、環境・社会・ガバナンスのいわゆるESG問題を、投資家が同社に突き付けた。

例えば、約47万人の会員と130億米ドルの運用資産を擁するイタリア最大のコメタ年金基金は、アマゾンのジェフ・ベゾスCEOの再選に反対した。背景にあるのは、労働者の権利や人種・性差別に関するアマゾンの非常に劣悪な状況であり、 労働安全衛生、労働者の公民権や権利、賃金の公平性、環境の持続可能性を保護することを目的とした議題を含む20以上の追加議題について、同基金は投票権を行使した。

ここ数週間では他にも、ノルウェー銀行投資マネジメント部門や、デンマークの12の年金基金グループなどの有力な投資家が、アマゾンの結社の自由への取組みについて第三者による評価を求める第16号株主決議案を公的に支持している。さらに、資産運用を専門とするシュローダー社は、労働条件に関する報告書を求める第21号決議案に賛成票を投じることを発表している。

アマゾンの労働者が、出席した株主と取締役会にこれらの決議案を提出した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「労働条件に関して、投資家は透明性と説明責任を求めており、アマゾン労働者の権利を含め、人権状況の改善を目指して投票した基金を称賛したい」と語り、「企業の説明責任は、団体交渉と労働組合がなければ不可能だ。だからこそ、アマゾン等の企業の役員が結社の自由を尊重するよう、すべてのステークホルダーが要求していくことが非常に重要だ」と強調した。

UNIは昨年、グローバルユニオンの労働者資本委員会(CWC)とともに、企業が労働者の団結権や団体交渉権を侵害する場合に、投資家がなぜ、どのように対応すべきかをまとめた報告書『繁栄の共有』を発表している。


UNI、米国の監督組合に連帯

UNIおよびUNIメディア部会は、全米映画テレビ製作者同盟(AMPTP)との間で公正な協約を求めて闘う米国監督組合(DGA)への連帯を表明する。UNIは、世界中で150のメディア関連の労組/ギルドを代表している。

同じくUNI加盟組織である米国脚本家組合が、しかるべき尊厳、敬意、報酬を求めてAMPTPに対してストライキを行う中、DGAの現行の3年間の協約は、2023年6月30日に期限を迎える。脚本家組合と同様、Netflixやアマゾンなどの動画配信サービスに対する未払いの報酬も、今回の交渉の重要な課題の1つだ。

ジョン・アヴネットDGA交渉担当共同部長は「今年の交渉は、今後3年間のために強力な協約を交渉するだけではない。我々の業界の将来の方向性を定め、何十万もの組合員の雇用の持続可能性を確保しようとするものだ」と語り、トッド・ホランド同共同部長は「我々は、新しいグローバルな未来から公平な分け前を受け取るために闘っている」と加えた。

DGAは交渉の中で、インフレに見合った賃上げ、医療・年金制度の保護、テレビ・映画産業における危険なまでの長時間労働に対処する安全衛生の向上を求めている。同産業の長時間労働は、UNIの調査でも明らかになっている。

今回の交渉は、映画俳優/テレビ・ラジオ芸能組合(SAG-AFTRA、同じく6月30日に協約の期間が満了となる)とAMPTPの交渉が6月7日に開始されるのを前に、協約締結までの期間が短く、非常に複雑な状況下で行われている。

これまでの交渉とは異なり、動画配信は、かつて映画やテレビで利益を公平に分配していた従来のライセンスモデルを根底から覆すため、交渉は、非常に重大だ。一方でAIは、制作のあらゆる側面を変容する脅威となっている。カレン・ガビオラDGA交渉担当共同部長は、19,000人の組合員に向けた動画の中で、「世界中で爆発的に普及した映像配信は、我々の作品がどこでどのように視聴されるのかを、一変させた。我々の協約は、変化する制作と配信に対応したものでなければならない」と語る。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、UNIを代表してDGA組合員に宛てた連帯書簡の中で、「皆さんの闘いは私たちの闘いです。公正な賃金の確保、職場における組合員の権利と尊厳の保護は、UNI メディア部会の加盟組織のキャンペーンの中核を成しており、しばしば同じグローバル企業を相手にしています。映像配信への移行が進む中、現場のアーティストや労働者は圧迫されています。労働組合は、世界中の娯楽産業の労働者に影響を及ぼしている、仕事へのさらなる圧力、持続不可能な報酬モデル、危険なまでの長時間労働と闘うため、断固たる態度で臨んでいます」とエールを送った。

2000年の設立以来、DGAはUNIで積極的に活動しており、UNIメディア部会と協力し、世界中の監督組織の成長を支援し、団体交渉を後押ししてきた。UNIメディア部会の加盟組織が共にキャンペーンを展開している、世界の娯楽産業の公正な変革において、現場のアーティストと労働者の未来を守る強力で公正なDGAの協約は、極めて重要である。

マシュー・ローブUNI世界メディア部会議長(米国、IATSE) は、「我々は、AMPTPとの交渉を続けるDGAを支持する。我々の願いは、グローバルな映画スタジオが、このグローバル産業の未来を反映した公正な報酬、医療保険・年金への拠出、著作権、多様性、安全な撮影環境に合意することだ。我々はともに立ち上がる!」と強力な連帯を示した。


新たな報告書:世界中の労働組合がアルゴリズム管理の問題に回答

近年、アルゴリズム管理システムの利用がさまざまな産業で劇的に加速し、使用者は労働者の福利厚生やプライバシー、賃金を犠牲にして生産性を優先させる新たな方法を手にしている。

こうした問題に緊急に対処する必要性から、UNIは新たな報告書『アルゴリズム管理:集団行動のチャンス』を発行した。 報告書は、既存の法的枠組みや交渉メカニズムを用いて、組合がどのようにアルゴリズム管理システムに対抗しうるのか、有益な指針を提供するとともに、今後の団体交渉に向けた具体的な提言も行っている。

アルゴリズム管理システムは、広範な監視とモニタリングによって、労働者と管理者にリアルタイムでパフォーマンス情報を提供している。しかし、このようなシステムでは、非現実的な生産性目標が課されることが多く、従業員に多大なプレッシャーを与え、身体的・精神的健康の悪化に繋がっている。

世界中の労働組合がこうした状況に立ち上がり、より安全な労働条件を要求し、これらのテクノロジーがもたらす生産性の利益の公正な分配を提唱している。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、この重大な局面における組合の意義を強調し、「アルゴリズムによる管理は深刻な新しい課題を突き付けているが、こうした新たなリスクに立ち向かう上で、労働者を代表する従来のツールは今なお重要である。労働組合には、テクノロジーの利用をめぐる交渉の長い歴史があり、何年も前に機能していた原則が、今日においても鍵となっている。労働組合は、交渉権に加えて、休憩や安全に関する既存の保護規定や、データ保護やプライバシーをカバーする新しい法律にも目を向けている。この報告書が目指すのは、こうした取組みの好事例をまとめ、互いに学び、職場における尊厳をすべての人にもたらすことだ」と語った。

グローバルな調査を通じて、UNIは、過剰なアルゴリズム管理に対処するための4つの重要なツールを特定した。
1:使用者の不公正かつ/または人権侵害的な行為を規制するデータ保護法
2:休憩や休息時間を義務付ける公正労働基準
3:安全衛生に関する規制
4:新しいテクノロジーの使用に関する交渉や協議の義務についての規定

報告書には、アルゴリズム管理が労働者に与える影響に関する交渉の指針も盛り込まれている。テクノロジー導入前に通知を受ける権利、差別の可能性を含むテクノロジーのリスクやその他の影響を評価する期間、透明性と情報を得る権利、安全衛生関する懸念に対処するための独立した労働者委員会の設置、意思決定プロセスにおける人による監督の要求などである。

UNIは組合によるアルゴリズム管理への対応について調査を継続しており、加盟組織に対し、新しい団体協約や提案、アルゴリズム管理に関する取組みなど、あらゆる情報を共有し、この進行中のプロジェクトへの参加を呼びかけている。

報告書(英文)はこちらから、日本語訳はこちら


幅広い視野をもった労働リーダーに!JP労組中国地方本部『次世代役員育成セミナー』

2023年5月25日、東京で、JP労組中国地方本部『次世代役員育成セミナー』が開催され、JP労組中国地方本部より14人の若手組合員が参加した。

この研修は、次世代を担う組合役員の国際労働運動に関する知識向上と意識の醸成を目的に開催されており、毎回「UNIの活動」について紹介する機会をいただいている。上田UNI-LCJ事務局長は、世界およびアジア太平洋地域の郵便・ロジスティクス部門が抱える課題や、UNI/UNI Aproの取組みを概説し、JP労組が果たしている国際労働運動における役割やUNIのネットワークを通じた連帯、社会貢献活動等を紹介した。

最後にJP労組の若手組合員のメッセージとして、「積極的にUNIを利用し、幅広い視野をもった労組リーダーになってほしい」と国際労働運動への積極的な参加を呼びかけた。


UNIとテレパフォーマンス、ルーマニアでグローバル枠組み協定を前進させる

2023年5月中旬、UNI、ルーマニアの加盟組織SITT、テレパフォーマンスは、同国で労働者の権利に関する国内協定に調印した。今回の進展は、2022年12月に締結したUNIと同社の間のグローバル枠組み協定の一環である。

協定の条項の下、ルーマニアのテレパフォーマンス経営陣は、労働者の組合加入の権利について中立を保つ。SITTは、コールセンターとリモート勤務の労働者にアクセスすることができ、新入社員研修時に説明を行ったり、国内の約1,800人の従業員(うち9割はリモート勤務)に毎月ニュースレターを送ったりすることができるようになる。

フロレンティン・イアンクSITT委員長は、「この協定は、ルーマニアのコールセンター労働者にとって、仕事と生活を改善するための大きな前進だ」と喜び、「労働者は、組合加入のメリットについて学び、恐怖感や誤った情報なしに、自分で意思決定することができる。そして共に、さらに働きやすい職場にしていくことができる」と語った。

2022年12月に調印されたグローバル枠組み協定では、最初に重点的に取組むべき5カ国として、コロンビア、エルサルバドル、ジャマイカ、ポーランド、ルーマニアが特定された。4月にコロンビアで協定が締結し、今回のルーマニアにおける協定は、 UNIとテレパフォーマンスの間の2番目の国内協定である。 UNIは今後数週間のうちに、残りの国での締結を発表したい考えだ。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「ルーマニアでこの画期的な節目を迎えることができたことを嬉しく思う。SITTがテレパフォーマンスで強力な組合を構築するのを支援できることを楽しみにしている」と語り、「この進展を基に、国内およびグローバルレベルで、テレパフォーマンスとの建設的な関係を深めていきたい」と意欲を語った。


マレーシアのイケア労組、初の団体協約を締結

マレーシアのイカノ・ハンデル労組が、2023年5月22日、イカノ・ハンデルと初の団体協約を締結した。イカノはイケアのフランチャイズ加盟店の一つだ。

クアラルンプールのダマンサラにあるイケア本社で行われた調印式には、モハメド・シャフィーBPママルUNIマレーシア加盟協(UNI-MLC)議長と、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長が立ち会った。

イカノ・ハンデル経営陣からは、マルコム・プルイス国内販売部長とキャロライン・ライネオ販売部門人事部長、組合からは、スハイダ・シャムスディン委員長とジャスメラ・イスマイル氏が出席した。

団体協約の有効期間は、2023年5月1日から2026年8月31日までの3年間である。

シャムスディン委員長は、「団体協約が円滑に締結されたことを嬉しく思う。組合員の意欲を高め、イケア・マレーシアを素晴らしい職場にするため、従業員と経営陣がさらなる協力をしていくことを期待している」と述べた。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、団体協約を締結したイカノ労使を祝福するとともに、「スマートパートナーシップ労使関係の精神と原則に基づき、交渉を通じて組合を導いたUNI- MLCの絶え間ない支援があったからこそ、今日の団体協約締結に立ち会うことができた」と語り、UNIマレーシア加盟協にも賛辞を送った。


スポーツの人権団体、虐待の被害に関する新たな報告書

2023年5月中旬、スポーツの人権団体「スポーツ・アンド・ライツ・アライアンス(SRA)」は、25名以上の虐待被害を受けたアスリートと被害者組織の代表者を対象としたフォーカスグループ調査とインタビュー等をまとめた報告書を発表した。 SRAは 、経験共有や学びの促進、より強力な提言を行う国際ネットワークの幅広い必要性が明らかになったとしており、調査結果に基づき、まもなく「アスリート被害者の世界ネットワーク」を立ち上げる予定である。

アンドレア・フローレンスSRA事務局長は、「今回の取組みは、アルゼンチン、ブラジル、米国、その他の国々における警察暴力に反対する母たちの運動に触発されたもの」と語り、「世界レベルのつながり、代表性、アドボカシー、支援を促進するため、被害者主導のネットワークを構築する機会を探っていたが、被害者の答えは「イエス」であった。我々はこのニーズを満たす後押しができることを、嬉しく思う」と述べた。

調査では、多様な層から視点を集めるため、交差的かつ横断的なアプローチが取られ、アフガニスタン、アルゼンチン、ブラジル、イラン、ケニア、マリ、南アフリカオーストラリア、カナダ、フランス、アイルランド、英国、米国から25名が参加した。

本調査を主導した元オリンピック選手で自身も虐待被害者であるヨアナ・マラニョン氏は、「我々が望む変化を得るためには、生きた経験を持つアスリートの声から始める必要がある」と述べ、「これまで黒人、先住民、有色人種はこうした議論から排除されてきた。あらゆる取組みの確固たる証拠基盤を確立できるよう、グローバルサウスのできるだけ多くの人々から話を聞き、周縁から始めることが重要だ」と強調した。

プロジェクトでは、被害者と関わる上で再トラウマ化や苦痛が生じるリスク等を認識し、トラウマに配慮した原則と「害を与えない」ケアの倫理を用い、すべての参加者の安全、ウェルビーイング、自律性が優先された。プロジェクトの進行を管理した、パラリンピック選手かつ研究者でもあるステファニー・ディクソン氏は、「我々のアプローチでは、参加者が認められ、肯定され、耳を傾けられるような空間を作ることを目指した」と述べ、「参加者の安心感や肯定感に配慮することは、チェックリストにあった事項ではなく、参加者の合意や継続的な傾聴、学習、成長へのコミットメントを通じて醸成・促進された」と振り返る。参加のレベルや参加方法には選択肢があり、不快感を伝えたり、苦痛を伴う話題から会話を遠ざけるよう、進行役に依頼したりすることも可能だ。

プロジェクトのコミュニケーションと被害者支援のコーディネーターであるレイチェル・コージー氏は、「最も驚いたことの1つは、被害者が、補償やサポートが提供されないまま、相談やインタビュー、スポーツにおける虐待の話について講演を求められることが、いかに多いかということ」と述べ、「スポーツにおいて彼らがすでに経験した被害を考えると、無償の労働を期待するこうした慣行と、それに伴ってしばしば生じるさらなる被害は、本当に衝撃的であり、終止符を打たなければならない」と強調した。

2022年5月から11月にかけて実施された調査を通じ、被害者であるアスリートの3つのニーズ(回復、声、正義)に焦点を当てた国際的な連帯ネットワークの必要性について、強いコンセンサスが得られた。

マラニョン氏は、「取り組まなければならないことが多くあるが、被害者がピアツーピアのサポート、研修、緊急資金を得ることができる場所、そしてアドボカシー、研究、代表活動を行うための基点となる場所を作りたい」と述べ、「その目的は、被害者による被害者のためのネットワークを構築することであり、すべての段階において被害者の利益を最優先することだ」と訴えた。

ブレンダン・シュワブ世界選手会担当局長は、「競技者の組合は、被害者に連帯し、虐待をめぐる組織化、安全な職場環境の交渉、被害者のニーズ充足に向けて尽力する。特に組織化する権利が尊重されていない国々において、この取組みは重要だ」とし、「世界選手会はこの新たなプロジェクトを全面的に支援しており、我々は制度改革に向けて被害者の声と要求を増幅させていく」と語った。

報告書の全文は、こちらから(UNIウェブサイト内、英文)


UNI、世界選手会、ITUC、アムネスティ・インターナショナル等の組織が、スポーツ・アンド・ライツ・アライアンス(SRA)のパートナーとなっている。SRAは、主要なNGOや労働組合の世界的な連合体として、スポーツ団体、政府、その他の関係者が、人権、労働権、子どもの福祉と保護、腐敗防止に関する国際基準を保護、尊重、実現するスポーツ界を実現するため、連携している。


コロンビアで社会改革に取組む医療労連が結成

コロンビア議会で進められている社会改革に連携して取組むため、同国の医療従事者5,300人を代表する労働組合6団体が、「コロンビア医療労連」を結成した。

2023年5月10日、コロンビア共和国議会で結成が発表された医療労連は、UNI米州と連携し、ケア部門に関する労働者の懸念を議会に伝えるとともに、労働者と患者のために責任ある公平で質の高い医療制度を求めて闘うことを目的としている。

同労連は共同声明の中で、「この歴史的な好機を捉え、我々は今、最高レベルでの決定に対する責任を受け入れなければならない。大企業、製薬業界、EPS(医療サービスの提供を行う組織)が自らの利益のためにロビー活動を展開しているように、我々も労働・年金・医療制度改革の過程で、自らの権利に向き合う参画のダイナミズムを確立することが我々の義務である」と述べている。

マルシオ・モンザネUNI米州地域書記長は、「労連は、コロンビアに変革の大きなチャンスが到来したタイミングで発足した。医療労連による改革プロセスへの貢献は、間違いなく非常に貴重なものとなる。医療部門に関する経験と生きた知識があり、また、この地域の団結の模範を示すものでもあるからだ」と語った。

労連結成に際し、同国のエドウィン・パルマ・エゲア労働関係副大臣は、労働組合の団結を称賛し、「改革のために前進するためには、間違いなく、労働者の団結、動員、議会でのアドボカシーが必要だ。国内の社会的格差の是正を進め、1500万人の労働者の生活を改善し、コロンビアが過去30年間求めてきたように、憲法上の義務、裁判所の命令、国際法の適用を遵守することによって労働組合運動に大きな行動力を与えるためには、団結が必要なのだ」と強調した。

労連は、同国で進められている改革を踏まえ、社会対話を引き続き推進することについての提案を発表している。


ホフマンUNI書記長、「組合は重要なデジタル・ガードレール」

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、2023年5月初旬にオンラインで開催されたパネルディスカッション『データ・オン・パーパス2023:労働者のためのテック・ワークを実現する』の中で、新たなテクノロジーが仕事を変えていく中で、労働者の権利を守る上で、強力な組合と団体交渉が不可欠であると語った。

ホフマン書記長は、ミーラ・ジョシュ・ニューヨーク市副市長、オックスフォード大学フェアワーク・プロジェクトのカビタ・ダッタニ博士研究員 とともに、パネルディスカッション『労働者のためのデジタル・ガードレールの構築』の中で講演した。

特にアルゴリズム管理システムなど、テクノロジーを使った職場におけるデータ収集範囲や人権侵害はここ数年で急速に変化しているが、同書記長は、テクノロジーが労働者に及ぼす多くの課題は、既存の解決策で根本的に解決できると訴えた。

「労働組合は何十年も前からテクノロジーをめぐる交渉を行ってきた。例えば、製造業では1980年代にロボットが導入され始めたが、その頃からの重要な原則(通知、リスク評価、実施と影響に関する交渉)の多くは、現代においても有効だ。(中略)例えば、ドイツでは、労使協議会が、アルゴリズム管理システムによって収集された個人データの使用を制限し、日単位や時間単位の個人指標としてではなく、チームレベルの実績を長期的に評価するためにのみ使用できるようにしてきた。」

また、コールセンターにおける全米通信労組(CWA)の協定について紹介し、モニタリングは毎月特定の時間に限定すること、モニタリングが行われる際には労働者に通知すること、モニタリングは懲戒ではなくフィードバックを目的とすることを求めていると述べた。

さらに、UNIが最近、大手コールセンター企業と締結したグローバル協定で、業務上の監視が業務上の必要性と比較して「不釣り合い」であってはならない旨を定めている点も例に挙げ、 「勤務時間中ずっとカメラで監視されているようなことを、受け入れるべきではない」と強調した。

また、こうした監視によって労働者は心理社会的ストレスにさらされ、また身体的なダメージにつながる可能性もあり、極端な監視で労働者の生産ペースを押し上げているアマゾンでは、負傷率が高くなっている。人間離れした目標を達成しなければならないというプレッシャーから、労働者は法律で義務付けられている休憩をとれなくなることもある。

企業によるこうした行き過ぎた行為を組合が止められるよう、UNIは今後数週間以内に、世界中の労働者が集団の力を使ってテック・ワークをどのように自らにとってより良いものにしてきたかについて、詳述した資料を発行する予定だ。

最後にホフマン書記長は、「企業がビジネスのやり方を変える際は、労働者と話をしなければならない。組合と対話を行い、新しいツールを適切に導入し、発生した問題を解決するために、強力で独立した安全衛生委員会、あるいは技術委員会が設置される必要がある」とまとめた。


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