世界中の組合が昨年、安全衛生をILOの基本的権利とすることに成功した。そして今、労働者はより安全な仕事を求めて組織化し、特に安全衛生委員会を設置し、苦労して得た成果を現実のものとしている。
UNIは、4月28日の国際労働災害犠牲者追悼日(労働安全衛生世界デー)に、職場で命を落とした人々を追悼し、負傷した人々を見舞うとともに、仕事における被害を防止するための取組みをさらに強化していく。安全衛生委員会は、危険な労働環境に対する第一の防衛線である。
安全衛生委員会は、パンデミック以降、かつてなく重要性を増している。パンデミックのピークが過ぎ去ったとはいえ、個人用保護具の不足、第三者による暴力の増加、長時間労働、過酷な労働ペース、労働者のメンタルヘルスへの負荷の増大は、根深く深刻な問題となっている。
しかし、労働者は反撃に転じおり、労働組合を通じ、自らの仕事をより安全なものにしようと取組んでいる。
クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「生活費の危機は、ストライキや職場での行動に拍車をかけたが、それと同じくらい重要なのは、パンデミックが安全衛生をめぐる組織化を再活性化させたことだ」と述べ、「職場でウイルスに感染したために、数え切れないほどの労働者が死亡し、また長期に及ぶ影響を受けたりしている。しかし、労働者が直面している深刻なリスクはOCVID-19だけではない。労働者は、より少ない時間と賃金で、より高い生産性を求める使用者によって、限界まで追い込まれている。このような厳しい状況は、労働者の身体に負担をかけるとともに、精神衛生もむしばんでいる」と指摘した。そして、「我々が世界中の労働組合とともに、仕事をより安全なものにし、安全衛生委員会を強化するために立ち上がっているのは、そのためだ。仕事は尊厳とエンパワーメントの源であるべきで、被害や病気、死をもたらすものであってはならない。負傷者も死亡者も、たった一人であっても、望ましくない」と語気を強めた。
昨年UNIは、アウトソーシング顧客サービス大手のテレパフォーマンスと画期的なグローバル枠組み協定に合意した。この協定には、職場で働く労働者とリモートワーカーの双方の従業員の問題に対処する、選挙で選ばれた組合の安全衛生委員会の設立が含まれている。また、安全衛生委員に対する研修や、職場のあらゆる危険を特定し改善するためのプロセスも規定されている。
また協定では、心理社会的リスクに対処するため、業務上の監視について「業務上の必要性に応じて」、「労働者のプライバシー権を尊重する」として、これを制限している。テレパフォーマンスは、カメラやAIモニタリングなどの監視ツールを会社がどのように使用するか、また、そのデータをどのように実績評価に使用するかについて、労働者に通知することになっている。
UNIは、より安全な仕事とより強力な組合のために組織化能力を高めている世界中の加盟組織とともに歩んできた。例えば、ネパールのUniPHINに支援を行ってきたが、安全衛生委員会が病院労働者の組織化において重要な役割を果たすようになっている。UniPHINは、パンデミックのピーク時である2021年に、労働者の安全衛生に関する研修を開始した。この研修を通じて、組合は安全衛生委員会を創設し、労働者は個人防護具、メンタルヘルス支援、休暇を得られるようになった。
オルグも務めるプラティマ・バッタUniPHIN財務部長は、「多くの労働者にとって、UniPHINは希望の源であり、困難な時期にも新しい組合員を組織することができた」と述べる。
ペルーのトトゥス・ハイパーマーケット労組は、2016年から同社の従業員に対し、自らの安全衛生代表を選ぶ権利について教育するキャンペーンを行ってきた。その結果、会社側からの干渉にもかかわらず、組合代表が安全衛生委員会に十分に参画できるようになった。同労組は、労働安全衛生の課題をめぐって労働者の訓練と組織化に投資したことで、負傷者が減少し、また組合も強化された。
労働安全衛生の取組みによって刺激を受けた若い組合員が、全国のトトゥス店舗で座り込みを行い、組合の力が発揮された。新協約の交渉で会社に譲歩を迫った結果、大幅な賃上げが実現したのである。組合員が連帯し決意を示した結果、安全衛生委員会が労災を防ぐだけでなく、他の問題をめぐって組織化できるということを示したのである。
クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「労働安全衛生は基本的権利であるが、組合がなければ、労働者の権利が軽視されることを我々は目の当たりにしてきた。国際労働災害犠牲者追悼日にあたり、我々は世界中の組合と協力し、組織化を通じて安全な仕事を確保し、安全衛生委員会の重要性を強調したい」と力を込めた。
ITUCの国際労働災害犠牲者追悼日の資料はこちらから。