4月 2023のお知らせ

国際労働災害犠牲者追悼日: 安全衛生委員会を通じ、より安全な仕事に向けた組織化を

世界中の組合が昨年、安全衛生をILOの基本的権利とすることに成功した。そして今、労働者はより安全な仕事を求めて組織化し、特に安全衛生委員会を設置し、苦労して得た成果を現実のものとしている。

UNIは、4月28日の国際労働災害犠牲者追悼日(労働安全衛生世界デー)に、職場で命を落とした人々を追悼し、負傷した人々を見舞うとともに、仕事における被害を防止するための取組みをさらに強化していく。安全衛生委員会は、危険な労働環境に対する第一の防衛線である。

安全衛生委員会は、パンデミック以降、かつてなく重要性を増している。パンデミックのピークが過ぎ去ったとはいえ、個人用保護具の不足、第三者による暴力の増加、長時間労働、過酷な労働ペース、労働者のメンタルヘルスへの負荷の増大は、根深く深刻な問題となっている。

しかし、労働者は反撃に転じおり、労働組合を通じ、自らの仕事をより安全なものにしようと取組んでいる。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「生活費の危機は、ストライキや職場での行動に拍車をかけたが、それと同じくらい重要なのは、パンデミックが安全衛生をめぐる組織化を再活性化させたことだ」と述べ、「職場でウイルスに感染したために、数え切れないほどの労働者が死亡し、また長期に及ぶ影響を受けたりしている。しかし、労働者が直面している深刻なリスクはOCVID-19だけではない。労働者は、より少ない時間と賃金で、より高い生産性を求める使用者によって、限界まで追い込まれている。このような厳しい状況は、労働者の身体に負担をかけるとともに、精神衛生もむしばんでいる」と指摘した。そして、「我々が世界中の労働組合とともに、仕事をより安全なものにし、安全衛生委員会を強化するために立ち上がっているのは、そのためだ。仕事は尊厳とエンパワーメントの源であるべきで、被害や病気、死をもたらすものであってはならない。負傷者も死亡者も、たった一人であっても、望ましくない」と語気を強めた。

昨年UNIは、アウトソーシング顧客サービス大手のテレパフォーマンスと画期的なグローバル枠組み協定に合意した。この協定には、職場で働く労働者とリモートワーカーの双方の従業員の問題に対処する、選挙で選ばれた組合の安全衛生委員会の設立が含まれている。また、安全衛生委員に対する研修や、職場のあらゆる危険を特定し改善するためのプロセスも規定されている。

また協定では、心理社会的リスクに対処するため、業務上の監視について「業務上の必要性に応じて」、「労働者のプライバシー権を尊重する」として、これを制限している。テレパフォーマンスは、カメラやAIモニタリングなどの監視ツールを会社がどのように使用するか、また、そのデータをどのように実績評価に使用するかについて、労働者に通知することになっている。

UNIは、より安全な仕事とより強力な組合のために組織化能力を高めている世界中の加盟組織とともに歩んできた。例えば、ネパールのUniPHINに支援を行ってきたが、安全衛生委員会が病院労働者の組織化において重要な役割を果たすようになっている。UniPHINは、パンデミックのピーク時である2021年に、労働者の安全衛生に関する研修を開始した。この研修を通じて、組合は安全衛生委員会を創設し、労働者は個人防護具、メンタルヘルス支援、休暇を得られるようになった。

オルグも務めるプラティマ・バッタUniPHIN財務部長は、「多くの労働者にとって、UniPHINは希望の源であり、困難な時期にも新しい組合員を組織することができた」と述べる。

ペルーのトトゥス・ハイパーマーケット労組は、2016年から同社の従業員に対し、自らの安全衛生代表を選ぶ権利について教育するキャンペーンを行ってきた。その結果、会社側からの干渉にもかかわらず、組合代表が安全衛生委員会に十分に参画できるようになった。同労組は、労働安全衛生の課題をめぐって労働者の訓練と組織化に投資したことで、負傷者が減少し、また組合も強化された。

労働安全衛生の取組みによって刺激を受けた若い組合員が、全国のトトゥス店舗で座り込みを行い、組合の力が発揮された。新協約の交渉で会社に譲歩を迫った結果、大幅な賃上げが実現したのである。組合員が連帯し決意を示した結果、安全衛生委員会が労災を防ぐだけでなく、他の問題をめぐって組織化できるということを示したのである。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「労働安全衛生は基本的権利であるが、組合がなければ、労働者の権利が軽視されることを我々は目の当たりにしてきた。国際労働災害犠牲者追悼日にあたり、我々は世界中の組合と協力し、組織化を通じて安全な仕事を確保し、安全衛生委員会の重要性を強調したい」と力を込めた。

ITUCの国際労働災害犠牲者追悼日の資料はこちらから。


英国コベントリーのアマゾン労働者、組合承認を要求

英国コベントリーのアマゾン労働者が、賃金をめぐる数か月間のストライキを経て、組合承認を求めている。GMB労組は、コベントリーのアマゾン労働者の半数以上が組合員となり、組合承認の必要基準を満たしていると発表した。これにより、労働者は賃金や労働条件について団体交渉の権利を得ることになり、アマゾンでは初となる。

GMB労組は、アマゾンが全社的に労働者の賃金・労働条件を改善するようキャンペーンを展開しており、今回の動きはキャンペーンにとって大きな前進となる。同労組は、数週間のキャンペーンと14日間のコベントリーでのストを経て、アマゾンがGMBと腰を据えて賃金について協議するよう、呼びかけた。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「アマゾンの労働者にとって流れは変わりつつある。アマゾンは労働者の声に耳を傾け、組合と協力して全社的な賃金・労働条件の改善に取組むべき時だ。英国のアマゾン労働者は自らの権利を求めて立ち上がっており、UNIは彼らとともに歩んでいる」と力強く語った。

コベントリーでは、労働者が賃金や労働条件の改善を求めて、ここ数か月、大規模なストライキが行われている。GMBは、アマゾンが全社的に賃金を改善するようキャンペーンを展開しており、労働者は生活するのに十分な賃金を得られていないと主張している。

アマンダ・ギアリングGMBシニアオルグは、「数週間のキャンペーンと14日間のストライキの後、組合員は職場における組合の力を高め、今では承認申請をするまでになった(中略)アマゾンの上層部は交渉を拒否してきたが、今や労働者が経営陣を交渉のテーブルに着かせようとしている」と語った。

アマゾンでの組合承認キャンペーンは、会社全体で労働者の権利を求める広範な運動の一環である。アマゾンは近年、劣悪な労働条件や低賃金など、労働者の扱いをめぐって批判にさらされている。同社はまた、労働者の組織化を妨げるために反組合的な戦術を用いていると非難されている。


トルコのロイター労働者がストライキ準備

2023年4月26日にトルコのロイター通信の労働者が、同社がトルコにおけるインフレ高騰に対応した賃上げを行わなければ、5月10日にストライキを実施すると発表した。

トルコにおける3月の公式インフレ率は50.51%、独立調査機関によると112.51%を記録しているにもかかわらず、幾度ものも交渉を経て、経営陣は25%以上の賃上げを拒否している。

ロイター通信の労働者を代表するトルコのUNI加盟組織TGSは、声明の中で次のように述べている。「今日、我々はストライキの決定だけでなく、ストを実施する決意をも宣言する。もし組合員が相応の割合で賃上げを受けられず、またロイター経営陣から問題解決に向けた前向きな措置が見られない場合、我々は5月10日にストライキ行動を開始することを公に発表する。(中略)我々は相応の措置を得るまで決して譲らない」

UNIメディア部会の一団が、トルコ・イスタンブールでロイター労働者に加わり、組合は必要であればストライキを行う旨を宣言した。

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ヨハネス・ストゥディンガーUNI世界メディア部会担当局長は、UNIを代表してTGSに宛てた連帯書簡の中で、ロイター経営陣が誠実に交渉せず、インフレの現状と事態の緊急性に対応した提案を打ち出さないことを非難した。また、「声を上げるために残された唯一の選択肢がストライキしかない。そこまで状況が差し迫っていることを理解し、TGSの仲間の抗議、ストライキ、正当な賃金と尊厳ある労働条件を要求する権利を、全面的に支持する」と連帯の意を表し、「我々はロイターに対し、最後には誠実に団体交渉に臨み、労働者に経済的持続可能性をもたらす提案を行うよう、求める。我々は、ロイターが提案について再検討し、公平でトルコの経済状況を反映した賃上げを提示することを強く求める」と述べた。

他にもTGSは、トルコのAFP通信経営陣が経済危機と実質インフレ率を考慮した合理的な解決策を提案しない限り、同国のAFP通信労働者は、世界報道自由デーの5月3日にストライキを行うと発表している。


UNIとアジア太平洋放送連合、気候変動対策とジェンダー平等の協力に向けて、新たな道筋

UNIとアジア太平洋放送連合(ABU)は、メディア・放送業界における気候変動への取組みを促進し、同部門におけるジェンダー平等の推進に向けた共同作業の強化における協力について、初めて合意した。両組織は、4月25日にマレーシアのクアラルンプールで覚書に署名した。

UNIメディア部会は、世界140以上の労働組合やギルドに所属する50万人以上の労働者を代表している。ABUは、60か国の約250の放送局や放送メディア関係者の連合組織で、全世界で30億人以上にアプローチできる影響力を持っている。

マレーシア首都にあるABUの本部で、クリスティ・ホフマンUNI書記長とアーメド・ナディームABU事務局長が覚書に署名した。UNIとABUはこれまでも連携してきたが、今回の覚書では2023年6月から2年間の共同活動プログラムの枠組みが設定され、協力関係を深めている。

気候変動への対応が急務となる中、両組織はこの問題を初めて議題とした。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「気候変動への取組みとジェンダー平等を2つの重要な優先課題として掲げるABUとの持続的な協力のため、このような覚書を締結することができ、大変誇りに思う。メディアは、報道と情報提供を通じて気候危機を緩和する上で強力な役割を担っており、メディアやエンターテインメント業界の多くが、自社の制作における二酸化炭素排出量を削減する方法を検討している。現実的なレベルでどのように行えるか、ABUと連携して指針提供できることを期待している。ジェンダー平等と多様性は、カメラに映る部分でも、そうでない部分においても重要であり、我々はこの分野におけるABUとの協力関係を拡充し、地域の放送局や組合の活動を支援する新しいプロジェクトに尽力する」と述べた。

アーメド・ナディームABU事務局長は、「我々は気候危機の中で生きており、人々はより頻繁で強度のある、さらに予測不可能な気候関連の災害に対処しなければならなくなっている。メディアで働く我々の義務は、気候変動対策や災害への備えと予防のため、質の高いで正確かつ適切なコンテンツを、視聴者に提供することだ。同時に、メディア関係者がこの重要な仕事をする際の安全を確保し、二酸化炭素排出量と持続可能性を考慮しなければならない。UNIとの共同作業に気候変動対策を含めたのは、政策や戦略を根本的に変え、気候の緊急性に対処するためには、幅広いパートナーシップ、世界的な運動が必要であると認識してのことだ」と語った。

作業プログラムでは、メディア機関がどのように気候変動対策や防災を推進し、また自らの活動において環境的に持続可能な慣行を導入できるかに、焦点が当てられる予定だ。

UNIとABUのジェンダー平等に関する共同活動は、女性メディア労働者の安全衛生、スクリーン内外のメディアにおける女性の表象、女性のメディア業界へのアクセスおよびキャリア開発に対する支援等を中心に行われる予定だ。この活動は、ABUが長年続けている「Women With the Wave」の取組みを通じ、平等を促進するための継続的な活動を強化するものである。

この覚書を歓迎したカイルザマン・モハメドUNI Aproメディア部会議長は、「UNIとABUはこの10年間、社会対話と団体交渉の促進に向けて、一歩一歩協力を強めてきた。実現してきた取組みと良好な協力関係により、気候変動の影響に対処することでこのトップレベルの協力を拡大し、また放送のあらゆる分野におけるジェンダー平等の向上に向けた協力を強化していくことができる」と喜んだ。

覚書の中で両組織は、グッドガバナンスと倫理、労使対話の促進、地域のメディアと放送産業の発展に関する知識と情報の共有、政策策定とメディア専門性や優れたメディア運営の文化の発展に向けて、協力して取組むとしている。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「覚書の一部である2年間の作業プログラムは、両組織の協力に焦点を当てている。アジア太平洋地域の労働組合にとって、この覚書の意義と影響は、大きい。気候変動対策、職場の安全、ジェンダー平等に関するABUとUNIの明確な共通目標が明示されたことで、組合は、特に前向きな変化をもたらす方法について知識を得ていれば、職場でこうした問題を提起しやすくなるだろう」とその重要性を指摘した。


フィリピンBIENオルグのアレックス・ドロロサ氏の悲劇的な死を悼む

UNIは、フィリピンの UNI 加盟組織BIEN のオルグであるアレックス・ドロロサ氏に対する残虐な殺害に、大きな衝撃を受けている。同氏は熱心で献身的なオルグであり、コールセンター業界の従業員の労働条件と権利を改善するため、人生を捧げてきた。彼はバコロド市で精力的に活動し、労働者の権利のために尽力する彼の姿は、彼を知るすべての人に感銘を与えていた。

行方不明となっていたアレックスは、4月24日にバコロド市郊外で23ヶ所の刺し傷を負った状態で発見された。殺害された経緯はまだ不明だが、これほど献身的で熱心なオルグが、このような暴力的で理不尽な最期を遂げたことに、我々は激しい憤りを覚える。

UNIは、アレックスの家族、友人、同僚に深い哀悼の意を表する。我々は、この惨事に直面した悲しみと連帯の中で、彼らとともに立ち向かっていく。また、フィリピン当局に対し、アレックスの殺害について徹底的な調査を行い、加害者を裁くことを求めていく。

この事件は、世界の一部地域でオルグや組合員が直面するリスクを痛感させる出来事である。UNIは、あらゆる場所で労働者の権利を促進し、擁護するという決意を再確認し、労働者の声を聞き、その権利が守られるよう、不断の取組みを続けていく。

我々は、フィリピンおよび世界中で労働者の権利のための闘いを続けることで、アレックスを追悼したい。


ラナ・プラザの災害から10年、さらに多くのブランド企業が国際アコードに署名を!

UNIとインダストリオールは、衣料品産業史上最大の災害となったラナ・プラザ工場の崩壊から10年の節目を迎え、衣料品・繊維ブランド企業に対し、バングラデシュやパキスタンなどの国において、労働者の安全確保にむけた国際アコードへの署名を、呼びかけている。

2013年4月24日、バングラデシュの首都ダッカ郊外にある8階建てのラナ・プラザビルが崩壊し、1000人以上の労働者が死亡、2500人以上が負傷した。世界的なブランド企業の服を製造する工場が入っていたこのビルには、悲劇の前日に深い構造上の亀裂が発見されていた。しかし、建物の安定性を懸念する声にもかかわらず、翌朝、縫製労働者は工場に入らなければ職を失うと告げられた。

それから10年が経ち、バングラデシュ・アコードが締結された工場で働く労働者の安全性は、間違いなく向上している。2013年にUNIとインダストリオールが主導し、グローバルブランド企業や小売業者との間で締結した法的拘束力のあるアコードは、それ以来、バングラデシュの縫製産業の工場の安全性を改善し、労働者に危険な仕事を拒否する権利を与え、命を救い、結社の自由を支え、団体交渉の件数を増やしてきた。

現在、194のブランド企業と小売業者がこの協定に署名しており、バングラデシュの約240万人の労働者が対象となっている。また、パキスタン・アコードには46のブランド企業と小売業者が署名しており、検査プログラムが実施されれば、同国の75万人の労働者がカバーされることになる。

しかし、サプライチェーンにおける労働者の安全に対してより大きな責任を負うべきブランド企業、特にリーバイス、ギャップ、ウォルマート、アマゾンなどの米国企業は、このアコードへの署名を拒否している。これらのブランド企業が署名することで、より多くの衣料品や繊維製品の労働者を危険な状況から守ることができ、2023年10月に期限が切れるこのアコードの更新を求める動きも強まるだろう。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「この厳粛な節目の年に、我々はラナ・プラザの悲劇によって永遠に命を奪われてしまった人々を悼み、このような災害が二度と起こらないようにすることで、彼らを追悼したい。最善の方法は、このアコードの活動を拡大し、署名するブランド企業の数を増やすことだ」と述べ、「アコードには、企業による監査よりも、安全な労働を作り出してきたという実績がある。実際、ウォルト・ディズニーのような一部の企業は、自社工場がアコードの基準を満たすことを要求しているが、アコードに署名することでその実現を支えることにはコミットしていない」と指摘した。

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は、「バングラデシュの衣料品産業では大きな進展が見られたが、安全な工場を獲得するためには、まだ闘いが必要だ」と述べ、「我々が着る服を生産する労働者は、生活賃金とまっとうな労働条件のある職場で働くべきであり、命を脅かされるような職場には相応しくない。アコードをより多くの国に拡大し、真の国際的な協定とする上で必要な影響力を得るため、特に北米で、より多くのブランド企業がこのアコードに参加する必要がある」と指摘した。

これまでに、バングラデシュの2,400以上の縫製工場で、約56,000件の安全検査が実施された。14万件以上の事案が是正され、現在アコードの対象となっている工場の是正進捗率は合計で91%となっている。


UNI-LCJ金融部会、DBS銀行労使代表団と情報交換会

2023年4月13日、シンガポールのUNI金融部会加盟組織の1つ、DBS銀行労組のノラ・カーン名誉委員長率いる執行委員メンバーら16人とDBS銀行人事担当1人が来日し、UNI-LCJ金融部会メンバーと情報交換を行った。シンガポール屈指の同銀行は、多くの女性が活躍することで知られている。

北村聡太UNI-LCJ金融部会議長(損保労連)は、昨年8月にUNI-LCJ金融部会メンバーが海外調査のためシンガポールを訪問した際、歓迎を受けたことを深謝した。「DBS労使はデジタル化の対応など、世界の金融業界のトップランナーであり、日本の金融産業で働く我々は多くを学ぶことができる。アジア太平洋地域の金融業界で働く者同士が意見交換し、ネットワークを構築することは重要だ。この交流会がアジアを始めシンガポールと日本との更に強い連帯になることを期待する」と挨拶し、2017年以来6年ぶり3度目の来日になる労使団を歓迎した。

ノラ・カーンDBS銀行労組名誉委員長は、UNIとの歴史について語り「知り合った当時は日本には女性の中執がいなかったが、今会場にいる参加者の中に女性中執がおり嬉しく思う。大きな前進で敬意を表したい。日本とは真逆でDBS銀行労組は男性が少ないので努力しなければならない。今会では、2つのテーマで、DBS銀行人事担当がプレゼンするコロナ禍の取組みなど参考にしていただきたい」と挨拶した。

2020~2021年のコロナ禍における労使の連携した取組みについて、須齋弥緒損保労連事務局次長はコロナ禍に損保労連が実施した労使の意見交換の内容や労連の対応について説明し、「現在は多くの組合員や社員が、自身の事情や業務上の生産性をふまえながら、出社とテレワークを主体的に選択している。多様な働き方を実現するためには、それぞれの価値観や状況に応じた働き方が選択できる環境整備に取り組んでいく必要がある」と報告した。

続いて中野剛損保ジャパン労組執行副委員長は、労組内で階層別に行っている労使協議の仕組みや『環境変化に応じた働き方』や、『Diversity & Inclusionの推進』などの課題解決に向け職場単位で協議を行った取組みについて具体例を挙げながら説明し、「道半ばだが、今後も工夫を講じながらより良い形を模索し続ける」と報告した。

タン・ベン・レイDBS銀行人事担当は、シンガポールでは金融産業だけでなく国全体でデジタル化が加速し、サービスの役割が急速に進展したことに触れ、DBS銀行ではこの現状に対応するため、経営陣と連携を取りながら組合員の再配置や教育(スキルアップとリスキリング)を進めたことを説明し、組合員の満足を得られたアンケート結果を報告した。また、 組合員に『最高の自分になるための力を与える』取組みとして、キャリア形成などの環境や各組合員の生活環境を考慮した福利厚生についても説明した。

福本耕介全信連副書記長は 、2023年度の新しい取組みおよび新制度等について、日本における人的資本を取り巻く環境を説明し、社会的価値および経済的価値創出の源泉となる重要な資本を人的資本と捉え、社員のWell-beingを起点とした人的資本投資に取り組む三井住友信託銀行の事例を報告した。

最後に安達正美JP労組書記長は、「シンガポールの取組みは、日本の春闘交渉でも参考にしている。今会でも参考にしたい内容を得ることができ、非常に有意義だった。今後もUNIファミリーの絆を更に深めながら情報交換していきたい」とまとめた。情報交換会終了後は、屋形船で昼食交流会を開催し、懇親を深めた。


韓国のグーグルで労組結成

2023年4月中旬、 グーグル韓国の労働者が、韓国サービス労連(KFSWU)のもとで組合を結成した。グーグル韓国労組は、4月11日に第1回総会を開催し、役員を選出した。

組織化の動きは、グーグルの親会社であるアルファベットが、1月に世界規模で従業員の6%、つまり約1万2000人の雇用削減を発表した後に開始した。3月上旬にグーグル韓国は、解雇について従業員に通達した。

新たに選出されたキム・ジョンソブ・グーグル韓国労組委員長は、「解雇の嵐が米国IT業界に吹き荒れる中、一方的な解雇と継続的な雇用不安の痛みを感じている従業員が行動を起こし、先月から組合結成に向けて取組んできた」と述べた。

同労組は、グーグル韓国は長年「夢の職場」と呼ばれてきたが、ツイッター、アマゾン、マイクロソフト、メタなど他の大手テック企業と同様、人々は夢から醒めたと指摘した。組合は、グーグル韓国とGoogle クラウド韓国の労働者数百人を組織化し、同社における労働者の権利を保護する計画だ。KFSWUはすでにオラクル、ヒューレット・パッカード、SAP、マイクロソフト韓国を組織化している。グーグル韓国労組は、韓国で組織化された5番目の多国籍IT/テック企業となる。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は 、「グーグル韓国の労働者が労組を結成したことを歓迎し、この一歩を踏み出したことを祝福したい」と喜び、「アジア全域、そして世界中のグーグル労働者は、声を上げるため、そして現在進行中の不安定労働に終止符を打つため、組織化している。我々こうした労働者に連帯していく」と力強く語った。

UNIは、グーグル労組の国境を越えた要求や行動の連携を支援している。


UNI-LCJ印刷・パッケージング部会 春闘情報交換会

毎年4月にUNI-LCJ印刷・パッケージング部会は春闘情報交換会を開催している。3年ぶりに対面開催した昨年に引き続き、今年も対面で開催し、全印刷、印刷労連、大日本印刷労組、UAゼンセン、UNI-LCJ事務局より15人が出席した。

梅原議長の開会挨拶のあと、各組織は参加者の紹介と、2023春闘における賃金・労働条件の交渉状況について報告した。本年は物価やエネルギー価格の上昇を背景に連合がベア含め5%の賃上げ目標を掲げ、大手企業労組が大幅な賃上げを獲得したことも追い風となり、中小企業が多い印刷部門でも3%程度の賃上げを勝ち取った労組が多かった。公務部門ではこうした民間での交渉成果を受けて、現在交渉の最中であるとの報告があり、活発な情報交換が行われた。

続いて、森川UNI-LCJ事務局次長より、11月にフランス・マルセイユで開催されるUNI世界印刷・パッケージング部会大会およびUNI Apro印刷部会委員会の概要を説明し、積極的な参加を要請した。

参加者は大日本印刷労働組合協力のもと同社敷地内にある「市谷の杜 本と活字館」を視察し、活版印刷の歴史に触れるとともに、引き続き行われた情報交換夕食会にて懇親を深めた。


バングラデシュ加盟組織、大規模火災で被災した15,000人の労働者への支援を呼びかけ

2023年4月4日早朝、バングラデシュ・ダッカの人気衣料品市場バンガバザールで発生した大規模火災は、数時間のうちに数千の小規模店舗と零細企業を灰燼に帰した。

この複合施設と隣接するボンゴマーケット、グリスタンマーケット、マハナガール・ショッピングコンプレックス、アダーシャマーケット、アネックスタワーにある推定6千店舗が被害を受けた。

死者は出なかったが、消火活動中に18人が負傷したこの災害は、ラマダン月の最中に発生したため、たちまち世間の注目と同情を集めた。

メディアでは、被災者(主に小規模な商人や事業者)を支援するために比較的迅速な対応が取られたと報じられた。しかし、多くの関心は商店主たちに向けられ、1万5千人の労働者や市場の従業員の苦境は、ほとんど語られなかった。

店舗労働者の利益を擁護する全国店舗従業員組合(NSEF)は、2023年4月7日にダッカのナショナル・プレスクラブ前で人間の連帯の鎖を作り、政府と使用者に対し、被災労働者に給与と慣例のイード賞与を支払うよう、働きかけた。

この中で、アミラル・ハク・アミンNSEF書記長は、「店舗で働く約15,000人の従業員は、イード祭前の販売期間によって、月給や賞与を得ることができるが、今回の火災で全員が仕事を失ってしまった。政府と使用者に対し、労働者の働きと貢献を忘れず、彼らが給与と賞与を受け取れるようにすることを求める。また商店主協会と政府に対し、この災害から学び、安全な職場を確保するよう訴える」と述べた。

NSEFは、ラマダン開始直前に、全国で600万人の店員を雇用している店主や商店主協会に対し、これらの従業員に月給とイードボーナスを確実に支払うよう、公にアピールを発表していた。

バングラデシュの店舗労働者のほとんどは、日雇いで、店舗の従業員として正式に登録されていないため、不安定な条件と雇用の下で働いている。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、今回の被災者を見舞い、「我々はNSEFの取組みを支持し、その具体的な行動によって、イード祭までに労働者に尊厳ある成果を得られるよう、心から願っている」と述べた。

NSEFは、UNI世界商業部会の加盟組織であり、バンガバザール市場の火災で被災した15,000人の労働者・従業員に緊急支援を提供するため、国際的な連帯を呼びかけている。


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