3月 2023のお知らせ

FIFAワールドカップ・カタール2022:労働組合の権利なくしてレガシーなし

ルワンダで開催されるFIFA総会を前に、UNIは他7つのグローバル・ユニオン(GUFs)とともに、FIFAとカタール政府に対し、湾岸諸国の労働者への広範な権利侵害を終わらせるべきとのメッセージを送っている。

労働組合によると、2022年のワールドカップが近づく中で、「労働法改正の実施に関する進展が鈍化し、使用者の間で無法状態が拡大し、GUFsや移民労働者との協力に関する対話が突然中止された」という。さらに、ワールドカップによってもたらされた世間の注目を浴びることなく、監視や取締りが弱まったため、悪質な使用者がワールドカップ前に導入された新たな保護措置を踏みにじっているのだ。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「ワールドカップが終わっても、世界の労働運動はカタールの移民労働者に背を向けることはないということを。カタールに理解してもらうことが重要だ。結社の自由と団体交渉の基本的な権利に対する取組みは、ずっと遅れており、ワールドカップに向けた『改革』へのステップは、空虚な宣伝活動以上のものにならなければならない」と述べ、「FIFAは、人権に関する約束についても責任を負わなければならない」と釘を刺した。

UNIは、国際建設林業労連(BWI)、教育インターナショナル(EI)、インダストリオール、国際ジャーナリスト連盟(IFJ)、国際食品関連産業労連(IUF)、国際公務労連N(PSI)、国際芸術・エンターテインメント連盟(IAEA)とともに、声明に署名した(英文はこちらからダウンロード可能)。


解雇に抗してスト決行のグーグル労働者に連帯

2023年3月15日の午前中、スイス・チューリヒで約400~500人のグーグル労働者が、解雇された同僚のためにストを行い、抗議行動に参加した。同社は、前日の3月14日に解雇を発表していた。今回のストライキは、UNI加盟組織シンディコムのグーグル労働者が主催した。

労働者によると、解雇を回避するためのグーグル従業員の提案は広く支持されていたが、会社はこれを十分に検討しなかったという。従業員代表委員会は、解雇を回避するため、協議の過程でいくつかの選択肢を提示してきたが、会社側は、そのいずれも承認しなかった。例えば、チューリッヒのグーグル従業員2,500人は、労働時間を自主的に短縮することを希望していた。

今回のストに参加したグーグル従業員は、スイスをはじめ、世界中の解雇された労働者に連帯を示すとともに、不透明な手続きや、グーグルを所有するアルファベット社が、数十億ドル規模の利益を上げているにもかかわらず、社員の5%を解雇するという事実に憤慨している。同社は、解雇実施の経営上の必要性について、いまだ納得のいく説明をしていない。

シンディコムの助言を受けた従業員代表委員会は、現在、ソーシャルプランの延長を交渉するため、グーグルと協議中だ。このソーシャルプランには、影響を受ける従業員の数をさらに減らし、できるだけ早期に新たな雇用を確保するための具体的な措置が含まれていなければならない。

ベンジャミン・パートンUNI世界ICTS部会担当局長は、「グーグルは、労働者を不当かつ恣意的に扱う多くのテック企業の1つであり、今回の解雇は、世界中のテック労働者がなぜ組織化しているのかを示している。チューリッヒでは、労働者が一丸となり、実行可能な解雇の代替案を提示したが、聞き入れられなかった。我々は、今日ストに参加したシディコムの組合員、そして非情にも解雇されたグーグル労働者に連帯する。会社はもっとうまくやれるし、またそうすべきだ」と指摘した。


2030年にむけた銀行部門:社会対話を通じ、AIリスクに対応

人工知能(AI)とデジタル技術によって、銀行部門やその事業展開のあり方が、急速に変化している。こうした進歩は多くの利点をもたらす一方、労働者と労働条件に大きな影響も及ぼしている。

銀行部門の労働者が直面する重要な課題の1つは、AIを含む新しいデジタルツールを使用するための新しいスキルの必要性であり、使用者は、労働者が訓練やスキルアップの機会を受けられるようにしなければならない。

また、AIやアルゴリズムの倫理的使用、データ保護、モニタリングや監視についての懸念も存在する。AIやデジタルツールは、労働者や顧客の膨大なデータの収集と分析を可能にするが、これらの個人データはどのように使用されるのだろうか?また、偏ったアルゴリズムやAIは、差別や不平等を永続させるなどの影響をもたらしうる。アルゴリズムやAIがどのように意思決定を行うかについての透明性が欠如していることで、倫理的懸念がさらに高まっているのである。

社会パートナープロジェクト
こうした問題に対応するため、欧州の銀行部門の社会パートナー(UNI欧州金融部会と、使用者団体であるEBF、EACB、ESBG)は、『Banking 2030:現在の世界的なトレンド、特に人工知能(AI)は、欧州の銀行業界とその従業員の未来をどのように形作っていくか? 』と題するプロジェクトを開始した。プロジェクトはEUが資金提供している。

プロジェクトの最初のワークショップが、2023年2月17日にパリで開催され、デジタル化、新技術、AIなど、銀行業を変革する主要なメガトレンドに焦点が当てられた。

ワークショップでは、変化を予測し対処する方法としての社会対話の意義が強調された。社会パートナーは、社会対話と団体交渉を通じて、初期段階からデジタルツールの使用を決定する上で重要な役割を担っていることを認識し、デジタルやその他の将来的動向を管理し、悪影響が及ばないよう、責任ある方法で移行していくために協力していく必要がある。

複数の講演者が、責任ある倫理的な方法でデジタル移行を管理する上での、社会対話と団体交渉の重要性を強調した。マーク・ピアソンOECD雇用労働・社会問題局副局長は、労働者の適切なスキルアップとトレーニングを確保し、新しい職場への適応を支援するためには、団体交渉が重要であると指摘した。

ビアンカ・クチニエロOECD-TUAC副会長は、AIの責任ある倫理的な使用には「人間によるコントロール」の原則が不可欠であると強調し、包摂性を促進するデジタル移行を呼びかけた。ミカエル・ブドルフソンUNI欧州金融部会議長は、社会パートナーによる積極的な関与の必要性と、労働者が職場のデジタル変革に適応するためのトレーニングと再技能教育を受けられるようにすることの重要性を強調した。

フランスのエリック・ペレスFO Cadres書記長は、職場でAIがどのように導入されるか、特に監視に関して警戒するよう、組合に呼びかけた。また、職場で使用されるツールが責任ある倫理的なものであるようにするため、実際の開発者を社会対話と団体交渉に参加させるよう、訴えた。

銀行部門におけるAIとデジタル技術の利用拡大は、労働者や労働条件に大きな影響を及ぼしている。労働者への適切なスキルアップとトレーニングの確保、包摂性の促進、監視や偏見などの悪影響の防止など、AIが銀行部門に及ぼす影響に対処するために、社会対話と団体交渉は明らかに必要である。

このプロジェクトは、まさにそのような実践を高めるものであり、次回ワークショップは、2023年6月13日にストックホルムで開催予定となっている。


UNIと加盟組織がノルウェー投資ファンドと会談、労働者の権利について協議

UNIは最近、ノルウェーの加盟組織HKおよびFSUとともに、世界第2位のノルウェー政府系ファンドの投資管理部門であるNBIMと会談し、労働者の権利を含む人的資本管理に関する期待文書の実施状況について、協議した。

今回の会談は、同ファンドのポートフォリオ9,000社以上との協議において、労働者問題を提起するよう、UNIが長年にわたってNBIMに働きかけてきたことの重要な節目となった。NBIMは、世界の全上場企業の1.5%以上、欧州の上場企業の2.7%以上の株式を保有しており、欧州の上場企業においては、概ね第2~3の大株主となっている。 その保有株式の大きさと世界的な地位により、同行は世界中の責任投資分野における基準を打ち立てている。

NBIMの期待文書が完璧だったわけではないが、昨年発表された期待文書では、労働者の権利を重視する姿勢について大きな進展が見られ、「結社の自由や団体交渉などの良好な労使関係は、企業が人的資本管理戦略を効果的に導入・実施するための基盤」であると記されている。

期待文書の発表後すぐに、UNIと加盟組織は、この文言を裏付ける強力な行動を求めてきた。今回の会合では、長年、多くの権利侵害や労働者に対する不当な扱いをしてきたアマゾン等の事例を取り上げ、なぜ実行することが重要なのかを強調した。

これらの懸念に対する銀行の対応は、UNIと加盟組織が注視していくことになる。また銀行を監督し、UNIとHKノルウェーとも会談したノルウェーの国会議員も、その動向について把握していく。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「今回の協議は、同行がその大きな影響力を用いて、どのように企業で労働者の権利が尊重されるようにしていくか、その転換点となりうるもの。他の投資家にも波及効果をもたらすだろう」と指摘し、「これは大きな変化であり、大きな出来事。我々は今、この明確に認識された基本的権利が、どのように実践されるかをしっかり見ていかなければならない。結局のところ、それが重要なのだ」と強調した。

UNIは10年以上にわたって、労働者の権利を促進するために銀行と関わり、労働問題を抱える特定の企業を取り上げ、労働基本権に焦点を当てるよう求めるとともに、ファンドによる影響力行使の強化を求めてきた。

今回のNBIMとの会談は、UNIがグローバルユニオンの労働者資本委員会(CWC)と共著した報告書『Shared Prosperity(繁栄の共有)』の発表を受けて、投資家に結社の自由と団体交渉の尊重に向けて行動を起こさせるための大きな取組みの一環である。同報告書は、企業が労働者の組合加入や団体交渉の権利を侵害する場合、投資家がなぜ、どのように対応すべきかについて、概説している。

労働者資本委員会(CWC)とは、労働者資本の責任ある投資に関して対話し行動を起こす国際労働組合ネットワークである。国際労働組合総連合(ITUC)、グローバルユニオン(GUF)、OECD労働組合諮問委員会(TUAC)の共同イニシアチブであり、UNIは事務局に参加している。


ドイツ多国籍小売業リドル、オランダで従業員の労働負荷軽減を命じられる

低価格スーパーマーケットチェーンの多国籍小売業リドルが、オランダ労働局から裁定を受け、同国内の店舗で働く従業員の労働負荷の軽減と安全衛生の改善に向け、1年間の猶予期間を与えられた。

今回の裁定は、オランダのUNI加盟組織FNVからの苦情申入れを機に行われたリドル店舗内の労働検査で、従業員に対する高い労働負荷と業務量に関連した法令違反が見つかったことを受けたものだ。同社は、2024年2月末までに問題を是正しなければならない。

FNVによる2019年の報告書『コード・レッド・ワークロード(厳戒警報の業務量)』に照らし、同労組は、リドルが労働条件の改善に向けた交渉を拒否したことを受けて、苦情を申し立てた。この調査では、リドル労働者の72%が極めて高い業務量に直面しており、同様の職種の全国平均52%をはるかに上回っていることが明らかになっている。

また報告書では、リドル従業員の実に20%が定期的に無給の労働をしており、87%がここ数年で業務量の増加を認識していることも明らかになった。組合によると、業務量の増加は、労働災害や怪我など、多くの安全衛生上の懸念につながっている。

この報告を受けてFNVは、労働安全衛生リスク評価で、従業員に対する労働負荷や業務量に関する法的義務を果たしていない点も指摘している。

「非常に良いニュースだ」と喜ぶFNV役員のファトゥマ・ブダイチェ氏は、「経営陣に数え切れないほどの報告書や調査結果を提出してきたが、これらは無視されてきた。ようやくリドルは、多くの従業員に高レベルのストレスと健康問題を引き起こしている不健康な業務量について、何らかの対策を取らなければならなくなった」と述べた。

検査官は、同社が必要な措置をとったかどうかを確認するため、フォローアップ検査を行い、措置がとられていない場合は罰金も科しうる。

マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「リドルは、従業員がまっとうで合理的な業務量と労働条件を確保できるよう、FNVと交渉し、協力していかなければならない」と述べ、「残念ながら、高い労働負荷や労働安全衛生の問題、組合と適切な関わりを構築できていない状況は、オランダのリドルに限ったことではない。リドルのグローバルネットワークを通じて、我々は欧州と米国の加盟組織と協力し、リドル労働者の適正な労働条件と賃金の確保に取組んでいく」と改めて決意を語った。

ドイツに本社を置くリドルは、オランダ国内の440店舗と7つの配送センターで約2万人の労働者を雇用し、欧州と米国の31か国では約35万人の労働者を雇用している。


コロンビアで労働改革を主導する女性たち

国際女性デーの一環として、2023年3月上旬にUNI米州は、コロンビアにおけるジェンダー不平等に取組むべく、フォーラムを開催した。近々、グスタボ・ペトロ新政権が、大きな期待を集める労働改革を発表するのを前に、フォーラムは特に重要な意味を持っていた。

フォーラムでは、労働組合や社会団体が、コロンビアにおける構造的なジェンダー不平等に取組むよう政府に要請するとともに、職場でのハラスメントや暴力に関するILO第190号条約の批准の重要性を強調した。

コロンビアでは、女性の収入は男性よりも20%低く、女性は職場で暴力やハラスメントに晒されることが多い。マルシオ・モンザネUNI米州地域書記長は、「加盟組織がこのILO条約をツールとして活用できるようにし、またコロンビア社会で取り残されてきた労働者が声をあげられるようにしていきたい」と述べた。

マグダ・アルベルト労働省機会均等担当顧問は、 「労働省にとって、労働改革の中に取り入れられるよう、ジェンダー平等と労働格差について話し合うことは、非常に重要なこと」と強調した。

労働改革について、労働省は、多様な社会団体や組織から4,000を超える提案を取りまとめており、この公開協議では、コロンビアで初めてLGBTI+の労働者やセックスワーカーの意見が考慮され、不安定労働やインフォーマルな労働契約に関する改革の必要性が強調された。    

この点について、ILOコロンビア事務所のダイアナ・サルセド氏は、「今度の労働改革では、雇用の安定を図るために、無期限の雇用契約を雇用関係の基本ルールとしなければならない」と指摘した。

現行のコロンビアの労働法は、雇用契約を結んでいる労働者のみを対象としており、労働組合は、この新しい改革にあらゆる形態の雇用関係を含めることを求めている。

コロンビアのUNI加盟組織は、同国の労働改革を推進する上で、積極的な役割を担ってきた。「我々は、守るべき労働のアジェンダを作ってきた」と述べるアイーダ・ガルソンACEB書記長は、「この歴史的なチャンスを捉えて活用し、教育、法律、訓練を通じて、これらの労働改革がすべての主要な問題を網羅するようにしなければならない」と訴えた。

最後に、マフェ・カラスカル下院議員は「労働者を保護するために立ち上がり、取組んでいく覚悟があるのだということを、我々は世界に示さなければならない。ILO第190号条約の批准を推進し、コロンビアが必要とする仕事の世界に向けて、取組みを続けていく」と締めくくった。


アルゼンチン:テレビ関係の労働者が38%の賃上げを獲得

アルゼンチンの放送労組SATSAIDは、国内の無料TV放送チャンネルや独立系テレビ制作会社で働く組合員に対し、38%の賃上げと537米ドルの一時金支給を獲得した。

全国に生中継されたテレビシリーズ「ビッグブラザー」の撮影現場でのデモを含む、一連の動員やストライキを経て実現したものだ。

SATSAIDは、2023年3月3日に労働省にて、アルゼンチン独立テレビ制作者協議会(CAPIT)およびアルゼンチン・テレラジオ放送協会(ATA)との間で、新たな賃金協定に調印した。賃上げは2023年1月から遡及適用され、4段階で6月まで適用される予定だ。組合は、争議に関連して組合のストに参加した労働者から賃金を差し引かないことも、使用者に約束させた。

オラシオ・アレセコルSATSAID事務局長は、「今回の協定は、争議が始まった当初から闘争のすべての行動に参加してきた労働者の確固たる取組みと積極的な支援の成果だ」と述べ、「我々はついに、労働者にとって公正な賃上げに到達することができた」と喜んだ。

マルシオ・モンザネUNI米州地域書記長は、「SATSAIDは、組合員を動員して勝利を勝ち取る力を見せてくれた。公正な賃上げのための今回の協定は、組合に入って一丸となって取組めば、労働者がインフレの代償を支払う必要がないのだということを、世界中の労働者に示している」と成果を祝福した。


3月8日は国際女性デー:女性の安全衛生のために、共に立ち上がろう!

2023年3月8日の国際女性デーを迎え、UNIは職場における女性の労働安全衛生に、スポットライトを当てている。

ILOは2022年6月、安全衛生を労働における基本的権利の一つとして加えた。そしてUNI機会均等局は今年、労働安全衛生にジェンダー視点を取り入れるためのガイドブックを作成した。

ジェンダーの視点を持たない従来の安全衛生の取組みでは、職場における女性の特定の健康課題が軽視されがちであった。こうした状況は多くの場合、年齢、人種、差別など、女性に影響を与える他の相互作用する複合的要因によって、いっそう強化されてしまうのである。

女性は、職場で暴力やハラスメント、特にセクシャルハラスメントの被害を受けやすくなっている。個人防護具は、男性の身体に合うように設計されていることが多いため、女性にとっては装着が厄介であり、効果も薄れてしまう。米国での研究によると、女性労働者は仕事に関連した筋骨格系の怪我をするリスクが非常に高く、業務上の反復運動による怪我の63%を占めている。

さらに多くの場合、妊娠中、月経中、更年期の女性に対するサポートは、不十分もしくは欠如している。英国では、10人に1人の女性が更年期障害を理由に仕事を辞めている。

ガイドブックは、安全衛生における不平等を検証し、特に女性の心理社会的リスク、有害物質の使用、不適切な作業資材や制服、性と生殖に関する健康などの影響について、重点的に取り上げている。また、労働組合が会議やワークショップでこうした問題について検討を始め、女性労働者の保護に役立てるための実践的な演習も含まれている。

ベロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は、「あまりに長い間、職場の安全衛生に関して、女性の特別なニーズは無視されてきました。ジェンダーの視点を加え、包括的な安全衛生のアプローチをとることで、女性が安心できる、守られていると感じることのできる、より良い職場にしていくことができる」と語った。

『労働安全衛生にジェンダー視点を―労働組合員のための実践的ガイド』は、ドイツ労働総同盟の支援を受けて作成されたもので、こちらからダウンロードすることができる(英語版)。


オーストリアのIT労働者、インフレ打破の賃上に成功

オーストリアの IT労組GPAが、ICT産業全体で大幅な賃上げを勝ち取った。

最も賃金水準の低い労働者は17%の賃上げ、部門別最低賃金を上回る賃金水準の労働者は7.7%の賃上げとなり、約65,000人の労働者が対象となる。協約は2月に締結されたが、2023年1月1日から遡及して適用される。

男女間の賃金格差を是正
この協約のもう一つの大きな改善点は、差別撤廃条項に関するものだ。以前は、使用者は最低賃金を超える賃金を受け取っている人のうち10%について、交渉による賃上を差し控える権利を持っており、そうした労働者の中には多くの女性が含まれていた。

GPAは、当該部門の労使協議会から提供された賃金データを分析し、こうした慣習がこの部門における著しい男女間賃金格差の原因となっていることを明らかにした。これを解消するために組合は、交渉による賃上げをすべての人に適用し、従来の差別的な慣行をなくすよう働きかけてきた。

これが決定打となり、マスコミの大きな注目を集めたが、報道によって使用者団体は守りの反応を示した。しかし、証拠に基づく強力な主張と明確なコミュニケーションにより、組合は非常に好意的な報道を獲得し、使用者側に世論の圧力をかけることができたのである。

バーバラ・タイバーGPA委員長は、「一般的に、IT企業の女性は男性より賃金が低いのであり、テック産業の女性にとって不利な環境が作り出されている。人手不足に陥っている今こそ、文化を変え、女性にとって魅力的な産業にする時だ」と訴えた。

強まる決意
IT 労働者は、自らの職業人生を形作る部門や会社の決定に関与することに、ますます強い関心を寄せており、この世界的な動きは、オーストリアでも影響を及ぼしている。交渉に先立ってGPAは、優先事項を決定するために労働者への調査を実施したが、非常に高い回答率となった。労使協議会の労働者代表と協力し、調査や部門のマッピングの実施も鍵となった。また、要求に対する団結の象徴として、第1回交渉の際に交渉担当者が着用したTシャツに、労働者代表全員が署名をした。

キャンペーン期間中、ソーシャルメディアでは、組合がリアルタイムでやりとりし、最新情報を受け取ったり、事務局に直接質問したりすることができたため、エンゲージメントも高まった。労働者は特に、意欲的で解決策に基づく提案によく反応を示しており、こうした積極的なやりとりは、多くの人々が参加した2回のデモに結実したのである。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「この素晴らしい協約は、前途を照らすものだ。交渉担当者が、労働者の強い支持を得ていることを確認できれば、強力な前進が可能であるということを、欧州全土で目の当たりにしている。今回、労働者は最初から、すべての段階において関与してきたことで、組合の要求を自分事として認識することができた。いざ要求を支える時がきたら、労働者はその呼びかけに応じる準備ができているのだ」と述べた。

オーストリアのIT部門には、2つの異なるタイプの使用者がいる。一方は、多国籍企業ATOSのような独立系企業で、多様な顧客を抱えている。他の27%はアウトソーシング/子会社で、他部門(通常は金融部門)の主要企業によって設立され、その企業へのサービス提供のみを目的として運営されている企業だ。例えば、ライファイゼンは、このような形で外部委託のIT企業を有している。こうして部門をマッピングすることで、GPAは使用者側の状況について洞察を得ることができただけでなく、労働者への対応に役立つ職場のダイナミクスを把握することができた。

UNI欧州は、欧州の組織化センターであるEPOCを通じて加盟組織と連携し、労働者参加と戦略的マッピングを組み合わせた戦略を構築し、団体交渉を強化している。GPAのIT部門は、2021年初頭からEPOCと連携してきた。


芸術・娯楽部門におけるディーセントワーク:ILO会合で、雇用改善に向けたグローバルな基礎を構築

2023年2月、ILOでの1週間の交渉を経て、労働組合、使用者、政府は、芸術・娯楽産業において「ディーセントワークの欠如」を生み出している長時間労働、低賃金、社会的保護の欠如、不平等を認め、これらの是正に向けた一連の結論に合意した。

この成果は、2月半ばにスイス・ジュネーブで行われた、芸術・娯楽部門における仕事の未来についての5日間のILO技術会議の後に、2月23日に文書として発表されたものである。会議には、3つのGUFs(UNI、国際俳優連合(FIA)、国際音楽家連盟(FIM))の傘下で、この産業に従事する100万人以上の労働者を代表する組合指導者が集まった。

今後、政府は使用者および労働組合と協力し、労働時間を規制する法律や規制を促進・強化し、自営業者を含むこの部門すべての労働者に包括的社会保護制度への普遍的アクセスを提供し、この部門のスキル不足を解消するための公的資金を確保していくことが必要となる。

また、今回の結論は、団体交渉がディーセントワーク実現の鍵であることを認識するとともに、政府が芸術・娯楽産業における団体交渉権の実質的な承認を確保し、ILOが同部門における団体交渉実施に関する政策指針を提供するためのアクション・ポイントも含まれている。

放送、メディア、エンターテインメントの労働者を代表する英国のBECTUで委員長を務めるフィリッパ・チャイルズUNI世界メディア部会副議長は、「我々は多くの前進を遂げることができた。この結論によって、我々の主要課題、特にこの部門における長時間労働の問題に関して、使用者と政府に圧力をかけることができるようになる。パンデミックによって労働者は自らの状況を顧みることになり、長時間労働がワークライフバランスに与える影響について、真剣に考えるきっかけとなった。多くの人々がこの業界を去り、また戻ってくるかどうかもわからないため、英国だけでなく世界的でスキルが不足する状況になっている。この状況を好転させるためには、労働条件と機会を改善する必要がある」と訴えた。

オンラインストリーミングによって従来のライセンスモデルが時代遅れになる中、今回の結論は芸術・娯楽分野における著作権および関連する諸権利の重要性についても強調しており、法定報酬や団体交渉を通じて、プロデューサー、パフォーマー、著作者に実施的に報酬が与えられる形でこれらの権利が実現されるよう、政府に要求している。

また、ILOの結論は、産業全体の労働者に影響を与える新しいテクノロジーや人工知能の導入に対して、人間中心のアプローチを求めている。

今回、労働側のスポークスマンを務めたFIA執行委員のダンカン・クラブトリー氏は、「人工知能は並外れた可能性をもたらすが、現実の脅威もつきつけている。AIに対する人間中心のアプローチは、我々の業界の未来にとって極めて重要だ。こうした変革的な技術は、人間の創造性を補完するものでなければならず、それに取って代わるものではない。今こそ、ILOがこの問題に取組み、すべての労働者のためのディーセントワークと団体交渉へのアクセスを促進するためのより広い課題の一環として、公正さと持続可能性を確保する枠組みをさらに進めるのを支援する時だ」と強調した。

また政府は、ビザや労働許可証の障壁を含む労働者の国境を越えた移動における課題、また社会保障受給資格の国境を越えたポータビリティ(持ち運び)や二重課税の課題に取組むべきである。

ブノワ・マシュエルFIM事務局長は、「採択された結論は、団体交渉権の承認およびすべての労働者の社会的保護への普遍的なアクセスについて勧告しており、我々の中核的な懸念に応えるものであることを特に喜ばしく思う。国境を越えたポータビリティと職業病に関する条項も、我々が代表する職業に就く人々にとって非常に好ましいものだ」と述べた。

他の条項の中でも、今回の結論は、職場における暴力やハラスメントへの効果的な対応を含め、安全で衛生的な労働環境を推進するための強力な労働監督制度を確保することを求めている。さらに、この成果は、急激な技術革新が進む環境に優しい産業への公正な移行を可能にするための官民の投資の重要性を強調するものである。

ブラジルの組合SINDCINEで委員長を務めるソニア・サンタナUNI世界メディア部会副議長は、「今回の成果は、労働協約へのアクセスを確保する上で大きな役割を果たすと同時に、労働者の権利を擁護し、特に女性の平等、人種の平等、先住民の平等を推進し、使用者との関係を深めるための他の手段を与えてくれるものだ」と評価した。

この文書は、特に差別を受けやすい人々に対するこの部門の不平等を認め、この部門が「多様性、平等、包摂性というレンズを通して」仕事のあらゆる側面にアプローチするよう求めている。

カナダのIATSE国際副会長を務めるジョン・ルイスUNI 世界メディア部会委員は「これは前向きな成果てあり、この業界で働く世界中の人々に影響を与える、団体交渉へのアクセス改善や、著作権保護の強化、長時間労働への対処など、各国政府と他の議論を始めるための出発点を作るものだ」と強調した。


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