9月 2022のお知らせ

UNI金融部会加盟組織、銀行部門のリストラに対抗して結束

2022年9月13~14日、40か国54労組から130人を超えるUNI世界金融部会加盟組織の代表者が、アイルランド・ダブリンに結集した。アイルランドの金融サービス労組(FSU)が主催したこの会議では、銀行部門における大規模なリストラや人員削減に直面する労働者と顧客を守るため、集団的な力を活用することを決議した。

ジョン・オコネルFSU書記長は、「金融部門では変化が起きており、確実に言えることは、今後さらなる変化が生じるということだ。我々の目標は、この変化に適切に対処し、従業員を保護し、顧客に悪影響を与えないようにすることでなければならない」と述べた。

間もなく発表される欧州のリテールバンキング部門の再編に関する欧州生活労働条件改善財団(EuroFound、本部はダブリン)による新たな報告書について、概要が説明された。この重要な調査報告では、金融部門における人員削減の影響を和らげる上で、労働組合と社会対話がいかに主要な役割を果たしたかが、明らかにされている。つまり、ほとんどの場合、大量解雇は任意のものであり、退職の条件について交渉し、合意した上で行われた(多くは早期退職)。同時に、この部門は様々なスキルを持つ若者を雇い続けているのである。

アルゼンチン、インド、アイルランド、イタリア、マレーシア、ネパール、スペイン、南アフリカの組合が、多国籍銀行の再編に関する状況や、労働者を保護しサービスを守るために実施した戦略の成功例を共有した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「金融部門の労働者は、デジタル化の最前線にいる。そして、本日示された多くの集団的な経験は、労働者にとって不本意な人員整理を最小限に抑え、またスキルアップや配置転換、早期退職、退職金制度などを通じ、すべての人が自立できるようにするために闘う中での、皆さんの創造性、決意、闘志を表している。今回の報告は、デジタル世界における『公正な移行』に関する包括的な調査だ」と述べた。

参加者は、リモートワークが労働者に与える影響や、労働組合による組織化の取組みなど、金融部門の将来について討議した。

会議2日目には、スペインのシンクタンク「Funcas」の著名なグローバルエコノミストであるレイモンド・トレス氏が、基調講演を行った。同氏は、天然資源の供給不足、気候変動によるリスクの増大、デジタル・ディスラプションなどが重なり、金融部門は厳しい圧力にさらされていると指摘すると同時に、金融部門は、特に再生可能エネルギーへの融資を通じ、今日の大きな課題への解決策を見出す上で、大きな役割を担っていると述べた。また、労働者の権利のために闘う労働組合の役割は、リスクの低減と安定した世界経済のために重要であるとし、「社会正義がなければ、それは世界平和にとって常にリスクとなる」と指摘した。

アンジェロ・ディ・クリストUNI世界金融部会担当局長は、世界最大の経済国である米国の銀行労働者を組織化して力をつけることが絶対的に必要であると指摘し、加盟組織が連携して組織化能力を高め、またUNIとともに組合を強化するよう、促した。

会議の締めくくりとして、ブラジルのContraf-CUTのリタ・ベルロファUNI世界金融部会議長は、「グローバルな課題にはグローバルな対応が必要だ。リストラに直面する中でも、我々は組合と闘争を強化していく。我々は決して闘いを放棄しない!」と固い決意を述べた。


パキスタン洪水被害が示す、連帯と気候対策の重要性

2022年6月14日からパキスタンで未曾有の豪雨が発生し、広範囲にわたる洪水と地滑りが発生し、人命、財産、インフラに甚大な被害が発生している。

同国では、3,300万人以上が被災し、1,480人が死亡、12,800人近くが負傷している。9月中旬の1週間だけでも、パキスタンでは約1,000kmの道路、23の橋、55,300棟以上の家屋が損壊・倒壊している。合計約120万戸の家屋が被災し、約56万9000戸が倒壊した。連邦政府は、同国の地方行政160区画のうち81地区を「大規模被災」に分類している。 過去30年間の平均雨量と比較し、 8月27日時点で バロチスタン州では5.1倍、シンド州では5.7倍の雨量を記録した。

こうした被災状況にもかかわらず、パキスタン郵便は、人々にとって必要不可欠なサービスを提供し続けている。1,500人以上の郵便配達員と家族が洪水の影響を直接受け、家屋を失う等の大きな被害を受けた。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「パキスタンの郵便労働者の多くが甚大な人的被害に遭い、国土の約3分の1が水没しているにもかかわらず、配達を続け、今も人々と地域社会をつなぎ続けている」述べ、「このことが示すのは、郵便が、特に危機的状況において不可欠なサービスであるということだ。我々はこの困難な時期にも、国が再建される時にも、重要な存在である郵便労働者に連帯する」と語った。

UNI世界郵便・ロジスティクス部会は、パキスタンの郵便5労組を含む世界90か国250万人を超える郵便労働者を代表している。コーネリア・ベルガーUNI世界郵便・ロジスティクス部会担当局長は、「パキスタンの49,900人の郵便労働者に、心よりお見舞い申し上げるとともに、連帯の意を表明したい」と述べると同時に、「今回の洪水は、同国の歴史上最も大きな被害をもたらしたものであり、郵便の価値だけでなく、気候変動対策の緊急性も示している」と指摘した。

著名な気候科学者で構成されるWorld Weather Attribution(WWA)がまとめた報告書によると、この壊滅的な洪水は気候変動と関係している。気候変動モデルによると、人類の行動によって産業革命前より2℃気温が上昇すると、激しい豪雨などの異常気象が発生する可能性が高くなるという。

パキスタンでの大規模な被害は、国内および国際的な意思決定者と各国政府が、オルタナティブな未来のために責任と行動を取らなければならない理由を明確に示している。

UNI世界郵便・ロジスティクス部会は、郵便労働者にとっての最大のリスクの1つに、気候変動を位置づけている。郵便労働者は通常のサービスを提供する中で異常気象や外気温に直面しており、一方で郵便労働者と郵便インフラは、災害時に被災者や支援団体をサポートするために利用されている。そこでUNI世界郵便・ロジスティクス部会は、カーボン・ニュートラルな未来に向けた、郵便のためのグリーンニューディール案を策定した。郵便労働者は日々の業務の中で気候変動を感じており、UNIは可能な限り迅速に、あらゆる場所で気候変動に取組むことを自らの任務としている。

さらに、この数年間でUNI世界郵便・ロジスティクス部会は、万国郵便連合(UPU)と協力し、郵便事業者の自然災害時リスク管理に関するUPUガイドラインに意見を提起してきた。UNI世界郵便・ロジスティクス部会の主な目標は、労働者を守り、安全を確保することであり、これには、自然災害時にサービスや支援を提供する必要がある場合に備え、労働者が訓練、装備、対策を受けることも含まれる。

ベルガー担当局長は、「災害の最前線にいる郵便労働者は、可能な限り安全に職務を遂行できるようにしなければならない」と指摘し、「だが我々は、政策立案者に対し、気候変動がもたらす存亡の危機に対処する早急な措置を要求していかなければならない。労働者、地域社会、そして各国は、このような洪水がニューノーマルとなることに、耐えることはできない」と語った。


UNIメンタリング・プログラム、南ア労働運動の女性をエンパワー

2022年8月下旬に、UNI機会均等局は、ヨハネスブルグでメンタリング・プログラムのワークショップを開催し、南アフリカの女性リーダー育成に向けた取組みを強化した。FES財団の支援を受けて開催されたこのワークショップは、南部アフリカ15か国の女性を対象に実施中の3つのUNIメンタリング・プログラムの1つだ。

8月22~23日の2日間、南アフリカの労働組合であるSASBOとSACCAWUの女性組合員がこのワークショップに参加し、成功事例を共有し、職場におけるジェンダー平等を推進する取組みを紹介した。

パトリシア・ナイマンUNI世界女性委員会議長(UNIアフリカ女性委員会議長)は、「ジェンダーの問題は、組合にとって優先課題だ。交渉や団体協約の中に盛り込み、我々の取組みの中心に据えなければならない。そうしてこそ、平等を実現できる」と述べた。

「このプログラムは女性をエンパワーしている」と述べるベロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は、「労働組合において活躍するためのスキルやツールを女性に提供するだけでなく、女性が意思決定の地位に就くことを妨げている『インポスター症候群』※を克服するための、自信を育んでいる」と強調した。

SASBOのレボガン・セレペ氏は、「私を信頼してくれる人たちがいなかったら、私は自分の不安を克服し、目標を達成することができなかった」と語った。

メンターとメンティーが組み、新たなタンデムのプログラムを立ち上げることで、南アフリカ全土の労働組合の女性は、労働組合でのプレゼンスを高めるだけでなく、議論や交渉から職場方針、団体協約まで、労働組合の取組みの中にジェンダーの問題が適切に含まれるようにするための支援ネットワークを構築している。

約10年前に始まったこのプログラムは、世界中の労働組合運動における女性の地位向上を目的としており、労働運動における意思決定の地位において活躍する上で必要な能力の構築を支援するものである。

※インポスター症候群:能力があることを示す外的な証拠があるにもかかわらず、自分は詐欺師であり、成功に値しないという考えを持つ。自分の成功は、単なる幸運やタイミングのせいとして見過ごされるか、実際より能力があると他人を信じ込ませることで手に入れたものだと考える。インポスター症候群は、特に社会的に成功した女性に多いとする研究もある。


米国ペンシルバニアの介護施設労働者、強力な労働協約を獲得

大手介護事業者とUNI加盟組織SEIUの間で結ばれた労働協約には、賃上げ、福利厚生の改善、労働者と入居者に対する業界の説明責任に関する条項が盛り込まれた。

何か月にもわたる交渉と、SEIUペンシルベニア支部ヘルスケア部門では最長となる介護施設でのストライキを経て、全米2,000人以上の介護施設で働く労働者は、人員配置と入居者ケアに資金を投入する旨の協約を勝ち取った。コンプリヘンシブ・ヘルスケア、プライオリティ・ヘルスケア、シェナンドア・ハイツ・ヘルスケアの3社が所有する介護施設の労働者は、今回の勝利がペンシルバニア州および全米の介護施設産業の変革につながると期待している。

今月初めのストライキでは、州内のSEIU組合員が張るピケットに、ジョー・バイデン大統領も加わり、ディーセントな雇用と仕事における尊厳を求めて闘う介護労働者に連帯を示した。

交渉委員を務め、コンプリヘンシブ・ヘルスケアが所有する介護施設の看護助手であるシャノン・マクブライド氏は、「7日間ピケットを張り終えた今、大好きな入居者と仕事のもとに戻りたい。ストライキの実施は非常に難しい決断だったが、団結することができた。我々には、組合を守り、労働力を強化し、入居者のケアを第一に考えた協約を結ぶ権利があるから」と語り、「我々の要求はあまりにも長い間、無視されてきたが、我々は諦めなかった。経営陣は最後に、我々の声に耳を傾けた。この合意は、州全体でコンプリヘンシブ・ヘルスケアが所有する施設でのケアと介護労働の水準を上げる上で、正しい方向への第一歩だ」と喜んだ。

コンプリヘンシブ、プライオリティ、シェナンドアの各社が所有する施設にはそれぞれ別の協約があるが、3社に共通するのは、以下の内容だ。

・全部門の全労働者を対象に賃金を引き上げる給与体系、全労働者の一律昇給、労働力維持に向けた経験と勤続年数を尊重した昇給。3つの協約における労働者の平均昇給率は24%である。
・健康保険料を調整し、すべての労働者がより手頃な価格で医療を受けられるようにする。
・改善が予定されている州の職員配置規制を遵守する確約。
・これらの介護施設が売却された場合に、組合との協約を破棄するのではなく、協約を維持する条項。

プライオリティ社が所有する「The Gardens at Wyoming Valley」で看護助手として働くラヒーム・アーミテージ氏は、「自分が働く施設が、別の会社に売却されるとはどういうことなのか、身をもって体験した。福利厚生はなくなり、給料が下がり、従業員はより良い仕事を求めて辞めていき、残った人材が酷使されていく」と振り返り、「明日、仕事があるのか、家族の世話はどうするのか、心配になります。文言が残ることで、我々が闘ってきた成果を維持できる、ゼロから始める必要はないということだ」と語った。

シェナンドアの協約には、使用者が負担する休日が含まれている。つまり労働者は、家族と共に休日を祝うために有給休暇を使う必要がなくなるのだ。

マシュー・ヤーネルSEIUペンシルバニア支部ヘルスケア部門委員長は、「労働者は、我々の多くが想像もできないような状況下でケアを提供し、入居者のために絶え間ない支援を行ってきた」と述べ、「全国レベルの傾向として、営利目的の介護施設事業者は、投資家の要求を満たすために税金を使用している。今回のストでは、介護施設運営事業者に対し、我々の仕事とペンシルベニア州民のケアにこそ、投資をするよう迫ってきた。我々が反対しているのは、介護施設の入居者に対する営利モデルのケアの在り方だ」と述べた。

エイドリアン・ドゥルチUNI世界ケア部会担当局長は、「この歴史的な勝利を達成するためにストライキを闘った勇敢な労働者をたたえたい」と祝福するとともに、「パンデミックの間、我々はずっと、エッセンシャルワーカーである介護労働者への早急な投資を要求してきた。不当な低賃金や慢性的な人員不足の状況で、働き続けることはできない。この画期的な勝利は、人々が組合のもとで団結し、企業責任を追及する力を示すものだ」と指摘した。

介護労働者は、9月2日~5日の「レイバーデー」に始まった、不当労働行為に対するストライキに加わった。看護助手、栄養士、居室係、活動担当者、補助員、その他地域の介護施設の運営に欠かせない職種の人々が、労働力を立て直し、介護士を業務に戻す名目であてられた州予算からの公的資金6億ドルに対する企業の説明責任を求め、職場を放棄してストを決行した。


韓国で全国スト、2万人の銀行労働者がソウルに結集

9月16日、UNI加盟組織の韓国金融産業労組(KFIU)が組織する全国ストの一環で、推定2万人の銀行労働者が、ソウル繁華街をデモ行進し、インフレ率に見合った賃上げ、支店閉鎖の中止、労働時間の短縮などを要求した。

警察が交通規制を張る中、KFIU組合員は光化門広場で平和的な座り込みを1時間行った。巨大ステージから群衆を前にしたパク・ホンベKFIU委員長は、「このストライキは、人々のため、金融の公共的価値を守り、公平で公正な移行を実現するためのものだ。我々は、支店と従業員の数を減らし、株主への配当を増やすことに躍起になっている使用者から、金融サービスという公共善を守らなければならない」と訴えた。

KFIUは国営および民間の銀行労働者を代表しており、この日、約7000の職場から約10万人の労働者がゼネストに参加した。

キム・ドンミョン韓国労働組合総連盟(FKTU)委員長は、ストライキ参加者に対し、「政府による一方的な賃金カット、人員削減、資産売却、政府系金融機関において成果主義賃金制度を導入する試みは、金融サービスという公共善を根本的に破壊する反社会的行為」であるとし、「FKTUは、金融労働者の生存権が完全に保障されるまで、最後まで共に闘う」と誓った。

ストライキ前にKFIUは、6.1%の賃上げと低賃金グループの12.2%の賃上げ、組合員と使用者が共同で支払う連帯基金、週4日勤務制、在宅勤務規定などの組合要求を提示した。KFIUと使用者の土壇場の協議で、組合は2.4%の賃上げという使用者側の最終提案を拒否し、9月16日に予定されていたスト実施を決めた。

KFIUは使用者との交渉を続けるが、9月30日に2回目のスト決行という事態も想定している。

UNI 世界金融部会は、9月14日にダブリンで開催されたテーマ別会議において、KFIU のストを支援する連帯声明を全会一致で採択した。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「リストラや支店閉鎖に対するKFIUの闘いは、世界中の銀行労働者の心に響くものであり、世界中の UNI 金融部会の加盟組織は 結束してKFIU を支持している。生活費危機の影響が強まる中、インフレに見合った公正な賃上げと給与水準の適正化を求めて闘うKFIUに連帯する」と述べた。


第6回UNI Apro 青年大会~ Making YOUth Matter「ユースを大切にする社会へ」を開催

2022年9月13~14日に、オンラインで標記会議が開催され、約100名が参加した。

ベルナデット・レイズUNI Apro青年委員会議長が、「取組みの優良事例を共有し、ともに解決策を探していきたい」と述べ、開会を宣言した。続いて、マルタ・オチョアUNI世界青年委員会担当局長が、「若者によってこそ組合は前進できる」と述べ、今回のプラットフォームを活用して声をあげ、議論を展開してほしいと期待した。ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「団体交渉の力を持つ組合は、社会正義を実現するための主要なプレーヤーであり、若者なくして組合の未来はなく、組合なくして社会正義はない」と強調した。

大会委員の選出等
議題案、議事規則およびUNI Apro青年委員会規則を採択した後、大会各種委員会のメンバーを選出した。日本からは、太田佳織代議員(情報労連)が資格審査委員、藤原尚子代議員(UAゼンセン)が決議委員、斎藤優輔代議員(JP労組)がプロフェッショナルで礼儀正しいふるまい委員に、それぞれ選出された。 

UNI Apro青年委員会ブレイキングスルー報告と、行動計画
ミシェル・ベリーノUNI Apro青年委員会担当部長が、3つの優先課題(1:第4次産業革命時代の変化の担い手としての青年、2:UNI Aproユース―世界を変える、3:UNI Apro 青年委員会の組織化-若者の成長の可能性を広げる)を柱とするUNI Apro青年委員会の2018~2022年の活動について、報告した。

続いて、ベルナデット・レイズUNI Apro青年委員会議長が、 MakingYOUthMatter(ユースを大切にする社会へ)をテーマとするUNI Apro青年委員会行動計画(2022~2026年)について、取組みの4つのポイント(1:青年の生活・雇用の回復、2:青年の組織化、3:社会運動組合主義、多様性、若者の包摂と参加、4:スキルおよび研修)を中心に、概説した。

セッション 1 :青年の生活・雇用の回復
山下茂美代議員(日放労)が司会を務め、2名のフィリピンの青年活動家が基調講演を行った。

●フィリピンのITFユースネットワークのマーク・アンジェロ・トレンティノ氏が、昨年8月に結成したYouth for Just Transition(Y4JT)の組織と青年向けの活動(オンラインユースキャンプ、COP26についての理解を深めるセッション、Y4JTキャラバン等)、公正な移行に関する様々な技術や労働政策のアドボカシー活動について説明した。

●Y4JTやユース・プログレッシブス・ハブに参画するフィリピンOxfamのジョエル・チェスター氏は、幅広いステークホルダーと連携した公正なエネルギー移行に関する取組みを紹介した。技術面だけでなく、若者や女性、先住民等が取り残されないよう倫理的な面での政策提言も行っていること、脆弱なコミュニティがすでに甚大な被害を受ける中、スピードも重視しつつ、変化の担い手としての青年の主導を支援していると述べた。

●スリランカのミヒリ・ハプアラチ代議員(NPTWU、UNIスリランカ加盟協)は、同国における前例のない政治的・経済的危機とその要因に触れた後、若者を取巻く問題として、貧困と低所得、若者に対する政策や機会の欠如、教育を受けた若者の海外移住などを挙げた。組合は、リーダー育成研修、スキル開発、福祉プログラムの提供などを推進すべきだと訴えた。

セッション 2 :青年の組織化
●ホビッグ・メルコニアンUNI Apro組織化担当部長が、基調講演を行った。組合として重要な点は、青年と積極的に関わり、青年の声を聞くこと、さらに多くのリーダーシップ研修を行い、指導的地位に招き入れ、企画に関わってもらうこと、組合を青年の声を届ける社会変革の担い手として位置づけることだと述べた。

●プラティマ・バッタ代議員(ネパール、Uniphin)は、ネパールの医療介護部門における組織化の経験を共有した。病院経営側が組合との交渉に応じなかったため、賃上げや有給休暇等を求めて6月に28日間にわたるストを実施し、若い労働者から大きな支持を得たことが勝利につながったと述べた。一方で、組合運動の課題として、組合の取組みが新しい仕事の形態に追いついていない、若者の課題に対応していない、組織化が進んでいないことなどを挙げた。これに対し、若者の抱えている問題を特定し、若者に共感し、若者に適したコミュニケーションを図ること、組合の中に青年組織を確立し、そこに投資すること、若者が意思決定のプロセスに関わることが重要だと述べた。

●ベルナデット・レイズ(フィリピン、NUBE-IFO)代議員は、UNIフィリピン加盟協の取組みについて、「Unions goes to Campus」やパヤタス・プロジェクトなどを中心に紹介し、社会的使命のあるプロジェクトに若者を巻き込むことで、若手組合員を組合活動に惹きつけてきたと語った。また、UNI Aproと韓国金融産業財団、NUBEが連携し、パヤタス地域の人々が生計を立てる方法を身に着けられるようにするプロジェクトが開始したこと、FES財団による合同オルグ研修やY4JTのオリエンテーションにユースが参加したことも報告し、最後に、若者自身のコミットメントが不可欠であると強調した。

●シャーリーン・ロウズ代議員(オーストラリア、SDA)は、同国において若者の最大の雇用主であるマクドナルドにおける組織化について報告した。職場における労働者の権利意識を高めるキャンペーンとして、まずデジタルと対面で様々な層の労働者にアプローチして情報を提供し、アンケートを行い、労働者の経験や懸念を集めた。これによって、従業員が法的権利である有給の休憩を取っていないことが発覚し、連邦裁判所に提訴した。25万人以上の現・旧の労働者の補償に関わる問題であり、多くのマスコミが報道し、労働組合の重要性を広めることに成功したと共に、組合員数も増加したと報告した。

セッション 3 :社会運動組合主義、多様性、若者の包摂と参加
●山下茂美代議員は、ユニオンショップ制のため、組織化の苦労はないものの、いかに青年層を惹き付けるかが課題であると述べた。その上で、青年層はワークライフバランスや働き方の多様性を求める傾向があるため、交渉内容に若年層が関心を持つテーマを必ず入れるようにしたと述べ、その成果として、サバティカル休暇や自己啓発休職の獲得や、遠隔地勤務制度の拡充などを報告した。また、多様な人が組合活動に関われるよう、時間帯や参加の形態を柔軟にする等の取組みも進めていると述べた。

●齋藤優輔代議員(JP労組)は、組合の課題の一つとして次世代役員の不足を挙げ、セミナーやレクリエーションの企画・運営を通じて次世代の役員育成に取り組んでいると述べた。また、組合の社会貢献活動として、書き損じ葉書を集約、換金して社協に寄付する取組みや、本やCDを換金し、国際協力NGOに寄付する活動などを報告した。また、参院選では組織内候補者の応援にユースも関ってもらうなど、ユース組合員の政治意識の向上にも取り組んでいると述べた。

●クリシュナ・ジェヤバラン代議員(インド、AIBOBOF)は、より多くの青年に参加してもらうための取組みについて報告する中で、モチベーションを与えること、ユースネットワークの構築が重要だと述べた。キャッチフレーズとして「Involve to Evolve」を掲げており、一人の組合員がもう一人を勧誘する「Each on Fetch one」キャンペーンは大きな成功を収めたと述べた。

セッション 4 :スキルおよび研修

●森川容子UNI-LCJ事務局次長は、2010年の長崎UNI世界大会に向けて始まり、その後も次世代リーダー育成のために毎年開催されているUNI-LCJユース英語セミナーについて、説明した。参加者は、海外からの講師や異業種の若手組合員とともに、コミュニケーションスキルやチームワーク、各組織の課題や取組み、国際連帯や平和活動の重要性などについて学んできたと報告し、コロナ禍でもオンラインツールを活用し、取組みを進めていきたいと述べた。

●アンジャリ・ベデカーUNI Apro女性委員会担当部長は、若い女性の能力構築を目的に2013年に始まったUNIのメンタリング・プログラムでは、コミュニケーション能力、交渉力、リーダーシップスキル等について研修し、女性ネットワーク構築、女性の組合参加の促進、組合の意思決定に関わる女性の増加に貢献していると述べた。また、今年UNI Aproで開始したメンタリング・プログラムについても報告した。

●藤原尚子代議員(UAゼンセン)は、次世代リーダーの育成を掲げるUAゼンセンのヤングリーブズの活動について報告した。コロナ禍であったことと青年層の参加促進のためにオンラインでの「フェアトレード」をテーマとした学習会や、青年層の公民権行使を目的としたオンライン交流会を開催したことを共有した。また、ヤングリーダー研修会を開催し、チームワークやリーダーに必要な意思や能力を獲得する機会を設けていると述べた。

●太田佳織代議員(情報労連)は、2016年から若手組合役員を対象に学習会を開催し、SDGsなど将来にわたる課題をテーマに取組んできた、と報告した。また、2012年からはUNI Aproと共催で青年ワークショップを開催し、海外の労働組合役員とともに、グローバル化に伴う課題や国際労働運動の基礎知識を習得し、リーダーシップをもって行動できる人材育成を図ってきたと述べた。最後に、青年同士で柔軟なアイディアを出し合うことは、今後の労働組合を担う青年が発言力を持ち、不確実性の高い未来を切り開いていくために重要だとまとめた。

●バフニート・カウア代議員(インド、AIBOBOA)は、スキルとトレーニングについて、強化された一人一人が組合の声を強くするとして、その重要性を指摘した上で、事例をいくつか挙げた。また、オンライン学習アプリの導入や組合が独自の研修センターを持ち、トレーニングできるようになったこと等を報告した。

●インタン・ドウィ・ハンダヤニ代議員(インドネシア、ASPEK)は、若者が職場で抱える課題として、不安定雇用、低賃金、福利厚生の欠如等を挙げ、また若者が組合に入らない理由として、関心の薄さ、情報の欠如、プライベートや仕事だけに興味がある、等を指摘した。これに対応するため、組合では、様々なソーシャルメディアを駆使した活動やメッセージの発信、組合のメリットを共有する機会やカフェでのイベント開催、若者へのトレーニング実施などに取組んでいると述べた。

大会の後半に、過半数の代議員の承認を得て、UNI Apro青年委員会行動計画(2022~2026年)が採択され、またUNI Apro青年委員(2022~2026年)が選出された。 

閉会にあたり、オチョアUNI世界青年委員会担当局長が、選出された委員を祝福するとともに、青年の声を代弁するリーダーとして、ともに取組みを盛り上げていこうと述べた。アチャリャUNI Apro地域書記長は、今後4年間ともに能力を構築し、是非連携しながら取組んでいきたいと述べた。ミシェル担当部長は、今大会の開催に尽力したスタッフに感謝し、ベルナデット議長が、「青年がもっと大切にされる社会を作っていこう」と述べ、参加者とスタッフに感謝し、閉会した。


UNI Apro ICTS部会委員会を開催

2022年8月29~30日に、UNI Apro ICTS部会委員会がオンライン開催された。

開会にあたり、安藤京一UNI Apro ICTS部会議長が、新たな生活様式や働き方が広がる中、我々の役割はこれまで以上に高まっている。現状を把握し、課題を抽出し、課題解決に向けてアクションプラン策定につなげていこう、と呼びかけた。ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、インフレの加速やリモートワーク等、様々な新しい課題が浮上しているが、今回、テックワーカーやゲーム開発労働者の組織化など、活発な議論が展開されるのを期待するとともに、KT労組の仲間を歓迎したい旨、発言した。

■パネルディスカッション1「リモートワークの課題に立ち向かう」
ベンジャミン・パートンUNI世界ICTS部会担当局長が、2021年にリモートワークの基本原則を発表後、様々な交渉に生かされてきたこと、そして2022年には、リモートワークに関するデータベースを構築したことを報告した。データベースには、世界各国からリモートワークに関する250本の協定内容が集められ、結社の自由と団体交渉、平等な機会と権利、スキル強化とキャリア開発、監視とデータ保護、つがらない権利など、テーマごとにまとめられている。

鈴木克彦NTT労組委員長は、「リモートワークを基本とする新たな働き方の実現」と題して報告を行った。組合として、リモートワークを基本とする新たな働き方は、個々人の多様なライフスタイルに寄与するものと認識しているが、組合員と上長や同僚とのコミュニケーションの課題、長時間労働や安全衛生上の実態把握や人権問題、人材育成の課題など、課題認識を持って対応していく必要があると発言した。

■パネルディスカッション2「人工知能(AI)」
マッシモ・メンシUNI世界専門職・管理職委員会担当局長兼デジタル政策アドバイザーが、「アルゴリズムと監視」をテーマに報告した。アルゴリズム管理の対象となっていることを労働者が知る権利、指揮をするのは人間であるという大原則、設計段階で差別や偏見が入り込まないようにする必要性、個人データの保護などについて説明し、交渉に活用できるアルゴリズム管理に関する新たなガイドラインやツールキットを今年中に発表予定であると述べた。

北野眞一情報労連書記長は、「日本の労働組合のAI課題戦略」について報告した。日本でもAIによる人事情報の管理、運用が進む一方で、AIを利用し無断で個人情報を提供した事件も起きている。こうした中でKDDIは、各種アプリの利用状況などのデータを収集・分析し、その結果を上司や本人にフィードバックし、効率的な働き方の見直しにつなげる趣旨のシステムを導入した。KDDI労組は、監視目的ではないこと、本人同意が大前提であることなどを確認し、データ収集の範囲や取り扱いについて、会社と協議を重ねてきた。情報労連としては、こうした事例を収集し、企業がAIを用いる際の労使協議のポイントを取りまとめ、政策提言を進めていきたいと発言した。

■パネルディスカッション3「万人のためのデジタルスキル強化(DUFA)」
UNI欧州ICTS部会のビルテ・デデン氏が、欧州電気通信事業者協会(ETNO)とUNIによるDUFAのプロジェクトについて概要を報告した。女性および高齢労働者のスキル強化および雇用適性の改善を目的とした調査が行われた。高齢労働者向けのプログラムを実施しているパートナー企業が皆無であり、既存の労働者のスキル強化の価値やスキルギャップについて認識が不十分であることが分かった。スキル向上における障壁の分析・特定、長期的な予算と投資の確保、経験の共有、社会パートナーや組合の参画が重要であると強調した。

続いて、シンガポールのUTESからスビンダー・シン委員が、同国のデジタルスキル向上および社会パートナーとの連携について、報告した。同国では、初心者およびベテラン向けのスキル強化プログラム「アップスキル2022」が導入された。一方で組合は、2019年から企業に対して、従業員のスキル強化に向けた「社内トレーニング委員会」の設置を求め、これまで800社以上が関わってきた。UTESはこの取組みに参加する企業のために覚書を作成し、労働者が未来の仕事のためのスキルを身に着けるための訓練ロードマップも策定したと報告した。

■組織化報告 
カリー・リベックICTS部会シニアコーディネータは、6月にベルリンで開催されたテック・ゲーム部門の労働者集会や、同産業についての調査研究、グーグル労組アライアンスの取組み、CWAとマイクロソフト社の中立協定等について報告した。

韓国マイクロソフト労組(KFCLU)のクァク・チャンヨン委員は、マイクロソフトやオラクル、HP、SAPの各労組での取組みや、韓国の労組を取巻く政治環境について報告した。

ミカエラ・ラファーティUNI世界ICTS部会オルグは、多国籍コールセンター企業におけるグローバルな取組みと課題、戦略について、報告した。また、テレパフォーマンスについてフランスNCPに提訴した件と、その後に出された勧告、株主向けに作成した報告書についても説明した。

ネパールUNICTSのシャンカール・ラミチャーニ委員は、アクシアタ労組では7つ目の団体協約を締結し、賃上や退職金、託児所の獲得、ハラスメントや労働安全衛生に関する規定等、様々な権利を勝取ることができたと述べ、UNI Aproの連帯支援に感謝した。

他、インド、フィリピン、マレーシアの参加者も組織化の取組みについて報告した。

■2022~2023年のUNI Apro ICTS部会活動計画
続いて、クン担当部長が、2022~2023年の活動計画として、5つの優先課題(以下)を示し、承認された。
① ICTS産業の主要多国籍企業及び地域企業における組織化と組合強化
② コンタクトセンターにおける組織化と労働基準の引上げ
③ グローバルIT企業における組織化の拡大及び強化
④ ICTS労働者のために政治的影響力と経済力を高める
⑤ 新しい仕事の世界のための戦略構築

最後に安藤議長が、ICTS産業の変化のスピードは速いが、労働者の安定した地位を求めていく組合の役割はとても大きく、我々の連携した取組みが重要であると述べ、閉会した。


UNIとノルウェー加盟組織、ノルウェー銀行による投資先の人的資本管理に関する期待文書について、強力な実行を呼びかける

UNIとノルウェーの加盟組織であるHKおよびFSUは、ノルウェー銀行投資マネジメント部門(NBIM)による投資先の人的資本管理に関する期待文書の公表を歓迎する。この文書は、巨大な投資家が労働者の待遇に対する監視を強めていることを世界中の企業に伝える重要なメッセージとなっている。

ノルウェー政府系ファンドを運用するNBIMは、70か国で9,000社以上の株式を保有し、1兆3千億ドル以上の資産を持つ世界第2位の機関投資家である。

重要な点は、使用者が労働力管理の柱として、労働組合の権利尊重に関する期待事項が盛り込まれており、「結社の自由や団体交渉などの良好な労使関係は、企業が人的資本管理戦略を効果的に導入・実施するための基盤」であり、「企業は、労働者や労働組合などの労働者を代表する者と関わるべきである」としていることだ。

こうした期待事項は、ファンドマネージャーとの文書策定に際しての協議において労働組合が提起した、「結社の自由と団体交渉の尊重は、良い使用者であるための多くのテーマの中の一つではなく、それこそが要である」という重要なポイントの一つを反映したものである。

ただし組合側は、この期待文書が人的資本管理のベストプラクティスに関するNBIMのリーダーシップの確立について踏み込んだ内容となっていなかった点については、落胆している。組合は、方針、リスク管理、情報開示に関する期待の各段階において、明確かつ明示的に労働組合の関与を求めることによって、社会対話が労働力管理の一環として完全に組み込まれるべきであると考えているからだ。

だが、最も重要なのは、この文書がいかに効果的に実践されるかであり、そのためにNBIMと連携していくことを期待する。我々は、NBIMに以下の事項を要請した。

1.企業との関わりについて、守秘義務に反しない形での情報開示を増やし、所有権行使の透明性を高める。
2. 特に社会および人権に関わるテーマについて、株主チームのリソースを増やす。
3.議決権行使の方針を強化し、より具体的に期待文書に沿ったものにする。
4.ステークホルダーの声を届ける仕組みを含め、ステークホルダーとの関わりについて方針を策定する。


ペルーの組合、H&Mで画期的な団体協約を締結

ペルーのUNI加盟組織が、スウェーデンの小売業H&Mとの間で画期的な団体協約を締結し、ファストファッション部門では同国初の団体協約となった。

ペルーの労働組合SUTRA H&Mは、 2022年8月 にこの歴史的な協約を締結した。協約は、UNI米州とスウェーデンの加盟組織UnionenおよびHandelsが支援する、ペルーH&Mにおける集中的な組織化キャンペーンと、H&M経営陣に対するグローバルレベルでの働きかけによって獲得されたものである。

セルジオ・アレハンドロ・オルテガ・カンテーロSUTRA H&書記長は、「我々の組合は、ペルーのファストファッション部門にとって歴史的な出来事となる初の団体協約を締結した。組合員の気持ちとニーズを反映する社会的・経済的利益を獲得することができた。次の交渉では、H&Mと直接対話をして解決できることを望んでいる」と述べ、「H&Mの全労働者に対し、組合に加入し、さらに大きな利益を共に実現していくことを呼びかけたい。これは全組合員の努力の賜物だ」と付け加えた。

協約により、組合員は以下の恩恵を得ることになる。
・2019年12月まで遡及した、6%の賃上げ
・3歳から25歳までの子(子が障がいを持つ場合は1歳以上)を持つ組合員に対する治療・リハビリ費用の助成(払い戻しは2020年から適用可能)
・家族(両親、子、配偶者、パートナーなど)が死亡した場合、最低月額賃金の2.5倍相当の金銭的援助
・H&Mの衣料品を年間6点まで、7割引で購入可能
・レジの50%および休憩室に、人間工学に基づいた椅子を設置
・家族が死亡した場合、最大4日間の休暇

マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「今回の協約が示すのは、H&Mとのグローバル枠組み協約、スウェーデンの加盟組織による連帯支援、さらにUNI米州からの積極的な支援が加わることで、これまで組合結成が困難だった国の企業との間で、誠実な交渉への扉を開くことができたという点だ。これはSUTRA H&M労組にとって重要な勝利であると同時に、他のファストファッション小売業者における組織化の模範となる。、ペルーやこの地域に、良い波及効果をもたらすだろう」と指摘した。

SUTRA H&M労組は、ソーシャルメディアを通じて労働者と関わり、パンデミック中も勢いを維持した。労働運動と忍耐力により、厳しい交渉にもかかわらず、成果を実現したのである。

マルシオ・モンザネUNI米州地域書記長は、「ついに組合がついに会社側との合意に至ったことは、素晴らしいニュースだ。残念なことは、今回の合意に至るには、H&M本国の組合、労働省、調停による介入が必要となったことだ。今後は労使関係が正常化し、交渉が直接対話で解決していくことを期待したい」と述べた。


縫製工場の安全性- パキスタンの優先課題

2012年9月11日、火災後のアリ・エンタープライズ縫製工場

パキスタン・カラチにある、アリ・エンタープライズ縫製工場での悲惨な火災から10年を迎え、UNI、インダストリオールおよび国際アコードに署名したブランド企業は、できる限り早期に同国での労働者安全プログラムを立ち上げるべく、一致して取組んでいる。

2012年9月11日、アリ・エンタープライズ社の工場が爆発炎上し、縫製に携わる250人以上の労働者が死亡、50人以上が重症を負った。この恐ろしい出来事以降も、パキスタンの衣料品・繊維産業では、死亡事故が後を絶他ない。

このため、世界の労働組合とブランド企業が連携する「繊維・衣料品産業の安全衛生に関する国際アコード」は、パキスタンを画期的で法的拘束力のある労働者安全プログラムを拡大する優先国として指定した。バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関わる協定は、2013年にバングラデシュで発生したラナプラザ災害以来、同国の縫製工場における安全性を変革し、協定を引き継いだ国際アコードは、労働者の安全を維持し続けている。

国際アコードの主要な交渉役を務めるアルケ・ベシガーUNI副書記長は、パキスタンにおける労働者安全プログラムの立ち上げに際して、「UNIとインダストリオールの両組織は、パキスタンにおけるブランド企業や主要なステークホルダーとともに、衣料・繊維産業における安全プログラムの策定に向けて、数ヶ月間協力してきた。現在、このプログラムを始めるための詳細を詰めているところであり、間もなく開始できると期待している」と述べ、「10年前のアリ・エンタープライズの大火災で亡くなった人々を思い起こし、追悼するとともに、パキスタンのすべての衣料・繊維に携わる労働者にとって安全な未来を要求していく」と改めて決意を語った。


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