8月 2022のお知らせ

欧州のICTS部門の社会パートナー、2年間の社会対話プロジェクトを完了

欧州における電気通信部門の社会パートナーであるUNI欧州ICTS部会、欧州電気通信事業者協会(ETNO)は、2年間の社会対話プロジェクト「全ての人のためのデジタルアップスキリング」(DUFA!)を終え、その成果をまとめた。

このプロジェクトで得られた知見は、欧州の電気通信部門の労働者がデジタル技術の向上に取組む上で、より有効なものとなるだろう。また、今回明らかになった優良事例は、欧州の電気通信部門における、より多様で包摂的な労働力の実現に向けて道を開くものだ。このプロジェクトは、欧州の労働力の幅広いエコシステムに目を向け、他部門がこれらの重要な問題に取組むきっかけとなることを目指している。このプロジェクトのハイライトをまとめた概要報告書は、欧州の19公用語で参照可能だ。

欧州労働者の半数がデジタル技術を習得
調査によると、2025 年までに労働力の半数が再技能教育を必要としている。現在のペースでは、欧州におけるすべての部門で、労働者の再教育に関して大きな課題に直面することになるとされる。最新の「デジタル経済・社会指標」報告によると、現在、基本的なデジタル技術を身につけている欧州人は56%にとどまっている。

この結果は、コンサルティング会社マーサーが実施した業界調査の結果とほぼ同じである。この調査結果によると、DUFA!プロジェクトに参加した専門家の54%は、現在、従業員のスキルアップに関して「分析と計画」の段階にあり、2030年に向けた欧州の「デジタルの10年」目標の達成にはまだ程遠い状況だが、EU のすべてのステークホルダーを迅速に動員すれば、この目標を実現する可能性が高まるだろう。この目標では、2030 年までに欧州の 80% の人々が少なくとも基本的なデジタル技術を身につける必要がある。

優良事例の特定に向けた2年間の取組み
2020年2月以降、このプロジェクトに参加する専門家は、通信事業部門がデジタルアップスキルに取組む上で何が不足しているのかを、ジェンダー平等、労働力の高齢化、マイノリティといったさまざまな観点から理解を深めてきた。

プロジェクトの調査結果をジェンダーの観点から見ると、ターゲットとなるデジタルアップスキル戦略を妨げている主要因として、人事プロセスにおける偏見、メンタリングプログラムの欠如、創造的で革新的なIT職務への関わりに男女格差がある点などが挙げられる。高齢化した労働力のデジタルアップスキル戦略に関しては、社内における柔軟な労働政策や段階的退職にむけた戦略の欠如、新しい適切な職種が生み出されていないこと、職場の人間工学の欠如などの制約が指摘されている。

さらに、プロジェクトの参加者らは、様々な神経疾患や障がいの当時者、さまざまな民族や難民、LGBT+コミュニティ等のマイノリティには、未開拓の才能があることに同意している。

通信業界とその周辺を活性化
DUFA! は、ETNOとUNI欧州を結びつけ、電気通信部門の労働力のレジリエンス強化に成功した事例でもある。欧州委員会から資金提供を受けたこのプロジェクトは、欧州ICTS部会にとって、新たな人材を確保する手段としてデジタル技術を向上させるというアプローチに挑戦する足掛かりとなった。

通信事業部門以外にも目を向けることで、このプロジェクトは、欧州委員会が設定したデジタル技術の向上目標を達成するために活用できる優良事例を明らかにしてきた。


ネパール商業部門のオルグと組合リーダー、組織化スキルを強化

ネパールの商業労組UNICOMEは、2022年7月31日から8月2日にかけて、ネパールの商業部門の組合オルグおよび指導者20人以上を対象にワークショップを開催した。イラム地方のホテルで開催されたこのプログラムでは、オルグの役割や組織化の戦術などについて学ぶとともに、どのように国際産業別労働組合や連帯組織が現地で組合の組織化を支援しているか等が紹介された。

現地の労働局およびILOネパール事務所を代表するゲストが、労働法の関連条項や労働安全衛生の重要性について、講演を行った。また、デジタル組織化に関わる新たなモジュールの一環として、参加者は職場マッピングの実践的な手法とトレーニングを受けた。

3日間のワークショップの最後に、参加者はイラム地方調整委員会の副主任から修了証書を受け取った。ポカラ出身のUNICOME組合員であるリトゥ・ギリ氏は、「トレーニングは組織化スキルの重要な分野を理解するのに非常に役立ち、組合の発展と同様、個人の成長にも有益なものだった」と感想を語った。

UNICOMEは、ワークショップで築かれたスキルや関係性が、デパートの企業別労組の組織化や、州レベルでの社会対話の範囲拡大に貢献するだろう、と自信をのぞかせた。


広島・長崎への原爆投下から77年目-UNIは原爆犠牲者を追悼し、軍縮の要求を新たに

UNIは、77年前の今週、日本への核攻撃で亡くなった22万5千人の人々を追悼する。 

また、第二次世界大戦中の1945年8月6日に広島、9日に長崎で行われた原爆投下によって、長期にわたる放射線の影響を受け続けた数千人以上の犠牲者に心を寄せる。

アルケ・ベシガーUNI副書記長は、「原爆投下が引き起こした言いようのない恐怖を決して忘れてはならないし、世界で混乱と核の脅威が高まる中、このような非道な行為が二度と起こらぬよう、平和と核軍縮を訴え続けなければならない」と述べた。

UNIは、人権の基本要件である核兵器のない世界の実現を積極的に求めるとともに、核兵器廃絶のための国際キャンペーンに参加している。また、2010年に長崎で開催されたUNI世界大会以来、UNIは長崎市や国際平和運動と強い絆を築いてきた。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、「我々はこの厳かな節目の日に、失われた人命を追悼するとともに、我々の地域、そして世界中の安全で民主的な未来のために、核兵器を歴史の灰の山に追放しなければならないのだということを改めて表明する」と語った。


英国アマゾン倉庫で労働者が座り込み

英国ティルベリーのアマゾン倉庫で働く数百人の労働者が、ここ数十年で最悪のインフレ危機のさなか、時給35ペンスというあまりに不愉快な賃上げ額の提示に抗議し、ストライキに踏み切った。

ソーシャルメディア上の動画では、アマゾンの労働者が、エセックス州ティルベリーにある同社倉庫の食堂で、経営側からのわずかな賃上げの提案に反対する声を上げ、抗議している。8月初旬にアップロードされた動画では、管理者が従業員に職場に戻るよう求め、「一晩中こんなことを続けていても、何も変わらない」と発言している様子が映っている。

UNI加盟組織であるGMBの代表は、労働者が生活費の上昇に対応するため、時給2ポンドの賃上げを求めているとしている。GMBの地域オルグであるスティーブ・ガレリック氏は、「アマゾンは地球上で最も利益を上げている企業の一つ。生活費が高騰する中、まっとうな賃金を出すことはできるはずだ」と述べ、「アマゾンは労働組合とともにより良い労働条件と公正な賃金を実現することを拒み続けている。会社側による短期雇用契約の繰り返しは、労働者の権利を弱体化させるためのものだ」と指摘した。また、「同社が好んで描くイメージと労働者の現実は、これ以上ないほどかけ離れている。賃金と労働条件を抜本的に改善しなければならない」と訴えた。

賃金や福利厚生をめぐるアマゾン倉庫でのストライキは、今に始まったことではない。ドイツでは、労働者の長年のストライキと組織化を受け、アマゾンは時間給を引き上げた。しかし、労働時間が長く、クリスマスや休暇のボーナス等の特別手当が殆どもしくは全くないため、アマゾンの従業員の収入は、団体協約で保護されている同業他社の従業員よりも数百ユーロ低いままであることが多い。

5月のプライムデーのストライキで、ver.diのナッツェンベルガー氏は、「従業員の働きを評価し、物質的な保障を与えることは、長年の懸案となっている」と述べ、「団体協約だけが労働者を守り、アマゾンが好き勝手にやっている状況を終わらせることができる」と力を込めた。

アマゾンで働くVER.DIの組合員は、賃金や労働条件をめぐって過去に何度もストを打ってきた。

UNIは、アマゾン労働者を代表するアマゾン労組アライアンスをまとめている。


UNI欧州、労働者を中心に据えたケア部門戦略を要求

UNI欧州が、労働組合の権利、団体交渉、労働条件、人員配置、質の高いケアを強化するため、欧州の来るべき介護戦略を要求している。労働者の利益が戦略の中に組み込まれるよう、UNIはEUの3つの立法機関の主要な政策決定者と連携している。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「人々が受けるケアの質と安全性は、介護に関わる労働者の労働条件と切り離すことはできない。パンデミックの影響で、ケアを受ける人と労働者の双方に十分な資源が行き渡っていないことは、共通認識となっている。我々は、民間介護部門で働く何十万人もの人々を置き去りにはできない。今こそ改善を求める時であり、欧州ケア部門戦略は、過去2年間に欧州全域で露呈した壊滅的な欠点を修正するための、重要な手段だ」と強調した。

欧州委員会
欧州委員会は、欧州ケア部門戦略の策定において中心的な役割を担っている。UNIのアプローチの目的は、社会パートナーと株主がケア部門の水準を上げるという目的を共有し、EUが推進しうる主なツールとして、強力な団体交渉を提示することだ。そのためUNIは、UNIが支援する「ケア部門の責任ある投資家イニシアティブ」と、ニコラ・シュミット雇用・社会権担当委員との会合を設定した。2021年に開始したこのイニシアティブには、3兆7000億ユーロの資産を運用する130以上の機関投資家が参加している。

ニコラ・シュミット委員は非常に前向きな反応を示し、社会サービスにおける産別の社会対話委員会の必要性を強調した。UNI欧州は現在、包括的で労働者を代表する産別の社会対話の機構を創設するため、取組みを推進・強化している。

レティクUNI欧州地域書記長は、「患者/利用者:スタッフの安全な比率、防護具の提供、そして質の高いケアを長期に渡って提供しうる仕事量の維持のためには、強力な労働組合が必要だ。労働組合は、ケア部門の企業に変化をもたらす独自の洞察力を提供できるという認識が、あらゆる関係者間で共有されている。昨年の我々の取組みは、投資家との対話を通じ、企業方針と慣行の改善に向けた強力な基盤を築いてきた」と指摘した。

ケアに関する市民社会団体連合の一員として、UNIは欧州委員会に対し、「欧州ケア戦略は欧州議会の要求と一致しなければならない」と題する書簡を送付している。

欧州議会
UNI欧州が、欧州議会における主要な委員会のメンバーと長期的な関係を構築してきたことで、UNI欧州の意見が欧州ケア戦略に反映され、また介護労働者の集団的発言力を強化することにつながってきた。

最近、欧州議会の2つの委員会(雇用・社会問題委員会、女性の権利・男女機会均等委員会)が、「ケアに関する欧州共通行動に向けて」と題する独自報告書を共同で提出し、組合が介護部門で果たすべき重要な役割を強調している。この報告書は欧州議会で採択されており、特に労働者の組織化の権利を強化することを目指している。

独自報告書は、欧州議会が立法措置を開始するための主要な手段となっている(そのためには欧州委員会も必要である)。この内容がEU法に反映されれば、個人・訪問介護労働者を含む広範な介護部門における団体交渉について、 欧州全域で新たな枠組みが生まれることになる。この報告書は、欧州ケア部門戦略について、介護労働者が集団的に強力な発言権を持つことを保証するよう、欧州委員会に強いメッセージを送るものである。UNI欧州が複数の欧州議会議員や政党に働きかけたことで、組合の権利などの重要項目が盛り込まれることとなった。

エイドリアン・ドゥルチUNI世界ケア部会担当局長は、「この欧州議会の報告書は、UNI欧州ケア部会の中東欧や南東欧での組織化の取組みや、EUレベルでの政策提言活動やロビー活動が、いかに労働者の権利を強化し、組合の力を構築しているかを示すものだ」と述べた。

加盟国
EU理事会を通じて加盟国も、欧州ケア部門戦略の策定に対して発言権を持っている。UNIは主要な協力団体と連携し、組合の要求が最終版に盛り込まれるよう、強力に働きかけている。

スペインの労働組合は、介護部門の危機を政府の最優先課題として取り上げることに成功した。最近では、UNIはスペインの組合CCOOが主催した、同国副首相を務めるヨランダ・ディアス労働・社会経済大臣とのハイレベル・セミナーに参加した。セミナーでは、フェミニズムと労働組合の視点から、ケア部門の欧州戦略を策定することに焦点が当てられ、ディアス副首相は、「フェミニズムを核としたケア部門の専門化を実現する上で必要な変化を起こすため、我々は協力していかなければならない」と述べた。

また、ウナイ・ソルドCCOO書記長は、「ケアに関する協定は、21世紀の新しい社会契約を構成する中心的要素の一つだ」と述べ、パンデミックの観点からケアに対する投資の重要性を強調した。

セミナーに参加したベロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は、「全ての大陸、全ての国で、ケアの仕事は女性が担っている。管理職の大半が男性で、労働者の大半が女性である現状においては、制度的な性差別の存在を無視することはできない」と指摘した。

また、団体交渉を通じて労働者に発言権を与えることが、ケア部門の労働者が抱える主な課題、特に低水準の賃金と人員配置を改善する最も効果的な方法であると指摘し、「産別団体交渉によって労働者は、業界全体の労働条件を改善し、解決策に加わる可能性を与えられる。EUは、労働条件を抑圧する構造的な問題に覚醒しつつある。EUが本気で状況を変えようとするならば、政策決定者はまず、ケア部門の主な政治的圧力の対象である公共調達を、労働者の団体交渉権を尊重する企業に限定するよう要求しなければならない」と訴えた。


UNI Apro 青年委員会 & 青年ワークショップ、バンコクで開催

2020年初頭に始まった世界的なコロナ禍以降、UNI Aproとしては初の対面の機関会議として、2022年7月22~23日の2日間に渡り、第18回UNI Apro青年委員会がタイ・バンコクで開催された。この間、委員の交代等もあったため、今次会議では、まず「お互いを知ること」を重視し、ロールプレイやブレインストーミング等、対面のメリットを生かしたインタラクティブで参加型の手法を多く取入れて進められた。各国の青年活動報告に加え、この間に国政選挙が実施されたフィリピン、日本、インドネシア、オーストラリア、スリランカから国政報告も行われ、各国の労働運動の背景となる政治・経済事情についても理解を深めた。また、加盟組織及びUNI機構における青年の代表性を高めることを目指し、UNI世界青年委員会として2023年8月のUNI世界大会に提出する動議案についても内容を確認した。最後に、9月13~14日にオンラインで開催されるUNI Apro青年大会の準備状況について確認し、特に各国の青年活動報告で出された成果及び今後取り組むべき課題を踏まえ、2022~2026年の行動計画案について討議した。

参加者:来賓、青年委員、オブザーバー、事務局を合わせ計19人が出席。内訳は以下の通り。

  • 来賓:スウィット・ミンモル(タイUNI加盟協議長、UNIメディア部会運営委員)
  • UNI Apro青年委員: 14人の委員の内、東アジア(日本)、東南アジア(インドネシア、フィリピン、シンガポール)、南アジア(インド)より計8人が出席。日本からは、松波清美副議長(日放労)、太田佳織委員(情報労連)、藤原尚子委員(UAゼンセン)、齋藤優輔委員(JP労組)の4人が出席。(スリランカ、オーストラリアの委員は出席できなかったがビデオで国政報告及び青年活動報告を行った。)
  • オブザーバー:3人(辻耕平・情報労連中央執行委員、ネパール、フィリピン)
  • 事務局:7人(ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長、マルタ・オチョアUNI青年活動担当局長、ベロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長、ミシェル・ベリーノUNI Apro青年活動担当部長、ソンブーンUNIタイ加盟協スタッフ、上田UNI-LCJ事務局長、森川UNI-LCJ事務局次長)

●国政選挙報告

松波清美副議長(日放労)は、7月10日の参院選では各産別が様々なチャネルを通じて政治活動の重要性と組織内候補への投票を呼びかけ、LCJ構成組織の候補者は全員当選することができたが、与党が過半数を獲得する厳しい結果となったと報告した。投票率の低さ、支持政党分裂による労組集票率の低下に加えて、SNSの活用によりいかに若年層や無党派層を取り込んでいくかが課題であり、今後も政策実現のため組織拡大と共に政治活動の強化が重要だと述べた。

●各国青年活動報告

  • 太田佳織委員(情報労連)は、若手役員向け研修コースについて紹介し、課題として、①組合活動へ参加する組合員が少なく、②組合役員の担い手が少ないことを挙げた。解決策として、青年役員による新規組合員の勧誘活動、SNSでの親しみやすい情報発信、魅力的なレク企画、職場の枠に留まらない出会いや学びの楽しさを体感する機会の提供が重要であり、若年層が挑戦したいと思えるよう、組合活動自体の工夫や見直しを行う必要性も指摘した。
  • 藤原尚子委員(UAゼンセン)は、35歳以下の組合員で構成されるヤングリーブスとして、コロナ禍に実施した若年層向けのオンラインイベントについて紹介した。若年層の関心が高いフェアトレードやSDGs等のテーマでのオンライン学習会に加え、参院選期間中には、「若年層の投票率」、「カスタマーハラスメント」、「男性育児休業」等をテーマにした交流会を集中的に実施し、若手組合員に組織内候補者の政策への理解を深めてもらうとともに、政治への興味・関心の向上を図ることができたと成果を報告した。
  • 松波清美副議長(日放労)は、柔軟で多様な働き方を望む若年層を意識した労使交渉に力を入れており、サバティカル休暇や自己啓発休職制度、リモートワークを活用した遠隔地勤務制度の拡充等を勝ち取ったことを報告した。組合役員の担い手不足という課題解決のためにも、こうした労使交渉を通じて「組合は自分たちの役に立つ存在だ」と実感を持ってもらうことが重要であり、リモート会議の実施や代理制等、役員を担いやすい組合運営の改革にも取り組んでいることを紹介した。
  • 齋藤優輔委員(JP労組)は、30歳以下の組合で構成されるユースネットの活動として、若手役員育成研修、リサイクル活動や書損葉書集約活動等の社会貢献活動、全国規模のレク開催、参院選での組織内候補者をモザイクアートで応援する取組み等を紹介した。また、課題として、新規採用者数の減少に伴い青年組合員数も減少する中、ユースネット役員の固定化や組合役員の担い手不足を挙げた。

委員会終了の翌日、2022年7月24日にUNI Apro青年委員向けワークショップが開催され、参加者は様々なゲームやディスカッションを通じて、「団体交渉」における効果的なコミュニケーション方法について学び、国際青年デーに向けた動画作成等に協力して取り組んだ。


BTグループでストライキ中の英国CWU組合員に連帯

英国のUNI加盟組織である通信労組(CWU)の組合員約 4 万人が、2022年7 月 29 日と 8 月 1 日に、英国の電気通信事業者BT グループでストライキを実施する。同社では35年ぶりのストライキであり、世界的な生活費危機に労働者が不安を抱える中で実施される、最新のストだ。

2日間の全国ストライキは、BTがインフレ率の上昇を補う賃上げ交渉を拒否したことに端を発する。現在、同社が提示している年間1,500ポンドは、11%を超える国内のインフレ水準と比較すると、劇的な実質賃下げである。

この実質的な賃金カットは、BTが年間13億ポンドの利益を上げ、同社のフィリップ・ヤンセンCEOが350万ポンド(32%の報酬引上)という高額報酬を得ている一方、BTの営業所では従業員を支援するためにフードバンクを設立したと伝えられる中で行われた。

ストライキに参加するのは、主に子会社であるオープンリーチのエンジニアとBTコールセンターの従業員である。オープンリーチは、家庭や企業を英国の全国ブロードバンド・電話ネットワークに接続する電話ケーブル、ダクト、キャビネット、交換機を保守している。

これらの組合員は、携帯電話の接続、ブロードバンドインターネット、バックアップ発電機から国民医療システム、サイバーセキュリティ、データセンターまで、英国の電気通信インフラのほとんどを管理する業務に従事している。

デーブ・ウォードCWU書記長は、「今回ストに加わっているのは、パンデミックの間、国の通信インフラを維持してきた労働者たちだ。BTグループのCWU組合員がいなければ、在宅勤務革命は起こらなかっただろうし、国民が最も必要としている時に、重要な技術インフラが誤動作したり壊れたりしていたかもしれない。CWU組合員は大変な困難の中で働いたというのに、その見返りに得たのは、実質的な賃下げだ」と語気を荒げた。

「ストライキの理由はシンプルだ。労働者は生活水準の大幅な低下を受け入れない。労働者がフードバンクを利用している間に、上司がスイスの銀行を利用するようなことは許さない。」


「BTグループの労働者はこう言っている。もう十分だ。我々は勝利するまでやめない」。

スト実施の発表は、ストライキ投票の後に行われた。オープンリーチのエンジニアの95.8%、BT組合員の91.5%が、ストライキに賛成票を投じた。

UNI世界ICTS部会議長を務めるアンディ・カーCWU副書記長は、「ストに踏み切る決定は、軽々しくできるものではない。この争議が始まった当初から我々は、BTグループの労働者が受けるに値する敬意をもって扱われるような賃金交渉を行いたいとの希望を、繰り返し表明してきた」と訴えた。

「ストライキの暑い夏」は英国だけの現象ではないことを指摘し、オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「行動を起こさなければ、実質的な収入や支払える金額が劇的に減少するという事実に直面してしまうということを、人々は理解している。共に行動することで、労働者は動きを変えることができる。組合を通じて団体交渉することで、英国や欧州の労働者は大幅な賃上げを勝ち取っている」と述べた。


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