
2022年8月24日に開催されたオンライン調印式で、UNI Aproと韓国金融産業財団(KFIF)による画期的なコラボレーションが幕を開けた。
KFIFとUNI Apro、そしてUNIに加盟するフィリピンとネパールの金融労組(フィリピン銀行・保険・金融機関労組=NUBE-IFO、ネパール金融労組=FIEUN)は、この調印式の中で、プロジェクトの概要を記した覚書に署名した。
今回の合意により、KFIFはUNI Aproと連携し、フィリピンのパヤタス地域に職業訓練センターを設立するNUBE-IFOと、ネパールのルンビニ地域に男女別の公衆トイレを建設・運営するFIEUNを、それぞれ支援することになる。
KFIFからはキム・チャンヒ事務局長、韓国金融産業労組(KFIU)委員長を務めるパク・ホンベ理事、イ・ジユン・プロジェクト・マネジャーが出席した。UNI Aproからは、ジャヤスリ・プリヤラルUNI Apro金融部会担当部長が出席し、NUBE-IFOからはレイニア・クルス委員長、FIEUNからはパダム・ラジ・レグミ委員長が参加した。
KFIFは、UNI加盟組織であるKFIUと、韓国銀行使用者協会が2012年に締結した歴史的な産別協定から生まれたユニークな二者構成組織である。この協定により、金融部門の労働者と金融機関が持続可能な社会に貢献するための慈善財団が設立された。この財団は、33の金融機関に勤務する10万人の労働者の総力を結集し、2,000億韓国ウォン(約1億4,800万米ドル)という目を見張る資金を調達し、2018年に正式に発足した。当初は国内の取組みに重点が置かれていたが、徐々に拡大し、国際的な連帯支援を展開している。
キム・チャンヒKFIF事務局長は、「ISO26000社会的責任および国連持続可能開発目標を追求すべく、我々は2021年8月から、アジア各国のUNI加盟の金融労組との国際連帯プロジェクトを検討してきた。UNI Aproと協議した結果、貧困・差別・不平等の克服に焦点を当てた、2つのプロジェクトを進めることになった。COVID-19パンデミックの長期化や、極端な物価変動によるプロジェクト実施のリスクは残るものの、UNI Aproの指導と協力、ネパールのFIEUNとフィリピンのNUBE-IFOの仲間の献身的な連帯により、プロジェクト成果が得られるだろう」と期待を語った。
KFIF理事を務めるパク・ホンベKFIU委員長は、「KFIFは、国連の持続可能な開発目標に基づき、グローバル社会貢献事業の多様化に取組んでおり、差別や不平等をなくし、より安全で健康的、持続可能な社会を作ることが我々の目標だ。朝鮮戦争後の1950年代、世界最貧国の1つであった韓国は、アジアの近隣諸国の協力を得て、OECD加盟国として発展してきた。その成長過程で我々は、多くの闘いを通じて貧困、差別、不平等を克服している。当財団は、韓国の労働組合や市民社会が蓄積した貴重な資産をアジア地域の仲間と共有していく上で、各国の金融部門の労働組合が主導的な役割を果たすべきだと判断した」と語った。
フィリピンのレイニア・クルスNUBE-IFO委員長は、「17年前にパヤタス・プログラムを始めた時、児童労働と貧困の撲滅を支援することで、労働組合のイメージを向上させることが我々の目標だった。パヤタスを選んだのは、フィリピンの都市部の貧困を象徴しているからだ。人々は日々、ゴミ山の光景と臭いに囲まれて生活しており、ゴミをあさるか餓死するかの2択しかない。子どもたちが食べ物やリサイクル品をあさる姿は、非常に悲しい光景だ。我々は、深刻な栄養失調の子どもたちへの配食やリハビリテーション、学校給食、奨学金プログラムなどの支援活動を行ってきた。財団が支援するこの生活支援、訓練プログラムにより、我々が地域社会に描いてきたサイクルが実現し、パヤタスの人々、特に女性たちは、よりまっとうで人道的な、新たな生計手段を得ることができるようになるだろう」と期待した。
ネパールのパダム・ラジ・レグミFIEUN委員長は、「ルンビニでの男女別公衆トイレ建設という、この国際連帯プロジェクトに加われることに感謝したい。労働組合によるこの社会事業が成功することで、人々にポジティブなメッセージを与え、労働組合のイメージを高めることができるだろう。これは我々にとって実験的な取組みであり、今後数年のうちにネパールの銀行部門で模範を示していきたい。ブッダの生誕地ルンビニで、このプロジェクトの実施を計画した。このプロジェクトが、ネパールと韓国の労働組合の団結と共同作業の象徴となることを願っている」と語った。
ジャヤスリ・プリヤラルUNI Apro金融部会担当部長は、「これはUNI Apro金融部会が韓国の社会パートナーに委託する初の地域開発プログラムであり、我々はパートナーシップ労使関係の理念に基づき、地域の加盟組織に最大限の協力と支援を行う予定だ。韓国を飛び出し、SDGsに貢献し、ネパールやフィリピンなどアジアの途上国に手を差し伸べるKFIFの取組みは、称賛に値する。労働組合などの市民社会と各国の市民がしっかりとコミットしていく、企業の社会的責任(CSR)プロジェクトであり、すばらしい。2030年までに国連のSDGsを実現するため、市民と市民社会が加わるこのCSRを誇りに思う」と述べた。