5月 2022のお知らせ

スリランカで第10回UNI Apro/JP労組関東地本奨学金贈呈式を開催

2022年5月4日、UNI Apro/JP労組関東地方本部後援の奨学金プログラムの奨学生16名に対するささやかな贈呈式が開催され、奨学金の初回支給が行われた。贈呈式には、郵便・ロジスティクス部会のUNI加盟3組織(NPTWU、SLPTSU、UPTO)の役員が立ち会った。

この贈呈式には、従来であればJP労組関東地方本部の代表団が参加していたが、現在のスリランカ国内の不透明な政情や状況や海外渡航事情により延期を余儀なくされていた。スリランカの郵便3労組は、状況が改善した暁には、日本からの代表団の出席のもとで式典を開催することを望んでいる。

従来は対面で面接した上で総合的な選考審査を行っていたが、今回の奨学生は、パンデミックの影響により、オンライン審査で選考された。ジャヤスリ・プリヤラル奨学金選考委員長は、ほとんどの奨学生、特に女子学生が、この奨学金を利用して、さまざまな大学において科学、技術、工学、数学(STEM)の分野で学位を取得していることを喜んだ。

奨学金選考委員会の委員を務めるチャンピカ・アティモラテンナUPTO書記長は、スリランカ郵便労組の組合員の教育ニーズを支援するためJP労組関東地方本部より寛大なる資金援助を受けていることに感謝した。また、特にスリランカが現在深刻な経済危機に見舞われている中、奨学金選考委員会を通じてこの制度の調整を行っているUNI Aproにも感謝の意を表した。

このプログラムは、組合の社会的責任プロジェクト(USR)として、UNI AproとJP労組関東地方本部が、スリランカの郵便局員の子どもたちの学業達成を支援するために2002年に開始したプロジェクトである。このユニークなプログラムは、10名の子どもたちへの支援から始まり、10回目となる今回は16名を支援するまでに順調に発展してきた。奨学金は、生徒の学業成績に応じて授与されている。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、奨学生を祝福するとともに、「JP労組関東地方本部による、このプログラムへの継続的な強いコミットメントに感謝したい。スリランカが支援を必要としている今、奨学金制度はかつてなく重要性を増している」と述べた。


レイヴンソフトウェアの品質管理部門の労働者、組合結成へ

アクティビジョン・ブリザード傘下のレイヴンソフトウェア・ビデオゲームスタジオで品質管理に携わる労働者が、組合選挙に勝利した。組合を支持する票が86%と圧倒的な勝利を得て、全米通信労組(CWA)の下で組合を結成することとなった。

「5か月前、我々は連帯、持続可能性、透明性、公平性、多様性の原則に基づき、CWAの下でゲーム労働者アライアンスを結成した。アクティビジョン・ブリザードは、組合結成に向けた我々の取組みを頓挫させようとしてきたが、我々は耐え抜いてきた。選挙に勝利した今、組合が拠って立つこれらの基本的な価値を守ることは、我々の義務だ。我々の一番の願いは、この組合が、ビデオゲームスタジオで組織化されつつある労働者を鼓舞する存在となり、より良いゲームを作り、我々の価値観を反映し、我々全員をエンパワーする職場を構築していくことだ。強力な団体協約を通じ、我々の労働条件とアクティビジョン・ブリザードの将来を前向きに形作っていくため、経営陣とともに取組んでいくことを楽しみにしている」と、ゲーム労働者アライアンスのメンバーは語った。

アクティビジョン・ブリザードが同スタジオの品質管理部門でテスターとして働いていた12人を解雇したことに抗議し、60人以上のレイヴンソフトウェアの従業員が、2021年12月6日にストライキを始めた。5週間のストライキを経て、レイヴンソフトウェアの労働者は、2022年初頭、CWAの下でゲーム労働者アライアンスの結成を発表した。この品質管理部門のストライキにより、アクティビジョン・ブリザードは、2021年7月下旬にセクハラと不正行為で訴えられて以来、3回目の業務停止に追い込まれた。

ベンジャミン・パートンUNI世界ICTS部会担当局長は、「レイヴンの労働者の勝利へ向けた勇気と決意を称賛したい。今回の歴史的な投票は、米国のビデオゲーム労働者にとってのターニングポイントとして記憶されるだろう」と、勝利を称えた。

レイヴンソフトウェアの品質管理部門は、主に同スタジオの人気シリーズ「コール・オブ・デューティ」に携わってきた。この労働者の組織化は、CWAのデジタル労働者組織化キャンペーン(CODE-CWA)を通じて支援されてきた。CODE-CWAはこれまでにも、ヴォデオ・ゲームやパイゾなど、他のゲームスタジオでの組織化も支援してきた。

サラ・ステフェンズCWA書記長は、「アクティビジョンは、レイヴンの品質管理部門の労働者が組合を結成するのを阻止するため、違法行為も働きながら、あらゆることをしてきたが、それはうまくいかなかった。レイヴンソフトウェアの労働者をCWAに迎えることができ、とても嬉しい」と語り、「レイヴンソフトウェアの品質管理部門の労働者は、アクティビジョンとビデオゲーム業界に必要な変化をもたらしている。会社と従業員にとって重要なこの時期に、労働者はまもなく強制力のある団体協約と業務上の発言権を得ることになる」と期待した。


UNI欧州ユース、組合の組織化と強化に向けて立ち上がる

欧州全域から12か国を代表する40人以上の青年活動家が、5月にUNI欧州ユース・サマースクールに参加した。

ユース・サマースクールは、若い活動家がキャンペーンの成功例や組合の結成方法、多国籍企業における団体交渉の強化、国際的連帯の強化について、仲間から学ぶ絶好の機会となっている。

参加者は、アイルランドのスーパーマーケットであるダンズストアでのキャンペーンなど、若い労働組合指導者が主導して成功した組織化の取組みについて話を聞いた。ダンズストアでは、2年近くにおよぶキャンペーンを経て、約1万人の労働者が、COVID-19割増賃金の一環として10%の賃上げを獲得した。

このキャンペーンが示したのは、若者が直面する多くの課題の解決策は、極めて明確に組織化であるという点だ。労働組合に加入し、交渉、コミュニケーション、キャンペーンのスキルを磨くことは、若者が職場で公正な協約を得られるようにする上で最も強力な手段である。

多くの若年労働者の状況を悪化させたパンデミックから我々が抜け出そうとする中、今回のダイナミックなトレーニングでは、若い労働組合員が、自らの直面する課題を克服するための解決策を見つけ、スキルを強化するために行動した。

また参加者は、若年労働者を労働組合の活動に駆り立てるインスピレーションを与えるような動画コンテンツ(Tik Tok等のプラットフォーム用に)の作成を通じて、ソーシャルメディアのスキルも磨いた。

マルタ・オチョアUNI世界青年委員会担当局長は、「このサマースクールの強みは、若い労働組合員が互いから学び、そこで得た交渉やコミュニケーション、組織化のスキルを持ち帰って自国のキャンペーンに応用できること」であると述べ、「UNI欧州ユース・サマースクールのような、ピアツーピアのトレーニングが若者に与えるプラスの影響を直接見てきたが、インパクトのある組織化キャンペーンや強力な労働組合、国際的な連帯を構築するために必要なツールが、若者に提供されている」と、その意義を強調した。


LGBTI+の労働者とともに、UNIはあらゆる人々の平等を求めて闘う

5月17日の国際反ホモフォビア・トランスフォビア、バイフォビアの日(IDAHOBIT)にあたり、UNIは、活動家、市民社会、世界の労働運動とともに差別と不平等に反対し、世界中のLGBTI+の労働者に連帯して立ち上がった。

ベロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は、「世界中の労働組合は、LGBTI+に対する偏見や差別との闘いにおいて、重要な役割を担っている」と述べ、「組合にはLGBTI+の権利を求めて取組んできた長い歴史があるが、すべての労働者が職場における恐怖、ハラスメント、偏見から解放されるよう、今後も最大限の取組みを続けていく」と決意を新たにした。

LGBTI+の労働者は、不安定な雇用形態で社会から取り残されていることが多く、ハラスメントや暴力の対象となっている。多くの当事者は、攻撃やハラスメント、解雇を恐れて、自分自身についてオープンに語ることさえできないでいる。

だが、今年初めに実施されたUNIの調査で、LGBTI+に対する差別と闘い、より包摂的な職場を確保する上で、組合が極めて重要であることが明らかになった。調査では1,300人以上が、LGBTI+に対する差別との闘いにおいて、強力な組合と、LGBTI+の権利を明記した条項を団体協約に盛り込むことの重要性を強調している。

今年のIDAHOBITのテーマ『私たちの体、私たちの生活、私たちの権利』は、誰もが自分自身の身体と生活について自己決定する権利を持たねばならないということを確認するものだ。そして、それこそまさに、労働者が組合として団結し、自らに影響を及ぼす問題を改善するために集団で組織化するときに実践していることである。

世界中の何百万人ものLGBTI+の人々は、職場や地域社会、家庭において、日常的に偏見や差別、暴力に苦しみ続けている。COVID-19パンデミックの出口が見え始めているが、社会的排除と暴力が不平等を深め、世界中の何百万人ものLGBTI+の人々の暮らしを悪化させていることが明らかになっている。

LGBTI+の労働者に対する差別が増加する中、労働組合はすべての人のために安全で健康的な職場を構築するために立ち上がることができるのであり、またそうしなければならない。世界中の労働組合が、暴力とハラスメントに関するILO第190号条約の批准と実施に向けて、取組みを続けている。この条約は、 LGBTI+の労働者を職場で保護する上で画期的なゲームチェンジャーとなりうるものだ。


スイスDPDにおける組合潰しを跳ね返そう

民主主義とは、言論の自由以上のものであり、発言する自由を意味する。その核となるのは、人々が集いともに自らの状況を改善し、自らが生み出した価値の公正な配分を要求していく能力である。

DPDスイスのCEOに書簡を送った世界中の1,200人以上の人々は、あからさまな組合潰しによって職を奪われた5人のドライバーとともに行動し、組合結成という人々の民主的権利を封じ込めようとする経営側の試みを跳ね返そうとしている。

この5人の若いドライバーは、所属している労働組合UNIAとともに幅広い支援を集めており、孤独ではない。この地域の街中を車で走れば、道路脇や橋の上に連帯メッセージが掲げられているのを目にすることができる。地域の人々が善悪の区別を理解して証だ。連帯メッセージが寄せられる中、国際連帯も重要な役割を担っている。

この解雇事件は、郵便や物流の部門が、まっとうな労働条件と職場の民主化を求める闘いの最前線にあるということを象徴するものだ。DPDスイスは、労働者が厳密には下請け業者に雇われているという言い訳を使い、使用者としての責任から逃れようとしている。

今こそ事態を正す時だ。DPDが世界的に大きく成長し(2020年に42%増、2021年に15%増)、年間10億ユーロを超える利益を上げているのは、労働者のおかげである。労働者はDPDの制服を着用し、DPDのバンを運転し、DPDに特化して配送業務に従事しているのであり、DPDの公正な分け前を得るに値する存在である。

しかし、外部委託した零細企業間で激しい競争をさせることで、DPDは労働者からますます多くを搾り取っているのだ。下請けを法的な抜け道にし、労働者に標準以下の労働条件を押し付け、組合潰しを見て見ぬふりする状況は許されない。

今こそ、行動を起こすべき時だ。世論の圧力をさらに強め、世界が注視していることを経営陣に示すことで、流れを変えることができる。欧州議会のレイラ・チャイビ議員もこの呼びかけに賛同している。

不当解雇された5人の労働組合員を復職させ、労働組合の権利を尊重するよう、DPDスイス経営陣にあなたの声を届けてください。連帯アクションへの参加はこちらから。氏名、Eメールアドレス、郵便番号を入力し、既成の要請文書(英文)を送信するだけで、どなたもアクションに参加可能です。

(以下、要請文書の仮訳)

不当解雇された5人の労働組合員の復職を要請する

DPDスイス経営陣各位、

本レターは、スイスのティチーノにあるDPDの下請会社における5人の労働者の復職を要求するものだ。ダニーロ、アブドゥルハミド、ダビデ、ジャンルカ、サミュエルの5人は復職し、彼らの労働組合の権利は尊重されなければならない。

5人の労働者は、低い水準にある労働条件を改善するために労働組合UNIAに加入した。そのうち1人は、昨年の10か月間においてベスト3のドライバーとして活躍していたにもかかわらず、業績不振を理由に解雇された。この解雇は業績とは無関係であり、労働者およびUNIAに対する現地経営陣の意図的な攻撃である。

5人の労働者は、パンデミックの間も人々のために業務に従事してきた若い父親たちである。2021年12月31日付の解雇は、彼らの尊厳に対する冒涜である。彼らの地元コミュニティから絶大な支持を得て、数多くの抗議行動が続いているが、DPDスイスの経営陣は、こうした人々を黙らせようとし、組合潰しを放任している。

この不公正を是正するよう、要請する。DPDスイスは、不安定や社会的対立を助長するような存在であってはならず、自らの責任に向き合い、社会対話と民主主義を尊重しなければならない。

尊厳ある選択をしていただきたい。ティチーノの5人の労働者を復職させ、状況を解決するため、彼らおよびUNIAとの交渉開始を要請する。(以上)


労働組合が民間介護施設チャートウェルの労働リスクを指摘、投資家行動を呼びかけ

高い離職率、高ストレス、低賃金。今こそ、チャートウェルが変わる時

カナダ最大の民間労組UNIFOR、全米サービス従業員労組(SEIU)、全米鉄鋼労組(USW)およびUNIは、5月中旬に出された株主に対する注意喚起の中で、チャートウェル年次株主総会に向けた提言を発表した。

5 月 19 日の年次株主総会を前に、 カナダの大手介護施設チャートウェルの介護職員の過半数を代表する組合の連合体が同社の投資家に対し、人員配置、賃金と契約、安全衛生、結社の自由と団体交渉といった職場リスクについて、同社に働きかけを行うよう、呼びかけている。

カナダの介護部門はパンデミックの影響を特に受けており、COVID-19関連の死亡者の8割以上が介護施設におけるものだ。チャートウェルではCOVID-19による入居者の死亡率が悲劇的に高く、保健規制に関して同社が遵守していない項目の多さもあり、同社は危機の中心におかれている。

SEIU介護医療部門、UNIFOR、全米鉄鋼労組、UNIからなる組合の連合体は、投資家向けに発出した注意喚起の中で、同社のビジネスモデルに関連した以下のような労働リスクに焦点を当てた。

深刻な人員不足:介護部門における長年の問題であり、今回のパンデミックでは、労働者や入居者にとって人員不足がいかに危険であるかが、浮彫りになった。UNIFORやSEIU介護医療部門など複数の組合が、2022年にチャートウェルの施設全体で調査を実施したところ、回答した労働者の88%が、人員不足は質の高いケアを提供する能力に影響を及ぼすと答えた。

標準以下の賃金:2022年の調査ではチャートウェル労働者の85%が、自身の賃金ではまっとうな生活水準に達していないと回答した。2021年に実施された介護労働者に対する世界的な調査では、この数字は52%であった。

高い離職率:人員不足に伴う過重労働に低賃金が相まって、多くの労働者は他の雇用先を探すことを考えている。チャートウェルの従業員の離職率は、人材派遣会社の利用とともに、ケアの継続性に関して赤信号を灯している。同社は離職率を公表していないが、SEIU介護医療部門のデータから推定すると、同業他社のオルペアやコリアンよりもかなり高い離職率であることがわかる。

安全でない職場:2022年に調査した労働者の4割近くが、入居者と従業員を守るための会社措置は不十分であると回答した。ほぼ全ての回答に見られた、ストレス、疲労、身体的苦痛に関する訴えに加え、10人中7人の労働者が、業務中に身体的暴行を受けたことがあるとし、同様の数の労働者が言葉による嫌がらせも経験している。

労働組合と団体交渉は、こうした労働リスクに対処する上で重要な役割を果たしている。例えば、保健政策の専門誌『Health Affairs』に掲載された研究によると、労働組合の存在は、介護施設入居者のCOVID-19による死亡率を30%低下させることに関連することがわかった。チャートウェルは歴史的に、自社の従業員を代表する組合との交渉に敵対的であった。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「消耗し、過労し、低賃金である労働者にとって、チャートウェルのビジネスモデルは持続可能なものではない」と指摘し、「だが、世界の他の介護事業者で見られたような危機を避けたいと考える長期投資家にとっても、持続可能とは言えない。昨年、投資家らは、従来通りのビジネスは選択肢にはないということを同社に対して明確に示した。チャートウェルは今、変革を実行していることを全てのステークホルダーに示さなければならない」と強調した。

労働組合が同社のパンデミック対応について投資家に行動を呼びかけたのは、今年で2回目だ。組合は昨年、同社が労働関連のリスクをどのように管理しているかについて、取締役会のさらなる監視と情報開示を強く求める株主決議を支持する声を上げ、投票総数の31.37%を獲得した。

今回の投資家向けの注意喚起には、長期投資家がチャートウェルの慣行を変革するための、次のような提言が含まれている。
・人員不足や経営陣による反組合的行動などの労働リスクについて、同社に働きかける。
・UNIが支援する「ケア部門の責任ある投資家イニシアティブ」に署名する。この取組みは、3兆7000億ドルの運用資産を持つ100以上の投資家を集め、部門全体の基準引き上げを目指している。
・ガバナンスにおけるこれら重要な要素に関する取締役会の監督についての問題に投票する際、会社による取組みの進捗状況を考慮する。

マイルズ・サリバンUSW第6地区(オンタリオ州および大西洋沿海4州)担当部長は、「介護部門でのパンデミックは、最悪期こそ脱したかもしれないが、チャートウェルの介護施設でウィルスが猛威を振るうことになった根本的問題の多くは、未解決のままだ。深刻な人員不足と劣悪な労働条件は慢性的な問題であり、何年もずっと同じ状態が続いている」と鋭く指摘し、「投資家が他のステークホルダーとともに、同社に変革を求めることを期待する」と述べた。

アンディ・サヴェラUNIFOR介護医療部門担当部長は、「介護が、高離職率、高リスクの産業であり続ける必要はない。組合が労働者のために基準を向上し、入居者のためにケアの質を改善できるということを、様々な国や企業で目にしてきた。チャートウェルは、従業員と入居者の生活を向上させるため、従業員の声に耳を傾け、交渉を始めるべき時だ」と述べた。

シャーリーン・スチュワートSEIU介護部門委員長は、「我々が代表するのは、懸命に働いて疲れ果てて帰宅し、家族を養うために低賃金で危険な労働に直面している労働者だ。我々は投資家に対し、同社の施設で発生した死亡事故や病気の責任を追及するよう求めている。こうした事態が二度と起こらぬよう、投資家に行動を求めている」と力説した。


クロアチアのビデオゲーム産業で初の団体協約

5月上旬、クロアチアの労働組合Novi Sindikatとゲームチャック社は、同国のビデオゲーム産業では史上初となる団体協約を締結し、組合は労働時間の短縮、休日の増加、従業員への10%の利益分配などを獲得した。

同社で働く組合員のイゴール・ガジッチ氏は、「クロアチアではビデオゲーム産業が急速に成長しており、同時に、特に悪名高い「クランチタイム」(長時間の残業をしたり週末も働いたりする納期前の期間のこと)になると、労働者が搾取される機会も増えている。幸い、ゲームチャックではクランチ文化は存在しないが、今後も発生しないとは限らない。今回の団体協約は、そのような状況からゲームチャックの労働者を守ってくれるものだ。これはクロアチアのビデオゲーム産業における労働者の権利にとって大きな一歩だ」と、協約の意義を強調した。

団体協約では、週33時間45分までの短縮労働、毎日45分の有給休憩、24日分の年次有給休暇、体系的な見直しと第3の年金制度への支払いが規定されている。

Novi Sindikatのトミスラフ・キシュ氏は、この協定は労使関係を調整したいという相互の願いから生まれたものだと指摘し、「我々は、純利益の10%を労働者に還元する『利益分配』など、積極的な取組みを開始している。今年は1000クーナになる予定で、小さな額かもしれないが、来年はもっと利益を上げようと労働者のモチベーションを高めている」と述べた。

クロアチアのビデオゲーム産業は活況を呈しており、同時に労働者が搾取される機会も増えていると、イゴール・ガジッチ氏は指摘する。

ベンジャミン・パートンUNI世界ICTS部会担当局長は、「ビデオゲーム産業は、クロアチアやその他の地域で組合が抑制しなければならない巨大な力となっている」とした上で、「ゲームチャックとの間で結ばれた今回の協定は、ビデオゲーム産業という成長部門を組織化しようとする他の組合に道筋を示している」と述べた。

今回の協約では、以下の内容が保証されている:
・賃金と会社事業の透明性
・労働者に対する利益の10%分配
・労働時間の短縮と柔軟な労働時間
・年休と自由時間の拡大
・著作権管理の改善
・労働者の尊厳の保護
・第三の年金制度への支払い
・年次有給健康診断


米CWA 傘下のユナイテッド・パイゾ・ワーカーズ、ホワイトハウスでアピール

5月初旬、全米通信労組(CWA)傘下のユナイテッド・パイゾ・ワーカーズの代表者が、ホワイトハウスでバイデン大統領、カマラ・ハリス副大統領、マーティ・ウォルシュ労働長官らと会談し、パイゾの労働者がどのように使用者から組合の自主的な承認を獲得したか等について議論を交わした。パイゾの労働者は、受賞歴のあるボードゲーム「パスファインダー」や「スターファインダー」シリーズの制作に携わっている。

バイデン大統領との会合に出席したアレックス・シュピーデル氏は、2021年秋、経営陣の不正疑惑に伴って複数の長期雇用の従業員が退職したことを受け、CWAの支援の下、同僚と共にユナイテッド・パイゾ・ワーカーズを結成した。さらに労働者たちは、一貫性のない雇用慣行、会社全体の不公平な賃金体系、幹部や経営陣からの暴言の疑惑、上層部が無視または隠蔽したハラスメント疑惑などについて懸念を示した。

ベンジャミン・パートンUNI世界ICTS部会担当局長は、「ゲーム労働者の組織化は、米国内外で勢いを増している」と指摘し、「ホワイトハウスでの、このハイレベルな会合は、労働者がより良い雇用を求めて集中的な取組みを始めたら、誰にも阻止できないことを示すものだ」と述べた。

会合の中でシュピーデル氏は、労働者が使用者からの組合承認を求めたことに連帯し、同社で働いていたフリーランスの労働者がパイゾからの仕事の依頼を拒否し始めたと報告した。そして、フリーランスのこうした行動によって労働者の立場が強化され、同社が組合の自主承認を決断をする一因になった可能性があるとの見解を示した。

同氏は最後に、「バイデン大統領、ハリス副大統領、ウォルシュ労働長官と会うことができ、大変感激しました。ゲームやテックワーカーの組織化に向けたCWA のキャンペーンについて話し、ユナイテッド・パイゾ・ワーカーズと我々フリーランスのライターのチームが行っている素晴らしい取組みについて共有できたことは、本当に光栄で、ご招待いただき大変うれしく思います。あらゆる産業で組合加入に向け組織化している労働者を、行政が引続き支援することを願います。また、この勢いをCWAに持ち帰り、CODE-CWAキャンペーンを継続させていきたいと思います。すべての労働者が組合に加入できるべきです!」と喜びを語った。

CWAのCODE-CWA(デジタル労働者組織化キャンペーン)は、職場の変革を求めて組織化を行うテック及びゲーム業界の労働者を支援するプロジェクトだ。現在、アクティヴィジョン・ブリザード社のレイヴンソフトウェア・スタジオで働くCWAの労働者は、組合選挙の投票を行っている。また、CODE-CWAが支援し組織化されたアップルの小売労働者は、6月2日に同社で初めて行われる組合承認選挙の投票を開始予定だ。

バイデン大統領は、労働政策の前面に押し出しており、ハリス副大統領とウォルシュ長官は、労働者の組織化とエンパワーメントに関するホワイトハウス作業部会の議長と副議長をそれぞれ務めている。作業部会は、労働者の力、組織化、団体交渉を支援する上で行政機関が取り得る行動を特定することをミッションとしている。


独アマゾン労働者、透明性の問題でスト実施

ドイツの労働組合ve.rdiの支援を受け、同国のアマゾン労働者は、賃上げと個人情報保護の改善を求めて、国内の7つの倉庫でストライキを実施した。

ドイツでは、賃金が生活費の上昇に追いついていないこともあり、アマゾン労働者は何年も団体協約を求めて闘ってきた。多くの従業員は、アマゾンの拠点(その多くは大都市圏外に位置する)へは自動車で通勤している。記録的な利益を計上しているにもかかわらず、同社は団体交渉による確実な賃上げを拒否し続けている。

今回のストライキは、データの透明性について改善を求める国際的な動きを受けたものだ。今年3月には、UNIおよびプライバシー権について取組むNGOのnoyb.euの支援を受け、ドイツ、英国、イタリア、ポーランド、スロバキアのアマゾン倉庫労働者が、EUの一般データ保護規則(GDPR)に基づき、巨大テック企業による労働者の個人データの扱い方を確認するため、GDPR第15条の下、アクセス要求を提出している。

アマゾンは高度なシステムを使ってワークフローを監視しているが、労働者は自身のデータがどのように使用されているのか、何も知らされていない。ドイツの労働組合ver.diの労働者代表を務め、アクセス要求を提出した一人、アンドレアス・ガングル氏は「アマゾンは世界最大級の企業かもしれないが、我々のデータをアルゴリズムに利用し、データを使って片っ端から解雇したりと、勝手なことをすることはできない。我々には労働者としてプライバシー権があり、知る権利もある」と述べている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は「我々は、賃上げと透明性の工場を求めてストを決行しているver.diの組合員を支持する。労働者には、アマゾンがEUデータ保護法に違反し、動画や音声の録音、ソーシャルメディアからの情報、組合員に関する情報、その他の個人データを収集しているかどうかを知る権利がある」と、述べた。


uni logo
最近のコメント
    アーカイブ