4月 2022のお知らせ

UNI-LCJ印刷・パッケージング部会春闘情報交換会(2022年4月27日)

2022年4月27日、UNI-LCJ印刷・パッケージング部会は、春闘情報交換会を開催し、オブザーバーを含む4組織12人、UNI-LCJ事務局3人が参加した。毎年4月に開催している春闘情報交換会だが、一昨年はコロナ禍の影響で中止、昨年はオンライン開催で行ったため、対面での開催は2年ぶりとなる。

冒頭、梅原議長(全印刷中央執行委員長)は、久しぶりの対面での開催に有意義な意見交換ができることを期待したい、と挨拶した。また各参加組織は、自己紹介の後、今年の交渉状況・結果について報告を行った。

続いて、森川UNI-LCJ事務局次長が、2022年のUNI/UNI Aproの主な活動について説明を行った。


第30回UNI Apro執行委員会、戦略目標、政策活動、アドボカシー活動の強化を確認

2022年4月20~21日、標記会議が開催され、12か国の組合指導者が地域全体の動向を共有し、組織化や団体交渉の拡大、また民主主義や人権、連帯の強化に向けた取組みを再確認した。

会議の冒頭、松浦昭彦UNI Apro会長は、COVID-19の犠牲になったすべての人々、組合員、労働者、ミャンマーの軍事クーデターと最近のロシアのウクライナ侵攻によるすべての民間犠牲者に追悼の意を表した。また、3月に64歳で亡くなったヤン・ビョンミン韓国金融労組(KFIU)前委員長を偲んだ。

会議のハイライト

松浦UNI Apro会長、クリスティ・ホフマンUNI書記長、ゲストスピーカーの吉田昌哉ITUC-AP書記長は、過去1年間にアジア太平洋地域で起きた民主主義と労働者の権利に対する攻撃に関して、最近の情勢に触れた。

香港、アフガニスタン、ミャンマー、フィリピンでは、労働組合と組合員は依然として厳しい圧力下にあり、またインドやインドネシアなどの国では、労働者の権利が損なわれる危険性がある。

世界的に見ると、新たな危機が人々の関心をパンデミックから遠ざけている。ロシアのウクライナ侵攻によって世界秩序に混乱と再編がもたらされ、世界経済に影響を与えるだろう。これらの新しい地政学的・経済的課題に加え、労働組合運動は、組織化と組合強化という既存の優先課題に引き続き取組みつつ、パンデミックによる現在進行中の問題に対処する具体的な措置を講じ続ける必要がある。

UNI Aproの組織化・組合強化計画

会議では、今後数年間の新たな組織化計画が承認された。この中には、他地域のUNIの組織化センターをモデルとして、南アジアと東南アジアに2つの組織化センターの設立が含まれている。また、地域の加盟組織のオンラインでの組織化活動を補完・支援するために、デジタルオルグ担当が配置される。

UNI Aproは引き続き、安全で持続可能な雇用の創出に向けて、建設的な社会パートナーシップと労使関係を追求し、グローバル協定の効果的な実施と、多国間ガイドラインを組織化ツールとして活用することによって、これらの取組みを強化していく。

またUNI Aproは、パンデミックの沈静化に伴い、UNIと連携して、地政学や気候変動の観点からの正義や、その他の現代的課題に関する政策提言活動に再び力を入れていく。加盟組織が集中的に関わりながら、アジア太平洋の文脈に適した政策の方向性を打ち出していく予定だ。

加盟組織からの報告

会議の中で加盟組織は、直面する課題と獲得した成果について報告した。

ネパール唯一の金融労組であるFIEUNは、組織化イニシアティブを通じたUNI/UNI Aproの支援により、2021年にはUNI加盟人員を400%近く増やすことに成功した。台湾のテレコム労組であるCTWUは、中華テレコムの再編計画について組合と対話するよう圧力をかけるべく、ストライキを開始したにもかかわらず、賃上げと複数の手当を獲得したと報告した。

また、自国の労働者の権利にかかわる法律について、前向きな動きを報告した加盟組織もあった。

インドネシアの憲法裁判所は2021年末に、雇用創出に関するオムニバス法は違憲であり、2年以内に是正する必要があるとの判決を下した。ASPEKインドネシアは、この展開を注意深く見ており、労働者の権利を害する法律の条文が削除されるよう、関係する全ての社会パートナーと対話している。

ベトナム情報通信労組(VNUICW)は、最近の労働法改正により、どの産別交渉単位でもカバーされていない労働者への福祉給付の適用が拡大されたことを紹介した。残業時間の上限は、ほとんどの産業で年間200~300時間となっている。また、同国は2023年にILO第87号条約(結社の自由及び団結権の保護)を批准予定だ。

同様に、韓国の金融産業労組(KFIU)は、2022年4月20日にILO第29号条約(強制労働の禁止)、87号条約(上記)、98号条約(団結権及び団体交渉権)が発効したと報告した。これらの条約は、韓国の組合が国内法や政策について改善を要求していく力をさらに強化するものとなる。

オーストラリアの店舗流通関連労組(SDA)は、商業労働者に対する第三者からの暴力に対する罰則を強化する法案が成立したと報告した。同様に、多くの加盟組織が、ILO第190号条約の批准に向けて、自国政府への働きかけを行っている。

民主主義、人権、労働組合の情勢について

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長がミャンマーの最新情勢を報告し、同国に関する新たな声明が全会一致で採択された。声明は、2021年2月1日の軍事クーデターに対する非難を改めて表明し、国際的・地域的な努力にもかかわらず、1700人以上が殺害され、数万人が恣意的に拘束され、40万人以上が避難している状況が改善していないことを指摘した。また、アジア太平洋地域のすべての指導者に対し、民主的に選出された文民指導者に政権を返還するようミャンマー軍事政権への圧力を強化すること、またグローバル及び地域の企業に対しては、ミャンマー国民の人権に対する軍事政権の攻撃に資金提供するような事業を一切行わないよう求めている。そして最後に、ミャンマーのすべての人々に対する連帯を再び強調した。

この声明を地域の全加盟組織に配布し、自国内でのロビー活動のツールとして活用するよう、奨励することが合意された。クリスティ・ホフマンUNI書記長は、報告と声明文に謝意を表し、この声明を次回のUNI世界運営委員会に提出し、さらなる支持を得る予定だと述べるとともに、UNIは対話中の多国籍銀行に対し、ミャンマーでの金融事業を停止または縮小するよう、引き続き圧力をかけていくと約束した。

会議ではさらに、韓国とフィリピンの加盟組織が最新状況を報告した。韓国では最近の大統領選で保守派の候補者が当選したが、この候補者は反組合的な公約を掲げてきた。一方、フィリピンでは、大統領選の有力候補として独裁者フェルディナンド・マルコス元大統領の息子が、副大統領には麻薬撲滅のため血みどろの戦争を展開した前大統領の娘であるサラ・ドゥテルテ氏があがっている。また、会議は、2020年に成立した国家安全維持法によって、加盟組織が安全かつ積極的に国際会議に参加することが妨げられている香港の困難な状況に留意した。

6UNI Apro地域大会の準備について

第6回UNI Apro地域大会に向けた準備を開始すること、パンデミックによる混乱を考慮し、2023年ではなく2024年に地域大会を開催することに合意し、会議を終了した。


4月28日、安全衛生をILOの基本的権利に!

国際労働災害犠牲者追悼日の4月28日、世界中の労働組合は、業務中に死傷・罹患した人々を思い起こし、職場の安全衛生に向けた闘いを強化する日としている。今年、世界の労働組合運動は、「労働安全衛生をILOの基本的権利にしよう」のメッセージを発信している。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「人々は仕事で尊厳と自信を得るべきであって、怪我や病気をしたり、まして死んではならない」と述べ、「安全衛生を国際労働機関(ILO)の中核的権利とすることで、労働者の死や病気が1つでも多すぎるということが明確になる。また、特にパンデミックの発生以来、より安全な仕事を求めてきた労働組合と協力するよう、使用者と政府にメッセージを送っている」と強調した。

世界では、業務に関連した病気や事故で毎年300万人以上の労働者が死亡しており、3億7,400万人が業務中に負傷したり病気に罹患したりしている。労働安全衛生に関連したサービスを受けられるのは、わずか2割に過ぎない。

4月28日のグローバルな行動を調整しているシャラン・バローITUC書記長は、「我々は、ILOが労働安全衛生を職場における基本的権利として採択することを要求する。労働安全衛生は、結社の自由や、強制労働、児童労働、雇用における差別の撤廃と同様に重要な課題だ」と述べた。

ILOは政労使の三者構成組織である。労働安全衛生をILOの基本原則および権利として制定することで、加盟国は、関連する他のILO条約を批准しているかどうかにかかわらず、この権利の尊重、促進に責任を持つことになる。また多くのILO加盟国は、基本的な基準を憲法に組み込んでおり、基準が実現され、人々の生活を向上させることを保証している。

2019年のILO創設100周年記念宣言では、すべての労働者にとっての労働安全衛生の重要性が認識された。以来、COVID-19パンデミックと、業務上のテクノロジーの使用拡大によって生じた危険が相まって、安全衛生を基本的権利とすることに新たな緊急性が加わった。過去2年間の経験から、この権利の実現と行使にあたって、組合が不可欠であることも示された。

パンデミックの間、UNIはすべての部会で安全衛生の指針を発表した。UNIは、安全衛生を基本的権利とすることを一貫して求めており、最近では、テレパフォーマンスにおけるリモートワークが健康に及ぼす影響に関する研究、アマゾン等におけるプライバシーを侵害するような監視行為が労働者の健康に及ぼす影響、そしてエッセンシャルワーカーの保護に向けた組合の取組みに関する部会横断的調査を発表している。


UNIマレーシア加盟協、使用者による在宅勤務者の賃金削減案に反撃

経済再開に伴い、在宅勤務を選択する労働者の賃金を削減するという、マレーシア経営者連盟(MEF)のショッキングな提案に対し、 UNIマレーシア加盟組織連絡協議会(UNI MLC)が 反発している。

モハメド・シャフィーUNI MLC議長は、この提案に対し「在宅勤務は、安い賃金で働くということではない」と猛反発し、地元メディアもこの発言を取り上げている。

「パンデミックの2年間、労働者は使用者に協力し、賃金が減らされても文句を言わず、状況が厳しいことを理解して、昇給やボーナスを要求することもなく、いつも通り在宅勤務を続けてきた。使用者のために犠牲を払い続けた後、今MEFは労働者に不当な扱いをしようとしている。従業員は休暇をとっていたわけではなく、仕事を家に持ち帰っていたのだ」と語気を強めた。

MEFは、在宅勤務の従業員の賃金を10~12%減額することを提案している。会社によっては交通費を支給し続けており、通勤しないならば支給額を減らすべきだとして、この不必要な賃金カットを正当化しようとしている。

これに対してシャフィー議長は、パンデミック時に多くの労働者がリモートワークを行うことで家計の負担が増え、健全でない環境で仕事をしていたことを引き合いに出し、反論している。

組合がパンデミック時に団体協約を交渉する際の指針となるよう、UNIは2021年2月初旬にリモートワーク主要原則を発表している。この原則は10の勧告からなり、そのうち4つは今回のMEFの提案に特に関連している。

・リモートワークは、雇用の権利と雇用関係を損なうものであってはならない。
・作業機器とリモートワークスペースの費用は、使用者が負担しなければならない。
・ リモートワークは「ジェンダーに中立」で、全ての人に開かれたものでなければならない。
・リモートワークのルールを導入または拡大する前に、労使はその影響を徹底的に評価し、文書化しなければならない。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「UNI MLCがこの提案に強く反対していて頼もしい。マレーシアの使用者側の動きは非常に残念なことだ。パンデミックはまだ正式に収束しているわけではなく、状況によっては在宅勤務への復帰が求められる可能性があることを忘れてはならない」と述べた。


ラナ・プラザ事故から9年目、UNIがブランド企業各社に合意書への署名を要請

バングラデシュのラナ・プラザにおける縫製工場の崩壊事故から9年目を迎え、UNIは同国の繊維・衣料産業における労働者の安全を守り、バングラデシュ国内外のサプライチェーンにおける責任を果たす最も効果的な手段として、より多くのブランド企業に対し「繊維・衣料品産業の安全衛生に関する国際協定(国際アコード)」への署名を呼びかけている。

現在、171の世界的なファッション小売企業が「国際アコード」に署名している。法的拘束力のあるこの協定は、2013年4月24日に発生した、ラナ・プラザの惨事で1000人以上の労働者が命を落とした後、同国の縫製産業の安全性を改善するためにUNIとインダストリオールが設立した「バングラディッシュ・アコード」の取組みを継続、拡大するものである。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「毎年4月24日が訪れるたび、我々はラナ・プラザで命を落とし、負傷した人々のことを思い起こす。ブランド企業も同様に、亡くなった人々を偲び、行動しなければならない」と述べ、「国際アコードは、世界の衣料品産業におけるサプライチェーンの説明責任のモデルであり、ブランド企業はこれによってデューデリジェンスの義務を果たし、自社の製品を作る何百万人もの労働者を保護できるようになった。ブランド企業が安全について真剣に考えるのであれば、工場の状況を改善し、事故を防止し、命を救うことについて実証済みのメカニズムであるこの協定に調印すべきだ」と訴えた。

2021年9月1日に「バングラデシュ・アコード」から引き継がれた「国際アコード」が発効した際に、H&MやZaraなどのように新しいアコードに署名した世界最大規模のファッション小売業もあるが、フランスの多国籍小売業オーシャンなどのブランド企業は、まだ署名を済ませていない。その他、バングラデシュから製品を調達しているウォルマート、ディズニー、GAPなどの米国ブランド企業や、同国から繊維を仕入れているイケア等、調印していない企業も目立つ。

国際アコードは、従来の協定よりもさらに踏み込んだもので、新たな地域への拡大の可能性を含みこんでいる。先月、アコードの代表者はパキスタンとスリランカを訪れ、主要なステークホルダーと会談し、これらの国々への協定の導入について検討した。また、その他の既製服生産拠点への拡大の実現可能性について、インドとモロッコで調査が行われている。

さらに、バングラデシュで国際アコードの安全プログラムを実施している既製服持続可能性協議会(RSC)は、工場検査にボイラーの安全性を含めるよう現地政府と協議している。RSCはさらに、労働者の権利や生産が環境に与える影響などにも取組みの範囲を広げている。

アコード署名企業に製品を供給する1,600の工場を対象とする最初の検査が2013年に始まって以来、すべての危険のうち93%が改善したものの、いまだ改善が必要な重大な問題を抱える工場は存在している。

ホフマンUNI書記長は、「アコードの継続と拡大は不可欠であり、衣料・繊維産業では、今なお労働者が命を落としている。検査、労働者に対する安全教育、真の苦情処理メカニズム、ブランド企業による法的拘束力のあるコミットメント等を特徴とするこのモデルは、バングラデシュのラナ・プラザのような事故の再発を防いできた。我々は、他の国々で再び大惨事が起こるのを防ぐため、これからも働きかけを続けていく」と述べ、決意を新たにした。


ルーマニア銀行労働者の産別協定、団体交渉で前進する道を示す

2022年4月8日、ルーマニア銀行保険労連(FSAB)は、使用者団体と締結した2つの協定(1つは賃金と労働条件に関する協定、もう1つは特にリモートワークに関する協定)によって、賃金、所得保障、リモートワークについて、大きな成果を獲得した。

新たに結ばれた2つの協定が、銀行部門の2万5,000人を超える労働者の最低基準を引き上げた。最低賃金は24%引き上げられ、評価の際には、経験と組織へのコミットメントがより高く評価されるようになり、勤続5 年ごとの昇給が設定された。この他、解雇の際の予告期間が延ばされ、補償金も引き上げられた。

これらの協定は、2018年に金融部門としては国内で初めて締結した複数使用者との産別協定を基礎としている。コンスタンティン・パラシフFSAB委員長は、「複数の使用者と連携することで、強力な関係を築き、金融部門の労働者の基準を引き上げることができた。2018年に最初の協定を締結したことで、我々は信頼の基礎を築き、何が可能かを示し、ウィン-ウィンの労使関係を実現できた。現在、我々は公正さを実現すると同時に、問題を予測し効果的に解決していく、非常に建設的な労使関係を固めている」と成果をかみしめた。

リモートワーク

リモートワークに関する協定は、労働者に大きな改善をもたらすものとなっており、在宅勤務時の設備や光熱費について企業側が負担することが盛り込まれた。また、リモートワーク中の労働者に対する監視に制限を設けるとともに、労働者のつながらない権利も確立した。

ルーマニアにおける今回の協定は、UNI欧州金融部会が欧州の銀行部門の使用者団体と交渉した「リモートワークと新技術に関する共同宣言」を基にしている。モーリーン・ヒックUNI欧州金融部会担当部長は、「欧州レベルでのUNIの取組みを基に、組合がそれを活用して国レベルで社会対話を強化し、労働条件を改善していけることを示す素晴らしい事例だ」と称え、「UNI欧州が獲得した協定は資源であり、いったん締結されれば、我々はバトンを受け取り、国レベルの団体交渉を通じて実現に向けた作業を始めることができる」と語った。


スリランカ情勢に関するUNI Apro声明

UNI Aproは、スリランカの政治経済状況の悪化について、深い憂慮を表明する。

スリランカは、独立以来最悪の経済危機に直面している。深刻な外貨不足により、食料、燃料、その他の生活必需品の輸入代金を支払うことができない状況に陥っている。

物資の不足と停電は国民の不満に拍車をかけ、首都をはじめ全国各地で非暴力抗議運動が勃発し、コロンボでは、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領の退陣を求める平和的デモが行われている。

その後の政治的混乱によって、国民の怒りはさらに高まった。2022年4月3日、首相を除く内閣の全26閣僚が総辞職し、続いて4月5日(火)には、同盟政党の40人以上の議員が、連立政権への支持を取り下げた。

セイロン銀行労組(CBEU)や郵便労組(NPTWU、SLPTSU、UPTO)など多くのUNI加盟組織が、スリランカの政治経済崩壊の終結を求めて連帯している。

UNI Aproは、同国のすべてのUNI加盟組織との連帯を拡大する。スリランカ政府に対し、国民の声に応えて人々の苦難を直ちに和らげる施策を立案・実施し、法と秩序を回復させると同時に、表現および結社の自由に対する人々の権利を抑制するいかなる措置も取らないよう、求める。


フランスのアマゾン労働者、実質賃金の引下げを拒否

フランス全土で、2週間以上にわたってアマゾン労働者がストライキを続行している。

組合を通じて労働者が発しているのは、実質賃金を切り下げて団体交渉を回避しようとするアマゾンに対する、強い拒否の姿勢だ。 労使交渉が始まる前から、アマゾンは全労働者に個別にメッセージを送り、「賃上げ」と称する方針を一方的に発表した。だが、フランスのインフレ率が4.6%であることを考慮すれば、3%の提示は実質的な賃下げである。

アマゾンの労働者と組合はすぐに反応し、CGT、CFDT、FOはすべてストライキを呼びかけた。全国の労働者がデモに参加、8つの拠点で大きな混乱が生じた。

アマゾンは当初の賃下げを見直したものの、労働者の期待に応える提案を示すことはできなかった。参加者が増え続ける状況が示すのは、実質的な賃下げを図ろうとしたアマゾンの試みを見逃さないという労働者の意志の現れだ。さらに、組合は経営陣に対し、団体交渉のプロセスを尊重するよう求めている。

ストライキ中の労働者の一人、ラミ氏は「我々労働者こそが、アマゾンの真の富だ」とピケットラインで語った。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「アマゾンにおける公正さを求めて闘う労働者たちの決意は、人々を奮い立たせている。それと対照的に、アマゾンが賃上げと見せかけて実質的な賃下げを押し通そうとする偽善は、まさにブランドのあり方そのものだ。交渉開始前にこの実質的な賃下げ措置を発表したことは、火に油を注ぐようなものだ。労働者たちは、企業の汚い手口にうんざりしている。組合運動はアマゾンの労働者を100%支持している」と述べた。


オルペアとUNI、倫理的雇用、社会対話、団体交渉、労働組合権に関するグローバル枠組み協定を締結

2022年4月8日、オルペアグループとUNIは、パリのOECD本部で会合を開き、オルペアの7万人の従業員の権利擁護、労働組合の基本的権利、建設的な社会対話と団体交渉のための条件整備にむけた確固たるコミットメントを含む、画期的な協定の調印式に臨んだ。

23か国7万人の従業員を対象とするこの協定は、社会対話と組合の権利を強化し、従業員の労働条件およびオルペアの入居者や患者に提供されるケアの質を改善することを目的としている。この『倫理的雇用、社会対話、団体交渉、労働組合の権利に関するグローバル・パートナーシップ協定』は、医療・民間高齢者介護施設の分野では初のグローバル協定であり、まっとうな労働条件、良質なトレーニング、適正な賃金、労働者の権利尊重が、グループ施設内で入居者や患者に提供されるケアの質に直接影響を与えるという相互認識に基づくものだ。

実際、オルペアグループとUNIは、すべてのステークホルダー、特に組合パートナーとの連携によって、労働条件の改善、介護職員不足の課題への取組み、そしてより一般的には、入居者と患者に対するより良いケアの提供について、新しい方法を生み出すことができるという強い信念を共有している。

この協定におけるコミットメントは、拘束力のある仲裁と、オルペアのデューデリジェンス・プロセスにおける利害関係者としての確固たるUNIの役割によって強化されている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「この協定は、何千人もの労働者がより良い雇用のために組織化する上で間違いなく役立つものだ。この協定の強力なコミットメントと説明責任のメカニズムによって、オルペアの労使関係を変革することができる」と述べ、「介護業界には切実に変革が必要であり、オルペアのグローバルなリーダーシップと協力してこの協定を実現することは、その改革の重要な一部分だ」と力を込めた。

オルペアのフィリップ・シャリエ会長兼CEOは、「UNIと締結したグローバル協定は、我々が構築する新しいオルペアの社会的側面に関する最初の礎だ。オルペアが重要な社会的使命を果たすには、オルペアに信頼を寄せる人々や従業員の福祉を保障する必要があり、これこそ、グループの全マネージャーが会社のあらゆるレベルで目指しているものだ」と述べ、「介護分野では世界初となるこの協定は、強いコミットメントを含んでおり、前へ進む新たな道を我々に示してくれている。従業員ともっと多くの考え方を共有し、オルペアが事業展開する各国の社会パートナーやグローバルなレベルでの社会対話を維持・強化することによって、さらなる前進が可能になる。協定は、オルペアグループの創業国フランスにおいても、社会対話の進化を求めている」と、続けた。

◆オルペア:1989年に設立されたオルペアグループは、世界有数の高齢者向け総合介護(高齢者施設、介護付有料老人ホーム、精神科クリニック、在宅ケア)の事業者である。


オランダのOECD連絡窓口、バングラデシュのVEONが労働者の基本的権利を今も認めていないとの判断

オランダのOECD連絡窓口(NCP)は、バングラデシュにおけるVEONの事業活動に対して異例の厳しい見解を示した。その中でNCPは、改善を求めてから2年が経過した後も、アムステルダムの通信会社VEONおよびバングラデシュの子会社バングラリンクが、バングラデシュにおいてOECD多国籍企業行動指針を遵守していないと結論づけた。

3月下旬に発表された評価報告書は、2020年2月11日にNCPが出した勧告に対するオランダ政府のコンプライアンス・レビューの一環であり、バングラデシュにおけるVEONの活動は、「労働組合や代表組織を持つ労働者の基本的な権利について、いまも認めていないようだ 」と指摘している。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は「VEONがOECDの指針に反していることは2020年の時点で明らかだったが、残念ながら今日にいたっても状況は全く同じだ。オランダNCPはこの件の調査に多大な時間を費やしてきた。今こそVEONは、その破たんした労働慣行を正すべき時だ」と指摘し、「バングラリンクの労働者は、6年間も基本的人権を否定され続けてきた。VEONは言い逃れをやめ、労働者の結社の自由と団体交渉の権利を認めなければならない」と語気を強めた。

オランダNCPの2020年の調査結果は、2016年にUNIが提訴した特定事例に対応したものである。提訴した中でUNIは、VEONとその子会社が、バングラリンク労働組合(BLEU)の組織化を抑え込むために労働者に嫌がらせをしたと申し立てた。

BLEUはこうしたな敵対的な環境の中でも組織化を続けていた。同組合は2020年2月初旬、雇用労働省の長官から登録証明書を受け取り、労働者を正式に代表し団体交渉を実施できるようになった旨を、バングラリンク側に通知した。バングラリンクは直ちにバングラデシュ高等裁判所に法的措置を取り、その結果、NCPによる勧告が出されたわずか2週間後の2020年2月26日に、組合登録証が撤回された。組合は2020年7月に判決を不服として控訴したが、2年近く経った現在もその裁判は行われていない。

オランダのNCPは、勧告以降のVEONの状況について、依然として「労働者が団体交渉のために労働組合や代表組織を持つ基本的な権利や、企業は雇用条件について合意に達することを目的に、そうした代表者と建設的な交渉を行うべきであるということを認めていないようだ」と指摘している。さらに、「VEONは、国内の法や規制の適用範囲を超えて尊重されなければならない基本的な国際労働基準の関連性について誤解しているようだ。NCPは、評価期間中に提供された情報に基づき、VEONがNCPの勧告のいずれにも適切に対処していないと判断した」とし、また同社に対し、「結社の自由と団体交渉の権利という労働者の中核的権利について言及する」よう、その方針を改めることを促した。

OECD多国籍企業行動指針は、責任あるグローバルな企業行動のための原則と基準であり、OECDの各国連絡窓口(NCP)は、OECDの指針を推進し、裁判外の苦情処理メカニズムとして案件を処理するために政府が設置する事務所である。

VEONはアムステルダムに本社を置く多国籍通信企業で、2億3,500万人の顧客を有し、12か国で事業を展開している。VEON株の47.9%を 投資会社LetterOneが 保有している。 NASDAQとユーロネクスト(アムステルダム)に上場 するLetterOneは、ロシア政府と密接な関係にあるミハイル・フリードマン氏とピョートル・アベン氏という2人のロシア人投資家が実権を握っている。この両氏は、ロシアのウクライナ侵攻後、ロシア政府との関係からEUと英国の制裁リストにその名が掲載されており、フリードマン氏氏はその後、VEONの取締役を退任している。


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