2月 2022のお知らせ

米国のUNI加盟組織、再選挙での不正行為についてアマゾンを提訴

2月下旬、UNI加盟組織である小売・卸売・百貨店労組(RWDSU)は、アマゾンについて不当労働行為の申立てを行った。アラバマ州ベッセマーにある同社の事業所で、自由かつ公正な選挙を行う労働者の権利を損ね、抑圧しようとするアマゾンの一連の動きを明らかにするものだ。

RWDSUは、アマゾンが休憩室から組合関連の資料を撤去し、就業規則を変更し、労働者が就業時間外に組合結成について他の人と話すことを制限し、反組合会議(「囚われの聴衆会議」と呼ばれている)への出席を要求してきたと非難している。

ベッセマーのアマゾン倉庫「BHM1」の従業員で、BAmazon組織化委員会のアンシア・シャープ委員は、「組織化委員会は、倉庫施設内のアマゾンによる反組合的なビラの隣に、組合メッセージが入った我々のビラを掲示してきた。この行為は法で認められた権利だ。私自身、組合とともに変化を起こす必要があるとの強い信念から、限られた休憩時間や無給の休日に、何枚ものビラを貼ってきた。ビラが剥がされてガッカリもしたが、我々の取組みが法律で守られている以上、誰が撤去しているのかも問題だった。経営陣が意図的に我々を黙らせ、ビラを剥がしたと同僚から聞いたとき、同僚たちが萎縮している理由が分かった」と語った。

組合は、アマゾンが強要する「囚われの聴衆会議」について異議を申し立てることで、反組合的な会議への出席を使用者が従業員に強制することを認めてきた、米国の長きにわたる慣例を覆そうとしている。

同じく「BHM1」の従業員で、同組織化委員会のロジャー・ワイアット委員は、「一方的に反組合教育を聞かされる研修や会議への出席を強制されたことは、本当に屈辱的だった。アマゾンは我々のことを、心を持たないロボットのように扱って、誤った情報をダウンロードしようとしている。皮肉なのは、こうした会議は、私がこれまでで最も長く座っていられた仕事だ。仕事中に十分な休憩やトイレの時間を与えることもできないのに、どうして何時間も、しかも強制的に、反組合的な研修に付き合わせることが可能なのか?一方的な主張の場に付き合うかどうかは、我々の選択であるべきだし、それは法で守られているはず。アマゾンの行為は永久に止めなければならない」と訴えた。

2021年に全米労働関係委員会は、この年の選挙におけるアマゾン経営陣の行為が、同社に対して不当に有利に働いたと判断し、選挙のやり直しを命じている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「アマゾンは明らかに、基本的権利と職場の民主主義について学習する必要がある」と述べ、「最初の選挙での彼らの強圧的な行動によって再選挙が余儀なくされ、それでも会社側は反組合キャンペーンを続けている。もう十分だろう」と厳しく非難した。


UNI、ウクライナの平和と対話に向けたITUCの呼びかけを支持

UNIは、国際労働組合総連合(ITUC)と欧州労働組合総連合(ETUC)が発表したウクライナにおける平和の呼びかけ及び声明を支持する。

ITUCとETUCは、ウクライナ東部における敵対行為と紛争の即時停止と、人々の利益のために危機を解決するよう、誠実な交渉の実施を呼びかけている。

アントニオ・グテーレス国連事務総長は、ロシア大統領府が2つの分離派支配地域の独立を承認する決定を下したことについて、国連憲章の原則に反するものであり、ウクライナの領土保全に対する侵害であると指摘した。また、2015年の国連安保理決議第2202号で承認されたミンスク合意に従い、ウクライナ東部紛争の平和的解決を呼びかけた。欧州安全保障協力機構も非難を表明している。

シャラン・バローITUC書記長は、「ミンスク合意が履行されず、多くの人命が失われ、人々は7年間苦しみ続けてきた」と述べ、「紛争が人為的に煽られ、ここ数週間で、さらに何百もの停戦違反が起きている。平和の架け橋を築く代わりに巨額の軍事費が費やされ、攻撃的なレトリックによって、さらなる不安定が引き起こされている」と非難した。また、「現在生じている紛争によって、ロシアとウクライナの両国のみならず、欧州の他の地域の経済にも大規模な影響が及んでいる。紛争がエスカレートし、壊滅的な結果をもたらす危険性は現実のものであり、紛争の根本原因に対処する誠実な対話が行われるまで、この状況は続くだろう」と指摘した。

共通の安全保障

ETUCおよびITUC汎欧州地域協議会(PERC)のルカ・ヴィセンティーニ事務局長は、「欧州委員会と欧州理事会の議長、そしてEUの上級代表は、国連事務総長の声明と同様、ウクライナの領土保全とミンスク合意を支持する強い声明を発表している」とした上で、「すべての政治指導者は、戦争を回避し、妥協案を探り、合意を尊重する勇気と、人々に利益をもたらす、共通の安全保障に不可欠な基盤となる持続可能な経済を構築する知恵を持たなければならない」と力説した。

また同氏は、「検証や対話の手段を提供する INF 条約や領空開放条約といった共通の安全保障措置の崩壊は、50 年近く平和を支えてきたヘルシンキ合意における規定の全般的な弱体化と関連している」と指摘し、「この重要な枠組みが完全に崩壊し、すでに進行している欧州の軍事化がエスカレートする可能性が現実味を帯びてきた」との懸念を表明した。そして、「かつてヘルシンキでなされたように、共通の安全保障の枠組みを構築するため、関係する全ての政治指導者を結集させる緊急措置を求める。世界が必要としているのは新たな社会契約であり、これ以上の紛争ではない。我々に必要なのは、人々と雇用、平和と安定への投資だ」と訴えた。


国際労働運動、コロンビアに選挙監視団を派遣

3月13日にコロンビアで行われる議会選挙を監視するため、中南米、カナダ、米国から数十人の労働組合の活動家および人権活動家が、同国に入国予定だ。

この国際代表団は、コロンビアで社会的指導者の殺害が増加していることを懸念する同国の中央労働組合(CUT)、コロンビア労働総連合(CTC)、全国ストライキ委員会の招きを受け、UNIが組織したものである。

マルシオ・モンザネUNI米州地域書記長は、「コロンビアの人々は、公正で透明性のある、平和で自由かつ民主的な環境下で実施される選挙プロセスを手にして当然だ」と述べ、「我々が存在することで、公正な選挙を確保すべく世界が情勢を注視していると、知らしめることができる」と、その意義を語った。

UNIは、世界150か国、900加盟組織の2,000万人の労働者を代表し、団体交渉の拡大、社会的・経済的正義の促進、企業の責任追及、不公正な世界経済の変革を目指している。

男性54人、女性31人で構成されるこの監視団は、全国選挙管理委員会の認証を受け、同国の選挙監視団(MOE)が定めるガイドラインに従い、選挙プロセス、リスク、警告、勧告に関する観察結果を、随時速報として発表していく予定だ。選挙終了日には、民主主義の強化と選挙制度の改善に貢献すべく、結論文書を発行する。

クリスティ・ホフマンUNI書記長、ジェリー・ディアスUnifor委員長(カナダ)、マルシオ・モンザネUNI米州地域書記長、ワシントンDCに本部を持つ北米サービス従業員労組(SEIU)およびブラジルの金融労連CONTRAFの代表等を含むハイレベル代表団も、3月の議会選挙の際にコロンビア入りする予定である。


UNI-LCJ記念講演「ニューノーマル時代の労働運動」

2022年2月15日、UNI-LCJは、第23回UNI-LCJ年次総会及び記念講演を開催した。(第23回UNI-LCJ年次総会の記事は、こちらをクリック
「ニューノーマル時代の労働運動:ビジネスと人権、リモートワークとつながらない権利、デジタル化の影響、労働安全衛生、民主主義の危機への対応等」と題し、クリスティ・ホフマンUNI書記長及びラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長から、ポストコロナを見据えたこれからの労働運動とデジタル化等の技術革新によって今後起こりうる課題などについて講演を受けた。

クリスティ・ホフマンUNI書記長(オンライン)

Q:2022年の世界の動向とサービス産業労働者の主な課題について

ホフマンUNI書記長
私たちはこの2年間で、重い代償を払ったことを認識しなければならない。2019年以降、600万人近くの方が亡くなり、1億5000万人以上の雇用が失われ、更に貧困層は1億6000万人に上っている。一方、かつてないほどの多くの億万長者が生まれている。またコロナ禍からの回復においては、先進国と貧困国との格差・不平等がこれまで以上に拡大した。事実、OECD加盟国の経済は強固な回復を遂げている。しかし強固に回復する中でも、デジタル技術は、ほとんど全ての分野で働き方を変えた。ある場合には雇用の喪失を引き起こし、またある場合には新しい形態の仕事を支え、変革を促している。Eコマース、プラットフォーム、デジタル化によるリストラと外部委託などが課題となっている。

私たちが経験しているこのような変化は、UNIにとっても、あらゆる地域の組合にとっても、課題であり機会でもある。この変革によって創出された新しい雇用は、環境に配慮した良い雇用であり、組合が将来を形作るための雇用でなくてはならないと考える。

Q: 2022年のUNI活動の主な課題と計画、日本の加盟組織への期待について

ホフマンUNI書記長
2022年の主な課題について、現在4つの重要課題を考えている。1) グローバル企業との協働、2)世界各地の組織化を支援し、雇用の状況が変化する中で新しい労働者の組合加入を促進、3)リモートワーク、テクノロジーの影響、安全衛生、人権デューデリジェンスの重要課題に関し、継続した政策と取組みを展開、4)「Rising Together~共に立ち上がろう!」をテーマとしたUNI世界大会(2023年8月、米国フィラデルフィア)の開催準備である。

日本の加盟組織の皆さんは、パンデミック下においても、時差をいとわず様々なUNIの活動に多く参加していただいている。今後もUNI活動に積極的に参画いただきたいし、次回世界大会においても、日本の代表団は重要な役割を担ってもらえることと期待している。

Q:ビジネスと人権におけるUNIの活動について(OECDガイドラインの見直しへの積極的な関与、労働者の権利保護と組合の重要性に関する投資家への啓蒙活動、新しい国際協定の合意の成功など)

ホフマンUNI書記長
企業の責任を問う人権デューデリジェンスの義務化
私たちは、労働者の団結権や交渉権を含む人権に関する義務について、企業に説明責任を持たせるツールの強化と拡大に取組んでいる。労働者は、自らの権利を守るために強制力のあるルールを適用されるべきであり、UNIは目的に適したグローバルなルールを構築するために闘っている。またUNIは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に沿って労働者の結社の自由と団体交渉の基本的権利を実現しようとするグローバルな動きをリードしている。この原則を守るということは、その企業が労働者の人権を侵害していないことを知り、それを示す責任があることを意味している。更に私たちは、人権デューデリジェンスの法制化による義務化を強く支持している。こうした法律の対象となる企業は、世界中のどこでも、事業運営に対して責任を負うということになる。同時に法律がない場所においても、団体協約に盛り込むことで組合は、意味ある役割を果たすことができるため、人権デューデリジェンスを労働協約に設けるよう使用者と交渉を続けている。
■OECDガイドラインの強化
私たちはOECD多国籍企業行動指針の強化を支持しており、デューデリジェンス、団結権及び職場の労働安全衛生に関する指針に基づき、複数の訴訟を成功裏に導いてきた。
■新しい国際アコード
バングラデシュアコードは、今回の再交渉によって、バングラディシュ以外に新たな1か国が加わり、現在は国際協定と呼ばれることとなった。この協定により、バングラディシュにおいては、200万人の労働者が、安全な工場で雇用されることとなった。最終的には、グローバルなルールには強制力と拘束力を持たなければならない。UNIは、今回IndustriALLと共に、「国際労働仲裁和解調停のルール」と呼ばれる、国際労働訴訟のための新しい仲裁制度を策定した。
■資本戦略
UNIは、投資家と定期的に話し合い、投資家が所有する企業の人権問題に取組んでいます。アマゾンによる組合潰し、ミャンマー軍と密接な関係を持つ企業への投資、介護施設に関する共同声明など、投資家はあらゆる場所の労働者に対しても責任があるとして、この分野でも力を発揮している。

Q:企業のデューデリジェンスを確実に行うための強力なツール、グローバル枠組み協定(GFA)の成功例について

ホフマンUNI書記長
この2年間、対面の会議を持つことができなかったため、新たなグローバル枠組み協定(GFA)の締結には至っていない。新しい関係を築き交渉するためには、企業と直接会うことが非常に重要であると考えている。しかしGFAは、コロナ禍の影響に関する交渉を行う上で非常に重要なものと考えている。現在、テレフォニカ社とリモートワークの協定(リモートワークに適用される世界的なルールや条件)について交渉を行っている。また、商業部門7社と労働安全衛生についての検証についても交渉を行ったが、これらはほとんど、既にGFAを締結している企業である。また同様に協定を締結しているDHLやソシエテ・ジェネラルなど、デューデリジェンス計画についてや国際レベル並びに自国内及び世界中の拠点における組合の役割などについて交渉を行っている。

Q:「新しい仕事の世界」の分野で、労働者の権利を守るためのUNIが行っている取組みについて

ホフマンUNI書記長
リモートワークや監視、アルゴリズム管理などによる危機感の高まりが目立っており、コロナ禍において更に加速化している。組合として、UNIとして、これらの問題に取組まなければならない。
リモートワークは、多くの人がもっと増やしても良いと望んでいるが、労働時間の延長、労働者の組織化方法、使用機材の費用負担、組合が接触する機会をどうするのかといった問題があり、無視することはできない。また、現在毎週のように労働者を監視する新しいシステムが導入されており、プライバシーの侵害、不当な目標を課せられるという問題も出てきている。リモートワークは、経営者にとって単なる大きなコスト削減でなり、労働者を保護するものにならない恐れがあることを認識しなければならない。
昨年、金融部会とICTS部会は「リモートワークに関する10原則」を発表した。このテーマについて使用者と交渉する際には、この原則を参照していただきたい。今後は、団体協約の雛形となるような文書を発信する予定である。
またデジタル化による影響についても同様である。新たな監視やアルコリズム管理が急増していることも、将来、重要な問題となってくる。そして、私たちはこれに対してもガイドラインを公開しており、今後、UNI全体から好事例を集めて、皆さんと共有していきたいと考えている。私たちは交渉と規制を通じて、この新しい現実を再構築することができると考えている。

Q:労働安全衛生を基本的権利とするためのグローバルキャンペーンについて

ホフマンUNI書記長
コロナ禍においても全ての労働者に安全な職場が与えられるべきだが、多くの政府は、この労働者にとって最も重要なことができていないことが明らかになった。2019年、ILOは100周年宣言において、労働安全衛生を労働者の「基本的権利」にすることを求め、世界中の労働者に影響力を発揮することができた。昨年、グローバルユニオンがキャンペーンを展開した結果、ILO理事会は今年6月の国際労働会議での決定を見据えた計画を採択した。これが採択されることを確信しているが、各国政府を味方に付け、使用者側に反論や遅延戦術をさせないように圧力をかける取組みを行っていく。

サービス労働者にとって安全衛生は重要であり、組織化の課題としてUNIの各部会でも取組む必要がある。例えば、店舗での暴力に反対する商業部会のキャンペーンなどは、世界中で取組まれ、大きな成功を収めた。アフリカや米国のいくつかの地域では、療養時の有給休暇取得を求めるキャンペーンを実施している。
労働安全衛生委員会の重要な役割も認識すべきである。この委員会は、安全な職場づくりの中心的な機能として認識されているが、これまでサービス産業は一般的に安全だと考えられていたため、UNIの多くの部門では優先事項になっていなかった。しかしコロナ禍によって、労働安全衛生は、組合が職場で課題に取組み、組合の役割と可視性を確立できる重要なツールとなった。
この先には大きな課題があり、同時に私たちが望む未来を再構築する機会でもある。私たちの連帯とグローバル・コミュニティは、声を一つにして発言する能力を強化し、孤立した労働組合よりも大きな影響を与えることを可能にした。私たちが今直面している課題は、より公平で安全な世界を目指す闘いに新たな活力を与えてくれたと確信している。私たちは、以前よりも強く、共に立ち上がることができる。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長(オンライン)

Q:2021年のUNI Aproの活動について

アチャリャUNI Apro地域書記長
■6部会大会で次の4年間の部会別優先課題を承認/各組織とのパートナーシップの強化
2021年、UNI Aproは、8月のメディア部会大会から11月の金融部会大会まで、6つの部会大会を開催した。各部会大会において今後4年間の優先課題が承認された。組織化、組合の成長と強化、パートナーシップ労使関係の普及に取組み、政府間機関や地域組織、例えば、APPU(アジア太平洋郵便連合)、ABU(アジア太平洋放送連合)、ASETUC(ASEANサービス労働組合協議会)、AICHR(ASEAN政府間人権委員会)などと密接な協力体制が構築されている。パートナーシップを改めて強めていくことが決められた。
■組織化と組合強化
組織化と組合強化については、金融部会、郵便・ロジスティクス部会、印刷・パッケージング部会、ケア部会、ICTS部会、ビル管理などに新しい組合が加盟している。また地域およびグローバル企業(アクシアタやエリクソン等)の組合の強化を行った。また、デジタル組織化に関する取組みとして、ウェビナーを開催し、約300人が参加した。
■調査研究の実施/機会均等キャンペーン/ILO第190号条約
調査や研究に関し、商業・小売におけるデジタル化の調査研究、IFI(国際金融機関)が投資しているプロジェクトにおける中核的労働基準の実施状況や、インドを中心とした南アジアにおける労働形態の変化の調査を実施した。
11月25日(女性に対する暴力撤廃の国際デー)から16日間のILO190号条約(暴力とハラスメント)批准キャンペーンを実施した。今年は、女性と青年に向けのメンタリングプログラムを構築する予定である。

Q:アジア太平洋地域の動向と課題について

アチャリャUNI Apro地域書記長
■デジタル化-自動化
デジタル化の影響について調査したところ、アジア太平洋地域では、デジタル化、自動化の加速度が高く、経済のあらゆる分野に影響を与えていることがわかった。私たちはデジタル化を受け入れる必要があり、進化のペースが非常に速いため、政府や使用者と話し合い、スキリング(スキル取得)とリスキリング(再訓練)に力を注ぐ必要がある。
■インフォーマル経済
アジア太平洋地域において、各国約65%近くはインフォーマル経済である。ASEAN諸国、ほとんどは南アジアだが、インフォーマル経済の割合は70~80%である。私たちは正規雇用をするための戦略を立ててきたが、労働形態の変化やコロナ禍の影響でインフォーマル化が進んでおり、組織化が難しく、不安定な雇用と非正規労働が増えている。
■民主主義と労働組合のための空間が減少
民主主義と労働組合活動が日々縮小されてきており、独裁的な行動をとる政府が増えている。特にミャンマー、フィリピン、カンボジアなどがあげられる。南アジアでは、政府や使用者が労働組合がこれらの協議をすることを認めておらず、むしろエスカレートしている。
■気候変動、気候危機とその影響
気候変動に関して、人類、企業、仕事への影響は甚大である。残念ながらいくつかの労働組合では、この問題は優先課題として取り上げられていなかったが、UNIはこの課題に着手し始めている。
■人口動態の課題
LCJの講演であるので、人口動態の課題にも触れたい。日本以外でも東南アジア、東アジアは、かなり前から少子高齢化の問題に取組んできた。しかしネパールであっても最近の国政調査では、人口増加率が1%未満(0.93%)であることに驚かされた。この傾向が続けば、影響は甚大になる。労働力についてどのように管理していくのか、全て自動化で進めるのか、大きな課題である。

Q:デジタル組織化の推進について

アチャリャUNI Apro地域書記長
■ソーシャルメディアの活用
既に多くの労働組合が、組織化にSNSを活用している。オーストラリアやニュージーランドでは、かなり前からオンラインのオルグを実施している。シンガポールでは、プラットフォームを使用して組合員の管理と拡大に活用している。デジタル化は、組合員の拡大や管理を推進する重要な要因として機能してきた。ポストコロナの戦略の1つとして残り続けていくだろう。
■デジタル化の推進
労働組合は様々なキャンペーンで組合員を動員し、勧誘や加入のためにデジタルプラットフォームを利用してきた。しかし、単に組織化のために利用しているわけではない。UNIには、テレパフォーマンス社(フィリピン)の搾取行為問題等が報告されたが、いくつかの事案は、OECDに提訴している。
■UNI/UNI Aproのウェビナーとデジタル組織化研修
オンラインでの組織化は容易ではなく、やはり直接対面で話し合うことがより有効である。これからもハイブリッド(オンラインと対面の併用)が上手く活用されることになるだろう。

Q:民主主義と人権の問題について

アチャリャUNI Apro地域書記長
■ミャンマー
軍事クーデターから1年以上経過し、軍が支配権を握って以来、100人以上の子供を含む約1,500人が殺害された。多くの政治家や労働組合関係者、1万2千人近くが逮捕され、数十人の民主主義活動家が死刑を宣告されている。
UNIは、ミャンマー軍事政権に関連した投資を行っている多国籍銀行に対し、同国に保有する株式を手放すように要求している。UNI AproはUNIと共に、世界中の労働組合にミャンマーの民主主義闘争を支援する役割を果たすよう呼び掛けている。
昨年9月のUNI Apro ICTS部会大会では、ミャンマー情勢に関するセッションを設けた。UNI金融部会でもウェビナーを開催し、銀行に圧力をかけるための支援を行った。UNI Aproは、ASETUC(ASEAN労働組合協議会)と共に、NUG(国民統一政府)とミャンマー労働同盟を招いて多者間の社会対話を実施し、多くの加盟組織がストライキ基金を支援、CTUM(ミャンマー労働組合総連盟)を支援した。残念ながら、軍事政権が考えを変える兆候は見られないが、私たちはプレッシャーをかけ続けていかねばならない。
■香港
香港は、国際連帯や支援が政府には、国際的共謀と解釈されることから、深刻な問題となっている。香港国家安全維持法は、民主化運動組織に対して適用されており、HKCTU(香港労働組合連盟)をはじめとする様々組織が解散している。このような状況下においても、まだ存続し機能している組織に対して、私たちは支援を続けていく。
■フィリピン
フィリピンにおける超法規的殺害、反テロ法、メディアの封殺、放送センターの閉鎖、表現の自由、集会の自由、結社の自由への脅威は、ドゥテルテ政権によって課されている。今年5月に大統領選挙が予定されており、状況が良くなることが期待されている。2019年にILOハイレベル三者構成ミッションが開始されたが、コロナ禍のため、物理的評価は行われていない。昨年はオンラインでの討論は行われたので、今年も取組みが続くことを望んでいる。

Q:2022年、UNI Aproが取り組む重点課題について

アチャリャUNI Apro地域書記長
■組合の組織化と強化
今般、東南・南アジア組織化センターというアイデアを採用した。デジタル組織化は1つの方法であり、組織化できていない分野を開拓してきたい。コロナ禍に対応できるように、既存の組合を維持すること、悪影響を防ぐこと、同時に、多くの産業部門で新しい組合をつくるイニシアチブが開始されている。先日のUNIスタッフ会議で、各地域組織や部会での計画をまとめ、「組織化」と「組合の拡大」が重点事項であることを確認した。介護、清掃、商業、コンタクトセンター、宅急便、配達などのエッセンシャルサービスの組織化もその1つである。

■パートナーとの連携強化
デジタル化の悪影響の中で、スキリング(スキル取得)とリスキリング(再訓練)が非常に重要である。同様に、資金政策を含む様々な労働政策を強化する必要がある。多国籍企業だけでなく、各国の地元企業の組織化や労働条件を引き上げる取組みも行っていく。コロナ禍により、社会保障やセーフティネットにも影響が出ている。これも我々の優先課題である。機能的なソーシャル・パートナーシップに基づく協調的労使関係の推進である。社会対話のプラットフォームを確立し、UNI Apro加盟組織が自分たちの経験を共有できるような場をつくりたいと考えている。
女性と青年のエンパワーメントの取組みは、革新的なアプローチで実施される予定である。3月には「メンタリング・プログラム」を開始するが、特に、若手の女性組合員に重点を置いていく。今年はUNI Apro青年大会が開催されるが、状況によりオンライン開催となる可能性もある。来年は、テーマ別フォーラムの開催を検討しており、対面開催としたいと考えている。


第23回UNI-LCJ年次総会、石川新議長を選出

2022年2月15日、第23回UNI-LCJ年次総会が東京で開催された。長引くコロナ禍の影響で、昨年に引き続き今年もオンライン併用での開催となり、各加盟組織より運営委員及び総会代議員、オブザーバー等約65人が出席した。2021年活動報告、会計報告の承認に続き、2022年度活動計画及び予算が承認された。

2022年度役員体制が確認され、昨年11月開催の第29回UNI Apro執行委員会において松浦UNI-LCJ議長(UAゼンセン)がUNI Apro会長に選出されたことに伴い、今次総会をもって議長を退任、新たに石川第9代UNI-LCJ議長(JP労組)が選出された。またに佐久川UNI-LCJ監査委員(日放労)、上田智亮UNI-LCJ事務局長(UAゼンセン)、森川容子UNI-LCJ事務局次長(UNI Apro)が新たに選出された。

UNI-LCJ幹部会役員

総会の最後には、今次総会で監査委員を退任する中村正敏氏(日放労)及びUNI Apro東京事務所長を退任する小川陽子氏(UNI Apro)へ松浦議長より、記念品を贈呈した。

続く記念講演を開催し、各加盟組織及び来賓等約100人が出席した。

開会にあたり石川UNI-LCJ議長は、今次総会においてUNI-LCJ議長に選出された旨挨拶し「2年にわたるコロナ禍で労働組合の力がかつてないほど必要とされており、私たちは働く仲間を守るため、決して立ち止まることなく団結して課題解決に取り組まなければならない。今後もパートナーシップ労使関係を基盤に、これからの労働運動を発展させていきたい。」と抱負を述べた。

続いて来賓として、達谷窟 庸野(たがや のぶなお)厚生労働省大臣官房総括審議官及び芳野 友子連合会長による連帯挨拶があった。
達谷窟氏は、「昨年、ILO総会において、ILO100周年宣言を基盤として「新型コロナウイルス危機からの人間を中心に据えた回復に向けて世界的な行動を呼びかける決議」が政労使全会一致で採択された。この危機を克服し回復を進めていくためには、世界の政労使の協力が不可欠であり、日本でも社会的対話を続けていく一層の取組みを進めていきたい」と述べた。
芳野氏は、「今般のコロナ禍においてUNI-LCJと連合がより一層の連携を図り、労働者の雇用や生活を守ることが重要であることは言うまでもない。国際労働運動の益々の発展と労働者の労働基本権の確保のため、引き続き共にがんばりましょう」と呼びかけた。

達谷窟 厚生労働省大臣官房総括審議官 と芳野連合会長

「ニューノーマル時代の労働運動:ビジネスと人権、リモートワークとつながらない権利、デジタル化の影響、労働安全衛生、民主主義の危機への対応等」と題し、クリスティ・ホフマンUNI書記長及びラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長から、ポストコロナを見据えたこれからの労働運動とデジタル化等の技術革新によって今後起こりうる課題などについて講演を受けた。

(記念講演の記事は、こちらをクリックしてご覧ください。)

質疑応答のセッションでは、寺嶋UNI Apro女性委員(UAゼンセン)、藤原UNI Apro青年委員(UAゼンセン)、三崎UNI Apro女性委員(大日本印刷労組)より、以下の質問があった。
Q:寺嶋UNI Apro女性委員「若年層のエンパワーメントについて」
組合トップリーダーに対して、正社員・男性以外の育成の重要性を伝える効果 的な方法をご教示ください。
A:アチャリャUNI Apro地域書記長
使用者と交渉するためのスキルや知識を身につける研修、青年・女性大会等で、女性を含めた若年層を中心に、みんなで経験を共有することが重要です。現在オンライン研修等を活用しているが、女性や若年層が参加しやすい場となったと考える。この手法は、組合トップリーダーである、三役等にも活用できるのではないか。今後、UNI Aproは引き続き機会均等に関する活動を計画をしており、女性や若年層をターゲットにした能力構築に特に力を入れていきたい。

Q:藤原UNI Apro青年委員「ポストコロナのオンライン・コミュニケーションの可能性について 」
対面でのコミュニケーションが最適であると認識しているが、コロナ収束後のUNI活動におけるオンラインコミュニケーションの可能性について、ご教示ください。
A:ホフマンUNI書記長
オンライン会議は今後も活用していくことになるだろう。全てがコロナ前に戻ることはないと考えている。現在は、オンラインと対面会議をどのように組み合わせていくかを検討している。例えば、全ての部会で年一回の機関会議に関しては、対面開催とする等、仕組みを検討している。

会場で質問をする寺嶋UNI Apro女性委員と藤原UNI Apro青年委員

Q:三崎UNI Apro女性委員「組合に対し、若年層に関心をもってもらうための取組みについて」
(オンラインから質問)日本では、特に若年層における組合に対する関与意識はあまり高くないと感じており、「ビジネスと人権」の様な重要な活動をもっと広く知ってもらい、「より良く働く」ということを自分自身の問題として捉えてもらうためには、どのような活動が必要かご教示ください。
A:ホフマンUNI書記長
組合とは、団体交渉や協約締結交渉だけをやっている組織だと思われている。例えば、世界でUNI以上に貧困撲滅活動に取組んでいる組織はない。このようなことをもっと広報することで、私たちのイメージを変えていきたい。TikTokや動画等を活用し、新しいコミュニケーション手法で、より多くの人に私たちの活動を知ってもらうことが重要である。

松浦UNI-LCJ副議長

閉会にあたり、松浦副議長は「お二人の講演は、大きなインスピレーションを私たちUNI-LCJメンバーに与えていただいた。このような状況下でも、UNI、UNI Aproは着実に運動を進めており、UNI-LCJは石川新議長のもと、しっかりと連携を取りながら、今後も様々な活動に最大限貢献を図っていきたい。」と述べた。


国連は、パレスチナ被占領地と関わりを持つ企業のデータベース更新を!

UNIは、占領下パレスチナのイスラエル入植地で事業を行う企業を掲載したデータベースを早急に更新するよう、国連に求めている。データベースは、国連人権高等弁務官事務所が管理している。またUNIは、この問題に関して2月上旬にITUCが開始したオンライン請願を支持する。

4年の遅れを経て2020年に初めて公開されたこのデータベースは、「直接・間接的に、入植地の建設と拡大を可能にし、促進し、そこから利益を得ている 」企業を特定する上で、非常に貴重な資料である。これら入植地は国際法上違法であり、このデータベースは、市民社会、人権擁護活動家、社会的責任ある投資家など、幅広い層によって活用されている。

現在、このデータベースは大幅に古くなっており、違法な占領に対する企業の加担を暴露し、これを終わらせるため、早急に更新する必要がある。このデータベースに新たな企業を加えたり、削除したりすることで、撤退に向けた動機付けと、イスラエル違法入植地の産業と関わることに対する抑止力が生み出される。

UNIは以前、このデータベースの情報を活用し、ノルウェー最大の年金基金KLPと対話を行い、KLPがヨルダン川西岸地区のイスラエル入植地と関係を持つ16社を投資先から除外することにつなげた。またUNIは、ノルウェー銀行が運用する政府系ファンドにも働きかけ、同ファンドはパレスチナ被占領地における建設・不動産会社から手を引いた。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は「このデータベースの中で、入植を促進していると国連が判断・特定した企業は、容認しがたいレベルで人権侵害と絡み合っている。データベースは、入植地で活動する企業を白日の下に晒す重要なツールであり、企業に撤退を促す圧力を加えるものだ。だが、データベースは、含まれている情報が状況を反映してこそ有用だ。だからこそ、データベースを早急に更新し、今後も維持していくことが絶対に必要」と指摘した。

2014年および2018年のUNI世界大会で採択された決議には、平和の阻害要因であり、2国家共存構想を手の届かないものにしている違法入植地への経済支援を終わらせるための行動を、明確に呼びかける内容が含まれている。

UNIはすべての加盟組織に対し、ITUCによる国連人権高等弁務官への請願に名を連ねるよう、呼びかける。


外部委託に怒り-イタリアの金融労組がBNPパリバの子会社BNLを糾弾

外部委託された900人分の雇用回復に向けた交渉が実を結ばず、金融労働者を代表するイタリアの労働組合が、BNL経営陣を強く非難している。イタリア最大の銀行の一つであるBNLは、フランス大手BNPパリバの子会社である。

2月15日の報道発表で、UNIに加盟するFabi、First Cisl、Fisac CGil、Uilca、Unisinの各組合の指導者は、「5日間の無駄な協議の後、会社はこの状況が始まった当初と変わらぬ敵対的な態度で交渉のテーブルに戻ってきた。(中略) 根本的な方向転換がなければ、我々の交渉は合意なしに終わり、紛争は続き、BNLだけでなく関係する全企業で訴訟が始まるだろう」と述べた。

2021年10月に、BNLは900人のITおよび事務管理部門の労働者を外部委託すると発表した。組合は、これらの従業員が全国部門別団体協約の適用を受けられなくなるとして、この動きを全面的に拒んだ。

困難で非生産的な交渉の後、BNLの労働者は2021年12月27日および2022年1月24日にストライキに踏み切った。ストによってBNLは2月に交渉の席に戻ったものの、組合の要求には応じず、 交渉は5日目に決裂した。

2021年11月に、UNI金融部会はBNPパリバ経営陣に対し、BNLを組合との真の社会対話に移行させるよう求める書簡を送った。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「これらの職種に就く人々はBNLにとって不可欠なサービスを提供しており、団体交渉の権利を含む基本的な権利が尊重されねばらない」とし、「経営陣は時間稼ぎをやめ、だんまりをやめ、組合と真剣に交渉を始めるべきだ」と非難した。


アマゾン、世界中で少なくとも47億ドルの補助金を得ていたことが明らかに

1兆4千億ドルの超巨大テック企業であり、税金逃れで悪名高いアマゾンは、消費者のお金を巡って競り合うばかりか、納税者のお金も積極的に獲得している―UNIおよび市民社会組織であるグッドジョブズ・ファーストが作成した新しい報告書によると、アマゾンは過去10年間に世界中で少なくとも総額47億ドルにのぼる経済開発補助金を組織的に獲得してきた。

報告書はこちら(英文

ブエノスアイレスからハイデラバードまで、公的記録、投資家向け報告書、決算報告書より得られた証拠からは、公的補助金の獲得に向けたアマゾンの飽くなき意欲がうかがえる。市場シェアで優位に立つため、データセンター、倉庫、オフィス複合施設を開設する際にアマゾンが受けた減税措置は、恐らくこうした補助金の額をさらに上回る大規模なものだ。報告書の著者は、「ほとんどの国では情報開示が不十分なため、こうした金額は非公開であり、総額は間違いなく、かなりの高額になるはずだ」と指摘している。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「アマゾンは世界で最も富裕かつ急成長している企業の一つだ。同社は2020年に欧州で440億ドルの売上を記録したが、法人税は一切支払わなかった。その一方で、アマゾンは労働者を監視し、労働条件を引き下げている」と非難し、「アマゾンは納税者から1円たりとも受け取るべきではない」と強調した。

グッドジョブズ・ファーストの研究員で、北米や欧州のインセンティブ制度の専門家であるケネス・トーマス氏は、 「アマゾンの迅速な配送ビジネスモデルには、主要な輸送ルートや空港、その他のビジネス拠点に近い、あらゆる地域のコミュニティに倉庫を設置する必要がある。国や地域、州、地方の自治体が、アマゾン戦略の中核となる事業の費用を補う理由はない」と指摘し、「アマゾンに補助金を出すのをやめ、代わりに中小企業や公共サービスへの投資に充てるべきだ」と語った。

報告書は、各国政府や地方政府は、補助金を交付した企業名を開示すべきであるとしている。だが最終的には、世界最大手の一つであるアマゾンへの補助金交付をやめるよう勧告し、理由を次のように指摘した。「国庫補助の目的は、補助がなければ事業成長の見込めない地域において企業が事業拡大するのを支援し、投資を受けていない地域が経済的に活性化するよう支援することである。アマゾンの事業はそのいずれでもない。実際、政府はアマゾンに補助金を出すことで、労働者に低い賃金を支払い、賃金を引き下げ、中小企業の衰退の一因となり、反競争的な行動をとっている多国籍企業に、手を貸す状況に陥っている」

ここ数年、巨大テック企業の非難されるべき行為に対して、市民社会が幅広く結集し非難している。UNIは2021年10月に、プログレッシブ・インターナショナル、オックスファム、グリーンピース、350.org、タックス・ジャスティス・ネットワークを含む70以上の労働組合、NGOや環境保護団体、税金監視団体からなる「メイク・アマゾン・ペイ連合」(略称MAP、アマゾンに支払わせる)を支援した。ブラックフライデーには20か国以上でストライキと抗議を実施、アマゾンが労働者に公正な報酬を支払い、労働組合に加入する権利を尊重し、公正な税金を支払い、真の環境持続性に取組むことを要求した。

◆UNI:150か国で2,000万人以上の労働者を代表し、サービス産業におけるディーセントワークを確保し、組合が代表する権利や団体交渉権等、労働者の権利を擁護することをミッションとしている。
◆グッドジョブズ・ファースト: ワシントン DC に拠点を置く国家政策リソースセンターであり、経済開発における企業と政府の説明責任を促進する取組みを行っている。


ペルー議会がILO第190号条約を批准

1月31日、ペルー議会の本会議において、ILO第190号条約の批准が承認され、仕事の世界における暴力やハラスメントを根絶するための規制枠組みが確立された。110票で批准を可決したペルーは、ウルグアイ、アルゼンチン、エクアドルとともに、南アメリカ大陸の条約批准国として名を連ねることになった。

UNI米州は、政治的影響力を獲得するための取組みを推進し、国会議員との会談、フォーラムの実施、国内外の支持者との連携など、一丸となって尽力してきた。

キャシー・ゴンザレスUNI米州女性委員会担当部長は、「加盟組織が女性ネットワークを通じて取組んだ活動の成果だ。活動を率いるチームが実施したすべての行動に関わり、賛同してくれた。見事な結果だ」と取組みを称えた。

アンドレア・ガルシアUNI米州女性委員会コーディネーターは、「ペルー加盟組織の声とともに、UNI米州はペルーで190号条約を効果的に実施させるための次なる闘いを開始している」と述べ、「現在の課題は、これらの規則があらゆる職場で適用されること、そしてすべての労働者が、真の組合代表による集団行動を通じ、暴力やハラスメントのない職場が確保されると理解することだ」と締めくくった。

カリブ諸国におけるILO第190号条約批准に向けたフォーラム

同日、UNI米州は「カリブ諸国におけるILO第190号条約批准に向けたフォーラム」を開催し、政治家や組合幹部が参加した。フォーラムの冒頭でクリスティ・ホフマンUNI書記長は、職場でのハラスメント事例を救済するだけでなく、それを防止するための条項を団体交渉に盛り込むなどの、各組合の根気強い取組みを紹介した。

フォーラム参加者の中には、暴力の根絶は条約の批准で終わるのではなく、展開を注視し、規則の遵守を求め、ILO勧告206を考慮することが必要であるとの認識のもと、批准と実施に向けた自国での取組みについて経験を共有する女性もいた。

ネイバ・リベイロUNI米州女性委員会副議長は「我々はこの条約について議論しあい、この条約が男女を問わず全ての労働者を保護し、家庭や職場の女性があらゆる形態の暴力と闘うためのツールであるということを、説明していきたい」と意欲を語り、ガルシアUNI米州女性委員会コーディネーターは、加盟組織の取組みを強調する中で、「加盟組織は暴力のない空間を確保するために活動している。組合が、我々の現実を変える道を切り拓いている」と付け加えた。


パンデミックで小売店舗内の暴力が世界的に増加

UNIの新しい報告書で、コロナ禍で小売店の従業員に対する暴力のパンデミックが、世界中で生じていることが明らかになった。

20か国以上の労働組合の調査から証言を集めた報告書 『不都合な真実:商業における暴力とハラスメントのパンデミック』 では、小売労働者に対する顧客からの暴力は、パンデミック以前から決して珍しいことではなかったものの、パンデミック以降、憂慮すべきレベルにまで急増していることが示されている。

Union to Unionの支援を受け、今回UNI 世界商業部会が作成した広範な報告書では、小売業における虐待、暴力、ハラスメントの増加に対応するため、労働組合が新法の制定、保護措置の交渉、顧客の行動改善を求めるキャンペーンを展開している様子が詳細に記述されている。

調査によると、小売業の労働者が最も危険にさらされるのは、マスク着用や社会的距離の確保など、COVID-19に関わる規則を守るよう顧客に求めた場合である。米国では、小売店員が客にマスクの着用を求めたために射殺された事例まである。

オーストラリアの組合SDAによる調査では、パンデミックの期間中、5人に1人の労働者が故意の咳払いや唾を吐きかけるなどの行為を顧客から受けたと回答し、回答者の88%が顧客からの暴言を経験したと答えている。

英国では、パンデミック以降、顧客からの暴力が倍増しており、小売店労働者の10人に9人が暴力や暴言の被害を受けたと答えた。

日本では、悪質クレームやハラスメントが急増し、調査した従業員の36%が、パンデミックの影響による迷惑行為があったと回答した。

多くの場合、女性の小売店労働者が顧客からの嫌がらせの影響を最も多く受けており、また、セクシャルハラスメントの矢面に立たされていることが調査で示されている。フィンランドでは、調査対象となった小売店従業員の約56%が顧客からのセクハラを経験したと報告し、ナイジェリアでは、58%の女性が職場でジェンダーに基づく暴力を経験したと報告している。しかし、3分の1以上が、こうした行為を報告したとしても、正義が守られることはほとんどないと回答している。

マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「この報告書が示すのは、どこの国、地域、大陸においても、商業労働者に対する暴力が日常的に蔓延しているということだ」と述べ、「だが同時に、キャンペーンや法律の制定、団体協約を通じて、組合が労働者を守るために取組みを強化していることも示されている。UNI世界商業部会は、小売労働者が暴力を仕事の一部として受け入れる必要がなくなるよう、暴力の蔓延をこの部門からなくすため、できる限りのことをしていく」と力を込めた。

UNIは各国政府に対し、仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶に関するILO第190号条約を批准し、労働者を保護する法律を導入・施行するよう呼びかけている。また、UNIは小売業者に対し、以下の点を要求している。
• 暴力に対するゼロ容認ポリシーを採用すること
• ジェンダーに基づく暴力の蔓延に取組むこと
• 労働組合と協議・交渉すること
• 従業員を保護するために必要な措置を講じるよう、直ちに行動を起こすこと

◆Union to Union:労働組合運動を支援するスウェーデンの市民社会組織


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