トルコ最大のEコマース企業トレンディオルの荷物を扱う配達員が、公正な賃上げ、傷病手当、有給休暇、労働条件の改善、意思決定機関への労働者の参加を要求し、ストライキを決行している。
ネットワークやソーシャルメディアを通じて組織された何千人もの配達員が「エンジンを切った」ことで、配達件数は70%減少した。
寒波と雪に見舞われているにもかかわらず、イスタンブールのトレンディオル本社前での抗議行動を含め、配達員はトルコ全土で行動を起こしている。
トルコではインフレが悪循環に陥り、物価上昇率は公式に36%に上っている。配達員は、同社が提示したわずか11%の賃上げを拒否している。
ある配達員は「労災事故で負傷する者、中には死亡する同僚までいる。我々はあらゆるリスクを背負い、家族のために生計を立てるべく、命すらかけている。我々が休むことなく仕事をしてきたおかげで会社は記録的な利益を上げているというのに、会社が提示してきたのはインフレ率をはるかに下回る賃上げ率だ。我々が要求するのは、公正な賃金政策と、インフレと業務コストの増加による損失を補う賃上げだ」と力説した。
1日に約100万個の荷物を配達するトレンディオルは、1万2000人の労働者を雇用し、約73万人の「ビジネスパートナー」に配達を委託している。配達員は自身の車やバイクを使用し、全ての関連費用や医療費、保険料を自己負担し、小包を1件配達するごとに報酬を受け取っている。生活できる賃金を稼ぐためには、理不尽な配達ノルマを達成しなければならず、1日12~15時間の長時間労働と高い労災リスクを招いている。
トルコの組合法の下では、トレンディオルの配達員は労働者と見なされないため、組合に加入することも団体交渉を行うこともできない。報道によると、同社は脅迫によってストを抑えこもうとしており、他社の労働者を一時的に雇用して欠員を補っている。
配達員の要求は以下の通り。
• インフレ率の上昇とさらに高い業務コストの上昇を考慮した、少なくとも50%の賃上げを実施すること。
• 病気で働けなかったり、休暇を取ったりすると支払いがないため、傷病手当金および有給休暇を支給すること。
• 合理的なノルマと全うな仕事量。
• 恣意的な減給と、配達員の業務に対して圧力をかけるのをやめること。
• ストライキに参加した配達員を解雇しないこと。
トルコのEコマースは、パンデミック以降、2020年に66%と大幅な成長率を記録し、商業部門に占めるシェアも過去2年間で10%から17.6%に増加した。
マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「我々は、トルコでストライキ中のトレンディオルの配達員に連帯する」と述べ、「トルコではEコマースが急成長しており、彼らは利益の公正な分配と適切な労働条件、団結権および団体交渉を行う権利を得てしかるべきだ」と訴えた。
トレンディオルは約3,000万人の顧客を有している。中国の小売大手アリババは2018年に同社の過半数株式を取得し、中東、アフリカ、欧州での事業拡大に向けてさらなる投資を行った。トレンディオルはすでに、オンライン取引で世界18位のEコマース業者となっている。