11月 2021のお知らせ

オーストラリア小売業調査で不安定労働の厳しい現状が明らかに

オーストラリアのUNI加盟組織である店舗流通関連労組(SDA)が6,000人以上の組合員を対象に調査を行った結果、不安定な労働と予測不可能なシフトが、小売、通販、倉庫、ファストフード等で働く労働者に深刻な影響を与えていることが明らかになった。

SDAがニューサウスウェールズ大学に委託して実施した調査によると、エッセンシャルワーカーである小売労働者は、生計を立てるには短すぎるシフトをこなし、変更の多いシフトに対処するため、安価で適切な保育園を見つけることができないことがわかった。回答者の42%は、主に大手スーパーマーケットチェーンで働く女性で、シフトがストレスになっていると答えている。

「シングルマザーとして子供のために一生懸命働いているが、週たった9時間という短い勤務時間のせいで、突然、ストレスがたまり、どうやって生きていけばいいのか不安で夜も眠れなくなった。子供のスポーツはやめさせようと思っている。練習や試合に連れて行かなければならないが、上司の考えるシフトには合わないので。」

子供のいる労働者の41%が「シフトは突然変更されることがある」と回答した。うち、常用雇用のパート及びフルタイム勤務者のそれぞれ36%もそう答えている。全体の34%が「勤務時間がもっと予測可能であれば、もっと働けるようになる」と強く感じている。

場当たり的な労働時間は、労働者の子供にも影響を与えており、生涯にわたる不利益をもたらす。全国で95%の子供が就学前の1年間に週15時間の幼児教育を受けているが、調査対象となった小売労働者の子供については72%にとどまった。更に、家庭の事情に合わせてシフトを希望すると、懲罰的な扱いを受けるという親からの報告もあった。

障がい児を持ちパートタイムで働くある母親は、「子供のために1回シフトを外してほしいと頼んだら、何週間もシフトを外されたように感じることがある」と打ち明けた。

また、賃金の低さを訴える女性もいる。「この給料では落ち込んでしまう。ホームレスになるかもしれないと、いつも不安になる。」「2~3回しかシフトに入れない週は、食べ物を買うのも難しくなる」と言う女性もおり、スーパーで働いているのに、不安定な勤務予定のため食料品を買うこともできないという、辛く皮肉な状況に陥っている。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「不安定労働は、アジア太平洋地域、そして世界中で重要な問題となっている。重度のストレスや経済的不安等、労働者にのしかかる大きな負担は、ひいては社会の負担にもなる。その非効率性から、企業にとっても負担になる」と指摘した。そして、「SDAの調査により、エッセンシャルワーカーが直面する不安定な状況がはっきり示された。オーストラリアにおける不安定労働の実際のコストを示すものだ」と述べ、SDAの取組みを称えた。

ジェラルド・ドワイヤーSDA書記長は、「オーストラリアの何万人もの低賃金労働者は、地域社会の生活に完全に参加する機会を奪われている。いつ働けるのか、翌週を乗り切れるだけの賃金がもらえるのか、わからないからだ」と述べた。「これでは不十分だ。オーストラリアらしくもない。こうした状況を正すため、仕事とケアについてサミットを開催する時が来ている」と強調した。

SDAは、以下の点を要求している。

  • あらゆるコミュニティを対象に「仕事とケア」サミットを2022年に開催し、育児・介護責任を担う全ての労働者が抱える経済的・精神的プレッシャーに目を向けること
  • 法的強制力のあるケアの権利
  • 利用しやすく、手頃な価格の保育サービス
  • 生活賃金を支給する、安定、安心かつ予測可能なシフト割当
  • 全ての労働者の有給の個人休暇、介護休暇を増やすこと
  • 父親/パートナーの有給育児休暇を直ちに増やすこと
  • 有給育児休暇を取得するための障壁を取り除くこと
  • 介護を重要な社会インフラとして認識し、公正な経済的価値を与えること

報告書の詳細については、national.sda.com.au/careを参照。


UNI Aproファミリー、松浦新会長の就任を歓迎

2021年11月5日にオンライン開催された第29回UNI Apro執行委員会は、松浦昭彦UAゼンセン会長を、新たな会長に選出した。2015年から地域会長を務めた野田情報労連前委員長を引き継ぎ、UNI Aproを率いていくこととなる。

委員からは祝福の言葉が相次いで述べられた。ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長も、「松浦会長はこれまでも副会長を務め、UNI Aproの状況をよくご存知なので、非常に心強い。豊富なご経験と知見でUNI Aproを強化し、次のステージに導いてくださるだろう」と期待を寄せた。

松浦会長は就任挨拶の中で次のように述べた。「コロナ危機の中で、アジア太平洋各国の組合は政府や経営者と交渉し、労働者保護のための協約や制度を勝ち取り、重要な役割を果たしてきた。我々の取組みによって、“やはり組合は必要なのだ”と認識された。我々はより多くの労働者を組織化し、組織を強化することによって影響力を発揮し、労働者を保護するための取組みを更に進めなければならない。アジアはグローバル化の中で経済的に急速に成長してきた地域だが、その一方で、ミャンマーにおけるクーデター、香港の民主派活動家への抑圧、フィリピンの反テロ法等、深刻な民主主義への攻撃が起こっている。アジアの多くの国では労働組合権が十分に認められておらず、サプライチェーンの底辺で不安定な雇用と劣悪な労働条件下で働く人も多い。その他にも、AIやロボット等の新技術の進展、気候変動といった我々の労働の未来に大きな変化をもたらすであろう多くの課題がある。そのような状況で、UNI Apro会長という大役を担うことの重責を感じている。今後、地域会長として、ラジェンドラ地域書記長をしっかりと支え、この地域のUNI加盟組合の皆さんと共に、全ての労働者の権利保護、安全、労働条件向上のため精一杯取組む所存だ。」

野田会長は、次のように退任の挨拶を行った。「6年前にクアラルンプールのUNI Apro地域大会で会長に選出されてから、多くの国を訪問し状況の理解に努め、リーダーの皆さんと人間関係を築いてきた。この2年はコロナ禍で皆さんに会うことができず残念かつ心残りだ。UNI Aproには、UNI Aproらしい良さがある。松浦新会長のリーダーシップの下、UNI Aproの益々の発展を祈っている。」

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「UNI本部及びUNI Aproにおける書記長交代という重要な移行期をずっと支えてくださり、大変感謝している。野田会長はUNI Aproだけでなく、ICTS部会の偉大なリーダーとしても、思慮深く、献身的かつ現実的に部会を主導してくださった。お忙しい中でもUNIの取組みに大変なエネルギーを注いでくださったことに、UNIを代表して“ありがとう!”と申し上げたい」と、野田会長に感謝の意を表した。

アチャリャUNI Apro地域書記長も、「事務局を代表し、野田会長の力強いサポートに心から感謝する。退任されても、UNI Aproの発展にお力添えをいただきたい」と述べた。

また、並木自動車総連事務局長及び石川JP労組委員長はUNI Apro副会長に、安藤情報労連委員長はUNI世界副会長にそれぞれ確認された。須齋損保労連事務局次長はUNI Apro女性委員会副議長として運営委員会メンバーに確認された。

新たな役員体制の下、UNI Aproファミリーは、コロナ危機を克服し、前進していくことを確信した。


韓国の化粧品小売労働者、より高い賃金と公平な販売奨励金制度を要求

UNI加盟組織KFSUに加盟する、韓国ロレアル労組と韓国シャネル労組は、使用者からの不当な時間外労働の要求を拒否すると共に、パンデミック中に通信販売を支えるために行った業務に対する補償を求めている。

パンデミック中に客の出足や店頭売上が減少したため、この大手化粧品ブランド2社は、通信販売を強化している。しかし、労働者への期待は現実を反映していない。例えば、化粧品会社の労働者は、依然として店頭で高い販売目標を維持することが期待されているが、通信販売をサポートしてもそれに見合った報酬は払われていない。

つまり、店頭販売手数料の低下により、労働者の収入はパンデミック前の平均と比べて大幅に減少している。同時に、通信販売で生じる商品サポートや苦情対応といった顧客対応も求められるが、これらの追加的業務への対価は反映されていない。

労働者が直面するもう1つの大きな問題は、会社からの一方的かつ不規則な勤務スケジュール変更だ。

ハ・インジュ韓国ロレアル労組委員長は、「デパートは月末に休店日を決めるので、労働者はこれを基に非番の予定を立てる。しかし、デパートの管理者が予告なしに日程を変更することがあるため、労働者の予定や計画に支障をきたしてしまう」と説明した。

加えて、キム・ソヒョン韓国シャネル労組委員長は、「デパートは、営業時間の延長を間際に知らせてくることが頻繁にある。ブランド側はデパートの決定に従わなければならないので、労働者は長時間働かざるを得ない。ブランド側は労働者に同意を求めたり、組合に正式に協力を要請する書簡を送ることすらしない」と批判した。

KFSUが447人の労働者に調査を実施したところ、3分の1が頻繁な夜勤で長時間働いていることが分かった。組合は、今後も通信販売が拡大していくと予測するが、今の賃金及び報奨制度は現状に追いついておらず、労働者に大きな問題を突き付けている。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「パンデミックによって我々の働き方は大きく変わった。労働者の報酬もそれを反映したものであるべきだ。だからこそ我々は、ロレアルとシャネルに対し、公正な賃金と適切なスケジュール調整によって、従業員の懸命な働きを評価するよう要求する」と訴えた。

編集者注:組合からの最新情報として、韓国ロレアルの労使は、通信販売のサポート業務に対する50万ウォンの支払いと、2021年に3.5%の賃上げを行うことで暫定合意に達したとのこと。労使は2022年の団体交渉の中で、通信販売サポート業務の対価について、更なる交渉を行う。

韓国シャネル労組は国会の公聴会に出席し、会社側は賃金問題と未解決のセクハラ案件を、バーターで解決する目論見があるのではないかと述べた。組合は雇用労働省の担当者と面談し、この件に関する調査の見通しについて話し合う予定だ。


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