11月 2021のお知らせ

韓国シティバンク、個人向け金融事業を整理、従業員に希望退職募る

UNI加盟組織KFIU傘下の韓国シティバンク労組は、韓国におけるシティバンクの事業整理に伴い、2,300人以上のシティバンク従業員が希望退職制度に応募したことについて、遺憾の意を表した。

シティグループが2021年4月に韓国を含むアジア太平洋地域13か国でリテールバンキング事業からの撤退を発表して以来、KFIU/韓国シティバンク労組は、3,500人の従業員に悪影響を及ぼす、経営陣の一方的な売却計画に反対して闘ってきた。

KFIU/韓国シティバンク労組は、従業員と顧客にとって公正な結果を確保するため、韓国の金融委員会に訴える等、過去7か月に渡り様々な取組みを行ってきた。

しかし、10月25日に韓国金融委員会は、シティバンクの閉鎖計画に対する認証権限はないと発表した。これは事実上、シティバンクの個人向け金融事業の「清算」を承認することを意味しており、組合を大きく失望させた。

ジン・チャンケン韓国シティバンク労組委員長は、「この決定には失望した。金融委員会は、長年に渡り銀行業務に従事してきた何千人もの労働者の将来を守ることには関心がない、とはっきり言われたようなものだ」と憤り、「規制当局は公平な競争の場を確保し、外国資本の投資家が顧客や従業員の利益を損なわないようにするための存在だと思っていた」と、当局に対する不満を露わにした。

組合は、金融委員会の今回の発表によって、更に多くのシティバンク従業員が希望退職を選択するようになったと考えている。 

11月11日の時点で、韓国シティバンク従業員の3分の2がこの制度に応募しており、組合と経営陣の見込みをはるかに上回った。

同社の希望退職制度には、3年以上勤務している正社員及び契約社員が応募することができる。また、希望が承諾された場合、起業・転職助成金として1回だけ2,500万ウォン(20,976米ドル)が追加で支給される。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「組合が労働者のために果敢に闘っていなければ、シティバンク従業員はこのような良い退職パッケージを得られなかっただろう」と同組合の努力を称えた。また、ジャヤスリ・プリヤラルUNI Apro金融部会担当部長は、「UNI Aproは、顧客及び残された従業員の利益が、銀行の整理計画による更なる悪影響から守られるよう、次の局面に入った同労組の闘いを支援していく」と語った。

2021年11月22~23日に開催された第6回UNI Apro金融部会大会において、国連の責任投資原則に示された社会的責任を韓国シティバンクに果たさせようと奮闘する組合の取組みを支持する声明が採択された。


これは真剣なゲームだ「今こそゲーム開発業界に組合をつくる時」

2021年11月17日にオンライン開催された会議で、オーストラリアからフィンランドまで世界各国の労働組合が、電子ゲームやビデオゲーム開発業界では組織化の機が熟しているとの意見で一致した。

UNI世界ICTS部会が企画した「勝利に向けた組織化:UNIゲーム開発労働者デジタルワークショップ」の参加者は、ゲーム開発部門における組織化の機会を検討した。ゲーム開発業界は、一般的に高給取りの特権的なIT部門と見られているが、労働者はセクハラや低賃金、標準化された研修の欠如、健康的なワークライフバランスをとりづらい「クランチ文化(IT業界やゲーム業界等で締切前に長時間の残業をしたり週末も働いたりすること)」等に直面しているのが実情だ。

ベンジャミン・パートンUNI世界ICTS部会担当局長は、「ゲーム開発業界は、労働者が結束して労働基準を高めれば、会社の評判や規模にかかわらず、本来は良いはずの仕事に尊厳をもたらすことができる」と強調した。「ゲーム会社はコロナ禍に大きく成長した。UNIは世界中のゲーム開発労働者の組合を結集し、この業界に尊厳と公正を勝ち取るために闘っていく。」

ユービーアイソフト(本社フランス)、パラドックス(同スウェーデン)の組合や、オーストラリアの専門職労組をはじめゲーム開発労働者を組織する組合の参加者らが、互いの組織化の取組みを共有し、ゲーム開発業界の組合を世界的に拡大していくための方策について、議論を交わした。 フランスのSTJV労組のピエール・マルクスは、「この業界の大手企業の多くは、収益と労働者への報酬が大きく乖離している」と批判した。


UNI世界郵便・ロジスティクス部会委員会、来年の活動計画を承認

UNI Aproから今回初めて世界委員会に出席したメンバー

2021年11月26日、本年5月の世界大会後、初のUNI世界郵便・ロジスティクス部会委員会がオンライン開催された。デイブ・ウォード議長は体調不良のため欠席し、欧州選出のイェンス・サベルスタン副議長が議長代行を務めた。石川UNI Apro郵便・ロジスティクス部会議長の代理で、松本JP労組副委員長(第1予備委員)が出席した。

イェンス副議長は、9月のUNI Apro郵便・ロジスティクス部会大会で選出された新メンバーと、5月の世界大会の決定を受けUNI Aproから指名された青年代表、産休から復職したコーネリア局長を歓迎した。松本JP労組副委員長、浅香JP労組中央執行委員(第2予備委員)、エフェンディ委員(マレーシアUPCW)、ミヒリ青年代表(スリランカNPTWU)が自己紹介を行った。イェンス副議長は、委員会を代表して、退任した増田前Apro議長の多大な貢献に感謝した。

本委員会では、コロナ禍に特に発展したデジタルツールを活用した組織化手法について、UNI本部SCOREのスノッディ局長から講演を受けた。「自営の下請け労働者の組織化は非常に難しいが、不可能ではない」と述べ、最近スイス各地でSmood(食品配送)の、不満を持つ下請け配送運転手による自主的なストを例に挙げた。不満を抱える労働者を見つけ、狙いを絞って情報を発信したり、アンケートからコンタクト情報等を引き出すのに、デジタルツールが活用できると述べ、UNI SCOREが加盟組織と共に開発したオンライン組合加入システム等を紹介した。

5月の世界大会で世界委員会に青年代表枠の新設が決定されことを受け、UNI Aproから、スリランカNPTWU(郵電労組)のミヒリ青年委員が初めて委員会に出席し、UNI Apro及びスリランカの郵便労組若手役員のエンパワーメントと若年層の組合参画の必要性について報告した。

また、DPDやDHLのプロジェクトについても進捗報告を受けた。関連して、食品配送、レストランのデリバリー、アマゾンをはじめとする通販、郵便事業者が運営する小包配達プラットフォーム等、プラットフォーム労働が拡大し、賃金・労働条件が悪化していることへの懸念が示された。カナダ郵便労組は、食品配送フードラの配達員組織化に道を拓いたが、同社はその後カナダから撤退してしまった。欧州では現在、プラットフォーム労働に関して社会パートナーが意見を求められており、欧州労連とUNI欧州地域は、協議のプロセスで労働組合の意見を提出すると共に、組合の意見を支持するよう欧州議員にも働きかけを強化している。

委員会では、2022年度の主な活動として、商業部会と連携した、プラットフォーム、アマゾン、Eコマースをテーマとした各種フォーラムの開催や、ラストマイル配送に関する新しい調査研究の実施、ITFと共催のグローバルデリバリー会議、郵便のグリーンニューディールに関するワークショップ等の開催を確認した。


「メイク・アマゾン・ペイ」連合、ブラックフライデーに20か国以上でストと抗議活動

UNI、プログレッシブ・インターナショナル、オックスファム、グリーンピース、350.org、タックス・ジャスティス・ネットワーク、アマゾン・ワーカーズ・インターナショナル等、70以上の労働組合、市民社会組織、環境保護団体、税金監視団体等で構成される「メイク・アマゾン・ペイ」連合(略称MAP、アマゾンに支払わせる)は、2021年11月26日のブラックフライデーに、少なくとも20か国でストライキ及び抗議活動を行うという、世界レベルの計画を発表した。MAPは、アマゾンが労働者に公正な報酬を支払い、労働組合に加入する権利を尊重し、公正な税金を支払い、真の環境持続性に取組むことを要求していく。

MAPは、50以上の団体が集まって1年前に結成され、時価総額2兆ドルのアマゾンに対する一連の「共通の要求」を提示し、2020年11月27日に世界16か国でストライキや抗議活動を行った。今年の行動は、全ての大陸の少なくとも20か国の複数都市で、ストライキや抗議行動が計画されており、より大規模なものになる見込みだ。

世界中で行動を起こすこの日、労働、環境、税金、データ、プライバシー、独占禁止等、様々な分野の活動家が一堂に会し、組合員、市民社会活動家、環境保護団体活動家等が共同行動を実施する。一般の参加者は、MakeAmazonPay.comサイトから、「共通の要求」に署名したり、寄付したり、ブラックフライデーに身近で参加できる行動を探したりすることができる。

今年の取組みは、世界経済におけるアマゾンの影響の規模に注意を喚起するものだ。世界中で行われているストライキや抗議活動に加えて、アマゾンの不正行為の根深さと、それに対する抵抗の大きさと団結力を表すために、MAPは8つの場所を選んだ。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は次のように述べた。「#MakeAmazonPayに集う労働者、支持者、組合役員らは、世界中の想像力に訴え、世間のアマゾンに対する認識を変えてきた。ブラックフライデーのような世界行動デーには、経済のルールを変え、企業権力に挑もうとする動きが、いかに大胆かつ強力になっているかが示される。ますます多くの人々が、アマゾンのあからさまな反組合的行為、反社会的な税金逃れ、執拗な統制について、多くの疑問を投げかけている。世界中で見られるように、コーダー、ピッカー、ドライバー、UXデザイナー等の労働者は、組合があれば得られる尊厳と尊重を要求するため、共にデモ行進し、ストライキを行い、声をあげている。」そして、「連帯すれば、簡単には屈しない。連帯すれば、アマゾンは労働者の連携を打ち破ることはできない」と語気を強めた。

プログレッシブ・インターナショナルのキャスパー・ゲルダーブロムMAPコーディネーターは、「世界中の天然資源採掘から製造、製品の出荷・保管から消費者への配送、そして膨大な量のデータ管理・統制によって各国政府に影響を与える等、アマゾンは、労働者、人々、そして地球を欺いている」と指摘した上で、「アマゾンは世界の至るところにいるが、我々もそこにいる。アマゾンの不正行為の連鎖を追求し、我々はアマゾンに支払わせるため反撃していく。2021年11月26日のブラックフライデーには、世界中で労働者と活動家がストライキや抗議を行い、アマゾンに支払わせるための行動に立ち上がる」と強い決意を語った。

◆UNI:150か国で2,000万人以上の労働者を代表する。サービス産業においてディーセントワークを確保し、組合が代表する権利や団体交渉権等、労働者の権利を擁護することをミッションとしている。

◆ プログレッシブ・インターナショナル(PI):世界中の進歩的勢力を団結させ、組織化し、動員することを使命として、2020年5月に発足した。諮問委員会には、ノーム・チョムスキー、アルナ・ロイ、ビジェイ・プラシャド、アンドレス・アラウズ、ナオミ・クライン、ヤニス・バルーファキス、フェルナンド・ハダド、グスタボ・ペトロ、その他多くの有識者が参加する。PIには、世界中で何百万もの人々を代表する社会運動団体、政党、労働組合等が参加している。


UNI加盟組合、ILO190号条約批准キャンペーンに参加

女性と少女に対する暴力撤廃のための国際デー(11月25日)と、ジェンダーに基づく暴力に対抗する16日間の活動の開始を記念して、UNIグローバル・ユニオンは、ILO190号条約および206号勧告の批准に向けた取組みを推進する世界中の加盟組合と立ち上がっている。

労働組合が闘って勝ち取ったこの条約は、ジェンダーに基づく暴力やハラスメントを含む暴力やハラスメントのない労働の世界に対するすべての人の権利を認めた最初の国際条約である。これまでに9カ国で批准されているが、多くの国では労働組合が主導しており、さらに多くの国で批准されている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は同キャンペーン開始に当たり、次のように述べている。

「私たちはもう待たない。私たちは、労働の世界における暴力、特に女性に対する暴力の流れを取り戻さなければならない。ILO190号条約は、これを実現するためのツールだ。私たちはこの条約のために懸命にキャンペーンを展開し、この条約の批准と実施を確認する義務がある。パンデミックで暴力やハラスメントが急増している中、私たちはサービス業で虐待の最前線にいる組合員に対して、安全な職場を求めて戦い続ける義務がある」

ILO190号条約は、リモートワークや通勤・通学を含む労働の世界全体での暴力や、顧客を含む第三者からの暴力を対象としている。

スウェーデンのUNI加盟組合ハンデルスが実施した調査によると、小売業に従事する女性の28%が過去12カ月間に第三者からのセクシャルハラスメントを経験していることが明らかになった。一方、より広い労働市場で同様の被害を経験した女性は4%に留まる。ハンデルスは現在、このような虐待を防ぐための条項を労働協約に盛り込んでいる。

ベロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は、今すぐ条約を活用する必要性を強調した。

「特定の国で条約が批准されていなくても、私たち労働組合は、交渉や労働協約の中で条約の精神が謳われていることを確認する必要がある。第190号条約および第206号勧告は、職場における暴力やハラスメントを根絶するために、私たちが使い始めなければならないツールだ」

小売業における暴力をなくすための世界的な行動日の一環として、UNI商業部会の加盟組合は先週、政府と小売業者に商業における暴力とハラスメントをなくすために行動することを求める宣言を支持した。英国のUSDAW、日本のUAゼンセン、オーストラリアのSDAといった加盟組合がそれぞれの国で店舗労働者に対する暴力を止めるための画期的なキャンペーンを行っている。

また、ILO 190号条約は、パンデミックで急増したドメスティック・バイオレンスが職場の問題であることを認識し、解雇に対する保護など、被害者の保護に役立つ措置を提唱している。

南アフリカでは、UNI加盟組合SACCAWUがILO190号条約の批准に向けて徹底的に取組み、2021年9月に議会で承認された。

南アフリカのUNI加盟組合SACCAWU出身のパトリシア・ナイマンUNI世界女性委員会議長は次のように述べている。

「私たちのこれまでの経験から、条約が不毛な国際基準の一つにならないように、批准と実施のプロセスには、草の根の参加と活動、コミットメント、フェミニストのリーダーシップが必要であり、女性労働者の利益のために労働の世界を変えていくべきだ」

12月10日の世界人権デーまでのジェンダーに基づく暴力に反対する16日間の活動において、UNIは加盟組合に以下のことを求めている。

  • 自国でのILO190号条約の批准に向けて、積極的にキャンペーンを行う。
  • 利用可能なツールを用いて、組合員および社会全体の意識を高め、組合教育を促進する。
  • 労働の世界における暴力とハラスメントの問題について動員する。
  • 職場での暴力やハラスメントをなくすために、他の労働組合やナショナルセンター、NGOとの連携を図る。
  • 批准に向けての体制を整える

来る16日間のキャンペーンでは、あなたのアクションを以下のハッシュタグでシェアしよう!

#RatifyILO190
#ItCanChangeLives

ILO第190号条約チラシ


「商業部門に暴力やハラスメントを売る店は無い」UNI世界商業部会ウェビナー開催

11月17日、UNI世界商業部会はグローバル・アクション・デーを開催し、各国政府や小売業者等に対し、商業労働者に対する暴力・ハラスメント撲滅のための行動を求めた。本ウェビナーは、グローバル・アクション・デーのメインイベントとして、Union to Unionの後援で開催され、30か国・100名以上の労働組合リーダーが参加した。パンデミック以降、スーパーマーケットやファッションストア等の小売業において、顧客による労働者への暴力が爆発的に増加している。

スチュアート・アッペルバウムUNI世界商業部会議長(UFCW/RWDSU会長,米)は、「“お客さまは常に正しい”という米国の文化が、顧客に権利意識をもたらしており、これを変えなければならない。パンデミックのストレスとマスク着用等COVID-19対策の政治化と相まって、商業部門では暴力が急増し、労働者が顧客に撃たれて殺害されるという事態にまで発展している。」と述べた。

安藤賢太(UAゼンセン流通部門副事務局長,日本)は、「コロナ禍において、多くのエッセンシャルワーカーが傷ついている。エッセンシャルワーカーとして、商業部門で働く仲間は称賛される一方で、最前線で社会と生活を守ろうとする労働者に対して、消費者からのハラスメントが多くなっている。UAゼンセンは、政府に働きかけ、顧客等からの著しい迷惑行為防止対策の連携会議の開催や、カスタマーハラスメントガイドラインの作成が進むなど成果が上がっている。今後は法整備に社会全体で取組む必要がある。」と述べた。

ジェラルド・ドワイヤー(SDA書記長,豪)は、「小売業労働者を対象とした調査において、パンデミックの際に5人に1人が故意に唾や咳をかけられた経験があると回答している。SDAは、「誰も叱責されるいわれはない(No One Deserves A Serve)」という包括的啓発キャンペーンを実施し、顧客からの暴力やハラスメントの撲滅に大きな役割を果たしている。SDAの10項目の安全計画は、虐待的な行為を許さないという明確なメッセージとともに、国や業界を超えて実施されている。」と述べた。

リサ・メリン(UNIONEN,スウェーデン)とテア・ホルムルンド(HANDELS,スウェーデン)は、「調査によると女性の小売業労働者の実に28%(一般企業は4%)が、過去12ヶ月間に第三者からのセクシャルハラスメントを経験している。HANDELSは、このようなハラスメント防止条項を労働協約に盛り込んだ。職場の暴力やハラスメントに対する最良の治療法は、組合の代表性である。」と述べた。
ニコレッタ・キス(KASZ,ハンガリー)は、「調査によると、小売業労働者の80%が顧客からの身体的暴力を経験しているという驚くべき結果が出ており、更に半数以上のケースでは、上司は何も対応することなく、14%の上司は「顧客が正しい」と部下を守らなかったとの結果が出ている。」と述べた。

マティアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「パンデミックの際に急増した小売業での暴力やハラスメントが、世界共通の問題であることは明らかである。私たちは、暴力やハラスメントを「仕事の一部」として受け入れない。UNIは、世界中の何百万人もの小売業労働者を代表する組合として、商業部門における安全な職場を作るために行動する。これは私たちにとって明らかな優先事項である。」と述べた。

結びとしてパトリシア・ナイマンUNI世界女性委員会議長(SACCAWU、南アフリカ)が、「商業部門における暴力とハラスメントに関するUNI世界商業部会宣言」を発表し、小売業における暴力とハラスメントに関する報告書を間もなく上梓する旨発表された。


アフリカ各国のDHL労組、労働者の権利促進に向けて団結 

UNI世界郵便・ロジスティクス部会が支援するDHL労組同盟(アライアンス)に、UNIブレイキングスルー賞が贈られた。アフリカ26か国、3,637人以上の労働者を代表するこのアライアンスは、2019年以降、組織化と組合強化を通じて労働者の力を構築してきた。

ネットワークに加わる労組の数は、3年足らずで4から28組織へと拡大し、今やアフリカ大陸の半数以上の国に広がった。アライアンスは、UNI世界郵便・ロジスティクス部会及び本部SCORE(連帯・キャンペーン・組織化・調査・教育局)の支援を受けて拡大してきた。

DHL労働者でもある、ナイジェリア郵電労組(NUPTE)のベンソン・オグベイド副委員長(DHL部門長)はアライアンスを代表して、「今回の受賞は非常に名誉なことであり、UNIに感謝する」と喜び、今後の組織化の更なる躍進に意欲を示した。また、「ケニアでのアライアンス結成会議で団体交渉と組織化について話し合って以来、我々は勢いをつけてきた。アライアンスのおかげで、我々は更なる高みを目指し、より多くのことが可能になった。多くの組合員を獲得することができ、UNIの支援に心から感謝している」と語った。

アライアンス結成後の取組みにより、タンザニア、マラウイ、マリ、ギニア、ケニアの各DHL労組は団体協約を締結することができた。最近も、ナイジェリアのNUPTEが強力な団体協約の交渉に成功する等、アライアンスが組織化の突破口を開いている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「このアライアンスは、かつてないほど多くのアフリカ諸国の労働者を結集して力をつけており、他の多国籍企業を組織化している世界中の組合も非常に勇気づけられる」と述べ、「このネットワークは、組織化の足掛かりとして機能しているだけでなく、キャンペーンや交渉に関する成功事例の共有も可能にしている」と語り、その意義を強調した。

UNIブレイキングスルー賞は、組合の優れた組織化活動を表彰するものだ。今年は他に、米国作家ギルド東部、デンマーク金融労組、オーストラリア金融労組が受賞した。


組織拡大を果たした米作家ギルド、「ブレイキングスルー賞」を受賞

米国作家ギルド東部(WGAE)は、コロナ禍において組織化が困難であるにもかかわらず、むしろ組合員数を増やし、新たな分野にも拡大したことが高く評価され、UNIブレイキングスルー賞を受賞した。

WGAEは多様なデジタルツールを駆使し、ロックダウン中にリモートで働いていた数百人の新規組合員を獲得した。過去6年間で組合員を6割以上増やした組織拡大の実績の上に実現した、更なる成果だ。

組織率を継続的に上げていくため、コメディ、バラエティ、放送、ケーブルニュース、デジタルニュース等、様々な分野をターゲットに組織化を進め、要求した全ての職場で、組合承認を獲得した。

ローウェル・ピーターソンWGAE事務局長は、「WGAEを代表して、UNIからこのように栄誉ある賞をいただき感謝する。長年に渡るUNIからの連帯と明確な支援は、WGAEにとってなくてはならないものだった」と述べ、「我々WGAEは、既存の組合員だけでなく、以前は未組織であったプロの作家のためにも組合の力を強化することに努め、近年、大きな成長を遂げることができた。コロナ禍も成長し続けた。むしろコロナで組織化が加速した」と振り返った。また、「クリエイティブな仕事をする専門職も、力を高めるために集団行動を望んでいることがわかった。考え抜かれた戦略があり、それを慎重に実行することで、グローバル経済が変容し、娯楽、ニュース、デジタルテクノロジー等の分野が優位に立つようになっても、労働運動は成長を続けることができる」と自信を見せた。

2020年3月以降、WGAEは、MSNBCのケーブルニュース事業、ノンフィクション番組制作会社のジグソープロダクション、デジタル事業のハースト、バッスルメディアグループ、そしてFTスペシャリストやチョークビートといった小規模なデジタル企業数社で、組合承認を獲得した。

同時にWGAEは、何百人もの組合員を対象とする団体協約交渉を、対面ではなく成功させた。新たな組織化キャンペーンもそうだが、WGAEはZoom等のビデオプラットフォームを使って会議を行い、メールや各種テキストメッセージ機能、Slack等のワーク共有プラットフォームを駆使し、組合員を動員した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「WGAEが組織化のやり方を刷新し、コロナ禍の困難な状況を克服し、組織拡大ペースを加速させたことに、敬意を表したい。変化に迅速に適応し、デジタルツールを駆使して新しい分野の新規組合員を獲得する中で、リモートワークは必ずしも組織化の障壁ではないことを示してくれた。WGAEの成功は、我々の模範だ」と述べ、その成果を称えた。

UNIブレイキングスルー賞は、逆境の中でも革新的な組織化キャンペーンを展開し、組織力を強化した組合を表彰するものだ。


オーストラリア金融労組、コロナ対策で「ブレイキングスルー賞」を受賞

オーストラリア金融労組(FSU)は、パンデミック時に銀行・保険労働者の安全衛生を確保するという卓越した取組みにより、UNIブレイキングスルー賞を受賞した。

この賞は毎年、組合の優れた組織化の功績を称えて授与される。

新型コロナウィルスの感染が拡大する中、FSUはオンラインと現場での組織化戦術を併用し、金融部門のエッセンシャルワーカーに対するワクチン接種と保護対策を推進した。取組みが功を奏し、22万人以上の金融部門の労働者に対する有給ワクチン接種休暇の交渉に成功した。

ジュリア・アングリサノFSU書記長は、「ワクチン接種にかかる時間や、副反応が出たら病気休暇を取るように言われることが、ワクチン接種の障壁になっている、と組合員から聞いた。だから、多くの使用者がコロナによるこの特殊な状況を認識し、何らかの形で有給ワクチン接種休暇を認めてくれたことを嬉しく思う。この権利は、労働組合と組合員の懸命な努力によって勝ち取られたものだ」と喜びを語った。

組合は、連邦政府や州政府に対しても、最前線で働く金融労働者のワクチン接種を優先するよう求めている。

クリスティ・ホフマンUNI 書記長は、「病気休暇が取れないことは、ワクチン接種に立ちはだかる大きな障壁だ。FSUはキャンペーンを通じて何十万人もの労働者のために、そのハードルを解消した」と、組合の取組みを称えると共に、「FSUの取組みは、労働者の命を守るだけでなく、コミュニティの安全確保や、組合の強化にもつながった」として、その意義を強調した。

今年、ブレイキングスルー賞は他に、米国の小売・卸売・百貨店労組(RWDSU)とアマゾン労働者、米国作家ギルド東部、デンマーク金融労組が受賞した。


ミャンマーの民主化のために闘う労働者に「恐怖からの解放賞」

ミャンマー労働アライアンス及び労働者、UNI「恐怖からの解放賞」を受賞

UNIは、自らの自由と命を危険に晒しながらもミャンマーに民主主義を取り戻すために闘っている、ミャンマーの労働者とミャンマー労働アライアンスの並外れた勇気を称え、ミャンマー労働アライアンス及び労働者に「UNI恐怖からの解放賞」を贈った。

2021年2月1日にミャンマーで軍事クーデターが発生した。激怒した労働組合と市民社会組織は、アウンサンスーチー氏を中心とする民主的な選挙で選ばれた政権の回復を求め、市民の不服従運動を立ち上げた。

数千人もの公務員が政府の仕事を辞め、鉄道労働者が列車を止め、民間部門の労働者は全国ストを打った。ミャンマー銀行労組(MBU)やミャンマー銀行労連(BWTUFM)の組合員6000人もこれに加わった。

「UNI恐怖からの解放賞」の受賞に際し、ミャンマー労働アライアンスとミャンマーの労働者を代表して、ミャンマー労働組合総連合(CTUM)のサンダ・ソー副書記長は次のように述べた。

「この残忍な軍事政権との闘いは容易ではなく、非常に厳しい。危険を冒さなければならないことはわかっている。逮捕され、拷問され、投獄され、殺される。だが、他に選択肢がない。人々の力を取り戻すため闘わなければならない。兄弟姉妹の皆さん、皆さんからの連帯支援に支えられ、我々は勝利するまで闘い続ける。軍事独裁政権は撤退すべきだ。我々の革命が勝利しなければならない!」

1000人以上が殺害され、組合員を含む数千人の活動家が投獄され、60人以上が死刑を宣告されている。

UNIは、世界の労働運動と共に軍事クーデターを非難し、軍部が民主的秩序を回復し、全ての政治犯を釈放するよう要求している。

UNI世界運営委員会は、ミャンマーにおける権利と民主主義回復の闘いを支えるため、できる限りのことを行うとする声明を発表した。また、多国籍銀行に対しては、軍事政権と関わりのある企業から直ちに投資撤退するよう書面で要請し、9月15日の「ミャンマーのための世界行動デー」においても、この要請をあらためて強調した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「ミャンマーの民主的選挙からちょうど1年となる今週、この賞を贈ることは意義深い。だがその政権は、暴力によって覆されてしまった。我々は、ミャンマーの労働者が、ミャンマー労働アライアンスと共に、民主主義を不屈の精神で粘り強く追求してきた勇気と決意を称えたい。ミャンマーの人々の勇気ある行動は、世界の労働運動、更には世界中を奮い立たせ、支持を集めている。我々は連帯し、民主主義が回復するまで支援の手を止めることはない」と力を込めた。

「UNI恐怖からの解放賞」は毎年、危険を冒しながらも組合の組織化や労働者の権利を促進し、恐怖のない世界の実現に貢献した個人や団体に贈られる。


uni logo
最近のコメント
    アーカイブ