10月 2021のお知らせ

第6回UNI Apro商業部会大会開催、エッセンシャルワーカーの正義のため、共に立ち上がろう

2021年10月27日(水)・28日(木)日本時間14:00~17:00、第6回UNI Apro商業部会大会がオンラインで開催された。17ヶ国25組織から、合計132名のアジア太平洋地域の労働組合リーダーが一堂に会し開催された今次大会は、冒頭の連帯挨拶において、金子晃浩 副議長(自動車総連、日本)は、退任の挨拶を行い、「これまでのUNI Apro及びUNI本部の協力に感謝する。昨年、UNI結成以来の悲願であった自動車販売労組ネットワーク会議を初めて開催できた。これからのポストコロナの時代、労働者を置き去りにする世界にしてはならない。今後とも自動車総連は、UNIの活動に協力していきたい。共に頑張りましょう。」と述べた。

アリス・チャンUNI Apro商業部会担当部長によるUNI Apro商業部会活動報告「UNI Apro、いざ!」に続いて、永島智子代議員(UAゼンセン、日本)は、グローバル枠組み協定に関する活動報告を行い、「世界及びApro地域でコロナ禍が拡大する中、職場の安全衛生活動の重要性がより高まっている。2020年12月、イオングループ労組グローバル・ネットワークコミッティ(GNC)を開催し、従業員の安全と健康を守る職場を実現するため、安全衛生推進活動の再強化を各国単組と共有し、各国労使の取組みの進捗を確認した。全従業員が安全で衛生的な職場で働けるよう、イオン労連として今後もサポートしていく。」と述べた。具体的事例として、カンボジアCARWUの職場改善の取組み及び中国・イオン湖北における職場の問題解決の取組みについて報告した。

パネルディスカッション1「団結して立ち上がる」パンデミックがもたらした新たな日常におけるパートナーシップ労使関係(雇用の維持、雇用の創出、雇用保障、グローバル枠組み協定等)において、八野正一副議長(UAゼンセン、日本)は、「-Rising Together- 人間の価値、労働の質、人財力の向上によるイノベーションで未来を創る」をテーマに基調講演を行い、「ポストコロナの新たな日常におけるパートナーシップ労使関係には、ヒトによるイノベーション創出により、付加価値総額の向上を目指すことが重要であり、労働組合は、パートナーシップ労使関係の中で、人材投資に関わる労使議論、協議が求められる。その中でもリスクを恐れず挑戦するアントレプレナーシップを高めることが求められる。その上で①政・労・使・学識者で生産性運動を確認し、推進すべきである。②企業別労使は、生産性経営を企業ビジョンに再定義すべきである。③産業別労使は、持続可能なディーセントワークを構築し、人間の価値を高めるべきである。④産業別労使は労働分野におけるデジタル化の影響を捉えるべきである。変化の時代の良い職場の条件とは「自分の仕事を通じて成長することのできる職場」である。」と述べた。

パネルディスカッショ3「立ち上がろう」社会と労働の世界における暴力・ハラスメントの撲滅において、安藤賢太代議員(UAゼンセン、日本)は、パネリストとして登壇し、ハラスメントの撲滅の活動に関し、「2017年のアンケート調査で、組合員の70%以上がハラスメントを経験していた。お客様は神様という日本の商習慣の中で、商業労働者に人権はないのか?との訴えがあった。取組みにあたり、オーストラリア、韓国の仲間の活動に勇気づけられ、メディアに大きく取り上げられたことも大きな原動力になった。日本ではコロナ禍において最前線で働く労働者への暴力が増加した。UAゼンセンは、啓発活動やハラスメントへの取組みを政府に求めようやく動きだした。UNIの感染対策のガイドラインが役に立った。日本でもセクシャルハラスメントの報告は多い。日本は大きく遅れており、セクハラ自体の禁止が法的に定められていない。190号条約の批准に政府は慎重な姿勢である。組合として批准を目指したい。UAゼンセンはUNIの活動を大いに活用してきた。今後も世界と連携した取り組みを進めていきたい。」と述べた。

その後大会は、4つの決議案及び3つの大会声明(決議案1「オンラインワーカーのための公正な労働基準」、 決議案2「技術の進歩を通じた包摂的な成長」、 決議案3「エッセンシャルワーカーへの暴力は犯罪である」、 決議案4「女性と若者に対するCOVID-19の影響」、 大会声明1 UNI Apro部会大会共同声明「未来を創る:包摂的で、公正で持続可能な未来に向けて」、 大会声明2「KFSU-韓国シャネル労働組合は、あらゆるセクシャルハラスメントと闘う」、 大会声明3「KFSU-ホームプラス・ユニオンは、MBKに対し労働者の雇用を確保し、責任ある投資を行うよう要求する」)を採択した。

大会の最後にUNI Apro商業部会委員が選出され、日本からは八野正一委員(UAゼンセン)、永島智子委員(UAゼンセン)、並木泰宗委員(自動車総連)が選出された。その後、UNI Apro商業部会議長、副議長選挙が行われ、八野正一委員の推薦により、ジェラルド・ドワイヤーUNI Apro商業部会議長の再任が承認され、日本からは八野正一副議長の再任と並木泰宗新副議長が選出された。また、併せてUNI世界商業部会運営委員会委員に日本から八野委員及び並木委員が選出され、八野委員はApro地域を代表するUNI世界商業部会運営委員会副議長に選出された。


コロナ禍で成長するテック企業、ゲーム開発分野、コールセンターをICTS部会の組織化の重点に

2021年10月27日、UNI世界ICTS部会委員会がオンライン開催された。アンディー・カー議長は、本年開催された米州、UNI Apro、欧州の各地域ICTS部会大会で選出された地域議長に祝意と歓迎の意を表すると共に、野田前UNI Apro ICTS議長をはじめ退任した役員の多大な貢献に感謝した。安藤UNI Apro ICTS部会議長は、UNI Apro ICTS部会大会について報告し、UNI Aproの課題解決に向けてUNI本部と連携して役割を果たしていきたい、と挨拶した。

コロナ禍中・コロナ後に関する調査

委員会に先立ちUNI世界ICTS部会は加盟組織に、パンデミック及びポストコロナの団体交渉に関する調査を行った。回答を寄せた25組織の分析結果が紹介され、未回答組織からの回答も今後追加し、優良事例や教訓を共有していくことが確認された。

コロナ禍の若年労働者の組合への期待・関心事項としては、①賃金、②勤務形態の柔軟化、③在宅勤務、④昇進、スキルアップ、⑤安定性、があげられた。アウトソースに関しては、「コロナ禍でアウトソースは拡大した」、「アウトソースに関して情報を得たり交渉することは難しい」、「中核事業や新たな仕事もアウトソースされた」、「コロナ前よりアウトソースが増えた」という回答が多かった。コロナ禍の組合員勧誘、既存組合員の動員については、「遠隔勤務の増加も影響し、難しくなった」との回答が多い。一方、オンラインツールを活用することで、組合員とのコンタクトの迅速化、オンライン調査、オンラインイベントで参加者の増加する等のメリットもある。情報労連加盟組織の事例として加入届けのウェブ化も共有された。

テック企業、ビデオゲーム分野、コンタクトセンターの組織化

テック企業(開発、技術、デザイン等のビジネスを行う企業。GAFAに代表されるIT大手から請負労働まで、雇用・勤務形態は様々)、とりわけビデオゲーム開発分野、更にコンタクトセンターは、コロナ禍で莫大な利益をあげ、今後も成長が見込まれる。しかし、正規・非正規労働者の格差が大きく、未組織労働者が多い点、遠隔勤務の普及と共にAIによる過剰な監視・プライバシー侵害等の問題が浮上している点等が共通している。引き続き、UNI ICTS部会の組織化重点ターゲットとして、オンライン組織化等を活用しながら、取組みを強化していくことが確認された。

AI及びリモートワークに関する取組み

EUにおけるAI関連法案制定プロセスに、欧州議会委員やEU委員会等へのロビー活動・AIワーキンググループへの労働側代表としての参加・意見提起を強化している。2月に、UNI金融部会と共同でウェビナーを開催し、「UNIリモートワークの主要原則」を発表した。UNIとしては、「AIの活用に関するUNIポジションペーパー」及び「UNIリモートワークの主要原則」を加盟組織だけでなく様々なステークホルダーに促進し、支持者を増やして法制定に影響力を行使していく。


世界のスーパーマーケット労働者のために立ち上がろう

食品小売業の労働者を代表する世界中のUNI加盟組織が、パンデミック以前の低賃金や劣悪な労働条件の受入れを拒否し反撃に出ている。

10月20日に開催されたUNI世界商業部会ハイパーマーケット部門ウェビナーには、30か国の労働組合から90人以上がオンラインで参加した。「エッセンシャルワーカーのための不可欠な闘い」というテーマの下、世界各地の加盟組織が敵対的な使用者に直面しながらも、いかにして組合員に利益をもたらしてきたかが共有された。

ルーベン・コルティナUNI会長は、「パンデミックを乗り切るということは、振り出しに戻るということではない。特に、人々の食生活を支える小売業の第一線で働く労働者の生活水準を改善していかなければならない。皆が力を合わせて闘おう」と訴えた。

マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「食品小売業のエッセンシャルワーカーは、人々が生きていく上で不可欠なニーズに応えるために命懸けで働き続けているが、多くの労働者は今、忘れられていると感じている」と述べ、「スーパーマーケットはパンデミックを利用して、労働者の不利益となるような労働条件の縮小や変更を行っている。業界ではコロナリストラのパンデミックと呼ばれている」と批判した。

会議では、組合から、労働者がこれまでの条件では我慢できなくなっている状況が示された。

ドイツの労働組合Ver.diのオルハン・アクマンは、「今年は7万人以上の組合員がストライキに参加し、1万人が新たに組合に加入した」と述べた。Ver.diは、エッセンシャルワーカーの利益となるような産別協定の更新に成功した。

ペルーのメルコール・ブルガは、パンデミックの最中にハイパーマーケットチェーンのトットゥスと団体協約を再交渉した経緯を説明し、「交渉は非常に困難で、全ての対話が決裂した。しかし、労働者の懸命な努力により、会社との合意に至った。圧力をかけ、会社を交渉の席に着かせることができた」と振り返った。

安藤賢太UAゼンセン流通部門副事務局長は、パンデミックの際に増加した小売労働者に対する暴力やハラスメントを撲滅するため、UAゼンセンは、世論を喚起し、議員や政府に働きかけるキャンペーンを展開したと説明した。

南アフリカのエメリア・マファケラは、UNIの国際連帯キャンペーンに感謝し、ウォルマートの子会社である南アフリカのマスマートとの闘いについて語った。

最後に、クリスティ・ホフマンUNI書記長が、多国籍企業の労働者の権利を守るツールとして、デューデリジェンスのプロセスの重要性を強調した。「組合は、現場のリスクを評価し特定する上で、目や耳として機能する重要な存在だ」と述べ、「組合には、企業と協力してリスクを軽減していく大きなチャンスがある」と激励した。

この会議はドイツのフリードリヒ・エーベルト財団(FES)の支援を受けて開催された。上記の発表の他、オーストラリアのSDA、ベルギーのACV-Puls、オランダのFNV、米国及びカナダのUFCW等からも報告があった。


コロナ禍の印刷・パッケージング部会加盟組織の取組みを共有

2021年10月19日、日本時間20:00~22:30、UNI世界印刷・パッケージング部会委員会がオンライン開催された。アジア太平洋地域からは、ロレイン・キャシン議長(オーストラリア製造労組印刷パッケージング部会書記長)、宍戸副議長(印刷労連委員長)、マヘンドラ委員(ネパール印刷情報メディア労組委員長)が出席した。

開会挨拶の中で、ホアキナ・ロドリゲスUNI世界印刷・パッケージング部会議長は、コロナ禍の1年半の加盟組織の奮闘に敬意を表した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は連帯挨拶の冒頭で、新たにメンバーに加わった宍戸印刷労連委員長を歓迎した。「欧州では徐々に対面会議ができるようになってきたが、先進国でワクチン接種が進んでいても、世界で見れば格差がある。UNIは全ての人に平等なワクチン接種の必要性を呼びかけている」と述べた。そして、食品、薬、衛生用品等、生活必需品のパッケージング製造・印刷に関わるエッセンシャルワーカーの職場の安全確保にとって、労働組合の存在は極めて重要だと強調し、加盟組織の尽力を称えた。

前回委員会以降、この1年の活動について、本部局長及び各地域担当部長/議長がそれぞれ報告を行った。

UNI Aproについては小川担当部長から、9月14日に第5回UNI Apro印刷・パッケージング部会大会を開催し、今後4年間の行動計画を採択し、役員体制を選出したこと等を報告した。

委員会では、コロナ禍の印刷・パッケージング部門における団体交渉の優良事例が報告された。

ベルギーでは、賃金の物価スライド指数、定年の年齢等は産業横断的に全国レベルで規制されている。一方、産別交渉は年2回行われ、印刷部門は、上乗せ賃金、食事手当、休暇増、自転車通勤手当、職業訓練等を交渉で勝ち取った。これらの上乗せや諸手当は、使用者が拠出する産別基金から出されるもので、これまでは使用者がその使い方を決めていた。コロナ危機を契機に、組合も拠出額の変更や、基金が労働者のためにも使われるよう交渉できるようになった。基金の残高も組合がモニターできるようになった。結果、2020~2021年に限り、産別基金への拠出額を減額したが、コロナ禍中に解雇された労働者に、通常は45歳以上に支給される「再就職支援金」を、年齢に関わらず産別基金から支給すること、コロナ禍中の休業期間も年末賞与の計算対象に含めること(使用者は産別基金から補填を受ける)、安全対策の徹底(消毒薬の提供、安全衛生問題の相談窓口の周知、感染時の手続き明確化等)を含む産別ガイドラインを労使で策定することができた。2020~2021年は政府からの企業への支援があったため、印刷会社も大きな解雇もなくコロナ禍を乗り切ることができそうだが、政府支援がなくなる2022年以降も、組合としては印刷産業使用者団体に、雇用を守り、優秀な人材を維持するためにも、産別基金を活用するよう交渉していく。

「印刷情報メディア産業に集う仲間にとって”必ずそばにいる存在”であるよう努めていく」(宍戸印刷労連委員長)

宍戸副議長は、コロナ禍の印刷労連の取組みとして、製造工場部門及び営業・企画部門それぞれの成果を報告した。製造工場部門では感染予防策を交渉し徹底すると共に、感染リスクに対する精神的ストレスを解消すべく、労使で改善に努めている。一方、営業・企画部門は出社比率の削減が求められており、5割目安でテレワーク勤務が続いているが、ニューノーマルな働き方に向けた勤務制度を労使で構築し、感染予防と業務遂行の両立を図っている。「コロナ禍で1対1の対話が信頼関係の醸成に極めて重要であることが再認識され、日々の取組みの発信が組合員一人ひとりに届き、理解・共感・参加に結びついているかを検証する機会となった。多様な生活様式や働き方が広がる中、印刷情報メディア産業に集う仲間にとって”必ずそばにいる存在”であるよう努めていく」とまとめた。

委員会は、この他、部会加盟人員と部会財政状況について事務局から報告を受けた他、今後の優先課題を確認し、コロナの感染状況次第ではあるが、徐々にハイブリッドまたは対面開催を検討しながら活動を実施していくこととした。


「ハリウッド映画のようなエンディングだ」―IATSE、暫定合意により、賃金、休憩、労働条件の改善を獲得

10月18日を期限としていたストライキを目前で回避し、UNI加盟組織であり北米エンターテインメント業界の技術者や職人を代表する国際舞台演劇映画組合(IATSE)は、映画テレビ製作者連盟(AMPTP)との間で暫定合意に達した。

この3年間の協定によって、IATSEが代表する全米6万人の映画・テレビ産業の労働者の労働基準が引き上げられるだろう。

マシュー・ローブIATSE委員長(UNI世界メディア部会議長)は、「我々は、世界で最も裕福で強力なエンターテインメント企業やテック企業と肩を並べてきたが、このたびAMPTPとの間で、組合員のニーズを満たす合意に達した」と述べ、「ハリウッド映画のエンディングのようだ」と喜んだ。

提案された内容は、労働者がほぼ満場一致でストライキを承認した重要な問題に対応するものであり、交渉で勝ち取った利益は以下の通り。

  • 最低賃金で働く労働者に生活賃金を獲得
  • ストリーミング業務に従事する労働者の賃金・労働条件の改善
  • 年3%賃上げの遡及
  • 食事時間についての罰則強化
  • 1日10時間の休息時間(除外規定なし)
  • 週末の休息時間54時間
  • 多様性、公平性、包摂性に関する取組みの導入 

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「今回の合意で基準が引き上げられた。ここ数週間、普段は舞台裏にいるクルーの問題にスポットライトが当てられた。IATSEは、こうした労働者が社会から注目されたことと労働者の集団の力を利用して、真の変革を勝ち取った」と祝福しつつ、「だが、厳しい長時間労働の問題は米国に限られたものではない。ドイツ、オーストラリア、英国や他の国々でも、UNIと加盟組織は、過酷な長時間労働の文化を打ち破るため、組織化を進めている」と語った。

UNI世界メディア部会は、20か国28加盟組織を対象に労働時間に関する調査を実施した。調査した全ての国で、クルーは50時間以上働いており、週60時間労働も一般的であることが分かった。

英国のBECTUは、テレビドラマの撮影現場での労働条件について、10月下旬に交渉を行う予定だ。

暫定協定は、数週間後にIATSE組合員によって票決される。


今こそ、更年期障害について話し合おう

UNI世界女性委員会は、10月18日の「世界メノポーズデー(世界更年期の日)」に合わせ、更年期障害の影響を受けている女性に対する職場での支援や調整を求めて働きかけを行うよう、加盟組織に呼びかけている。

更年期障害は、40代後半から50代の女性にとって重要な労働上の健康問題であり、キャリアや職業経験がピークに達する時期に起こることが多い。90%の女性が更年期障害の症状を経験し、英国の調査では90万人もの女性が更年期障害のために離職しており、経済的にも大きな影響を与えている。

更年期障害は、エストロゲンとプロゲステロンの分泌量が減少することによって、身体に変化をもたらすものだ。症状としては、ほてり、頭がぼんやりする、疲労感、筋肉や関節の痛み、気分のムラなどがみられる。個人差はあるものの、こうした身体的変化の多くは、不安、気分の落ち込み、自信喪失、集中力の低下などの心理的影響をもたらすため、職場で大きな問題となりうる。

キャロル・シェファーUNI欧州女性委員会議長は、「労働者は、尊厳が保たれ、秘密が厳守された形で、更年期障害についての懸念を表明できなければならない。また使用者は、更年期障害の影響を受けている従業員に対する配慮義務を継続し、適切な調整を行う必要がある。更年期障害の影響を受けている労働者が黙って苦しみに堪えることがあってはならず、更年期障害を職業上の健康問題として普通に話し合えるようにする必要がある」と語った。

多くのUNI加盟組織が更年期の女性をサポートするための職場方針や手順を策定しているが、更年期障害について語ることがタブーである場合が非常に多く、支援を受けられずに症状に悩む中、女性は職場での差別に直面している。

ベロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は、「この重要な問題に対する認識を高めることは、平等と多様性へのUNIの取組みを前進させる」と述べた。


郵便労働者はエッセンシャルワーカー、その5つの理由

郵便労働者は、どんな場所であれ世界中の人々をつないでいる。世界で最初のソーシャルネットワークを確立した草分けだと言っても間違いではないかもしれない。郵便労働者は長い間、手紙の配達以上の働きをしてきた。良い時も悪い時も、世界中で感染症が蔓延しようが、自然災害が起ころうとも、郵便労働者のおかげで、手紙や小包み、薬や他にも様々なものを受け取ることができた。人々の多様なニーズに応えるため、かつてないほど郵便労働者は頼りにされている。郵便労働者がエッセンシャル ワーカーである、その5つの理由とは。

  • 郵便労働者はコミュニティの力を後押しする。コロナ禍で、郵便は、混乱状態にある時もコミュニティ及び個人にとってライフライン(頼みの綱)であることが示された。ロックダウン(封鎖)期間中も、郵便労働者はコミュニケーションや商業活動を持続させ、社会的便益を運営する上で不可欠な役割を果たした。郵便配達が変わらず機能したことは、ロックダウンという異常時であっても、人々がある種の普通の生活を送ることに役立った。
  • 郵便労働者は手紙以上のものを届ける。郵便は、コロナ禍の間に、新たなサービスを提供した。例えば、コスタリカでは薬を、フランスでは宿題の課題を、ポルトガルや米国では学生にラップトップパソコンを届けた。イタリアでは年金の支払いを届け、日本では高齢者や弱者の状況を確認した。郵便はその広範なネットワークを活かして、臨機応変に対応できる唯一無二の立場に置かれている。
  • 小包み配達にも郵便労働者は不可欠だ。郵便労働者は、コロナ禍の間、通常の任務以上の仕事をやり遂げた。通販の激増に伴い、記録的な1100億件の小包みを配達するために超過勤務を行った。小包の配達が保証されたおかげで、多くの中小企業は、通販チャンネルを開発し拡大することによって、コロナ禍を生き残ることができた。
  • 郵便は良質な雇用の源泉だ。郵便部門では、世界中で530万人以上の労働者を雇用し、多くの国で2番目に大きな使用者となっている。危機の際や、それ以外の時でも、常に郵便が社会のニーズに応える用意ができているようにするため、良質な雇用と訓練された労働者を維持することが極めて重要なのである。
  • 郵便労働者はみんなに愛されている!郵便労働者は世界の隅々で愛されている!例えば、米国では、郵便局は政府事業体の中でトップの人気を誇り、郵便局への信頼も高い。世界で65万の郵便局を持つ郵便ネットワークは、我々一人ひとりに関わり感動を届けている。

過剰な長時間労働で、世界中の映画・テレビ業界が苦しんでいる、米国だけではない

娯楽関連の組合が結集し、国際舞台演劇映画組合(IATSE)を支援すると共に、世界レベルで人道的な労働時間を取決めようとしている

UNI加盟組織である国際舞台演劇映画組合(IATSE)組合員が、米国の映画・テレビ産業における長時間労働に対するストライキを圧倒的多数で支持する中、世界15万人以上の舞台裏で働く労働者の組合を対象とした新たな調査によって、「非人道的な労働時間」は世界的な課題であることが明らかになった。

UNI世界メディア部会は、20か国28加盟組織を対象に、労働時間に関する調査を実施した。その結果、調査対象となった全ての国で、クルーは週50時間以上働いており、週60時間労働も一般的であることが分かった。このような長時間労働は、身体の健康、精神衛生、家庭生活に壊滅的な影響を及ぼしうる。

長時間労働が世界的な課題であることや、米国の使用者が持つ世界的な影響力を踏まえ、公正な労働契約と人道的な労働時間を勝ち取るためのIATSEの取組みを、世界中の組合が自らの問題と重ね合わせている。

マシュー・ローブIATSE委員長(UNI世界メディア部会議長)は、米国の組合員の98%が全国ストを承認したという歴史的な投票結果について、「組合員の声は大きく明確だ。今回の投票は、映画・テレビ業界で働く人々の生活の質、そして労働安全衛生に関するものだ。我々の仲間には、食事休憩の時間、十分な睡眠、週末の休み等、人間としての基本的ニーズがある。最も賃金水準の低い人々は生活賃金を得るに値する」と主張した。

UNI世界メディア部会は、労働時間改善のための国際キャンペーンに向けて、団体協約、労働時間、労働条件に関するデータを収集した今回の調査の全貌を近々発表する予定だ。

スペンサー・マクドナルド英国BECTU書記長(UNI世界メディア部会 映画・テレビ制作作業部会議長)は、「米国、英国、そして世界中のクルーは、コロナ禍の間も、安全衛生基準を強化しながら、休むことなく働いてきた。労働者にプレッシャーをかけても、持続可能ではない。国際的な問題には、国際的な解決策が必要だ。全ての制作現場で、安全な労働時間が必要だ!」と語気を強めた。

オーストラリアのメディア・娯楽・芸術関連労組(MEAA)のケリー・ウッド娯楽・クルー・スポーツ担当部長(UNI世界メディア部会副議長)は、「我々は、尊厳ある労働条件、つまり労働時間を抜本的に是正するための公正な取決めを要求するIATSEの闘いを全面的に支持する。世界中の舞台裏で働く労働者の多くが、十分な休憩や休息を取れず、週末さえも奪われている。我々は世界中に蔓延する長時間労働に反対する国際キャンペーンに積極的に参加する」と決意を語った。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は次のように述べた。「頻発する時間外労働や、勤務中及び勤務間の休息が不十分な状況は、例外ではなく常習化している。制作クルーからは、もうたくさんだと言う声が聞かれる。労働者がストライキを圧倒的に支持したのは、多国籍企業の使用者に対して、今こそ変わる時だ、という明確なメッセージを送ったのだ。」

長時間労働が世界共通の課題であり、使用者が世界の映画・テレビ業界で影響力を持つことから、UNI世界メディア部会は近いうち、メディア及び娯楽関連労組の国際会議を開催し、IATSE組合員を支援すると共に、持続可能で人道的な映画・テレビ産業とするため、国際的な取組みを行う予定だ。

連帯し、共に立ち上がろう。


UNI金融部会は、現在直面する課題と20年後の金融を見据えて活動する

2021年10月8日(金)日本時間19:00~21:00、UNI世界金融部会は、UNI世界金融部会運営委員会をオンラインで開催した。
リタ・ベルロファUNI世界金融部会議長は、開会にあたり、コロナ禍を理由に労働者の権利が脅かされ、不当解雇、支店閉鎖など労働問題が発生する中、労働者を代表する組合と組織化が重要になっている。我々はミャンマーへの連帯を含め、民主主義のためにも活動を続けていくと述べた。

アルケ・ベシガーUNI副書記長は、ポスト・コロナにおいて労働者だけが犠牲とならないよう、UNIとしてニューディールを提起していく。団体交渉を通じて、所得の平等やコロナ禍を理由にしたリストラと断固戦わなければならない。UNIは、変化する労働環境に対応し、既得権を守りながら、新たな課題に対応していく。金融機関における我々の力を構築し、世界で経営者と交渉するためにも組合の成長が必要である。BNPパリバとのGFA交渉、米国の銀行で40年振りに新たな団体協約の締結、ドイツの団体行動、ミャンマーに関する連帯ウェビナーなどたくさんの活動が展開されている。コロナ禍において組合の重要性が示され、労働安全衛生委員の重要性と共に世界のどこで働いていても、労働者には基本的権利があり、組合によって守られなければならない旨述べた。

各地域からの報告に続き、リモートワークの主要原則に関する活動報告が行われ、ヤン・ドゥシェック氏(ドイツver.di)より、ドイツ官民銀行における団体交渉について報告を受けた。
その後、ミャンマーへの連帯支援に関してアンナ・ハーベイUNI世界金融部会コーディネーター及びリサ・ネイサンUNI投資家対応アドバイザーより、金融部門としてミャンマー軍事政権の資金を断つため、政権に関係がある金融機関や企業に圧力をかける必要がある。金融機関は投資先に対し、デューデリジェンス含め、責任を持つべきである旨報告を受けた。
ニコラス・ウェイナー(米国CWA)は、米ベネフィシャル・ステートバンク銀行における団体協約締結に関し報告した。これは40年ぶりのことであり、組合は窓口、コールセンター等をはじめ49職種の労働者を代表している。本協定の締結により、大きな賃上げが実現し、解雇権の濫用を防止できるようになった。この成功をベースに今後3つの中小銀行ターゲットとしていく旨述べた。
最後にアンジェロ・デクリストUNI世界金融部会担当局長より、20年後の金融業界がどうなっているかに関し、投げかけがあり、リモートワークが進化する時代においてリモートワーカーとどう接点をもつか、20年後の金融業界について議論する、セミナーを開催したいと考えている。20年後の金融、組合、仕事、労働者、環境、世界はどう変わるのか。20年後我々はもういないが、20年後に金融部門で働くであろう人々の意見も聞かねばならない。だからこそ次世代人材を巻き込まねばならない旨強調した。
次回金融部会会議は、2023年8月23日、米国フィラデルフィアにおいて、UNI欧州金融部会大会、同8月24日、UNI世界金融部会大会を開催する予定である旨確認された。


世界郵便デー:郵便労働者に敬意を表して

10月9日の世界郵便デーに当たり、UNIは、世界100か国、250万人の郵便労働者の利益のために闘う加盟組織を支援する。コロナ禍中にあっても、郵便労働者が安全に仕事ができるよう尽力したUNI郵便・ロジスティクス部会加盟組織の奮闘のいくつかを紹介したい。

成功事例

  • アルゼンチンのUNI加盟組織FOECYTや、セネガルのSNTPTは、コロナ禍に関わる労働者の職場での経験や懸念を把握するため、危機管理委員会を立ち上げ、健康状況を注視し、必要に応じ、安全確保の対策を取った。経営側との対話や、強力な団体協約を通じて、組合は、労働者のニーズを反映した作業手順を確立することができた。
  • パキスタンの郵便労働者は、パンデミックの最中、適切な安全対策もないまま、年金の配達を行うよう要請を受け、危険にさらされていた。経営陣及び管轄省に働きかける等UNIからの支援を受け、郵便労組は、現金配達を阻止することができ、配達中に強盗に狙われることがなくなった。
  • UNIが呼びかけた国際連帯行動の後、モロッコの加盟組織NFPL-UMTとモロッコ郵便経営陣は合意に達し、11日間に及ぶストに終止符を打った。合意した協定では、50米ドルの賃上げ、成果給の増加、降格された20人の労働者の復位が実現した。
  • 地域及び国際レベルでUNIが介入し、ブラジルの郵便管轄大臣に書簡を送った後、郵便労組FINDECT及びFENTECTは、適切なリスク評価も安全手順もないまま、1800万人に緊急支援を配達するのに郵便局を使うという、ブラジル郵便の計画を阻止することができた。
  • UNIアフリカDHL労組アライアンスに今では、アフリカ大陸26か国26労組が参加するまでに拡大した。アライアンスは、DHL労働者を守るため、労働安全衛生を優先課題であるとし、安全衛生に関する優良事例や情報を交換する場となっている。 
  • パンデミック当初から、UNIはUPU(万国郵便連合:郵便業務の効果的運営によって諸国民の通信連絡を増進し、文化、社会及び経済の分野における国際協力に寄与することを目的とする国連専門機関)と、労働安全衛生を重視し、コロナ禍にあっても労働者の安全を優先することを宣言する、共同声明を発表した。この宣言は、地域レベル(UPAEP/PUASP及びUNI米州地域組織)でも署名され、活用されている。
  • UNI世界郵便・ロジスティクス部会は、迅速に「郵便・ロジスティクス部門の労働安全ガイドライン」をまとめた。情報提供、支給、対策を中心とするガイドラインは多くの国で実施されている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は次のように称えた。「世界郵便デーにあたり、世界中の郵便労働者に敬意を表したい。パンデミックの間も変わらず、社会やコミュニティが機能し続け、つながりを保てるよう、奮闘してきた。労働組合は、労働者の権利を守り、労働者及び顧客の安全を守るため、主要な感染防止・安全衛生対策を交渉で勝ち取る等、困難に共に立ち上がった。過去1年半で、力強い郵便労働者の仕事と堅強な郵便ネットワークのおかげで全ての人々が社会とのつながりを保てることが証明された。」


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