8月 2021のお知らせ

UNI Aproユース、デジタルツールによる青年の組合参加を推進

2021年8月28日、第17回UNI Apro青年委員会が昨年に続きオンラインで開催された。各国委員からは、コロナ禍により依然として対面の活動が大幅に制限される中でも、デジタルツールを活用し、啓発活動や研修の提供、新規組合員の獲得や組織化、ネットワークの維持・強化など、青年の組合への参加を促進する様々な取組みを粘り強く継続していることが報告された。

日本からは、太田委員(情報労連・新任)、藤原委員(UAゼンセン)、松波委員(日放労)、齋藤委員(JP労組・新任)他オブザーバーが出席し、各組織の青年活動について報告した。また、7月に初めてオンライン開催された第20回UNI-LCJユース英語セミナーについて、出席した藤原委員が報告を行った。

UNI Apro青年委員会構成の変更については、情報労連の齋藤前委員から太田委員、JP労組の小野前委員から齋藤委員への交代を含む各地域の変更が確認され、レイズ議長からUNI Apro青年委員会を代表して新メンバーへの歓迎と退任した委員への感謝の言葉が述べられた。

最後に、2018~2022年活動計画の進捗状況と今後の予定(2021年末からのオンライン研修、2022年UNI Apro青年大会をバーチャルまたは対面で開催等)について確認し、閉会した。

 

各国報告(要約)

  • 松波清美副議長(日本 日放労):メディア・放送業界の若年労働者へのコロナの影響について報告。オリンピック、パラリンピックの取材・番組制作のために全国から多くの若い労働者が集められたが、若年層のワクチン接種が進んでおらず感染者が出た例もある。同僚との関係の希薄化や対面によるOJT研修ができないため、メンタルヘルスや人材育成にも影響が出ている。若手組合員の声を活動に反映させるべく、テーマごとにチーム化し、情報共有や意見交換の場を設ける計画である。
  • 太田佳織委員(日本 情報労連):青年層の課題は、組合活動へ参加する組合員、組合役員の担い手が少ないことである。組合員教育や役員研修に参加してもらい、組合活動への理解促進に努め、人材育成を図っている。組合活動を通じ、幅広い知識や人脈、キャリアアップの機会が得られることを伝えている。自由な発想で若年層のニーズにあった活動を行い、情報発信だけでなく組合員が気軽に相談できる窓口としてSNSを活用していく。
  • 藤原尚子委員(日本 UAゼンセン):流通部門で行っている次世代役員育成・青年組合員の参画拡大に向けた取組みについて報告。 流通部門に所属する青年組合員10人が2年間に渡って議論し、提言をまとめた。組合が「ミレニアル世代」「デジタルネイティブ」と呼ばれる世代の特徴やニーズを的確に把握することが必要。彼らはワークライフバランスを重視し、社会問題や社会貢献の意識が高く、「モノ」よりも「コト」の消費に高い価値を感じており、こうしたニーズに対応した新しい組合活動が求められる。7月20日に第20回UNI-LCJ英語セミナーがオンライン開催され、6組織21人が参加。UNIの取組みについて学び、コロナ禍の青年への影響等について議論、共有した。
  • 齋藤優輔委員(日本 JP労組):全国の組合員24万人のうち4万人が30歳以下のユース組合員。組織拡大が処遇改善につながる重要な要素であることを青年世代に伝えている。労使交渉による政策実現には限界があり、政治活動が特に重要であるため、青年層の政治意識や投票率の向上に重点的に取り組んでいる。また、組合員による相互扶助活動である共催制度への参加率向上にも取り組んでいる。
  • ガディス・レスマナ委員(インドネシア ASPEK):コロナ禍の対応について政労使共同宣言を策定した。政労使それぞれが取組み項目を設定し、取組んでいる。労働条件の引き下げを行わない、景気刺激策導入、不利益な取り扱い、差別の禁止など。ASPEK青年活動としては、2020年の雇用創出オムニバス法への抗議行動への参加、献血活動、組合を通じた基礎研修などの提供などを行った。
  • ムハマド・ニザム・ビン・ハジー委員(マレーシアUNI加盟協):青年活動として、年金基金に関する取組み、医療従事者への募金活動、労働者のワクチン接種加速化を求める署名活動と政府への要請行動をUNI-MLCと連携して実施。今後の計画としては、SNSを活用した青年メンバーとの定期的な情報共有、小グループによるチームワーク養成、スポーツ、ワークショップの実施。青年組合リーダーの育成(役割を与え達成感を得て自信をつけてもらう)に努めていく。
  • カイ・フック・タン委員(シンガポールUNI加盟協):コロナ禍によってシンガポールの若者はいくつかの問題に直面している。デジタル化への対応、コミュニケーションの希薄化、人間関係の希薄化、リモートワークによる長時間労働、メンタル面でのプレッシャー、自宅の環境整備など。シンガポールでは政労使による諮問会議が設立され、例えばメンタルヘルス対策について、個人、チーム、企業それぞれのレベルで取り組めるよう勧告した。信頼関係を築くことがより重要になっている。ワークライフバランスとリモートワーク、個人のバランスを実現する取組みである。
  • ベルナデット・レイズ議長(フィリピンUNI加盟協):パヤタス地区への支援活動として、子どもたちの栄養改善活動、奨学金プログラムを継続していく。現在100人の奨学生がいる。日本の個人および加盟組合からの支援に感謝。昨年ファンドレイジングを行った結果、7610米ドルの資金が集まり、500家族以上への支援をすることができている。
  • ロイ・タパン委員(バングラデシュUNI加盟協):バングラデシュでは、専門家、官僚、研修者等多様なステイクホルダーが参加するデジタル・ファイナンス・フォーラムが設立され、自分も執行委員を務めている。規制に関する取組み、能力開発、官僚のリーダーシップスキル向上、情報共有等を使命とし、学びの場の提供、知識のデータベース化、デジタル金融コンテンツ制作等の活動を行っている。青年もデジタル技術を活用して活動を活性化すべきだ。UNIバングラデシュ加盟協ユースは、デジタル技術を活用した情報共有、ジェンダー平等の啓発、持続環境な労働環境づくり、SDGsの達成、青年ネットワーク強化等を目指して活動していく。
  • キマヤ・ウキダブ委員(インドUNI加盟協):女性のための生理休暇導入に取り組んでいる。「一人が一人を勧誘する」という方法で組合加入者を増やし、自分たちの組合であるという意識向上を図っている。UNI-LCJ/UNIインド加盟協セミナーには多くの青年女性が参加し、自分たちの問題について議論することができた。青年に自らの権利を認識し、組合に入ることのメリットについて教えるウェビナーを開催している。
  • ジョティ・シュレスタ副議長(ネパールUNI加盟協):コロナ禍の中、暴力やメンタルヘルスにおいて若年層の被害が増えている。特に労働者の7割以上を占める非正規雇用やインフォーマル部門労働者の状況は厳しく、社会的保護が必要。非正規、フリーランス労働者を組織化し、声を上げることができる仕組み作りが必要。インフラの課題はあるが、デジタルプラットフォームを活用し、組織化や研修を進めていきたい。
  • ミヒリ・ハプアラチャチ委員(スリランカUNI加盟協):小売部門(スーパー、モール)の若い労働者の組織化に力を入れており、産別労組の結成と団体医療・生命保険の設立を目指しているが度重なるロックダウンにより、大きく影響を受けている。青年の研修や医療支援活動も引き続き取り組んでいきたい。
  • シャーリーン・ペレラ副議長(オーストラリアSDA):小売部門には青年が多く、顧客からのハラスメントに直面することが多いため、カスハラキャンペーンに取り組んでいる。労働者、会社、顧客それぞれへの啓発活動が重要。コロナ禍で青年労働者へのカスハラやセクハラは増えている。マクドナルド労働者への啓発キャンペーンでは、デジタルと対面の併用でコミュニケーションを取り続け、組織化を進めている。デジタル組織化にも注力しており、オンライン組合加入システムを導入したことでこの2年間で大幅に組合員が増加した。


インド準備銀行、アマゾンのような営利目的のデジタル決済システムを撤回

インド準備銀行(RBI)は「データセキュリティへの外国企業の関与」に対する懸念を理由に、アマゾンのような企業に利益をもたらす新たな営利目的のデジタル決済システム構築計画を撤回した。今回の発表は、UNIがインドステート銀行従業員労働組合(AISBISF)、IT for Change、外資系小売電子商取引に反対する共同行動委員会(JACAFRE)と共にアマゾンは、反組合的・反競争的な行為を行っており、システム開発を撤回するよう銀行に要請したことによるものである。

6月、JACAFREはRBI宛の書簡において「アマゾンという企業は、公平・公正の原則に反しており、インドを含む複数の国・地域で、不正・虐待・反競争的な行為を行っているとして調査を受けている」と述べた。
ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は「RBIが新決済システム開発・運営事業体(NUE)計画を保留したことは、正しい方向への一歩である。我々が以前から訴えているとおり、インドは非倫理的、反労働者的、反競争的な慣行の歴史を持つ企業にデジタル決済システムを与えるべきではない。」と述べた。
現在、アマゾンは外国直接投資規則違反および反競争的行為があったとして、インドの執行局、外国為替管理局、インド競争委員会から調査を受けている。また、小規模業者や小売業協会からもアマゾンに対していくつかの申立てがなされている。ロイター通信は、アマゾンがインドの電子商取引プラットフォームにおいて、特定の「特別な」販売者を優先していると報じており、アマゾンの売上の大半は、アマゾンが株式を保有している等、何らかの形でアマゾンと関係がある少数の大手業者によるものであるとしている。

世界的に見ても、アマゾンは執行機関の監視下に置かれており、米国においては、アマゾンは、自社プラットフォーム上の第三者販売者の扱いに関し、「広範な反競争的行為」を行っているとの指摘がなされており、米国連邦取引委員会による反トラスト調査も行われている。これまでにアマゾンは、配達員との契約に違反したとしてFTCに数百万ドルを支払い、容疑を解決している。
同様に、アマゾンはEUにおいて競争法に違反した疑いで調査を受けている。本件は、アマゾンが販売業者とオンラインマーケットプレイスの所有者という二重の役割を利用し、他の業者に不利益を与えているとされたものである。
EU議会は、アマゾンの倉庫労働者の安全確保の必要性が世界的に高まっていることや、米国の大手ハイテク企業の労働者の扱いに対する批判が高まっていることを受けて、ジェフ・ベゾス・アマゾンCEOに雇用・社会問題委員会において証言するよう求めている。2020年10月、EU議会議員37名は、アマゾンによるEUの労働法、データ法、プライバシー法違反に関し、労働組合が欧州全体での調査を要求したことに対し、同氏に緊急対応を求める書簡を提出した。


バングラデシュ・アコードを継承・拡大する新たな安全協定締結

国際的な繊維小売業の代表者は、UNI及びインダストリオールとの間で26か月間の新たな協定に合意した。画期的な協定「バングラデシュ・アコード」の成果を踏まえ、その法的拘束力のある責務の範囲を拡大する内容となっている。

2021年9月1日に発効する「繊維・衣料品産業の安全衛生に関する国際協定」は、法的拘束力のある責務、結社の自由の尊重、独立した運営とモニタリング等、最初の協定を成功に導いた基本的要素を更に前進させたものである。今回の国際協定の主なポイントは以下の通り:

  • 独立した「既製服持続可能性協議会(RSC)」を通じて、バングラデシュにおける安全衛生プログラムを継続する取組み
  • この協定を他の国に拡大することについての合意
  • 人権に関するデューデリジェンスに対応するために協定の範囲を拡大するオプション
  • 協定の条項を執行するための任意の合理的な仲裁プロセス

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「この新協定は、アコード・モデルがうまく機能することを更に証明するものだ。説明責任、透明性、法的拘束力のある責務を備えた国際協定は、バングラデシュやその他の地域における今日のデューデリジェンスのあり方を示す一例となっている」と評価した。一方、バングラデシュの衣料品産業における取組みはまだ終わっていないと認識しており、「RSCの強化と、製品をつくる人々に対するブランドの責任を深めることに寄与するだろう」と新たな協定に期待を寄せた。

前身となるアコードと同様、今回の合意も、既製服や繊維工場を安全にするために、企業と労働組合の間で結ばれた法的拘束力のある協定である。バングラデシュでは、ブランド企業、労働組合、業界団体の三者で構成される独立した全国組織「既製服持続可能性協議会」によって協定は実施されている。

この合意に至るまで何か月もの粘り強い交渉が続けられた。2021年5月にはアコードの移行協定を3か月延長した。前身となるバングラデシュ・アコードは、2013年4月24日に1,100人以上の労働者が犠牲になったラナプラザ事件から3週間後に、アパレルブランドと国際産業別労働組合組織の間で締結された。

アコードでは、独立した安全検査を実施する現場組織、透明性ある改善手順、労働者の苦情処理メカニズムや研修等が確立された。約200のグローバルブランドが署名し、2018年の協定では1,600以上の工場と200万人の労働者を対象としていた。

アコード、UNI、インダストリオールは、全ての衣料品・繊維企業がこの協定に署名し、安全で持続可能な既製服及び関連産業を構築するという共通の目標達成に協力するよう、働きかけてきた。

国際協定の署名企業の第一陣は、9月1日に発表される予定だ。


UNI Aproメディア部会、コロナ禍の影響とメディアへの抑圧に連帯して立ち向かう

2021年8月25日、第3回UNI Aproメディア部会大会がオンラインで開催された。12か国、19組織から代議員、オブ、ゲスト、スタッフ等77人が参加した。日本からは、日放労、民放労連が参加し、中村UNI Aproメディア部会議長が議事進行を務めた。

開会式では、クリスティ・ホフマンUNI書記長が連帯挨拶を行い、コロナ禍で浮き彫りになった労働安全衛生の重要性と共に、ワクチンの公平な接種の必要性を強調した。労働者だけに犠牲を強いてはならず、復興プロセスの中心に労働組合が積極的に関わり、より公平なコロナ後の世界を築いていかなければならないと訴えた。特に民主主義が大々的な攻撃を受け、多くの国で言論の自由に圧力がかけられている中、UNI Aproメディア部会加盟組織の奮闘に敬意を表した。

ヨハネス・ストゥディンガーUNI世界メディア部会担当局長も、厳しい状況の中でメディアは情報の伝え方について批判を受けているが、我々の仕事は単なる情報伝達に留まらず、前線から有意義な情報を提供していくことであり、民主主義に貢献することだと述べた。近い将来、対面の情報交換ができることを期待し、厳しい時こそ組合の国際連帯を強化していこうと鼓舞した。

続いて、アジア太平洋放送連合(ABUを代表し、ナタリア・イリーバ事務局長室室長から来賓挨拶を受けた。UNI AproとABUの協力は9年前に始まったが、両組織は、メディア労働者の安全と福祉を守り、技術変化や民主主義への脅威に対応する等、共通の目標を持っており、情報交換を重ねてきた。過去10年の技術革新で仕事のやり方も変化し、多様化した。効率性や柔軟性が増した一方で、労働条件の悪化やメンタルヘルスの悪化も生じているとし、特にジャーナリストの仕事へのAI適用については人間の管理下で行うことと、研修の強化を強調した。

最後に、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長が、冒頭、香港、ミャンマー、アフガニスタンの市民に連帯を表明した後、「未来を創る:包摂的で、公正で、持続可能な未来に向けて」と題する基調講演を行い、UNI Apro全体の課題と今後の取組み方針を紹介した。大会は満場一致で、「UNI Apro部会大会共同声明」を採択した。

20172021年度活動成果報告

ミシェル・ベリーノUNI Aproメディア部会担当部長が過去4年間の主な活動とその成果について報告した。組織化、加盟組織の連携強化については、労働安全衛生、組織化等をテーマに、毎年マレーシアで能力開発研修を実施した結果、マレーシアにおける組織化が順調に進んでいる。業界団体との関係強化については、ABUと共同ウェビナーを開催する等して協力を強化した。UNI世界メディア部会女性ワーキンググループにもUNI Aproから積極的に参加し、ジェンダー平等の取組み経験等を共有した。

「メディア産業における、パンデミックによって引き起こされた変化及びメディアへの抑圧の高まりという課題に立ち向かう」

中村UNI Aproメディア部会議長が基調講演を行い、「新型コロナウィルスは、グローバル化された社会や経済システムを狙い撃ちするかのように感染が拡大している。私たち労働組合はコロナ禍において、労働者・組合員の命と健康を守るという課題と、雇用や処遇等、社会的かつ経済的なプレゼンスを守るという2つの課題に直面している。ひとり一人が人間として、また尊厳ある個人として生きていくために、公共性や文化は必要であり、私たちメディア労働者は、それを提供する極めて重要な仕事に従事している」と強調した。

この他、ジャーナリストでもあるカリンガ・セネビラトネ博士が、「経済モデルはメディアの自由の重要な要素」と題する講演を行った。博士は、「報道の自由は社会にとって重要だということはよく知られているが、本当に自由なメディアが存在するのか?」と問いかけ、ニュースメディアのビジネス性と公益性のバランスをいかに取るか、様々な実例を挙げながら解説した。最後に、UNI及び労働組合に対し、ポストコロナ時代に、オンライン学習へのコンテンツを提供することや、自らがメディアプレイヤー、メディアプロダクションになることを期待した。

放送ジャーナリストであり公認メンタルヘルス応急処置士でもあるエバリン・サミュエル氏は、「パンデミックがメンタルヘルスに及ぼす影響と、これに対処する現実的なアプローチ」について概説した。従業員自身によるモチベーション維持から基本的なセルフケアの方法まで紹介すると共に、使用者側がメンタルヘルス対応にはコストがかかることを認識し、様々な福利厚生を提供したり、ビデオコールによってコミュニケーションを図ったりして、労働者の状況を定期的に把握する必要があると述べた。

マレーシアのカイルザマン・モハマド代議員は、コロナ禍に感染予防対策の徹底を図ると共に、メディア業界労働者の雇用の維持と、再訓練を受け新しい仕事に就けるよう取組みを進めていると報告した。

香港のエレン・チェン代議員は、政治不安とコロナ禍により、労働者は失業し、経済も悪化している状況を報告し、若年層の政治参加は進んだが、治安維持法導入後は民主主義が後退していると述べた。労働組合も解体の危機にあり、組合員数も激減しており、国際労働運動からの支援が必要だと訴えた。

日本の岩崎代議員(民放労連書記次長)は、「メディア業界にダイバーシティを求めて」と題し、メディアの業界団体に対して、女性管理職の登用を増やすよう要求したことや、民放労連が行った民間テレビ・ラジオ各社の女性役員比率調査結果を紹介した。日本はジェンダー指数120位と低く、メディア業界でも喫緊の課題である。責任ある立場におけるジェンダーアンバランスは番組制作上でも無意識の偏見につながる恐れがあるとし、ダイバーシティ推進の観点からもジェンダーバランス改善に取組んでいくと述べた。

また、韓国メディア労組(NUMWから、韓国の国会では言論仲裁法を強行採決しようとしており、これが可決されると、報道機関や記者は虚偽報道に法的責任を負わされ、虚偽報道の流布を是正するだけでなく損害賠償金を課されることになり、脆弱な立場に置かれるようになるとの報告と、連帯支援の要請を受けた。UNI Aproメディア部会大会として、そのような改正が韓国メディアの表現の自由の制限につながることを懸念し、韓国メディア労組の闘いを支援する連帯声明を確認した。

20212025年度UNI Aproメディア部会戦略的行動計画の採択

大会は、コロナ感染拡大防止、新しい仕事への対応、安全労働衛生確保、加盟組織の能力開発及び組織化支援、非正規労働者対応、ジェンダー平等推進等の課題について、他の組織との交流・情報交換・優良事例共有の促進や、業界団体/ABUとの協力を通じて、取組んでいく行動計画を採択した。

20212025年度UNI Aproメディア部会委員会の選出 最後に、新たな部会委員会メンバー・役員が選出され、議長に日放労・中村氏が再選され、閉会した。


フランスNCP、テレパフォーマンスに人権尊重を要求

経済協力開発機構(OECD)に対する相談窓口であるフランスのナショナルコンタクトポイント(NCP、フランスのNCPは、政労使の代表からなる三者構成の組織)は、2021年8月2日、パリを拠点とするコールセンター大手のテレパフォーマンスに対し、同社のグローバルな事業活動全体において、労働者の健康と安全のプロトコルおよび結社の自由の権利に関する欠点を是正するよう、一連の強力な勧告を発表した。

80か国に383,000人の労働者を擁するテレパフォーマンスは、フランス最大のグローバルな使用者のひとつであり、世界最大手のコールセンター企業として、Apple、Google、Amazon、Orangeなど、世界の大企業のサポートを行っている。

UNIは、テレパフォーマンスにおけるデューデリジェンスと労働者の権利尊重の強化を長年求めてきたが、2020年4月17日、UNIおよびフランスの4加盟組織(CFDT Fédération Communication Conseil Culture、CGT-FAPT、CGT Fédération des Sociétés d’Etudes、FO-FEC)は、フランスのOECDに特定事案について提訴した。この事案は、アルバニア、コロンビア、フランス、ギリシャ、インド、メキシコ、フィリピン、ポルトガル、英国、米国を対象とするものだ。

ここで提出された文書では、テレパフォーマンスがOECD多国籍企業ガイドラインに規定された労働者の権利を侵害した旨が主張されており、パンデミック期間中の同社コールセンターにおける衝撃的で非衛生的な環境や、より良い条件を求めて組織化した労働者に対する報復や組合潰しなどが詳細に言及されている。

提訴を受けてNCPは調査を行い、今回の勧告を発表した。勧告の重要なポイントのひとつは、同社が 「OECDガイドラインに規定された労働者の結社の自由と団体交渉の権利を尊重するために、デューデリジェンスならびに労働者を代表するステークホルダーとの関与を強化すること 」としている点である。また、言及された解雇事案については、「OECDガイドラインで推奨されている労働者の結社の自由に反しており、反組合的な行為に近い」と指摘している。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「社会対話、労働組合、労働者主導の独立した安全衛生委員会の重要性を強調した今回の勧告は、国際的に認められた人権基準の遵守を強化し、職場の健康と安全を確保するための明確なロードマップをテレパフォーマンスに提供するものだ」と述べ、「NCPが事実を徹底的に調査してくれたことに感謝するとともに、会社がこの勧告に従い、地域および世界の労働者代表と有意義な関わりを持つことを求める。1年後には、テレパフォーマンスの経営陣が、労働者とその組合を敵ではなくパートナーとして扱うようになることを期待する」と語った。

NCPは、12ヶ月後に勧告をフォローアップすることを約束している。


UNI、原爆投下76年目の広島・長崎の犠牲者を追悼

第二次世界大戦中の1945年8月6日に広島、8月9日に長崎に原子爆弾が投下された。原爆投下から76年目を迎えるにあたり、UNIは一瞬にして命を奪われた多くの犠牲者に哀悼の意を表すると共に、その後も長期にわたり放射線の影響を受け続けた被ばく者の苦しみに心を寄せる。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「世界がコロナウィルスという新たな脅威と闘う一方で、このような苦しみが繰り返されないように、平和と核軍縮を訴え続けていかなければならない」と訴えた。

UNIは、人権の基本要件である核兵器のない世界の実現に向けて積極的に取組んでおり、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)にも参加している。人権や労働者の権利を擁護するUNIは、2010年の世界大会を長崎で開催し、軍縮に焦点を当てた議論を行った。

2010年の世界大会前から、UNIは長崎や国際的な平和運動との強い絆を築き、核兵器がもたらす恐怖と破壊力について理解を深めてきた。

またUNIは、核兵器廃絶を目指す世界的なキャンペーンを支援する取組みとして、毎年、平和大使の訪問をUNI本部で受け入れてきた。だが残念なことに、この2年間はコロナ禍のため、平和大使の訪問ができなくなっている。UNIは一日も早いコロナの収束と、平和大使の訪問を切望している。


韓国シティバンク労組は、雇用の確保と顧客の権利のために闘う

韓国シティバンクのリテール事業買収に関心を示している企業のデューデリジェンスが8月初旬に完了する予定の中、UNI加盟組織の韓国シティバンク労働組合は、雇用を脅かし、顧客に不利益をもたらすような部分的・分割的な事業売却に対して、一連の抗議活動を行った。
韓国シティバンク労組のチン・チャングン委員長は、「私たちの立場は一貫して明確である。個人向け事業を一括売却し、希望退職者を募り、従業員にはシティバンクに残る機会を提供し、新オーナーの下に残る従業員の雇用保障を確保すべきである。もし銀行が手続きを急ぎ、結果的に分割売却となった場合、私たち労働組合は、直ちに行動を起こし闘いの最終段階に入ることになる。」と述べた。
報道によるとシティグループは、ロンドンに本拠を置くスタンダード・チャータード・グループが、韓国と東南アジアの個人向け事業を一括して引受ける取引を検討しているという。
UNI加盟組織の韓国金融労組(KFIU)のパク・ホンベ委員長は、売却を承認する監督機関である金融サービス委員会は、労働者が割を食った過去の失敗を繰り返してはならないと警告した。

韓国シティバンク労組の組合員は、6月初旬に争議行動への投票を行って以来、自分たちの声を伝え続けてきた。多くの組合員は、7月の昼休みを利用して、シティバンクの全国の営業所や本社、ソウルの政府庁舎においてピケを行った。また業務用SNSのチャットルームから退出し、時間外の会議にも出席しない行動をとった。
更に組合の要求をラッピングしたバスで、金融委員会庁舎、国会議事堂、シティバンク本社、ムンラエビル営業所の重要拠点4ヶ所を1日3回巡回した。
6月中旬には、与党議員6名が韓国シティバンク労組及び同経営陣と面会し、組合の主要な要求項目である「適切で透明な売却プロセス」と「雇用保障の維持」を反映した声明を発表した。
6月、UNI Aproも韓国シティバンクのCEOに連帯書簡を送っており、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、今回の行動を受けて、「組合の要求は非常に合理的であり、これまで組合員への報復を避けてきた経営陣の自制心を高く評価している。この問題に関心が払われている限り、スムーズな移行が可能であると期待すると共に改めて組合への連帯を表明する。」と述べた。

韓国シティバンク労組は、彼らの闘争を紹介する公式YouTubeチャンネルを開設した。彼らの闘いをより深くご理解いただくため、下記リンクよりビデオ(英語)をご覧いただきたい。
韓国シティバンク労組の闘い1
韓国シティバンク労組の闘い2


全米労働関係委員会(NLRB)担当官、アマゾン労組結成投票のやり直しを勧告

全米労働関係委員会(NLRB)の担当官が、アラバマ州ベッセマーのアマゾン物流倉庫における労組結成の是非を問う投票のやり直しを勧告していることが明らかになった。4月に行われた投票が反対多数で否決された後、小売業労組「RWDSU」は労組の投票を監督する全米労働関係委員会(NLRB)に異議を申し立て、5月にNLRBの主宰で聴聞会がスタートしていた。
ブルームバーグ・ニュース記事(英語)

クリスティ・ホフマンUNI書記長は「アラバマ州ベッセマーからスペイン・セビリアまで、世界中の労働者がずっと言い続けてきたことは、アマゾンはひどい反組合企業であり、抑制する必要があるということだ。 Bamazon労組は、アマゾン社が労働者を脅迫し、労働者が自由に組合を結成する権利を踏みにじったことを証明する明確な証拠を提示した。 現在、NLRBの担当官は、アラバマ州での組合選挙のやり直しを勧告している。これはアマゾン社は不正な手段でこの問題を誤魔化すことはできないと考えている人にとって朗報である。労働者は公正なプロセスが求められており、彼らはそれに一歩近づいたのである。」と述べた。
UNI Webサイト(英語)

スチュアート・アペルバウムRWDSU委員長(UNI世界商業部会議長)は、2日の声明で「アマゾンが投票に干渉しようとしていた有力な証拠を提示した。労組を結成すべきかどうかは雇用主でなく、労働者が決定すべき問題である。アマゾンは不正を働き、それが露呈し、説明責任が問われている」と述べた。
RWDSU Webサイト(英語)


uni logo
最近のコメント
    アーカイブ