7月 2021のお知らせ

メンタルヘルスに関するUNI Aproメディア部会/ABU共同ウェビナー

UNI Aproメディア部会とアジア太平洋放送連合(ABU)は、2021年第1四半期に一連のウェビナーを成功裏に共催してきた。両組織は、コロナ禍から派生した問題にメディア専門職が対応できるよう支援する、共同の取組みを継続している。

メディア労働者は仕事を失うか、または安全でない条件下で働く等、困難な状況にある。これにリモートワークが加わり、メディア専門職の心身の健康に影響が及んでいる。

約40人が参加し、6月28日に開催されたウェビナーでは、共通のメンタルヘルスの問題を緩和するのに役立つ現実的な助言が与えられた。

ウェビナーにはゲストスピーカーとして、オーストラリアから著名なメンタルヘルス専門家であるフェイ・ジャクソン氏を迎えた。司会は、マレーシアのベテランアナウンサーでありトレーナやコンサルタントとしても活躍するエバリン・サミュエル氏が務めた。

参加者にとって、ジャクソン氏の長年の専門家としての経験に基づく現実的で応用しやすい助言は非常に参考になった。

ジャクソン氏は、メンタルヘルスの問題はたいてい、人生の中で経験するトラウマ(心的外傷)によって引き起こされることをまず認識しなければならないと述べた。そして、極度の不安を癒し回復を助けるための、有効性が実証されたいくつかの方法を紹介した。例えば、身体的健康に気を配ること、同僚のサポートが不可欠であること、セルフケアの実践等である。

閉会にあたり、ミシェル・ベリーノUNI Aproメディア部会担当部長は、ABUの多大な協力に感謝すると共に、メンタルヘルスの問題解決にウェビナーで得られた助言が役立つことを期待した。


第20回UNI-LCJユース英語セミナー、初のオンライン開催

UNI-LCJは、「2019~2022年度UNI-LCJアクションプラン」に掲げた「国際労働運動に参加する青年・女性メンバーを更に増やす」という目標に基づき、UNI-LCJユース英語セミナーを継続開催してきた。2006年から過去19回に渡り、2泊または3泊の合宿型の英語漬けセミナーを開催し、のべ600人以上の参加者が参加した。しかし、昨年はコロナ禍により実施を見送らざるを得なかった。今年は、コロナ禍の中、普及したオンライン会議ツールを活用し、UNIらしい「英語漬けで新しいことを見聞きし、交流を図る」目的に近づけるよう、半日のオンラインセミナーとして企画した。

2021年7月20日午後、6組織(印刷労連、情報労連、UAゼンセン、自動車総連、大日本印刷労組、JP労組)から21人(男性11人、女性10人)、情報労連、UAゼンセン、JP労組からアシスタント各1人、UNI本部から講師として、アルケ・ベシガー副書記長、エイドリアン・ドゥルチUNIケア部会担当局長、オヌール・バキールUNI商業部会担当が参加した。

冒頭、松浦議長より英語で激励の挨拶を受けた。続いて、全参加者が自己紹介を行った。

ベシガー副書記長は、UNI概要及びUNIがコロナ禍の間にどのような活動を行ったか、特にリモートワークのガイドライン策定について概説した。その後のグループワークでは、自らの経験から在宅勤務のメリット・デメリットや、リモートワークができない仕事について話し合った。

アルケ・ベシガーUNI副書記長

ドゥルチUNIケア部会担当局長は、医療・介護従事者、食品・薬品・必需品の販売や配達に携わる労働者をはじめ、UNIが代表する様々な業種のエッセンシャルワーカーに、安全を確保し待遇を引き上げるための取組み事例を紹介した。その後のグループワークでは、コロナ禍前後で生活はどのように変わったか、特に若い世代にとって良くなったことや悪くなったことについて話し合った。

エイドリアン・ドゥルチUNIケア部会担当局長

バキールUNI商業部会担当は、職場における暴力・ハラスメント根絶の取組み等、商業部会の活動を具体的に説明した。その後のグループワークでは、コロナ禍で、顧客や上司・同僚との関係で発生した問題について話し合った。

オヌール・バキールUNI商業部会担当

各グループワークの後には、話し合った内容を、各グループの発表者が簡潔にまとめて発表した。

また講師から、コロナ禍における組合員とのコミュニケーションについて参加者に対して質問があり、対面が難しい中、オンライン会議ツールを活用しての試行錯誤、苦労や工夫の好事例が共有された。

最後にUNI講師やアシスタント等から総括を受け、4時間英語漬けというハードなセミナーを終了した。

参加者からは、「短時間でも他組織の参加者とグループワークを通じて交流できた」、「アシスタントからのアドバイスがあり助かった」、「つながらない権利といったコンセプトを初めて聞いて勉強になった」、等の前向きな意見が寄せられた。


UNI、多国籍銀行にミャンマーからの資金引揚げを要請

UNIは、スイスのクレディ・スイスやUBS、アメリカのバンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレー、ウェルズ・ファーゴなど、ミャンマー軍事政権に関連した投資を行っている多国籍銀行に対し、2月のクーデターを受けて、同国に保有する株式を至急手放すよう求めている。

当該銀行は、ミャンマー軍部と直接的または長期的につながっている企業や、軍部が支配している国家機関とつながっている企業に、少なくとも10億米ドルを株式投資している。

7月28日、UNIは当該銀行に書簡を送り、次のように述べている。「クーデター後のミャンマーの現状においては、深刻な人権への影響を考慮し、同国でビジネスを行う全ての企業が、緊急かつ強力なデューデリジェンスを行う必要がある。」とし、当該銀行に対して、軍事政権と関係のある企業を保有株式リストから外すよう求めている。なお、米国の銀行に対する書簡には、Committee for Better Banksが共同で署名している。

Bank TrackとJustice for Myanmarが作成した最新の報告書によると、19の国際銀行が、ミャンマー軍事政権とその残虐行為に関連する企業に650億米ドル以上を投資していることが明らかになった。民主化を求めるデモに対する軍の弾圧は強化され、略式処刑を含む数百人の死者が出ているほか、数千人が拘束、拷問、負傷している。最新の国連報告によると、少なくとも75人の子どもが殺害され、最大で1,000人の子どもたちが拘束されている。一方で、国内では新型コロナウイルスの感染者が急増しており、特に政権反対派の多くが収監されている拘置所では、多くの感染者が確認されている。

本書簡は、UNI世界運営委員会が5月21日、ミャンマーのクーデターを最も強い言葉で非難し、「ミャンマーにおける権利と民主主義のための戦いを支援するため可能な限りのことを行う。」との声明を採択したことを受けたものである。
クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「ミャンマーの軍事政権に関連した投資を行っている銀行が、通常通りのビジネスを行っているかのように振舞うことは、断じて許されない。これらの銀行には、流血を止め、同国の民主主義を回復するために全力を尽くす責任がある。ミャンマーの保有株式を売却し、軍事政権の経済力を弱めることで、現在行われている深刻な人権侵害を容認しないという強いシグナルを発信することができる。」と述べた。

アンジェロ・デクリストUNI世界金融部会担当局長は「ミャンマーでのクーデターは世界的に非難されているが、軍事政権と関係のある多国籍銀行には、迅速に行動し、この野蛮な政権との関係を断つことを強く求める。多くの人々が亡くなる中、もはや一刻の猶予もない。」と述べた。

国連ビジネスと人権指導原則(UNGP)及びOECDガイドラインでは、投資家を含むすべての企業は、事業関係を通じて自らが原因となり、助長し、あるいは直接関係して人権への悪影響を及ぼすことに対処または回避するために必要な措置を講じるべきであるとされている。OECD「機関投資家のための責任ある企業行動ガイドライン」によると、「悪影響が確認された場合の適切な対応として、緩和策の試みが失敗した場合、投資家が緩和策を実行できないと判断した場合、及び投資家の方針により排除が決定された場合、あるいは単に重大な悪影響を理由にした場合には、投資を引き揚げることができる。」とされている。


UNI Apro商業部会は、コロナ禍を乗り越えエッセンシャルワーカーの正義のために立ち上がる

2021年7月13日、アジア太平洋地域の商業部門労働組合のリーダーが一堂に会し、第21回UNI Apro 商業部会委員会がオンラインで開催された。委員会では、日本、オーストラリア、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ネパール、韓国、香港の各委員より、最新の状況と活動報告が行われ、コロナ禍の中、社会生活維持のため日夜働くエッセンシャルワーカーの正義のために活動を推進していくことを確認した。

開会にあたり、ジェラルド・ドワイヤーUNI Apro商業部会議長は、商業部門労働者を取り巻く環境は、依然として厳しく、みな苦戦している。コロナ禍のみならず、ミャンマーや香港では社会・政治的な混乱に苦しんでいる状況である。日本、インドネシア、タイ、マレーシア、そしてオーストラリア最大のシドニーは、2週間ロックダウンが続いている。ロックダウンの中、深夜であろうと自らを感染リスクにさらしながら地域社会のために食品を販売するエッセンシャルワーカーへの取組みを継続する。コミュニティに貢献するのは我々の義務である。小売労働者に優先してワクチン接種できるよう働きかけなければならない。商業部門労働者が職場で尊重され、嫌がらせを受けないよう取組む。Eコマース労働者の組織化に取組み、デジタル化でつながる機会を増やしていくと述べた。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、コロナ禍は現在も継続しており、インド、ネパール、バングラデシュ含めアジア太平洋地域全体で感染者数が増え続けている。平等なワクチン接種に加え、適切な医療へのアクセスが重要課題になっている。多くの地域で復興が遅れている。6月に開催したデジタル組織化に関するウェビナー、デジタルトランスフォーメーションと小売業の未来に関するウェビナーによって新たな活動のアイデアが生まれた。デジタル組織化を進めるため、組織化に関する研修・訓練を行っている。ITUCからGRI(国際人権指数)報告が発表され、フィリピン、バングラデシュ、ミャンマーが指数の低い3か国となった。厳しい挑戦になるが、我々が連帯しイノベーションを駆使して乗り越えようと述べた。

基調講演「未来の仕事の世界における公正と正義のための組織化」
ジェラルド・ドワイヤーUNI Apro商業部会議長,SDAオーストラリア

雇用の安定は将来にわたって保障されなければならないが、企業はコロナ禍に乗じて経済リスクを労働者に押し付け、利益をあげている。我々労働組合が雇用の安定に取組む理由は、安定し継続した雇用が保障されていれば、生活に安心感が得られ、そこにプラスの側面が生まれるのである。商業部門には常に非正規労働者が存在し、この数十年間で企業は、ますます非正規労働者に依存し、経営のしりぬぐいをさせている。非正規雇用は長期的には会社の利益にならない。従業員の意識低下、生産性の低下につながる可能性がある。雇用の安定について取組みたい。企業には将来に向け予算を組んでもらいたい。家族を支え、コミュニティを強化するため安定した雇用を創出するよう求める。コロナ禍でも雇用が守られれば、食料に困ることなく、病欠がとれ、社会保障が提供される。商業部門にイノベーションを起こす上でも雇用の安定は重要である。雇用の安定を勝ち取るためにも組合員を増やさなければならない。Eコマース労働者の組織化に取組まなければならない。Eコマース労働者は同じ商業部門の仲間であり、他の商業労働者と区別すべきではない。現在、商品は様々な場所で取引されており、Eコマース労働者の組織化が進んでいる。今後も我々のチャレンジは変わらない。労働者を組織化し、彼らを代表する組合とならなければいけない。今後も組合の重要性は高まるはずであり、労働の世界でデジタルトランスフォーメーションが進行する中、公正・公平を実現する上でEコマース労働者を見落としてはならない。

イオングループ労働組合連合会の GFA(グローバル枠組み協定)活動と労使関係の原則
永島 智子 UAゼンセン副会長

世界中、とりわけUNI Apro地域において、コロナ禍が拡大する中、職場の安全衛生活動の重要性がより高まっている。2020年12月、イオン労連では、グローバル・ネットワーク・コミッティ(GNC)において、従業員の安全と健康を守ることができる職場を実現するため、各国における安全衛生推進活動の再強化を各国の単組と共有した。各国の労使の取組みの進捗を確認し、イオン労連が必要に応じてサポートしていく。また、通常の安全衛生委員会だけでなく、今年は会社のコロナ対策会議に組合3役が参加し、現場従業員の課題や声を伝えて、提案を行うことで、従業員が安心して働ける環境作りを労使協働で取組んでいる。また、GFAの取組みとして、カンボジアCARWUにおける職場の課題解決の取組みや中国湖北省のイオン労組組合役員教育に取組んでいる。改めて役員一人ひとりがイオン労連の目指すべきビジョン、歴史、協調的労使関係について学ぶことで自分たちの役割をイオン湖北でどのように果たしていくかを話合っている。

コロナ禍において、労働者を守るための労働運動の重要な役割を再認識する
藤田 清憲 自動車総連副事務局長

コロナ禍における自動車総連の取り組みについて共有する。日本における新型コロナウイルスの影響は、数度にわたる緊急事態宣言の発令など、経済活動は大きく停滞し、現在でもコロナ禍前の経済レベルには戻っていない。自動車の国内新車販売においてもマイナスが継続している。こうした状況の中、自動車総連は、①加盟する12労連との確実な連携、②経営者団体との連携・要請、③政府への各種要請という、3つの政労使の枠組みで進めてきた。
まず①12労連との連携では、労働組合から各メーカー・大手部品企業の稼働状況を集約し、即時展開、各社の生産計画や要員計画に役立てることができた。次に②経営者団体への要請では、自動車産業の経営者団体である、日本自動車工業会に対し、各メーカーの稼働停止日のばらつきを出来る限り抑えるようカレンダーの統一を要請した。この取組みは、部品企業の負担減少につながったと評価している。自動車総連では、こうした経営者団体への要請は、直接対話で実施している。そして③政治への働きかけでは、緊急経済対策の必要性を国政政党に提起した。特に自動車総連と日本自動車工業会において「産業労使会議」を開催し、労使連携してコロナ危機を乗り越えるということを確認した。その中で、自動車総連より、特に窮状に陥っている中小部品企業に対する支援を要請し、自動車工業会からは、日本の自動車産業のためには、中小を含めたモノづくりの現場を失ってはならない、タイムリーに支援していく、という見解が示され、雇用維持の重要性を確認することができた。
この対話以降、自動車工業会としては、他の経営者団体と連携し、窮状に陥った企業が資金調達を容易にできる仕組みを整えたり、従来よりも広い範囲で取引先部品企業の現場の支援を実施するなどの支援策が展開され、労使対話が様々な動きに繋がった。

人間の価値、労働の質、人財力の向上によるイノベーションで未来を創る
八野 正一 UAゼンセン副会長

グローバル化とデジタル化により経済社会構造が大きく変質する中、コロナ感染症の拡大も加わり、わたしたちサービス産業には、様々な変革が求められている。UNI Apro地域のそれぞれの国、地域によって違いはあるが、多様な労働者の組織化、最低賃金、労働時間管理、安全衛生、ハラスメント対策等という労働の基盤を構築することは、最も重要である。UNI-Apro商業部会委員会は、コロナ禍の中で、また、ポストコロナを見据えて、「ディーセントな労働条件、雇用」を創出いくために『パートナーシップ労使関係』をどのように成長させ、どのような考え方ですすめていくかが問われている。
日本では、人口減少、少子高齢化は他に類を見ないスピードで進み、「日本が将来にわたり成長を持続する」には、「付加価値を継続的に創出する」には、わたしたちは、「人材の価値、良質な雇用を中軸に置き、生産性を向上させていく」以外に道はないと考える。「誰のための、何のための労働運動/生産性運動なのか」、「自らが進む方向性は」を常に考え、デジタル化を生産性改革のど真ん中に置き、付加価値を高めるための視点から様々なチャレンジが必要である。
「生産性の理念」について、生産性というと「効率化」、また労働投入量(就業者数、または就業者×労働時間)を削減し、利益を短期的にあげていくという意味で捉えられていることが多いが、我々は「働く側から生産性」を捉えるべきである。「生産性」とは、今日は昨日よりも良くなし得るという確信であり、さらに、明日は今日にまさるという確信である。条件の変化に経済社会生活を不断に適応させていくことであり、新しい技術と新しい方法を応用せんとする不断の努力である。そして人間の進歩に対する信念である。「サービス産業の生産性向上~生産性経営への転換をどう図るか」という課題に対し、「人間の価値、労働の質、人財力の向上によるイノベーションで未来を創る」という考え方を提起し、提言とする。「生産性運動とは持続可能な社会環境を創造し、未来への責任を果たす鍵である。」と捉え、サービス産業における生産性向上とは、ヒトを中軸に置き、ヒトによるイノベーションの創出により、付加価値の向上を目指すことが重要であるということである。提言1「企業ビジョンの再定義⇒成長経営から生産性経営へ」サービス産業のイノベーションの創出の根幹は人材である。「人材には新しい価値を創造する人材」と「その基盤を支える人材」で構成されて、その両軸の人材を育成することが重要である。提言2「持続可能なディーセント・ワークを構築し、人間の価値を高める」企業ビジョンの再定義に際し、「ヒト」に着目するだけでなく、「雇用の質」「人間の価値」に更に踏み込むべきである。イノベーションの起点は「ヒト」であり、ヒトが「持続的なディーセント・ワーク」の構築をする。


アジア太平洋地域のセキュリティ印刷関連労組、情報交換会

2021年7月12日、UNI印刷・パッケージング部会は、UNI Aproのセキュリティ印刷労働者を代表する加盟組織や組合代表及び欧州の講師を招いて、情報交換を行った。これは、6月9日のUNI Apro印刷・パッケージング部会委員会において、インドのセキュリティ印刷労組、ジャグディシュ書記長から、デジタル化の進展及びコロナ禍に伴う紙幣製造減少に直面する中、各国における対応状況について見聞する機会を設けてほしいとの緊急要請を受けて実現した。

UNI Aproからは、キャシンUNI Apro印刷・パッケージング部会議長(オーストラリア)、講師として梅原全印刷委員長が出席した他、インド、インドネシア、マレーシア、スリランカのセキュリティ印刷労組の代表が参加した。また、欧州からも講師が参加し、欧州における取組みについて理解を深めた。

梅原全印刷委員長は、「アジア及び日本における現状と将来に向けた取組み」と題する講演を行い、世界のデジタル化の情勢(キャッシュレス化の動向、中央銀行デジタル通貨の動向)から、日本社会のデジタル化の動向、キャッシュレスの方針・ロードマップ、キャッシュレス推進に向けた政府事業、日本銀行のデジタル通貨のスタンスと取組み等について詳細に説明した。最後に、労使一体の取組みを紹介し、デジタル化した社会においても、経済活動、国民生活の安定を図ることを責務とする国立印刷局の役割は今後も変わらないとし、労使で様々な課題を見極めながら克服に向けて共に取組んでいくことを強調した。

欧州中央銀行社会対話委員会でUNI欧州印刷・パッケージング部会の代表を務める、スペインFSC CCOO労組のマリア・アントニア・アラケ・アロンソ氏は、ユーロ紙幣印刷の現状について説明した。ユーロ紙幣製造・調達システムに、2015年以降、国立印刷造幣局の他、公共契約入札による民間印刷会社での製造が導入された。この官民モデルを推進する目的は、銀行券の供給の継続性確保、ユーロシステム内のノウハウ維持、競争によるコスト削減の促進、民間と公共部門のイノベーションの活用である。しかし、コスト削減と競争力を促進するために、公共事業としての銀行券製造の観点から離れ、自由市場モデルの力学を公共の製造に採り入れようとする懸念がある。また、多くの政府が電子決済を奨励する施策を推進する中で、銀行の大規模な支店閉鎖、ATM廃止等が行われ、農村部を中心に人々が基本的な金融サービスを受けられない状況が生まれる等、デジタル化による国民間の格差拡大も懸念される。そこで、デジタル通貨が通貨システムにもたらすリスクを回避するためには、開発の主導権を民間のプレーヤーだけに委ねてはならず、公的部門と組合が関与し民主的な方法で行わなければならないと主張した。

「現金は重要(Cash Matters)」という非営利組織の議長を務めるアンドレア・ニッチェ氏は、現金の重要性を提唱する運動について説明した。現金は(銀行口座の有無を問わず)とりわけ貧困層にとって唯一の決済手段であり生計を立てる手段でもある。現金使用には手数料はかからず、使用に関する情報の守秘性も保たれる。現金の使用に関して、貧富、銀行口座の有無、社会的地位、弁済能力、国籍、年齢、人種、ジェンダーによる差別はない。アンドレア氏は、金融包摂の点からも、個人の自由や尊厳が担保される点からも、現金の重要性を強調した。

インドのセキュリティ印刷部門9労組のうち、ナシックにあるセキュリティ印刷労組がUNIに加盟している。UNI及びUNI Apro印刷・パッケージング部会は、インドのセキュリティ印刷・造幣・製紙工場等9労組の連携強化を目指しており、毎年、インドで支援セミナーを開催してきたが、2020年はコロナ禍で現地セミナーが実施できなかった。そこで、ジャグディシュ書記長の要請を受け、インドの9労組全てに参加を呼びかけ、今回のオンラインによる情報交換会が実現した。ジャグディシュ書記長からは、各国の講師からの詳細な情報提供とUNIの迅速な対応に感謝の意が述べられた。

キャシン議長は、急速に変化する情勢を踏まえ、各国の状況に合わせた適切な戦略を策定するため、今後も定期的に情報交換・経験交流を続けていこうとまとめた。


UNIはチュニジアの加盟組織FGBEF-UGTT25,000人の金融労働者と連帯する

7月5日・6日、チュニジアにおいて、約25,000人の金融労働者がストライキを実施した。この全国ストライキは、4つの新しい労働協約の交渉が決裂した後、UNI加盟組織であるFédération générale des banques et établissements financiers(FGBEF-UGTT)が組織したものである。

FGBEF-UGTTは、パンデミック時の労働者の献身を認めず、水準以下の賃上げを提示した中央銀行を含む使用者側の提案を拒否した。
UNIは、金融部会加盟組織に対し現在の行き詰まりを解決するため、チュニジア銀行・金融使用者協会(l’association professionnelle Tunisienne des banques et établissements financiers)に書簡を送るよう要請した。FGBEF-UGTTのメンバーは、全国の銀行、金融機関、現金輸送会社、保険会社などで、賃上げと不安定労働の解消を求めて行動している。

アンジェロ・デクリストUNI世界金融部会担当局長は、「私たちは、使用者協会が一刻も早く交渉の場に戻り、誠実に交渉を開始することを強く求める。パンデミックの間、金融部門の成功に多大な貢献をしてきた労働者たちは、公正な要求以下のものを受け入れるべきではない。」と述べた。


UNIは南アフリカのMassmart労働者のために連帯する

UNIは、米ウォルマート子会社である南アフリカ・マスマート社の労働者のために世界的な連帯キャンペーンを立ち上げ、人員削減、労働時間の短縮、労働者の権利の弱体化を止めるよう求めている。UNI世界商業部会とUNIアフリカは、世界中の労働組合、労働者や人権活動家に、連帯バナーと一緒に写真を撮り、ハッシュタグ「#StopMassCuts」を付けSNSに投稿するよう呼びかけた。

マスマート社は、100人以上の人員削減、労働時間の短縮(月195時間から120時間)、異動、配置転換等を含むリストラ計画を一方的に行い、48,000人の従業員の一部に影響を与えている。同社の労働者を代表するUNI加盟組織のSACCAWUは、リストラの中止と組合との交渉を繰り返し求めたが、会社側はリストラを続行し、一方的に労働条件を変更した。SACCAWUの呼びかけにより、同社の労働者は、南アフリカ全土で毎週金曜日にストライキ、抗議行動、デモなどの行動を起こしている。しかし経営陣は、抗議する労働者を威圧し、集団行動に参加した労働者がCOVID-19安全規則に違反した疑いがあるとして、自己隔離のため無給で休むよう指示している。

キース・ジェイコブスUNIアフリカ地域書記長は、「これはCOVID-19安全対策を装った違法行為であり、言語道断で受け入れがたいものだ。マスマート社は、SACCAWUの要求を受諾するどころか、労働者が苦労して獲得した権利を攻撃し続けている。我々は、SACCAWU及びマスマート労働者と連帯する。」と述べた。

マティアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「マスマートの労働者は、COVID-19パンデミックの中、人々が食料や衛生用品などの重要な物資を入手できるよう最前線で貢献してきた。彼らは感謝され、より良い条件と適正な賃金を得るべきである。ウォルマート社は、人員と権利の削減をやめ、SACCAWUと交渉しなければならない。」と述べた。米国の小売大手ウォルマートは、2011年に南アフリカ最大の小売企業の一つであるマスマート社の株式の過半数を取得した。マスマート社は、サハラ以南のアフリカ13ヶ国・423店舗を展開している。


UNI Apro女性委員会、女性のエンパワーメントと、仕事における暴力撲滅を誓う

2021年7月8日、12ヵ国49人が参加してUNI Apro女性委員会がオンライン開催された。日本からは、景中悠紀UNI Apro女性委員会副議長(損保労連事務局次長)、寺嶋雪乃UNI Apro女性委員(UAゼンセン男女共同参画局副部長)、福田千秋UNI Apro女性委員(JP労組中央執行委員)、森川容子UNI Apro女性委員会東アジア地区コーディネーター(UNI-LCJ事務局長)が出席した。

東南アジア、南アジアを中心に変異ウイルスが猛威を振るう中、ミラ・スミラットUNI Apro女性委員会議長(インドネシアASPEK会長)の家族(夫)が急逝したため、急遽ジュリア・フォックスUNI世界女性委員会副議長(オーストラリアSDA)が議長代行を務めた。来賓として開会挨拶と報告を行う予定だったベロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長、アンナ・リー・フォス・ツベラITUC-APジェンダー平等活動担当部長もそれぞれ家族の事情や体調不良により欠席した。

開会にあたり、ラジェンドラUNI Apro地域書記長は、最愛の同志を失ったミラ議長に深く哀悼の意を表した上で、UNI Aproは女性の積極的な貢献を歓迎する包摂的な組織であり、オンラインでの訓練プログラムを通じて加盟組織における若い女性リーダー育成に向け最大限バックアップしていく、と女性のエンパワーメントに積極的に協力していく姿勢を示した。

続いて、欠席したミラ議長に代わりジュリア・フォックスUNI 世界女性委員会副議長が基調講演を行った。「コロナにより、リモートワークが増えたが、ジェンダーにより格差が生じるなどの影響が分かってきた。また、女性が多いエッセンシャルワーカーの賃金にはコロナ禍での貢献が反映されておらず、富める者が益々富むという状況だ。職場と家庭で暴力が起きており、女性がより多く被害を受け、ILO190号条約の批准の重要性が更に高まっている。また、デジタル戦略も考えていかなくてはならない。SNSなども使って、組合員に適切な情報を提供しなければならない。労働者の声を吸い上げ、ジェンダーを考慮した公正な復興を目指し、団結して共に頑張ろう」と力強く呼びかけた。

UNI Apro女性委員会構成の変更では、濱崎委員(UAゼンセン)の後任として寺嶋委員(UAゼンセン)の指名が確認された他、各地区の変更が確認された。

「女性のエンパワーメントのための取組み」では、アリス部長によるUNI Apro女性委員会活動報告の後、日本、シンガポール、フィリピン、インドから報告が行われた。景中UNI Apro女性委員会副議長(損保労連)は、男女平等参画推進アクションプランに沿った女性組合役員比率の達成に向けた取組みとして、女性版ユニオン・ミーティングの開催により女性組合員への意識啓発に取り組んでいる事例などを報告した。また、5月22日に開催されたUNI Apro女性委員会主催のメーデー/国際女性デー記念ウェビナーについて、森川UNI Apro女性委員会東アジア地区コーディネーターが報告した。同ウェビナーでは、日本から安藤UAゼンセン流通部門副事務局長がカスタマーハラスメントの取組みについて報告した。

「全ての人にとって安全な職場づくり」と題した議題では、福田UNI Apro女性委員(JP労組)が、コロナ禍でJP労組が会社と交渉し勝ち取った、特別休暇や見舞金、テレワークへの対応など組合員の新たな働き方や賃金を支える取組みについて報告した。

特別報告では、UNI Apro青年委員会活動、香港の状況に続き、初めてオンラインで開催されたUNI世界郵便・ロジスティクス部会大会に参加したロー・フイジュ委員(台湾CPWU)が報告を行った。今年3月に同労組で女性初の委員長に就任したロー委員は、UNI Apro女性委員から送られた多くの祝辞に改めて感謝した。

「職場における暴力」に関する議題では、オーストラリア、日本、バングラデシュ、マレーシア(サラワク)から報告が行われた。寺嶋UNI Apro女性委員(UAゼンセン)は、これまでの働きかけにより国でカスタマーハラスメント・ガイドラインの策定作業が進んでいること、更に、今年の労働条件闘争を通じた各単組でのカスタマーハラスメントに関する交渉成果を報告した。アリス・チャンUNI Apro女性委員会担当部長は、各国で展開されているILO190号条約批准キャンペーンにおいて、労働組合が運動を主導しガイドライン作りに参画していこうとメンバーを激励した。また、カスタマーハラスメントについて、日本やオーストラリアの加盟組織が進めている先進的な取組みに倣い、各国でも是非取り組んでほしいと呼びかけた。

次回日程については、来年の世界大会・世界女性大会によって左右されるため、両大会の日程や開催方法等が決まり次第、調整が行われることが説明された。


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