6月 2021のお知らせ

UNI Apro女性委員会:公正な未来の構築に向け、ジェンダーを超えた連帯呼びかけ

パンデミックの間、労働組合が雇用と労働者の安全を守るために邁進する中、UNI Apro女性委員会は、状況に甘んじることなく、すべての人にとって公正な未来をもたらすため、労働者は挑戦し続けるべきだと考えてきた。

この信念に突き動かされ、またUNI Apro女性メンバー間の既存ネットワーク及びコミュニケーション・チャンネルを強固なものにしてきた過去1年の経験から、UNI Apro女性委員会は、2021年5月22日にウェビナーを開催した。メーデーと国際女性デーを記念し、アジア太平洋地域の全域から加盟組織が集った。

このイベントは、アリス・チャンUNI Apro女性委員会担当部長、アンジャリ・ベデカー南アジア担当コーディネーター、ミシェル・ベリーノ東南アジア担当コーディネーター、森川容子東アジア担当コーディネーター(ウェビナー全体の司会も務めた)がコンセプトを練り上げて実現したものである。

ウェビナーは、今回のテーマ「より公正な未来の構築に向けてジェンダーを超えて連帯しよう」に沿って、東アジア、南アジア、東南アジア、太平洋地域と、全小地域の加盟組織から強力なスピーカーが勢揃いした。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長とベロニカ・メンデスUNI世界機会均等局長が、開会の挨拶を行った。冒頭の挨拶の中で、今回のパンデミック中に特に女性を苦しめた喫緊の課題について、概要が説明された。逼迫した資源と限られた制度面での能力が、女性の脆弱性をさらに悪化させることとなった。また挨拶では、今回のウェビナーが、女性メンバーの能力を紹介し、全ての女性に自信を持たせる上で最適な時期に開催されたことを歓迎した。

ミラ・スミラットUNI Apro女性委員会議長は、基調講演の中で、最前線で業務に従事する労働者やエッセンシャルワーカー、パンデミックで亡くなった人々に敬意を表すとともに、パンデミックによって引き起こされた地域の女性の喫緊の課題を聴衆に訴えた。とりわけ、大量解雇、精神的ストレス、家庭内暴力によって、何百万人もの女性が影響を被った。

Apro地域の女性は、各国政府が打ち出した不当な労働法や政策に対し、抵抗してきた。また、若い女性やLGBTIQの人々など、社会的弱者や脇に追いやられた人々を含めた団体交渉を通じ、ディーセントな労働条件を維持し、エッセンシャルワーカーの権利を守っていく必要性を声高に訴えた。

同様に重要な点は、香港、ミャンマー、そして最近ではパレスチナなど、平和的な集会や言論の自由が弾圧され、女性に悪影響が及んでいる地域の人々への連帯である。とりわけスミラット議長は、長年の不平等に取組んでいくためには、「ニューノーマル」が、すべての経済復興計画の中心に女性が含まれることを意味しなければならないと訴えた。

その後、ジュリア・アングリサノ・オーストラリア金融労組(FSU)書記長が、同国におけるリモートワークとつながらない権利にかかわる問題について、経験を共有した。多くのメンバーから要望の高いテーマであった。

インド郵便労組(FNPO)のレッカ支部書記次長は、同国の郵便労働者が、組合員、特に女性の郵便労働者のニーズに対応しながらも、一般市民へのサービスを維持するため、パンデミックによる諸課題に対処すべく奮闘している状況について熱く語った。

台湾の公共テレビ放送労組から参加したジャーナリストのパトリシア・ハン氏は、組合が実践する参加型のアプローチと、男女平等の促進に向けた実践手段について、生き生きした報告を行った。

オーストラリアのジュリア・フォックス店舗流通関連労組(SDA)書記次長(UNI世界女性委員会副議長)は、COVID-19や小売店従業員に対する暴力から労働者を守り安全な職場を確保したことや、パンデミック中の賃上げとエッセンシャルワーカーへの支払い獲得など、組合が勝ち取った主な成果を概説した。さらに、SDAが現在行っている調査など表立たない部分の活動についても紹介したが、これらはジェンダーの側面が強く、多くの加盟組織が関心を寄せる内容となった。

安藤賢太UAゼンセン流通部門副事務局長は、日本の現場スタッフを長年悩ませ、パンデミック時にさらに悪化した、悪質クレームに対するUAゼンセンの重要な模範的取組みについて、経験を共有した。

ジョシュ・グラホUNIフィリピン加盟協青年委員会副議長は、LGBTIQに対する偏見との闘いにおいて、労働組合がどのような役割を果たしうるか、取組みを共有した。LGBTIQに関する偏見への取組みは、最近UNI Apro女性委員会の活動にも組み込まれた課題である。

ウェビナーの最後に、アリス・チャンUNI Apro 女性委員会担当部長が、全てのスピーカーがダイナミックに意見交換したことを称賛するとともに、女性問題に焦点を当てるのは、国際女性デーの1日だけにすべきでないと訴えた。

現在、パンデミック前に得られた進歩が深刻な脅威にさらされており、さらに悪化する可能性もある。チャン担当部長は、UNI Apro女性委員会があらゆる形態の不公平と暴力に反対する立場であることを繰り返した。そのためには、あらゆる人の尊厳と権利を十分に守り、推し進めていくため、労働組合が女性の関心事をきちんと取り込んでいく必要がある。具体的な課題の1つとして、仕事の世界における暴力とハラスメントを包括的に扱うILO条約の批准キャンペーンを展開していくことが強調された。


UNI Aproは、国際産業別労働組合組織のアジア太平洋地域組織とともに、ミャンマーにおける暴力と抑圧を止めるため、より具体的な行動を求める

国際産業別労働組合組織(GUF)のアジア太平洋地域組織は5月下旬、2021年2月1日にミャンマー軍が衝撃的なクーデターによって政権を奪取して以来、軍事政権による広範な労働者の権利侵害を詳述した概況報告書を発表した。

ミャンマーの人々がこの不当な権力掌握に果敢に抵抗する様子を、世界中が目撃してきた。人々の間では、素晴らしい市民的不服従運動(CDM)が自然発生的に生まれた。官民双方の多くの労働者や労働組合員が、この運動を後押ししてきた。

しかし民衆の要求は、銃弾や軍隊による残忍な殴打でかわされたのである。

政治犯支援協会(AAPP)によると、この3ヶ月間で、5,000人以上の人々が逮捕または拘留され、少なくとも812人が軍によって殺害されたことが確認された。

国際社会や地域社会は、軍事政権の行動に否定的な反応を示してきた。ミャンマーが民主的な文民統治を回復することを求める声は、国連や他の様々な地域組織の間でたびたび繰り返されてきた。また、4月24日にはASEAN各国の首脳が集まり、暴力を終結させるための「ASEAN5項目合意」が採択されたことも知られている。

だが、さらに多くの民間人や活動家、労働組合員が政権の銃弾に倒れ、あるいは恣意的な容疑で逮捕される一方、ほとんど成果が見られないまま1カ月が過ぎた。

UNI Aproは、国際産業別労働組合組織(GUF)のアジア太平洋地域組織とともに、国際社会に対し、軍事政権による抑圧と暴力を即刻終結させるため、以下を要請する。

• ミャンマーにおける全ての労働者と労働組合員を支援すること。
• 国民統一政府を承認し、非合法の国家行政評議会とのいかなる外交関係および業務上の関係も断絶すること。

民主主義や人権、労働者の権利の尊重をミャンマーに根付かせよう!


人々をつなぎ未来を届ける―世界の郵便・ロジスティクス労組、世界大会で連帯

アマゾンキャンペーンに参加するJP労組の大会代議員

世界で200万人を超える郵便・ロジスティクス部門の労働者を代表する労働組合が、5月25~27日、UNI世界郵便・ロジスティクス部会大会に参集し、労働者の結束を高め、郵便サービスを強化していくことを誓った。コロナ禍のためオンラインで開催された世界大会には、60か国85労組の代表ら300人以上が出席した。

大会では、以下の4つの目標を含む今後4年間の戦略計画が採択された。

  1. 郵便の自由化・民営化と闘い、強力な公的郵便サービスを守ること
  2. 郵便サービスの多角化と、その強化のためのインセンティブを支援すること
  3. 環境にやさしく持続可能な産業を促進し、新たな技術やデジタル化に直面する中で雇用を守ること
  4. Eコマースが郵便・ロジスティクス部門を変える中、適正な賃金と労働条件を求めていくこと

増田UNI Apro郵便・ロジスティクス部会議長は、郵便サービスの多角化に関する日本やアジアの事例を挙げながら、多角化のプロセスに労働組合が関与する重要性を訴えた。

パンデミックで「郵便労働者はエッセンシャルワーカー」であることが証明された1年だったが、郵便部門では、技術革新の進展と相まって、郵便物量が激減し、小包の量が大幅に増加している。クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「新しい技術やデジタル化は、将来的にも郵便事業に影響を与えていく。未来を決定づけるこれらの重要な問題に取組むため、郵便労組は団体交渉の戦略を新技術に対応させていかなければならない」と訴えた。

大会代議員は、団体交渉の適用範囲の拡大、社会対話の重要性、組織化の推進、グローバル枠組み協定の締結交渉と実施の確保、多国籍企業のデューデリジェンス・プロセスを通じ郵便・ロジスティクス産業全体での労働条件改善に向けた戦略計画を支持した。

大会では、世界中で繰り広げられている、アマゾンの労働組合権確保の闘いを支援する動議が採択され、動議を提案した米国の郵便労組は、各国においてもアマゾン労働者組織化の取組みを支援するよう、重ねて加盟組織に呼びかけた。また、増田UNI Apro郵便・ロジスティクス部会議長は、ミャンマーにおける平和、民主主義、人権・労働組合権を擁護する声明の採択を、UNI Aproを代表して提起し、大会は満場一致で承認した。この他、コロンビア、パレスチナ・イスラエルにおける平和、民主主義、人権・労働組合権の確保を求める声明も採択された。

来賓として基調講演を行った、国際運輸労連(ITF)のノエル・コード内陸運輸部会部長は、多国籍企業に責任を負わせるためのUNIとITFの協力関係強化を訴えた。

本大会はもともとセネガル・ダカールで開催されることになっており、開会式では同国のヤクバ・ジャタラ・デジタル・経済・通信大臣からのメッセージが代読された。大臣は、郵便サービスの品質向上とサービス拡大に向けた共同戦略を策定する手段として、労使の社会対話の重要性を強調した。

また、国連の機関である万国郵便連合(UPU)のシバ・ソマスンドラム規制・市場政策部長は、郵便事業の成功は、郵便労働者をもっと評価し支援することにかかっていると強調し、そのためにUPUはUNIと緊密な連携を図っていると述べた。

この他にも、来賓として、ポスト・ヨーロッパのボトンド・ゼベニー事務局長及びUPU諮問委員会のウァルター・トレゼク議長が、Eコマースに関するセッションで見解を述べた。バーゼル大学のジャクリン・カルベルマター氏は、「郵便・ロジスティクス部門の雇用に対するデジタル化の影響」に関し、UNIが委託した研究結果を報告した。

最後に、今後4年間の意欲的な戦略計画を実行に移していく、UNI世界郵便・ロジスティクス部会委員会メンバーと役員が選出された。増田UNI Apro郵便・ロジスティクス部会議長が世界副議長に再選された他、新設された女性枠の第5副議長に、モザンビークSINTAC郵便労組のビクトリア・フェリスベルト氏が選出された。また、世界委員会に青年議席1席の追加が確認され、各地域が2年間の輪番制で青年代表を推薦することとなった。議長については、英国のデイブ・ウォードCWU書記長が再選された。ウォード議長は就任挨拶の中で、労働組合が、今後数年間の、労働者の雇用と権利、サービスを守るため、喫緊の課題に立ち向かう必要性と国際連帯の重要性をあらためて強調した。


グローバルユニオンとファッションブランド、「バングラデシュ・アコード」の3か月延長に合意

UNI、インダストリオール及び国際的なファッションブランドは、2021年5月31日に失効予定であったバングラデシュ・アコードの今後について5月30日、以下の共同声明を発表した。

グローバルユニオンと国際的ファッションブランドは、交渉を継続するため、2018年の移行協定を3か月延長することに合意する。

2018年に締結されたバングラデシュ・アコードの移行協定が5月31日に失効する前に、UNI、インダストリオール、及び大手ファッションブランドを代表する交渉委員会は、交渉継続のために2018年に結ばれた現行の協定を3か月延長する暫定的な合意に達したことを発表する。この暫定合意にも、個別ブランド企業による署名が必要である。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、この延長を歓迎して、次のように述べた。「この延長により、アコードを引き継ぐ協定を交渉する時間を確保することができた。既製服持続可能性評議会(RSC)の成功と信頼性を確保し、何百万人もの労働者にとって安全な職場を実現するためのメカニズムを整備しなければならない。」

バングラデシュ高等裁判所の判決によって、昨年、アコードの日常的な運営は、ブランド、工場所有者、国内外の労働組合から成る三者構成の組織のRSCに引き継がれていた。


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