4月 2021のお知らせ

メディア労働者のメンタルヘルス改善に向け、アジア太平洋放送連合(ABU)との連携を確認

2021年4月30日、UNI Aproメディア部会は、アジア太平洋放送連合(ABU)と第3回共同ウェビナーを開催した。コロナ禍において経済が悪化する中、メディア労働者のメンタルヘルスに与える影響や課題、組合の対応について、フィリピンおよびパキスタンのUNI加盟組合が報告を行った。

開会にあたり、ABUのナタリア・イリーバ事務局長室長は、日々コロナ禍に関するニュースを伝え続けているメディア労働者が抱えるストレスや不安については注目されにくいが、非常に重要な問題だと強調し、本ウェビナーでの議論に期待した。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、アジア地域での感染状況が悪化し危機が長期化する中、メディア、エンターテイメント産業で人員削減や解雇が増えており、多くの労働者が不安やストレスを抱えていると訴えた。こうした困難な状況にある組合員への支援は組合にとっても喫緊の課題であり、ウェビナー開催は時節を得たものだと歓迎した。

フィリピンABS-CBN労組及び放送労連(NABU)のジョン・ビラヌエバ委員長は、冒頭ドゥテルテ政権下で放送停止に追い込まれていた同国最大の民間放送ネットワークABS-CBNの閉鎖が2020年7月に議会で可決されたことを受け、直雇用だけで6000人の労働者が解雇され、コロナ禍と重なり再就職も難しい状況だと報告した。業界全体としても主な収入源だったイベント自粛などの影響により厳しい状況が続いている。リモートワークも行われているが、仕事をしながら子供の面倒を見なくてはならないという問題が生じている。シフトの見直し等により給与も低下しており経済的な不安も高まっている。こうした中、労働者のやる気の低下、失望感やストレスの増加が見られ、連帯意識の低下にもつながっている。組合としては、組合員にメンタルヘルスに関するウェビナーや研修に参加するよう呼びかけるとともに、労働者へのコロナ禍の影響について定期的に政労使の協議を行っている。

パキスタンPTV労組のサージャ・メフムッド氏は、南アジア諸国のメディア・エンターテイメント産業におけるコロナ禍のメンタルヘルスへの影響と諸課題について、最新の研究や調査を基に詳細に報告した。求められる労使の対応として、正しい情報への安価で平等なアクセス、NGO等専門的な知識を持つ団体との連携、SNSの積極的な活用による労働者同士のつながりの強化、アプリによるカウンセリングの実施、適切なガイドラインと防護具の支給、インターネット・プラットフォームを活用したニューノーマル時代の新しい働き方に関する研修の提供等を上げた。

閉会にあたり、中村UNI Aproメディア部会議長は、報告者の労を労い、ABUやUNI-MEIの協力に感謝するとともに、「コロナ禍の中、多くのメディア労働者は非常に不安な中で仕事をしている。各労組の粘り強い地道な取組みに敬意を表したい。今後も継続的に連絡を取り合い、この難局を共に乗り越えていこう」と更なる連携強化を呼びかけた。


国際労働災害犠牲者追悼日にあたって、UNI書記長メッセージ:命を落とした労働者を偲び、これ以上の犠牲者を出さないよう、変化を要求しよう!

新型コロナウィルス感染症が世界中にまん延する以前から、1日7,600人が業務上の病気や怪我で亡くなっていた。コロナ禍の間、UNI及びその加盟組織に代表される何百万ものエッセンシャルワーカー(必要不可欠業務に就く労働者)は、この致命的なウィルス感染の危険に晒されながら、コミュニティや家族の世話をしてきた。その多くは移民労働者、女性、有色人種である。不幸にも、無数の人々が命を落とした。

「今日、国際労働災害犠牲者追悼日にあたり、今はもう一緒にいない労働者を偲び、ご家族に哀悼の意を捧げたい。彼らは自らの命を危険に晒すとは思いもせず、社会が機能していくよう勇気をもって働いていたことに敬意を表したい」と、クリスティ・ホフマンUNI書記長は述べた。

世界中でウィルス感染のため亡くなった17,000人を超える介護労働者を偲びつつ、長期介護という仕事がパンデミックの前から、世界で最も危険な仕事の1つとされていることを認識しなければならない。多くの国で、介護施設で働くことが、鉱業、林業、警察等で働くのと同じくらい危険であるとは!

交通機関、病院、学校、事務所等を安全で清潔に保つために働き、犠牲となった清掃員や警備員にも哀悼の意を捧げる。英国では、コロナによる業務上の死亡において最も高い率を示したのが警備員だった。清掃員も同様の危険に直面している。米国の清掃員は、同僚の通夜で、「(私達の仕事の価値が認められるまで)あと何人、会社や政府のために死ななければならないのか」と涙した。

食料品店の労働者は、疲弊で倒れそうになりながら、コミュニティに食料が行き渡るようにしている。UFCW(全米食品商業労働組合)は、米国だけで、食料品店で働く178人が亡くなり、少なくとも39,900人が感染または危険に晒されたと報告する。職場委員でもあったカトリン・アニタ・メイソンは、ジャイアント・スーパーマーケット勤続42年、レジ係やベーカリー部門のマネジャーを務めたが、昨年コロナで亡くなった。

ブラジル、イタリア、スペイン、インド、その他、多くの国で銀行の支店は営業を続けた。銀行員は、職場で危険に晒され、感染したり亡くなったりしている。郵便労働者も、毎日、私達をつなぎ、配達をする中で、亡くなった人も多い。例えば、英国通信労組組合員だったボラ・オモエニは、郵便局勤続30年、同僚からも慕われていた。

コールセンターでも、多くの(他からは見えない)労働者が密な状態で機器を共有しながら、アップル、アマゾンといった世界で良く知られた最も儲かっている企業の顧客サービスに従事している。コロナ禍の間、コールセンター大手テレパフォーマンスは、フィリピンの労働者をデスクの脇で寝かせ、少なくとも1人がコロナで亡くなった。

だが、国際労働災害犠牲者追悼日はただ故人を偲ぶためだけの日ではない。行動を起こす日でもある。労働組合は、安全な仕事か危険な仕事かの違いをもたらすことができる。カナダ郵便労組は、個人用防護具を要求し勝ち取った。サービス労組は、有給病気休暇を交渉した。ポーランドでは、初めて介護施設労働者が組織された。これらは、労働者にとって不可欠な権利を勝ち取った点で大きな前進である。しかし、まだなすべきことは多い。

2021年の国際労働災害犠牲者追悼日(#IWMD21)に、私達は以下を要求する。

  • ILOは、労働安全衛生を基本的権利に指定すること。
  • 各国政府は、業務中に感染した労働者が支援を受けられるよう、新型コロナ感染症を業務上の疾病に区分すること。
  • 全ての労働者に、民主的に選ばれた労働安全衛生委員会を確保すること。そして労働組合も!

「コロナで何人が命を落とすかわからない。だがそのような犠牲は1人でたくさんだ」とホフマン書記長は憤り、「だからこそ、今闘わなければならない。今行動を起こさなければならない」と訴えた。


ANZ銀行CEO、ミャンマーにおける暴力行為を非難せず

「責任あるビジネスのためのミャンマーセンター」は、ミャンマーの軍事政権に抗議して闘う、市民の不服従運動(CDM)の民主化支持者を支援する書簡を起草した。書簡には、フェイスブック、アディダス、ネスレ、オーストラリアの石油会社ウッドサイド等、ミャンマーで事業を展開する多国籍企業20社が署名している。ところが、シェーン・エリオットANZ銀行CEOは、この書簡への署名を拒否している。

これに対し、オーストラリア金融労組(FSU)は、残忍な軍事独裁政権が国民の基本的人権を侵害し、暴力を行使するのを傍観しているとして、ANZ銀行を非難した。ニコル・マクファーソンFSUビクトリア州支部書記長は、ANZ銀行CEOに宛てた書簡の中で、ミャンマーの人々を支援し、倫理及び人権上の義務を守るよう求めている。FSUは、このANZ銀行の対応は、従業員、顧客、株主、あるいはオーストラリアや国際社会の期待に沿うものではなく、決して容認できないと繰り返した。

4月16日に行われた議会での質問において、エリオット氏は、連日ミャンマー全土で行われている命懸けの抗議活動を「速やかに解決するよう」求める書簡への署名を辞退したことについて、自らの立場を正当化した。オーストラリアの「The New Daily」紙によると、同氏は、署名をすることで東南アジア各国に駐在するANZ銀行員33人が危険に曝される可能性があるからだと主張した。

オーストラリア労働組合評議会(ACTU)は、同国政府がミャンマーも含む地域包括的経済連携協定(RCEP)を批准したことを非難し、モリソン政権は制裁措置を導入してこの残虐な独裁国家との関係を停止すべきであり、新たな貿易協定によって関係を深めるべきではないと強調している。


スマートパートナーシップの推進-イオンの労使構想

UNI Aproは、「スマートパートナーシップの推進-イオンの労使構想」を発行した。組合と会社を共に成長させ持続させていく、という重要な取組みにおいて、スマートパートナーシップ(建設的なパートナーシップ)の構築に尽力する、アジア太平洋地域の加盟組織の参考になるだろう。

2019年初頭、会社と労働組合を共に強化するためのスマートパートナーシップを促進する優良事例として、イオンのグローバル枠組み協定を取り上げ調査研究を行うことが委託された。

調査研究の構想は、国際的な競争課題に適応するためには、真の社会パートナーという概念と、真摯な対話に基づく建設的な労使関係モデルが不可欠であるという、UNI Aproの信念に端を発するものである。

メリッサ R.セラノ教授が執筆した。彼女はフィリピン大学ディリマン校の労使関係学部教授であり、労働の正義センター及び労働・草の根イニシアティブセンターの部長も務める。イオンが事業を行う6か国を訪問し、組合役員及び経営陣にインタビューを行い、情報を収集した。

約10か月かけてデータを収集し、まとめた暫定的な結果を、メリッサ教授は第5回UNI Apro地域大会で発表した。その調査結果は、「UNI Aproは、各国、小地域、地域でより包摂的でバランスの取れた持続可能な経済の構築に関する社会対話プロセスを維持し、産業界と政府を関与させるための指針として、『パートナーシップ労使関係』を推進してきた」とする動議の採択に貢献した。

学術的な緻密さと親しみやすさを兼ね備えた文体は、読者を、アジアでナンバーワンの多国籍小売大手イオンが、いかにして、その「人間を尊重する」という基本理念の一環としてスマートパートナーシップの概念を採用したのかを理解するための旅路へと誘う。スマートパートナーシップは、イオンが目まぐるしく変化し競争の激しい小売産業の中で有力な立場を確立し持続させることに寄与してきた。

カンボジア、中国、インドネシア、マレーシア、日本、ベトナムのイオン各店舗から引用された事例では、法律も文化も異なる国々で、どのようにスマートパートナーシップが実施されているかが、具体的実例を交えて描かれている。また、その概念を妨げる課題にも向き合おうとしている。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「この報告書は2020年6月にようやく完成した。コロナ禍で、関係者全員による検証が遅れてしまったためだ。しかし、これを皆さんと共有することができてとても嬉しい」と喜びを語った。「イオンの経営陣、組合役員、組合員一人ひとりが、スマートパートナーシップはうまくいくことを信じ、努力してきたおかげで、この成果をまとめた報告書ができた。皆さんには誇りを持ってほしい。」

アチャリャ地域書記長は、「この報告書はまず、パンデミックの間にエッセンシャルワーカーであることを示した商業部門の労働者に参考にしてほしいが、この概念は、商業部門を超えて、他の産業の加盟組織にとっても役立ち、価値があるものと確信している」と述べた。


UNI世界女性委員会、世界に広がる「女性への暴力」に抗議し連帯を訴える

2021年4月15日、UNI世界女性委員会が開催され、正委員、予備委員、オブ、スタッフ等47ヵ国95組織124人が出席した。UNI Aproからはジュリア・フォックスUNI世界女性委員会副議長(オーストラリア、SDA)、ミラ・スミラットUNI Apro女性委員会議長(インドネシア、ASPEK)、景中悠紀UNI Apro女性委員会副議長(日本、損保労連)が正委員として出席した他、日本からはUAゼンセン、全印刷、JP労組のUNI Apro女性委員及び各国際担当者がオブ出席した。

主な議題:

COVID-19 の女性労働者への影響

各国の委員から、コロナ禍が始まって約一年が経過した現在の女性労働者を取巻く状況と課題について報告が行われた。いずれの地域においても女性は最前線の業務に携わるエッセンシャルワーカーが多いため、失業のリスクが高く男性に比べ失業率が高いこと、リモートワークの比率も男性より低いこと、更にリモートワークできる人、できない人の二極化が進んでいることが報告された。

暴力に関する取組みでは、日本のUAゼンセンがカスタマー・ハラスメント対策を政府に働きかけ、予算を勝ち取ったことについても触れられた。また、ミャンマー軍事政権によるクーデターやアジア人ヘイト問題、アフリカ各国での紛争など、世界各地で政治的な紛争や人種差別等が起きており、女性への暴力の危険性が高まっていることにも懸念が示された。

景中UNI Apro女性委員会副議長(損保労連)は、金融業界を中心に日本の状況を報告した。日本全体としては非正規労働者の比率が高い女性が雇用面でより大きく影響を受けており、リモートワークの実施比率は男性正社員に偏っている。金融業界では、窓口や保険営業等の対面業務に女性が多く課題が残っているものの、労使協議によりリモート化への環境整備も整いつつある。

職場における暴力:ILO190号条約・206号勧告批准に関する進捗報告

ベロニカ・フェルナンデス・メンデス担当局長は、現時点での批准状況(ウルグアイ、フィジー、ナミビア、アルゼンチン、ソマリアの5ヵ国で批准済み、アジア地域ではサモア、フィリピンで批准プロセスが進行中。インドネシアでも労働省や議会に批准の必要性についてブリーフィングが行われた)について報告し、未批准国については政府への働きかけを強めるよう、加盟組織へ更なる取組みの推進を求めた。ジュリア・フォックスUNI世界女性委員会副議長(オーストラリアSDA)は、同国政府の元職員が議会内の閣僚執務室で同僚に性的暴行を受け、上司に報告したものの適切な対応が講じられなかったとの告発を受け、大規模なデモが行われたことを報告し、「職場における暴力」への関心が高まっている中、引き続き政府に同条約および勧告の批准を強く求めていきたいと述べた。

声明の採択

以下3つの声明案について事務局から説明があり、提案通り採択された。

  • トルコのイスタンブール条約脱退に反対する声明
  • アジア人ヘイトに反対する声明
  • COVID-19復興政策におけるジェンダー平等の主流化を求める声明

世界女性委員会規則に関する修正案

事務局より規則修正の経緯と目的、議長・副議長会議の設置やこれまでの慣行を盛り込んだ修正案について説明を受けた。UNI Aproからは景中女性委員会副議長が発言し、2022年の世界女性大会での採択までのプロセスを明らかにし、各地域での十分な議論の時間を確保するよう事務局に要請した。

UNI機会均等局:キャンペーンとプロジェクトに関する進捗報告

本部および地域担当部長より活動報告を受けた。UNI本部からはエッセンシャルワーカーに関するビデオ上映後、2013年から続いているメンタリングプログラムについて報告があった。これまでに49ヵ国で実施し現在700人が参加しており、今後3年間で33のワークショップが予定され、受講者は56ヵ国1240人まで伸びる予定だ。卒業生の10%が労組の幹部役員となっており、UNI世界執行委員を務めている者も多い。2010年の長崎世界大会以降「女性役員40%」を目標としてきたが、現在のUNI機構における女性役員比率は43.3%に上っている。

UNI Apro:国際女性デー、軍事政権下にあるミャンマーの労働者への連帯、アジア人ヘイト反対の各種キャンペーンや、労働法改正、女性への暴力等についての加盟組織の取組みが報告された。また、今後開催される会議(5月22日のUNI Apro女性委員会主催ウェビナー、7月8日のUNI Apro女性委員会)への参加が呼びかけられた。

アフリカ:コロナ禍における女性への暴力、労働安全衛生等に関する研修、セミナー、デモ等にSNSも活用して取り組んだ。

米州:国際女性デーに合わせILO190号条約批准についての政府への働きかけを他の組織と連携し各国で実施した。

欧州:コロナ禍のDV急増を受け、職場での暴力やハラスメントから女性労働者を守るため、部会横断的ガイドラインの作成に向けた2年間のプロジェクトを5月に開始予定。殆どの部会と社会パートナーが関与しており、この機にILO190号条約とその批准の必要性も訴えていく。加えて、男女間賃金格差の問題についても是正に向けたキャンペーンを予定している。


韓国イケア労働組合が初の団体協約を締結

韓国イケアの労働者は、過去11ヶ月間に、40回の交渉、140日間の争議行動、4日間のストライキを経て、イケアとの初の団体協約を締結し、労働条件、権利、賃金の改善を勝ち取った。

韓国イケア労組は、2020年2月に結成され、パンデミック中にもかかわらず組織化キャンペーンを成功させ、すぐに組合として承認を獲得した。

組合の闘争の結果、安定した労働時間、食事手当、病気休暇、組合費の支払い、休憩時間の要求、年次有給休暇、組合活動などに関する118の条項を含む協約が成立した。

チュン・ミンジョン韓国イケア労組委員長は「今日、イケアが2021年を『持続可能性の年』であると宣言したというニュースを耳にした。これは、会社が労働者を尊重し、仕事の価値を認め、労使の相互協力のために努力するということを意味する。」と述べた。

韓国イケアの労働者にとって、最も深刻な問題は、労働時間の短さと労働時間が保証されていないことだった。不規則なスケジュールと、刻々と変わるシフトのため、労働者は別の仕事を探すことができなかった。このような状況下では、労働者がワーク・ライフバランスを確立することは困難だった。

団体協約の定めにより、最低労働時間が設けられ、休憩時間が保証された。また、睡眠不足や過労を防ぐために、2つのシフトの間には12時間の休息をとることが基準として定められた。また、新たに設けられた有給の病気休暇の規定により、労働者は経済的安定と健康維持の選択を迫られる必要がなくなった。

チュン委員長は「今回の協約締結は、韓国イケア労組にとって、会社における結社の自由を確保する上で大きな弾みとなる。韓国のイケア労働者は、脅威や脅迫を受けることなく、労働組合権を享受できるようになるだろう。」と述べた。

マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「この画期的な団体協約を歓迎したい。今回の勝利が示しているのは、国際的な連帯を伴った献身的な組織化活動が発揮する力だ。我々はイケア・グローバル労組アライアンスにおける、韓国イケア労組との更なる連携を楽しみにしている」と祝福した。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「韓国イケア労働者の勝利が、数多の勝利の第一歩となることを期待したい。さらに多くの多国籍企業で多くの団体協約を締結すべく、今後も韓国の組合と連携していきたい。」と力を込めた。


バングラデシュ:グラミンテレコム労組の組合員、復職を命じる判決を勝ち取る

グラミンテレコム労組は、5か月前の2020年10月25日、グラミンテレコム経営陣によって、組合に事前の通知もなく、組合員99人が曖昧な理由で突然解雇されたことに大きな衝撃を受けた。

この衝撃的な行為に、UNIは即座に反応し、組合員及び組合役員の即時復職を求める強い連帯支援を行った。

沈黙の犠牲者となるわけにはいかないと、委員長、書記長、その他役員を含む38人の組合員が団結し、バングラデシュ最高裁判所の高等法院で不当解雇通知に異議を唱える訴訟を起こした。

幸い、高裁の裁判官は組合員の訴えを支持し、会社に組合員の復職を命じた。

しかし、会社側がこの命令に従わなかったため、高裁は、ノーベル賞受賞者のムハマド・ユヌス博士(グラミンテレコム会長)と、解雇を許可したアシュラフル・ハサン社長に対し、法廷侮辱を理由に3月16日に出廷するよう通告した。

経営トップ2人はその後出頭し、裁判所に謝罪すると共に、38人を再任したことを明らかにした。

最近4月4日に、別の28人の再任申立の弁論が高裁で行われ、同様に彼らに有利な判決が下された。

判決を喜ぶグラミンテレコム労組組合員

この不幸な出来事はほぼ終焉を迎え、当初解雇された従業員の半数以上が再任されることになった。一方、32人は解雇を受け入れ、姉妹会社のグラミン物流に入社した。グラミンテレコム労組は今後、同社のサービスを頼りにしているバングラデシュ国民により良いサービスを提供するために、より強い組合を再建し、経営陣との関係を修復していけるよう期待している。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、この朗報に喜び、「グラミンテレコム労組を誇りに思う」と称えた。「彼らは、この不正と闘う中で、不屈の精神を持ち続け、逆境を跳ね返す力と連帯感を示した。今後の活躍を期待している。」


UNI-LCJ印刷・パッケージング部会春闘情報交換会

毎年4月にUNI-LCJ印刷・パッケージング部会は春闘情報交換会を開催している。昨年はコロナ禍のため開催できなかった。1年ぶりとなる2021年4月13日、全印刷、印刷労連、大日本印刷労組が出席し、オンラインで開催された。

梅原議長は、限られた時間だが有意義な意見交換ができることを期待した。

まず各組織から今年の賃金・労働条件の交渉状況について概要の説明があった。

続いて、小川UNI Apro印刷・パッケージング部会担当部長が、2021年の主な活動について、特に9月に予定されているUNI Apro印刷・パッケージング部会大会までの準備について説明し、加盟組織へ協力を要請した。

最後に、上田UNI-LCJ事務局次長が、UNI-LCJや、UNI本部、UNI Apro主催の各種オンライン会議の計画について紹介し、若年層や女性の積極的な参加を奨励した。


「ベッセマー効果」は、既にアマゾンと世界を変えている(UNIは米アマゾンの違法な妨害による投票結果に異議を唱える)

2021年4月9日、米国連邦政府は、アマゾンのアラバマ州ベッセマー物流倉庫での組合投票の結果を発表した。

UNI加盟の「小売・卸売・百貨店労組(RWDSU, Retail, Wholesale, and Department Store Union)」は、同社の組合結成に関し、過半数の賛成票を獲得することはできなかった。しかし、RWDSUは、アマゾンによるこの投票を汚すような行為に関し、包括的な調査を行うことを要求する声明を発表、アマゾンのひどい組合潰しを告発する意向を表明した。米国の法律では、雇用主は、労働組合が従業員の過半数の組合員を獲得しない限り、組合を承認する必要はないとされている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、声明を発表し、アマゾン労働者及びRWDSUへの支持を表明した。

「BAmazonキャンペーンは世界中の注目を集め、私たちの希望を膨らませ、決意を強めてくれた。今回の投票で、アマゾンの悪質な行為が明らかになり、これまでになかったような責任を追及する動きが生まれた。

予想通り、アマゾンは残忍な反組合キャンペーンを展開した。物流倉庫に”組合潰し隊”を雇って送り込み、施設の外の交通パターンを変え、労働者と組合活動家との交流を困難にしたと言われている。違法行為が疑われるものとしては、投票用紙を投函する謎(偽)の郵便箱を設置し、何百人もの労働者の投票を無効にしようとした。また、RWDSUに関する偽りのメッセージを労働者に浴びせ、労働者は会社のトイレでさえも安心できなかった。

アマゾンの攻撃性と罪の意識の無さは、米国の労働法が壊れていることを改めて示している。これほどまでに労働者に不利な制度は、先進国では他に類を見ない。米国の労働者は、拷問のような有害な環境に耐えなければならず、選挙の際には自由な議論さえできなくなっている。

しかし、”ベッセマー効果”は、既に物流倉庫の壁を越えて波及しており、その影響は計り知れない。

”ベッセマー効果”は、ミャンマー、ミュンヘン、モンテビデオの労働者の行動を鼓舞し、労働の現在に衝撃を与えている。この投票が行われている間に、ドイツとイタリアにおいてストライキが実施され、英国においては、アマゾン労働者を対象とした大規模な新しい取組みが開始された。今後も、労働組合は、職場で声を上げ、尊厳ある仕事を求める労働者に希望を与え続ける。

アラバマ州のBHM1の従業員、そしてすべてのアマゾン労働者は、頭を上げ、勝利を確信すべきである。共に闘えば、勝利は必ず起こる!」


フィンランドのテック産業使用者団体、産別交渉弱体化の動き

フィンランドのテック産業使用者団体、テクノロジー・インダストリーズは、2021年4月初旬、団体交渉における大幅な変更を発表した。この一方的な決定は、何十年にも渡り安定した国際競争力のある労働市場を提供してきた産別団体交渉制度に広範な影響を与えるものである。

今後、ノキア、グーグル、アクセンチュア、富士通、マイクロソフト等、同団体の加盟企業は、団体が行う中央交渉に参加するか、個別に団体協約を交渉するかを選択できるようになる。

「産別団体交渉は、経済の回復力を高め、繁栄を共有するために有効であることがわかっている。パンデミックに襲われ、経済が大打撃を受け、フィンランドでも所得格差が忍び寄る今は、使用者がこの極めて重要な合意形成の場を破壊する時ではない。使用者のこの非常に無責任な動きは、フィンランドのテック産業を有名にしてきたシステムを大きく傷つけるものだ」とオリバー・レティクUNI欧州地域書記長は憤る。

産別団体交渉制度は、企業間の競争に公平な競争条件を保証するものだ。つまり企業は、標準以下の低賃金や法律の弱体化で競争するのではなく、イノベーション、スタッフのスキルや競争力への投資、競争力のある福利厚生で競争することを保証する。テクノロジー・インダストリーズと、製造労組、専門職労組、専門職・管理職労連等によって交渉される産別団体協約は、何十万もの従業員を対象としている。

テクノロジー・インダストリーズの今回の発表と、昨年のフィンランド森林産業使用者団体の同様な発表は、何十年にも渡り行われてきた労使間の対等な交渉を台無しにする憂慮すべき傾向を示している。フィンランドの産別団体交渉制度に対する、周到に準備した全面的な攻撃であるともみられ、労働者をより弱い交渉の立場に追い込もうとする試みである。これは、「団体交渉は、政策立案者や市民が最も関心を寄せる、雇用、賃金、格差、生産性等の政策目標にとって重要である」と認識するOECDの助言に反するものである。

「強力な団体交渉のおかげで、フィンランドの所得格差は他の国に比べれば小さい。しかし、格差は拡大しており、今回の攻撃は、フィンランドの不安定化を促す原動力の中核となる。欧州全体に壊滅的な波及効果をもたらす可能性もある。今こそ、この乱用を止め、団体交渉を守るために立ち上がる時だ」とレティクUNI欧州地域書記長は主張した。


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