3月 2021のお知らせ

アジア太平洋放送連合(ABU)と連携した平等促進の取組み

2021年3月26日、UNI Aproメディア部会はアジア太平洋放送連合(ABU)と第2回共同ウェビナーを開催した。視聴覚部門におけるジェンダー平等推進をテーマに、ジェンダー平等に向けた取組計画、目標、活動、実施状況、モニタリングに焦点を当てた。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、開会挨拶の中で、組織におけるジェンダー平等、多様性、包摂性の重要性を強調した。「ABUとUNI Aproメディア部会の協力を通じて、放送産業と働く人々の状況をよくするための強みと素晴らしい機会が与えられた。多くの点で、我々は同じような関心を持ち、共通の目標に向かって協力することができる。」

ABUのメディアにおけるジェンダー・多様性専門家のクリッシー・タッカー氏は、ABU・ユネスコ(国連教育科学文化機関)の、ジェンダー・多様性・包摂計画プロジェクト(2021~2023年)を説明し、ベトナム、フィジー、バヌアツの興味深い事例を紹介した。

UNI世界メディア部会のハンナ・ハービマ担当は、ジェンダー平等と多様性を推進しているUNIメディア部会加盟組織の好事例を共有した。

台湾公共テレビ労組(TPTSEU)のハミルトン・チェン氏は、組合の参加型アプローチ及び台湾の雇用機会におけるジェンダー平等促進に向けて取られた現実的なステップを紹介した。

閉会にあたり、ABUのナタリア・イリーバ事務局長室長は、UNI Aproメディア部会の協力に感謝すると共に、メンタルヘルスをテーマに4月に開催予定の第3回共同ウェビナーへの参加を奨励した。


欧州議会、人権デューデリジェンスの義務化に向けて強いシグナル発信

欧州議会は2021年3月10日、ララ・ウォルターズ欧州議会議員による企業のデューデリジェンス及び説明責任に関する法制化に向けた自発的な報告書を採択した。

この報告書が賛成多数で採択されたことは、欧州委員会による人権デューデリジェンス義務化の導入に対する欧州議会の支持を示す、強いシグナルを出している。報告書では、欧州議会が今後の法案に期待する重要な要素も強調されている。

この報告書では、特に結社の自由と団体交渉の権利の重要性並びに、デューデリジェンス戦略の確立と実施にあたり、各国、EU、そして国際レベルで、労働組合と労働者代表が関与する必要性が認識されている点が非常に重要である。

欧州議会による今回の強力な支持表明は、EUにおける効果的な人権デューデリジェンスの義務化に向けた機運を後押しするものとなる。この問題の進展は、長年の懸案であった。企業の自主性に任せた人権擁護対策が失敗するのを、世界中で何度も見てきたからだ。

人権デューデリジェンスの義務化は、世界中で危機に陥っている結社の自由と団体交渉の権利が尊重されるよう取組む上で、特に求められている。ヘルスケア大手のフレゼニウスからコンタクトセンター大手テレパフォーマンスに至るまで、サービス産業全域で欧州企業がこうした基本的権利を弱体化させているのを我々は目の当たりにしてきた。

こうした人権上の必要性を満たすため、欧州委員会の取組みは、議会からのシグナルを踏まえたものであることが極めて重要だ。欧州委員会の公開協議の中では、欧州全域及び世界中のサービス産業の組合から、デューデリジェンスの必要性を強調した明確な事例が挙げられ、これを支持する声が数多く寄せられた。

このことから、多国籍企業から中小企業、公的部門の組織、スポーツ団体等、非営利団体として登録されている組織に至るまで、法的形態にかかわらず、EU域内で事業展開するあらゆる企業を対象としたEUの取組みが切実に求められているのが分かる。

UNIは、特に以下の点について取組みの必要性を強調する。

  1. 団体交渉の権利と結社の自由を強調すること。これらは、労働者がより広く自らの人権を守れるようにするための基本的な権利である。これに関して企業の進捗状況を測るため、団体協約の対象となる労働者の割合について報告を義務付け、これら基本的権利に関する企業のデューデリジェンスの成果を示させるべきである。
  2. デューデリジェンスのプロセス全体を通して、企業に対し、職場、国、欧州、国際レベルで、労働組合の意義ある関与を義務付けること。プロセスを交渉する権利、リスクの所在の明確化、リスク軽減措置に有意義に関与する権利も含まれる。
  3. デューデリジェンスが事業戦略の中核に位置付けられること。企業の人権デューデリジェンスの策定と実施を継続的に監督する責任を担う特定の取締役を任命する、監査委員会の監督を受ける、デューデリジェンスを年次総会の議題とする等。

UNI世界郵便・ロジスティクス部会委員会、大会準備を議論

2021年3月24日、UNI世界郵便・ロジスティクス部会委員会が開催された。UNI Aproからは増田UNI Apro郵便・ロジスティクス部会議長、スビンダー・シン副議長(シンガポール郵電労組)、ムラリダラン副議長(インドNUGDS)が出席した。

前半は、前回委員会以降の報告が行われた。

米州

ジム・ソーバー委員(米国)は次のように報告し、世界中から寄せられた国際連帯に感謝した。「パンデミックによって経済も生活も大きく変わったが、郵便サービスの重要性は変わらないことが世界各国で示された。米国の労働運動も、前政権における過去の大きな過ちを乗り越えられるよう、経済だけでなく政治的にも尽力してきた。投票の5割以上が郵便投票によるものだった。 我々郵便労組は組合員のためだけでなく社会全体のために闘った。 郵便事業は、民主主義を守る上で重要な役割を果たすことができ、誇りに思っている。一方、専制主義が台頭し、世界のどこを見ても民主主義が脅威に晒されている。」また、UNIが主導しているアマゾンにおける組織化キャンペーンの一環で、アラバマ州の物流センターで間もなく勝利を収められそうであることにも触れ、「バイデン大統領も、労働組合をサポートする強いメッセージを出した。アマゾン労組が国境を越えてオンラインで情報交換・経験交流を行うことは可能だ」と述べ、UNIの主導的役割に感謝した。この他、ゴンザレスUNI米州郵便・ロジスティクス部会担当部長は、ブラジル、エルサルバドル、ペルー等における組織化支援、安全対策、ワクチン接種に関する使用者との交渉支援について報告した。またブラジルをはじめとする民営化の動きに反対する取組みを継続している。

アジア太平洋

小川UNI Apro郵便・ロジスティクス部会担当部長は、11月に開催された初のオンラインでのAPPUとの共同セミナーや、12月のオンラインでのAPPUとの協力覚書更新等、APPUと良好な関係を維持していることを報告した。連帯支援として、パキスタンの5つの郵便労組からの要請を受け、パキスタン郵政との交渉を円滑に推進するため通信大臣に仲介を要請する書簡を送ったことも共有した。

アフリカ

イノセントUNIアフリカ郵便・ロジスティクス部会担当部長は、DHL労組アライアンスの発展について報告した。2019年、10ヵ国の参加で発足し、今は24ヵ国の参加へと拡大した。世界的なアライアンスへと発展したことを追い風に、アフリカ諸国のDHLでも団体協約の締結に成功している。また、世界の仲間から連帯支援を受け、モロッコ郵便の労働者は賃上げ交渉に成功した。世界の仲間からの支援に感謝した。

欧州及び世界

ディミトリスUNI欧州郵便・ロジスティクス部会担当部長(世界担当局長代行兼任)は、UPUとの協力覚書の更新に取組んでいることを報告した。この他、DHLに関して、世界的な組織化キャンペーンを展開すること、去年中止となったITFと共同の国際デリバリー部門会議を今年はオンラインで実現させたい等の計画についても触れた。

欧州では郵便指令の影響に関する研究を予定している。この報告書がまとまれば、市民社会団体や他の組合、Post Europeとも連携してキャンペーンを再開させる。しかし指令の改訂に関しては、Post Europeと立場が違う中でどこまで譲歩できるか、社会対話委員会を通じて交渉の進展を注視している。ブレグジットによる影響は英国だけでなく欧州にも及んでいる。欧州労使協議会において英国代表をそのまま留め置くか否かの議論が行われている。

後半は5月の部会大会の準備について意見調整を行った。郵便・ロジスティクス部会は、世界大会をオンラインで開催する初めての部会となる。UNI内でも経験がなく、最大14時間の時差がある加盟組織が参加しやすい有意義な会議とするために、事務局も最大限の工夫を検討しているところである。増田UNI Apro郵便・ロジスティクス部会議長は、東アジアにとっては深夜に及ぶ時間帯に配慮し、UNI Aproと他地域を分けて議論の場を持つプログラム案を提案した事務局の配慮に感謝しつつも、「世界大会は全地域の加盟組織が他地域の情報や経験を共有する貴重な機会だ」と強調し、同じ時間帯にプログラムを組むよう意見を述べた。また、提案された女性フォーラム設立動議案と、青年代表枠を追加する動議案については、UNI Apro内で検討する時間がなかった点を指摘し、十分な議論を経た上での確認を要請した。他の委員からも、動議について、不明確な点を改善し、より具体的な方策を盛り込むよう意見が出された。事務局はこれらの意見に基づき、改正案をまとめ、議長・各地域議長とあらためて協議することとした。


ミャンマー軍事政権の代理人に金融制裁を科すべきだ

国際労働組合総連合(ITUC)と金融部門の労働者を代表するUNIは、3月19日、既に金融制裁の対象となっているクーデター指導者が彼らを代理人として利用することを避けるために、ミャンマー軍事政権と密接な関係を持つ金融制裁の対象とすべき23人の名前を公表した。

シャラン・バローITUC書記長は、「これら23人の人々は、米国やその他の国が科した金融制裁を逃れるために将軍達に利用されている。彼らもまた、制裁から逃れさせないために厳しい制裁を受けるべきである。政府には行動する責任があり、銀行やクレジットカード会社を含むその他の金融グループは、政権を支配する残忍な悪党への信用供与や資金のアクセスを遮断すべきである。また、SWIFTなどの決済サービスに対しても、クーデター指導者たちとその関係者との間の支払いを遮断するよう求めている。軍による罪のない人々の殺害や国家の略奪に、企業が加担することは許されない」と述べた。

行動する責任

また世界の組合組織は、ミャワディ銀行、インワ銀行、ミャンマー市民銀行、建設住宅インフラ開発(CHID)銀行等、軍政権が支配している、或いは一部支配している銀行との関係を断つよう、銀行に呼びかけている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は次のように述べた。「ミャンマーの軍事政権によって殺害された若者や平和的な抗議者の数が増えるにつれ、銀行を含むミャンマーと関係のある全ての企業が、この受け入れがたい暴力を終わらせるための責任を取ることがより一層必要となっている。軍トップの将軍達に対する金融制裁は重要な一歩だが、これだけでは不十分である。我々は、権力中枢のクーデターのリーダー、そしてその暴力から利益を得ようとしている人たちの資金やクレジットへのアクセスを遮断しなければならない。」


UNIと欧州保険業界使用者団体、人工知能(AI)の責任ある利用に取組む共同宣言に署名

2021年3月16日、UNI欧州金融部会は、欧州の保険業界使用者団体である欧州保険協会、BIPAR(国際保険募集人連盟)及びAMICE(ヨーロッパ協同組合・相互保険者協会)と、人工知能(AI)に関する共同宣言に署名し、AIについて業界全体で責任ある倫理的な運用に取組んでいくことに合意した。
本宣言では、AIは人間の能力に取って代わるものではなく、人間の能力を強化するために設計・使用されるべきであり、AIシステムの運用に際しては「人間による制御」の原則に従わなければならないとしている。
署名者は、AIが労働条件の改善や生産性の向上に資することを認識する一方、従業員がAIによって不当な偏見や差別に晒されてはならない点に同意している。
アンジェロ・デクリストUNI世界金融部会担当局長は「当然ながら労働者は、AIが職業生活に侵入してくる可能性について懸念している。この宣言は、責任あるAIに関する一連の原則を確立するものであり、労働者及び雇用を守るだけでなく、労働者がAIの非倫理的使用を求められないようにするものだ」と指摘した。
共同宣言は、バリューチェーン全体における「ピープルプラン(人材開発・人事評価制度)」におけるAIの責任ある運用に初めて言及したものだ。
マイケル・ブドルフセンUNI欧州金融部会議長は、「責任ある方法でAIが開発・運用されることは、保険業界の従業員の労働条件や企業の長期的競争力にとって極めて重要だ。業界全体が、AIの使用条件について労働組合と協力して交渉を行うことを奨励する。例えば、従業員のスキルニーズをマッピングし、キャリアパスやトレーニングの可能性を切り拓くためのAI利用などが挙げられる。」と語る。
また共同宣言では、AIによるデータ使用や処理を行う場合も含め、透明性に関する規則を遵守する重要性が強調されている。
クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「この共同宣言は、職場におけるAI使用に関し、組合及び企業が直面している多くの課題に言及した歓迎すべき声明である。この宣言は、労働組合には新たなテクノロジーから成果を得る能力があることを認めるとともに、採用プロセスやアルゴリズム管理にAIを使用した際に偏見が生じる危険性など、その他の重要な分野についても社会パートナーとの議論が必要であると認識するものだ。前向きで明るい進展だ」と喜んだ。
共同宣言は、18か月におよぶ交渉を経て合意され、欧州保険部門社会対話会議において、欧州委員会の立会いのもと、署名された。
今後も欧州保険業界における社会パートナーは、雇用に関するAI使用の発達と、保険業の従業員や企業への社会的影響について引き続き注視し、議論していくことになる。


アジア人へのヘイトを止めるよう、UNI Apro女性委員会が強い呼びかけ

昨今のアジア人に対するヘイトの高まりは、政府、使用者、労働者、コミュニティが変化を起こす必要性を浮き彫りにしてきた。

人種差別に基づくアジア人への暴力は、パンデミック中に急増した。

コロナ禍に対応すべく、世界中でアジア人がエッセンシャルワーカーとして第一線で働いてきた事実をよそに、アジア人の人間性が体系的に奪われた結果、恐ろしい状況がもたらされ、アジア人は見えざる存在となってしまった。

アリス・チャンUNI Apro機会均等担当部長は「このようなヘイト行為に対し、アクションを起こす必要がある。こうした状況は、女性、特に有色人種の女性が生きていく中で直面する危険を、容赦なく思い起こさせるものだ」と訴える。

言葉の重みは無視できない―不快で冒涜的、人種差別的な言葉の使用を許してはならない!

ミラ・スミラットUNI Apro女性委員会議長は、暴力や人種差別、ヘイトに終止符を打つべく連帯を求め、「誰かが抑圧されている状況は、我々みなが抑圧されているのと同じ事。我々は立ち上がり、団結しなければならない。アジア人へのヘイトを止めよ!」と語気を強めた。

ジュリア・フォックスUNI世界女性委員会副議長は「我々は人種差別の終結を望んでいる。女性の声を聞き、実際の政策や政治に反映させなければならない。変化を生み出す必要がある」と強調した。

さまざまなコミュニティにおけるあらゆる種類のヘイト、暴力、そしてあらゆる形態の体系的人種差別に反対する意識を高めるため、UNI Apro女性委員会は、自らの立場を堅持する。

UNI Aproの女性は、団結して強くなろう!


UNI Apro 東アジア金融労組フォーラム結成準備会合を開催

2021年3月23日(日本時間16:00~18:00)、日本(7組織・16名)、韓国(2組織・5名)、台湾(1組織・1名)、その他(UNI Apro2名、事務局4名)から計28名が出席し、「UNI Apro 東アジア金融労組フォーラム結成準備会合」が開催された。
本準備会合は、2021年10月、日本、韓国、台湾の金融労組が一堂に会して各国の金融部門及び労働者の現状と課題について議論する「第1回UNI Apro東アジア金融労組フォーラム」開催に先立ち、その設立意義や各組織の課題認識を共有する場として開催された。

開会にあたり、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「コロナ禍の中、アジア太平洋地域の労働者は、深刻な課題に直面している。更に憂慮すべきことに、アジアにおいては、対話と民主主義の余地が縮小している。今回、東アジアの3ヶ国が一堂に会し、それぞれから重要な課題提起がなされ、活発な議論の場となることを期待する。」と述べた。

境田道正UNI Apro金融部会議長(損保労連中央執行委員長)は、「新規加盟の台湾TFFUを歓迎する。金融業界は、今ビジネスモデルの変革期にある。リモートワークの増加、つながらない権利など新たな課題の発生など多岐にわたる。労働組合の国際連帯の重要性は高まっており、私たちはこの危機を共に連帯し、乗り越えていきたい。」と述べた。

ジャヤスリ・プリヤラルUNI Apro金融部会担当部長は、「先人たちの不断の努力によって、UNI Apro金融部会は、活動に主体的に取組んできた。今回、台湾TFFUの加盟により東アジアに新たなグループが結成されることとなった。UNI Apro金融部会の大きな活力となることを期待している。」と述べた。

開会挨拶の後、各組織からそれぞれ、取り巻く環境と課題認識が発表され、質疑応答では、発表内容を深堀する活発な意見交換が行われた。

閉会にあたり、境田議長より、本準備会合のまとめとして、10月の第1回フォーラムに関しては、4つの視点(①デジタル化とFin Tech、②気候変動とESG経営に対する組合活動、③コロナ禍の新たな働き方への対応、④コロナ禍の労働運動・組織化)を持ってフォーラム議題を調整していくことを確認し、会合を締めくくった。


UNI、パキスタンでの組合潰しを止めるようメトロ社に要求

UNI世界商業部会は、メトロハビブ従業員組合のタヒール・メフムード書記長の不当解雇を受け、パキスタンのメトロAG店舗での組合潰しに反対する世界的な連帯キャンペーンを呼びかけている。

UNI世界商業部会は、労働組合、労働者、労働・人権活動家、そして社会正義に関心を持つ世界のあらゆる人々に対し、メフムード書記長の復職をメトロに求めるウェブサイト「レイバー・スタート」でのオンライン請願書への署名を求めている。

また、ドイツに本社を置くハイパーマーケット・チェーン・メトロ社が提唱する「Time for a New Togetherness(新たな一体感を創り出す時)」の取組みを揶揄し、「パキスタンではどうなっている?」と問いかける連帯バナーを持って写真を撮り、ハッシュタグ「#NEWGETHER」を付けてソーシャルメディアに投稿することを呼びかけている。

タヒール・メフムード書記長は、2021年2月、2017年の欠勤を理由に解雇された。また、現職の組合役員の半数近くが、職場や雇用形態の変更、解雇等の警告や通告を受けて会社の標的となっている。

一時期、会社にはUNI加盟ではない第二組合が存在しており、メトロ経営陣は、その第二組合リーダーを解雇し、同組合との団体協約を拒否していた。

2018年、団体交渉権(CBA)のある組合を特定するための投票が行われ、2019年、UNI加盟組織であるメトロハビブ従業員組合がCBAを持つ代表組合として認定された。しかし、団体交渉が始まり、メトロ社労使は、2020年5月までに延べ15回の交渉(5分で終了したものも含め)を行ったが、パキスタン・メトロ社経営陣が誠実に交渉を行わず、組合側からのほぼ全ての公正な要求を拒否したため、団体協約締結には至らなかった。

マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「我々がコロナ禍による厳しい状況下で労使紛争の解決についてメトロ・グローバル経営陣と協議している間、パキスタンの現地経営陣は、組織的な組合潰しキャンペーンを推し進めた」とし、「労使が団体交渉を行うべき時に、書記長をはじめ組合幹部の不当解雇が行われたという事実は、言語道断であり、世界の労使関係のあらゆる規範と好事例に反するものだ」と憤った。

組合幹部の一人であるサイード・アフマッドは業績不振を理由に解雇されたが、他にも同社の非人道的な評価制度の下、職を失う危機に直面している組合幹部が複数名いる。

更に同局長は「業績成果基準ではなく、管理者の主観的な判断のみに基づく評価制度を想像してみてほしい。労働者は基準を完全に満たすことを期待され、2年連続の目標未達者は、業績不振を理由に解雇される恐れがある。並外れた仕事ぶりで目標以上の業績を達成したとしても、過去12ヶ月間に一方的な警告を受けていれば、労働者は成績不良を理由に解雇される可能性があるのだ」と指摘する。

「まるで地獄のような話だが、これは実際にパキスタン・メトログループが労働者、特に組合幹部や労働運動家を脅迫するために運用している業績評価制度だ。パキスタン・メトロの労働者が公正な団体協約、ディーセントな権利、適切な雇用保障を受けるべきもう一つの理由は、ここにある。」

クリスティ・ホフマンUNI書記長は「組合指導者や労働者に対するメトロ・パキスタンの酷い扱いは全く容認できず、本社のあるドイツにおいては、決して許されないものだ。メトロがタヒールを復職させず、組合潰しをやめず、団体協約の締結を目指して組合と真摯に団体交渉を行わない場合、我々はあらゆる機会を使ってさらなる行動を起こす」と語気を強めた。

UNIは現在、パキスタンの現地パートナーの支援のもと、パキスタンのメトロで脅迫や嫌がらせに関する他の事例について調査中であり、今後、報告書をまとめて発表する予定だ。

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コロナ禍の1年を振り返る

WHOが新型コロナウィルスの感染について「世界的大流行(パンデミック)」であると宣言して1年となる3月11日、労働組合は、これがいかに仕事の世界を変えてきたか振り返った。

この重要な節目は、労働者が勝ち取ったものを思い起こす機会であるだけでなく、失ったものを悼む時でもある。同時に、危機によって引き起こされた諸課題に立ち向かうため、次に何をすべきかを考察する時でもある。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は次のように述べた。「パンデミックによって、世界経済の格差が明るみに出て、一大変革の必要性を露呈させた。ポーランドの老人ホーム、ペルーのスーパーマーケット、フィリピンのコールセンター、そして世界的なテック企業の本社等、世界中の労働者が、ますます集中する企業の権力に対抗しようと結集している。労働者を組織化するのは、コロナ禍で何百万もの労働者に想像を絶する悲劇をもたらしたのと同じ不正が、パンデミックからの復興過程で繰り返されないようにするためだ。」

UNIは2020年、打撃を受けた介護部門の徹底的な見直しを要求し、アマゾン等の企業による権力の濫用に抵抗し、団体交渉を通じて経済のバランスを取り戻すため、世界中で労働組合の動員を後押ししてきた。

UNIは、介護、小売、郵便・ロジスティクス、そしてコールセンター等の部門において、パンデミック中により安全に仕事をするための指針を提示した。メディア及びスポーツ部門でも、安全に仕事を再開させるための詳細な職場復帰手続きについて、組合の交渉を支援した。印刷及び金融部門では、優良事例の収集と社会対話を通じ、加盟組織を支援した。

また、多国籍企業の使用者と連携し、世界中の労働者のために安全基準を設定した。2月には、パンデミックの影響で加速しているリモートワークに関し、団体交渉の指針を発表した。

UNIは、加盟組織と共に、エッセンシャルワーカーのための不可欠な権利を要求した。危機の最初の年に、第一線で働く労働者は、コミュニティに食料が行き渡るようにし、安全で清潔な環境を保つために働き続けた。しかし彼らの仕事の多くは低賃金で、過小評価され、見過ごされてきた。

例えば、個人用防護具の支給を拒否された後に、組織化を行ったトルコのスーパーマーケット労働者は、「安全だとは思わないが、働く以外の選択肢はない」と打ち明けた。

ガーナの介護労働者も変化を求めている。ある助産師は、「特に今、支えてくれる組合が必要だ。仕事はますます厳しくなっている。介護をしながら、同時に使用者と絶えず労働条件交渉を行うことはできない。組合はそんな私達を支えてくれている」と述べた。

ネパールの警備労働者も、権利を尊重してほしいと願っている。ある警備員は「パンデミックの間も、全力でコミュニティを守ってきた。だから私達にも配慮してほしい。私達の仕事にも尊厳がある。私達にも組合に入る権利が必要だ」と訴えた。

ホフマンUNI書記長は、「このパンデミックの間、組合は世の中のためになる力として広く認識されるようになった。組合は、職場で感染拡大防止に尽力し、組合員が安定した収入を維持できるよう闘い、リモートワークのための公正な条件を交渉した。最近では、誰でも平等にワクチンを接種できるよう声を上げている」と述べた。

だが、道のりはまだ長い。

ポーランドの介護労働者は、パンデミック宣言から1年が経とうとする中、「疲労困憊だが満足している」と明かした。「自分の中に、前進していくための新たなエネルギーを見つけた。みんなで力を合わせて取組めば、パンデミックはいつか収束するだろう。」

パンデミックにより、組合運動にも新たなエネルギーが注入され、緊急性が煽られた。経済部門や国境を越え、労働組合はこの好機を捉え、変革を推進するために共に取組みを行っている。パンデミックが収束した時、私達は共により強くなり、より公正な社会を迎えているだろう。


アラバマ州におけるアマゾンの労組潰し作戦に対抗し世界中から連帯

国際労働運動は、米国初のアマゾン労組が結成されるかどうかの瀬戸際に、アラバマ州のアマゾン倉庫労働者に連帯を示すため団結している。

この感動的なビデをソーシャルメディア上で共有し、情報を広めてほしい。

最も反労組的な企業との闘いに挑んでいる#BAmazonUnionの仲間に、私達が応援していることを知らせるためだ。

「アマゾンの極めて残忍なビジネスの仕方を変えさせるには、昔から組合潰しがあるように、実は昔のやり方と変わらない。力をつけるために組織化し、集団で上司に抵抗する。不利な条件を取り除こうという強い決意が必要だ」と、クリスティ・ホフマンUNI書記長は述べる。「それを今まさに、アラバマ州ベッセマーのアマゾン労働者が行っている。ライプチヒ、エルプラット、ビゴンザ等世界各地で、何年もの間、労働者が行ってきたように。」

「ベッセマーのアマゾン労働者は、米国の働く仲間を奮い立たせてきた。そして世界中のアマゾンを変革する力となっている。」

ベッセマー労働者が展開する「RWDSU(小売・卸売・百貨店労組)加入キャンペーン」は大きな反響を呼び、スポーツ選手、映画スター、ミュージシャン等が次々と連帯支援を表明した。ついにはバイデン米大統領も連帯を表明した。

UNIの取組みが奏功し、財界からは、70を超える投資会社・機関投資家(総資産6兆米ドル以上)らが、2月、アマゾンに、公的声明から洗脳するような会議、メッセージ、ウェブサイト、現場の掲示板まで、結社の自由に関して労働者と接触するための、あらゆる反労組的な情報発信を止めるよう要求する書簡を提出した。

その書簡で投資家らは、「従業員が、報復や脅迫、嫌がらせを恐れることなく、自らの意思で労働組合または他の合法的な組織を結成する権利、加入する・しない権利を保障する、アマゾンの行動及び努力」に関する透明性の強化についても要求した。

アマゾンが他の米企業と同様、反労組的プロパガンダ(宣伝戦略)や加入を思いとどまらせる説得ビデオ等の汚い戦術を使った反労組的キャンペーンを行い、組合結成に抵抗すればするほど、支援の輪が広がっている。

アマゾンは、管理者や「組合回避コンサルタント」が法律と真実の境界を曖昧にする、威圧的な洗脳会議すら展開してきた。 しかし、このビデオとその背後にある連帯は、世界がアマゾンに注目していることを示している。多くの労働者にとって、今回の組合投票は、直前の米大統領選挙と並び、彼らの人生で最も重要な投票として位置づけられる。自由で公正な投票でなければならない。


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