2月 2021のお知らせ

UNIグローバル・ウェビナー「UNIリモートワークの主要原則」開催

2月23日、UNI金融部会及び同ICTS部会は、UNIグローバル・ウェビナーを開催し、UNIリモートワークに関する主要原則を発表した。

この1年、コロナ禍によるロックダウン等により、新たな働き方として、リモートワークの活用が加速した。コロナ禍は、仕事の世界のデジタル化を一気に10年進めたと言われている。このようなリモートワークが我々にもたらす影響は大きく、特に仕事と家庭生活の境界線が不明瞭になっている。このような状況に対応し、労働者を守るため、団体交渉を行っている世界中の労働組合を支援するため、UNIはリモートワーカーの権利を保障するためのガイドラインを発表した。

このガイドラインは、激変する仕事の世界において、労働者を保護しながら、より弾力性を求める労使双方の要求のバランスを図る上で参考になるものである。リモートワークによって仕事をする場所が変わっても、基本的な雇用関係は変わることはないという核心的な価値観が中心となっている。

リモートワークに関する主要原則において、リモートワークに関する団体交渉の範囲は多岐にわたる。使用者が、リモートワークを口実に、労働組合の弱体化、団体交渉力の弱体化、社会対話の弱体化を目論むことは許されない。コロナ禍のパンデミックのような危機がない限り、リモートワークへの移行は、あくまで労働者の任意でなければならず、いつでも職場に戻ることができると同時にワークライフバランスの確保、監視の最小化、差別の禁止、ジェンダー中立性の確保等を優先事項として交渉すべきであるとしている。リモートワークは働き方の「追加」ではなく、あくまで「代替」なのである。

主要原則の発表に続いて、様々なパネリストが登壇し、リモートワークの普及が企業のバランスシートにもたらすコスト削減の分析、「つながらない権利」に代表されるリモートワーク法制化の取組み、ジェンダー視点からのリモートワークの課題などが発表された。

この基本原則は、これまでの職場以外の場所で働く全ての人々が、仕事の成果をあげる上で、不可欠なものである。これらの原則は、労使双方がリモートワークを活用する中で、相互に利益を得ることを保証する。繰り返しになるが、リモートワークに関する最も重要な点は、リモートワークとは、これまで保障されてきた働く上での権利を得ずに働くことではないということである。


UNI、リモートワーカーの権利を促進するための団体交渉の原則を発表

過去1年の間で、新型コロナウィルス感染症が急速に蔓延し、その後のロックダウン措置等により、リモートワークの活用が加速した。この増加する傾向に対応して労働条件を交渉している世界中の労働組合を支援するために、UNIは2月23日、リモートワーカーの権利を促進するための重要な原則を発表した。

このガイドラインは、進化する仕事の世界が、労働者を保護しながら、より柔軟性を求める労使双方の要求のバランスを図る上で参考になるだろう。ガイドラインでは、仕事をする場所が変わっても、基本的な雇用関係は変わらないという核心的な価値観を中心に据えている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「パンデミックによってリモートワークの拡大が加速している中で、これらの原則は、不安定な雇用の創出、社会的保護の弱体化、団体交渉の弱体化といった負の影響に拍車をかけないようにするためにまとめた」と述べた。そして、「コロナ禍の間、労働組合は、つながらない権利、リモートワーク経費の返済、プライバシーを侵害する監視の廃止等を勝ち取ったが、今後もリモートワーカーの権利を守るため工夫し、優良事例を共有していきたい」と続けた。

この原則を発表するため、UNIは世界中の組合や労働者とオンラインでリモートワークに関するウェビナーを開催し、現実の世界での原則の適用を具体的に説明した。

リモートワークの意味合いと団体交渉の範囲は多岐にわたる。使用者は、労働組合を弱体化させ、団体交渉を弱体化させ、社会対話を弱体化させるための武器としてリモートワークを使うことはできない。新型コロナウィルスのパンデミックのような危機がない限り、リモートワークへのシフトは労働者の任意でなければならず、ワークライフバランスの確保、監視の最小化、差別をしないこと、ジェンダー中立性の確保等を優先事項として交渉すべきである。

リモートワークは従来の職場に関連した運営コストを節約できる場合が多いため、使用者はリモートワークに関連する費用を負担すべきである。使用者はまた、総合保険、病気休暇、良質な暴力の無い労働環境を提供する等、リモートワーカーの健康と安全についても責任を負わなければならない。

これらの基本原則は、従来の職場以外で働く人々が仕事の成果をあげる上で不可欠なものである。これらの原則は、労使双方がリモートワークを発展させる中で相互に利益を得ることを保障する。最も重要な点は、リモートワークとは権利が無く働くという意味ではないことである。

リモートワークの原則は以下の通りである。

  • 使用者は、リモートワーカーにも結社の自由と団体交渉を保障しなければならない。
  • リモートワークは、労使の雇用関係を損なうものであってはならない。
  • リモートワーカーを監視するための監視ツールは制限されなければならない。
  • リモートワークは労働者の任意でなければならない。
  • 使用者は、通常の労働時間と、つながらない権利を尊重しなければならない。
  • 使用者は、労働者の健康と安全に責任を負わなければならない。
  • 作業機器やリモートワークスペースの費用は、使用者が負担しなければならない。
  • リモートワークは「ジェンダーに中立」で、全ての人に開かれたものでなければならない。
  • リモートワーカーには、従来の事務所で働く労働者と同様に、研修及びキャリア開発の機会が与えられなければならない。
  • リモートワークのルールを導入または拡大する前に、労使はその影響を徹底的に評価し、文書化しなければならない。

パキスタンの政府職員、催涙ガスに立ち向かい、25%の賃上げを勝ち取る

パキスタンの連邦政府職員は、警察から暴行を受けながらも粘り強くデモを行い、2月11日、ついに25%の賃上げを勝ち取った。

ここ数日、パキスタンの首都イスラマバードでは、長期にわたって先延ばしになっていた賃金調整を要求する労働者のデモが行われてきた。最初は平和的な抗議活動だったが、2月上旬、声を届けようと国会に向かって行進していたデモ参加者を阻止しようと、警察が催涙ガスを投入したために、突然の終結を迎えた。少なくとも27人のデモ参加者が逮捕された。

UNIに加盟するパキスタン郵便の労働組合も、政府が先延ばしにしてきた40%の賃上げを要求する平和的なデモ集会に参加していた。

政府当局は事態の展開に警戒感を示し、労働者代表との交渉を速かに行った。協議の中で内務大臣は、公務員が直面する問題に関するイムラン・カーン首相の懸念を繰り返し、早期解決に向けて指令を出した。

政府は最終的に、3月1日から連邦政府職員の25%賃上げに合意した。賃上げはまず、一時的な扱いとして承認され、その後、次期予算で賃金表に組み込まれるとされた。加えて、労働者の職種間賃金格差に対処するため、新たな方針も策定される予定だ。

この改訂は、まず連邦政府職員に適用される。州政府に対しては、今回の合意を参考に州レベルの公務員の賃金調整を行うよう指示が下った。

担当大臣は、逮捕された抗議者全員の釈放を決定した他、首都警察による武力行使についても「起こってはならないことだった」と謝罪した。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、状況悪化を回避したパキスタン政府の行動を評価し、「幸いなことに政府は、労働者代表との間で、納得のいく結論を迅速に出すことができた。抗議に参加した人々を警察が強制的に追い散らそうとしたことは残念だ。労働者代表と政府に対し、対話を継続し、合意が実施されるよう協力してほしい」と強い期待を示した。


日本のメディアの女性、平等を要求

森喜朗氏の辞任は、日本における女性の意見の力を示している。2月初旬、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長による女性蔑視発言は世界中でトップニュースとして報じられ、その後、森氏は辞任に追い込まれた。これにより多くの人が、アジアにおけるジェンダーに根付いた差別について、あらためて考えるきっかけとなった。

森氏の発言とそれに対する批判の声は、時を同じくして、意思決定層への女性役員登用等を要求した日本のメディア業界の女性の追い風にもなるだろう。

2月上旬に開かれた記者会見の中で、日本のメディア産業の労組を含む4組織は、企業の意思決定層に女性が極めて少ないことが、意識的あるいは「無意識の思い込み」によってジェンダーに偏りのある情報発信を生み出す危険性を指摘した。イノベーションと成長には、多様な人材が知恵や経験を出し合うことが不可欠だが、今の日本のメディアにはそのような多様性がない、と組合は主張する。

4組織の1つ、民放労連(UNI加盟組織)の岸田花子女性協議会副議長は、「コンテンツを制作するメディア企業に女性の意思決定者が極めて少ないことは深刻な問題だ」と述べた。偏見によってバイアスがかったコンテンツは世論に大きな影響を及ぼし得るからだ。記者会見には、民放労連の他、新聞労連(UNI加盟組織)、出版労連、メディアで働く女性ネットワーク(WiMN)の代表も出席した。

4組織は、各業界団体及び加盟社が役員の女性比率を速やかに3割以上にすること、ジェンダー・男女共同参画に関する常設委員会を設置すること、業界でのジェンダー平等を重要課題の1つとすること等の要請を提出した。日本のメディア業界におけるこの憂慮すべき状況を解決するため、特別枠の設置を含め女性役員の積極的な登用を業界団体に要請した。

民放労連の岸田女性協議会副議長は、「昨年の夏から業界団体に要請を提出する準備を始め、12月から今年2月にかけて、それぞれ要請を提出した。今日の記者会見のタイトルは森氏の発言をセンセーショナルに表しているが、私達の目的は森発言を批判することではない」と述べた。

労働組合は変化を期待している。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、「日本のメディア業界の意思決定層に参画する権利を要求し、声を上げた女性役員のアクションに大変勇気づけられた。我々も連帯して彼女達を応援したい。女性達の要望が届き、速やかに具体的な行動と変化がもたらされることを願っている」と述べた。

組合の発表によると、日本民間放送連盟(民放連)、日本新聞協会(新聞協会)、日本書籍出版協会(書協)、日本雑誌協会(雑協)の女性役員人数は、民放連45人中0人、新聞協会53人中0人、書協40人中2人、雑協21人中1人にとどまっている。


世界選手会、東京オリンピックに関して意見表明

安全にオリンピックを成功させるためには、基本的な考え方だけではなく、包括的な感染症防護対策が不可欠

世界選手会は2月上旬、7月23日に開幕予定の東京オリンピックにおいて、人々と選手の健康を適切に保護するためには、基本的な考え方だけでは足らず、きちんと財源の確保された包括的なCOVID-19防護対策が不可欠であると表明した。

60か国以上、100を超える選手会を通じてプロスポーツ界85,000人の選手を結集する世界選手会は、安全にオリンピックを成功させるために国際オリンピック委員会(IOC)が取組むべき、重要な基準も提示している。この基準には、パンデミック発生後、数週間のうちに多くのプロスポーツが競技を再開することができた経験と詳細な交渉が反映されている。

世界選手会の声明は、2月初旬にIOCが、各種国際競技連盟、メディア、放送局に向けて発表した文書や、2020年12月に発表したIOCガイダンスを参照しており、IOCが2月に発表するいわゆるアスリート向け「プレイブック(ルールブック)」公開に先立って発表された。IOCは、大会を開催するかどうかではなく、いかに開催するかが重要であるとの考えを曲げていない。

世界選手会の加盟組織は、サッカー、バスケットボール、ラグビーといった主要なプロのチームスポーツを含む、オリンピック出場選手を代表している。

ブレンダン・シュワブ世界選手会担当局長は、次のように述べている。

「世界選手会は、健康に関する世界中の努力を無駄にすることのないように、安全でフェアなオリンピックを成功させるという共通の目標をIOCと共有している。日本国民と世界中の選手には、これを下回る事態はふさわしくない。しかし、成り行き・状況任せはあり得ない。これを実現するために、いかなる費用も惜しまれてはいないことを皆が知る必要がある。」

東京オリンピックは、世界的な新型コロナウィルス感染症拡大に打ち勝つための国際社会全体の取組みの重要な分岐点に開催が予定されている。感染率・死亡率の驚異的な増加や、より強力な感染力を持つ新たなウイルスの出現に対する対応、そしてワクチンの世界的な展開は、スポーツではなく公衆衛生を第1に考えて対処する必要がある。

「IOCのトーマス・バッハ会長は、(1)ワクチンの開発、(2)検査の改善、(3)多くのプロスポーツの競技再開の3点が、東京オリンピックの安全な開催についてIOCに自信を与えてきたとしている。しかしIOC独自のガイダンスでは手続きや検査率も不十分で、プロスポーツの経験から学ぶことをしていない。更に、ワクチン接種の展開にあたり、より弱い人々やエッセンシャルワーカーのニーズよりも選手を優先させるべきではない。」

シュワブ担当局長は続ける。「各種選手会は、パンデミック発生当初から、人々と選手の健康を第1に考え、たゆまぬ努力をしてきた。公衆衛生、感染症、疫学、労働安全衛生、選手育成、メンタルヘルス、福祉等の分野の専門家とも協議を重ねたことで、高リスク環境にある高リスク集団の選手を含め、COVID-19の有害な影響から選手を保護するための包括的で洗練された競技再開プロトコル(RTPプロトコル)の交渉が可能になった。」

「プロのチームスポーツの経験は、その成功の鍵をIOCが十分に認識し、五輪レベルにまで拡大してこそ、IOCにとって貴重な前例となり得る。つまり、詳細なプロトコルの厳密な実施、多額の財源投資、そして何よりも、いつ、どのように、なぜ変更する必要があるのか等を含め、取られる対策について選手やその代表者との交渉及び継続的なコミュニケーションが欠かせない。」

「これらの基本が守られることなく、多くのスポーツイベントが、人々や選手を許容できない回避できたはずのリスクに晒してきた。同様のことをオリンピックで行えば、スポーツの社会的地位を脅かすことになるだろう。」

世界選手会とその加盟組織は、人々と選手の健康を第1に考え、こうした事態が起こらないよう尽力している。意思決定プロセスにおける信頼構築に向けて、我々の知識と専門性を共有するため、我々はIOCとの議論にオープンである。同時に各種選手会は、選手のキャリアと生活が適切に保護されるよう、必要な措置を講じていく。

東京オリンピック開催に向けた最低要件

安全でフェアな東京オリンピック開催に向けた義務と責任を確実に果たすため、いくつかの最低限のコミットメントがIOCに求められている。

RTP(競技再開)プロトコル

RTPプロトコルは、多くの場合何百ページにも及び、COVID-19に関連するリスクから選手や接触可能性のある全ての人々を保護するために策定された詳細な対策が含まれている。また、以下のような基本的な疑問にも答えている。

  • 選手及びコーチや医療スタッフ等の必要不可欠なスタッフは、無菌環境を作り、選手間の感染を防ぐため、「隔離ハブ」に置かれるべきか。
  • 検査と接触者追跡対策。
  • 競技やゲームの長さ等、従来の競技フォーマットを変える必要があるかどうか。
  • 検査の結果、陽性であれば通常、チームメイトや最近の対戦相手を隔離する必要が生じるが、延期とする場合にはどうなるのか。多くのスポーツで「フレキシブルなスケジュール調整」が不可欠な特徴となっている。

日本発着の安全な渡航手配と保護対策の確保

国境を超える移動は、パンデミックにより壊滅的な影響を受け、世界中で競技の休止が余儀なくされた。プロスポーツ界でも国際的な競技会の再開は最後になった。多くの選手が陽性反応を示し、その後の競技会に混乱を引き起こした。COVID-19が公衆衛生全体にもたらす、より広範なリスクに鑑み、現在多くの国で、入国時に隔離義務を課すようになっている。IOCは、参加する全ての各国オリンピック委員会とその政府との間で、日本発着の安全な渡航に関わる取決め及び財源確保に取組まなければならない。例えば、隔離義務、隔離場所や期間の評価や、発生した費用がカバーされるようにすること等だ。得られる知識に基づけば、IOCの現在の指針に書かれている、東京到着時に全ての選手は隔離を必要としないという要件を除外するのは、時期尚早である。

厳格かつ有効な検査体制の提供

オリンピック出場予定の約11,000人の選手と、選手が接触する可能性のある選手村や大会のサポートスタッフのために、包括的な検査体制が保証されなければならない。多くの国におけるパンデミックの状況に鑑み、今は1日に数回の検査を行うプロスポーツチームもある。オリンピックでは、このような定期検査実施のための財源措置が必要であり、緊急の予防・改善策を周知できるよう検査結果は迅速に得られるようにしなければならない。

日本における「COVID-19安全研修」、競技・宿泊環境の保証

基本的な公衆衛生上のアドバイスやRTPプロトコルに加え、最低でも、公共交通機関を利用した移動や、選手がウィルスに晒される可能性のある状況での移動は禁止すべきである。全ての選手には宿泊用個室が提供され、必要とされる社会的距離が保たれるよう、選手村の定員管理のための明確な制限と手順が整備され、有効な個人用防護具が容易に利用できるようにしなければならない。

必要な治療やケアの選択肢を利用できるようにすること

COVID-19検査で陽性反応が出た場合の隔離専用の施設、治療、接触者追跡のための手順、緊急時における出身国への医療搬送が含まれるべきである。同時に、COVID-19とは関係ない傷病に通常必要とされる、あらゆる治療やリハビリテーションを受ける権利が損なわれてはならない。今回のオリンピックに関しては、比類なく困難な状況に配慮し、選手のメンタルヘルスに対する支援も含まれるべきである。

出場権を得た全ての選手のための安全でフェアな競技会

出場資格のある全ての選手が競技できるようにすること、中止となった予選に関し公平に対処すること、日本への到着前後に選手が定期的なトレーニングプログラムの全てに参加できるようにすること、選手が心身のコンディションを整えるための時間が与えられること、が必要である。

オリンピックから生じるリスクを選手が負わないようにする

選手は、免責同意書への署名またはその他の手段を通じ、オリンピックへの参加により生じるリスクを負うことを求められてはならない。明らかな健康リスクがあるにもかかわらず、経済的・商業的判断が大会開催を継続する決定の重要な要素となっているが、選手は競技に出場する上で報酬を支払われるわけでもなく、またIOCによって潜在的な報酬にも制限が課されている。世界的な健康危機の最中にあっては言うまでもなく、しかしいかなる時であってもオリンピックから生じる経済的・健康的リスクを選手に負わせるのは明らかに不当であろう。

2月初旬にIOCが、国際競技連盟(IFs)、メディア、放送局に対して発表した文書では、詳細は触れられていないが、「あらゆる配慮を払ってもなお、リスクと影響は完全には排除することはできないかもしれない。従って、自己の責任においてオリンピック及びパラリンピック競技大会に参加することに同意する」としている。

オリンピック運動の富を生み出す選手の本質的な役割を考えれば、この条件は選手にまで拡大解釈されてはならない。

国際オリンピック委員会、国際競技連盟、各国のオリンピック委員会、東京大会組織委員会の責任

全ての選手は、東京大会のCOVID-19に関するプロトコルと対策を遵守する責任を持つ。しかし、国際オリンピック委員会(IOC)、国際競技連盟、各国のオリンピック委員会、東京大会組織委員会には、人々と選手の健康を守るという、集団として及び個別の義務と責任がある。IOCが2月初旬に発表した国際競技連盟向けの「プレイブック」には、大会に参加するスポーツの統治機関としての国際競技連盟固有の責任は取り上げられていない。代わりに、世界中の大抵の職場や公共の場で見られるのと似たような参加者の行為に言及した、一般的文書となっている。

次善の策(プランB

IOCは常に、公衆衛生の危機が重大な局面にあることを認識しなければならない。我々全員が期待していた世界的な収束にはまだ至っていない。IOCは、オリンピックを再度延期せねばならない場合には、透明性のあるシナリオを計画しなければならない。短期間でこのような大規模イベントを開催することに伴うリスクを軽減するため、より長期的なスケジューリングの工夫も含め、安全に開催する他の選択肢を見極めなければならない。

UNIのメンバーである世界選手会は、プロスポーツ選手や競技者を組織し、意見を代弁する唯一の国際組織として、60か国以上、100を超える選手会の85,000人の選手を結集している。その役割は、組織された選手の意見が、国際スポーツ界の最高の意思決定レベルに届くようにすることである。


第22回UNI-LCJ年次総会、新体制でUNI Apro運動牽引を誓う

2021年2月15日、第22回UNI-LCJ年次総会が初めてオンライン併用で開催された。コロナ禍で延期や変更を余儀なくされた2020年度活動報告、会計報告、監査報告を承認した。続いて、UNI Aproにおける6部会大会等の主要行事を含む2021年度活動計画及び予算が承認された。最後に役員改選があり、松浦UAゼンセン会長がUNI-LCJ議長に再選され、事務局長として新たに森川容子が選出された。

就任挨拶を行う森川新事務局長
上田事務局次長

続く記念講演には各加盟組織及び来賓等約100人が出席した。

主催者を代表して挨拶した松浦議長は、UNIやUNI Aproがコロナ禍にあっても組織化の手を緩めず、エッセンシャルワーカーや弱い立場にある労働者のために取組みを続けてきたことに触れ、今後もパートナーシップ労使関係を大切にしながら労働運動を発展させていきたいと決意を述べた。

また来賓として、厚労省の井内総括審議官は、政労使の社会対話によりコロナ禍の難局を乗り切っていく重要性を強調した。

神津連合会長は、ビデオメッセージを寄せ、労働者にとって非常に厳しい状況であるが、雇用や生活を守り、セーフティネットを拡充し、希望と安心の持てる社会の実現に向けて、労働運動は共に連携して取組んでいこうと呼びかけた。

その後「ウィズ/ポストコロナの国際労働運動」と題し、クリスティ・ホフマンUNI書記長(スイスからオンライン参加)及びラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長(ネパールからオンライン参加)から、過去1年の振り返りと今後の展望を聞いた。

ホフマン書記長は冒頭、年明け早々、米国でバイデン大統領率いる民主党政権が誕生したことや、米国のグーグル労働者が組合を結成したこと等の喜びと今後への期待を述べた。UNIはコロナ禍の間、エッセンシャルワーカーの労働条件改善に向けたキャンペーンに精力的に取組んだことや、デジタルな組織化スキルを深めてきたことを紹介した。2021年は、コロナ禍で加速したリモートワークの課題やリストラの課題に取組むこと、企業に説明責任を負わせるために、OECDガイドライン等の枠組みを活用しながら、運動を進めていくと述べた。アジアでは、ミャンマー、香港、フィリピン等で民主主義が危機に瀕していることにも触れ、UNI Aproと緊密に連携しながら国際労働運動全体として弾圧されている人々の支援に全力を挙げると強調した。

アチャリャUNI Apro地域書記長は、コロナの大打撃を受けアジア太平洋地域の特に途上国において労働者の状況が悪化していることを報告した。そのような中、労働者を勇気づけるキャンペーンに日本の加盟組織やリーダーが積極的に参加していることに、感謝の言葉が述べられた。最後に、UNI Aproはワンチームとして、コロナを克服し、より良い復興に向けて、政労使の議論に積極的に参画していきたいとの決意を語った。

講演後には、「コロナ禍を理由に労働者が不利な立場に置かれる国が多い中で、政労使の協力によって乗り切ろうとしている事例があれば教えてほしい」(全労金・末留委員長)、「UNI長崎世界大会で女性参画比率40%の目標を採択して10年が経過したが、前進したと評価できるか」(印刷労連・古賀副書記長)、「在宅勤務等の働き方が普及する中で、とりわけ就業経験の少ない若年層にはワークライフバランスやメンタルヘルス上の課題が生じている。このような新たな課題を解決するためのヒントはないか」(日放労・松波中央執行委員)、「グーグル労組結成までの経緯や苦労した点」(UAゼンセン・中田国際局局員)等の質問が出された。

閉会にあたり、野田副議長は、引き続き建設的労使関係の普及に努めるべく、アチャリャUNI Apro地域書記長を支え、松浦議長、森川新事務局長・上田事務局次長の下、UNI-LCJとして力強く活動を展開し、より良い復興を共に目指していこう、と参加者全体を鼓舞した。


「ミャンマーの人々は黙っていない」UNIも民主主義を要求するグローバルな騒音アクションに参加

ミャンマーの軍事政権が民主主義を支持するデモ参加者に対し、ますます暴力的な戦術に訴える中、UNIは国際労働運動の仲間と共に、2月11日、民主的統治への復帰を要求するための騒音爆幕に参加する。

世界中の組合活動家は、ミャンマー大使館、領事館、事務所の外やインターネット上で騒ぎ立てることで、連帯を示している。こうした連帯行動は、ヤンゴンにおける毎晩の騒音抗議を真似するものだ。

「ミャンマーの人々は黙っていない。警官に叩かれても、撃たれても、放水されても、毅然として民主主義を訴えている」とクリスティ・ホフマンUNI書記長は述べた。「今日、世界中の労働組合は、声をあげている。非合法な軍事政権への経済的支援を断ち切るよう、我々の国や企業に呼び掛けている。特に、インターネットを遮断せよとの軍からの悪意ある指令を無視するよう、携帯事業者やインターネットプロバイダーに要請する。」

世界的なアクションは2月11日、中央ヨーロッパ時間午後2時30分に開始される。

「民主主義の価値観は労働組合の価値観であり、ミャンマーの組合員は軍事政権に終止符を打つため最前線で闘っている。我々は彼らに連帯し、民主主義を取り戻し、拘束されている人々が釈放され、情報が自由に配信されるよう、共に闘う決意だ」と、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は述べた。

9日に、UNIをはじめとするグローバルユニオンは、ミャンマーのために立ち上がるよう、企業や政府に圧力をかける声明を発表した。


オランダの放送部門における自営業者のための公正な慣行規範

オランダのUNI加盟組織、FNVメディア・文化労組は、2020年の第4四半期に、オランダの公共放送局NPOとの間で、自営業者のための最低条件の交渉を行った。「公正な慣行規範」と題する新しい協約は2020年12月1日に発効し、従業員向けの団体協約の賃金の150%に相当する最低賃率の支払いが導入された。

この最低賃率は、団体協約の賃金表に基づいている。休日手当や12月手当も考慮され、自営業者が障害や年金の保険に加入できるようになる。

これは最低賃率であり、上限ではない!

組合は、公共放送のクライアントが定められた最低賃率よりも安く業務委託を行わないよう、新たな協約は最低の下限を設定したと強調する。しかし自営業者は、より高い個別の賃金交渉を続ける。旅費、IT関係費、資材費、業務費等のその他経費は最低賃金に含まれない。組合と使用者の代表からなる委員会が、公正な慣行規範の実施を監視していく。

新たな協定は、フリーランサーに打撃を与えている放送局の低賃金慣行に終止符を打とうとするFNVの取組みにとって、重要な足がかりとなる。多くの「フリーランサー」は、地方局で極めて低賃金で働いてきた。このような条件は、フリーランサーだけでなく、偽装自営契約に追い込まれた事務職にも強要されてきた。FNVは、今回の協約によって、より多くのメディア専門職が放送局に雇用され、公共放送部門における偽装自営業の慣行に歯止めがかかることを期待している。

同時に、FNVメディア・文化労組は、公共放送局における正規雇用契約の割合を増やすことを目指している。組合は、メディア労働者が何年にも渡る臨時契約更新の罠に陥るシステムに終止符を打つことが重要だとしている。こうしたメディア労働者は、自分が評価されていないと感じ、常に不安を抱えながら暮らし、キャリアパスを描くことが困難になり、住宅ローンを組む資格が持てないような雇用形態のために職業生活以外の深刻な悪影響にも直面している。訓練を受けた熟練労働者の多くが業界を離れていくため、このような柔軟な労働慣行はオランダの放送の質と持続可能性に悪影響を及ぼしてもいる。柔軟な雇用に関するFNVの最近の調査によると、10人中4人のメディア労働者が正規雇用契約を結べないことを理由に、放送業界からの離職を検討していることが明らかになった。


オランダのスーパーマーケット労働者へグローバルな連帯を

UNIは、オランダのスーパーマーケット労働者30万人のため、5%の賃上を求めて闘っているUNI加盟組織「オランダ労働組合連盟(FNV)」への支援を、世界中の加盟組織に要請する。
FNVは、世界の組合指導者や労働者に対し、今回の5%の賃上要求に連帯しハイタッチのポーズで5本指を広げて写真を撮り、その写真をFNVのキャンペーン・ハッシュタグ #waardeeronswerk (我々の仕事に感謝して)とともにSNS等に投稿することを求めている。

#waardeeronswerk

FNVとスーパーマーケット使用者協会の新たな産別交渉は、2020年4月に始まるはずだったが、使用者側は2020年の賃上を拒否し、さらには日曜勤務手当を半減させようとしたため、交渉は決裂した。オランダでは、1.3%のインフレと社会保険料の負担増があり、労働者は痛手を受けている。FNVは、昨年度の賃金も対象とすべく遡及的効力のある団体協約を要求しているが、使用者側は昨年分については交渉を回避し、代わりに2021年と2022年の昇給を交渉しようとしている。使用者側は、コロナ禍による2020年の給与交渉の遅れを利用し、パンデミック中の労働者の社会貢献を無かったことにするかのような態度を示している。
組合は一連の行動やストライキを行い、使用者側への要求にかかわる請願書に労働者1万人分の署名を集めた。

労働側の要求が満たされなかった場合、FNVは2月10日にストライキを決行する予定だ。

FNVハンデルの組合役員であるファトマ・バグデイス・カラタス氏は、「スーパーマーケットは長きに渡って巨額の利益を上げてきた。今こそ、懸命に働いてきた従業員が分配を受ける時だ。」と述べ、「スーパーマーケット事業者は、従業員に感謝し、5%の賃上を実施すると共に日曜勤務手当を存続させるべきだ。」と訴えた。
直近の交渉では、スーパーマーケット使用者協会は「挑戦を厭わない」とし、今なお譲歩しない構えだ。

マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「我々の仲間一人の課題は、我々全員の課題だ。我々はFNV及び労働者の公正な闘いに全面的に連帯する。エッセンシャルワーカーは、尊厳ある賃金を含む不可欠な権利を得るに値する。」と支援を表明した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「オランダのスーパーマーケット労働者の賃上は、支払期限がとっくの昔に過ぎている。パンデミックの間にも人々に食料や必需品を提供すべく命を懸けてきた労働者に対し、雇用主がいまだに公正な利益の分配を拒否しているのは恥ずべきことで、まさに強欲そのものである。」と使用者側を痛烈に批判した。
#waardeeronswerk


世界中の労働組合が、小売労働者へのワクチン接種を求めている

世界中のUNI加盟組織は、食料品や生活必需品を人々に提供するため、最前線で働く小売労働者への優先的なCOVID-19ワクチン接種を求めている。
小売店舗において多くの感染が発生しており、ある調査では、小売労働者は一般の人々よりもウィルスに対し陽性反応を示す割合が大幅に高いことが判明した。

さらに悪いことに、1月25日、英国の国家統計局が発表した数値によると、エッセンシャルワーカーは、COVID-19感染症で死亡する割合が高いことが確認されている。これを受けて英国店舗流通関連労組(Usdaw)は、小売業等の主要な労働者が、緊急にワクチン接種を実施するよう改めて求めている。
パディー・リリスUsdaw書記長は、「これは、加工工場、流通、小売、食料品配達など、必要不可欠な食品供給産業で働く仲間の組合員にとって憂慮すべき状況である。我々は雇用者と協力してリスク評価を再検討し、すべての安全予防措置が守られていることを確認している。」と述べた上で、「政府は、こうした労働者が直面しているリスクを考慮し、ワクチン接種展開の第二段階において、脆弱な職業を優先しなければならない。パンデミックの中、人々に生活必需品を供給し続けるために働いてきた、重要な労働者である彼らは、評価・尊重され、保護されるべきである。」と訴えた。

同様に、米国130万人の食品・小売労働者を代表する全米食品商業労働組合(UFCW)は1月、米国疾病予防管理センター(CDC)に対し、食料品店、食肉加工、食品加工の(圧倒的に有色人種が多い)エッセンシャルワーカーが、早期且つ優先的にCOVID-19ワクチンを接種できるよう要請した。
マーク・ペローネUFCWインターナショナル会長は、「UFCWは、米国における食料品、食肉加工、食品加工のエッセンシャルワーカーの最大労組として、CDCに対し、早期のCOVID-19ワクチン接種に関して、医療従事者に次いでこれらの勇敢な労働者を優先するよう要請している。食品労働者を守ることは、我々の地域社会を安全に保ち、これらリスクの高い職場における今後の感染発生を食い止める上で不可欠である。レッドフィールドCDC長官は、こうしたエッセンシャルワーカーが、最初にワクチン接種を受けられることを保証することで、彼らの担う重要な役割を認識しなければならない。」と訴えた。

また、オーストラリアのジェラルド・ドワイヤー店舗流通関連労組(SDA)書記長は、クリスマス前に、グレッグ・ハント保健大臣宛の書簡を通じ、小売業、ファーストフード、倉庫で働く労働者が、COVID-19のワクチン接種を最初に受けられるよう要請した。同書記長は、書簡の中で「こうした労働者が提供している重要なサービスを考慮し、ワクチン接種が可能になった際には、優先順位を与えられなければならない。」と述べた。

カナダの食品・医療・警備労働者を代表するUFCWは、同国でのワクチン導入の際には、最前線の労働者に優先権を与えるよう求める請願書を提出すると共に、カナダの人々の日常を支えている彼らの貢献をよりよく反映させるため、最前線の組合員の賃上げも行っている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「メッセージは明確である。小売業のエッセンシャルワーカーは常に危険に曝されており、COVID-19ワクチンの接種を優先させなければならない。我々の生活の中でこうした労働者の役割を見過ごすことはできず、彼らなしで社会は生き残れない。彼らのワクチン接種は、早ければ早いほど良いのである。」と訴えた。


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