10月 2020のお知らせ

ディーセントワーク世界行動デーに、世界の労働組合がエッセンシャルワーカーの権利を求めるキャンペーンを開始

10月7日のディーセントワーク世界行動デーに、世界150か国のサービス産業労働組合を代表するUNIは、エッセンシャルワーカーのための不可欠な権利を求める国際キャンペーンを開始する。

新型コロナウィルス感染拡大期に、不当に低賃金で、正当に評価されず、過小評価された労働者こそが、世界中のコミュニティが機能し続けられるよう、働いてきた。棚に食料品を並べ、病気の人や高齢者の介護をし、学校、職場、公共交通機関、公共の場等が清潔で安全に保たれるようにする労働者がいた。郵便や小包を届ける労働者もいた。人々が金融サービスを受けられるようにする労働者もいた。

危機によって、これらの仕事がどれほど人々の生活に不可欠であるかが明らかになったように、このキャンペーンでは、私達の社会はもう、このような仕事をしている人々のニーズに気づかぬふりをするわけにはいかないと主張している。

「エッセンシャルワーカーにとってディーセントな仕事とは、より良い賃金、安全な仕事、有給の病気休暇、組合があること、そしてみんなが尊敬することだ」と、クリスティ・ホフマンUNI書記長は語る。「パンデミックをきっかけに、これらの不可欠な仕事を再評価しないなら、公正な経済はあり得ない。危機の間、そして平時であっても、エッセンシャルワーカーは大変な貢献をしており、感謝の言葉だけでなく、きちんと評価されるべきだ。」

ディーセントワーク世界行動デーは、私達のグローバル経済に必要とされる抜本的な変化に目を向ける好機である。だからこそ、世界中の労働組合は、全ての エッセンシャルワーカーのために不可欠な権利を要求している。


ブラジルの郵便労働者、ストはやめても闘争継続を誓う

ブラジルの郵便労働者は、1か月に渡るストをやめたが、郵便局の民営化反対闘争のため、より団結する決意を新たにした。

9月21日に最高労働裁判所の判決が下り、労働者には2.6%の賃上げが確保されたが、いくつかの手当ては撤回されてしまった。この判決を受けて、ストをやめることとした。

ブラジルの郵便事業者コレイオスは、UNI加盟組織であるFENTECT及びFINDECTとの団体協約の履行を拒否したため、紛争は裁判に持ち込まれた。この国有企業は、ふつうは労働者に与えられるはずの70の手当てを剥奪しようとした。

裁判官は、ストは違法ではなく、労働者にはスト期間中、賃金の50%が支払われるとの判決を下した。医療・歯科治療補助を含む29の手当ては維持されたが、休暇手当は削減され、出産休暇は180日から120日へ縮小された。

本訴訟で、カティア・アルダ大臣は、全ての手当てが維持されるべきだと主張し、コレイオスはパンデミックの間に増益となったにも関わらず、手当ての削減に経済上の理由を主張していると指摘した。アルダ大臣は、会社が協約の条項や権利の撤廃を提案するとは初めて聞いた、と述べ、以前、労働裁判所が提案した協約の受入れをコレイオスが拒否したことも批判した。「会社側には明らかに交渉に否定的な態度があった。私は労働裁判に30年携わってきたが、このような態度は見たことがない」と言い切った。

しかし裁判官は、ボルソナロ大統領に支援されたイブ・ガンドラ・フィリョ大臣によって示された主張にも譲歩した。ブラジル大統領は、できるだけ早期に郵便局を民営化することで頭が一杯なのである。

労働裁判の判決が下る日に国際行動デーが企画され、世界中のUNI加盟組織は、ブラジルの郵便労働者に連帯を示した。 マルシオ・モンザネUNI米州地域書記長は、「ブラジルの郵便労働者は、団体協約の交渉に極めて敵対的な環境に直面しながらも、長期ストを決行する等、善戦した。職場に戻った今、以前にも増して団結し、民営化闘争を続ける覚悟ができた。我々は、最後まで支援していく」と語気を強めた。


アジアにおける強い組合を! ポストコロナでも組織化と団体交渉の強化を確認

2020年9月25日、第22回UNI Apro金融部会が初めてオンラインで開催され、日本、台湾、韓国、マレーシア、シンガポール、インドネシア、インド、スリランカ、ネパール、バングラデシュ、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー及び本部、UNI Aproのスタッフ、未加盟組織から44人が出席した。特に、4月にUNI加盟を決定し現在加盟手続き中の台湾金融労連(TFFU)からは、ジョン・フージー委員長、ハン・シーフェン書記長が出席し、加盟組織からの歓迎を受けた。日本からは、正委員として境田UNI Apro金融部会議長、田嶋労済労連単組(全労済アシスト労働組合)副中央執行委員長の2人が、オブザーバーとして、損保労連、生保労連、JP労組、あおぞら銀行従業員組合から計6人が出席した。

開会では、アチャリャUNI Apro地域書記長、デクリスト世界金融部会担当局長から連帯挨拶を受けた。また、来賓として、イヤーデュピュイ・アジア開発銀行(ADB)社会開発シニア・スペシャリスト/労働担当デスクが駆け付け、ADBが200億ドルの投資によりアジアにおける非正規女性労働者や移民労働者への支援、失業給付、雇用維持に取組んでいること、労使やその他ステイクホルダーとの社会対話の重要性、多国籍企業との交渉にあたってのUNI Apro金融部会の役割発揮への期待が表明された。

  1. 委員会構成の変更確認

事務局より委員の交代について説明があり、変更が確認された。東アジアで調整中となっていた女性議席への田嶋翠・労済労連単組(全労済アシスト労働組合)副中央執行委員長の指名が確認された。

  1. 活動報告

昨年11月にネパールでの委員会開催後、新型コロナウィルス感染症によりUNI Apro金融部会として予定されていた活動は中止や延期を余儀なくされた。そこで、プリヤラル担当部長が中心となって各国労組のコロナ禍の状況と取組み、今後の課題等について情報交換を行ってきた。それらをまとめた「 UNI Apro金融部会 COVID-19パンデミック後のアドボカシー活動」に関する報告が活動報告に代わり提出され、全会一致で確認された。また、現在加盟手続き中の台湾金融労連(TFFU)から、早期に新型コロナウィルス感染症の封じ込めに成功した経験についての詳細な報告が提出されたことについても留意された。

  1. UNI世界金融部会ポストCOVID19 戦略

デクリスト担当局長は、UNI世界金融部会委員会で確認されたポストCOVID19 戦略と今後の活動計画案について以下の通り概要を説明し、地域の実情に合わせた実施に向けて、加盟組織の協力を求めた。

  • 動画作成やグローバル行動デー開催などにより、エッセンシャルワーカーとしての金融産業労働者の社会的役割、より持続可能な社会に貢献する金融産業の目指すべき方向性について、内外にPRする。
  • 雇用を守るため、これまで以上に組織化と団体交渉を強化することが重要。団体交渉に関する作業部会を各地域で開催することを提案する。将来的には地域間でも情報交換を行いたい。
  • P&M委員会と連携し、リモートワークに関するガイドライン策定を進め、労働者の「繋がらない権利」を守る。
  • ILO対話フォーラム等の社会対話に積極的に関与し、労働組合の存在感を示す。
  • グローバル/地域の多国籍企業とのグローバル/地域枠組み協定の更新・新規締結を目指す。
  • EUの支援を受けているフィンテック・プロジェクトについて、地域とも連携して取組む。

質疑応答では、損保労連の景中事務局次長より、フィンテックについて特にどのような点に着目して取組んでいくのか?との質問があった。デクリスト担当局長は、「従来の銀行や保険会社も、フィンテックと柔軟に連携していくことができるはずだ。この分野について更に理解を深め、将来的にはフィンテック労働者を組織化したい」と意欲を示した。

  1. コロナ禍における金融部門の女性労働者の現状と課題

コロナ禍で金融部門の女性労働者が直面した課題と労組の対応等について、各小地域の女性委員から報告を受け共有した。東アジアからは女性委員として選出された田嶋委員(労済労連)が日本の金融部門女性労働者を巡る状況について報告した。いずれの地域においても、女性は育児、家事だけでなく、休校に伴う家庭教育等多くの役割を担いながらの在宅勤務を強いられ、心身の負担が増加したという共通の課題が報告された。続いて、UNI Apro女性委員会から提案された、コロナ禍からの復興において女性を主流化することを求める声明について、UNI Apro金融部会委員会としても支持を表明することが確認された。

  1. ポストコロナにおける組織化優先課題

2017年ジャカルタで開催された第5回UNI Apro金融部会大会で定めた5つの優先課題は変わらないが、具体的な進め方については、小地域ごとに作業部会を設置し、地域の状況に合わせて検討・実施していくことがプリヤラル担当部長より提案され、確認された。

20172021UNI Apro金融部会活動計画優先課題:

  • 金融労組の組織化と強化―組織率を高める
  • 社会対話プロセスの制度化—アジア開発銀行(ADB)との関係を強化する
  • グローバル及び地域の規制・監督政策の策定に影響を及ぼす
  • フィンテックおよびスタートアップ企業との間でアライアンスを構築する
  • 金融労働者の雇用可能性を担保する

続いて、新たな取組みとして、モバイルアプリ等を利用したオンラインでの組織化の可能性について、クン・ワルダナUNI Apro ICTS部会担当部長が紹介した。金融部門のデジタル化が進み、フィンテック企業も多く参入する中、プラットフォーム労働者等、テレワークという形態で非正規やフリーランスで働く労働者が増加している。これらの労働者の多くは女性やデジタル世代と呼ばれる青年であり、彼らに接触し、組合活動への参加を促すために、モバイルアプリやオンラインツール等の活用が非常に効果的であるとの見解が共有された。

  1. 20202021年度UNI Apro金融部会優先課題

プリヤラル担当部長が活動計画作業文書に基づき、各小地域で主にオンライン作業部会を軸として活動を進めていく方針を説明した。東アジアでは、引き続きあらゆる機会を活用して組織化を進めること、また、日本、韓国、台湾の金融労組間の情報交換や連携強化を図り、団体交渉やリモートワーク等の関心の高いテーマで作業部会を立ち上げるため、年内及び、来年2~3月頃に計2回程度オンライン会議を開催することが提案され、今後日程等を調整していくことが確認された。

  1. 次回会議日程・場所、第6UNI Apro金融部会大会

来年前半は各小地域での作業部会会議を行い、部会大会および委員会については、来年後半の開催になる予定である。具体的な日程、開催方法は決まり次第周知する。


ノーベル経済学賞受賞スティグリッツ教授、ポストコロナの復興に労組が果たす役割に期待

日本時間で9月28日深夜、UNI金融部会が主催したウェビナーに2001年ノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ教授が招かれ、800人以上の聴衆を前に、コロナ危機における労働組合と金融機関の社会的役割について熱弁をふるった。
 
同氏は、米国が新型コロナウィルス感染症により世界最多の死者を出すという最悪の事態に至ったのは、トランプ政権が健康保険制度を崩壊させ、格差を拡大させ、国民の健康を顧みなかったためだと糾弾した。こうした中で、「賃金や労働条件を引き上げ、国民生活の向上を図ることにより、人々をパンデミックの危機から守り、真の変化をもたらすことができるのは、労働組合しかいない」と断言した。
 
また、スティグリッツ教授は、ポストコロナに向けては、このような事態を引き起こした元の世界に戻るのではなく、「ビルドバック・ベター(より良い社会の構築)」を目指さなくてはならないと強調。そのためには、富を独占しているGAFAなどの巨大テック企業への適切な課税、企業に説明責任を果たさせ内部告発者を守るためのルールの明確化、政府が社会政策を行うために必要な税収の確保等が必要だと述べた。
 
一方、金融機関には、2008年の金融危機を引き起こした時のように短期的利益を追求するのではなく、環境に配慮したグリーンな投資、倫理的な貸付を推進することで、新たな雇用を創出し、格差是正に貢献することを求めた。また、長期的視点で資産運用を行う必要性にも言及し、この点においては、単に利益を追求するのではなく、メンバーの福祉向上を目指して事業を行う協同組合や信用組合の役割が強調された。
 
最後に、「もし米国の銀行に労働組合ができたら、状況はどう変わるか?」という質問に対しては、「労働組合が使用者と団体交渉することにより、金融機関内に存在する格差が改善される。更に、弱者からの搾取や利益追求主義に走らないよう労組が事業を監視することにより、金融産業に社会的側面を与え、大きな違いをもたらすだろう」と組織化の意義を強調した。

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