8月 2020のお知らせ

ポストCOVID-19戦略計画: 金融労働者の社会的役割を発揮し、危機をチャンスに

UNI世界金融部会は、2019年10月にスペイン・トレモリーノスで第5回世界金融部会大会を開催し、「強力な労働組合」をスローガンに、4年間の活動方針を議論した。しかし、その後に起きた新型コロナウィルス(以下COVID-19 )の世界的感染拡大により、金融労働者を取り巻く環境は一変し、方針を改めて精査する必要が生じた。パンデミック収束の見通しが立たない中、8月25日にシンガポールで予定されていた大会後初めてのUNI世界金融部会委員会がオンラインで開催された。世界金融部会議長、担当局長、4地域から選出された副議長に加え、前回大会で指名された各地域委員ら約40人が出席し、未曾有のCOVID-19危機において金融労働者が果たした社会的役割を振り返り、UNI世界金融部会が目指すべき新たな方向性について議論し、ポストCOVID-19 の活動方針を確認した。UNI Apro金融部会からは境田道正議長(損保労連中央執行委員長)、ジュリア・サングリアノ副議長に加え、日本(全信連、全労金)、韓国、スリランカ、ネパールの委員がオブザーバー参加した。

冒頭、参加者は、リタ・ベルロファUNI世界金融部会議長の「感染リスクのある中、最前線で働いてきた世界の金融部門労働者を称えよう」との呼びかけに応え、全員で拍手し、その勇気ある貢献を称えた。続いて連帯挨拶を行ったクリスティ・ホフマンUNI書記長は、「COVID-19危機によって労働組合は、労働者の生活に大きな違いをもたらす存在として認識されるようになった。組織化を進め、団体交渉を強化していくことがいかに重要かを証明するチャンスだ。オールドノーマルに戻るのではなく、共にビルド・バック・ベター(創造的復興)を目指そう」と力強く呼びかけた。

委員会はまず、第5回UNI世界金融部会大会で「デジタル化」に関して多言語意見集約オンラインツールThought Exchangeを利用して行われた意見交換の詳細な分析結果の報告を受けた。続いて、ポストCOVID-19に関する4つのテーマ:「金融機関が未来に果たす役割」、「団体交渉と社会対話」、「リモートワーク」、「労働組合の対応」について各国参加者の報告を受け、社会において金融部門が果たすべき役割と重要性、新しい働き方に対応する労働者をサポートするために労働組合が取り組むべきこと、可能性等を中心に、前向きな議論が行われた。

「労働組合の対応」のセッションでは、UNI Apro金融部会を代表して登壇したジュリア・サングリアノUNI Apro金融部会副議長(FSU、オーストラリア)がコロナ禍での運動の成果を紹介し、危機をチャンスと捉え、積極的に運動を進めることが重要だと訴えた。例えば、初期の感染拡大時に最前線で働く組合員の労働安全衛生の確保に尽力した結果、組合員の新規加入が急増した。また、100以上の支店の一時閉鎖や従業員の異動を突然通告してきたコモンウェルス銀行に対し、即座に労働形態や賃金について説明を求め、特別手当を要求し、500人以上の賃上げに成功した。更に、コロナ禍でコールセンター業務が急増する中、その重要性が見直され、これまでオフショアリング(海外委託)に頼っていたコールセンター業務を国内に戻そうというキャンペーンを展開し、ウェストパック・グループでは1000人の雇用が復活した。

最後に、日本をはじめ、加盟組織からの情報提供に基づき作成されたUNI世界金融部会ポストCOVID19戦略と活動計画(案)が提案された。境田UNI Apro金融部会議長は、活動戦略および計画案への全面的な支持を表明し、「今後の活動を進める上で2つ重要なポイントがある。1つは、リモートワークにより働き方が大きく変わる点。2つ目は、ビジネスモデルが対面からリモートへと変わる点。1点目については、UNI金融部会によるガイドラインの策定に大きく期待している。雇用、労働条件、費用面等について、メリット・デメリットを整理し、労働者がメリットをしっかり享受できるようにすべきだ。Aproとしてもできる限り貢献したい。2点目については、フィンテックによるリモートでのサービス提供により、どのようにビジネスモデルが変わるのかに関して、調査研究のタイムリーな共有をして頂けるとありがたい。」と述べた。

こうした意見を踏まえ、委員会は提案を承認し、今後各地域において具体的な地域の状況やニーズに合わせた議論が行われ、本部へフィードバックされることが確認された。また、アンジェロ・デクリストUNI金融部会担当局長からは、9月28日にUNI金融部会主催ウェビナーを大々的に開催すること、更にその講演者として2001年にノーベル経済学賞を受賞した著名な経済学者で米国・コロンビア大学教授のジョセフ・スティグリッツ氏を迎えることが発表された。詳細については後日案内される予定で、加盟組織に留まらない積極的な参加が呼びかけられた。


世界の金融労組リーダー、ポストCOVID-19の金融サービスについて意見交換

UNI世界金融部会は年に1度、議長・副議長会議を開催し、前年度の活動を振り返り、当年度の活動を計画している。本年はUNI世界金融部会委員会と合わせ、アジア(シンガポール)で開催する予定だったが、感染状況収束の見通しが立たず、8月24日、25日に両会議ともオンラインで開催された。2020年春に始まった新型コロナウィルス(以下COVID-19 )の世界的な感染拡大により金融労働者を取り巻く環境が一変したことから、前年にUNI世界金融部会大会で採択した活動方針を見直し、ポストCOVID-19の戦略を立て直すことがUNI世界金融部会委員会の焦点となった。委員会での公式な議論の前に、コロナ後にUNI世界金融部会が目指すべき新しい方向性について、議長・副議長が4つのテーマで意見交換を行った。議長・副議長会議は、今年からジェンダーバランスを考慮し、各地域1人ずつ女性副議長が加わった。UNI Apro金融部会からは、境田道正議長(損保労連中央執行委員長)とジュリア・サングリアノ副議長(オーストラリアFSU書記長)が正式メンバーとして、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長、ジャヤスリ・プリヤラルUNI Apro金融部会担当部長、森川容子UNI-LCJ事務局次長がオブザーバーとして出席した。

  1. COVID-19危機の教訓と課題、デジタル化による恩恵 

マイケル・ブドルフセンUNI欧州金融部会議長がデンマークの金融部門労働者のストレスと在宅勤務の相関関係に関する調査について報告した。労働者自身が自分のライフスタイルに合わせて柔軟に時間管理でき、場所を選ばずに仕事ができるという在宅勤務のメリットは大きく、10年間様々な対策を取っても減らすことが難しかったストレス値が半減するという劇的な改善が見られた。ブドルフセンUNI欧州金融部会議長は、「今後も引き続き調査を続け、これが一過性の現象なのかどうかを見極めたい。使用者が在宅勤務か出勤かを一方的に決めて押し付けるのではなく、労働者自身が自分に合った多様な働き方を選べるようにサポートすることが重要だ」と強調した。他地域からは、在宅勤務の環境やコストが労働者の負担になっているといった問題点や、在宅勤務者の組織化をどのようにすべきかが課題といったコメントがあった。

  1. 社会・経済成長への金融サービスの貢献 

オインカン・オラサニョエUNIアフリカ金融部会副議長は、金融サービスが社会・経済の発展にどのように貢献しているかについて、アフリカの状況を中心に報告した。COVID-19 危機において、多くの金融労働者がエッセンシャルワーカーとして業務を続け、企業や個人に対して積極的に融資等のサービスの提供を行ってきた。持続可能な成長のためにも、金融サービスは社会・経済の成長を支えるインフラとして非常に重要だ、と強調した。

  1. ジェンダーの観点から見たCOVID-19の影響

パトリシア・サラザール・パラUNI米州金融部会副議長は、カリブ海地域における金融部門の女性労働者を中心に報告した。ロックダウンにより、女性は自宅で仕事をしながら家事・育児との両立が求められた。更に、家庭内感染や家庭内暴力の問題もあり、女性のストレスは増大している。既存のジェンダー格差が更に悪化した結果となっており、労働組合はこれまで以上に格差是正に取り組んでいかねばならない、と訴えた。

  1. 気候変動を抑制するグリーンファイナンスの取組みと環境災害の課題

境田道正UNI Apro金融部会議長は、気候変動に伴い世界的に自然災害が多発している状況に触れ、環境に配慮した投資促進等のグリーンファイナンスの推進によって気候変動リスクの軽減を図ることは、社会経済のみならず金融の安定化につながる、とその重要性を指摘した。具体的には、UNI世界金融部会として「NGFS(気候変動リスク等に係る中央銀行・金融当局ネットワーク)」との連携を図るべきだと提言した。更に、UNI Aproが推進するスマートパートナーシップの考え方に基づき、政労使が建設的な対話を通じてこの課題に取り組むべきであると主張した。

ブドルフセンUNI欧州金融部会議長は、「UNI欧州金融部会として本提案を全面的に支持する。UNI欧州金融部会は、正に、UNEP(国連環境計画)や欧州委員会など異なるステイクホルダーと連携し、持続可能な金融を構築するため、アクションを展開している。機関投資家はグリーンな投資が単に利益を生み出すものとしてしか認識していないが、労働組合はそれが持続可能なものになるようアクションを起こし、社会的責任を果たさなくてはならない」と強く支持を表明した。

閉会にあたり、デクリストUNI世界金融部会担当局長は、本会議が元々はシンガポールで開催されるはずだったことに留意し、COVID-19 収束後初めての会議は、是非シンガポールで開催したいと約束した。また、従業員の解雇が起きているブラジル・サンタンデール銀行労働者を支援する連帯キャンペーンへの加盟組織の協力に感謝した。更に、危機が長引く中、同様の解雇や賃金削減等が今後各国金融部門で起きる可能性があると指摘し、交渉力のある「強い労働組合」による、社会への発信力と国際連帯が益々重要だと強調して、加盟組織の更なる協力と結束を呼び掛けた。


香港やフィリピンから、民主主義への弾圧に悲痛な叫び

第7回UNI Aproメディア部会委員会は、2020年8月28日、オンラインで開催された。中村UNI Aproメディア部会委員会議長は、開会に先立ち、コロナ危機のため実際に会うことができないのは残念だが、エッセンシャルワーカーとしてメディアの最前線で働く仲間に敬意を表し、困難な中でも連帯を深める場にしたい、と挨拶した。

ミシェル・ベリーノ担当部長から、新型コロナウィルスがアジア太平洋地域のメディア・娯楽産業に及ぼすインパクトについて概要報告を受けた後、マレーシア、台湾、香港、ネパール、韓国、インドネシア、フィリピンの委員らから報告を受けた。

ハミルトン委員(台湾)によれば、台湾ではコロナ対策成功事例を海外にアピールする政府の国際広報戦略の一環として公共放送に国際ニュースチャンネルが新設された。戦略そのものに異論はないが、プロジェクトに契約労働者を採用したり業務を外注化したりすることや、透明性や公共性の点で懸念があることを組合として指摘し、情報公開と専門職の公正な処遇を求める声明を大会で採択したと述べた。

エレン委員(香港)は、「香港の民主主義は死んだ」と題し、コロナ感染が拡大する中、政府や警察の横暴の数々を報告した。政府は覆面禁止法の名目でマスク着用を禁止したり、政府に中国本土と香港の境界封鎖を呼びかけストを決行した医療従事者を職場に戻るよう強制したり、警察は真実を伝えようとする報道記者に催涙ガスを噴射したりする。若い世代は自由の奪われた香港に失望しており、「香港を見捨てないでほしい、香港の労働者を救ってほしい」と、UNIの仲間に訴えた。

フィリピンでも、コロナ危機に乗じて反テロ法が成立し、政府に批判的なオンラインニュースサイト・ラプラーや民放ABS-CBN等が存続の危機に瀕している。

ゴビンダ委員(ネパール)は、大手企業でも人員整理が始まり、賃金未払い、賃金削減、賃金支払い遅延が発生し、労働者は健康危機に加え経済的危機にも直面していると述べた。

このような報告を受け、UNIの活動としては、コロナ禍で2021年初頭に予定されていた第3回UNI Aproメディア部会大会を2022年に延期することを確認した他、活動計画の中に、コロナ対応として、①メディア・娯楽産業及び労働者への影響を軽減するためのUNI Apro加盟組合の取組みを支援すること、②仕事への復帰や、コロナ後の対策、安全衛生手順に関して情報交換・経験共有を行い、姉妹組織と連携すること、③コロナの影響に関して、国際的な使用者団体との対話を促進し、UNI及びUNI世界メディア部会と連携することを追加した。


世界のアスリート、人種間の平等を要求する米国プロスポーツ選手を支持

米国のNBA 、WNBA、MLS、MLBで人種間の平等を訴えるプロスポーツ選手らが試合をボイコットしてスポーツ界を揺るがした翌日、ブレンダン・シュワブ世界選手会担当部長は、次の声明を出した。

「アスリートの行動によるスポーツ界の歴史的な動きは、社会を改革し、人権を押し進める原動力となりうることを示してきた。選手らのボイコットは、この闘いは続いていることを示している。北米でのプレー復帰に関する状況がいまだ不透明な中、1つだけ確かなことがある。人種間の平等を目指すアスリートの取組みは、断固として揺るがないということだ。北米や、その他アスリートらが声を上げるならどこであれ、その信念に対する我々の支援もまた、揺るがない」

ボイコットはNBAのミルウォーキー・バックスが先陣を切り、その後、北米のプロスポーツ界に広まった。ボイコットは、ウィスコンシンで29歳の黒人男性、ジェイコブ・ブレイクさんが警官に銃撃された数日後に始まった。これまで何年も、NBAのアスリートやNBA選手会は、構造的な人種差別の解体を先頭に立って要求してきた。

世界選手会は、世界のスポーツのガバナンスにおいて組織化されたプロスポーツ選手の声を代表し、NBPA、WNBPA、MBPLAを含め、60カ国以上、100を超える選手会の85,000人もの選手を結集している。


米国の郵便局を守ろう #SaveThePostOffice

世界250万人を超える郵便労働者を代表するUNIは、米国の加盟組合である郵便労組の闘いに連帯を示す。8月25日の行動デーに際し、米国郵便労組は「米国の郵便局を守ろう」と訴える声明を出した。

ルイス・デジョイ郵便公社総裁は最近、米国郵便公社(USPS)の変更計画を止めると発表したが、パンデミック中にUSPSを弱体化し、11月3日の大統領選挙前に何百万もの郵便投票を処理する能力を減らそうとする最近の試みを、UNIは引き続き警戒している。

「USPSは政府の意図によって人質にとられているようなものだ。政府は選挙までに郵便投票を阻止し、信頼できる必要な機関を弱体化させようと躍起になっている。郵便サービスは米国でも世界のどこでも、選挙運動に利用されるべきではなく、公益であり、政府の重要な機能なのだ」と、クリスティ・ホフマンUNI書記長は強調した。 UNIは、特にパンデミック期間の需要の高まりの中で、郵便サービス遅延の原因となるような措置に強く反対する。何百万人もの米国市民が、処方薬の配達、社会保障、障害者への補助金等を受けるために郵便サービスを頼りにしている。 「意図的に郵便局の機能を悪化させれば、米国市民の身体的健康や家計の健全性をも脅かす。つまり民主主義における最も基本的な権利を人々から奪うことになる」と述べ、「この動きは、郵便サービスのような人々に信頼される必要なサービスを含め、政府そのものを弱体化させようという右翼的な全体計画の一部のように見える」と警鐘を鳴らした。

米国はパンデミックの間に民間部門を救済するため数十億ドルを費やした。政府は公的部門も支援すべきだ。 USPSは63万人以上の従業員を雇用している。その多くが危機の間もずっと、自身及び家族を危険に晒しながら、献身的に働いてきた。新型コロナウィルス感染拡大のために、郵便事業に対する財政的圧力が高まっており、危機の間こそ政府の支援が必要である。 米国の郵便局を意図的に縮小すれば、収益に更に影響を及ぼす。この最も信頼され、不可欠な公共サービスを民営化するための策略として使われてはならない。

郵便サービスへの攻撃は米国に限ったことではない。UNI郵便・ロジスティクス部会は、郵便を民営化から守るため10万人の労働者がストを行っている、ブラジルの郵便労組も支援している。欧州でもUNIは、更なる民営化を阻止するため「私たちの郵便を守ろう」キャンペーンを展開している。


UNI Apro、コロナ禍の移民労働者に対する責任を果たすよう、民間企業に要求

UNI Aproは、市民社会組織及び労働組合と連携し、「未払い賃金を直ちに正すよう」要求する。労働者の権利と人権の保護を目指し、企業に法的義務を果たすよう求めるものだ。

新型コロナウィルスの世界的大流行によって、労使双方が非常に大きな困難に見舞われた。感染拡大が続く中で、最終的にどれだけの影響を受けるのか、ますます予測は困難になっていくだろう。しかし、移民労働者は、この危機の間に最も大きな影響を受けたグループであることは間違いない。

COVID-19に見舞われる前、移民労働者は、企業の繁栄に貢献する等、重要な役割を果たしてきた。しかし、一方的に経費削減策を取る企業も出てきており、労働者に悪影響が及んでいる。更に、移民受け入れ国の経済状況が悪化すれば、多くの移民労働者は本国に送還されることが予想される。

UNI AproはASETUC(ASEANサービス労組協議会)と共に、移民労働者が本国に送還されるまでに、未払い賃金や諸々の権利の請求がきちんと清算されるよう、あらゆる企業に強く要請する。パンデミックは、移民労働者の貢献を却下するための理由や言い訳にはならず、対価は払われねばならない。 要請の中では、労働者を賃金未払いから守るために使用者や企業が取ることのできる14の具体的な手順が示されている。今回の要求は、7月1日と9日に続く3回目の要求である。その中では、正当な賃金や手当を受けられずに本国に送還された移民労働者の苦境を打開するための世界的なキャンペーンとして、公正な仕組み作りを要求している。既出の2回の要求は、各国政府と国連の関連機関に対し、パンデミックのために職を失い、帰国した労働者の賃金関連の苦情や請求、労働紛争に対応する、暫定的な司法メカニズムを構築するよう緊急対応を求めている。


UNIメディア部会、女性役員情報交換

UNIメディア部会女性役員は毎年、世界執行委員会に合わせて情報交換を行っている。2020年はコロナ禍のため、8月10~11日、オンラインでの開催となった。新型コロナウィルス感染拡大が世界中のメディア・娯楽産業で働く女性に及ぼした影響について情報共有し、組合の情報発信におけるジェンダー描写について議論を行い、国際舞台演劇映画組合(IATSE)から、米国の同産業におけるジェンダー平等を求める闘いについての講演を受けた。

IATSEのジョアン・M・サンダース国際担当副委員長は、IATSEにおける女性労働者の地位向上を成し遂げた経緯を説明した。過去100年近く、撮影クルーにおいても組合役員においても女性比率は非常に低かった。しかし、時間はかかったが着実に、IATSEの女性は組合内で、女性の重要性を認識してもらい、その結果より高い役職に多くの女性が就けるよう、結束を深めて取組んできた。そうするうちに、組合の支部等にも効果が波及し、変化が起こり始めた。これらの努力が2015年6月6日、IATSE女性委員会の設立につながった。その翌年、IATSEは平等に関する声明も採択した。女性委員会は、女性の人脈作りやメンタリングの機会、各種教材を提供したり、ソーシャルメディアを活用したキャンペーンを展開したりする他、コミュニティにも働きかけたり、IATSE女性組合員の様々な活動を企画・実施している。その後、IATSEは2019年にプライド委員会を設立することによって、LGBTQ+組合員を含めるよう範囲を拡大し、組合及び広くコミュニティにおいて認知度を高めると同時に、LGBTQ+組合員に重要な問題についての意識喚起も行った。ジョージ・フロイドの死を受けて、ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大切だ)運動が国内外で注目され、とりわけ警察や司法当局による有色人種の扱いに注意が向けられるようになった。IATSEは現在、BIPOC(黒人、原住民、有色人種)組合員のニーズに応えられるよう、多様性委員会を改変しようとしている。ジョアン・M・サンダース副委員長は、「人種差別主義者でない」だけでは不十分だと強調し、我々は「人種差別反対主義者」だと断言しなければならないと訴えた。

ベロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は、今回のパンデミックが世界中の女性に及ぼした影響について話した。「感染拡大当初、女性に不足していたのは情報だった。労働組合がこのような例外的な状況の中で労働者の権利について、また危機からいかに自分を守るかについての情報を提供すべきであったのは明白だった」と強調した。UNI機会均等局は、女性労働者向けの教材を作成し、共有している。女性の多くは、エッセンシャルワーカーとして、命を危険に晒しつつ最前線で働いている。女性参加者の多くが、それぞれの国において、「コロナ危機を受けて実施されたロックダウンの間に、女性に偏って育児や家事の負担が増し、仕事との両立が難しくなった」、「育児サービスを受けられなくなり女性は仕事を辞めざるをえなかった」、「在宅・自粛期間中、明らかに家庭内暴力が増えた」等と報告した。UNI機会均等局は、加盟組織と連携し、例えばオンライン教育を受けられるようにする等、最も弱い立場にある女性が支援を受けられるよう働きかけている。

メディアにおけるジェンダーの描写について、UNIメディア部会女性ワーキンググループは、リーフレットを作成している。その目的は、組合内で、広報資料に関して男女をどのように描写しているかについての議論を始めることである。例えば、ある職種を無意識に特定のジェンダーに連想させる固定観念を押し付けるような広報資料をまだ見かける。リーフレットがまとめられたら、メディア部会加盟組織には、自組織の広報資料やジェンダー問題への取組みの評価に活用するだけでなく、ジェンダーを巡る描写について議論を奨励し、意識喚起のためにも活用することが期待されている。

日本からは、民放労連・女性協議会の岸田議長が、民放産業における女性役員の登用を求める取組みについて、日本俳優連合の森崎国際事業部長が、俳優をはじめとするフリーランス労働者への法的保護拡大の取組みについてそれぞれ状況を報告した。岸田議長は、女性役員を登用し多様性を確保しなければ先入観の無い倫理的な決定がなされず業界は生き残れないと訴えた。


米国のゲーム関連労働者がストで画期的な勝利

米国ボルテージエンターテイメントが制作するモバイルゲーム「ラブストラック」のライター達は、8月上旬に同社経営陣が平均78%の賃上げと業務における透明性改善に合意したのを受け、画期的ストライキを終了して仕事に戻った。今回、ゲーム開発産業の労働者が初めて、ストライキにより結果を残したことになる。

ライター達は、労働条件を改善するため、全米通信労組デジタル労働者組織化キャンペーン(CODE-CWA)に支援を求めた。そして、米国の労働法では、独立業務請負人のストライキは保護されていないが、ストライキに踏み切った。リスクを冒してまでも、共通の懸念を抱えるライター達を団結させ、戦略的に組織化する努力を重ね、勝利を掴んだ。

「ボルテージ社のライター達は、スト決行というとてつもない勇気をもって、21日間に渡り団結して仕事をしなかった。それが空前の成功につながったのだ」と、クリス・シェルトン全米通信労組(CWA)委員長は興奮して語った。「CWAの組合員はスト決行の威力を理解している。我々はボルテージ労働者がCWAファミリーの一員であることを誇りに思う。直面する課題に団結して取組むことは、労働者の生活を改善させる最良の方法だ。ライター達の勇敢な行動は、テレビゲーム産業だけでなく、労働条件改善のために闘おうとしている他の人々の模範となる」と絶賛した。

「私の賃金がかなり上がって、とても嬉しい」と、ストに参加したライターの1人、フランシス・メイプルズは素直に喜ぶ。「でもそれ以上に、今回の勝利は私にとって重要な意味がある。自分の給料のためだけに闘っているわけではない、組合と共に、仲間のライター達の給料のために闘っているのだと思えるようになった。ゲーム産業の中で、本当に歴史的な勝利だ。」

スト期間中、「ラブストラック」のライターに公正な賃金を払うようボルテージ社に要求する請願書に、4,000人を超えるファンが署名した。ファンらは、ライターに対する更なる支援を示すため、ボルテージの組織化された労働者への支援基金に、7,723ドルをカンパした。


アルゼンチン国立銀行でトランスジェンダーの割当雇用を獲得する歴史的合意

アルゼンチンのUNI加盟組織であるラ・バンカリアが国立銀行との間で、金融部門におけるトランスジェンダーの人々のための割当雇用制度を設置する協定に署名した。

この協定は、割当は「国立銀行の全従業員数の1%を下回らないものとする」と規定しており、その目的は、過去にこうした人々が被ってきた社会的排除と構造的差別を是正する具体策を導入することにある。

共同声明の中で労使双方は「これまでなおざりにされてきた人々を包摂し、こうしたグループの人々に対する歴史的・社会的な負債を認識し、是正することに全力を尽くし、全ての市民にとってより公平でより良い社会の構築に貢献していく」ことを目指すと宣言した。

ラ・バンカリア書記長を務めるセルジオ・パラッツォUNI米州金融部会議長は次のように述べた。「アルゼンチンの国立銀行は、この種の協定を締結した世界で最初の銀行となった。政府のインクルージョン(包摂)政策の後押しなくして、この協定は成立しなかったということを述べなければならない。この協定には、高度にイデオロギーに関わる内容が含まれている。これは割当雇用に限った話ではなく、認識を高めるキャンペーンや、専門職に対する教育研修にまで及ぶ話だ。正しい道を歩んでいると思う」

ギジェルモ・マフェオUNI米州金融部会担当部長は、この革新的な協定は、組織化された労働運動の歴史を変えるものであるとし「ラ・バンカリアがアルゼンチン最大の銀行で獲得したトランスジェンダーの地位は、社会で最も弱い立場にある人々を社会が公正に認識し統合していくための非常に大きなステップだ」と述べ、次のように続けた。

「この協定は国立銀行に留まらず、アルゼンチンの他行においても同様の事例を作っていくものだ。国境を超え、米州や世界中のあらゆる銀行においてトランスジェンダーの雇用割当のために闘っていくことを我々に迫るものだ。UNI米州金融部会は世界規模で調査したが、銀行がトランスジェンダーおよびトランスヴェスタイト*の人々の雇用割当に関する制度を設けるのは今回が初めてだということが分かった。このことは非常に誇らしく思うが、同時にあらゆる場所へと拡大していくことは大きな挑戦だ。その意味で、アルゼンチン国立銀行内労働組合委員会の今回の取組みを評価したい。こうした取組みが無ければ、話は違っていたであろう。」

また、ブリセイダ・ゴンザレスUNI米州機会均等部長は次のように述べた。「UNI機会均等局は、世界中のLGBTI+の労働者を含め、あらゆる被差別グループについて人々の意識を高め保護するためのキャンペーンを行ってきた。いかなる形態の差別も存在しないディーセントワークを促進していく上で、組合は重要な役割を担っている。今回、トランスジェンダーの労働者の権利と尊厳を守り、暴力や差別のない労働環境へと統合していく上で組合がどのように取組むことができるか、銀行は明確な模範となっている。」

 

*異性のものとされる服装を着用する人。狭義には、生物的・社会的な性転換を伴わない外面的な異性装や異性装者のこと。

 


海外委託に対する勝利:ウェストパックで1000の仕事を取り戻す

オーストラリア金融労組(FSU)の組合員は、オーストラリアの仕事が海外に委託されることに反対するキャンペーンを、長期にわたり懸命に展開してきた。ウェストパック・グループの労働者は、海外委託された1000の仕事がオーストラリアに戻ってくるとの報に喜んでいる。

この発表は、ウェストパック・グループの労働者にとって歓迎すべきニュースだが、広い意味でも経済にとって良いことである。オーストラリアの雇用を守ることこそ、経済回復の中心でなければならないからだ。

仕事が戻ったことにより、同行の既存のスタッフの雇用機会が、様々な分野において現在のみならず今後も創出される。目下のところ、大部分が住宅ローン等のバックオフィス処理業務、残りがコールセンター業務になると理解している。

ウェストパックが、業界をリードしてスタッフやコミュニティの声を聞き入れ、仕事を本国に戻したように、FSUと組合員は、金融産業全体で現在海外に委託されているオーストラリアの仕事を全て本国に取り戻すためのキャンペーンを継続していく。

FSUは、今回戻ってくる仕事の移行が円滑に進むよう、今後もウェストパック及び組合員と協力していく。

熟練が必要な、賃金の高いオーストラリアの仕事を守り、オフショアリング(海外委託)を止めるためのキャンペーンに参加した全てのFSU組合員を祝福する。今回の勝利は私たち皆のものだ。

(出典:FSUウェブサイト、2020年7月29日付)


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