3月 2020のお知らせ

危機の時こそ、世界の労働組合は労働者の権利を促進するため奮闘している

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、2020年3月30日、全ての加盟組織に以下のメッセージを送った。

皆様、家族、友人、コミュニティのことを心配しつつ、非常にストレスの多い日々をお過ごしのことと思います。コロナ禍が過ぎた後の世界は一体どうなっていることでしょう。収入保障や医療ケア、安全な仕事の無い人々にとっては悪夢です。UNIファミリーの多くの人がいつ終わるかわからない「ロックダウン(都市封鎖)」に近い状況下にあり、その数も増えています。在宅勤務を指示された人もいれば、仕事が無いと言われた人もいます。

また多くのUNIメンバーが大きなリスクに晒されながらも最前線で働いています。高齢者介護に携わる労働者、清掃員、警備員、食料品店等の労働者、郵便労働者等はみんな社会に必要不可欠とされています。毎日勇敢に感染リスクと闘っています。

一方で、テレビ・映画産業等、キャリアが中断され将来を見通せない労働者もいます。シーズン全体が中止という事態に追い込まれたスポーツ選手もいます。

UNIはこの間、加盟組織に連絡を取り、現場の声を集めることに努めてきました。加盟組織の新型コロナウィルス対策に関する優良事例を共有すると共に、皆さまが組合員を守る取組みを支援していきたいと思います。世界中の働く人々に適用される基準を勝ち取るため、組合として力を結集したいのです。ウィルスに国境は関係なく、我々が挑むには国境を越えた解決策が必要だからです。

全世界に感染が広まる直前の、約2週間前に、UNIは現状をよく理解するため加盟組織に初期の調査を行ったところ、我々の予想を超え、UNIの全ての部会から、そして5大陸、60か国、合わせて500万人近い労働者を代表する、170もの加盟組織から回答をいただきました。そこから得られたことは驚くまでもなく、組合は世界中の働く人々の状況をよくしているということでした。

この危険な中で組合員を守るため対応に奮闘されていることに敬意を表します。90%が、感染防止のため、組合員への情報提供を徹底していると答えています。

何百万人もの労働者は既に仕事を失い、この状況においては所得補償が決定的に重要となっています。組合があることは大きな違いをもたらすことができます。90%以上が、感染した労働者は、団体協約のおかげで、職場封鎖、隔離等の場合にも、賃金を全額受けることができると回答しています。多くの組織が、失職または一時解雇された労働者が国の制度上受けられる額に上乗せするよう使用者に要求しています。メディア部会の多くの加盟組織は、フリーランスのための特別な所得補償を交渉で勝ち取ったとのことです。

パンデミック(感染の世界的な大流行)は、何百万人もの労働者に在宅勤務を余儀なくさせました。50%以上が、新型コロナウィルス対策のため在宅または遠隔勤務をする時、組合員は明確に「つながらない権利」を持つ、つまり危機の間は「必ずしも常にオン」であることは期待されない、と回答しました。

皆さんの多くの組合員は、従業員の多い施設で働き、一般の人と接する仕事をしています。60%以上が、組合員はマスクや手袋等の個人用保護具不足に直面していると回答しました。例えば、清掃員、流通産業やコールセンターで働く人、介護労働者等です。そのような中で働き続け、更に超過勤務や週末勤務を要求されています。50%が、(使用者から)労働時間の延長要求を受けたと報告しています。例えば、食料品店、清掃部門、コールセンター、郵便部門、医療部門で働く人々です。

最後に、世界中の労働組合は、団体協約が確実に実行されるよう、そして、政府や使用者に労働者の健康と生計を守る新たな対策を要求する等、休むことなく取組んでいます。70%以上が、現在、有給病気休暇、安全衛生研修の強化、更なる保護具の支給等を要求していると回答しました。

今回、勝ち取ることのできた利益、とりわけ病気休暇や医療面の利益は(今回限りではなく)恒久的なものとするよう主張すべきです。83%の回答者は、労働安全衛生面の法律や、有給病気休暇の拡大等、恒久的な改革を要求する予定だと答えています。

UNIの殆どのスタッフ及び役員は現在、在宅勤務をしています。しかし、我々の多くの多様なメンバーの権益を代表する取組みを中断しているわけではありません。各部会は、優良事例を収集し、使用者にグローバルな基準を求めて精力的に交渉しています。3月27日には、UNIはUPU(万国郵便連合)と、新型コロナウィルスから労働者を保護する対策に関する協定を調印することができました。他の部会も、使用者と交渉するための指針を発表しています。

UNIは皆さんが使用者に、有給病気休暇や職場での適切な距離の確保等を交渉する取組みを支えていきます。まだ組合員でない人に、安全な労働条件を要求するため、団結を呼びかけ組織化をしています。コールセンターに手の消毒液設置を、食料品店にマスク支給を要求し過ぎることはありません。介護労働者に防護具なしに働くよう強制することがあってはなりません。

これは軽んじられるべきではありません。UNI加盟組織の中でも既に、少なくとも3人の、公衆と接する仕事に就くメンバーがウィルスに感染して亡くなりました。郵便労働者、食料品店労働者、警備員です。残念ながら、この先も死亡者が増えると予測されます。

そして、この危機が終息した時、壊れた経済を立て直し、社会契約を中心に据えた環境に優しい経済を再建する必要があります。危機の時こそ団結を強め、もっと強力な組織になりましょう。

労働者の生活を改善するため、皆さんが日々ご奮闘されていることにあらためて感謝申し上げます。どうぞ安全にお過ごしください。そして連絡を取り合っていきましょう。

連帯を込めて


UNIとUPU、郵便労働者を守るための統一行動を呼びかける

UNIと万国郵便連合(UPU)は、2020年3月27日に調印した共同声明の中で、新型コロナウィルスが世界的に大流行する中、地域のために働き続ける世界中の郵便労働者の安全と健康を守るため、迅速に適切な対策を取るよう郵便事業者及び郵便労組に呼びかけた。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「社会的距離を取らねばならない時に、郵便労働者は必要なものを届け、人々をつないでいる。最前線で働く彼らの安全こそ最も優先すべきだ。このような国際基準を適切に実施することで、コミュニティに不可欠なユニバーサルサービスを提供する労働者を守ることができる」と訴えた。

ビシャ・フセインUPU国際事務局長は、「国際郵便ネットワークの維持にとって最も深刻な問題に直面していることは間違いない。困難な時ではあるが、郵便事業者には労働者と消費者の健康を守るため全力を尽くしてほしいと願っている」と述べた。

協定は以下の通り。


新型コロナウィルス・パンデミック(世界的大流行)の間の郵便事業に関するUPUUNIの共同声明

2020327日、スイス・ベルン

都市封鎖、社会・経済活動の自粛・制限期間中であっても、郵便サービスは、社会基盤の1つとして運営されている。郵便ネットワークを通じて、危機の間でも、日々のコミュニケーションや人々への荷物の配送が可能となっている。

現在の新型コロナウィルスの世界的な大流行は、郵便のユニバーサルサービスが不可欠なサービスであるとみなされる理由を実証している。市民が利用できるコミュニケーション手段が限られ、自由な移動が制限される時、郵便ネットワークは、確実にどの世帯にも、家庭用品の配送から支払い手段まで、幅広いサービスを提供する。

これらの重要な役割は、世界中の献身的な郵便労働者によって果たされ続けている。

万国郵便連合(UPU)は郵便事業者間の協力のための主要フォーラムとして、UNI は世界中の郵便労働者を代表する組織として、世界の郵便インフラが社会全体に貢献すると共に、郵便労働者の健康を守るため、尽力する。

UPUとUNIは、郵便事業者と郵便労組を支援するために全力を尽くし、郵便労働者と顧客の健康を守るために情報開示に基づく積極的な取組みを行う。

我々は、郵便事業者と郵便労組に次の通り要請する。

  • 感染の危険性、個人用保護具(PPE)の使用や衛生基準維持の重要性について、全ての郵便労働者に情報提供する。
  • 郵便労働者へ個人用保護具を支給し、全ての郵便施設でウィルスの感染を防止するため、職場・仕事用具、車両を定期的に消毒し、職場で安全確保に必要な距離を採用する。
  • コミュニティの感染リスクを低減する対策を取る。郵便労働者に、衛生・防止手続きに従う機会と時間を与え、必要に応じて、自主的な隔離や、適切な職場規則が定める有給の病気休暇を取得する機会を与える。
  • 感染リスクの軽減に適した区分・配送方法を採用する。

ウィルスの蔓延を止め、命を救い、現在の危機の最中、更に危機を超えた先に、信頼性のあるサービスを提供する災害に強い郵便事業を築くには、関係するステークホルダーとの協力が欠かせない。

UPUとUNIは協力して、現在の困難に直面する郵便産業を国際レベルで支援していく。

UPUとUNIは、この危機の最中に、郵便ネットワークの運営継続のために尽力し、関わり続ける世界中の全ての郵便事業者、郵便労組、郵便労働者に感謝する。我々は、世界の人々の役に立つという我々に託された役割を誇りをもって果たしつつ、このパンデミックを克服し更に強靭な事業となれることを確信している。

署名

UPU 国際事務局長 ビシャ・フセイン

UNI 書記長 クリスティ・ホフマン

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万国郵便連合(UPU)は、スイスの首都ベルンに本部を置く国連の専門機関である。1874年に設立された世界最古の国際組織の1つであり、郵便事業者間の協力のための主要フォーラムである。

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本件に関する問い合わせ先:

万国郵便連合(UPU)

広報・イベントプログラム・マネージャー

デイビット・ダッジ

携帯: +41 76 457 36 54

職場: +41 31 350 31 23

Eメール: david.dadge@upu.int


スウェーデン商業労組、新型コロナウィルス危機の間に組合員5000人増加

UNIに加盟するスウェーデン商業労組ハンデルは、新型コロナウィルス危機の間の解雇回避と労働者の賃金維持を求めて小売業使用者との交渉に成功し、2020年3月だけで組合員が5000人増加した。

ハンデルと使用者団体であるスウェーデン商業連盟(スヴェンスク・ハンデル)は、従業員の労働時間を20%、40%、または60%まで短縮することに合意した。しかしながら、賃金は、国からの補償によりそれぞれ僅か4%、6%または7.5%の低下で済む。つまり、労働者は、自らの仕事を守り、かつ、収入も高レベルに維持できるというわけだ。

この協定は、スウェーデン政府が解雇を避けるために労働時間の短縮を可能にする新しい法制度を導入した後に締結された。

ハンデルと使用者団体は、ウィルス拡散を防止し、商業部門の雇用喪失につながる経済への悪影響を避けるための共通ガイドラインにも合意した。このガイドラインは、労働条件の迅速な変更を可能とするが、意思決定プロセスに各地の組合及び従業員を巻き込む必要性を強調している。

スウェーデンでは、これまでに、2000件以上の新型コロナウィルスの感染報告があり、30人以上がこのパンデミックで命を落としている。危機は益々拡大し、経済や商業部門に深刻な影響を与えているが、ハンデルの協定は、こうした危機への対応時に、団体交渉と対話がいかに重要な役割を果たすかを示すものである。

雇用、賃金、労働者の健康を守るためのハンデルの取組みは、労働者の支援を求めるニーズの高まりと相まって、組合員の劇的な増加につながった。通常の組織化活動の多くが新型コロナウィルスのせいで停止しているが、ハンデルは、電話やインターネットを利用した運動を展開することにより、新規組合員や潜在的組合員に接触している。

ハンデル会長でありUNI欧州商業部会議長を務めるスザンナ・ギデオンソンは次のように訴えた。

「今こそ我々の組織の真価が試されており、嬉しいことに労働者が新たにハンデルに加入している。我々を取り巻く世界は混乱に陥っているが、組合は断固闘っている。我々は皆、長期に渡りこの危機がもたらす結果と共に生きていかなくてはならない。しかし、我々の職務の基本は常に変わらない。それは、組織化と影響力の拡大だ。」

クリスティ・ホフマンUNI書記長はハンデルの組合員増加を称賛し、こう語った。

「ハンデルは、この困難な時に商業労働者にとって強い組合が重要であることを益々明確に示してくれている。組合は、最前線で働く商業労働者を守り、更なる保護と権利を獲得するために闘いながら力を構築し続けることができるし、それをしなくてはならない」


郵便労働者も最前線で働いている!UNI郵便・ロジスティクス部会、新型コロナウィルス対策ガイドラインを発行

郵便労働者が新型コロナウィルスに晒される危険がますます高まる中、UNIは郵便・ロジスティクス部会の組合に向けた安全衛生防止策をまとめた。

英国から米国、スペインからセネガルまで、新型コロナウィルスのパンデミック(世界的大流行)という危機にあっても市民のために働く郵便労働者は個人用防護具や他の安全対策が足りないと訴えている。

スペインでは先週、郵便労働者が1人亡くなり、これまでに少なくとも200人の郵便労働者が陽性だと報告されている。世界どこにおいてもその影響は出ており、米国では20人以上の郵便労働者が感染した。彼らはウィルスに対し無防備だと感じ、無意識に他人を感染させてしまうことを恐れている。

「郵便・ロジスティクス労働者も最前線で働いている。緊急とは言わないまでも、日常生活に不可欠なサービスを提供している」とコーネリア・ベルガーUNI世界郵便・ロジスティクス部会担当局長は強調する。「組合として、労働者や市民を守る責任だけでなく、いかに日常の配達インフラが社会全体の役に立っているかを確かめる責任もある。」

そのため、UNI世界郵便・ロジスティクス部会は、郵便事業体に以下のガイドラインを提案している。

情報・支給・行動ガイドライン

UNIは世界90か国、250万人の郵便・ロジスティクス労働者を代表する。情報・支給・行動ガイドラインは、部会のUNI加盟組織と協議してまとめられた。

目的は、世界中の全ての郵便・ロジスティクス労働者の安全衛生並びに顧客の安全を確保し、ウィルスの急速な感染拡大に歯止めをかける取組みを支援することである。主に3つの要求から成る。

  1. 情報
  • 会社は、感染リスクについて定期的に郵便労働者に情報提供しなければならない。これには、個人用保護具(PPE)の使用、衛生基準、客との接触の仕方、危険な地区への配達、感染地区からの物品の取り扱い等も含まれる。
  • 組合は、郵便労働者に権利と義務、新型コロナウィルスに関して確認された措置や取り決めを周知しなければならない。
  1. 支給
  • 会社は、全ての労働者への個人用保護具(防護服、用具、フェイスマスク、手袋、石鹸、消毒薬)を支給しなければならない。全ての郵便施設(郵便局、区分センター、配送センター、休憩室、倉庫等)でウィルスの感染を防止するため、職場・仕事用具、車両を定期的に消毒し、職場で安全確保に必要な距離を採用(室内での労働者及び顧客数の制限、プレキシガラスの壁の設置)する等の対策を取らなければならない。
  1. 行動
  • 組合は、社内のあらゆる等級・あらゆる雇用形態の労働者を対象とした、有給病気休暇、有給育児休暇、自主的隔離の場合の有給休暇を交渉することとする。組合は更に、導入された措置が適切に実施されるようにする。
  • 会社は労働者に、衛生・防止手続きに従う機会と時間を与えなければならない。自主的な隔離や、育児/病気休暇を取得する機会を与えなければならない。危険な配達、危険物の取扱、或いは危険を有する顧客へのサービス提供を拒否する機会を与えなければならない。
  • 会社は、可能な限りテレワークの導入、組織的な隔離、物品の消毒、サイン不要の受取システム(顧客は配達員と対面せずに小包を受け取ることができる)の導入、カード払いを奨励し現金払いを減らす、感染者と接触した労働者を15日間強制隔離する等、感染リスクを低減する対策を実施しなければならない。

米国の郵便外勤労組(NALC)は、組合員の安全確保、安全な作業手順の徹底、感染者の休暇延長や、手の除菌ローション、手袋、消毒用ティッシュ等の供給不足対策等について、経営側と緊密に連携している。「毎日の配達員の仕事は、米国の人々に不可欠だ。この困難な時期こそ、生命維持・救命の物資を届けるその役割はより大きくなった。全ての配達員に、自分自身を守り、同僚を守り、客を守るための予防策を取るよう徹底させている」とローランドNALC委員長は語る。

英国の通信労組(CWU)は、労働者が安全であることを前提に、組合員はパンデミックの中でも配達し続ける用意ができている、と述べた。組合はロイヤルメールに、安全な距離の確保、バンの共有中止等、より厳格な安全保護策を要求している。組合は、新型コロナウィルスを理由とする自主隔離や休みは病気休暇として数えず、基本給が全額払われるよう、交渉することができた。「労働者の安全確保が第一だ。だが、先は長い」とウォードCWU書記長は語った。安全装置や基準が局毎に異なる中、安全規則がきちんと守られるよう、CWU職場代表は休むことなく取組んでいる。

パキスタンでは、感染者数が激増した直後、一部閉鎖となった。UNIは加盟組合からの要請を受け、政府及びパキスタンポスト経営側に、組合と協力し包括的なリスク評価を実施し、全ての郵便労働者を守る作業方法を採用するよう要請した。

「危機に直面して、郵便労働者の安全性を維持しつつ、郵便サービスの提供を維持するには、緊急に対策を講じる必要がある」とベルガーUNI世界郵便・ロジスティクス部会担当局長は強調した。「このガイドラインはそのための重要な第一歩だ。」


韓国保健医療労組、新型コロナウィルス撲滅と医療制度改革のために団結

世界は、公衆衛生上、近年まれにみる最悪の危機に直面しているが、韓国の新型コロナウィルス対策は、他の感染国が見習うべきモデルであると称賛されている。UNI加盟組織の韓国保健医療労働組合(KHMU)が代表する医療従事者は、ウィルスを抑え込むための国の効果的な対策の中心で奮闘している。

新たな感染率や致死率が抑えられたのは、強く団結した韓国保健医療労働者の対応があったからであり、国民から労働者への支持は大きくなった。組合は、4月15日の総選挙までの間に、韓国の医療制度に必要な改革を要求するために、この支持を追い風にしている。要求事項として、国立感染症予防病院、国立公共衛生大学院、及び公立病院のスタッフ増員が加えられた。

「韓国の医療従事者は、新型コロナウィルス撲滅に向けて、いかに協力すべきかを世界に示してくれた」とクリスティ・ホフマンUNI書記長は称えた。「社会がうまく機能するためには、強固な保健医療制度において、勤勉で高度に訓練された医療従事者が守られていなければならない。この緊急事態に学んだことがあるとすれば、政府と使用者は、いかなるウィルス対策においても、人間を優先するために必要なことをすべきだ、ということだ。」

韓国の感染発生の震源地である大邱医療センターの看護師たちは、ほぼ常時(椅子や床で仮眠をする間でさえ)レベルDの特別防護服、二重の手袋、特殊ヘルメットを身に着けて、12時間シフト2交代で患者の世話に当たった。看護師の1人は、「家族のことがとても心配だったけれど、夫が子供たちの世話をするから心配しないでと励ましてくれた。人々の命を守るために一生懸命働きたい」と語った。

大邱のスタッフの負荷を軽減するために、韓国の他の地域からの医療スタッフが加わった。3月14日、ソウルの国立医療センターで働く看護師24人(KHMUの組合員)が、大邱に向けて出発した。アン・ソギュンKHMUソウル支部長は、出発前の看護師たちに、「大邱市で看護師不足が続いてると聞き、リスクを承知でこの困難な決断をした。最善を尽くしてほしい」と激励すると共に、無事を祈った。

労働者と患者を守る

ソウル大学校のユ・ビョンソン教授が、最近、ミョンジ病院の医師、看護師、事務スタッフ1300人を対象に調査をしたところ、53.4%が感染リスクにさらされていることが判明した。回答者の多くが、業務の激増により疲弊していると訴えた。そこでKHMUは、医療スタッフへの支援を政府に要求した。

KHMUの働きかけが奏功し、政府は医療従事者を守り補償するための補足的対策を発表した。これにより、現在コロナウィルス治療に当たっている計2124人(医師1128人、看護師793人、スタッフ203人)に、超過勤務手当が補償され、休憩時間が増やされ、マスクが追加支給される。

団結した迅速な対応

韓国における新型コロナウィルス感染数は、31人目の陽性患者(海外渡航歴なしの61歳女性)がスーパースプレッダー(感染拡大の感染源)となった1月後半に急増し始めた。この女性は、韓国南部の大邱市にある新天地イエス教会の礼拝に参加していた多くの信者を無意識に感染させた。この教会は、韓国全土に28万人の信者を抱える。

陽性確定数が増加するにつれて、大邱市長は、医療人員不足のため、韓国全土に支援を訴えた。各地の医師や看護師が支援要請に応じた。アン・チョルス野党代表も病院のボランティア活動に妻と共に参加した。多くの医師が彼らの医院を一時閉鎖して大邱に駆けつけた。

KHMUは、このような献身的な労働者の努力を称えるため、彼らに感謝のメッセージを送るよう、ソーシャルメディアキャンペーンを立ち上げた。国中から、愛と感謝のメッセージに加え、食料や果物が続々と寄せられている。


スペインの労働組合、新型コロナウィルス対策としてスーパーマーケット労働者の保護を確保

スペインの商業労組は、仕事が激増し、従業員に新型コロナウィルス感染の恐れが高まる中、スーパーマーケットで働き続ける労働者のためにより良い職場の安全衛生環境を確保した。

UNI加盟組織である、UGT商業部会及びCCOOサービス部会は迅速に、使用者に様々な保護を要求し、既に、労働時間の短縮、パート労働者数の増員、全労働者へのマスク・手袋の支給等を勝ち取った。

クリスティナ・エステベスUGT商業部会書記長は、次のように訴えた。「スーパーマーケット労働者にも健康を維持する権利がある。そして、このような権利は全ての労働者に保証されるべきだ。」

組合はまた、過重労働に対する金銭補償、入店人数制限、ウィルス拡散から人々を守るために顧客に一定の距離をとらせる制限の厳格化も要求している。

スペインのスーパーマーケットチェーンのメルカドーナは、従業員の献身を称え、9万人の労働者の3月分の給与に20%上乗せした。

しかし、新型コロナウィルスによる特別な状況下で、客がスーパーに押し寄せ、労働者は悲鳴をあげている。

「このところ、商業部門、とりわけ大型スーパーで働く私たちは、最悪の経験をしている。人々はパニックに陥り、店舗に押し寄せてくる」と、レジ係で組合員のヴァネッサ・バルコは嘆いた。「私たちにも家族がいるし、何よりも危険に晒されて怖いのに、そんな思いは配慮してもらえなかった。組合があったおかげで、私たちの健康が保障されるよう要求できた。」

CCOOサービス部会の商業部門を担当するアンヘレス・ロドリゲスは次のように述べた。「私たちがまさに経験しているように、健康がリスクに晒されているにもかかわらず、労働者の健康よりも売上を重視するスーパーマーケットがあるのは残念だ。人々のために働くことで感染の危険に晒されている労働者がいることを認識すべきだ。」

UGT及びCCOOは団結して、業界を問わず、政府に労働者の保護を要求し、契約解除された労働者への失業手当給付、ローンの支払い猶予、経営困難に陥っている会社への特別支援金等を確保した。

「危機の時こそ労働組合は、組合員と国民の健康を守るために取組みを強化している」と、マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は強調した。「スペインでも、そして世界各国で組合は頑張っている。」


韓国のUNI加盟組合、コールセンターにおける感染拡大防止策を要求

UNI加盟組織である韓国事務金融労連(KFCLU)及び韓国サービス労連(KFSU)は、業務委託先での集団感染を受けて、コールセンター労働者を守るための緊急措置を要求する緊急共同声明を発表した。コールセンター労働者は、狭い職場に詰め込まれていることが多いため、感染リスクが高い。

この声明は、3月10日に保険会社の委託先コールセンターで新たなクラスター感染が発生したとソウル市が発表した後に出された。労働者とその家族、合わせて90人が新型コロナウィルス検査の結果、陽性と判明した。労働者の多くは組合員である。

共同声明は、委託元の保険会社に、委託先の雇用を守り、他のコールセンターに契約を切り替えないよう要求すると共に、この危機に際し企業は社会的責任を果たすよう要請した。労働者は、応対ノルマを達成するよう会社側からプレッシャーをかけられていると訴えたが、適切な予防措置が取られていないのは明らかだ。

組合はまた、感染した労働者を助けるため、特別災害予算から生活費支援を支給するよう政府に要求した。KFCLUは、雇用労働省に対し、安全な職場環境を保障するために、隔離及び予防措置に関する政府のガイドラインを遵守するよう、コールセンター会社の徹底調査を迅速に実施するよう要請した。ソウル市は、ウィルス対策の準備状況とこれまでに取られた措置について、公的機関及び民間企業によって運営されるコールセンターを調査する意思を示している。

KFSUは、職場の問題を浮き彫りにするため、3月11日に記者会見を開いた。カン・ギュヒョクKFSU委員長は会見で、職場の感染防止措置は不十分であると訴えた。

KFSUは、感染した労働者にコストを押し付けないよう、委託元の保険会社への要請を繰り返した。記者会見で会社に出された主な要求は、個人用保護具の支給、体温計設置、隔離または強制休業させられた労働者への賃金支払い等、職場に必要な措置を取ることである。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、韓国加盟組織が行った要求を支持し、次のように述べた。「我々の加盟組織のメンバーが今まさに、世界的に発生している健康上の脅威に直接晒されていることは残念である。まずは、感染した組合員とその家族の一刻も早い回復を、更には、彼らの雇用が守られ、休業中も賃金が支払われることを願っている。加盟組織は、この危機的状況において、影響を受けた労働者の声を代弁する極めて重要な役割を果たしている。UNIは加盟組織の取組みを全面的に支援する。」


カナダ郵便労組、ギグ労働者に歴史的な勝利

UNI加盟組合であるカナダ郵便労組(CUPW)は、2020年2月25日、ギグ労働者のために大きな勝利を収めた。オンタリオ州労働委員会が、フードラの配達員は、依存的契約労働者(dependent contractor)であるとの判決を下したことにより、組織化し組合を結成する法的権利が与えられたのだ。

この歴史的な判決の中で、CUPW及びフードスターズ・ユナイテッドは、配達員はフードラが主張するような独立請負人(independent contractor)ではないと主張し、認められた。独立請負人と分類されると、配達員は組合に加入することができず、フードラは使用者の責任を逃れることができた。

ヤン・シンプソンCUPW委員長は、「この判決で、オンタリオ州の数千人ものギグ労働者のために形勢が変わってきたと言える。間もなく彼らは組合に入る権利を手にするだろう。CUPWは、このフードデリバリー・アプリ大手に挑み、労働者の権利と安全、尊重を確保し、このような仕事の未来を形作ることに関与できて誇りに思う」と喜んだ。

フードラでの受注ベースの賃金支払いモデルは、食事配達プラットフォームで働く配達員にとって、受注が少ない時には往々にして最低賃金にも満たない賃金しか受け取れないことを意味する。一方、自転車、自動車、スクーターの維持費に数千ドルを費やさなければならない。配達員の殆どが働くオンタリオ州都トロントの路上で、怪我や事故の危険性にも晒されている。

「この判決は単なる勝利ではなく、プラットフォームで働く我々労働者自身が管理職であるとか、プラットフォームから保護を必要とせずに業界に参入する起業家だという議論を完全に切り捨てた。我々は労働者であり、それもきつい仕事だ。起業家ではない」とフードラの配達員は述べた。「依存的契約労働者だと裁定されたので、カナダの全てのギグ労働者に組合結成のドアが開かれた。カナダ最大の都市の大手プラットフォームで足掛かりをつかんだのだから、プラットフォーム経済で働く労働者の保護、尊重、ディーセントな賃金を求める闘いに他の労働者が加わるのは確実だ。」

この訴訟は、多くのギグ労働者や組合に注目され、プラットフォーム上の労働条件も脚光を浴びていた。そのおかげで、労働者の問題や権利についてより良い規制を求める機運が高まっていた。

「CUPWの勝利は、フードラ配達員だけでなく、カナダの全てのギグ労働者にとって大きな第一歩だ。スイス、オーストリア、ノルウェーの組合がプラットフォーム事業者と団体協約を交渉した後に続く朗報で、ギグエコノミーで働く労働者により良い保護を勝ち取る上で、また一歩前進した」と、コーネリア・ベルガーUNI郵便・ロジスティクス部会担当局長は称えた。

ギグエコノミー:インターネットを通じて単発の仕事を受発注する非正規労働によって成り立つ経済形態のこと。ギグとは本来ジャズの単発ライブ演奏を指した俗語であり、転用されて「単発の仕事」という意味で広く使われるようになった。

ギグ労働者:仕事を仲介するプラットフォームを通じて、自分の空き時間に単発の仕事を請け負う労働者。


商業部門に暴力やハラスメントを売る店は無い

3月8日、UNI世界商業部会は、UNI機会均等局と連携して、“商業部門に暴力やハラスメントを売る店は無い”と称する新たなキャンペーンを立ち上げた。

このキャンペーンは、仕事の世界における暴力やハラスメントの撲滅に関するILO第190号条約の批准を促進すると共に、商業部門における暴力やハラスメントの撲滅に向け、UNI世界商業部会加盟組織の取組みを支援することが目的である。

欧州生活労働条件改善財団(Eurofound)の労働条件調査によれば、商業・小売産業労働者は、仕事中にハラスメントを受けるリスクが極めて高いという。第三者(顧客)からの暴力が多発しており、特に女性労働者は悪質な嫌がらせに苦しんでいる。

UNI世界商業部会加盟組織が実施した調査でも、問題の深刻さが際立っている。SDAの調査によると、オーストラリアでは、小売労働者のうち実に85%が過去12ヶ月の間に嫌がらせを経験したという。多くの事例があるにも関わらず、暴力やハラスメントの報告件数は少ない。英国USDAWの調査では、店舗で暴力や脅迫を受けたことのある店員のうち、56%が使用者に報告しなかった。商業労働者の中には、「暴力、ハラスメント、嫌がらせ」は仕事の一部だと諦めている人もいる。

UNI世界商業部会加盟組織は、顧客からの暴力をなくすための画期的なキャンペーンを展開している。例えば、英国USDAWの「恐怖からの解放」キャンペーン、オーストラリアSDAの「誰も叱責されるいわれはない」キャンペーン、日本・UAゼンセンの「悪質クレーム対策」、米国RWDSU-UFCWの「小売業アクション・プロジェクト」等である。

「これらのキャンペーンは、グローバルに闘う勇気をくれるものだ」とマタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は絶賛する。「暴力やハラスメントは仕事の一部ではない。ILO第190号条約が認めている通り、誰もが暴力とハラスメントのない仕事の世界で働く権利を持っている。UNI世界商業部会とその加盟組織は、商業部門におけるこの権利の実現に引き続き取組んでいく。」

キャンペーンを通して、UNI世界商業部会は、

  • 商業部門における暴力とハラスメントの根絶に向け、国際的により高い基準を設定するため、グローバル枠組み協定の中に、より良いルールを盛り込むよう交渉する。
  • UNI世界商業部会の会議において、暴力とハラスメントに関する特別セッションを企画する。
  • 各国でキャンペーンを実施するよう、UNI世界商業部会加盟組織を支援する。
  • ILO第190号条約の批准のために、各国当局に加盟組織と共同で書簡を送付する。
  • 2020年11月25日に国際行動デーを企画する。
  • UNI世界商業部会加盟組織の優良事例を集め、共有する。

UNI世界商業部会は、商業部門における暴力・ハラスメント事例の分析、ILO第190号条約を理解するための簡単なガイドブック、商業部門における暴力・ハラスメント根絶に向けた10のアクション案等を含むキャンペーンツールキットを作成している。ILO第190号条約


3月8日、国際女性デー:労働の世界における暴力やハラスメントを撲滅するため、今こそILO第190号条約の批准を

今年3月8日の国際女性デーにあたり、UNIは世界中の加盟組織にILO第190号条約の批准を各国政府に要求するよう呼びかけている。この歴史的な条約は、2019年6月のILO総会で採択された。労働分野における暴力やハラスメントの撲滅を目指す、初めての国際基準である。

ILO第190号条約

しかし、この条約が発効するためには、2020年6月までに少なくとも2か国に批准される必要がある。これまで、ウルグアイしか批准していないが、アルゼンチン、フィンランド、スペインも批准をコミットしている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は次のように訴えた。「ILO第190号条約は人生を変えることができる。その実現に向けて我々一人ひとりに果たせる役割がある。組合には、各国政府へのプレッシャーを倍加してほしい。この条約を批准しない理由はどう考えても無いのだから。暴力やハラスメントは、職場だけでなく、どこであっても許されるものではない。」

この画期的な条約は、あらゆる産業の全ての労働者を対象とし、とりわけ被害者は女性に偏っていることを認識し、特にジェンダーに基づく暴力やハラスメントに言及している。第190号条約は、職場に限らず、労働の世界全体を対象とし、顧客やクライアント、サービス提供者といった第3者からの暴力・ハラスメントも含む。

3月8日のアクションとして、商業部門で何百万人もの労働者を代表するUNIは“商業部門に暴力やハラスメントを売る店は無い”というスローガンで、流通労働者を守るキャンペーンを開始した。加盟組織に、ILO第190号条約の批准を各国政府に要求すると共に、職場における暴力やハラスメントを撲滅するための独自のキャンペーンを開始するよう、呼びかけるものだ。

UNIは既に、テレコム大手オレンジ社等、多国籍企業とのグローバル協定にこの条約の視点を盛り込むよう交渉している。加盟組織にも、ジェンダーに基づく暴力を禁止する強力な方針を団体協約に反映するため、第190号条約の文言をツールとして交渉に活用するよう奨励している。

UNIはまた、機会均等局の取組み(ニュース、キャンペーン、文書、その他情報等)をチェックできる、スマートフォン用アプリを立ち上げた。是非、「UNI Equal Opportunities」で検索してスマホにダウンロードして活用してほしい。

「3月8日に新たなアプリを披露できて嬉しい。このアプリを通じて、世界中の女性労働者に我々の取組みを知らせ、共有することができるようになる。ILO第190号条約の重要性や、暴力撲滅の取組みについて意識喚起を行う素晴らしいツールとなるだろう」と、ベロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長はアプリの効果に期待を寄せた。アプリは無料でダウンロードできる。(iOS及びAndroid対応)


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