1月 2020のお知らせ

UNI世界商業部会、自動車販売労組ネットワークづくりを確認

2020年1月20~22日、スペイン・バルセロナにおいて、UNI世界商業部会委員会が開催され、25か国、31組織より、委員、オブザーバー、ゲスト、事務局等、60人が出席した。

日本からは、八野UNI世界商業部会副議長(UAゼンセン副会長)、藤田UNI世界商業部会運営委員代理(自動車総連副事務局長)、中野UAゼンセン国際局長が参加した。

主な議題は2019年度活動報告、2020年度活動計画、多国籍企業対策(業種別アライアンス会議報告と次ステップの議論、GFAの新たな方向性)、商業部門の職場における暴力・ハラスメント撲滅、自動車販売労組ネットワーク構築、等であった。

責任あるリストラに関する戦略文書

商業部門はかつてない速さで変化を経験しており、従来のリストラの動機の他に、新技術の導入(デジタル化、自動化)、配達サービスの急成長、競争激化、「Eコマース革命」等により、企業は常に改革に迫られている。商業部門でリストラが頻発している中、雇用及び、労働者と労組の権利を確実に保護するよう規制する必要があるとの認識から、リストラを幅広く定義し、責任あるリストラの主要10原則を明確にすることを目的に、「責任あるリストラに関する戦略文書」案が提起され、議論が行われた。リストラを行う場合でも労組と協力した前向きなやり方があることを、UNIが世界の優良事例から示すのは有意義だとして、方向性は確認された。八野副議長は、守秘義務との関連で情報公開のタイミングについて明記することを提案し、労使の事前情報共有の中でこの10原則の実施を担保するよう交渉することが重要だとコメントした。文言や企業への提示の仕方等は今後詰めていく。

Eコマース部門

Eコマースの動向に関する詳細報告を受けた後、2019年の作業部会のまとめとして、3つの課題が挙げられた。①Eコマースの組織化、②訓練・スキルアップ、③新たに創出される仕事の評価である。これを受け、2020年度は、Eコマース及びデジタル化のインパクト対策(デジタル化された職場における労働者の労働条件や権利保護に関する優良事例の共有、「公正なデジタル化」に関するUNIの方針を多国籍企業とのGFA交渉に反映する等)、Eコマース企業の組織化(ターゲットとする国でマッピング、Eコマース企業の組織化の経験を持つ加盟組織の経験を収集、ターゲットとする国で職場委員・職場代表を訓練)に重点的に取組むことが提案され、委員会はこれを承認した。

商業部門の職場における暴力・ハラスメント撲滅

八野副議長から、UAゼンセンが推進している悪質クレーム対策について経過を報告し、啓発ビデオを共有した。ビデオは非常に好評を博し、世界委員会でYouTubeのリンクを共有した。また、UAゼンセン及びオーストラリアSDAの取組み事例をUNI Apro商業部会が編纂したガイドラインについても、世界委員会で共有した。

職場における暴力・ハラスメントの撲滅に関するILO条約の批准を求める取組みについて、UNI商業部会としては、特に商業部門に特化したキャンペーン「商業部門には暴力やハラスメントを売る店はない」を2020年の3月8日から1年間、展開することが提案され、承認された。

自動車販売労組ネットワーク構築

事前に実施した自動車販売に関わる労働者・組合の調査結果について報告を受けた。続いて、藤田委員(代理)は、日本の自動車販売労組の状況や産業の課題について紹介し、自動車業界の大変革期を乗り切る上で、UNIのつながりにおいてディーラーで働く仲間が連帯し、課題や経験を共有することは有意義だと述べた。また、イタリアFILCAMSのジェフ委員は、イタリアの自動車産業における販売部門労働者の概要を説明し、他の産別との情報・経験交流に期待していると述べた。委員会は、2020年に自動車販売労組の情報交換の場を持つことを確認した。


バングラデシュ・アコード及びBGMEA、RMG持続可能性協議会への移行に関して合意

2020年1月14日、BGMEA(バングラデシュ衣料品製造・輸出業者協会)及びアコード(バングラデシュにおける火災予防及び建設物の安全に関わる協定)運営委員会の代表らは、ダッカで「RMG(既製服)持続可能性協議会(以下RSC)」の設立について最終合意に至り、移行協定に調印した。

RSCは前例の無い、業界団体、ブランド、労組が一体となり、バングラデシュにおける職場の安全性確保の点で大きな成果を挙げた持続可能な解決策を今後も継続するための、全国レベルのサプライチェーンの取組みである。RSCは業界団体、ブランド、労組からの同数の代表者によって構成される運営委員会によって運営されることになる。

「これはアコードの利点を継続させていく上で大きなステップだ」と、アルケ・ベシガーUNI副書記長は評価した。「これからも世界的ブランドと協力し、サプライチェーンにおける職場の安全確保に彼らの参画とコミットメントを強化していく。現在、新たな、法的拘束力のある、2018年アコードに勝る協定を交渉している。」

RSCは、政府の規制機関と緊密に協力し、かつ支援しながら、バングラデシュの法律の枠組み内で運営していく。現在アコードによって実施されている、全ての安全衛生検査、修繕、安全衛生研修、苦情処理手続き等は引き継がれる。

移行協定には以下の通り重要なポイントが含まれている。

  • アコードによって策定された、文書化された決定、方針、プロトコルは目的に沿い、効果的であることが実証されたため、RSCにも引き継がれる。
  • 例えば、検査結果及び修繕活動を全て公にすること等、アコードの全ての既存の透明性ある機能は維持される。
  • 現在アコードの対象とされている工場については、各工場の是正行動計画に基づき、修繕状況と残された修繕の必要性はRSCに引き継がれる。
  • ダッカのアコード事務所の全ての拠点、スタッフ、インフラ、機能はRSCに移される。
  • RSCは、アコードの下で実施されたと同様に、独立性、自主性、権限、報告義務を持つ安全担当主任を任命する。
  • アコードの下で確立された安全衛生上の苦情処理メカニズムは、独立して自主的に運営を継続していく。

BGMEA及びアコードのブランド企業、労組は、安全な工場でRMG労働者を擁護するという共同の目標に向かって、RSCとして協力していくことに期待を寄せている。


UNI、ITUCと共に、アマゾン気候活動家に連帯表明

アマゾン労働者は、気候への影響に対する会社の説明責任を明らかにさせようとしている。しかしアマゾンの経営陣は、労働者の懸念に真剣に応えず、彼らの雇用を脅迫することで労働者の声を抑えつけようとしている。UNIはITUCと協力し、気候の正義を求めるアマゾン従業員に連帯を表し、このEコマース大手企業に労働者への嫌がらせを止めるよう要求している。両組織の書記長名で以下の通り、支援の書簡を送付した。

ベゾス殿、

2億人を超える労働者を代表する国際労働組織を代表し、気候の正義を提唱する御社の従業員に対するアマゾン経営陣の嫌がらせに困惑しております。

労働組合の指導者として、集団として改革を求めるという労働者の権利は、職場内外における民主主義にとって不可欠なものであると認識しております。国際組織の指導者として、今まさに気候変動の脅威に勝る課題はないとも認識しております。

アマゾン労働者の組織化の取組みに応え、御社がこの気候危機に対処するための更なるステップを発表したことを嬉しく思いますが、御社の気候変動対策に関する誓約は十分であるとはいえません。

労働者の権利は人権であり、気候正義は我々全員にとって喫緊の課題です。倉庫であれ、配送トラックであれ、事務所であれ、御社を責任ある会社にしたいと願う何万人ものアマゾン労働者を支援することを誇りに思います。つきましては、アマゾン経営陣が労働者の批判を真摯に受け止め、脅迫や嫌がらせによって彼らの意見を封印しようという試みを止めるよう要求します。

UNI書記長 クリスティ・ホフマン

ITUC書記長 シャラン・バロウ


Eコマース報告書「アマゾンのモデルは持続可能ではない」

UNI世界商業部会の委託により、この程発表されたEコマースの報告書では、今日のEコマースの世界的概要がまとめられ、アマゾンのビジネスモデルは持続可能でないとの結果が示された。「Eコマース:最近の傾向と雇用へのインパクト」と題する研究は、流通部門の何千万人もの労働者を代表する13か国、15加盟組織への調査が含まれている。その報告によれば、世界の流通全体に占めるEコマースの比率は過去5年で15.5%へと倍加し、その比率は2023年まで年8.9%程成長すると予測される。

しかし、アリババやザランドといったEコマースの他のピュアプレーヤーとは異なり、世界最大のEコマース・リテーラーであるアマゾンは、昨年の売上は659億米ドルに達したものの、Eコマースの海外事業では営業損失を出している。攻撃的なディスカウントと売上拡大に特化したアマゾンの急成長戦略は、純利益を犠牲にして収入を増加させるものである。

「この開発モデルは、アマゾンの攻撃的な拡大によって影響を受けた小売業者と労働者に負の影響をもたらした。アマゾンは低コストと、それを持続するため劣悪な労務管理基準を促進しているからである。アマゾンが実施している開発モデルが長期的に持続可能かどうかは、Eコマース部門が北米だけでなく海外でも安定した収益を生み出さなければ、極めて疑問がある」と報告書は述べている。

従来の小売業者はオンライン販売への投資を増やしているが、Eコマースのピュアプレーヤーとの激しい競争に直面している。これらピュアプレーヤーは同じように税を払わず、労働者を保護せず、人件費を低く抑えている。調査に関わったUNI加盟組織の多くは、Eコマースは従来の小売部門、労働者、仕事の質に負のインパクトをもたらしたと考えている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は次のように述べる。

「この報告書が示すように、アマゾンの急成長、低コスト、低(マイナス)利益のビジネスモデルは、労働者のみならずEコマース産業の双方にとって持続可能な条件ではない。だが、そうでなければならないわけではない。利益を得て、労働者に組合結成を認めているEコマース企業もある。労働組合は、この成長する商業分野を組織化し、新たなビジネスモデルを要求していかなければならない。これは、全てのプレーヤーに公平な競争の場を確保できるかにかかっている。」

調査では、回答を寄せたUNI加盟組織の多くが、Eコマース労働者を組織化するための特別な計画を立てているか、または実施中であった。スウェーデンの加盟組合ハンデルは4か年プロジェクトによって、Eコマース部門3,500人の組織化に成功し、250の団体協約を締結した。

マタイアス・ボルトンUNI商業部会担当局長は、「Eコマースは商業の一部である。Eコマース企業が商業部門の雇用の安定性や労働条件・賃金レベルを低下させるのを放っておくことはできない。UNI商業部会とその加盟組織は、Eコマース労働者の条件改善と商業部門の基準を高く維持するため、彼らの組織化に専心している」と述べた


インドとタイの郵便労組幹部を招き、英語セミナーを開催

UNI Apro/JP労組共同ユース英語セミナーがUNI Apro東京事務所の協力のもと開催された。全国各地域からJP労組ユースネットワーク役員を中心とした30名と海外の郵便労組から2人のリソースパーソン(タイSEWU-THPからガンダナイ・G・ディグリン中央執行委員、インドFNPOからパラグ・ビランカーNAPE Group-Cタネー地本書記次長)が来日した。 セミナーは第3回UNI世界大会(2010年、長崎)に参加したJP労組ボランティアスタッフのフォローアップを目的に始められ、これまでに約200人が参加している。2日間の日程で、身近に国際労働運動を学ぶ機会を提供している。

休憩時間を除き、英語のみで行われたセミナーでは4つの小グループに分かれ、最初に自己紹介とメンバー同士の紹介を行った。その後、各リソースパーソンがそれぞれの国の紹介・郵政事業の概要・労組の歴史と組織構成・UNIにおける活動やそれぞれの国で青年が直面する課題などを報告した。UNI Apro郵便・ロジスティクス部会大崎佳奈子担当部長がUNIの説明をし、特に世界中の郵便労組が現在取り組んでいる課題、国際労働運動の意義について紹介した。 参加者は2つの課題(①組織拡大に向けたレク立案、②組合の意義)に取り組み、グループ毎に話し合った内容についてフリップ等を利用した発表により参加者全体で共有した。 また、第5回UNI世界大会(2018年、英国・リバプール)、第5回UNI青年大会(2017年、南アフリカ・ケープタウン)、UNI Apro/APPU共同セミナー(2019年、タイ・バンコク)の参加者から、参加報告を受けた。発表者は会議や活動内容をはじめ、UNIの活動に参加し、日本との違いや感じたこと等を報告した。

2人のリソースパーソンは、滞在中に東京北部郵便局を訪問し、最新の物流ソリューション施設を見学した。


野田UNI Apro会長、年初にUNI Apro事務局を激励

2020年1月10日、野田UNI Apro会長は、第5回UNI Apro地域大会で再選後、初めてシンガポールのUNI Apro地域事務所を訪問した。地域大会の成功を支えた事務局の努力を評価し、新たに選出されたラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長とシンガポールで働くスタッフに、あらためて感謝した。

野田会長は、他の多くの代議員やゲスト等から述べられたように、地域大会の成功によってUNI Aproの集団としての強みと能力が示された点を強調した。退任するクリストファー・ウン氏に感謝する絶好の機会となったばかりでなく、第2代地域書記長に選ばれたラジェンドラ・アチャリャを歓迎する意義深い大会となったとも述べた。 ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長も、野田会長の激励の言葉に感謝し、第5回UNI Apro地域大会で採択されたUNI Aproの前進に向けた計画を、今後4年間の具体的活動によって実施していくため、事務局メンバーのチームワークと勢いを持続していくことを誓った。


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