11月 2019のお知らせ

UNIメディア部会代表、アジア太平洋放送連合(ABU)年次総会に出席

UNIメディア部会代表が、11月19~22日、東京で開催されたアジア太平洋放送連合(ABU)第56回年次総会及び関連会議に出席した。

NHKがホストし、「多様な視聴体験への挑戦~信頼されるメディアを目指して」というテーマで、アジア太平洋地域から600人以上が参加した。デジタルトランスフォーメーションから、放送の未来、メディアの倫理、自然災害防止における放送の役割、多様性と包摂性まで、様々なテーマが扱われた。

UNIメディア部会からダフネ・テッパー・プロジェクト担当部長が出席し、11月19日のメディアフォーラムの中の、「第8回“放送局と女性” 全ての人のための放送、多様性と包摂性」と題するパネルディスカッションで発言した。(8th Women With the Wave: Broadcasting for All, Diversity and Inclusion in the Media Forum held on Tuesday 19th of November)この他、OECD、ユネスコ欧州放送連合(EBU)の代表も同じパネルディスカッションに参加した。テッパー部長は、世界及び様々な地域のメディア・娯楽・芸術分野においてジェンダー平等及び多様性を強化するためのUNIメディア部会の取組みを紹介し、欧州の姉妹労組であるFIA(国際俳優連合)、FIM(国際音楽家連盟)、EJF(欧州ジャーナリスト連盟)、公共及び商業放送事業者、EBU等と連携し発展させてきたジェンダー平等及び多様性の分野で達成された重要な成果について強調した。 

UNIメディア部会がこの会議に参加できたのは、アジア太平洋地域におけるABUとUNI Aproメディア部会の良好な関係のおかげである。近い将来、具体的なプロジェクトを通じたパートナーシップの強化が期待されている。

東京滞在中、テッパー部長は、UNIメディア部会加盟組織である日放労及び民放労連と意見交換を行った。 


UNI、職場の暴力撤廃に向けたILO第190号条約批准キャンペーンを開始

UNI本部機会均等局は、歴史的なILO第190号条約「仕事の世界における暴力とハラスメントの撤廃に関する条約」に関する16日間のアクションキャンペーンを立ち上げた。2019年6月に採択されたILO第190号条約は、世界中の職場のとりわけ女性労働者の保護を意図し、強力なジェンダー平等の視点をもった画期的な条約だ。

しかしながら、条約が採択されただけでは十分ではない。この条約を有効にするためには、加盟国が批准しなくてはならない。UNIは、他のグローバルユニオン(インダストリオール、IUF、IFJ、PSI等)と協力し、全ての加盟組織の協力を得ながら、批准に向けた取組みを展開していく。

世界中の労働組合は一緒になって、この画期的な条約に批准するよう各国政府にロビー活動を行っており、職場の暴力とハラスメントの撲滅を実現するよう、努力している。

キャンペーンポスターと情報を共有し、この呼びかけが明確に、できるだけ多くの人に伝わるように広報してほしい。UNIの16日間のアクションキャンペーンは、11月25日(女性に対する暴力廃絶のための国際デー)から12月10日(世界人権デー)までの16日間、展開される。

「この画期的な条約は私たちの生活を変えることができる。」と、ベロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は語る。「これは、あらゆる形態の職場のハラスメントと暴力から労働者を守る、史上初の国際的な法的手段だ。私たちはこの条約が批准されるよう政府や使用者に働きかけを行っていく。」

国連の統計によれば、世界中で8億1800万人の女性が、コミュニティや職場におけるセクハラや家庭内暴力の被害を受けており、3カ国のうち1カ国以上で、職場のセクハラに対する法律がなく、推定2億3500万人の女性が保護から取り残されている。

ILO第190号条約及び第206号勧告は、私たちの生活を変えることができる!団結しよう!共に取組めば大きな力になる!


UNI Apro地域大会、ラジェンドラ・アチャリャを地域書記長に選出

2019年11月22日、第5回UNI Apro地域大会最終日、大会代議員は満場一致で、ラジェンドラ・アチャリャを地域書記長に選出した。UNI Apro及びその前身のApro FIETを地域書記長として36年に渡り率いてきたクリストファー・ウンは、今大会をもって退任した。

アチャリャ新地域書記長は、「UNI Aproの前進に向けて」と題する10つの公約を掲げて、UNI Aproの次の時代を主導していくことになる。とりわけ、組合の強化、新しい労働の世界における公正な移行、地域経済統合や投資政策に社会的側面を確保することが主な公約である。

「この新しい計画が、持続可能な経済に向けた政策と労働法改革を推進しようとしている、ネパールで採択されたことは、非常に有意義で歴史的なことだ」とアチャリャ新地域書記長は述べた。「アジア太平洋地域には、持続可能な経済・環境政策、多国籍企業における戦略的な組合の組織化、そして、貿易・投資協定に対する人間中心のアプローチといった、新しいモデルが必要だ。これらの目標を達成するには、青年、女性、移民、インフォーマル経済で働く人々、デジタル経済で働く人々等、労働者を最も多く代表する組織としてUNI Aproを成長させていかなければならない。」

アチャリャ地域書記長は、強力なUNI Aproの基盤を構築してきたクリストファー・ウンにも感謝の意を表した。「ウン地域書記長から学ぶことができて、私は本当に幸運だ。私のメンターであり、友人でもある。アジア太平洋地域に正義と良い雇用をもたらすために、辛抱強く闘ってきた。私も意思を継ぎ、UNI Aproの強化に専心していく覚悟だ。」

クリストファー・ウン前地域書記長は退任挨拶の中で次のように語った。国際労働運動に42年携わり、グローバル化を遂げるアジア太平洋地域において“人間第一”を訴えるUNI Aproの一員であったことを誇りに思う。毎日、忍耐強く、果敢に、創造的なやり方で、働く人々の尊厳とディーセントワークを求めて共に闘ってくれたUNI Aproの同僚にも感謝する。この運動と、UNI Aproをラジェンドラに任せることができ、心強く思っている。」

アチャリャ地域書記長が組合役員として頭角を現したのは、1989年に20歳になってすぐのことだった。当時、銀行で働き始めたラジェンドラは、組合支部役員となり、やがて中央執行委員会で重職を務め、国際労働運動でも活躍するようになった。この間一貫して、活動家の精神を忘れることはなかった。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、ウン前地域書記長の献身的な貢献とUNI Aproを率いてきた強力なリーダーシップに心から敬意を表した。同時に、アチャリャ新地域書記長が、これまでの経験を今後のUNI Aproの強化に最大限活かしてくれることに期待を寄せた。最後に、「私たちの大志は、組合にもっと多くの女性や青年を参画させ、組織化を進め、団体協約の対象となる労働者を増やし、より環境に配慮した職場を作っていくことだ」と述べ、UNI Aproのエネルギーと行動力でそれらが実現できることを確信した。

野田UNI Apro会長とドワイヤーUNI Apro会長代行が再選され、アチャリャ地域書記長と共に新たなUNI Aproを率いていく。


Thank you, Chris. UNI Apro Boleh!

UNI-LCJを代表し、八野UAゼンセン副会長は退任するクリストファー・ウンUNI Apro地域書記長との思い出を振り返り、感謝の言葉を贈った。

UNIにおける20年間を含め42年間にわたり、クリストファー・ウンUNI Apro地域書記長が取組まれた国際労働運動は、「人間を中心とした自由にして民主的な労働運動」の強力な展開、「健全な労使関係の構築」ため、UNI Aproの一つひとつの国の状況を常に正確に把握し、自らが動き、常に適切な指導をしてくれました。

クリストファー・ウン地域書記長の常にポジティブな行動は、「常に先見性をもち、そして、現場に視点をおく国際労働運動家としての姿」を、そして、「UNI Aproファミリーとしての目標」を、常に、私たち全てのメンバーに示してくれました。本当にありがとうございました。

この間、アジア地域は、各地域で民主化の動きが活発化し、経済危機を乗り越え、急速なグローバル化の進展、行き過ぎた資本主義の中で、急速に経済成長し、競争力のあるアジア経済は、世界の原動力とみられるようになりました。

このように急速に変化を遂げる中で、クリストファー・ウン地域書記長の強力なリーダーシップで、「ディーセントワークの確保」、そして、「より包摂的」で、「公平・公正」で、「持続可能な人間中心の、労働者に視点をおいた社会の構築」のためにUNI Aproの労働運動を推進されました。

その労働運動には、

・国を超えた政労使の社会対話の機会を構築し、また、その先導役として

・一つひとつの国の事情を正確に理解し、これからの人を中軸とする持続可能な社会を構築するため、組織化、労使協議体制の構築、法の整備に向けた取組み

・グローバル化の進展、急速な技術革新の時代に相応しい先進的なUNI Apro労働運動のあり方の提示

・アジア地域発信のUNIグローバル枠組み協定の締結と協定の確実な履行

等、様々な革新的な労働運動にクリストファー・ウン地域書記長はチャレンジされ、成功に導いてくれました。

この間、「UNI-LCJ」は、発足当時93万の構成人員でスタートし、現在は100万を超える組織となると共に、郵便、ICTS、商業部会だけではなく、金融、印刷・パッケージング、メディア部会のメンバーの成長は著しいものがあります。

また、「UNI-LCJ議長」は、南雲さん、小野寺さん、高木さん、桜田さん、落合さん、相原さん、小俣さん、そして現在の8代目の松浦議長。

「UNI Apro会長」には、2011年7月に加藤さんがUNI-LCJとして初めて就任し、逢見さん、そして現在の野田会長。

「UNI-LCJ事務局長」は、伊藤さん、そして現在の小川事務局長。

そして、UNI-LCJに集う、多くの幹部会メンバー、各部会のメンバー、ユースや女性委員会のメンバー、そして、各構成組織の国際局のメンバーが、クリストファー・ウン地域書記長と共にUNI Apro運動を推進してきました。

そして忘れてはならないのは、UNI Aproの諸会議・大会で通訳をしていただいているメンバーです。クリストファー・ウン地域書記長の「大切な」そして「長い、長い」話をいつも丁寧にそれぞれの母国語に訳していただき、ありがとうございました。

このように多くのクリストファー・ウン地域書記長との出会いにふれたUNI-LCJをはじめUNI Aproのメンバーが、その出会いを大切にし、そのメンバーそれぞれがクリストファー・ウン地域書記長との良き思い出をもっていると思いますし、大切にしています。

また、振り返ってみると、この期間、全てが順風満帆だったわけではなく、時にはクリストファー・ウン地域書記長との意見の相違がありました。その相違を詰めていく議論の中で「新たな大きな良きパワー」が生み出されたことも多くあったと思います。これが健全な関係であり、健全な労働運動だと思います。

また、日本において

・2008年11月株式会社髙島屋との日本初のGFA締結

・2014年11月イオン株式会社のGFA締結

がなされました。この締結までの過程においてクリストファー・ウン地域書記長が「GFAの重要性」、「国際労働運動と企業・働くものとの関係」、「これからの企業・労働組合の社会的責任の在り方」などついて、労使共にアドバイスしていただいことが、この締結の重要なキーポイントになったことを全てのメンバーで共有したいと思います。

私たちは、これらのGFAをスリーピング協定にはしません。働くもののために、UNI Aproのファミリーのために。

私事でありますが、今から、14~5年前、私はクアランプールにある「ホテルイスタナ」の1室で、クリストファー・ウン地域書記長とシャフィーさんと対面していました。

シャフィーさんが積極的に進めていた日系企業の百貨店の組織化が暗礁に乗り上げました。シャフィーさんが今まで丁寧に進めてきた活動が突然ストップしたのです。目に涙をためられ、その悔しさがにじみ出ていました。シャフィーさんがまじめに、そして法を遵守し、様々な方面と対話してきたものが。その時、クリストファー・ウン地域書記長から、「私は、山本勝一(当時ASIA-FIET会長)さんから、自由にして民主的な労働運動の大切さ、健全な労使関係の重要性を説かれ、共感し、そして、その実現に向けアジア地域・UNI Aproの運動を進めている。その運動をしっかりと継承することが大切だ」と厳しい言葉で言われました。

このことを契機に、私自身の、UNI/UNI Aproに対する向き合い方が変わり、一つひとつの課題を大切に取組んできたと思っています。その取組みの支えや羅針盤になったのは、クリストファー・ウン地域書記長、シャフィーをはじめUNI Aproの仲間たちです。本当にありがとうございます。これからも宜しくお願い致します。

最後に、Apro地域の大きな転換点、そして、飛躍的な成長をとげる中で、「ディーセントワークの構築」、「自由にして民主的な労働運動の推進」、「健全な労使関係の構築」に全力を尽くしていただいたクリストファー・ウン地域書記長。UNI Aproの基盤の構築と成長と、この素晴らしいUNIファミリーをつくってくれたクリストファー・ウン地域書記長に心より感謝を申し上げたいと思います。

私たちは、その精神と運動を引き継ぎ、「UNI ボレ」を合言葉に、UNI Aproワンチームとして継承し、次世代に繋いでいくことを誓います。

本当に長い間ありがとうございました。 Thank you, Chris.  UNI Apro Boleh!


労働者のための公正な移行-労働組合と団体交渉の強化を!

大会1日目(11月21日)は、大会を受入れたUNIネパール加盟協(UNI-NLC)を代表して、シャンカール・ラミチャーニ議長による歓迎挨拶で始まった。続いて、吉田昌哉ITUC-AP書記長、ルーベン・コルティナUNI会長等から連帯の挨拶を受けた。

大会テーマの「労働者のための公正な移行」について基調講演を行ったホフマンUNI書記長は、「OECDの最近の報告によれば、団体交渉は、組合だけでなく企業や社会にとっても重要かつ有効なものだとされている。公正な移行に向けて団体交渉が鍵となる」と強調し、強力な組合作り、非正規をはじめとする未組織労働者の組織化と団体交渉力の強化を、共に実現しようと参加者を鼓舞した。

議題及び議事規則の採択後、資格審査委員会及び決議委員会が選出された。日本を代表して、景中損保労連事務局次長が資格審査委員、中野UAゼンセン国際局長が決議委員に選出された。資格審査委員会報告によれば、19か国、120加盟組織、友誼団体代表、スタッフ等、総勢477人(代議員157人、オブ78人、ゲスト204人、本部及び地域スタッフ38人)が出席した。

【活動報告】

ウン地域書記長は今回が地域書記長として最後の大会となるため、通常の過去4年間の活動だけでなく、42年に渡り労働運動に関わってきた経験を振り返った。とりわけ、労使が協力し建設的な対話によって課題を解決してきた日本の労使関係から多くを学んだと述べ、ストライキに頼らず現実的な運動を進めていくことの重要性を説いた。また、全ての加盟組合が可能な範囲で自らの責任を果たすことで初めて国際連帯が成り立つとして、各労組の能力に応じた加盟費の支払いを要請した。地域書記長の活動報告を受けて、フロアから11人の代議員が発言した。納谷代議員(UAゼンセン)は、顧客からのハラスメント撲滅のために作成した啓発ビデオを上映し、労働者が尊重される社会を目指し、引き続き国に規制作りの必要性を訴えながら世論喚起に取組んでいきたいと述べた。ライハ代議員(香港)は、自由と民主主義を求めて闘いを続けている市民の窮状を訴え、参加者に賛同を示す署名を求めた。ウン地域書記長は、香港を今後も支援していくことを約束し、対話による解決の必要性を強調した。

納谷代議員(UAゼンセン)が紹介した啓発ビデオ1啓発ビデオ2

【財務報告】

UNI Aproの財政状況は安定しているが、連帯支援組織からの財政支援が減少しており、今後もそうした状況が続くと予想される。しかし、発展途上の組合強化支援や組織化活動を継続・強化する観点から、全ての加盟組織にあらためて活動基金への拠出が要請され、「UNI Apro活動基金―UNI Aproのための持続可能な資金調達モデルに向けて」と題する動議が採択された。あわせて、北野情報労連書記長、串田損保労連事務局長を含む4人の内部監査委員が選出された。

【デジタル化された労働の世界で働く労働者のための公正な移行】

ベンソンUNI世界専門職・監督職(P&M)委員会議長(スウェーデンSI委員長)の基調講演を受けた後、各部会代表からの報告が行われた。増田UNI Apro郵便・ロジスティクス部会議長は、デジタル化による技術変化の中でユニバーサルサービスをどう提供していくかという観点から、各国における取組み状況について報告し、日本の見守りサービス等の新しいサービスを紹介した。中村UNI Aproメディア部会議長は、資金力が豊富で安価に提供されるインターネットメディアが台頭する一方、従来のニュースメディアの社会的信頼や資金調達力が低下している状況に触れ、信頼回復のために国際連帯と組織化の必要性を訴えた。

セッションのまとめとして、「公正なデジタル経済の秩序を形成する」と題する声明が採択された。大会代議員は、いかなるデジタル化のプロセスも労働者を機械で置き換えることなく、効率性と労働環境の改善のために利用すること、全ての労働者に技能開発を選択する権利があること、技術導入の際には労使で協議することを確認した。また、政府に対し、産業・各国・地域レベルで、デジタル格差の解消に取組むよう要請し、SDGs達成のために開発における指針として5つのP(People-人間、Planet-地球、Prosperity-繁栄、Peace-平和、Partnership-連帯)の尊重を呼びかけた。

【人間中心の地域経済統合】

レネ・オフレネオ・フィリピン大学名誉教授から、アジアの経済発展とASEAN地域経済統合のプロセスにおいて、果たすべき労働組合の役割について基調講演を受けた。ASEANにおいては、UNI Aproが中心となってASETUC(ASEANサービス労組協議会)を結成した。地域経済統合の中で、政労使の対話にいかに労働者や市民の声を反映し、経済発展の恩恵が公正に配分されるようにしてきたかの経験が、シャフィーASETUC事務局長(マレーシア)やCSRネットワークのトーマスCEOから語られた。 セッションのまとめとして、「アジア太平洋の未来を確保するために人間中心の開発を」と題する声明が採択された。働く人々を開発の中心に据えるピープルファースト(人間第一)のビジョンとSDGs達成を目指し、アジア太平洋地域の政府に対し、包括的で持続的な開発の促進、雇用創出と質の向上のための労働者や他のステークホルダーとの社会対話、環境に配慮した開発計画等を求めていく。


UNI 世界郵便・ロジスティクス部会大会(2020年6月、セネガル)の成功に向けた取り組みを確認

11月19日、UNI Apro郵便・ロジスティクス部会委員及びオブザーバーを含む約40人が出席しカトマンズで開催された。会議には議長を務めるJP労組増田委員長、柏木国際部長、大芝国際担当スタッフ、そしてUNI本部からクリスティー・ホフマン書記長、コーネリア・ブロース郵便・ロジスティクス部会担当局長が出席した。プロジェクト会議出席のためネパールを訪れていたイエンス・セバスタムUNI欧州郵便・ロジスティクス部会議長(スウェーデンSEKO労組国際部長)も出席した。コーネリア局長が2020年6月にセネガル・ダカールで開催されるUNI世界郵便・ロジスティクス部会大会の準備状況の報告を受け、UNI Apro郵便・ロジスティクス部会は大会成功に向けた協力について議論を行った。今後UNI Apro郵便・ロジスティクス部会として大会スケジュールに従い、世界部会大会の成功に向け協力して取り組んでいくことを決定した。


第5回UNI Apro地域大会開幕! 多様性の中の団結

第5回UNI Apro地域大会開会式が2019年11月20日午後より行われ、多民族国家ネパールの「多様性の中の団結」を象徴する色とりどりの民族衣装を纏った若者たちによるダンス、ネパール加盟協に加盟する加盟組合旗の入場で華やかに幕を開けた。

野田UNI Apro会長らに誘われてK.P.シャルマ・オリ首相が入場すると、大会参加者は立ち上がり、ネパール国旗を振って歓迎した。オリ首相はネパールが開催地に選ばれたことに感謝し、「大会テーマであるUNI Aproが目指す変化の時代における『労働者のための公正な移行』の実現はネパール政府が目指す価値観と共通するものだ」と強く支持を表明した。

続いて行われた対話セッションでは、UNI本部、UNI Apro及び米国、アフリカを代表するUNI役員からの5つの質問が投げかけられ、首相はそれぞれに丁寧に答えた。日本からは、野田UNI Apro会長(情報労連委員長)が移民労働者の権利を守るための戦略について、金子UNI Apro副会長(自動車総連事務局長)がいかにビジネスとのバランスを取りながら労働法改革を推進するかについて質問した。オリ首相には感謝の意を込めて、宝石で作られた記念の肖像画が贈呈された。

開会式で挨拶した野田UNI Apro会長は、4年前にネパール大地震により大会開催地が急遽変更になるという困難に直面しながらも、多角的な被災者支援で労働組合の社会における認知度を大きく変えることに成功したUNIネパール加盟協の取組みに敬意を表した。また、この間の組織拡大と飛躍を称えるとともに、大会準備に奔走してきたシャンカール・ラミチャーニUNIネパール加盟協(UNI-NLC)議長のリーダーシップや、加盟組織の尽力と、運営を支える多くの青年メンバー、学生ボランティア等のチームワークとおもてなしに感謝を述べた。最後に、今後のUNI Aproを率いることとなるラジェンドラ・アチャリャ地域書記長候補の出身組織として、力強く支えてほしいと要請した。


ネパールの印刷労組は私たちの誇りだ!UNI Apro地域大会を支えた功労者

第5回UNI Apro地域大会の前日、2019年11月19日、ネパール・カトマンズにおいて、UNI Apro印刷・パッケージング部会委員会が開催された。オーストラリア、日本、ネパール、インドネシア、タイ、UNI本部、UNIアフリカ地域及びUNI Aproから20人が出席した。

委員会で歓迎の挨拶を行うマヘンドラIMPRESSION委員長

UNI Apro印刷・パッケージング部会の委員を務める、ネパールの加盟組織IMPRESSION(情報通信・メディア・出版・グラフィック労組)のマヘンドラ委員長は、参加者を歓迎して次のように挨拶した。「ネパールへようこそ! IMPRESSIONは、規模は小さいが、優秀な組合員が活躍している。40年前の結成時と比べ、技術革新により機械化等、職場は多くの変化を経験した。組合は最低賃金の39%アップを達成したものの、市場価格には合っていない。月給122米ドル相当で、どうしたら生計を立てられるか想像してほしい。2013年にUNIに加盟した。加盟まで12年かかったが、その間のUNIのサポートに感謝する。2015年の大地震で壊滅的な被害を受け、残念ながらUNI Apro地域大会の受入れをマレーシアにお願いしなければならなくなった。今回、夢が叶い、ついにUNI Apro地域大会を我が国で開催し皆さんをお迎えすることができ、非常に光栄だ。私がデザインした第4回及び第5回大会ロゴが皆さんに気に入ってもらえて、準備にもより一層力が入った。ロゴデザインの他にも、会場・舞台装飾、出版物等、皆さんが目にする殆どのものを私たちの組合が担当した。ネパールの滞在が思い出深いものになるよう万全を期すので、お困りのことがあったら遠慮なく言ってほしい。お手元に配布した組合誌はUNI Apro地域大会特集号だ。組合費は年間1米ドル程度なので、組合運営の補助とするため、広告も掲載している。昨年から組合運営費を増やすため、ソフトウェア開発等も請け負っている。例えば、JTUCC(労働組合共同委員会)向けの組合員管理システムを開発した。来年は、組織強化も兼ねてスキル開発訓練も始める予定である。引き続き、UNIや皆さんの連帯支援をお願いしたい。」

ロレイン・キャシン議長は、大会準備委員会の中核を担ったマヘンドラIMPRESSION委員長の協力に感謝すると共に、「UNI Apro地域大会のグラフィック関係全般を担当した印刷労組は部会の誇りだ!」と称賛した。

委員会では、印刷労連の役員改選に伴い、田倉前委員長から佐藤久恒委員長へ委員を交代すること等が確認された。昨年1年間の活動を振り返り、小川担当部長は、インドのセキュリティ印刷労組のネットワーク構築に向けた全印刷の協力と、印刷労連及び凸版印刷労組の協力により第7回UNI Apro東アジア労組フォーラム(2018年10月、東京)に凸版印刷の経営側代表の出席が実現したことに感謝した。この他、UNI-LCJ印刷・パッケージング部会が、日本における組織拡大に貢献したことにより、UNI世界執行委員会でブレイキングスルー賞を受賞したことも報告した。 最後に、2020年度の活動計画が提案され、詳細は今後詰めていくことを確認した。


団体交渉を通じてデジタル化の恩恵を公平に

デジタル化の影響は今後も大きくなるだろう。2019年11月4日、UNIは世界執行委員会に先立ち、デジタル化の危険性を軽減し、明るい見通しを最大化するための優良事例を共有するフォーラムを開催した。

参加者の多くがフォーラム開催のタイムリーさを評価し、変化する労働の世界において労働者の権利を確保することは国際労働運動にとって急務の課題であると認識した。デジタル化に関わる問題、例えばダウンサイジング、スキルアップ、自動化等は、多くの組合の交渉において重点事項となっており、フォーラムからは、組合は課題に備えなければならないという強いメッセージが打ち出された。

「デジタル化への移行の過程で、誰一人取り残されてはならない。団体交渉こそ、デジタル化された職場で働く全ての労働者に正義と平等を確保するために、適切な手段だ」とアルケ・ベシガーUNI副書記長は強調した。

英国ユナイト・ザ・ユニオンからは、デジタル化時代の組織化及び団体交渉を強化するため、組合のあらゆるレベルで実施している訓練や準備について聞いた。南アフリカSASBOは、自動化によって金融産業の組合員が置き換えられるなど影響を受けている中、組合の力を高めるための革新的な戦略について語った。

ノルウェーHKは、使用者が設備を自動化した後、倉庫で働く労働者の仕事を維持または改善することができた経験を共有した。「デジタル化の交渉には強力な組合が必要だ。既存の団体協約では解決できるとは限らないので、組織化し備えなければならない」と強調した。

テレサ・カセルターノUNI世界ICTS部会担当局長は、つながらない権利に関する革新的な取組みを紹介し、フランスFOは、つながらない権利が国レベルでどのように組合によって活用されているかの事例を報告した。

アンディ・カーUNI世界ICTS部会議長(英国CWU)は、UNI欧州地域が策定している人工知能に対する労組のアプローチについて説明した。

米国CWAは、AIによるコールセンター労働者の監視の現状と、組合が労働者のデータをもっと管理できるよう交渉に成功したことを報告した。「この問題に関して、組合があれば変化を起こせることが示された。例えば、英国のサンタンデール銀行のコールセンター労働者は、まだ組合の無い米国のサンタンデール銀行で実施されているような過度な監視の下には置かれていない」とカー議長は語る。

クリスティーナ・コルクロフUNIプラットフォーム・派遣・デジタル化担当部長は、画期的なUNIプロジェクト「スポットライト」について説明した。労働者が自身の労働条件に関する詳細なデータを保存し、データのコントロール権を持てるようにするものだ。

マット・ロブUNI世界メディア部会議長は、組合員は伝統的な雇用形態、いわゆる「典型」労働者には分類されないが、彼の組合IATSEが演劇・テレビ制作労働者のために行っている取組みについて報告した。「労働者や組合が互いに競争し合わなくて済むように、産業を超えて、全国、地域、国際的な基準を設定しなければならない」とロブ議長は訴えた。

フォーラムのまとめとして、クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「デジタル化は将来の課題ではなく、現在の課題だ。デジタル化によって企業はますます豊かになり、格差が拡大している1つの理由にもなっている。労働者は公平な配分を受けていない。公正なデジタル化への移行に向けて交渉するため、今日、共有された事例から多くを学ぶことができるだろう。交渉テーブルで解決できないことは、ルールを変えることによって解決していく」と述べた。


世界のゲーム産業労働者、安全衛生等について議論

2019年10月31日~11月1日、マカオにおいて、UNI世界ゲーム部会会議が開催され、世界20ヵ国から80人が参加した。日本からは、UAゼンセン・総合サービス部門パチンコ関連部会の佐藤部会長(ダイナムユニオン)及び蒔苗事務局長が出席した。

開会式では、クリストファー・ウンUNI Apro地域書記長、ダニエル・アモロソUNIゲーム部会議長、クロエ・マカオカジノ労組代表から挨拶を受けた。 続いて、アジア太平洋地域におけるカジノ産業の概況について、ミシェル・ベリーノUNI Aproゲーム部会コーディネーターから説明があった。 テーマ別ディスカッションでは、組織化、安全衛生(受動喫煙)、テクノロジーに関する労働協約、オンライン教育について、各国から現状の課題や取組み事例の発表があり、質疑を交わしながら議論を行った。 UAゼンセンからは、日本におけるカジノ産業の状況報告として「IR誘致に関する動向」、「ギャンブル依存問題の対応」について説明を行った。 UNIゲーム部会の2020~2021年活動計画については、ハラスメント問題(パワハラ・カスハラ)、受動喫煙問題、労働条件などについての協約強化(組織強化)を進める重点活動をはじめ、地域毎に取組んでいる活動も促進していくこと、受動喫煙や教育、テクノロジー等のテーマ別課題についての調査を行うことが確認された。

なお、会議終了後、マカオ組合事務所の開会式に会議参加者全員で出席した。


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