4月 2018のお知らせ

女性役員の育成には共感力が必要!

2018年4月24日、東京で、UNI-LCJ女性ネットワーク会議が開催され、10組織から40人が出席した。

目的は、UNI及びそのアジア太平洋地域組織(UNI Apro)の女性委員会が取組むジェンダー平等促進活動について、理解を深めることと、UNI-LCJ構成組織で活躍する女性役員から経験を聞き、UNI-LCJ構成組織の女性のネットワークを広げることであった。

第1部ではまず、小川UNI Apro機会均等担当部長が、UNI/UNI Aproのジェンダー平等促進活動及び6月のUNI世界女性大会について簡単に紹介した。

続いて、UNI Apro女性委員を務める、杉山真裕子全印刷中央執行委員と、新田真帆損保労連中央執行委員から、昨年11月のUNI Apro女性委員会での議論や出席した感想、組織における女性を含めた役員の育成等についての有益な経験を聞いた。

第2部では、UNI-LCJ構成組織の中央本部で役員を務める、古賀初代印刷労連副中央書記長、高橋桂子生保労連中央副執行委員長、小出真理子全労金書記次長、三木佳世子日放労中央執行委員をパネリストに迎え、組合役員になったきっかけから、ワークライフバランスの秘訣、政府が進める女性活躍推進政策に対する意見、労働組合における女性の参画の進展、更にはデジタル化によって女性労働者の働き方はどう変わるか、まで示唆に富んだ経験や意見を聞いた。また、自らの経験から、組合役員としての苦労や良かった点についても共有し、最後に後輩女性へのアドバイスがあった。

また、UNI世界女性委員会の議長を務める、英国Prospectのデニス・マクガイア委員長から、参加者にビデオメッセージが届いた。冒頭、2010年、長崎でのUNI世界大会に参加した経験を懐かしみ、リバプールでも良い思い出をつくってほしいと述べた。リバプールは「労働組合の街、強い女性の街」であると紹介し、UNI世界女性大会・世界大会で、日本の多くの女性代議員が大会議論に積極的に参加することを期待した。


スリランカの人材育成に貢献するJP労組関東地方本部奨学金

2018年4月、西藤JP労組関東地方本部委員長を団長とし、若手組合役員7人からなる代表団がスリランカ・コロンボを訪問した。

4月20日、現在JP労組関東地方本部から奨学金を受けている第8期の高校生・大学生の家庭を訪問した。奨学生及びその家族(郵便労組組合員)から直接、学校生活や専攻する学問、将来の夢等を聞き、スリランカの郵便局で働く家庭の状況を理解することができた。

21日には、UNI-SLAC(スリランカのUNI加盟組合の協議会)青年委員会・女性委員会との交流プログラムが開催された。元奨学生3人とその家族、ガヤン・ムナウィーラUNI-SLAC議長、奨学金管理委員会メンバーらも出席し、JP労組関東地本の奨学金と長年の支援に対し、感謝の意が示された。JP労組関東地本代表団は、奨学金の意義を実感することができた。

UNI Apro/JP労組関東地本奨学金プロジェクトは、スリランカのUNIに加盟する郵便労組(UPTO及びNPTWU)組合員の子供に奨学金を2年間支給するものである。(高校生は月額4000ルピー、大学生は5000ルピー)昨年、78人の応募があり、オンライン筆記試験及び全国5箇所の郵政研修施設で奨学金管理委員会による面接が行われ、15人が選抜された。奨学生の選考にあたっては、学業成績だけでなく、スポーツや音楽の才能等を含め総合的な人間性が評価の対象となっている。

西藤委員長は、既に7期90人を超える郵便労働者の子供たちが高校・大学で勉強を続け、地域や国の発展に貢献する優秀な人材として活躍していること、また奨学金支給から10年以上が経過し、卒業生たちが社会で活躍していることを喜んだ。

ジャヤスリ・プリヤラルUNI Apro金融部会担当部長(スリランカ出身)は、奨学金管理委員長として、全逓千葉県連協(当時)からJP労組関東地本に引き継がれ現在に至る長年の支援に感謝した。卒業生は、エンジニア、医師、看護師、教師等、多方面で活躍していると報告した。奨学生とその家族に希望を与えるだけでなく、「労働組合の国際連帯を通じて、スリランカにおける労働組合のイメージが向上し、特に若い世代が労働組合に関心を持つようになった」と、奨学金プロジェクトのインパクトが強調された。UNI-SLAC青年・女性委員会メンバーは、学生に面接を行い、労働組合の社会的貢献や国際連帯について話をするなど、このプロジェクトを側面から支えている。

元奨学生の1人、パムドゥは現在、総合病院で医師として働いている。医学部で学ぶ際の医学書や授業で必要な医療器具の購入に奨学金を充てることができた。「普通の郵便局員の家庭で生まれ、奨学金を得られて幸運にも医者になることができた」と感謝した。大学で講師を務めるミシハラは、両親が公務員であるため国の奨学金を受ける資格が無く、精神的に落ち込んでいたところ、郵便労組を通してこの奨学金制度を知り、奨学金を得ることができた。彼女にとって奨学金は、金銭的支援だけでなく、大きな心の支えとなった。自らの経験から「他者を助ける連帯の重要性」を、学生たちに伝えていきたいと語った。

UNI-SLAC青年・女性委員会メンバーとの交流プログラムでは、英語で自己紹介を行い、スリランカ語の歌や踊り、折鶴の紹介等を通じて文化交流をすると共に、両国の青年・女性活動を共有した。

また、郵政長官を表敬訪問し、中央集配センターを視察することによって、スリランカの郵政事業について理解を深めた。

 


UNI世界金融部会、ブラジルの民主主義を守る闘いに連帯を表明

UNI世界金融部会委員会が2018年4月5日、開催され、16か国から26人が出席した。今回はベルロファ議長が所属するContraf-CUT大会に合わせて、ブラジル・サンパウロで開催された。UNI Apro金融部会から、宮井議長、プリヤラル担当部長が出席した。

ベルロファ議長は、開会挨拶の中で、ブラジルの労働運動全体が取組んでいる民主主義擁護の闘いについて説明した。ルーラ元大統領は労組出身で、任期中、貧困削減と格差是正に取組み成果をあげた。しかし現在は収賄・資金洗浄等の嫌疑がかけられ、今年10月の大統領選挙に出馬できないようにする動きがある。前日、ブラジル全土のみならず南米中が注目する中、最高裁が同氏に対する人身保護令適用を却下したことで、逮捕され12年の刑に服する可能性が出てきた。ベルロファ議長は、これはブラジルの民主主義に対する攻撃だと懸念し、委員会出席者から次々とブラジルの労働運動への支援が表明された。

組合・コミュニティ・オルグのラーナー氏は、米国における銀行組織化の取組みがなぜ必要か、なぜ米国以外の労働組合の支援が必要かを、「金融労働者の集団行動で生まれる下からの規制」を事例に説明した。20世紀末に経済活動における金融市場や金融機関の重要性が増す中で、銀行の役員報酬が高騰し、レバレッジドバイアウトやプライベートエクイティによる投機的投資が当たり前になり、金融機関はハイリスクでハイリターンを得ることが可能になった。米国の銀行業界は大手6行で支配されており、世界の金融システムにも影響を及ぼす力を持つ。6行で米国のGDPの6割に匹敵する資産を有し、5行で世界の資本市場の7割を占める。大手米銀は規制を回避するようロビー活動を行う政治力と経済力を持つ。一方、中流階級以下の賃金は停滞し、格差は拡大、経済は不安定化し、経済危機を引き起こす結果となった。多くの国で銀行の従業員を代表する組合があり、基本給は高い。リスクの高い商品を押し売りすることなく、責任ある販売を奨励し、労働者と消費者を保護する交渉もできる。米国の銀行には組合が無いため、団体交渉ができず、低賃金で保護が殆ど無く、パフォーマンスは毎日モニターされ、ボーナスやインセンティブは成果に基づき払われる。過度なノルマからくるストレスやプレッシャーも抱えている。そのような中で、ラーナー氏は、「銀行改善委員会」と全米通信労組(CWA)を通じ、ウェルズファーゴとサンタンデール銀行で、顧客に有害かつ威圧的な雇用関係を明るみにした集団行動の成功事例(下からの規制)を挙げた。ウェルズファーゴでは、最高額の罰金を科せられトップが辞任に追いやられたスキャンダルの発覚につながった。スペインに本社があるサンタンデール銀行は米州で広く事業を展開しており、殆どの国に組合はあるが米国やプエルトリコ等には無い。米国サンタンデール銀行従業員は団結し、オートローンの略奪的かつ欺瞞的な販売行為を内部告発した他、中米プエルトリコの経済破綻につながった同行の利益誘導行為と規制逃れの実態を喚起した。ラーナー氏は、「銀行の交渉相手として組合が認知されれば、米国だけでなく、世界の金融システムの安定と、各国経済にプラスの影響を及ぼし得る」とした。団体としての権利が強化され組合があれば、従業員のより良い賃金・労働条件を交渉することができ、従業員は失職を恐れることなく、略奪的な商品の販売、役員の天下り、規制逃れ等、濫用的な行為を内部通報することもできる。南米の委員からは、「これは米国の銀行だけの問題ではない、米国の大手銀行の悪しき慣行が他国に広まらないよう、米国の銀行における組合結成に向け全力で支援していく」との連帯が表明された。

 

各地域報告として、宮井UNI Apro金融部会議長は昨年開催されたUNI Apro金融部会大会の議論の概要を報告し、ブドルフセンUNI欧州金融部会議長は2月に開催されたUNI欧州金融部会大会について報告すると共に、リバプール世界大会動議3「持続可能なグローバル経済のための労働組合」にESGの支持等を含める文言をUNI世界金融部会として追加提案することを提案・説明し、委員会はこれを確認した。

また、2019年に開催予定のUNI世界金融部会大会の開催地・時期について、10月頃、ポーランド・ワルシャワとの提案があった。理由は、政府や使用者が労働者を尊重しない国で奮闘する金融部門の労働者に連帯を示すためである。

4月6日夕方から、第5回Contraf-CUTが開催された。労働組合関係者及びUNI金融部会代表団は6日、逮捕令が出されたルーラ氏が滞在する金属労組本部にかけつけ、同氏を激励した。ルーラ氏は7日に出頭し収監された。UNIをはじめとする国際労働運動とブラジルの加盟組織は、この間一貫してルーラ氏の無罪を主張している。


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