2018年3月24~25日、タイ・バンコクにおいて、UNI Apro ICTS部会は通信労組セミナーを開催した。TOT労組、CAT労組から約30人が参加し、活発な議論が行われた。
現在、デジタル経済社会省は、TOTとCATにそれぞれ子会社を設置し、通信ネットワークを含む主要資産を移管させて通信事業再編を進めようとしている。子会社は当面は公社とするが、やがて民営化される見込みである。TOTは国内通信、CATは国際通信という事業区分は撤廃され、現在、両社とも総合通信事業会社として事業を展開し、両社は競合関係にある。
本セミナーは、日本とインドネシアの事例について学習し、タイ労組の対応について検討することが目的だった。
タイの労働組合組織率は低く、全体で数パーセント程度である。こうした中で、TOTとCATは旧国営時代に強固な労組を設立した名残もあり、よく組織化されている。TOTとCATはライバル関係にあるが、両労祖はUNIタイ加盟協議会の下、良好な関係を構築している。子会社に転籍した従業員については、既存のTOT労組、CAT労組で組織することができない。そのため、両労組の組織人員減少、弱体化が懸念される。新会社での身分は正社員となり、仕事内容は変わらない。賃金は15%上がるが、年金は加算されず、公務員としての恩恵は得られなくなる。
閉会にあたり、両労組委員長は、「子会社への資産移譲の不当性について訴え、裁判で無効を求めていく。臨時労組大会の開催を検討し、組合員全体での反対を行っていく」、「事業領域拡大を含めチャレンジしていく。日本やオーストラリアの経験をさらに学習する」と述べた。両労組は従業員への意識啓発や世論喚起を行う必要に触れ、将来の情報通信事業に関するセミナーの開催を希望した。UNI Aproは講師派遣等の情報提供を中心とする支援を約束した。
最後に、野田UNI Apro ICTS部会議長が挨拶し、タイにあったモデルの策定、スピーディーな決断、両労組の引き続きの連携を要請し閉会した。