8月 2017のお知らせ

ユースにとってデジタル化はチャンスだ!

 

第13回UNI Apro青年委員会が2017年8月23日、マレーシア・クアラルンプールで開催された。日本からは4人の委員が出席し、各国の委員及びオブザーバーと活発な情報交換を行った。

開会式では冒頭、ミシェル・ベリーノがUNI Apro青年委員会担当部長に就任したことが紹介された。ベリーノ部長はフィリピン銀行労組を昨年退職するまで、UNI Apro青年委員会議長を5年務めていた。開催国UNIマレーシア加盟協のシャフィー議長から歓迎の挨拶を受けた後、クリストファー・ウンUNI Apro地域書記長は、「急速に進展するデジタル化とグローバル化の動きに抵抗し止めることはできない」と断言した。労働者が不利益を被らないよう、手遅れにならないうちに、労働組合はもっと政策議論に参画しなければならないと強調し、「労働組合には政策に若い労働者の意見を反映するという重要な役割がある点を説得しなければ若い世代には入ってもらえない」と、青年委員を激励した。

委員会構成の変更として、日本・情報労連の齋藤久子中央執行委員と、JP労組の飯澤祐真中央ユースネットワーク議長が新たに委員に、東アジアを代表する副議長には日放労の釘本聖司中央執行委員が確認された他、他の地区の委員・副議長の変更も確認された。また、空席となっていた議長ポストには、南アジア選出のノリカ・ワルナスリヤ副議長(スリランカ郵便労組)の就任が確認された。

今次委員会の特別報告として、UNI Apro地域事務所の韓国人インターンから、韓国の若年労働者をめぐる課題が日本等との比較を含めて共有され、若者の組合が30分以内のピザ宅配を廃止に追い込んだ事例が報告された。

日本の委員からは、若者に人気がなく人材不足のIT産業や流通産業の課題や、魅力ある産業にするための組合の取組み、同世代の強みを発揮した組織化の取組み、デジタル化時代における青年労働者の課題等が報告された。また、釘本副議長からUNI–LCJユース英語セミナーで集められた寄付金がワルナスリヤ議長に渡された。

この他、フィリピン、マレーシア、インドネシア、シンガポール、ネパール、スリランカ、ニュージーランドの報告を受けた。委員会を傍聴した女性研修参加者等からも多くの質問が出され、積極的な意見交換が行われた。

最後に、ベリーノ部長から、2018年に開催予定のUNI世界大会における青年参加率を10%に引き上げるという課題の説明と、UNI Apro青年大会開催時期・場所についての提案があった。ワルナスリヤ議長は、「デジタル化を恐れるのではなく、若者にとっての武器と捉え、各国の青年の間の情報交換と経験交流を通じて、前進していこう。」とまとめた。


UNI Apro、ミャンマー労働省と「パートナーシップ労使関係」に関する三者社会対話

2017年8月3~4日、UNI Aproはミャンマー労働省と共催で、ミャンマーにおける健全な労使関係の構築と、「パートナーシップ労使関係」の理念を普及する目的で、三者社会対話会議をネピドーで開催した。労働省、商工会議所、労働組合から70人が参加し、UNI Aproからは野田地域会長、ウンUNI Apro地域書記長ら、更には講師として、イオン労使、フィリピン、インドネシア、米国等から使用者または労組代表が出席した。

次の4つのテーマについて、パネルディスカッション形式で報告、議論した。

  • 第四次産業革命の新たな波において発生した経済・社会問題:いかに使用者と労働組合組合は対応すべきか
  • AECからRCEPへと地域経済統合の新たな波において発生した経済・社会問題:いかに使用者と労働組合は対応すべきか
  • 調整とパートナーシップに関する経験
  • 「労働の未来」への挑戦における、変化するミャンマーの社会契約

議論の中で認識されたのは、民主化、市場開放後に労働組合が急激に増加したが、労働法制面で不備があること、労使関係構築の営みに政府が参画していくことは有意義であること、各国の経験を参考にしながら、ミャンマーらしい制度を作り上げるべきこと、技術革新、第四次産業革命が労働者に与える影響を考慮する必要があること、等である。

閉会式には、ウー・テイン・スウェー労働大臣が挨拶し、「政労使三者構成主義の意義を認識している。ミャンマーにおいてパートナーシップ労使関係の普及に労働省も取組んでいく」と述べた。

「AECの中で経済・社会が変化しており、第四次産業革命により、更なる市場変革が起こる。労働法の適正化に取組む必要がある。」


UNI-LCJ「労働の未来」フォーラム

2017年8月1日、UNI-LCJは「労働の未来」フォーラムを開催し、UNI-LCJ加盟組織から役員をはじめ、連合、JILAF、GUF等80人を超える労働組合関係者が出席した。UNI本部から、デジタル化及び貿易協定等の部会横断的課題を担当するクリスティーナ・コルクロフ担当部長が来日し、人工知能(AI)、ビッグデータ、ロボット化等によって、いかに仕事や求められるスキル、働き方が変わるかを中心に講演を行なった。コルクロフ部長は、データ保護の重要性を強調し、なぜUNIが従業員のデータに関する使用者のガバナンスを定める国際基準づくりについて、IEEEと協力し始めたかを説明した。

「多くの企業が従業員から引き出したデータを使い、モニターし、蓄積している。個人が識別できる情報だ。業務の流れやパターンをモニターすることによって得られるデータもある。世界のどこでも、従業員は自分達に関するデータへのアクセス権がない。会社を辞める場合に個人データの消去を依頼することもできない。これは変えなければならない。IEEEと協力し、望ましい職場におけるデータのガバナンスに関する、世界中で適用可能な基準づくりができれば、と期待している。」

コルクロフ部長は、日本で非正規労働者が4割に達していることに驚愕し、世界中で同じように非正規雇用が拡大しているが、我々は一丸となって現行の社会保障システムの改変を要求していくべきだと述べた。

「多くの労働者が、ただ自営業であるということだけで、或いは標準的でない働き方をせざるを得ないというだけで、社会保障システムの対象から部分的に、或いは完全に外れている。これも我々は変えていかねばならない。全ての労働者が、雇用形態に関わらず、しっかりした同じ社会的・基本的権利を持たなければならない。デジタル経済の進展によって、労働市場の門戸がまさにグローバルに開かれ、未来の労働が更に流動的で柔軟になる中、社会保障制度を改革し、現状に合わせなければ、破壊的な結果をもたらすだろう。それは容認できない。」

コルクロフ部長のプレゼン資料

コルクロフ部長の講演に続き、経済産業省産業人材政策室の伊藤参事官から、「第4次産業革命と『働き方改革』をめぐる動向」について講演を受けた。デジタル化時代に向けて、日本政府は多くの取組みを行なっている。とりわけ伊藤参事官は、正規社員の労働時間短縮の必要性を強調した。一方で、収入が不安定で断片的な仕事に就く非正規労働者も増えていることは矛盾しているように見える。

日本における急速な人口減少が、日本企業や労働者が職場におけるロボットやAIの導入に前向きな理由の1つである。しかし、多くの中小企業が直面する課題は山積しており、伊藤参事官は良き解決策を見出すために、労使の建設的な協力が不可欠だと述べた。デジタル化が労働者に及ぼす影響についての政府の取組みはこれからである。

これらの講演を受けて、フロアからは多くの意見や質問が出た。将来の社会契約はどのようなものであるべきか?という質問に、コルクロフ部長は「全ての労働者が社会的・基本的権利によって守られるようにしなければならない。自営業であろうと、雇用形態に関わらず、全ての労働者に訓練の権利と機会が与えられるよう要求すべきだ。労働者の要求が尊重されるには、労使関係においてパワーバランスが図られなければならない。そのためには組織化、組織化、組織化だ!」と繰り返した。

伊藤参事官には、TiSA(新サービス貿易協定)への日本政府の立場についての質問が出された。UNIの最近の報告書は、TiSAが及ぼす労働者及び労働条件への影響だけでなく、データ保護やデータの権利に対する負の影響について警鐘を鳴らしている。なぜ日本政府は、WTOをはじめ様々な貿易交渉において、データの自由な流通に異議を唱えないかについては明確な答弁はなかった。

「労働の未来」はUNIの重点課題の1つである。UNIは世界のサービス産業で働く仲間の声を代弁しており、常に新たな分野に踏み出してきた。ビッグ6と言われる世界の大手テクノロジー企業との新たな展開があるかもしれないので、UNIの「労働の未来」ウェブサイトにご注目を!


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