Eコマースの成長と流通産業のデジタル化によって、国際労働運動において新たな連帯の機会が生まれている。UNI世界商業部会大会での議論は、我々がいかに働き、いかに買い物をするか、変化に対する組合の対応に集中した。
ピータールー・リサーチ社のハーベイ・マッケオン研究員は、デジタル化の現状について、大手オンライン企業だけが時価総額と雇用の両面で更に大きくなる一方で、伝統的な実店舗は多くの市場で縮小していると説明した。マッケオン氏によれば、アマゾンのような流通企業で見られる労働力の拡大は、会社に直接雇用される労働者と、労働者の権利に関しては法的にグレーゾーンで運営されている巨大な下請けネットワークで働く労働者から成り立っているという。同氏は調査結果として、Eコマース労働者の保護政策と、この分野での組織率の拡大の必要性を指摘した。
続いて、大会代議員は各国の取組み事例を共有した。オーストラリアSDAのネバート代議員は、同国のギグエコノミー(単発の請負労働者が多い経済)における組織化の成功を報告し、この分野では創造性が不可欠だと述べた。「革新的な部門の組織化には革新的な方法が必要だ。」
スウェーデンのユニオネンのヘルバーグ代議員は、組合がそのプロセスに積極的に関与すれば、Eコマースによって質の高い雇用が創出される可能性があると述べた。生涯学習を強調することで、ユニオネンは商業部門のスキルレベルを上げる原動力になっている。「より高いスキルがあれば、高い賃金の良い仕事につくる可能性も高くなる。」
スウェーデンの商業労組、パルメゾファー代議員は、大きな成果をあげているEコマース組織化の3か年プロジェクトについて報告した。最初の1年だけで、組合員数と協約数共に、大幅に伸びたという。
チリの商業労組、サガルディア代議員は、同国で2012年以来165%の成長を見せた、通販の急速な拡大に懸念を示した。
アルゼンチンの商業労組、ロベラ代議員は、持続可能な職場に向けて新しい文化をつくるべきだと述べ、政治的動員も必要だと力説した。「どこで働いているかにかかわらず、デジタル労働者と彼らの権利を擁護する法律が必要だ。組合には、より包括的なグローバル協定が必要だ。そのためには政治活動も継続しなければならない。」