4月 2017のお知らせ

UNI世界女性委員会

UNI世界女性委員会が2017年4月26~27日、パリで開催された。

UNIアジア太平洋地域からは、山中恵子UNI Apro女性委員会副議長(日本・情報労連)、ジュリア・フォックスUNI Apro選出UNI世界女性委員会副議長(オーストラリア・SDA)、リン・シューフェンUNI世界女性委員(台湾・CTWU)他、オブザーバーとして、ケイティ・ビドルストン(オーストラリア・SDA)、チア・パオリン(台湾・CTWU)、東京事務所から小川陽子UNI Apro機会均等部長が出席し、以下の議題について議論を行なった。

職場における暴力

UNI機会均等局はこの間、ITUC等と連携し、職場における男女への暴力に関するILO条約制定に向けて様々な取組みを行なってきた。2016年10月には、ILO専門家会合にマクガイア議長とフェルナンデス担当局長が参加し、女性労働者及び労働組合の視点から意見提起した。2017年3月8日、「職場における暴力」に関するILO条約制定に向けたUNIキャンペーンを開始した。2017年4月、ILOは「労働の世界における男女に対する暴力・嫌がらせ」に関する報告書を発行した。使用者側は勧告化には合意しているが、より強制力のある条約化には反対している。更なる政府へのロビー活動並びに使用者へキャンペーン支持を働きかけることが確認された。2018年6月のILO総会で第1討議が始まる。

デジタル化が女性労働者に及ぼす影響

労働の世界におけるデジタル化の4つのインパクト(雇用の創出、変化、消滅、移転)と、特に女性に及ぼす影響についてのプレゼンを聞き、意見交換を行なった。

5UNI世界女性大会(201861415日、英国・リバプール)

大会の4つのテーマ(①2018~2022年度戦略的課題、②パワフルな女性、③暴力根絶、④労働の未来)について確認した。

上記テーマに沿って、①2018~2022年度戦略的課題、②パワフルな女性、③女性に対する暴力根絶、④デジタル化、⑤ジェンダーバランス、⑥メンタリング・プログラムの6つの動議第1稿が出された。今後、事務局は第1稿をメンバーに回覧し、意見を集約する。

大会プログラム草案が提示され、流れについて確認した。今後、事務局は、各地域女性委員会と連携し、大会役員・各セッションの司会、スピーカー等を詰めていく。ゲストスピーカーについて意見を募った。

長崎世界大会(2010年)での女性代表40%決議の採択から8年を迎えるリバプール世界大会では、40%ルールを満たさない加盟組織は資格審査報告の中で組織名が発表される。

地域活動報告

アフリカ、米州、UNI Apro、欧州よりそれぞれ報告を行なった。山中Apro副議長は、情報労連におけるLGBTの啓発活動について、フォックス世界副議長は、ドメスティックバイオレンスに関する休暇を勝ち取ったこと等を報告した。

この他、ゲストとして、フランスのナショナルセンターCGTの副書記長から、女性の権利を促進する活動、特に3月8日女性デーの取組みを中心に聞いた。反トランプでつながった女性が極右の大統領の選出を阻止すべく闘っており、アイスランドの女性とも連帯する等、ジェンダー平等の点での国際協力の事例が紹介された。

また、サッカー界の男女選手間の格差の現状と課題について、世界サッカー選手会(FIFPro)のフィッシャー氏から報告を受けた。委員からは、他のスポーツにおいても、女子選手は一般的に、賃金の大幅な格差、妊娠時の解雇規定や、コーチからのセクハラ等の問題があるが、どう対処してよいか知識や経験がないことや、メディアでも取り上げられにくく注目されない、といった意見が出され、プロの選手といえ、一労働者であるとして、更なる調査、組織化と連帯の必要性が確認された。


ネパール大地震から2年、UNIの仲間から感謝

UNI日本加盟組織連絡協議会

松浦議長

 

本日、4月25日、8,000人を超える犠牲者を出し、多くの人が住む場所を失ったネパール大地震から2年が経ちました。数多くの歴史的、象徴的建築物が一瞬にして瓦礫と化しました。地震のような自然災害は予測不可能で壊滅的な被害をもたらします。私たちは常に、自然の前では無力であります。

この危機によって私たちは精神的にダメージを受けましたが、同時に、連帯と集団の力の重要性を教えられました。支えてくださる人々がいれば、究極の絶望と恐怖の中にあっても、それは時に、力に変わることがあります。社会運動の活動家である私たちは、常に自らの社会的責任を心掛けていなければなりません。

苦境にある人々の顔に微笑みを取り戻すために、私たちは頑張ってきました。労働組合として、私たちは限界もわきまえながら、同時に、恵まれないコミュニティに対して、私たちの義務と責任を全力で果たそうとしています。更に、ありとあらゆる方法で彼らの生活水準を高める計画に取組んでいます。

私は、UNIネパール加盟協(UNI–NLC)と加盟組合を代表して、皆様からの寛大なご支援があったからこそ、こうした活動が実現できたと、謹んで申し上げます。皆様の、被災者へ寄り添う温かいお気持ちと復興に向けた惜しみないご支援のおかげで、私たちは悲しみの中にも希望と力を見出すことができました。

皆様からの大きなご支援によって、私たちは瓦礫の中から新しいエネルギーと復興への誓いをもって、再び立ち上がることができました。心より御礼を申し上げます。

 

UNI–NLC議長

シャンカール・ラミッチャン

 

■UNI–NLC震災救援・再建支援活動報告

2015年4月25日は、ネパール史上、最大の悪夢と言える。この大地震によって、8,000人を超える犠牲者が出、無数の人々が家族や家屋を失った。そのインパクトはあまりに甚大で、生活はほぼ元に戻ったとはいえ、未だに精神的苦痛を感じている人が多い。

政府、NGO、個人等による直後の救援物資配給の取組みは、賞賛に値する。しかし、不安定な政治状況に加え、地理的、気候的問題のために、再建プロセスは順調にはいかなかった。

労働組合は社会の重要な構成員であり、労働運動は重要な社会運動である。労働組合は社会的責任を果たさなければならない。それを踏まえて、UNI–NLCは、その力量の範囲で、またUNIをはじめとする様々な友誼団体の寛大なご支援を受けて、被災者の苦しみと悲しみを和らげるために努力している。UNI–NLCの支援活動第1段階の概要は次の通り。

第2段階として、UNI–NLCは、被災した靴製造者のグループのために、2つのコミュニティハウスの建設に取組んでいる。彼らは暮らしが貧しく、衛生面の認識が全くない。そこで、UNI–NLCは以下の目的で彼らの生計支援プログラムを実施している。

  • 再建:コミュニティハウス
  • 健康、衛生面の改善
  • 女性のリプロダクティブヘルスの認識の改善
  • 基礎教育
  • 収入を得るための技能訓練
  • 協同組合を通じたコミュニティの人々の組織化

貧困は決して誰も望んでいるわけではない。貧困撲滅には全ての人々の努力を結集することが必要だ。従って、人々が貧困を克服することができるよう、技能開発、収入を得るための訓練が行われている。

最後に、UNI–NLCは長期的利益のために協同組合に従事することを決めた。UNI–NLCは常々、被災者の涙を拭うための取組に対する、組織や個人からの寛大なご支援に感謝している。

 


UNI-LCJ金融部会、DBS銀行労使と情報交換

シンガポールのUNI金融部会加盟組織の1つ、DBS銀行労組のノラ・カーン委員長率いる執行委員会メンバーら25人とDBS銀行役員4人が、労使で戦略計画協議を行うため来日した。シンガポール屈指の同銀行は、多くの女性が活躍することでも知られている。2017年4月20日、UNI-LCJ金融部会メンバーは、少子高齢化社会という共通の課題に直面する両国における、再雇用制度とワークライフバランスをテーマに情報交換を行った。

DBS銀行労使代表団を歓迎し、宮井UNI-LCJ金融部会議長は、日本の状況について簡単に紹介した。政府の「一億層活躍プラン」の中で、労働供給力引き上げのため、子育て支援・介護支援の充実に加え、高齢者雇用促進が挙げられている。また政労使が参画する「働き方改革実現会議」において、同一労働同一賃金、非正規雇用の処遇改善の他、長時間労働是正、子育て・介護と仕事の両立等が議論されており、これらはワークライフバランスの実現に大きく関連する。多様な国籍・文化背景を持つ人材が活躍するシンガポールの、特に先進的取組みで知られるDBS銀行労使の経験を参考にしたい、と述べた。

日本における高齢者と女性の再雇用制度について、岩瀬損保労連事務局長が損保産業の、中井全信連書記長が銀行産業の現状と課題を説明した。両産業とも女性が結婚、出産、育児等を理由に退職した後、復職できる制度があり、高齢労働者は定年後、嘱託・契約社員として雇用され、希望者は公的年金が支給される65歳まで働くことができる。

DBS銀行人事担当役員サマンサ・チュア氏は、シンガポールの定年・再雇用制度の変遷について説明した。現在定年は62歳で、65歳まで再雇用としているが、今年7月1日から法改定が施行され、再雇用年齢が67歳に引き上げられ、60歳で賃金カットの条項が削除される。使用者が何らかの理由で従業員を継続雇用できない場合は雇用補助手当(EAP)を支払わなければならない。最後に、シンガポールでは高齢者の雇用可能性を高め、就業を支援するため、政労使で将来に備えた技能訓練に力を入れていると紹介した。

続いて、藤畠労済労連副委員長が日本におけるワークライフバランス実現に向けての現状と課題について、高橋生保労連副委員長が生保産業における取組み事例を報告した。日本の年間総実労働時間2000時間、年次有給休暇取得率は50%を下回る水準、そして男性の育児休業取得率が2%と説明した際、シンガポール側参加者から驚きの声があがった。生保労連では労使双方が参加するフォーラムを定期的に開催している。

DBS銀行のジョアン・ホー氏は、両立支援に予算を投じた企業には、生産性向上、従業員の満足度向上、医療関連コスト削減、優秀な人材を維持できる等の効果があったという経営者団体の調査結果を示した。シンガポールではこの10年で労働時間が減少傾向にあり、政労使委員会がワークライフバランス推進のため、労働者に柔軟な働き方を提案している。DBS銀行は両立支援の面で優良企業として表彰されており、フレックス勤務、パート、時短、在宅勤務、無給休暇等の働き方ができると述べた。

ノラ・カーンDBS銀行労組委員長は、「DBS銀行労使は過去にも日本を訪問し、UNIの金融部会の仲間と、女性の活躍推進やワークライフバランスをテーマに情報交換を行ってきた。シンガポールは日本の再雇用制度に関心を持っており、今回も非常に参考になった。ぜひ皆さんもシンガポールに来て、金融産業の最先端技術を見てほしい」と述べた。

最後に小川全国農団労書記長が、「両国には共通の課題が多いが、日本は法制度、企業の制度、労働者の意識がシンガポールより大きく立ち遅れていることを痛感した。これらの問題解決のために労働組合には大きな役割を果たさなければならない。社会で働く主人公が、家族の一員として、地域の一員としても働き続けられるようにしなければならない。短時間だったが有意義な交流をすることができた」とまとめた。


「労働の未来」に包摂と責任を!

UNIのフィリップ・ジェニングス書記長とクリスティーナ・コルクロフ「労働の未来」担当シニアアドバイザーは、ILO、欧州議会、デジタルスキルに関するグーグル主催イベントという「労働の未来」に関する最近の3つのイベントに波紋を投じた。主な論点は何か。我々とっては当然だが、多くの人にとっては新しいものである重要なメッセージと要求がいくつかある。同じく重要なことは、我々の声がこのシステムを通してさざ波を送ったことで扉が開かれ、好転したのである。

UNIリバプール世界大会とそこでの「労働の未来」に関する議論に先駆け、2016年の世界執行委員会は解決策を探る道を切り開くことを固く決意した。UNIにはアイデアがあり、我々には提案がある。我々は問題を特定するよりも一歩先に行き、解決策を提供している。3つのイベントでの我々の発言はそのことをまさに示している。

ジェニングス書記長は、ILO主催の大イベント「私たちの望む未来」で尻込みすることはなかった。2019年の「仕事の未来」に関するILO 100周年イベントに先駆け、この2日間で、労働組合、使用者、政府からの参加者700人以上が参加した。ILOは未来の課題と我々がすでに目撃している変化の主なプロセスを十分に認識している。この活動に熱心に取組んでいるILOは、「仕事の未来」に関するハイレベルの国際委員会を設立しており、この委員会はILOの100周年総会で報告することになっている。個別化し、グローバル化した未来の労働の世界に労働組合の居場所はないという他の講演者の主張に立ち向かい、ジェニングス書記長は全ての労働組合は職人のギルドによって作られたことを想起させた。

「我々は明確なビジョンを持った夢想家の運動であり、歴史を通してそれを証明してきた。我々は革新と変革を決してやめなかった」とジェニングス書記長は断言し、続けた。「労働の非正規化は我々の社会やコミュニティが直面している問題への答えにはならない。デジタル世界は、対話にオープンになるべきであり、我々は企業が責任を取るよう要求している。また、教育と訓練を誰もが受けられるよう求めている。ILO条約はバリューチェーンのいたるところで尊重される必要がある。参加させてくれれば、我々は組織化できる。世界は我々を必要としている。」

「答えはここ、この会場にある。ILOの労働基準は大きな成果である。ロボットと人間が助け合って働くことになるのだから、それを前面に出そう、『アルゴリズム8798』を作ろう。ロボットに、人間に対して条約が守られているかを尋ねさせ、その答えを公表し、悪いことを正す責任を持とう。」

ジェニングス書記長は、デジタル経済に関してもう1つのパラドックスを提起した。多くの人が、デジタル技術が市場を開拓し、多くの新しいテクノロジー企業の可能性を拡大したことを歓迎する一方で、ジェニングス書記長は、我々は経済力の崩壊を全く目撃していないと主張した。「我々は、新しい原料であるデータに関して、経済力と企業の力がこれほど集中するのを経験したことがない。何ら政策的対応もなく、ビッグ6と称されるテクノロジー企業は、今日アダム・スミスが生きていたら陰謀と呼んだであろうものに力を統合させてきた。これら企業が新しいゲームのルールを定める。彼らは経路を持ち、橋を持ち、力を持っている。これが力の統合である。集中の危険と悪用の危険に関する基本ルールは今でも当てはまる。」

欧州議会のイベント「AI時代における人間の幸福の優先」

コルクロフ・シニアアドバイザーは、欧州議会でIEEEが開催したイベントに、モーテン・クラウセンUNI欧州金融政策担当と参加した。マディー・ドゥルボー欧州議会議員が主催したこの夜のイベントは、AI時代における人間の幸福の優先というテーマを掲げていた。ジェニングス書記長のILOイベントでの訴えと同様、コルクロフは責任と包摂の必要性を強調した。フランス政府からの政治家やOECD、国連、欧州の諸機関の代表者と共に、コルクロフはショーン・ケリー欧州議会議員からの「どの仕事が置き換えられるリスクを負っているか?」という質問に答えるよう求められた。

「多くの仕事はおそらく消えてしまうだろう。だいたい40~77%と予測するものもいる。そして現在人間が行っている多くの作業がAIとロボット工学に取って代わられるだろうとも考えられている。そのため、短く回答するならこうなる。基本的に全てである、と。」そしてコルクロフは続けた。「この会場にいる全員、全ての企業、全ての政府が労働者の雇用適性を押し上げる責任を持っている。我々は労働者が個人事業主に追いやられ、そのため社会保障制度の枠外に出されてしまうことを受け入れられない。我々は制度を変える必要があり、あらゆる雇用形態の全ての労働者に、同じ強力な社会権と基本的権利を与える必要がある。企業は労働者の再教育やスキルアップに積極的かつ財政的に貢献すべきである。企業は必要な技能のある人々がいないと不平を言って、力を貸さないでいるわけにはいかない。」「我々が仕事について語る時、注意すべき点がある。AIがこれこれの多くの仕事を生み出すだろう、またはこれこれの多くの仕事がすでに生み出されているという分析や予想を読む時、むやみにその統計を賞賛するのはやめよう。これらの仕事が労働者を搾取しているなら、彼らを貧困レベル以下の賃金や社会権のない状態においているとしたら、どうだろうか。我々は全ての人にとってのディーセントワークを要求すべきである。」

人々とその能力が、経済成長だけでなく国の発展を評価するための究極の基準になるべきであるということを強調するために作られた、国連の人間開発指数に関する詳細を参照してほしい。

OECD、国連、フランス政府の報告書「管理され、有用で、分かりやすく説明された人工知能を目指して」のプレゼンテーションを含む、この夜のスライドはこちらをクリックすれば入手できる。

最後に、コルクロフとクラウセンは、このイベントを総括するために、推進力となる声明を書くよう主催者に依頼された。「(GDPだけと比べて)もし人間の幸福がAIとテクノロジー政策を作る際に優先されるなら、社会はどれほど違って見えるだろうか」という問いに対する答えは、こちらを参照してほしい。

デジタルスキルに関するグーグルのイベント

更に、コルクロフはグーグル主催のイベント「モバイル時代のデジタルトランスフォーメーション」において、「新しい技能、雇用、成長」に関して話すよう招待された。BBCのサミラ・アーメッド氏が司会を務めたこのイベントには、デジタルトランスフォーメーションの可能性を議論するために、ハイテク企業のCEO、専門家、技術者が招待された。その会場で唯一の労働組合代表として、期待を背負ってコルクロフは討論に加わった。

労働者が必要とされるスキルを確実に持てるようにするにはどうするかという問題に対し、コルクロフは、現在の労働の非正規化、個人事業主や不安定な労働形態の労働の増加が、労働者全体の全般的なスキルアップと全く関連していないことをあらためて強調した。この点については、あるパネリストが認めたように、この矛盾について考えたことがないというだけの理由で、パネリストと参加者の両方を驚かせた。コルクロフは、労働組合はスキルレベルを押し上げるために新しい形の協力に参加する用意ができているが、それには企業と国が新しい可能性を新たに考案、調査しようとする同じ勇気と決断を持つことが必要だ、と問題提起した。コルクロフは、我々がデジタル経済を、場所、技能レベル、年齢、性別を問わず包摂的なものにすることは、全ての関係者の利益になるとさらに強調した。

「すでに今日、大企業の従業員には中小企業の労働者よりもずっと多くの訓練とスキルアップの可能性があることを我々は知っている。不安定な仕事の増加とともに、この格差は受け入れがたく、持続不可能なレベルにまで拡大してしまうだろう。物事のバランスをとるために、あらゆる種類と規模の企業が教育基金に拠出し、その基金からあらゆる雇用形態の全ての労働者が収入の損失や訓練コストをまかなう資金を求めることができるという解決策を、我々は考えている。」

このイベントの後、コルクロフは欧州が技能格差を狭める方法について尋ねられた。動画での回答はこちらを参照してほしい。

上記から学べることとは

UNIはテクノロジーの狂信者、学者、専門家、政策立案者、企業の世界に波紋を投じており、我々の見解と意見は人々を驚かせもするが、歓迎されている。上記の3つのイベントにおいて、UNIは具体的な解決策と前進する方法を提供した。その反響とそれに続くさらなる情報を求める問い合わせは、我々の声、意見、つまり、労働運動として何をどのように社会と労働者のために求めているか、をもっと発信していかなければならないことを示している。我々の運動は無意味だと思い、現実と乖離していると考える人がたくさんいる。我々はこの状態から抜け出し、変化をもたらさなければならない。我々の後に続く世代に対して責任がある。

我々が主張しているいくつかの意見は、「労働の未来」専用の新しいウェブサイトwww.thefutureworldofwork.org/opinions で読むことができる。

世界に影響を及ぼすメガトレンド、テクノロジーの変化の主な推進力、公正な移行と持続可能な労働の未来をもたらすためにしなければならないこと、できることを考える最近のUNIの記事はここで読むことができる。

 


UNI-LCJ印刷・パッケージング部会、春闘情報交換会

UNI-LCJ印刷・パッケージング部会加盟組合は、毎年4月に春闘情報交換会を開催している。今年は4月20日に、各組織の春闘の進捗状況を共有した。また、2017年度のUNI/UNI Apro印刷・パッケージング部会活動日程を確認し、特に9月11~13日に福島で開催されるUNI Apro印刷・パッケージング部会大会について、ホスト国として積極的に参加することを確認した。


ICTS部門における「労働の未来」

昨年9月、UNI世界ICTS部会担当局長に就任したアルケ・ベシガー局長が、2017年4月10~12日、日本の加盟組織の状況と課題について学ぶため、来日した。 4月11日、「ICTS部門における労働の未来」というテーマで講演会が開催され、情報労連加盟単組代表、国際委員会メンバー、常任中央執行委員、UNI-LCJより約30人が出席した。

ベシガー局長は、世界的な傾向として、人口構成の変化、労働移住、格差の拡大、気候変動と共に、デジタルイノベーション(技術革新)を挙げた。50年前、(時価総額レベルで)世界のトップ企業が50万人程の従業員を雇用していたのに比べ、現在のトップ企業(アップル、グーグル、マイクロソフト等)の従業員数はそれぞれ10万人にも満たない。世界銀行は、OECD諸国の平均で57%の雇用が自動化の影響を受けると予測している。更に、有期雇用、派遣労働、オンコールワーク、パートタイム、下請け、個人請負、偽装雇用といった、非典型雇用が拡大している。「こうした不安定雇用に就いている労働者をどのように守っていくか、ウーバーのような、社会的責任を果たさないビジネスモデルの蔓延を許してはならない」と訴えた。

ICTS部門においても、激烈な競争に駆り立てられたコスト削減圧力と技術の進化に伴い、従来のテレコム企業から様々な業務が、より人件費の安い国や地域へアウトソースされ、また国境を越えたクラウドソーシングや在宅勤務等の新しい働き方が可能になり、従来の国内の労働規制を受けない労働者が増えている。

UNIは昨年11月、世界執行委員会の前日、「労働の未来」組合幹部サミットを開催した。参加者からは、人間や環境を優先する倫理的な人口知能(AI)の基準を設定するような国際条約が必要だとの意見が多く出た。

ICTS部会としては、コールセンター、IT労働者、専門職・管理職の組織化に重点を置いている。

UNIは第5回UNI世界大会(2018年、英国・リバプール)での議論に向け、「労働の未来」に関する政策を立案するため、UNIデジタル化専門家グループを立ち上げ、加盟組織に参加を呼びかけている。ベシガー局長は、「情報労連とUNIは、共通の価値観とビジョンを持っている。課題は山積しているが、特にアジア太平洋地域のICTS部門における組織化と組合強化のために、情報労連の経験はとても有益だ」と、更なる支援を要請した。

講演後の質疑応答では、「セキュリティーの高いIT労働者の職場にどのようにアプローチしていくか」、「ドイツに比べ年600時間も長い日本の長時間労働をどのように改善できるか」等の質問が出された。

この他ベシガー局長は、NTT及びKDDIの労使を訪問し、会社概要、ビジネス動向、組合概要と課題をそれぞれ聞いた。


ドゥルチUNIケア部会担当局長、日本の介護の現場を視察

2017年4月10~11日、UNI本部よりエイドリアン・ドゥルチUNIケア部会担当局長が来日し、UAゼンセン本部及び加盟組合の日本介護クラフトユニオン(NCCU)、更に都内にある介護施設の現場を訪問した。同局長は2016年9月に就任後、初めて来日し、日本の少子高齢化社会を背景とするケア産業の現状と課題、ケア労働者を巡る問題について見識を深めた。

10日は、UAゼンセン本部を訪問し、総合サービス部門の古川事務局長からUAゼンセンの組織概要と総合サービス部門全体について、伊藤執行委員から医療・介護・福祉部会の組織現勢、主な活動内容、介護労働者の人材不足、処遇改善等の政策的課題に対する取組みについて説明を受けた。ドゥルチ局長は、今後、世界及びアジアで同部会活動を推進する上で、日本のような労使対話に基づく建設的労使関係を模範としていきたいと述べ、UAゼンセンに継続的な情報共有と連携強化を要請した。

11日は、NCCUを訪問し、久保会長、染川事務局長、村上政策部門長と懇談した。まず、染川事務局長より日本の介護保険制度、NCCU誕生に至る経緯、活動内容、組織拡大、政策、今後の課題等について説明を受けた。続いて、村上政策部門長が「介護ロボットとICT」と題して、政府の一億総活躍プランに基づき厚生労働省が推進している介護ロボット導入支援事業や介護サービスにおけるICT活用実証研究事業について説明した。その後、NCCUの組織化の課題、日本の介護産業における介護ロボットの活用状況と今後の展望等を中心に意見交換が行なわれた。欧州ではロボット等AIの活用により雇用が奪われるのではないかとの懸念が強いが、日本ではどうか?との質問に対しては、急激な高齢化で介護人材が不足する中、負担の大きい作業の軽減による労働環境の改善への期待が大きいこと、一方で介護ロボットは依然として導入コストが高く、ICTの扱いに習熟した人材も少ないこと等から普及はなかなか進んでいないという回答があった。

最後に、東京都内の高齢者ケアセンターを訪問し、同社の国内外での事業展開について説明を受けた後、介護労働の現場を視察した。ドゥルチ局長は、欧州にはない通所形のデイケアサービスや、入浴介助用機器類等に関心を示し、多くの質問をした。


UNI Aproメディア部会、マレーシア加盟組合ワークショップ

2017年4月6〜7日、マレーシア・クアラルンプールにおいて、UNI Aproメディア部会はマレーシア加盟協(UNI—MLC)の協力を得て、ワークショップを開催した。開会式で、UNI Aproメディア部会の中村議長は、連帯の挨拶を行ない、今年9月に福島で開催予定のUNI Aproメディア部会大会への積極的な参加を呼びかけた。

メインテーマは「マレーシアのメディア部門における組織化」。メディアプリマ(TV3、プリマワークスタジオ)やアストロプロダクションの一般職労組及び管理職労組、国営ベルナマ通信労組、アルヒジュラ労組、作家協会、新聞労組等から30人が参加した。参加者は自己紹介の後、それぞれの組合の概要と直面する課題について報告した。

ヨハネス・ストゥディンガーUNIメディア部会担当局長は、UNIメディア部会の紹介と、組織拡大・組合強化の戦略計画について説明した。参加者は2日間のワークショップで、グループ議論を行い、2017〜2018年度のアクションプランをまとめる予定である。

ワークショップに先立ち、4月6日午前中、中村UNI Aproメディア部会議長率いるUNI代表団がアジア太平洋放送連合(ABU)を訪問し、モッタギ事務局長とUNI Aproメディア部会の協力分野について意見交換を行なった。UNI Aproメディア部会とABUは既に協力の覚書を結んでおり、モッタギ事務局長からは、メディアが果たせる役割として、「ジェンダー平等に関する啓発」、「多様な文化を持つアジア太平洋地域における平和の実現」等への貢献が挙げられた。また、メディアと民主主義、災害リスク軽減・防止、デジタル格差是正の分野での協力も提案された。


UNI Apro執行委員会、「労働の未来」を議論

2017年4月4~5日、シンガポールにおいて、第30回UNI Apro運営委員会、第23回UNI Apro執行委員会が開催された。昨年11月のUNI世界執行委員会における「労働の未来」議論を踏まえ、UNI Aproにおいても「労働の未来」フォーラムが開催された。

ジェニングスUNI書記長による基調講演

ビッグ6(グーグル、アマゾン、アップル、マイクロソフト、フェイスブック、IBM)があらゆるデータを独占している。彼らは責任あるビジネス行動とはいかなるものか、わかっていないようだ。競争だけでなく税制面でも規制をみていかなければならない。4人に1人しか正式な社会的保護を受けておらず、大儲けをしている企業が税逃れをし、更に仕事が機械に置き換わったら、人間はどうやって生きていけばよいのか。最低所得保障の議論があるが、組合の中でも懐疑的な人もいる。このような状況の中、ディーセントワークを確保するためには、組合を成長させるしかない。組織化基金を活用し、下請け労働者や専門職・監督職等も組織していかねばならない。他人に任せてはいけない。

UNIのアクション

ケープタウン世界大会で、労働の未来を取り上げることを決定した。世界経済フォーラムでも訴えた。そのため、14の産業で500万人が失職するという報告が出された。UNI欧州地域組織も調査をしている。ILOも100周年記念イニシアチブとして「仕事の未来」プロジェクトを推進しており、今後、世界委員会が立ち上げられる。我々はこのような国際機関に絶えず強力なメッセージを出し続けていかなければならない。

我々は、組合がデジタル革命の中でいかに戦略を変えようとしているか、現状に適用させようとしているか、調査している。労働者の権利、社会契約のあり方、我々のデータへのアクセス、シンギュラリティ、AIの倫理等、デジタル・マニフェストを作りたい。そのための取組みとして、①新たに「労働の未来」専用ウェブサイトを立ち上げ、②「デジタル化専門家グループ」への参加を加盟組合から募っている。これらはUNIの専門知識のハブとして、リバプール世界大会までに解決策をまとめていく。

「アクションを起こすのは我々だ。解決策を提示するのは我々だ!」

パトリック・テイ氏によるシンガポールの状況報告

シンガポール加盟協(UNI-SLC)からは27人が傍聴した。代表して、パトリック・テイ商業労組書記長(シンガポール全国労働組合会議SNTUC副書記長)が、SNTUCの取組みについて報告した。シンガポールは貿易やグローバル化に依存しており、不確実性の時代に、欧米、中国、東南アジアの動向から大きな影響を受ける。3D(①Demand、②Destruction、③Demographic)という言葉があり、大きく襲い掛かっている。①グローバルなDemand(需要)が下がった。②デジタル化の影響で、以前はトップ企業といえば石油会社だったが今はハイテク企業にその座を譲り、弱肉強食ではなく、等しく食べられてしまう。シェアリング・エコノミーが増え、大手多国籍企業ばかりでなく小規模スタートアップ企業も増えている。技術革新によりシンガポールでは43%の雇用が代替可能と言われており、破壊的状況(Destruction)だ。③急速な高齢化、出生率低下(Demographic)。

これらを克服するための対応として、将来のスキル訓練と、産業別政労使三者委員会による取組みを紹介した。

将来のスキル訓練は、失業者保護だけでなく、将来の失業者防止のためである。組合だけでなく、政労使、学者、コンサルタント、専門家、フリーランス、中小企業等と共に、弾力性をもって新たな雇用に備え準備していく試みを今年1月から開始した。

23の産業別政労使三者委員会を設置した。例えば金融委員会であれば、財務省、金融機関、中央銀行、組合が委員会に入り、政策提言に関与する。それぞれの産業の変革マップをつくっている。生産性について考え、労働者がデジタル化を受け入れるにあたり、マルチスキルにする。6部門で既にマップができあがり、来年3月には17部会もできる。

パトリック氏は、三者主義で取組む重要性を強調し、ILOやUNIの取組みと足並みを揃えていると述べた。

これらの報告を受け、松浦UNI-LCJ議長からは日本の状況について簡単に報告すると共に、UNI-LCJとして8月頃「労働の未来」シンポジウムを開催し、リバプールUNI世界大会までにUNI-LCJとしての見解をまとめる予定であると述べた。

ジェニングスUNI書記長は、デジタル資本主義に関する調査を行い、リバプールまでに結果をまとめると述べた。UNI Aproでは今年の部会大会で「労働の未来」を議論することになっており、各国でUNI Aproのリーダーが取組みの中心となることに期待を寄せた。

夕食会には、退任した鈴木ITUC-AP前書記長を招き、野田UNI Apro地域会長から感謝の盾が贈られた。

 


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