7月 2015のお知らせ

UNI Apro郵便・ロジスティクス部会/APPU共同セミナー

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JP労組の後援とアジア太平洋郵便連合(APPU)の研修機関APPCの協力を得て、2015年7月28~29日、UNI Apro郵便・ロジスティクス部会/APPU共同セミナーがバンコクのAPPCで開催された。UNI Apro郵便・ロジスティクス部会が各国郵便労組の若手役員向け研修として毎年開催している本セミナーには今回、日本、モンゴル、台湾、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、バングラデシュ、インド、ネパール、パキスタン、スリランカから19人(うち女性8人)が参加した。日本からはJP 労組の佐々木さおりさん、萩原美華さんが参加した。

開会式では、リン・ホンリャンAPPU事務局長が参加者を歓迎し、「過去30年間で郵便事業を取り巻く環境は劇的に変化した。このような変化に適切に対応するためにAPPCという学びの場が存在する」と述べ、国や文化の違いに関わらず、同期の研修生どうし協力し、貴重な学びの機会を有益に活用するよう激励した。伊藤UNI Apro郵便・ロジスティクス部会担当部長は、10年以上続く本セミナーからこれまで多くの卒業生が輩出され、彼らが組合リーダーとして第一線で活躍していることを強調し、長年に渡るAPPUの協力に感謝した。

1日目は、アヌチャ講師より「UPU及びAPPUについて:郵便の国際事業」、「郵便事業の将来」、「変化する郵便・ロジスティクス・ビジネスの現状と発展」について講義を受けた。参加者は、郵便事業の収益性をあげるための新たなサービスについて、小地域別にグループディスカッションを行い、発表した。また、ラクシ・メールセンターを訪問し、ロジスティクス・サービスの現場を見学した。

2日目は、アミチャ講師より、90年代に民営化され2003年に上場されたシンガポール・ポストの成功事例が紹介され他、アヌチャ講師から「人材育成及び労働安全衛生」について講義を受けた。

修了式では、リンAPPU事務局長から全員に修了証書を授与され、萩原美華さんが研修生を代表して謝辞を述べた。また、リン事務局長は、年内に退任予定の伊藤UNI Apro郵便・ロジスティクス部会担当部長を労い、APPUとUNI Apro郵便・ロジスティクス部会の協力関係強化への貢献を称えた。伊藤部長は、日々進化する郵便事業やそれを取り巻く環境と同様、自身の引退も変化の1つに過ぎないと述べ、今後もAPPUとの協力関係と本セミナーの実施を継続していくことを期待し、次世代へとバトンを渡した。

 

写真はflickr参照


UNI Apro郵便・ロジスティクス部会/タイ郵便労組共同セミナー

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JP労組の後援を受け、UNI Apro郵便・ロジスティクス部会とタイ郵便労組(SEWU-THP)との共同セミナーが、2015年7月27日、バンコクで開催された。これは、UNI Apro郵便・ロジスティクス部会が各国郵便労組の若手役員向け研修として開催しているAPPUとの共同セミナーがバンコクで開催されるのに合わせて、毎年開催されている。日本、モンゴル、台湾、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、ベトナム、バングラデシュ、インド、ネパール、パキスタン、スリランカから参加した19人(うち女性8人)に加え、SEWU-THPから本部及び地方役員33人が出席した。日本からはJP 労組の佐々木さおりさん、萩原美華さんが参加した。

開会式では、ウィラート・タイ郵便労組委員長が全参加者を歓迎すると共に、郵便事業を取り巻く環境が刻々と変化する今日において、いかにして赤字から黒字体質に変えていくか、良き状況を持続するためには高品質なサービスを提供し続けることが重要だと強調した。続いて伊藤栄一UNI Apro郵便・ロジスティクス部会担当部長は、2006年の赤字転落から近年再び黒字化した米国USPSの事例を挙げ、成功の要因は何か、また今後アジア太平洋地域における郵便事業はどのような戦略を取るべきか参加者に問いかけ、海外の郵便労組との情報交換の重要性を指摘した。

まず、タイの郵便事情について、労働組合及び会社代表から報告を受けた。パシー・タイ郵便労組副委員長は、130余年続く歴史の中で、タイポストの品質向上に努めつつ、組合は労働条件の改善に常に努力してきたと述べた。タイポスト金融サービス局のウライワン氏もサービスの充実と質の向上は今後生き延びる上で欠かせないと加えた。

後半は、海外からの参加者が各国の郵便事情について報告した。佐々木さおりさんは日本郵便の現状、国際ロジスティクスを含めた今後の事業戦略とJP労組の概要、活動について発表した。萩原美華さんは、労働安全衛生の取組みについて発表し、事故の無い安全な職場作りには労働組合の関与が欠かせないことを強調した。資料として、参加国の郵便事業及びロジスティクス事業に関する最新情報が配布された。

海外参加者は翌28日夕方、SEWU-THPメンバーの案内で、ラクシ・メールセンターを視察した。

 

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ウンUNI Apro地域書記長、アチャリャUNI Apro労組強化部長来日

情報労連大会出席のため、2015年7月14日から16日まで、クリストファー・ウンUNI Apro地域書記長及びラジェンドラ・アチャリャUNI Apro労組強化部長が来日し、この機会に日本の様々なUNI加盟組織・役員と意見交換を行った。

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情報労連大会で挨拶したウン地域書記長は、野田委員長の強いリーダーシップの下、情報労連が、特にアジア太平洋地域における情報通信及び関連産業の労働者の組織強化を、国際連帯を通じて支援してきたことに感謝した。その成果として、多くの国で民主的な労働組合が発展し、国際労働運動の重要な担い手となっている。野田委員長からは、UNI-NLCへのカンパと『絆』の文字を入れた黄色いポロシャツ100着が贈られた。アチャリャ部長は、「これを着たUNI-NCLボランティアに助けられる被災者は、日本からの支援に励まされ、再び立ち上がる気力が湧いてくるだろう」とあらためて感謝した。

逢見UNI Apro地域会長に、来日直前に訪問したカトマンズ視察を報告したウン地域書記長は、UNI-NCLとしては大会開催を切望しつつも、現実的には700人規模の国際会議を行うためのインフラの復旧が見込めず、参加者の安全性重視の観点から、遺憾ながら開催地変更を受け入れたと述べた。代わりに、マレーシア・クアラルンプールでの開催と、首相を招待する関係で当初の日程を2日ずらすこと(地域大会は12月7~8日)が提案され、逢見会長の了承を得た。合わせてウン地域書記長は、11月18~20日にカトマンズで、南アジアのUNI加盟組合を対象とする会議の開催を提案した。

小俣UNI-LCJ議長(JP労組委員長)を表敬し、アチャリャ部長はUNI-LCJの迅速な支援に対するシャンカールUNI-NLC議長からの感謝を伝えつつ、「この絵を見る時、地震で崩壊してしまったこれらの遺産とネパールのことを思い出してほしい」との願いを込め、ネパールの世界遺産を描いた絵を贈呈した。小俣議長は、東日本大震災の経験から、被災者を孤立させないよう心のケアが重要だとアドバイスすると共に、6月のJP労組全国大会で集められたカンパ金を渡し、復興までの道のりは長いだろうが日本としても引き続き支援していくと激励した。

UNI-LCJ印刷部会会議(7月14日、凸版印刷労組本部会議室)では、ウン地域書記長は、アジア、特にインドネシア、マレーシア、インド等における印刷・パッケージング部会の組織化に対する日本の労組の支援に感謝した。釣本全印刷委員長は、インドネシアのトッパン工場労働者に関する情報を、会社側だけでなくUNI Aproからも得られたことは有益だったと述べた。ウン地域書記長は、アジアでもパートナーシップ労使関係を現実に機能する選択肢として労働組合を説得していくとし、日本の労組の継続的な支援を要請した。続くレセプションでは、8月に退任予定の竹井全印刷委員長の、長年のUNI Apro印刷・パッケージング部会への多大な貢献に対する感謝の盾が贈られた。また、ネパール大地震への支援カンパも行われ、アチャリャ部長に渡された。

UNI-LCJ金融部会会議(7月15日、損保労連会議室)では、ウン地域書記長から、最近マニラで開催されたASEAN銀行部門三者会議の成果について報告を受けた。ASEAN経済共同体(AEC)成立を目前に、ASEAN銀行部門の完全自由化、外資の更なる参入が見込まれる中、労働組合としてこの傾向にただ反対するのではなく、労働者への影響を最小限に抑えるために何ができるかを、政府及び使用者と共に定期的に議論する場の重要性を強調し、フィリピンにおける銀行部門の三者メカニズムをASEANの他の国にも模範として普及していきたいと述べた。また、日本の金融労組には、日本の金融機関がASEAN諸国でますます活発に事業を行うにあたり、このような三者会議に出席し、情報交換や人脈作りを行うことは非常に意義があるだろうと、参加を奨励した。

自動車総連では、郡司事務局長から今春闘の結果や日本の現在の課題等について説明を受けた後、ウン地域書記長は自ら40年に渡りUNI Aproを率いてきたが、ようやくUNI及びUNI Aproの知名度や評価が高まってきたと報告した。例えば、ジョン・ラギー教授が提唱した国連ビジネスと人権に関する指導原則に対応した人権の取組み状況に関する世界初の包括的報告枠組みが今年2月にロンドンで発表されたが、その策定に関わった14人の賢人グループに、ウン地域書記長が労働運動代表として唯一関わった。ウン地域書記長はまた、世界経済フォーラムの世界規模の課題を設定する、グローバル・アジェンダ・カウンシルのメンバーでもある。昨年、タイ労働法改革委員会から招聘され、ASEAN10か国に一律適用される労働権に関する協定の策定に、ASETUC(ASEANサービス労組協議会)が労働者を代表して参画していること等に、UNI Aproの実績が高く評価されていることが示されている。

ウン地域書記長は訪問先それぞれで、カトマンズ視察を報告し、ネパールの被災者は、財政的支援だけでなくモラルサポート(世界中からネパール被災者を心配する気持ちが届けられたこと)によって大変勇気づけられ、それが希望につながっていることを強調した。一方、主な収入源である観光産業が大打撃を受けており、地域大会の開催地変更がUNIネパール加盟協(UNI-NLC)全体の大きな落胆と自信喪失につながる恐れがあると懸念した。アチャリャ部長は、UNI-NLCが取組む、政府や他のNGO支援が行き届かないコミュニティへの、初期段階の支援(緊急救援物資配給)は完了し、これから夏と雨季の到来に向け、より耐久性ある仮設住居の支給と感染症防止対策が次段階の課題だと説明した。長期的には、コミュニティセンターを建設し、靴や衣服等の製造設備を併設し、住民のために安定した収入を確保するような雇用を生み出す計画があると述べた。

 

写真はflickr参照


UNI-LCJ青年・女性意見交換会

第15回UNI-LCJユース英語セミナー(2015年7月3~5日、長崎)のために、ネパール、スウェーデン、台湾から若手役員が来日した。この機会を利用して、日本のUNI Apro青年/女性委員をはじめ加盟組織の青年/女性担当、国際担当等と意見交換を行った。情報労連、全印刷、UAゼンセン、全労金、損保労連、日放労、JP労組から13人が出席した。

ネパールテレコム労組のパルパサ・トゥラダー・カンサカールは、ネパールの労働運動が政治的・イデオロギー的理由から団結できていないと述べた。それでも、大地震をきっかけに労働運動全体として復興に全力で連携協力していくこと、UNI傘下の加盟組合は「地域に寄り添う労働組合」として被災者支援に取組み始めたことを報告すると共に、UNI-LCJからの迅速な支援に感謝した。

スウェーデン商業労組のラルス・エリック・ダニエル・カールステッド青年担当(UNI欧州青年委員会議長)は、スウェーデンの労働組合組織率が70%と高いこと、企業別ではなく産業別に組合がつくられていること等を紹介し、UNI欧州青年委員会議長として欧州全体の青年労働者の課題についても説明した。昨年のケープタウン世界大会への35歳以下の代議員比率が5%程度であったと報告し、2018年のリバプール世界大会では20%を目標にしようと呼びかけた。

台湾郵便労組のウー・シンフェン(ジェームズ)国際部副部長は、台湾の郵便サービスについて説明すると共に、2003年の公社化以降、異なる人事制度が共存することによる、組合の世代間の意識のギャップをなくすため、2013年に設立された青年委員会の活動を紹介した。

続いて、出席した日本の加盟組合から、青年活動、女性活動、男女共同参画の取組み等について簡単に報告があった。

意見交換会後には、懇親会で更に交流を深めた。

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第15回UNI-LCJユース英語セミナー

 

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第15回UNI-LCJユース英語セミナーが2015年7月3~5日、長崎で開催され、情報労連、全信連、UAゼンセン、全労金、自動車総連、JP労組から23人と、海外リソースパーソンとして、スウェーデン商業労組のダニエル・カールステッド、ネパールテレコム労組のパルパサ・トゥラダー、台湾郵便労組のジェームズ・ウーが参加した。長崎での開催は従来3泊4日だったが、今回1日短縮した2泊3日のタイトなスケジュールで、原爆資料館等の視察や深夜に及ぶグループワーク、委員会作業を含む盛り沢山のプログラムをこなした。

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初日の開会式では、小俣UNI-LCJ議長から、「このセミナーをきっかけに、グローバルな労働運動にもっと興味を持ち、海外の若い労働者や組合がどのような課題に直面しているか情報交換し、業種、国境を超えた友人のネットワークを広げてほしい」と激励の言葉をいただいた。

UNIの概要説明に続き、ダニエル講師から、スウェーデンの労働組合組織率が70%と高いこと、企業別ではなく産業別に組合がつくられていること等の紹介があり、UNI欧州青年委員会議長として欧州全体の青年労働者の課題の説明があった。昨年のケープタウン世界大会への35歳以下の代議員比率が5%程度であったと報告し、2018年のリバプール世界大会では20%を目標にしようと呼びかけた。

パルパサ講師は、ネパールの労働運動はイデオロギーや政策の違い等で分裂しているが「団結」こそが力になると述べ、UNIの加盟組合は属するナショナルセンターが異なってもUNIの旗印の下、連携を深めていると報告した。自らの経験から、「女子学生=文系」という社会の固定観念をなくし、理系を学ぶ女子学生が増えてほしいと期待し、それによりジェンダーによる職業分離がなくなるだろうと述べた。また、ネパール大地震に際してのUNI-LCJからの迅速な支援に感謝した。

ジェームズ講師は、台湾の郵便サービスについて説明すると共に、2003年の公社化以降、異なる人事制度が共存することによる、組合の世代間の意識のギャップをなくすため、2013年に設立された青年委員会の活動を紹介した。

今回、特別講師として、2010年まで、UNI長崎連絡会事務局長(情報労連長崎県協議長)を務めUNI長崎世界大会の成功に奔走した、宮崎辰弥連合長崎事務局長(現)から、「UNI長崎世界大会と平和」と題する講演をいただいた。宮崎事務局長は、平和への想いとして、70年前の原爆投下と、日本が戦争をしていたことを決して忘れてはならないと述べ、「戦争は絶対にしてはならない、核兵器は最後の一発が無くなるまで行動しよう」と参加者に訴えた。また、UNI世界大会から学んだこととして、「多くの課題があっても、みんなの知恵と情熱で解決できること、ネットワークが広がったこと、世界の動きに興味を持ったこと」を挙げ、「偉大な事業は夢で始まり、情熱で持続され、責任感で成就する」という言葉を参加者に送った。

グループワークとしては、3つのグループに分かれ、英語で、①労働組合を宣伝するコマーシャル、②平和の大切さを訴えるコマーシャルをつくった。また、最終日には、「UNI」、「平和」、「組合の青年活動」というテーマで、プレゼンを行った。UNI諸会議に参加した経験や今回のセミナーの感想を交えてUNIをより多くの組合員にいかに周知していくか、平和希求と核兵器廃絶の想い、パワハラ・マタハラといった職場の問題を組合役員に相談して解決する寸劇等、全員参加で夜遅くまでストーリー作りと練習に励んだ。

この他、全員が、ファンタスティック委員会(息抜きやゲームを担当)、ブログ委員会(フェイスブックに記事を投稿)、働き蜂委員会(資料配布、整理整頓、プレゼンの司会担当)のいずれかに属し、会議のスムースな運営に協力した。

セミナー後のアンケートでは、「また参加したい」22人、「同僚に勧めたい」22人と大変好評だった。この他、「他労組・異業種の人と交流できてよかった」、「英語漬けで大変だったが、楽しいと感じられた。周りに助けられシンプルな英語で意見を発表することを学んだ」、「長崎で原爆資料館を視察し、平和について考えることができてよかった」、「今までで一番充実したセミナーだった」との前向きな意見が多かった。

写真はFlikerを参照


TOP LEADERS @ UNI 逢見UNI Apro地域会長

 

国内外でご活躍のUNIリーダーから、国際労働運動でのご経験や意義についてお伺いするコーナ。今回は、逢見直人UNI Apro地域会長(UAゼンセン会長)です。

 

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初めて国際労働運動に関わったきっかけは?

1976年にゼンセン同盟に入った翌年、米国の国際婦人服工組合(ILGWU)の幹部が来日し、会議から京都、岡山の教育センターまで随行したのが最初のふれあいでした。当時、日米繊維交渉、貿易摩擦といった問題があり、日米の労働組合の緊密な協議が必要だったのです。ILGWUの本部はニューヨークにありましたが、ニューヨークといえばファッションの発信基地。華やかな業界の裏に劣悪な労働条件で働く労働者がおり、彼女達の権利を守るため奮闘している労働組合の歴史や取組みを学びました。

また1981年、イスラエルのヒスタドルートが運営するアジア・アフリカ教育機関で、8月から12月まで研修を受ける機会がありました。世界の火薬庫といわれる中東では当時、エジプトのサダト大統領とイスラエルのベギン首相の間で和平協定が結ばれましたが、直後にサダト大統領が暗殺される(1981年10月)など、平和に向けた努力と緊張感を肌で感じました。日本から遠いだけでなく、状況が違うことも実感しました。例えば、水と安全は、日本人はタダで手に入ると思っていますが、中東ではコストをかけて手に入れるもの、守るものという認識なのです。また、イスラエルのことを学ぶだけでなく、アラブ村を訪ねアラブ人との交流を通じて、両者の立場を見聞することもできました。

様々なご経験から、国際労働運動の意義は?

ILO憲章に「世界の平和は社会正義を通じて達成できる。一部の貧困は、全体の繁栄にとって危険である」とあるように、社会正義がきちんと機能しないと戦争の原因になったり、貧困につながったりします。労働運動として社会正義を実践し、貧困問題も他人事ではなく自分達の問題としてとらえ改善していくことが、労働組合の役割なのです。米国の大学教授が『あなたのTシャツはどこから来たのか? 』という著書で、綿花の栽培、加工、染色、プリントといった製造から販売、古着市場に至るサイクルの中で、世界貿易の矛盾とそこで働く労働者、経済格差といった問題をどう理解すればよいのか問題提起をしています。UAゼンセンでは、身近な例で考え意識を持ってもらうよう「ボランタス(社会貢献活動)海外派遣」を通じて、例えばスリランカで紅茶はどのような環境で作られているかを体験してもらいます。そうした経験から意識も変わり、より組合活動に積極的に関わるようになった人もいます。

UAゼンセンは4つのグローバルユニオン(国際産業別労働組合組織)に加盟していますが、UNIの印象は?

UAゼンセンは、インダストリオール、IUF(国際食品労連)、BWI(国際建設・林産労連)とUNIに加盟しています。UNIは産業の幅が非常に広く、第3次産業はどの国でも雇用が拡大し続けている分野です。また、雇用が技術革新の影響を受ける産業でもあります。UNIは積極的に組織化を進め、時代の変化に敏感だと思います。また、地域組織においても、使用者との社会対話を促進し、組織を拡大し、協約を締結するなど目に見える成果に結びつく運動が展開されており、UNI Apro執行委員会で報告を聞くと、ブレイキングスルーが実感できます。

カトマンズは思い出の地だそうですが…

35年前、新婚旅行でネパールに行きました。4月の大地震により多くの犠牲者が出、世界遺産が倒壊したのを見て、大変悲しく思います。当時、人々は素朴で、経済的には貧しいながらも明るい感じを受けました。(5月の)UNI Apro(アジア太平洋地域)執行委員会は急遽、カトマンズからシンガポールに場所を変更して開催しましたが、ネパールからも代表が出席し、被害状況や組合の仲間が迅速に救援活動を始めたとの報告を受けました。ネパール支援の必要性を全員が確認しました。

最後にUNIに期待することは?

ケープタウンで「労働の未来」という中期的課題を討議し始めたところですが、実は既に現実に起こっている問題です。UNIはこれからも先頭に立ってブレイクスルーしてほしいし、加盟組合にも課された課題です。私達日本の加盟組合もUNI Aproを支え、積極的に役割を果たしていきたいと考えています。


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