2月 2015のお知らせ

UNI Apro/JP労組関東地本奨学金授与式

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2015年2月25日、スリランカのアヌラダプーラで、第7期UNI Apro/JP労組関東地本奨学金授与式が行われ、小室隆行委員長を団長に6人のJP労組関東地本代表団が出席した。来賓として、ペシャラ・ジャヤラトゥネ北中央州知事及びチャミシャ・デシルバ北中央州郵政副長官も立ち会い、JP労組関東地本の支援に感謝した。

UNI Apro/JP労組関東地本奨学金プロジェクトは、スリランカのUNIに加盟する郵便労組(UPTO及びNPTWU)メンバーの子供達に月額2500ルピーの奨学金を2年間に渡り支給するもので、1期あたり12~14人が一次試験と奨学金運営委員会による二次面接で選抜される。

小室委員長は、過去6期80人を超える郵便労働者の子供達が大学で勉強を続け、地域や国の発展に貢献する優秀な人材として活躍していることを喜び、今期選抜された奨学生を激励した。

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ジャヤスリ・プリヤラルUNI Apro金融部会担当部長は、奨学金運営委員会議長として、全逓千葉県連協(当時)からJP労組関東地本に引き継がれ現在に至る長年の支援に感謝した。奨学生とその家族に希望を与えるだけでなく、「労働組合の国際連帯を通じて、スリランカにおける労働組合のイメージが向上し、特に若い世代が労働組合に関心を持つようになった」と、奨学金プロジェクトのインパクトを強調した。UNIスリランカ加盟協青年・女性委員会は、学生に面接を行い、労働組合について話をするなど、このプロジェクトを側面から支えている。

奨学生を代表してお礼の言葉を述べたヨゲスワランは、2人の姉と同じく医者を目指しており、奨学金を大切に使い、郵便局で働く父親のように社会に貢献したいと誓った。

またJP労組関東地本代表団は27日に、今回選抜された学生プレマシャンスが通うスリ・コネスワラ・ヒンズー・カレッジ(トリンコマリー)を訪問し、校長、数学科の学生及び教師、UPTO役員らと交流した。

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写真はFlickr参照

 


質の高い公共サービスと労働組合の役割

質の高い公共サービスは、国民の生活の質を維持・改善していくために必要不可欠な要素である。そして、質の高い公共サービスを実現するためには、公務労働者の公正な労働条件を決定する自律的労使関係が重要になるが、日本においては、国際的にも特異な例として、公務員に対する団体交渉権をはじめとする労働基本権が制約されている。

海外に目を向けると、財政上の要請、あるいは構造改革の名の下の民営化などにより、公務セクターが縮小され、その結果公務員のディーセント・ワークが脅かされる事例が少なくない。日本および諸外国の公務員に関する国際労働基準の適用状況を概観し、質の高い公共サービスと労働組合の役割について議論するため、連合は2月24日、東京で国際シンポジウムを開催し、約350人が参加した。

海外からは、カナダ公務員組合(CUPE)調査研究員のキース・レイノルズ氏、イギリス労働組合会議(TUC)シニア・ポリシーオフィサーのマット・ダイクス氏が、それぞれ公共サービスの現状と課題、及び労働組合の対応について報告した。カナダでは、80年代から右派政権が続き公共部門の締め付けや予算削減が行われてきたが、2006年に成立した保守党政権下で更にそうした政策が推進され、労働組合の結成や活動を困難にする法制度も審議中だ。組合側もキャンペーンやストライキ、政治活動を通じて対抗しており、状況を改善するには国民の理解と労働者全体の連帯が求められている。イギリスでも、保守党政権下で2010年以降の緊縮政策により、一人あたりの公共支出が23%削減され、2016年にはケアを必要とする高齢者230万人のうち100万人が公的支援を受けられなくなることが予測されている。こうした公共サービスの低下と民間へのアウトソーシングが進行するとともに、2010年以降30万人の雇用が失われ、賃上げも5年間凍結されたままである等、労働者をめぐる状況は非常に厳しい。組合としては、こうした状況が公共サービスの更なる質の低下をもたらすことを広く国民に訴えるため、ストライキやデモだけでなく、ITを駆使したデジタルキャンペーンやNGOとの連携、政治活動を積極的に行っている。

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パネルディスカッションでは、良い公共サービスとは、また、日本では公務員が人員削減等により過重労働を抱えているにも関わらず、労働基本権を公に主張しにくい社会的風潮が根強いことが指摘され、広く国民の理解を得るにはどうしたらよいか?が論点となった。これに対し、レイ ノルズ氏からは「労働組合は、労使闘争に時間を使いすぎた。これからは前向きに良い公共サービスを提供するために今何をするべきかに焦点を当て、ユーザーの視点に立つことが必要だ。カナダでは、公務員への社会的なバッシングは少ない。提供するサービスに対して一般の人からの信頼を得ることが最も大切だ」、ダイクス氏からは、「公共サービスの定義をしっかりとすることから始める必要がある。行き過ぎた準市場化はサービスの質を低下させる」とのアドバイスがあった。これを受けて、自治労の氏家常雄中央執行委員長(連合会長代行)は、「官民の隔たり無く、連合を通じた幅広い運動をしていきたい。質の高い公共サービスは国から押し付けられるものではなく、地域の住民との対話を通じて生み出されるものだ」と述べた。

UNI-LCJ事務局および加盟組合(情報労連、生保労連、UAゼンセン、全労金、自動車総連、JP労組)からも多数参加し、連帯を示した。

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ベネトン、ラナプラザ補償基金への拠出に合意  

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2015年2月20日、イタリアの大手アパレル・ベネトンが、2013年にバングラデシュで発生したラナプラザのビル倒壊事故の犠牲者に対する補償基金への拠出に合意した。ベネトンは、事故前にラナプラザから商品を調達していた最大手ブランドの一つである。

今回のベネトンの決定は、グローバルユニオンや世界中のNGO等による長期にわたるキャンペーンが成就した証である。同社が決定を発表した前日にも、UNIはソーシャルメディアを通じたキャンペーンを開始しており、UNIとインダストリオールは、この動きを歓迎している。

ジェニングスUNI書記長は次のように述べた。「ラナプラザの犠牲者に対し、ベネトンは責任を取ることを約束した。16億ドルの売上高と、2億ドルを超す利益をあげているベネトンなのだから、気前の良い拠出が期待できるだろう。UNIとインダストリオールは、補償額について話す用意がある」

補償基金への支払いや支払額の確定を先延ばしにしようとするベネトンを問題視してきたグローバルユニオンは、事故発生から2年となる2015年4月24日より前に、この点を明確にするよう、同社に求めてきた。

誰がベネトンの拠出額を決めるのかについては、依然として不透明なままである。ベネトン側は、「世界的に認められている独立した第三者機関の助言を受ける」としているが、詳細を明らかにすることは拒否している。

UNIとインダストリオールが率いるバングラデシュ・アコードは、欧米やアジア、オーストラリアなど20カ国・約200のグローバル企業が調印する法的拘束力のある協定であり、バングラデシュの衣料品輸出市場のおよそ半数の工場と200万の労働者が対象となっている。


JILAF国際シンポジウム「グローバル経済の拡大、日本の小売業の魅力と課題」

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2015年2月18日、「グローバル経済の拡大、日本の小売業の魅力と課題」と題し、国際労働財団(JILAF)主催の国際シンポジウムが開催され、UNI加盟組合をはじめ学識経験者、マスコミ等46人が参加した。

開会の挨拶で、南雲弘行JILAF理事長は「グローバル化の進展により、雇用面で非正規化・不安定化が進む中、小売業におけるディーセントワークの実現と必要な雇用政策について欧米各国の労働組合と課題を共有し、議論を深めていきたい」と述べた。

はじめに本田一成國學院大學経済学部教授(副学部長)が、「グローバル社会における日本の流通・小売業の現状と課題」のテーマで基調講演を行った。

本田教授は、小売業におけるパート労働の問題として、卸・小売業におけるパートタイマー比率は40%強であり、外国と違うのは、主婦パートと呼ばれる女性パートが多く、仕事の内容も基幹化していること、主婦パートの大半が第3号被保険者(扶養されている配偶者が加入する年金)制度に加入していることを紹介し、こうした主婦パートを形成する構造がゆらぎつつあると指摘した。その理由として、正社員とパートタイマーの賃金格差が大きいことや、パートタイマーの収入が家計補助であったものが、生活の維持に必要なものに変わりつつあることなどをあげた。

アメリカ、フランス、スウェーデンの3カ国の労働組合代表からは、小売業で働く労働者の問題点として、低賃金で不安定な労働条件であること、組織率が低いこと(スェーデンは組織率が60%と高い)、社会保障に問題があることなどの報告が行なわれた。アメリカとスェーデンの共通の問題として、電話またはメールで、その日の仕事に就けるかどうか、会社からの問い合わせに即答しなければならないシステムが導入されていることがあげられた。また、フランスでは日曜日を休日とする運動を展開していることが報告された。

各国報告の後、3カ国の労働組合代表に、UAゼンセンの吉岡敦士中央執行委員が加わり、小売業におけるディーセントワークの実現と、そのために必要な雇用政策について、村上陽子総合局長(連合非正規労働センター)のコーディネートのもとで議論を行なった。4カ国とも多くの点で課題が共通しており、今後、力を入れて取り組むべき最優先課題は組織化であることがあげられた。加えて、組織化による労働協約の強化と法律の整備等、政策・制度課題への取り組みの必要性とともに、労働組合もグローバルな連帯で共同歩調を取ることが必要であるとの認識を共有した。

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写真はFlickrを参照


ロ・フイジュUNI Apro女性委員、台湾郵便労組(CPWU)書記長に就任

2015年2月3日、台湾郵便労組(CPWU)執行委員会は、1月に退任したラン・ミンハン氏の後任として、ロ・フイジュ氏の書記長就任を満場一致で確認した。CPWU85年の歴史の中で、2人目の女性の書記長である。

彼女は説得力があり、郵便法制や労働法制に詳しいだけでなく、青年・女性労働者の権利の促進にも熱心に取り組むと共に、彼らが国際的視野を広げることを支援してきた。2014年9月にCPWUが台北でUNI Apro東アジア労組フォーラムをホスト国として開催した際、彼女はCPWU青年委員会メンバーに、会議の成功に向けて協力を要請した。それは、彼らにとって、国際労働運動を間近に見聞する良い機会となった。

彼女はまた、UNI Apro女性委員として、アジア太平洋地域のジェンダー平等推進に大きく貢献している。

UNI Apro及び女性委員会は新たな重責における成功と更なる活躍を祈念している。

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UNI欧州金融部会、保険部門使用者とテレワークに関する共同声明に署名

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欧州保険部門のソーシャル・パートナーは、テレワークに関しての共同声明に署名した。これは、2002年の欧州ソーシャル・パートナー枠組み協定に基づいており、更に今日の保険部門における労働条件を考慮したものだ。

今回の声明では、定期的に在宅勤務する社員や、明確な法律や団体協約に守られていない各国の保険販売員や損害査定人も含まれる。また声明では、テレワーク(在宅勤務や遠隔勤務)の選択は任意に任されている。テレワークの条件については、必ず企業レベルのソーシャル・パートナーの合意に基づいて決めるよう求め、適切な手段と設備を提供する責任は企業側にあるとしている。特筆すべきは、本声明ではテレワーカーは団結権を保証され、教育訓練を受ける権利、また労働組合代表者に面会する権利があるとしていることである。今回の声明は加盟組織に対してベースラインを提供するもので、国レベル、企業レベルで今回の声明と同様の団体協約の交渉時に利用できる。

テレワークは近年、保険部門の従業員にとって重要な働き方になっている。全欧州の労働組合はUNI欧州金融部会の下に結集し、この問題に対し共に欧州としての答えを出すために努力してきた。労働組合の立場としては、労働時間の尊重についてもっと強い表現を盛り込みたかったところではあるが、今回の声明は良い方向へ向けての前進になるだろう。

今回の共同声明は、2015年2月10日、保険部門社会対話全体会議にて締結された。


UNI Apro/情報労連/UNIバングラデシュ加盟協共催 バングラデシュICTS労働者のためのワークショップ

概要

2015年1月26日、バングラデシュ・ダッカでICTS労組役員を対象にしたワークショップが開催された。昨年末から政治不安が高まり、ダッカ市内でも野党連合が率いる政治デモが連日行われる中での開催となった。デモに伴う交通規制等の悪条件にも関わらず、6組合から32人が集まり熱心に議論に参加した。UNI Aproからは野田ICTS部会議長/情報労連委員長、ラジェンドラ・アチャリャ労働組合強化部長、クン・ワルダナICTS部長、モハメド・シャフィーMLC議長、情報労連・木村国際担当が参加した。

また、モハメド・モジブル・ハクチュヌイ労働雇用大臣、バングラデシュの既存通信事業者BTCL副総裁とそれぞれ会談し、健全な労使関係構築の重要性について認識向上を求めた。

 

ワークショップ

野田議長が「健全な労使関係の必要性」について報告し、NTTの労使関係を紹介した。その中で、労働協約の締結による健全な労使パートナーシップの重要性について述べ「労働組合と使用者が信頼関係を構築する事が双方にとって有益である」と強調した。UNI-MLCシャフィー議長は、マレーシアの携帯電話会社における組織化経験を紹介した。また、クンICTS部長とラジェンドラ労働組合強化部長がそれぞれUNI Aproの活動について説明した。

バングラデシュには6社の携帯電話会社があり、うち4社の労働組合がUNIバングラデシュICTS部会に加盟している。最大事業者グラミンフォンの労組は2013年に設立された新しい組合で従業員の過半数を組織しているが、政府からの承認を得ておらず、会社との対話の機会がない。グラミンフォンの親会社テレノールはUNIとグローバル協定を締結しており、UNIは本部レベルでの側面支援を検討している。また、グラミンフォン労組は組織化活動を強化し、従業員の結束を高めていくとしている。

ワークショップ参加組織は次のとおり。

  • グラミンフォン(携帯、組合員数約1,500人、政府未登録)
  • テレトーク(携帯、組合員数約300人、政府登録)
  • ロビ・アクシアタ(携帯、組合未設立)
  • バングラリンク労組(携帯、組合未設立)
  • アクセンチュア労組(IT、組合員数約300人、政府登録)
  • BTSKU(固定、組合員数約5,000人、政府登録)

 

各種会議

1月26日、モハメド・モジブル・ハクチュヌイ労働雇用大臣を表敬訪問し、野田議長は「健全な労使関係の構築は国家経済の発展と企業の生産性向上には欠かせない、理解と支援をお願いしたい」と要請した。これに対してハクチュヌイ大臣は「ILOの原則に従って、労働者福祉の増進に努めていく」と述べた。またICTS産業は国家発展のために重要な産業であるとの認識を示し、政労使のセミナー等への実施協力についても言及した。

1月27日、既存通信事業者BTCL副総裁と会談した。バングラデシュの固定通信は市場開放されているが、BTCLは100%政府保有で、事実上、市場を独占しており、現アワミ政権がICT利活用促進のために進めている「デジタル・バングラデシュ」の下、光ファイバーの全国整備に取り組んでいる。副総裁は、BTCLが展開しているネットワーク整備の状況や従業員の技術訓練について説明した。代表団からは健全な労使関係の重要性について説明し、会談を終了した。

 

課題

2013年に改正された労働法では、企業利益の5%を従業員基金に充てる事となったが、きちんと順守されていない。また、労働組合結成時に全従業員の30%の署名を提出しなければいけないが、このリストが事前に会社側に漏れて解雇に至るなどの問題が発生している。また、労働組合の政府登録も手続きが難しく、認可プロセスが不透明である。そのため、国家としての法整備や手続き改善が期待されるところである。

ICTS部門においては、2014年にUNIバングラデシュICTS部会が設立された。使用者との対話チャネルの確立方法や交渉など、定期的に会合を持ち情報交換を行っているとのこと。UNI Apro ICTS部会がどのような有効な支援をしていくか、組織化の潮流づくりに貢献できるかは大きな課題である。

 

所感

バングラデシュは親日的な国民性である。これは、1972年にパキスタンから独立した際に国家として認めた最初の国のひとつが日本であること、また、経済援助が根幹にあると言われている。この日本への期待感は、各種訪問先においても強く感じられた。よって、日本の労働組合の経験に対する関心も高く、労働組合開発に対する日本労組の支援という点でも潜在性が高いと感じた。また、情報通信部門はバングラデシュにおいては比較的新しい産業と言われているが、国家発展や貧困撲滅のためには欠かせない産業であると考えられている。そのため「健全な事業発展のためには健全な労使関係が必要である」との認識をバングラデシュ政労使において高めていく事が必須である。今後、現地労組は組織化を着実に進め、UNI/UNI Aproは情報・技術支援や、必要に応じて政府や企業へ労使関係の重要性の浸透を図るなど、内外の並行的なアプローチが考えられる。

WS 労働大臣


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