2014年8月26~27日、ベトナム・ハノイでUNI Apro ICTS部会委員会が開催され、アジア地域10カ国から42名が参集、日本からは情報労連・野田委員長、KDDI労組・松井副委員長及び村田執行委員、木村国際担当が参加した。
冒頭、UNIとインドサットとのグローバル協定調印式が行われた。インドサットはインドネシア第2位通信事業者で、長年に渡りグローバル協定締結交渉を続けてきたものが結実した。インドサット法務部門取締役が参加の上、調印式を行った。
引き続き開会式が行われ、ベトナム労働総連盟(VGCL)ダン・ゴック・トゥン会長、ベトナム情報通信省・グェン・タン・フン副大臣、アラン・テイトUNI世界ICTS局長、クリストファー・ウンUNI Apro地域書記長らが挨拶を行い、野田UNI Apro ICTS部会議長が委員会の議長を務め、会議を進行した。
各国報告として、マレーシアDiGi従業員組合のカリーナ委員長が会社を懲戒解雇された件について、シャフィー委員が経過と今後の対処方針について説明した。3月にDiGi従業員組合は秘密投票で勝利し正式な組合として認知されたが、それ以降、経営者からの嫌がらせが後を絶たない。こうした状況下での労組委員長の解雇処分は組合への挑戦に相違なく、不当労働行為にあたるのではないかとして、現在マレーシアの労働委員会で調停中である。また、DiGiはUNIとグローバル協定を結んでいるテレノールの子会社であり、テレノール本社への対応も検討することとし、UNI Apro ICTS部会議長、UNIマレーシア加盟協、UNI/UNI Aproに一任された。なお、DiGiは現在、初の労働協約締結に向けて会社側と協議を重ねている。
ベトナム郵電通信グループ(VNPT)は構造改革を行い、郵便事業と携帯電話事業がVNPTから分離して情報通信省(MIC)の直属会社となる。しかし、対置する労働組合は現状のベトナム郵電労組(VNUPTW)のままとする。VNUPTWはこれまで企業内組合であったが、産業別労組の役目も果たすこととなる。
日本からは野田議長が「日本における規制政策の見直しを含む情報通信政策の検討状況」について、また、KDDI労組・松井副委員長が「KDDIの合併の歴史と労組の取り組み」を報告した。加えて、台湾、香港、ネパール、スリランカ、シンガポール、インドネシアの委員が各国の状況を報告した。
多国籍企業への対応としては、これまで継続的に取り組んできたテレノール(ノルウェー)、テリアソネラ(スウェーデン)に加えて、急激にアジアでの事業を拡大している企業としてオレド(カタール)、アクシアタ(マレーシア)が挙げられた。オレド、アクシアタとも、進出先で労働組合がある企業を買収または提携する形で事業を行うケースもあり、これら企業においては既存の組合員の雇用を守りながら組織拡大を図っていく。アクシアタについては、UNIとして親会社への接触をスタートしていくとの方針を確認した。
この他、アラン・テイトUNI世界ICTS局長が世界大会の準備状況を説明した。また、当面の活動計画として、携帯電話会社従業員の組織化(テレノール、アクシアタ等)、コールセンター労働者の組織化、技術、規制の変化のモニタリング、ベトナム情報通信事業再編の注視、ジェンダー平等の推進等を確認した。