2014年5月14~15日、ジュネーブのILO本部で標記会議が開催された。ILOメディア部門会議は過去2000年、2004年に開催され、今回10年ぶり3回目の開催となった。政府代表、労使代表及びオブザーバー、政府間組織、NGO等が出席し、「メディア・文化部門(グラフィカル部門を除く)の雇用関係」をテーマに2日間議論し、合意事項を採択した。
労働側は、UNI-MEI(メディア部会)をはじめ、IFJ(国際ジャーナリスト連盟)、FIA(国際俳優連盟)、FIM(国際音楽家連盟)の4産別の代表(加盟組織及び国際組織事務局)から50人余で構成され、最大グループであった。日本からは、日放労の中村正敏委員長(UNI-MEI)及び日本音楽家ユニオンの篠原猛代表運営委員が労働側グループ代表として出席した。

部門別世界対話フォーラムは、いくつかの論点について、政労使がグループ別会合で意見調整を図った上で、全体会合に臨み、各グループのスポークスパーソンを中心に、それぞれの意見・要求を、具体的事例を示しながら表明し、三者合意を形成していく。労働側グループは、オーストラリアのクリス・ウォレン氏(UNI Apro MEI部会議長)をスポークスパーソンに選んだ。
討議ポイントは以下の4点であった。
1. メディア・文化産業の雇用関係に関して、政府及び社会パートナーは、どのような課題に直面しているか
2. それらの課題に対処し、社会的保護を受けるメディア・文化労働者の対象を拡大するために、社会対話はどのように役立てられるか
3. メディア・文化産業にとって、ビジネス及び雇用の双方を改善するために、どのような対策が効果的か
4. メディア・文化産業の雇用関係に関して、ILO及びその加盟国のとるべき今後のアクションについての勧告
実質討議時間は1日という限られた時間の中で、三者合意を形成することは極めて困難であり、2日目は予定を2時間以上超過した。メディア・文化産業の社会的、文化的、経済的貢献度については政労使共に評価しており、伝統的に多様な雇用形態が存在してきたが、その性質に関わらず、労働における基本的原則及び権利は全てのメディア・文化労働者に適用すべきという点で合意をみた。また、労働側からの強い要求により、「政府は、競争法がメディア・文化労働者の、結社の自由や社会パートナーとの社会対話に携わる権利を妨害しないようにする必要がある」との文言を入れることができた。この他、同産業への就労希望者のみならず現役労働者も含めた、ニーズに合った訓練の重要性と、同産業のグローバルな労働統計を入手する必要性も合意された。合意文書及び今後のアクションに関する勧告は、2014年11月の第322回ILO理事会において検討される。
なお、中村日放労委員長はこの機会に、以下を訪問した。
• UNI欧州事務所:UNI MEIの欧州での活動についてヨハネス・ストゥディンガーUNI MEI担当局長から説明を受けた。
• 欧州放送連合(EBU)ブリュッセル事務所:ニコラ・フランク欧州局長、ウォーター・ゲキエレ欧州局顧問からEBU活動概要、EBU/UNI MEIの対話と協力関係について説明を受け、意見交換。
• ドミニク・ルカーFIA(国際俳優連盟)書記長と、ILO世界対話フォーラムに関する打合せ
• ベルギーACOE-VRT労組 :ルク・バンデンフック書記長からVRTの事業概要の説明を受け、組合活動について執行部と意見交換。
• UNI本部視察
• 欧州放送連合(EBU) 本部(ジュネーブ):ジャコモ・マゾーネ渉外局長より概要説明を受け、各部署を視察
• 英国BECTU 労組定期大会に海外来賓として出席、ジェリー・モリッシー書記長(UNI MEI部会議長)及びマット・ロブIATSE 委員長(UNI MEI部会副議長)他と意見交換。
