2014年4月6~7日、第27回UNI Apro運営委員会、第18回UNI Apro執行委員会がシンガポールで開催された。開会で逢見UNI Apro会長は、全世界で格差と非正規労働が拡大している中、米国型グローバリズムや価値観の押し付けに、グローバルユニオンとしてきちんと対応していかねばならないと挨拶した。


鈴木ITUC-AP書記長は、「組合の成長」、「持続可能な雇用、安定した収入、社会的保護」、「権利の実現」といった、本年5月のITUC世界大会の議題を概説し、GUFと協力して組織化を推進していくと述べた。
続いて、UNI Apro執行委員会として、マレーシアDiGiの労組承認投票勝利を祝福し、カリナ委員長とシャフィー加盟協議長らの粘り強い組織化の努力を称え、テレノール及びDIGI経営側に組合をパートナーと認め、団体交渉に応じるよう要請する決議を採択した。ウンUNI Apro地域書記長は、加藤前UNI Apro会長の戦略的決定と、パートナーシップ労使関係の重要性を訴え、DIGI労組役員を激励し続けてくれた情報労連及び野田UNI Apro ICTS部会議長の支援に感謝した。
第4回UNI Apro地域大会・女性大会については、地域書記長から2015年12月にカトマンズで開催することが提案された。2015年はASEAN経済共同体が成立、RCEP交渉も完了予定であり、UNI Aproの多くの国に影響が及ぶ。労働運動が介入し社会的側面を確保しなければ、労働者に負の影響がもたらされる。暫定的に大会テーマを「私達の目指す未来を実現するUNI Apro」とした。大会前段に、6部会委員会、青年委員会、女性委員会、運営・執行委員会、女性大会を開催する。2015年4月にも執行委員会を開催することを確認した。
第4回UNI世界大会・女性大会については、ジェニングスUNI書記長から準備状況の報告があった。ローベン島視察、現地加盟組合との交流や文化体験を通じて、「闘争の歴史と成長するアフリカを実感してもらいたい」、「アパルトヘイト後に生まれた世代に伝説を伝えたい」と述べた。フィンランドのアン・セリン氏が次期会長候補である。TUC結成150周年に当たる2018年には、第5回世界大会を英国・リバプールで開催する。ミリンド委員(インド)は、「南アで人種差別を受けなければガンジーは生まれなかった。人間尊重を再認識する思い出深い大会になるだろう」と述べた。ミシェル青年議長は、青年活動への支援に感謝すると共に、世界大会、地域大会により多くの青年が参加できるよう、特別な配慮を要請した。
ケープタウンで正式に立ち上げられるUNIスポーツ部会の取組みについて、パーマー局長及びFIFPro(国際プロサッカー選手会)アジア・オセアニア支部のブレンダン支部長らから報告があった。パーマー局長は、選手自身に組合の必要性を理解させることが重要だと述べ、少数のトップアスリートを除き多くは低収入・賃金未払い、不安定雇用、短い選手生活・引退後の生活不安、怪我等のリスクと闘う「労働者」であると強調した。この他、八百長試合、選手に不利な移籍制度、ドーピング検査の非効率性とプライバシー侵害、肖像権、スポーツの商業化、ガバナンスといった共通課題に、あらゆるスポーツの選手が団結し「労働者としての声をあげ団体交渉する」ため、2011年にニヨン宣言を採択して以来、100を超えるスポーツ団体に参加を働きかけてきた。
UNI Aproブレイキングスルー戦略の2013年度活動について、ラジェンドラ労組強化部長及び玉井組織化部長が、各部会・各国の重点多国籍企業の組織化状況を報告した。相原UNI-LCJ議長は、全信連、印刷労連を仲間に迎え、今後も粘り強く組織拡大に努めていくと述べた。田原UNI Apro金融部会議長は、UNI-LCJ金融部会の組織化状況について報告した。アリス商業部会部長は、パートナーシップ労使関係が構築されているベトナムのメトロC&Cは外資の労組のモデルであり、八野UAゼンセン副会長がフィリップ社長と会談するなど、UNI Aproの取組みにも好意的であると述べた。
グローバル枠組み協定の成功例と教訓から学ぶセッションでは、テレノール(ノルウェー)が協定を締結したにもかかわらず、マレーシア子会社DiGi及びバングラデシュ子会社グラミンフォン、タイ子会社DTACにおける組合拒否や役員への脅迫、組合潰し等の実態が各労組から報告された。小俣UNI Apro郵便・ロジスティクス部会議長は、APPUとの間で構築してきた協力関係を、中国郵政出身のリン新APPU事務局長とも継続することが鍵であるとし、APPUの目的達成にはUNI Apro加盟組合との協力が不可欠である点を今後も訴えていくと述べた。マグダレーンUNI Apro MEI部会部長は、アジア太平洋放送連合(ABU)との協定締結を後押しした日放労に感謝し、労働安全衛生をテーマに共同セミナーを開催したことを報告した。
UNI Apro執行委員会の写真はFlickr参照