7月 2012のお知らせ

UNI、宮古市社会福祉協議会に介護用車両を寄贈

2012年7月3日午後、岩手県宮古市の総合福祉センター(宮古市社会福祉協議会)において、UNI-LCJ主催東日本大震災復興支援物品贈呈式が開催された。青空の下、UNI Apro、UNI-LCJapan、連合岩手県支部、地元の加盟組合、宮古市社会福祉協議会の関係者約100名が参加した。
川下自動車総連国際局担当が司会を務め、まず震災の犠牲者へ黙祷を捧げた。
その後、落合UNI-LCJ議長が主催者を代表して、「今回の震災で“絆”という言葉が見直された。UNIの理想は、この絆をグローバルに活かすことにある。宮古市民の皆さんとUNIとの間にできた絆を大切にし、一日も早い復興を祈念する」と挨拶した。

今回の介護車両等寄贈は、連帯基金への最大の寄付団体である北米合同食品商業労組(UFCW)の存在なくして実現しえなかった。UFCWは今秋の大統領選でのオバマ氏再選に向けて多忙を極めており、贈呈式への出席は叶わなかったが、ジョー・ハンセンUFCW会長からのメッセージを俣野サービス・流通連合事務局次長が代読した。この中で、ハンセン会長は、2003年にUFCWが長期ストライキを行った際に日本の労働組合から受けた大きな支援を決して忘れないと述べ、遠く海を隔てても130万人のUFCWメンバーは、UNIの仲間が自然災害や困難に直面した時、連帯し助けあうことにより乗り越えられると信じている」と述べた。

飛澤・宮古市社会福祉協議会会長は、「予想外の大参事で意気消沈し途方に暮れていたところ、世界の国々と日本国内の各地から義援金や物資等が450日余にわたって贈られたお陰で復興へ立ち上がる元気を取り戻すことができた。UNI-LCJからいただいた車両と支援品等を活用することで諸問題を解決して、一日も早く復旧復興の終点に達するように頑張りたい」と感謝した。
続いて、落合UNI-LCJ議長から飛澤会長に車両の鍵が手渡され、3台の介護車両がお披露目された。車両には、UNI及びUFCWのロゴと、「世界の仲間は一日も早い復興をお祈りしています」というメッセージがプリントされており、地域での活躍が期待される。

最後にUNIを代表して、クリストファー・ウンUNI-Apro地域書記長が挨拶し、2004年末にスマトラ島沖地震で津波被害に遭ったインドネシア・アチェの人々が、その際日本から受けた支援を忘れておらず、今回貧しいながらもカンパをしたエピソードを紹介し、UNIグローバル・ファミリーは日本及び東北の早期復興を心から願っていると述べた。

なお、介護車両3台の他に、無線機10台と子ども用遊具14点が宮古市社会福祉協議会に寄贈された。

写真はFlickr参照


UNI-Apro商業部会代表団、被災地復興にエール

2012年7月2日午前、UNI Apro商業部会代表団は仙台で、サービス・流通連合に加盟する地元の労働組合(藤崎労働組合、エマルシェさくら野労働組合、三越伊勢丹グループ労働組合、SEIYUグループ労働組合、ロフト労働組合)役員と、災害時の労働組合の取組みについて意見交換を行った。東日本大震災に際して各現場の経験を共有し、労働安全衛生上、不可欠な要素としての職場における危機管理整備の必要性が再検討された。

震災後数日以内に各組合は、従業員の被災状況、物的損傷等について情報を収集し、その後、従業員の安否確認方法、顧客の避難誘導等、災害時マニュアルの見直しや震災後の課題について検討を重ねたこと等が共有された。また、食料や毛布、避難場所を提供したデパートの事例が紹介され、災害時の地域における商業店舗の人道的役割や機能の重要さがあらためて認識された。更に、非常時にいかに労使が協力できるかに議論が及び、雇用確保とあわせて、より詳細な労使の「緊急時準備計画」導入の必要性が強調された。商店街全域の更なる協力関係構築の重要性についても意見が述べられた。八野サービス・流通連合会長は、UNIと海外加盟組織からの支援及び国際連帯に感謝した。

同日午後には、義元UIゼンセン同盟東北グループ副事務局長らの案内で、石巻、女川を視察した。バスで被災地の小学校の跡地や病院等を視察する中、言葉を失うほどの大地震や巨大津波による被害の甚大さを想像しながら、被災地におけるUIゼンセン同盟の加盟組合の取組みについて説明を受けた。UIゼンセン同盟の「コットン・プロジェクト」は、津波により従来の作物を耕作できなくなってしまった土地で綿花を栽培し、土壌の回復を図ると共に、地元の農家を収入面で支援するものである。
不足している食料や物資を当然のように分かち合い、励まし合う前向きな人々の話を聞き、UNI Apro商業部会代表団は、東北の復興に心からエールを送った。ウンUNI Apro地域書記長は、「緊急時に冷静かつ、地域の人々のために貢献した皆さんの行動に心から敬意を表したい」と述べ、「この経験から我々も多くを学ぶことができる。後世に残すべき貴重な経験なので、是非LCJ加盟組合の経験として文書にまとめてほしい」と期待を寄せた。

写真はFlickr参照

 


高齢労働者はコストではない。経験を評価せよ。

UNI Apro商業部会委員会に合わせて2012年7月1日、東京で開催された「ILO商業部門世界対話フォーラム・フォローアップ会議」には、日曜の早朝にも関わらず50名を超える参加を得た。

本会議は、2011年9月にジュネーブのILO本部で開催された「小売業における作業プロセスの変化に関連した高齢労働者のニーズに関する世界対話フォーラム」のフォローアップとして開かれた。今回のUNI Apro商業部会委員会では、高齢労働者の雇用を生み出し、高齢労働者のための適切な措置を講じた優れた事例を共有した。

ブラッドソンUNI-Apro商業部会議長による開会挨拶の後、上岡ILO駐日代表は、「高齢者の問題は今、全世界で話題になっており、グローバル化とそれに伴う競争の激化の中で、高齢労働者の問題がどのような意味を持つかについて、本日の議論に期待する」と挨拶、高齢者雇用促進法など、日本の状況についても、フォーラム結論文書の内容と関連付けて説明した。

桜田ILO労働側理事は、最近のILO活動を報告した。まず国際労働運動全体で支持したガイ・ライダー氏がILO事務局長に選出された意味を語り、続いて国際労働基準の中核的8条約の批准、基準設定及び監視というILOの基本的機能などの説明と現状、使用者側の条約勧告適用専門家委員会における攻勢などを説明した。

また、日本政府代表としてフォーラムに参加した伊澤厚生労働省大臣官房統計情報部長は、講演の中で「厚生労働省は、60歳代の雇用の確保、再就職の促進、多様な参加の三本柱を中心に推し進めている。9割以上の企業は定年後の雇用を実現しているが、継続雇用制度が適用されなかった労働者についても、例外を廃止し、雇用と年金を結びつけることが重要である。今国会で、高齢者雇用安定法改正案を提出しており、ぜひ通したいとの決意を示すことが重要」と述べた。

次に、ILO討論フォーラムの参加者が感想を述べた。
労働側代表として出席した田村UIゼンセン同盟副書記長からは、①小売商業の経営側の過度の顧客重視、②高齢者ではなく、ベテラン労働者という視点、③研修・教育・訓練システムを作る必要性、④専門店の人々にも目を向ける必要性(モールの営業時間が延びると専門店の労働者は大変である)という4点が提示された。

同じくフォーラムに参加した俣野JSD事務局次長は「高齢労働者をコストとして捉えるのではなく、熟練した戦力として捉えるべきだ。この問題は、政労使三者による働きかけが重要、その意味で日本は政労使三者が参加し、会議のイニシアチブを取ることができた。世界共通の課題であり、フォーラムの継続が重要である」と発言した。

ブラッドソンUNI Apro商業部会議長は、「今後オーストラリアでも高齢者が増えていく見込みだが、高齢労働者の多くは仕事を続けたいと考えており、彼らの労働の価値を認めなければならない。高齢労働者は、生産性、モチベーションは高く、転職の割合が低く、組織の安定化に貢献できる。何よりも企業の記憶を保持しており、顧客の多様性にも対応できる。我々には制度として、年齢差別監視コミッショナーが必要だ。ディーセントな労働を維持するしくみを考えよう」と述べた。また、シンガポール、インドネシア、香港からも経験が共有され、質疑応答時には、移民と育児についての質問が出された。

閉会にあたり、ウンUNI-Apro地域書記長は「先進国では高齢化傾向が加速しており、雇用機会を調整し、安全な労働環境を創出する必要がある。高齢労働者はコストではなく、経験ある労働者として見做されるべきだ。高齢労働者が技術の進歩についていけるよう訓練を再検討し、労働組合は商業部門の方針を打ち出すに当たり、これらのニーズを検討しなければならない」と発言し、この分野における経験を広め共有する上で日本の果たすべき役割の大きさについても強調した。

Global Dialog Forum – Singapore-J

ILO商業世界対話フォーラム報告書

MHLW-Mr. Isawa’s presentation-J

SDA Report on Valuing Older workers – J


UNI Apro 商業部会委員会