9月 2007のお知らせ

第2回UNI-Apro女性大会 第2日目(2007年8月26日、クアラルンプール)

労働組合における平等
フロレンシア代議員(フィリピン)は、GEM(ジェンダー平等主流化)を実施するための段階的行動を紹介。女性の権利に関する様々な国際機関の基準を挙げて、これらを拠り所に、組合が組合員の夢や希望を実現していこうと呼びかけた。
マーガレット代議員(マレーシア)「女性の地位向上は、習慣・文化による障害が大きく、決して容易ではない。」しかし、ジェンダー主流化に向けて、教育訓練を通じた女性のエンパワーメント、女性役員議席の設置など、現実に即した措置が必要とし、「待っていては何も変わらない」と訴えた。
イナヤット代議員(パキスタン)は、同国において若い女性労働者は一時的な労働力とみなされ、契約社員、パートタイマーが増えていると現状を説明した。そして、ジェンダー平等をもたらすためには、男性にも育児・介護休暇を取る機会を与えることが重要だと指摘した。
ディパ代議員(ネパール)は、女性が組合活動に従事しにくい南アジアの文化的背景について説明。しかしながら、結婚後も仕事を続けることに抵抗を感じることがなくなるよう、女性自身の姿勢はもとより、親・配偶者・子供達の姿勢を少しずつ変えていくことで、男女平等を実現できるだろうと、将来へ期待を寄せた。
本田UNI-Apro女性委員(JSD)は、増加を続ける非正規労働者の組織化なくして、労組は生き残れないとして、JSDにおける組織化の取り組みを紹介した。加盟組合内、未組織労働者の組織化が最も大きな成果を上げ、組合員数の増加、そのうち3分の1が女性、さらにその93%がパートタイマーという結果をもたらしたと報告。さらに今後の課題として、労組役員への女性の登用に言及し、最終的に三役に選出されることを目標にしていると語った。
フロアからも活発な発言が続いた。日本からは、木村代議員(JSD)が、男女共同参画社会実現に必要不可欠なジェンダー主流化実現に向けた具体的な取り組みを紹介したのに始まり、CTWU(台湾)の代議員からは、コールセンター労働者に対する不合理な措置についての大々的なキャンペーン活動に関する報告があった。駒村代議員(UIゼンセン同盟)が、パートタイマーの組織化が、個人・会社・労組それぞれにもたらした恩恵について発表したのに続き、目加田代議員(NTT労組)が、女性の比率が3%と極めて低い同労組ファシリティーズ本部における男女平等参画の取り組みを紹介した。さらに、十二里代議員(損保労連)による、同労組40年の歴史において初の女性執行委員が誕生した経緯の報告を受けて、アリス・チャンUNI-Apro女性・青年担当部長は、非常に喜ばしいことだと述べた。

労働における尊厳
モニク・マルティUNI女性担当局長は、いまだに貧困の底辺にいる女性たちを救う鍵は、ディーセントワークであるとして、その達成要件を挙げた。また労働者保護の範囲を拡大し、多くの女性が従事する非典型労働や、家事をもカバーする必要性を訴えた。
徳木UNI-Apro女性委員(UIゼンセン同盟)は、労働における尊厳とは、自分らしく働くこと、仕事と家庭の調和を取ることであるとして、女性労働者とその配偶者の就業・子育てに関する実態調査の結果を紹介しながら、その実現に向けた同労組のキャンペーン活動を紹介した。労組とは何かをより広く知ってもらうための紙芝居や川柳コンテストなどのユニークなアイデアに対して、参加者から大きな反響があった。
オン・スーギョク代議員(シンガポール)は、SNTUC(シンガポールのナショナルセンター)女性委員会をはじめ政労使で取り組んでいる「女性の復職」イニシアチブを紹介した。
続いてフロア発言では、根本代議員(JSD)が、同代議員の勤務する家電量販店は男性が7割を占めてはいるが、増加しつつある女性非正規社員の組織化およびその人事制度・賃金制度改革に日々取り組んでいると話した。村下代議員(JSD)は、労使で議論を重ねた結果、育児短時間制度の導入に成功したのみならず、その対象を正社員以外にも拡大し、勤務時間帯のパターンを増やすなど、さらなる制度の充実を目指していると力強く発表。香川代議員(NTT労組)は、組合員からの強い要請によりテレワークが実現したものの、一人の利用者もいない現状を報告。制度のみならず、それを利用できる職場環境が大切だと述べた。
最後に、ジェイUNI韓国デスクからEland社の若い女性非正規従業員を中心とする、長期の闘い(店舗占拠)の状況が伝えられた。世界各国のUNI加盟組織からの連帯支援に感謝すると同時に、今後も労働者の権利確保のために闘っていくと決意を語った。

資格審査委員会報告:代議員(女性67、男性0)、オブザーバー(女性22、男性5)、ゲスト(女性7、男性0)合計:女性96、男性5 ※日本の資格審査委員は中島代議員(自動車総連)

この後、オーストラリアの反労組的ワークチョイス法を非難する動議、UNI-Apro各部会委員会に女性の指定議席設置を提案する動議、UNI-Apro女性委員会規則修正案について審議し、大会代議員は、全会一致でこれらを採択した。
※日本の決議委員は鈴木麻美子代議員(情報労連)
続いて、今後4年間の行動計画及び、小地域から指名された正委員・予備委員の選出が確認された。UNI-Apro女性委員会新議長には、宮本UNI-Apro女性委員(NTT労組)が満場一致で選出され、「思うようにいかないこともあるが、ユーモアをもって前進していこう」と挨拶した。
日本からは、現行通り4人(NTT労組/宮本中執、UIゼンセン/徳木男女参画・社会運動局部長、JSD/本田国際部長、JPU/大崎国際部長)が再選された。

イナヤット代議員(パキスタン)

本田UNI-Apro女性委員(JSD)

木村代議員(JSD)

駒村代議員(UIゼンセン同盟)

目加田代議員(NTT労組)

十二里代議員(損保労連)

徳木UNI-Apro女性委員(UIゼンセン同盟)

根本代議員(JSD)

村下代議員(JSD)

香川代議員(NTT労組)


第2回UNI-Apro女性大会 第1日目(2007年8月25日、クアラルンプール)

2000年以来7年ぶりに開催されたUNI-Apro女性大会の第1日目。闘病中のスー・ボラストン議長のメッセージが、宮本UNI-Apro女性委員会副議長より伝えられ、大会は開会された。

宮本UNI-Apro女性委員会副議長は、開会挨拶の冒頭、「全参加者に敬意を表するとともに、大会が女性のみならず全ての働く者に実りあるものとなるよう祈っている」という闘病中のスー・ボラストン議長のメッセージを伝えた。2000年の第1回大会以来7年ぶりの開催だが、この間のUNI-Apro女性委員会の主な成果のひとつして、「グローバル平等プロジェクト(ジェンダー教育)」を挙げ、この研修を修了した女性組合員・役員が各国で女性委員会を設立し、自らトレーナーとなって後進の育成に努めるなど、実績を上げていることを評価した。また、グローバル化がもたらした負の側面にも触れ、そうした現状を改善するために、労働組合が大きな可能性を担っていることを強調した。最後に、女性労働者の抱える課題がいかに複雑に見えても、一歩ずつ前進していくことが大切であると訴え、今大会の議論と参加者の積極的な貢献に期待した。
ホスト国を代表して、モハメド・シャフィーUNIマレーシア加盟組合協議会(UNI-MLC)議長は、クアラルンプールが開催地として選ばれ、光栄だと述べると同時に、8月31日の独立50周年記念行事を控え、観光客が押し寄せているため、ホテルの客室不足や大渋滞などの不都合に陳謝した。UNI-MLCは、これまで未組織だった若い女性の多い商業部門をターゲットとした組織化を推進していると紹介し、次世代のために努力し、将来に向けた新しい決意を期待した。
ジョセフ・デブリュンUNI-Apro会長は、オーストラリアのスポットライト社で働くパート労働者、アネット・ハリスさんの15ヶ月にわたる闘争を紹介した。定年間近の彼女が6週間の休暇を申請したところ、会社側は4週間の有給休暇と2週間の無給休暇で対応するとしたものの、「休暇後はアルバイト身分へと契約し直しだ」と言った。相談を受けた組合(SDA)は、悪名高い新労働法の酷さを訴える絶好の機会と捉え、彼女の承認を得て、その事例を国会で訴えた。その後、ハリスさんは新労働法反対キャンペーンのテレビCMにも出演、オーストラリア全土に知られることとなった。さらには、6万人もの組合員が集まる集会で演説し、結果的に会社側は彼女の要求を受け入れた。活発な活動をしたこともない、一組合員であったハリスさんは、議会で自身が取り上げられることを承諾しただけでなく、テレビCMに出て、ついには大勢の前で話をするにまで至った。何度も何度もステップアップした好例である。
フィリップ・ジェニングスUNI書記長は、今日がマレーシアの女性デーであることに祝辞を述べた。「グローバルユニオンとしてのUNIの存在感を示さなければならない。人間が引き起こしたグローバル化の最大の犠牲者は女性であり、その解決策として、教育・訓練、ワークライフバランスなどの議論の中に、ジェンダーの視点を盛り込み、社会的側面をステップアップしていかなければならない」と訴えた。女性大会が地域大会の前に開催されるのは、地域大会に女性の参加を促進するためだと述べ、アジア太平洋地域では、労働者の権利が確保されていない国も多いが、それを組合成長への最高の投資の時期だと捉えて、共に協力してほしいと訴えた。

基調講演
(バーバラ・イースタリングUNI世界女性委員会議長)
アジア太平洋地域の女性の皆さんのインスピレーションに富んだ躍進を共有することができ、大変うれしく思っている。ジェンダー平等の実現は、子供たちの将来のみならず、社会への投資とも言える。世界人口の半数が住むこの地域の女性をエンパワーメントすることにより、世界全体の幸福につながると信じている。
私はもともと電話のオペレーターだったが、通信労組(CWA)に入ったことで人生が変わった。AFL-CIO初の女性財務書記長になったり、UNI女性委員会議長に選ばれたり素晴らしい経験をした。しかし努力してもドアが閉められたこともあった。その理由は私が女性だからだということもわかっている。
CWAは将来へ備えるため、労働運動の中の多様性に対応する手段を考えてきた。執行委員会で、何時間もかけて調査し、議論した結果、多様性提案は、先月の組合大会で承認された。4役のうち、3人を有色人種、2人を女性とすることが決まった。私の話の中でこれだけは忘れないでほしい。「組合の最高レベルが多様性を持つことは正しく、賢明で、ベストな選択だ」ということを。ジェンダー、民族、宗教、国籍、年齢に関係なく権利を得ること、これが私達の生きる意義である。グローバル化がもたらした不平等の結果、はしごから蹴落とされる人がいる、その多くは女性だ。 世界の貧困の3分の2は女性であるといわれている。まさにこの闘いをステップアップする時期である。
私達は変化を求める闘いを牽引していかなければならない。米国の労働運動は、政策の流れを変えていけると信じている。ブッシュ政権を打倒し、働く家族や女性の権利を尊重する大統領を選出することができる。
連帯して共に立ち上がろう。女性は世界中で、低賃金であることが多く、嫌がらせを受けることもあれば、尊重されていないこともある。だから、女性にこそ組合代表の力が必要だ。
我々一人ひとりがステップアップしなければならない。皆さん、ステップアップの準備はできていますか?(イエス!)

開会挨拶をする宮本UNI-Apro女性委員会副議長

バーバラ・イースタリングUNI世界女性委員会議長

多くの女性役員が活躍するシンガポールDBS銀行労組のオン・スーギョク書記長(中央)と再会した、損保労連・梅本委員長と女性中執の十二里さん


第9回UNI-Apro女性委員会(2007年8月25日、クアラルンプール)

第2回UNI-Apro女性大会に先立ち、2007年8月25日午前中、第9回UNI-Apro女性委員会が開催され、50余名が出席した。

2007年8月25日午前中、マレーシア・クアラルンプールにおいて、第2回UNI-Apro女性大会に先立ち、第9回UNI-Apro女性委員会が開催され、50余名が出席した。日本からは、宮本UNI-Apro女性委員会副議長(NTT労組)、本田UNI-Apro女性委員(JSD)、徳木UNI-Apro女性委員(UIゼンセン)他、NTT労組、UIゼンセン、JPUから計8人のオブザーバーが参加した。