労働組合における平等
フロレンシア代議員(フィリピン)は、GEM(ジェンダー平等主流化)を実施するための段階的行動を紹介。女性の権利に関する様々な国際機関の基準を挙げて、これらを拠り所に、組合が組合員の夢や希望を実現していこうと呼びかけた。
マーガレット代議員(マレーシア)「女性の地位向上は、習慣・文化による障害が大きく、決して容易ではない。」しかし、ジェンダー主流化に向けて、教育訓練を通じた女性のエンパワーメント、女性役員議席の設置など、現実に即した措置が必要とし、「待っていては何も変わらない」と訴えた。
イナヤット代議員(パキスタン)は、同国において若い女性労働者は一時的な労働力とみなされ、契約社員、パートタイマーが増えていると現状を説明した。そして、ジェンダー平等をもたらすためには、男性にも育児・介護休暇を取る機会を与えることが重要だと指摘した。
ディパ代議員(ネパール)は、女性が組合活動に従事しにくい南アジアの文化的背景について説明。しかしながら、結婚後も仕事を続けることに抵抗を感じることがなくなるよう、女性自身の姿勢はもとより、親・配偶者・子供達の姿勢を少しずつ変えていくことで、男女平等を実現できるだろうと、将来へ期待を寄せた。
本田UNI-Apro女性委員(JSD)は、増加を続ける非正規労働者の組織化なくして、労組は生き残れないとして、JSDにおける組織化の取り組みを紹介した。加盟組合内、未組織労働者の組織化が最も大きな成果を上げ、組合員数の増加、そのうち3分の1が女性、さらにその93%がパートタイマーという結果をもたらしたと報告。さらに今後の課題として、労組役員への女性の登用に言及し、最終的に三役に選出されることを目標にしていると語った。
フロアからも活発な発言が続いた。日本からは、木村代議員(JSD)が、男女共同参画社会実現に必要不可欠なジェンダー主流化実現に向けた具体的な取り組みを紹介したのに始まり、CTWU(台湾)の代議員からは、コールセンター労働者に対する不合理な措置についての大々的なキャンペーン活動に関する報告があった。駒村代議員(UIゼンセン同盟)が、パートタイマーの組織化が、個人・会社・労組それぞれにもたらした恩恵について発表したのに続き、目加田代議員(NTT労組)が、女性の比率が3%と極めて低い同労組ファシリティーズ本部における男女平等参画の取り組みを紹介した。さらに、十二里代議員(損保労連)による、同労組40年の歴史において初の女性執行委員が誕生した経緯の報告を受けて、アリス・チャンUNI-Apro女性・青年担当部長は、非常に喜ばしいことだと述べた。
労働における尊厳
モニク・マルティUNI女性担当局長は、いまだに貧困の底辺にいる女性たちを救う鍵は、ディーセントワークであるとして、その達成要件を挙げた。また労働者保護の範囲を拡大し、多くの女性が従事する非典型労働や、家事をもカバーする必要性を訴えた。
徳木UNI-Apro女性委員(UIゼンセン同盟)は、労働における尊厳とは、自分らしく働くこと、仕事と家庭の調和を取ることであるとして、女性労働者とその配偶者の就業・子育てに関する実態調査の結果を紹介しながら、その実現に向けた同労組のキャンペーン活動を紹介した。労組とは何かをより広く知ってもらうための紙芝居や川柳コンテストなどのユニークなアイデアに対して、参加者から大きな反響があった。
オン・スーギョク代議員(シンガポール)は、SNTUC(シンガポールのナショナルセンター)女性委員会をはじめ政労使で取り組んでいる「女性の復職」イニシアチブを紹介した。
続いてフロア発言では、根本代議員(JSD)が、同代議員の勤務する家電量販店は男性が7割を占めてはいるが、増加しつつある女性非正規社員の組織化およびその人事制度・賃金制度改革に日々取り組んでいると話した。村下代議員(JSD)は、労使で議論を重ねた結果、育児短時間制度の導入に成功したのみならず、その対象を正社員以外にも拡大し、勤務時間帯のパターンを増やすなど、さらなる制度の充実を目指していると力強く発表。香川代議員(NTT労組)は、組合員からの強い要請によりテレワークが実現したものの、一人の利用者もいない現状を報告。制度のみならず、それを利用できる職場環境が大切だと述べた。
最後に、ジェイUNI韓国デスクからEland社の若い女性非正規従業員を中心とする、長期の闘い(店舗占拠)の状況が伝えられた。世界各国のUNI加盟組織からの連帯支援に感謝すると同時に、今後も労働者の権利確保のために闘っていくと決意を語った。
資格審査委員会報告:代議員(女性67、男性0)、オブザーバー(女性22、男性5)、ゲスト(女性7、男性0)合計:女性96、男性5 ※日本の資格審査委員は中島代議員(自動車総連)
この後、オーストラリアの反労組的ワークチョイス法を非難する動議、UNI-Apro各部会委員会に女性の指定議席設置を提案する動議、UNI-Apro女性委員会規則修正案について審議し、大会代議員は、全会一致でこれらを採択した。
※日本の決議委員は鈴木麻美子代議員(情報労連)
続いて、今後4年間の行動計画及び、小地域から指名された正委員・予備委員の選出が確認された。UNI-Apro女性委員会新議長には、宮本UNI-Apro女性委員(NTT労組)が満場一致で選出され、「思うようにいかないこともあるが、ユーモアをもって前進していこう」と挨拶した。
日本からは、現行通り4人(NTT労組/宮本中執、UIゼンセン/徳木男女参画・社会運動局部長、JSD/本田国際部長、JPU/大崎国際部長)が再選された。
イナヤット代議員(パキスタン)
本田UNI-Apro女性委員(JSD)
木村代議員(JSD)
駒村代議員(UIゼンセン同盟)
目加田代議員(NTT労組)
十二里代議員(損保労連)
徳木UNI-Apro女性委員(UIゼンセン同盟)
根本代議員(JSD)
村下代議員(JSD)
香川代議員(NTT労組)