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バングラデシュ・アコードの成果は守られた

このほど、アコードとバングラデシュ衣料品製造・輸出業者協会(BGMEA)との間で、画期的な合意に達し、同国における工場の安全性確保に向けてなされてきた過去の取組みが確実に継続されることになった。アコードとは「バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関わる協定」に署名したブランド企業等が出資する、2018年5月までという期限付きで、バングラデシュの衣料縫製工場の労働環境改善を目的とした監視機関。2019年5月19日、バングラデシュ控訴裁判所によって合意が認められ、アコードに移行期間として12か月存続する許可が与えられた。

バングラデシュ高等裁判所から、アコードは2018年11月30日をもってバングラデシュでの活動を停止しなければならないとの判決が下されて以来、アコードに署名したブランド企業と労働組合は、難局を切り開く方法を探るため同国政府と交渉してきた。控訴裁判所は、この協議が継続されるよう何度か期間の延長を与えてきたが、これ以上の延長は与えないと明言していた。

5月19日の法廷審問の数日前になってようやく、アコードはBGMEAと、アコードからバングラデシュに拠点を置く新たな機関「持続可能な既製服評議会(RSC)」への最終的な引継ぎに向けた原則を合意するに至った。この合意によって、アコードの活動が将来に渡り維持され、労働組合の役割が保障されることになる。

新たな機関は、最終的にアコードの業務、機能、スタッフ全体を引継ぐことになる。そのガバナンスには、BGMEA/BKMEA(バングラデシュ・ニットウェア製造・輸出業者協会)、ブランド企業、グローバルユニオン、国内の労働組合が関与する。RSCは関係する政府部門の規制の枠組み内で運営されるが、政府からは分離される。

移行後、RSCは工場検査、改修、フォローアップ検査、労働者の安全衛生訓練を継続し、 独立した苦情処理メカニズムも維持する。こうして、ブランド企業、労働組合、消費者に、アコードの画期的な安全性確保のプログラムに不可欠な要素が維持されるという確約が与えられた。

重要なことは、ウェブサイト上で検査及び改修活動の全ての結果が全面開示されるなど、アコードの特徴である透明性が維持されることであろう。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「アコードとBGMEAの合意は、バングラデシュの既製服産業の最前線で、労働者の安全を守る上で重要な前進だ。アコードの、人の命を救う取組みを続けることができる」と喜んだ。

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は次のように述べた。「アコードを立ち上げてからインダストリオールの目標は常に、労働者の安全と健康を守ることだった。バングラデシュの労働組合が、安全性遵守をモニタリングする国の恒久的なシステム(持続可能な既製服評議会)の中で役割を果たし続けることこそ、労働者の安全が損なわれないようにする鍵となる。地元の組合とグローバルユニオンは今後も、バングラデシュの衣料産業労働者が最高レベルの労働安全衛生訓練を受けることができ、独立した苦情処理メカニズムにアクセスできるよう、協力していく。」

RSCへの移行を促進するため、BGMEAはダッカのアコード事務所に駐在する、技術主任とエンジニアを指名する。これによりBGMEAは、アコードの日常的な運営に必要な知識と経験を得ることができ、RSCへ効果的かつ円滑な移行が可能となるだろう。

裁判所によって与えられた281日の移行期間中、アコードはバングラデシュで活動する法的な許可が与えられたことになる。

 

 

 


ベトナム商業労組、パートナーシップ労使関係について学ぶ

2019年3月28~29日、ベトナム・ホーチミンにおいて、UAゼンセン/ベトナム商業労組ネットワーク(VCN)/UNI Aproによる、「強力なパートナーシップ労使関係の構築」をテーマにワークショップが開催された。講師として、UAゼンセンから衛藤全国オルグ、中野国際局長が参加した。MMメガマート、コープマート、ビッグC、イオン、髙島屋等の組合から28人が参加した。

まず、ナショナルセンターであるベトナム労働総同盟(VGCL)の法律担当から、ベトナムにおける労働法改正について講義を受けた。労組法は直近では2012年に発効したが、再度改正が議論されている。改正論議は市場経済化の拡大と経済の国際統合への動き等、外的要因によって急速に進んだ。

昔は、労働者に福利厚生を提供するのが組合の役割だった。しかし、市場経済化への移行に伴い、競争が生まれ労働の性質が変わり、組合の役割も変化した。以前は、貿易相手は社会主義国に限られてきたが、資本主義国との取引も増大し、EUとの貿易協定、CPTTPなど、公正な立場での貿易が求められている。自分たちの考え方も変えなければならないし、労働者の保護に対する考えも変化する。経済の国際統合に伴い、国際法・国際基準を満たすことが重要になっている。その中で、国際労働基準は重要な要素である。2016年、国際統合・国際加盟に関する政令が発行された。CPTTPは労組法改正に大きな影響を与えた。TPPにより、結社の自由(ILO87号)の保証(すなわち組合の自由化)が求められている。TPPの労働条項を満たすためには労組法の改正が必要となる。

衛藤全国オルグは、「複数労組への対応」や、「第4次産業革命と組合の対応」について講義を行った。

また、参加者による「第4次産業革命の影響と組合の対応」についてのグループ討議が行われ、様々な意見や提案が出された。

 

 


UAゼンセン、マレーシア商業部門の強化を支援

2019年3月25~26日 マレーシア・クアラルンプールにおいて、UAゼンセン/UNIマレーシア加盟協(UNI-MLC)/UNI Aproによる商業部門労組を対象とするワークショップが開催された。講師として、UAゼンセンから衛藤全国オルグ、中野国際局長が参加した。イオンビッグ、プロトンエダ、ベルナス、イカノ、ロビンソン、コンチネンタルタイヤ、伊勢丹等の組合役員等25人が参加した。

ワークショップでは、シャフィーUNI-MLC議長が、「マレーシアにおける小売業の進展、とりわけEコマースの発展と組合の対応」と、「スマートパートナーシップ労使関係」について講義を行った。その後、衛藤全国オルグは、「スマートパートナーシップ労使関係の日本の事例」や、「安全衛生に関する日本の経験」について講義を行った。


経済再生中のネパール、インフラ整備のため外資を歓迎

「インフラは、経済成長に不可欠な外資を誘致するため、ネパールのような国にとって非常に重要だ」と、KPオリ・ネパール首相は語った。オリ首相は、長きに渡る政治的移行の終焉を告げる、連邦民主共和国制度を導入する新憲法制定後、初の総選挙で圧倒的多数を勝ち取り、政権の座に就いた。

クリストファー・ウンUNI Apro地域書記長率いるUNI Apro代表団はオリ首相を訪問し、ネパールの発展に向け、海外の注目と支援を引きつけようとする努力を称えた。ウン地域書記長は、第5回UNI Apro地域大会を2019年11月に首都カトマンズで開催する予定であることを、オリ首相に伝えると共に、主賓として招待した。オリ首相は、UNI Aproがネパールでの地域大会開催を決定したことに感謝し、招待に応じた。大会には、アジア太平洋地域の加盟組織から代議員が参加するばかりでなく、世界中から来賓が参加する予定であることを歓迎した。

オリ首相は、政府が労働者の利益のために実施した最近の様々な取組みについて述べた。労働組合及び使用者協会と協議し合意した上での、社会保障制度の導入、労働法改正、最低賃金の引き上げ等である。ウンUNI Apro地域書記長は、オリ首相の強力なリーダーシップを称え、ネパールの今後の発展と繁栄を確信した。


世界の商業部門におけるデジタル化を議論

2019年2月26~28日、オーストラリア・シドニーにおいて、UNI世界商業部会運営委員会が開催され、世界22カ国から46人が出席した。日本からは、八野UNI世界商業部会副議長(UAゼンセン 副会長)、金子UNI世界商業部会運営委員(自動車総連 事務局長)、藤吉UNI Apro商業部会委員(UAゼンセン 副会長)、中野UAゼンセン国際局長、小川UNI-LCJ事務局長が参加した。

主な議題は、2018年度活動報告、2019年度活動計画、多国籍企業対策、Eコマース等であった。

食品小売を含むハイパーマーケット部門の調査報告を受け、様々な意見交換が行われた。従来の大手小売業者(ウォルマート、カルフール等)は、Eコマース事業者の買収により積極的な拡大戦略をとっている。Eコマースの更なる拡大が見込まれる中、Eコマース労働者を組織化するための新しい戦略が必要だ、との意見が出された。キャッシュレス化の動きについては、カードを持てない消費者への差別だと反対する国(米国等)もあれば、スウェーデンのように夜間の犯罪防止のためにキャッシュレス化の推進を主張する組合もある。テクノロジーの導入によって変わる新しい仕事に移行できるよう、労働者に必要なスキル訓練へのアクセスを保障することが重要であり、雇用の喪失を恐れる必要はないが、社会がプラットフォーム経済を中心に形成されることに懸念の声があがった。

ファストファッション部門の調査報告に続き、ユニクロがスウェーデンで初めて団体協約に署名したことが報告された。組合と協約を結ぶとビジネスもやりやすい、というスウェーデンモデルのメリットが他社にも示された。

アマゾンが第2本社をニューヨークに建設する計画を断念したことについて、アッペルバウムUNI世界商業部会議長(米国UFCW/RWDSU)が組合とコミュニティが一体となった闘いの詳細を説明した。更に、売上と株価を重視するアマゾンのビジネスモデルを投資家の観点から詳細に分析し、環境への影響、労使関係等に疑問を持つ株主グループや大手年金基金等との連携が提案された。

また、開催国オーストラリアの労働党(ALP)の議員を招いて、「オーストラリアにおける格差と労働の未来」について聞いた。

ALP全国議長を務めるウェイン・スワン議員は、2007~13年、財務大臣在任中に世界経済危機が起こったが、緊縮策ではなく刺激策をとったことにより大幅な失業には至らず、実質賃金は上がった経験を振り返り、現保守党政権が推進する、他国で失敗したトリクルダウン政策を批判した。デボラ・オニール上院議員も、多国籍企業に権力が集中し過ぎている中、民主主義に疑問を持つ個人が増えていることを懸念した。また、オーストラリアの年金制度設計に女性が関わらなかったために、女性に不利な制度になっている例を挙げ、中長期的な労働の世界に女性の視点は不可欠であることを強調した。

 


「流通の職場における暴力根絶」ガイドラインを発刊

2019年2月25日、第19回UNI Apro商業部会委員会が、オーストラリアの加盟組織SDAのニューサウスウェールズ支部において開催され、オーストラリア、香港、日本、シンガポールから委員、オブザーバーが参加した。日本からは、八野UNI世界商業部会副議長(UAゼンセン 副会長)、金子UNI Apro商業部会副議長(自動車総連 事務局長)、藤吉UNI Apro商業部会委員(UAゼンセン 副会長)、中野UAゼンセン国際局長、小川UNI-LCJ事務局長が出席した。

主な議題は、2018年度活動報告、「流通の職場における暴力根絶」ガイドラインの披露、Eコマース調査報告、等であった。

2018年度活動報告の中で、UNI Aproが各国で取組む多国籍企業(ファストファッション、小売スーパー、その他)の組織化状況と組合強化活動について最新情報が報告され、UAゼンセンからの支援に感謝が示された。

「流通の職場における暴力根絶」ガイドラインは、UAゼンセン及びオーストラリアSDA等からの資料を基に編集された。ウンUNI Apro地域書記長、アッペルバウムUNI世界商業部会議長、八野UNI世界商業部会副議長、ドワイヤーUNI Apro商業部会議長が発刊を記念して署名を行った。ウンUNI Apro地域書記長は、「職場の安全衛生:小売業ガイドライン」のように各国語に翻訳し、広く活用してもらいたい、と述べた。

各国報告として、金子UNI Apro商業部会副議長は、春闘の説明及び自動車総連、販売部門の2019年度賃上げの取組みについて報告した。

ライハ委員は、「香港の小売労働者は長時間労働のため研修を受ける時間がなく、研修のための休暇も無い。研修費の自己負担も大きく、制度の有効性が不十分。セルフレジが増えており、将来、無人店舗化されれば大量解雇が予想される」と懸念を表した。

藤吉UNI Apro商業部会委員は、悪質クレーム対策について最新情報を報告した。

スラシュ委員は、シンガポールにおいて、髙島屋、BHG、伊勢丹、メトロ、ムスタファ等3000人を組織していること、商業部門では若い人が働きたがらず。45歳以上が多いこと、等を報告した。

また、会場となったSDAニューサウスウェールズ支部のバーニー書記長から、職場におけるハラスメント対策(顧客からの暴力・ハラスメント対策)、休日確保等の取組みについて報告を受けた後、事務所内を視察した。 

 


UNI Apro運営委員会、地域大会準備を議論

第32回UNI Apro運営委員会が、2019年2月22日、東京で開催された。野田UNI Apro会長が議長を務めた。

今年は地域大会開催年であるため、例年4~5月に開催されるUNI Apro執行委員会は開かれず、地域大会準備のための重要事項については、UNI Apro運営委員会の確認に委ねることが、昨年のUNI Apro執行委員会で確認されていた。

従って、主な議題は第5回UNI Apro地域大会(11月、ネパール・カトマンズ)・女性大会の準備に関わる事項であった。

この他、昨年、英国・リバプールで開催された第5回UNI世界大会・女性大会のフォローアップ、UNI Aproの法人登録に伴う移行手続きの最新状況、予算等について確認を行った。


クリスティ・ホフマンUNI書記長、UNI-LCJ年次総会で記念講演

司会:さて、ホフマン書記長は、年明け早々、世界経済フォーラム、ダボス会議に世界の労働組合リーダーと共に出席されました。まずは初めて参加したダボス会議の様子をお聞かせください。

ダボスには期間中3000人くらい集まり、うち企業は1000社くらい参加しています。今年、労働界からの参加は10人だったので、私たちのプレゼンスは限定的だったかもしれません。それでも存在感を示すことはできたと思います。連合から相原事務局長、3つのGUF代表、デンマーク、スウェーデンと米国の労働組合代表、シャラン・バロウITUC書記長が出席しました。多くのパネルディスカッションに参加し、様々なマスコミからインタビューを受けたので、存在感を示すことができました。今回も、将来についての議論がかなり行われました。グローバル経済にとって最大の脅威は、サイバーセキュリティーと気候変動であると認識されました。テクノロジーについての議論では、ロボットがやってくる、というヒステリックな論調から離れ、テクノロジーの活用に対してより現実的なアプローチになっているとの印象を受けました。

ダボスに参集したリーダーや専門家の意見を総合的に考えると、デジタル化は予想より遅いスピードで起こっており、企業は既存の従業員を置き換えるのではなく、再教育または再訓練してデジタル技術を導入しようとしています。これは私たちにとって朗報だと言えます。表向きには企業はそのようなことを言っており、私たちはもっと懐疑的に思うべきかも知れませんが、ダボスでは、少なくとも真摯な気持ちで言っていたと感じました。

ダボスで共有された雇用に関するデータは以前より良好なものでした。デジタル化によって雇用が大幅に拡大するという見方もありましたが、新たな雇用がどれだけ増えても、仕事を失う労働者は必ず出てきます。私たち労働組合リーダーは、ダボス会議の中で、「誰も取り残されないように、政府主導または政労使の取組みが必要だ。生涯教育を受ける権利を全ての人に保障するべきだ」と訴えてきました。

また、ダボスでは引き続き各国内での所得格差の拡大に懸念が示されました。最新情報によると、世界の富の半分はわずか26人の富豪によって所有されているといいます。しかし、富裕層への税率を引き上げることによって、富の再分配を図るという考えには、ダボスの参加者は反対しました。この考えはいろいろな会議の分科会で笑い飛ばされ、ある分科会では、これを提起した若いオランダのエコノミストの発言が衝撃的とされ、論議の的となり、彼のスピーチの動画はSNSで炎上しました。ダボス会議創設者のクラウス・シュワブ氏は、会議後のフォローアップの中で、「ことによっては富の再分配は必要かもしれない」というコメントを出しています。

ダボス・デビューとしては実りが多かったと自負しています。

司会:書記長は米国出身で、米国の労働運動でも長く活躍してこられました。ということで、米国や、ブラジル、ルーベン会長の出身国でもあるアルゼンチン等における労働運動について簡単にご紹介いただけますでしょうか。

私は米国出身であり、米州(南北アメリカ)で何が起きているか、いつも注視しています。

まず米国について、トランプ政権は組合に非常に敵対的ですが、そのことによって組合の役割が薄れたわけではありません。逆に昨年、組合の闘争活動、スト回数、スト参加人数はここ数十年で最高を記録したのです。現在の組合費徴収の仕組みに対して法的手段を用いた攻撃が続いているにも関わらず、組織人員は変わっていません。こうした攻撃を受ければ組合員は減るのではないかと言われていましたが、労働者はより強く問題意識を持ち、職場で声をあげたい、ディーセントな(人間らしい)仕事がほしい、という気持ちをより積極的に表現するようになりました。調査によると、若者はここ数年で一番労働組合を好意的に見るようになっていると言う結果も出ています。

民主党も労働組合により好意的で、州レベルでもはっきりと物を言う野党に生まれ変わりました。多くの州で最低賃金が1時間15ドルに引き上げられました。これは連邦政府が設定している最低賃金の約2倍です。法律で病気休暇を定めることが義務化された州もあります。今まで米国の労働者にはこうした法定の休暇はありませんでした。

最近では、従来の労働組合に代わる労働者グループの活動が活発になってきています。こうしたグループは、単一の問題についてSNS上でキャンペーンを展開したり、使用者に要求を行ったりしています。昨年だけで200ものキャンペーンが行われました。例を挙げると、昨年、世界中のグーグルで働く2万人の労働者が、組合は無いものの、世界各国で1日ストライキを実施しました。彼らの要求は、セクハラに関するものの他に、自分たちが開発する商品に関して発言したい、というものでした。大局的に見ると、組合費徴収が攻撃されているものの、労働者による行動が活発化していると言えます。ですから、米国の状況は非常に期待できると考えています。

一方、ブラジルの状況は全く違います。ボルソナーロ新大統領は、就任後すぐに最低賃金を引き下げました。新政府は全ての労働者を標的にしています。労働省は切り捨てられ、つぶされてしまいました。1日の労働時間は8時間だったところ、10時間労働を導入し、かつ、労働者の権利保護を縮小する動きが多数出ています。政府は、労働組合の結成承認と規制の権限を連邦警察に委ねると提案しており、これは結社の自由に対する恥知らずな攻撃です。

ブラジルの労働法制において、団体交渉、組合費徴収等の点がかなり前から弱体化されており、その結果、UNI加盟組織は組合費収入の相当の部分を失いました。ブラジルの組合は危機に瀕しており、今後、再編・統合を余儀なくされると思われます。しかし、ブラジルの組合は、極右政府によって突きつけられた制約の中でも闘争を続ける強い意志を持っています。

コルティナUNI会長の出身でもあるアルゼンチンには、リバプール世界大会後、2度訪れています。財政危機、通貨危機に陥って、政府がとった緊縮財政政策に多くの労働者が苦しんでいます。しかし、アルゼンチンの組合の交渉力はまだ強く、産業別労組は未だ健在です。組合は今でも重要な交渉当事者です。政府の力に屈せず、組合の力が強いことに期待していますが、通貨の切り下げの結果、通貨危機以前の資産を取り戻すには、ここから先4世代かかると試算されています。

司会:UNIは“労働の未来”について、5年前のケープタウン世界大会から取組みを始めていました。これについて最新情報をお聞かせください。

UNIにおいては、“労働の未来(Future world of work)”から徐々に“新しい仕事の世界(New world of work)”へと移行しています。ケープタウンで初めて提起されて以来、様々な取組みを経て、現在進行形です。“新しい仕事の世界”におけるUNIの役割は、さらに進化しています。最初はトレンドに対する問題喚起・啓発活動でしたが、その段階は終わり、次は解決策を求めていく段階です。この過程において、いかに労働組合を強化していくか。将来を形成するプロセスに労働者が確実に参画できるようにするにはどうすればよいのか、具体的には将来のあるべき姿に向けての交渉当事者として、労働組合の役割を強化しなければなりません。交渉議題には、新たな技術の再訓練の強化や、新たな技術の導入により可能となった使用者の過剰な監視等が、含まれるでしょう。他にも多くの交渉すべき議題があります。使用者と交渉する際に、加盟組合にはこのような課題を強調するようお願いしたいと思います。UNIは、世界各国から優良事例を集め、共有することを目指しています。UNI加盟組織は既に重要な成果をたくさんあげています。優良事例も教訓も蓄積されています。恐らく私だけではないと思いますが、「労働組合は過去の遺物だ」と言われることに辟易しています。将来のあるべき姿を決めるため、労働者が発言力を持つために、今まで以上に労働組合は大切です。労働組合の交渉は、正義ある未来への移行過程の一部なのです。

この移行期において、置き去りにされる労働者がいないようにするためには、団体交渉の諸制度を強化すべく、ルールを変更し、自営業、自由業、フリーランスの人たちにも組織化する権利や社会的保護を与え、生活賃金が保障されなければなりません。このような主旨がILOの報告書にも提案されています。

テクノロジーと言えば、UNIが組織化活動を推進する上で、いかにテクノロジーを活用できるかを探求する、「デジタル組織化フォーラム」を昨年、欧州で開催しました。そこで優良事例を共有しました。今年も5月に同様のフォーラムを開催する予定です。UNI本部で“労働の未来”を担当するクリスティーナ・コロクロフが、グーグル財団から資金援助を受け、特に若い労働者の組織化に役立つアプリの開発に取組んでいます。良いアイデアが出てきています。今度皆さんにも共有したいと思います。

司会:書記長になってから、既に4つか5つのGFAが結ばれました。短期間にそんなに結ばれた理由は何でしょうか?

新規に加え、更新されたものを入れると、8つだと思います。副書記長時代からGFA締結に取組んできました。リバプール世界大会以前から交渉していたものもありました。新書記長に花を持たせようと、スタッフが締結時期を調整してくれたのかもしれません。

最近調印されたGFAには、デューデリジェンスに関する有意義な文言が盛り込まれました。企業が果たすべきデューデリジェンス遂行計画の中で、UNIの役割もきちんと定められています。このようなブレイクスルーが達成されたことを大変嬉しく思います。他のGFAも新しい文言が含まれています。例えば、セクハラ条項、フランチャイズ条項、“つながらない権利(労働者が持っている通信機器のスイッチを切る権利)”条項が入っている協定もあります。

私は40年近く多国籍企業との交渉を行ってきました。今後もUNIの対象となる産業の多国籍企業とのGFA締結に力を入れていきます。私のアプローチは単純です。グローバル化時代において、多国籍企業が労働者の権利が尊重されていない国に進出する時に、GFAは不可欠だと会社側を説得するのです。リスクの未然防止の点からも、企業の評判を高める点からも、良いものだという付加価値を会社側にオファーするのです。UNIは長きに渡り信頼できるパートナーであることも主張します。私たちは約束したことは必ず守り、企業側にも必ず守ってもらう。目標は野心的に高く設定し、それを明確に相手に伝えなければなりません。

今は、新しいグローバルなルールがあります。企業はデューデリジェンスが求められており、GUF(UNIのようなグローバルユニオン)とのGFA締結の意義を多くの企業が認識するようになっています。私たちは信頼できるパートナーであると、企業も認めています。デューデリジェンスとは、企業が、労働者の人権や権利に関わるリスクの調査を行い、リスク防止の措置をとり、権利侵害が発生した場合には対策をとることが要求されることです。UNIはこの全てのプロセスに付加価値をつけることができるのです。デューデリジェンスの徹底は、私たちに追い風となっています。特にフランスでは法律により、使用者はデューデリジェンスの遂行が義務付けられました。デューデリジェンスの一環としてフランスの使用者は、GFA締結が奨励されており、そのためフランスの多国籍企業とのGFA締結が増えています。

司会:最後に、書記長としての今後4年間の豊富と、UNI-LCJに期待することをお聞かせください。

先週開かれたILO専門家会合で、GFAについても話し合われました。GFAが結ばれたのは欧州企業とだけではないか、と言われ、私は、日本をはじめとするアジアや、ブラジル等の企業とも締結されている、と発言しました。髙島屋やイオンとのGFAの意義について、ILO等の場を通じて他の使用者の理解が深まることを期待しています。

このような取組みを重ね、多国籍企業におけるUNIの認知度を高め、影響力を拡大したいと思います。労使関係の構築において、UNIはもっと重要な役割を担っていくべきだと考えます。

各部会でそれぞれの活動計画を立てていますが、中には部会の活動範囲を超えた分野もあります。例えば、アマゾン対策です。UNIは、アマゾン対策のハブ組織になろうとしています。アマゾンに対するアクションは、UNIの全ての部会を巻き込み、世界中の労働組合や関係者を連携させることが必要です。ICTS部会は、グーグルとの関係構築に取組もうとしています。グーグルで起きていることは、今までとは違います。何人かのグーグル労働者とコンタクトをとりながら、彼らをUNIに引き込み、彼らのまとめ役になりたいと考えています。彼らは自分たちで何でもできると思っていますが、私たちの仲間になって一緒に行動しよう、と粘り強く説得していきます。

世界は新たなルールを必要としています。ルール作りにもUNIは積極的に参加し、貢献していかなければなりません。実効力のあるGFAモデルをつくっていきます。サプライチェーンに正義をもたらす取組み、例えばバングラデシュ安全協定を、パキスタン等、他の南アジアの国にも適用できないか、検討しているところです。

GFA、OECD多国籍企業ガイドライン等の取組みを通じて、GUFをデューデリジェンスのプロセスにしっかりと組み込み、標準化していきたいと思います。これは私たちの将来にとって非常に重要です。さらに雇用労働者の定義を再検討し、自営業者として不当に分類され不利益を受けている何百万人もの労働者の問題に取組む必要もあります。全ての労働者を包摂することが重要です。

そのような中、日本の加盟組織には大変期待しております。皆さんの組織拡大には常に感銘を受けています。日本企業とのGFAは実効力ある理想的なものです。“新しい仕事の世界”で労働者が受ける影響は東洋と西洋で異なっても、世界の働く仲間とUNIを通じて連帯し、多国籍企業と建設的な交渉をしていきましょう。

 

 


第20回UNI-LCJ年次総会

2019年2月21日、第20回UNI-LCJ年次総会が東京で開催され、各加盟組織より運営委員及び総会代議員、オブザーバー等約65人が出席した。2018年度活動報告、会計報告に続き、2019~2022年度UNI-LCJアクションプランやUNI-LCJ海外活動の方向性を含む、2019年度活動計画及び予算が承認された。最後に、松浦UNI-LCJ議長以下、副議長、事務局長、事務局次長、運営委員の再選が確認された。

記念講演及びレセプションには、UNI本部からクリスティ・ホフマンUNI書記長、UNI Aproからクリストファー・ウン地域書記長、ラジェンドラ・アチャリャ書記次長が出席した。また、翌22日に東京で開催されるUNI Apro運営委員会に出席するため来日したUNI Apro運営委員会メンバーも来賓として参加した。

第5回UNI世界大会(2018年6月、英国・リバプール)において選出されたホフマン書記長は、連合、ILO、GUF、友誼団体等から集まった約120人を前に、「皆さんと共にMaking it Happen(実現していこう!)」と題し、最近のホットな話題から、新書記長としての決意や日本の加盟組織に対する期待等を述べた。司会の小川UNI-LCJ事務局長から、書記長として初めて参加した世界経済フォーラム(ダボス会議)の感想を聞かれ、「政界・財界・ビジネス界等から多数参加する中で、労働組合からの参加は非常に少なかったが、多くのマスコミからのインタビューに応じ、一定の存在感を示すことができた」と述べた。「“労働の未来”の議論におけるUNIの役割も、労働者への啓発から、団体交渉を通じたプロセスへの積極的関与の奨励へと変わってきている。いかに労働組合の存在感を高め、未来を形成するプロセスに労働者が確実に参画していくか、将来のあるべき姿に向けて労働組合の役割を強化していかなくてはならない。グローバル企業におけるUNIの認知度を高め、組合の影響力を拡大したい」と書記長としての抱負を熱く語った。また、最近のILO専門家会議において、日本の企業と結ばれたGFAの効果について発言し、欧州だけに限った取組みではないことを強調した。日本の加盟組織に対しては、組織化や効力あるGFAの経験について、UNIにおいて共有してほしい、と期待を寄せた。(全文はこちら

レセプションでは、厚生労働省の麻田千穂子国際労働交渉官、連合の逢見直人会長代行から連帯挨拶を受けた。ドワイヤーUNI Apro会長代行(オーストラリアSDA書記長)は、UNI Apro運営委員会メンバーを代表して挨拶した。ウンUNI Apro地域書記長は年末の自身の退任を控え、国際労働運動に42年もの長きに渡って関わった経験を振り返りつつ、乾杯の音頭をとった。

その後UNI-LCJ年次総会参加者は、他の加盟組織参加者及び国内外の来賓との懇親を深めた。


アマゾン第2本社のニューヨーク進出計画断念に対する組合の反応

アマゾンは、ニューヨーク市クィーンズ区ロングアイランドシティに第2本社を建築する計画を撤回したと伝えられた。ニューヨークに誘致するためアマゾンに30億ドルの税優遇措置がオファーされたことが引き金となり、地元の議員、労働組合、活動家グループ等が抗議行動を続けた結果、アマゾンは計画を撤退した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「アマゾンは、過去2年間、利益をあげているにもかかわらず税金を払っていない。そして職場から労働組合を追い出すことを公言している。このような会社に優遇措置を与えることに反対の意を示した、ニューヨークのコミュニティグループや組合に敬意を表したい」と述べた。昨年、アマゾンの収益は倍増したにもかかわらず、連邦政府から税還付を受けた。これには怒りしか覚えない。ニューヨークの、そして世界中の組合は、アマゾンが、コミュニティや労働者からの正当な要求から逃げるのではなく、団体交渉に応じることを望んでいる。」

米国のRWDSU(小売・卸売・百貨店労組)とチームスター労組は、アマゾンに「ニューヨーク市から逃げることができても、労働者に対する責任からは逃れられない」と述べた。

スチュワート・アッペルバウムRWDSU委員長(UNI世界商業部会議長)は、「多くのニューヨーカーが懸念する問題に対応するどころか、アマゾンは“勝手にしろ、ニューヨーカーの懸念など構わない”とさえ言い放った。責任ある企業が取る態度ではない」と避難した。ニューヨーカーは、労働者やコミュニティを尊重しないアマゾンを歓迎しない、とはっきり示した。

世界の他の組合からも支援と連帯のメッセージが寄せられた。「強欲な企業に対する大きな勝利だ。」「アマゾンに対する勝利は、労働運動全体及び労働者にとっての勝利だ。」

世界中の労働組合は、アマゾンに責任を果たさせるため団結している。過去5年間、UNIは、世界中でアマゾン労働者を組織する、または代表する組合を束ねるUNIアマゾン労組同盟を指揮してきた。

 


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