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第5回UNIネパール加盟協大会

2018年12月6日、「労働の未来に向けて、組合の力を高めよう」のテーマの下、第5回UNIネパール加盟協(UNI-NLC)大会がネパール・カトマンズで開催された。18加盟組織から約200人名が参集し、UNI Aproからは野田地域会長、クリストファー・ウン地域書記長が来賓として参加した。加えて、各ナショナルセンター、フリードリヒ・エーベルト財団(FES)、オランダ労働組合連盟(FNV)からも来賓が駆け付けた。

開会にあたり、ゴルカルナ・ラジ・ビスタ労働・雇用・社会保障大臣が祝辞を述べ、ネパールの国家発展のためには労働組合の役割が大切であり、UNI-NLCの活躍に期待すると述べた。野田UNI Apro地域会長は「第4次産業革命の進展により働き方や暮らしが変化する中で、労働組合としての情報収集と分析に基づく政策立案はこれまで以上に重要だ。組合の力を高めよう」と挨拶した。また、来年11月のUNI Apro地域大会への支援と協力を要請した。ウンUNI Apro地域書記長は、UNI-NLCの組織化の取組み成果を称えると共に、次期地域書記長にラジェンドラ・アチャリャ書記次長を推薦したいと述べ、出身国のサポートを要請した。

活動報告や今後の活動に関する議論を経て、向こう4年間の行動計画を盛り込んだ決議が採択された。また、シャンカール・ラミチャーニ氏(ネパールテレコム労組)が議長に再選された。加えて副議長5人、委員5人を中心とする新執行部が選出された。

 

 


第7回UNI Apro東アジア労組フォーラム

第7回UNI Apro東アジア労組フォーラムが、2018年10月2~3日、「実現しよう!東アジアにおけるパートナーシップ労使関係の普及を目指して」というメインテーマの下、東京の全電通ホールで開催された。日本、韓国、台湾、香港より148人(うち女性49人、女性参加率33%)が出席し、「企業の社会的責任(CSR)」、「職場におけるハラスメント」、「新しい多様な働き方」への対応について、各国・労組が報告を行った。日本からは、14加盟組合より総勢99人(うち女性33人、女性参加率33%)が参加した。

クリストファー・ウンUNI Apro地域書記長は、基調講演を行い、UNI Aproは日本に倣って、建設的な労使関係(UNI Aproではパートナーシップ労使関係と呼ぶ)の構築に取組んできたと述べた。とりわけASEANにおいて、労働者や労働組合に、権利を主張するだけでなく労働組合としての責任を果たすよう強く訴え、使用者及び政府にはASETUC(ASEANサービス労組協議会)が信頼できるパートナーであることを具体的な成果をもって示し、毎年ASEAN各国の労働大臣が主催する三者構成対話会議に労働側代表として参加してきた。第4次産業革命で労働市場に劇的な変化が起こりつつある中、政労使の建設的な対話を通じてのみ、労働者や弱者が取り残されない、包摂的な社会をつくることができると強調した。

UNI本部から、クリスティ・ホフマンUNI書記長が初めて本フォーラムに参加し、グローバル枠組み協定(GFA)の概要を説明した。本年6月のリバプール世界大会で書記長に選出されて以来、来日直前にフランスのBNPパリバ銀行、同じくフランスのカジノ大手パルトゥーシュとそれぞれGFAを締結し、翌週には既に締結されているカルフールとの協定を更新する。グローバル協定に詠われる内容は、ILOの中核的労働基準の遵守、人権、平等、多様性の尊重、環境への配慮等、社会的課題への取組みをUNIや加盟組合と共同で宣言するものである。続いて日本企業としてUNIとGFAを締結した髙島屋とイオンの労働組合から、その経緯や締結後の実施状況について具体的な報告を受けた。髙島屋労働組合の橋本国際局長から、組合の社会的責任を果たす活動の1つとして、日本初のグローバル協定を締結するまでの経緯を聞いた。締結が目的ではなく、スリーピング協定にしてはならないとの決意で、労使それぞれの立場から内外に向けて理解浸透を図る活動を継続している。また、イオングループ労連の村上国際局長からは、海外拠点における現地労働者への連帯支援の取組みを通じて、各国労働者の条件改善と企業の発展に寄与している事例の報告を受けた。

また、凸版印刷株式会社・人事労政本部の吉田労政部長から、労使が協力して推進している「働きがい」を高める取組みについて聞いた。これを受け、凸版印刷労組の佐藤委員長は、「労使が対立していた過去の経験を教訓にして、現在の良好な労使関係がある。労使が目指す方向は同じであり、互いの立場を尊重し、コミュニケーションをとりながら進めていくことが何より重要だ」と述べた。

「企業の社会的責任」のテーマでは、この他、自動車総連、韓国KFIU、韓国KHMU、台湾PTSFEU、香港RCCIGU、マカオ・ゲーム労組、ネパールから事例報告を受けた。

「職場におけるハラスメント」のテーマについては、井上久美枝連合総合男女・雇用平等局長から、導入報告を受けた。井上局長は、「男女ともに暴力やハラスメントの対象になり得るが、地位や力関係が平等でない場合、とりわけ女性や性別規範に合致しない立場の弱い人々が対象となりやすい」と述べた。職場におけるあらゆる種類の暴力とハラスメントを根絶するため、ILO総会で条約・勧告の制定が議論されており、そのプロセスや各国政労使の異なる論点、日本政府の態度や連合の取組み等について詳しく聞いた。続いて各国代表によるパネルディスカッションが行われた。UAゼンセンと香港ディズニーランド労組は顧客からのハラスメント、韓国HKMUと台湾CPWUはセクハラに関して、それぞれ現状、組合の対応と今後の取組み等を報告した。これまで被害者が泣き寝入りするしかなかったハラスメントを組合が取り上げ、使用者や政府と協力して世論を喚起し、必要であれば法制度を変える等、社会を巻き込むアクションの必要性が強調された。

「新しい多様な働き方」のテーマについては、情報労連から「働き方改革」をめぐる日本の状況として、本年6月に成立した働き方改革関連法案の内容について報告し、実現に向けては、労使が共に法を理解し運用するための集団的労使関係が不可欠だと述べた。続いて、損保労連、JP労組、韓国KPWU、台湾CTWU、香港BMSWGUからそれぞれ事例報告を受けた。

参加各国は情報交換を通じて、労使関係は対立から協調へ、労使のパートナーシップが不可欠であるとの認識を再確認した。最後に共同声明を採択し、本フォーラムを継続して情報交換を進めると共に、各国において労働者の利益・権利の向上と社会的影響力の強化に引き続き取組んでいくこととした。

 

 


UNI、AIパートナーシップ(PAI)に参加

UNIは、2018年8月3日、多様なステークホルダーから構成される人工知能(AI)研究団体「Partnership on AI(PAI)」に加入した。

PAIは、AIが将来の働き方にいかに影響を与えるかを予測し、AIが社会に確実に恩恵をもたらすよう、幅広い問題に対応する。

PAIの創設者であり、会長のエリック・ホービッツ氏とムスタファ・スレイマン氏はこう語る。「AIは、新しい可能性や効率性を約束する。新しい技術の到来が、自然破壊の可能性や仕事の分配について納得のできる問題を提起するのだ。」

テクノロジー企業や教育機関だけでなく、アムネスティ・インターナショナル、Oxfam、国連開発計画など幅広い非政府組織がこの取組みに参加している。UNIはPAIに参加した始めての労働組合である。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「UNIがPAIに参加することで、労働者に発言権が与えられる機会を歓迎する。AIが、一握りの巨大テクノロジー企業の手において破壊力として使われるのではなく、どうすれば新しい仕事やより良い雇用・労働条件を生み出すための触媒になり得るか、議論を向けていくことが我々の目的だ」と述べた。

「PAIの他のメンバーに、AIの開発にあたり、企業や政府はデジタル経済において労働者が公正かつ確実に移行できるよう責任を持つべきだ、という明確なメッセージを伝えていく。」

UNIは、「労働の未来」のオピニオンリーダーとなり、ILO、経済協力開発機構、EUにおいて、また、サービス産業の多国間協力及び合意を通じて、デジタルな未来への展望に影響を与えていく。

UNIがまとめた「倫理的な人工知能のための10大原則」には、職場の透明性や実用性に関して具体的な要求があげられている。UNIはAIに関し「行動を今すぐ起こす緊急性」を強く主張し、AI使用による犠牲者を出すのではなく、その恩恵を労働者が確実に共有できるよう取組んでいる。

 


労働組合と労働の未来

UNIは「労働の未来」に関するオピニオンリーダーとして、デジタルの世界が全ての労働者に力を与え、誰をも包摂するよう潮目を変えるために努力してきた。労働組合は、政府の政策に影響を及ぼし、透明性、機会、責任を確保し、新しいテクノロジーが少数者だけでなく多くの人に恩恵をもたらすものとなるよう適正化する力を持つイノベーターである。

この議題では、労働者のデータに関する権利、拡大するデジタル格差をいかに是正するか、倫理的なAIの活用、新しい世代の労働者といかに接点を持つかについて議論した。

UNIと加盟組織は、公正なデジタル化の未来に向けた発展にとりわけ責任があることについては疑いの余地が無い。なぜなら、新たな仕事の90%がUNIの関わる部門で創出されると見込まれているからだ。

ガイ・ライダーILO事務局長は、ILO創設100周年「仕事の未来」イニシアチブについて報告し、「かつてない速度で労働の世界が激変する中、労働者に有利な変革を起こすには、労働者を動員し、労働組合が様々な組織と連携して我々の望む労働の未来を形作る上で中心的役割を果たしていかなければならない」と訴えた。「さもなければ、将来は残酷な極論者によってつくられてしまう。我々が過去闘って勝ち取ってきた労働者の権利、包摂性、社会正義、持続可能な民主的な社会は将来、居場所がなくなってしまうだろう。」

ジャーナリストであり作家でもある、オープン・マーケット研究所のバリー・C・リン所長は、巨大テクノロジー企業の間の独占力が我々の経済・政治システムに及ぼす脅威について語った。

カーディフ大学の、ヘレン・ブレイカリー博士とスティーブ・デイビス博士は、UNIから委託された「労働組合のイノベーション」に関する調査の結果を報告した。

リバプール・ガール・ギークスの、ジョアン・モーフィとジェス・イングリーは、英国のテクノロジー分野におけるジェンダー格差をなくすため、女子学生に理数系の学習を奨励し、将来テクノロジー分野の職に就けるよう支援するプログラムに参加した体験を紹介した。

松浦昭彦UNI-LCJ議長は、UNIの労働の未来の取組みに沿って、UNI-LCJとしても、集中的に議論してきたこと、UNI本部のクリスティーナ・コロクロフ部長から、労働者データの扱いや、AIの倫理的活用を求める取組みについて情報共有したこと等を報告し、連合の労働の未来に関する認識を紹介した。「人口減少・超少子高齢に向かっている日本では、技術革新により、労働力不足を補い、生産性の向上が期待できる側面がある。産業内・産業間の労働力の需要の変化が見込まれるが、新規雇用が創出され、労働者が失業することなく新しいディーセントな仕事に移行できるよう、能力強化対策をとらねばならない」とする一方、クラウドソーシング、シェアリングエコノミー等、働き方が多様化する中、労働契約、安全衛生、教育訓練、社会保障制度も、働く人を守る視点から、改革する必要があると述べた。UNIを通じて、世界で起こっていること、海外の組合の対応に関する最新情報を共有し、日本の現状を踏まえ、将来を予測し、迅速な行動をとっていきたいと発言した。

日下部大樹代議員(生保労連)は、デジタル化によりサービスのあり方や働き方が大きく変化し、無くなる仕事も予測される一方で、東日本大震災直後の生命保険会社の営業担当者の経験を挙げ、人にしかできない、感情を動かすホスピタリティのあるサービスを創造し提供することが、これまでにない顧客の満足と新しい価値を生み出し、人間としての心の豊かさにもつながるのではないかと、問いかけた。

リバプールに結集した大会代議員はまた、アマゾンの事業モデルは労働者を底辺への競争に駆り立てていると非難し、レッドカードを突き付けた。ベシガーUNI副書記長は、同社の労働者への不当な扱いに抗議して、UNIの要求を明確に示した。「アマゾンは、法人税を適正に支払い、責任あるグローバル企業としてふるまうべきだ。我々はアマゾンの悪しき慣行に立ち向かう。アマゾンは、労働者をロボットではなく人間として尊敬すべきだ!」

動議4は満場一致で採択された。

 


UNIの新たな未来に、ブレイキングスルー!

2018年2月27日、第19回UNI-LCJ年次総会が東京で開催され、各加盟組織より運営委員及び総会代議員、オブザーバー等約80人が出席した。2017年度活動報告、会計報告に続き、「UNIの新たな未来に、ブレイキングスルー!」をコンセプトとした2018年度活動計画及び予算が承認された。また、新メンバーを歓迎した。

UNI本部からフィリップ・ジェニングスUNI書記長、UNI Aproからクリストファー・ウン地域書記長が来賓として出席した。今年6月にリバプールで開催される第5回UNI世界大会で退任予定のジェニングスUNI書記長は、他の友誼組織からの参加者も含めた約130人を前に、「労働の未来を私たちの手に」と題して講演を行った。松浦議長が司会を務め、釘本UNI Apro青年委員会副議長(日放労中央執行委員)、杉山UNI Apro女性委員(全印刷企画部長)がインタビューする形で進められた。ジェニングスUNI書記長は、UNI世界大会の舞台となる英国・リバプールの街と世界大会の概要、英国の労働運動が直面する課題、UNIの『労働の未来』の取組み等について熱く語った。

リバプールは、英国の北西部に位置し、綿や機械製品輸出の拠点であり、新大陸への移民を乗せた船が出発し、アフリカからの奴隷貿易の中継港として発展してきた世界遺産にも登録されている歴史的な都市。世界大会は港近くのコンベンションセンターで開催され、大会テーマ「Making It Happen!(実現しよう)」の下、組織化、労働の未来、平和等について議論が行われる。また、ネルソン・マンデラ生誕100周年、女性参政権獲得100周年、英国ナショナルセンターTUC設立150周年等を祝い、コービン労働党党首やノーベル平和賞を受賞したICAN代表等、多彩な来賓を迎える予定である。

英国の労働運動は18世紀の産業革命がきっかけで発展し、今年はTUC設立150周年にあたる。TUCが強さを誇るのは公共部門で、民間部門は20%の組織率に留まり、労働協約で守られている労働者は30%に過ぎない。こうした状況を打破するため英国の労働組合は組織化に力を入れ、公共部門では17万人、民間部門では、一般労働者10万人、運輸労働者12万人、小売店労働者8万人の組織化に成功している。現在、英国はEU離脱がもたらす経済の影響や、ゼロ時間契約(オンコール労働)、格差拡大などの課題に直面している。

「労働の未来」は非常に重要な問題であるが、そもそも国際社会において「労働」を政治的な議論の場の中心におくこと自体が困難であり、「賃上げがなければ経済回復はない」という国際労働運動のメッセージは長年軽視されてきた。そうした中で、UNIは「労働の未来」について他に先駆けて取組みを始め、AIの倫理的活用、労働者/消費者データの保護の必要性等を訴えてきた。ジェニングスUNI書記長は退任後も2019年まで、ILOの仕事の未来世界委員会の委員として、デジタル化が進む中で労働者が「誰一人取り残されない社会」を目指していく、と抱負を述べた。

最後に、日本の加盟組合へのメッセージとして、「UNI-LCJの皆さんには今後もいっそう国際労働運動に積極的に取組み、UNI、UNI Aproにおいてリーダーシップを発揮してほしい」と、アジアおよび世界の労働運動の牽引役としての役割を期待した。また、2010年の長崎世界大会以来UNIとしても力を入れている平和の取組みの重要性にも言及し、「日本から世界へ平和のメッセージを発信し続けてほしい」と訴えた。

レセプションでは、本多厚生労働省総合政策・政策評価審議官、逢見連合会長代行、ウンUNI Apro地域書記長から連帯挨拶を受けた。また、ジェニングスUNI書記長の長年の功績に感謝し、野田UNI-LCJ副議長から記念品が贈呈された。2010年のUNI世界大会の長崎開催にあたり、地元の取りまとめ役を務めた宮崎連合長崎会長(元情報労連長崎県連絡協議会議長)は、長崎大会開催にまつわるジェニングスUNI書記長との思い出を振り返り、国際労働運動に直に触れることができた貴重な体験だったと感謝した。


2017年、UNIにおける「労働の未来」の取組み

2014年の第4回UNI世界大会以降、UNIは「労働の未来」について現状分析と課題への対応を検討してきた。2018年の第5回UNI世界大会の議題の1つとしても「労働の未来」が取り上げられる。

ここには、2017年の世界及びアジア太平洋地域における取組みと報告資料を掲載する。

UNI世界執行委員会における取組み

  • 第20回UNI世界執行委員会(2017年10月、スイス・ニヨン)における、「労働の未来へ向けた労働組合のイノベーション」背景文書
  • 動議5:労働の未来へ向けた労働組合のイノベーション
  • 労働者データのプライバシーと保護のための10大原則
  • 倫理的な人工知能のための10大原則

アジア太平洋地域組織の取組み(UNI Apro部会大会背景文書)

  1. 第5回UNI Apro ICTS部会大会   第4次産業革命における情報通信技術(ICT)産業    アジア太平洋地域の労働者にとっての展望と課題
  2. 第5回UNI Apro郵便・ロジスティクス部会大会  新たな経済における郵便事業
  3. 第2回UNI Aproメディア部会大会  デジタル時代のメディア
  4. 第5回UNI Apro金融部会大会  フィンテック革命 金融サービスの再改革
  5. UNI Apro合同部会大会 声明「経済統合と第4次産業革命の課題に取組むUNI Apro」

第6回UNI Apro東アジア労組フォーラム

第6回UNI Apro東アジア労組フォーラムが、2017年10月26~27日、台湾・台北の中華電信本社体育館で開催された。日本、韓国、台湾、香港より136人(うち女性21人、女性参加率15%)が出席し、「第4次産業革命の時代に、包括的な成長を遂げるために」というメインテーマの下、報告・議論を行なった。日本からは、12加盟組合より総勢48人(うち女性17人、女性参加率35%)が参加した。

開会式では、ホスト国・台湾のUNI加盟3労組代表、中華電信社長等から歓迎挨拶を受けた。松浦昭彦UNI-LCJ議長は、フォーラム開催の準備に尽力した台湾の3加盟組織に感謝を述べ、「政労使の対話を通じ、我々の未来は我々が創るという意気込みでデジタル化のメリットを最大化し、デメリットを最小化する取組みを始めよう」と、東アジアにおいて建設的かつ有意義な意見交換ができることを期待した。

まず各国の最近の「政治・経済・社会的課題への対応」を共有した。日本については金子晃浩UNI-LCJ副議長が、先の衆議院議員選挙の結果を報告すると共に、労働力が不足する中、日本経済の持続可能性を高めるためには生産性の向上が喫緊の課題であり、政府の「働き方改革実現計画」の下、労働組合としても長時間労働の是正や多様な働き方への意識改革を推進していること等を説明した。韓国、台湾、香港からも、急激な少子高齢化、労働人口の減少、長時間労働、非正規労働の増加、男女間格差、若年労働者の失業問題等、類似の課題が挙げられた。韓国からは、労働組合や市民による「ろうそく革命」によって10年近く続いた保守政権を打倒し、革新系政権の下で労働者寄りの政策へと転換を図っていく決意が述べられた。一方、中国返還後20年が経過した香港では、団体交渉権をはじめとする労働者の基本的権利が侵害されている苦境が報告され、連帯支援が要請された。

「デジタル化の、雇用と仕事への影響:企業、産業、国レベルでの対応」のセッションでは、リウ・シーハオ銘伝大学教授が基調講演を行った。特にクラウドワークの増加により、多くの企業は新規採用の必要性がなくなり、雇用・労働形態の変化により、従来の労使関係の対象外の労働者が増加する。また、プライバシーの保護も課題であり、インターネットにアクセスすることにより個人情報が流出するリスクが高まっていると警鐘を鳴らした。梅原貴司全印刷委員長は、デジタル化による、日本の労働者や労働法制への影響について分析し、テレワークの普及等により、勤務時間や勤務場所の自由度が高まる反面、長時間労働が懸念される点や、複数企業に所属する場合の雇用・労使関係に課題を提起した。渡辺由美子JP労組書記次長は、支払審査業務やコールセンター業務へのAI(ワトソン)導入事例、作業負担軽減のためのロボットスーツ導入事例について紹介した。技術の進化により、労働力不足や労働時間短縮等、組合員が働きやすい環境づくりに役立つと期待するものの、働き方や労働力の在り方、価値観も大きな影響を受けることから、柔軟な対応が必要だと述べた。

韓国の、キム・ヨンスKPWU労使交渉部長は、無人郵便局等のAI導入事例や物流網の改変に伴う人員削減への反対、韓国政府による第4次産業革命への対応策について報告した。コン・クワンキュKFIU副委員長は、金融部門におけるフィンテックの拡大等、急激なデジタル化への移行状況と金融労働者の雇用危機、労働組合の対応について、シティ銀行の店舗閉鎖問題を例に報告した。台湾のハミルトン・チェンTPTSEU執行委員は、公共放送部門のデジタル化に関する投資及び労働者教育が不十分であることを懸念した。香港のキャロル・チャンRCCIGU委員長は、政府主導で進む小売業におけるデジタル化によって、雇用削減や返品不可能という消費者へのサービス低下等の弊害が発生していると指摘した。

「デジタル経済における組織化」と題するセッションの導入報告として、柴田謙司情報労連書記長は、日本に200万人以上存在するクラウドワーカーの現状について、2016年12月の連合による調査をもとに報告した。収入面に不満がありながらも、時間や場所を選ばず働ける点に魅力を感じている労働者が多いが、半数近くがトラブルを経験している。今後求められる対応として、政府による更なる実態把握と法整備、個人加盟ユニオンの設置、SNS等インターネットを活用した組織化等を提言した。中村正敏日放労委員長は、デジタル経済における新しい組織化について、産業、会社、個人の各レベルにおける持続可能性の視点から、ディーセントワークに基づく労働の概念の問い直しが求められていると提起した。

カン・ヨンベ韓国KHMU教育宣伝部長は、「高齢化が進み介護人材が不足する中、組合員拡大の機運は高まっており、組織拡大に注力している。SNS等を通じたデジタル化時代に対応した組織化が課題だ」と報告した。リン・シューフェン台湾CTWU執行委員は、中華電信の子会社「宏華会社」へのアウトソーシングによって雇用危機に直面したものの、会社との協議により解決した経験を挙げ、デジタル経済においても労働者の権利擁護と代弁という組合の基本理念と存在意義は変わらない、と地道な活動の重要性を訴えた。

「労働の未来未来に向けて労働者はいかに備えるべきか」のセッションは、ウンUNI Apro地域書記長が導入報告を行い、「デジタル化による変化や雇用代替は不可避だが、労働者がいかに包括的で公正かつ持続可能な方法で変化に対応し、長期的な雇用可能性(エンプロイアビリティー)を構築できるかが鍵だ」と強調した。安藤賢太UAゼンセン流通部門執行委員は、深刻な人手不足に直面する日本の流通産業におけるAIの活用事例として、レジの無人化や無人店舗、ロボットによる接客、気象データ分析を利用した効率的な発注等を紹介し、AI活用により産業全体を高度化させ、生産性と労働価値を向上させるためにも、産業の未来を創造できる人材育成を推進すべきだと述べた。谷知美損保労連中執は、損保産業や組合員を取り巻く環境変化や多様な価値観に対応するため、組合員自らが働き方を考え行動することが重要だとして、損保労連が推進する「めざす働き方」の実現に向けた取組みを紹介した。

ピーター・チョイUNI Aproインターン(仁川大学)は、技術革新による失業が一定程度発生することは避けられず、社会全体の問題として解決するための一つの方策として、ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)の可能性を提起した。UBIは、政府が収入・仕事の有無に関わらず基本所得を無条件に全ての市民に支給する制度で、年金や生活保護等、既存の社会保障制度に比べ透明性が高く、行政の負担軽減、貧困削減効果といったメリットがある一方、働く意欲の喪失やインフレを引き起こす懸念といったデメリットも指摘されている。世界では試験的な導入も始まっており、格差が拡大し非正規労働者が増加する中で、一選択肢として検討の価値があるのではないかと提言した。続く質疑応答では、韓国の政権交代による今後の労働政策面での期待感や、日本の正規・非正規労働の格差、UBIの課題等について質問やコメントが出された。

閉会式では、フォーラム参加者は満場一致で共同宣言を採択した。第7回フォーラムは2018年に日本で開催する予定で、労組だけでなく社会パートナーを招待することが確認された。合わせて、韓国メディア労組/KBS労組及びMBC労組への連帯、香港の団体交渉法復活闘争への連帯を表明する声明を採択した。


デジタル植民地化に対抗する解決策を議論

2017年10月9日、UNI本部において、昨年に続き「労働の未来」に関する組合幹部サミットが開催され、100人を超える加盟組織役員、専門家、研究者らが出席し、デジタル化の課題と解決策について議論した。

デジタル化の懸念―格差の拡大、デジタル植民地化

デジタル時代の格差の拡大を防ぐことは、今回のサミットにおいても繰り返し強調された点である。IEEEスタンダード・アソシエーション(IEEE-SA)のコンスタンチノス・カラチャリオス氏は、「デジタル化は1970年代に始まったが、国内においても国境を越えても、社会的公平性は改善されるどころか、格差は人類史上かつてないほどに高まっている」との分析を示した。富と力はごく一部の人に集中しており、統計を見れば、デジタル時代の始まりから、生産性向上と典型的な労働者の報酬と乖離が明らかだと述べた。

人権とテクノロジーを専門とするレナータ・アヴィラ・ピント弁護士は、「デジタル植民地主義」の高まりに警鐘を鳴らした。豊かな国の一握りのデジタル企業がそれ以外のデジタルの運命をコントロールすることである。「インターネットにつながれることによって民主主義につながると思っていたが、知らず知らずのうちにデジタル植民地に足を踏み入れていた。我々の情報が無意識に流通することで、これらの企業に力が蓄積されている。」

解決策は?

ルーヴェン・カトリック大学で労働法を専門とするヴァレリオ・デステファノ教授は、プラットホーム労働者が直面する問題の解決策を説明した。「誤解があるようだが、実は多くのプラットホーム労働者の生計はギグエコノミー(単発の仕事)にかかっている。単発の仕事では副収入どころか、必要最低限の収入にしかならない。これは仕事として規制されるべきである」と述べた。「結社の自由と団体交渉は人権であり、私の知る限り、自営業者も人間だ。つまり、だれもが組合に加入し、団体交渉に参加する資格がある。差別を受けないことも人権であり、それは全ての労働者について言える。しかし、労働者を評価するためにアルゴリズムや格付けを使う時、これらの格付けは偏見や先入観を反映する可能性がある。この点に注意する必要がある」と指摘した。格付けについて、デステファノ教授は、プラットホーム労働者の雇用条件に関して、彼らに、もっと力を与えるかもしれない改革を提案した。それは、たいてい何年もかけて構築される格付けを自らコントロールできるようにすることである。格付けは労働者をひとつのプラットホームに固定してしまうが、格付けは移動可能であるべきだ、と主張した。「プラットホーム経済において、格付けは労働者にとって最大の資本である。労働者が別のプラットホームに移動した場合、それまで蓄積した良い格付けを持ち運べるようにするべきだ。」

全米脚本家ギルド東地区のローエル・ピーターソン氏は、「デジタルプラットホームにおける根本的な課題は、分断された職場でいかに力を構築するか」だと語った。分断を克服するため、同ギルドは、組合員にとっての専門的かつ創造的なコミュニティであると位置づけた。ソーシャルメディア上でギルドへの関与を確立することと合わせ、オフライン会議も重要であると述べた。この手法により、全米脚本家ギルドはこの数年で25%を超える成長を遂げた。更に、全米脚本家ギルドの教訓から、短期契約が当たり前のこの業界以外も学ぶことができる。臨時労働により依存する業界においては、幅広い組織化キャンペーンを企画し、複数の使用者を同時に組織する必要がある。組織率が鍵となる。

UNI本部でプラットホーム、派遣、デジタル化、貿易等を担当するクリスティーナ・コルクロフ部長は、「将来、世界のGDPの15~20%がデータ関連によるものとなるだろう。使用者は労働者の詳細データをモニターし、追跡することができ、搾取につながる懸念がある。個人データを評価に用い、雇用や解雇に利用することもできる。デジタル化された職場において労働者及び組合の権利を守るため、データの扱いが新たな開拓すべき分野になる」と力説した。

レナータ・アヴィラ・ピント弁護士は、「組合は労働者を守るだけでなく、いかに労働者がデータを活用できるかを考えるべきだ。我々のデータが企業の利益のために使われるのではなく、我々のために使われるよう、我々は協力して抵抗と独創性の場をつくることができるだろう」と述べた。

国際電気通信連合(ITU)の「デジタルインクルージョン(デジタル技術が「空気」や「水」のように受け入れられ、経済社会全体を包摂し、暮らしの豊かさや、人と人とのつながりを実感できる社会)」プログラムを担当する上級役員、ロクサナ・ウィドマー氏は、技術が男女格差を縮める可能性について話し、「情報通信技術(ICT)は、人々の能力の格差を縮め、人々に力をつけさせる強力なツールになり得る。ひいては包摂社会の創造につながる」と述べた。

しかし、政策や解決策を実行に移すことは容易ではない。カーディフ大学のヘレン・ブラケリー教授は、「今我々が行なう選択次第で将来は変わってくる。将来の社会は、政治権力闘争によって左右されるだろう。組合は、組合員を擁護するため、これらの対話の最前線に立つべきだ」と述べた。

フィリップ・ジェニングスUNI書記長は、我々のデータ及びデジタル化のプロセスに、より主導権を取る重要性を訴え、サミットのまとめとして、「我々は、自分たちの組織のことだけ話しているわけではない。我々の生活、そしてコミュニティの将来がかかっているのだ」と強調した。


UNIインド加盟協/UNI-LCJ共同セミナー

2015〜2018年度UNI-LCJ海外活動の方向性に沿って、3年目となるUNIインド加盟協(UNI-ILC)との共同セミナーが、インドのUNI組織化センター(UNI-DOC)の所在地ハイデラバードで開催された。UNI-LCJからは、宮井UNI-LCJ副議長(損保労連委員長、UNI Apro金融部会議長)を団長に、才木情報労連/KDDI労組副委員長、柴田UAゼンセン短時間組合員総合局副部長、岡田自動車総連政治局部長が講師として参加した。UNI-ILCからは、ミリンドUNI-ILC議長をはじめ加盟組織役員、銀行・保険労組、郵便労組、商業労組、IT労連(NCU)・ITを専攻する学生等総勢40人が参加した。

宮井UNI-LCJ副議長は、グローバルな政治・経済課題やデジタル化に対応するには、労働組合もグローバルに結束して情報・経験交換し、世界中の労働者の明るい未来のために英知を出し合うことが重要だと挨拶した。

UNI-DOCは、長年インドのIT労働者の組織化に取組んできた。IT業界の使用者は反労組的であり、IT労働者は組合に加入すれば解雇されると思っているため、組合結成は非常に難しかった。そのような中、ハイデラバード、バンガロール、ムンバイ等が存在する5州でIT労組を組織し、2013年に全国レベルのNCU(全国IT労連)を結成するに至った。今回初めて、商業労組、全国IT労連から多くの若手・女性組合員が参加した。プラサドUNI-DOC所長は、両国のIT労働者の現状と課題について活発な情報交換ができることを期待した。

開会式に続いて、ジャワハルワール・ネルー技術大学(ハイデラバード・エンジニアリング学部)のゴバルダン学長から「インドのIT産業における労働環境」について基調講演を受けた。欧米に比べIT人材の人件費が安いため、インドではIT関連の仕事が急成長し、若年層に雇用の機会を提供し、インド経済に大きく貢献してきた。しかし高給だが、ピラミッド型の労働力構成で、年齢を重ねるほどポジションが少なくなり、突然解雇通知をつきつけられることが多い。IT産業に就職する若者は、そのような将来を予測しておらず、60歳まで同じ仕事ができると思っていた。技術の進化によって、新しい機会が創出され、機械化・自動化により、人間の作業が楽になる反面、新しい技術を常に学び続け、マルチスキルでなければ、失職するプレッシャーもある。50歳になれば20代の若者と同じように学ぶことはできないが、経験を活かした別の機会もあるだろう。どのようなキャリアパスがあり、そのために何をすべきか予測ができれば、適切な対応も可能だ。ゴバルダン学長は、将来を予測する必要性とビジョンの重要性を強調し、2日間のセミナーでの議論が労働組合の政策提言に活かされることを期待すると共に、政府の諸機関でデジタル化が推進され、様々な公的サービスもオンライン化されているが、インフラとそれを使いこなす人材の研修が不十分である点も指摘した。

日本からは、宮井団長が「日本の労働運動の概要と今日的課題」、柴田講師が「職場や社会における格差の是正のために労働組合ができること」、才木講師が「デジタル化時代におけるデジタル化ツールを活用した組織化」、岡田講師が「日本のパートナーシップ労使関係」、小川UNI-LCJ事務局長が「UNIの紹介、労働組合の国際連帯・国際協力」についてそれぞれ講演した。また、講演を受けて、インド人参加者は産業別にグループ討論を行い、発表した。

今回は参加者構成が、既存の確立された国営企業労組(銀行、生保、郵便等)と、新たに結成された民間のITや流通部門の労組に分かれており、固有の課題をそれぞれ共有し、新たな視点から議論を行うことができた。例えば、「既存の労働法が適用されないIT産業で働く契約労働者や派遣労働者こそ組合に入るべき」であり、「彼らに組合に関する正しい情報を伝え、組合のブランディング(知名度向上)やマーケティング(勧誘)をするには、SNSのようなデジタルツールの活用は効果がある」という意見もあれば、「デジタルツールはあくまでも補完的なもので、対面する会議や紙のニュースは必要だ」という意見もあった。また、政府は、諸機関や国営企業でデジタル化を推進しているが、そのためにマルチタスクを要求されること、新しいソフトや導入されたシステムの使い方を習得しなければならないこと、そのための職員への訓練が不足していること、デジタル技術の習熟度に世代間で差があること、デジタル化のインフラが未整備であること、システムエラー等により労働時間が長時間化すること等の課題が挙げられた。

2日間という短い時間ではあったが、組合の歴史の異なる部門の青年男女が、組合の意義、身近な課題の認識から、日本のパートナーシップ労使関係に基づく労働組合運動、UNIを通じた組合のグローバルな連帯の必要性、デジタル化等、若い世代の雇用・労働に影響する課題等について、若い世代の視点から幅広く意見を交換し、「組合は保険ではなく投資だ」、「職場に変化を起こしたいなら、自分自身がまず変わらなければ」、「組合にどのような改革が必要かを、組合の中で議論にしなければ」といった前向きな議論が展開された。

宮井団長は最後に、「労働組合の役割は、現場から綺麗な情報だけ経営陣に伝えるのではなく、事実を伝えることだ」、「企業の発展無くして労働者の明るい未来はない」と、パートナーシップに基づく労使関係の意義を強調した。ミリンドUNI-ILC議長からは、UNI-LCJ講師陣の有益な情報提供に感謝が述べられた他、来年のセミナーをデリーで開催する提案を受けた。


UNI-LCJ「労働の未来」フォーラム

2017年8月1日、UNI-LCJは「労働の未来」フォーラムを開催し、UNI-LCJ加盟組織から役員をはじめ、連合、JILAF、GUF等80人を超える労働組合関係者が出席した。UNI本部から、デジタル化及び貿易協定等の部会横断的課題を担当するクリスティーナ・コルクロフ担当部長が来日し、人工知能(AI)、ビッグデータ、ロボット化等によって、いかに仕事や求められるスキル、働き方が変わるかを中心に講演を行なった。コルクロフ部長は、データ保護の重要性を強調し、なぜUNIが従業員のデータに関する使用者のガバナンスを定める国際基準づくりについて、IEEEと協力し始めたかを説明した。

「多くの企業が従業員から引き出したデータを使い、モニターし、蓄積している。個人が識別できる情報だ。業務の流れやパターンをモニターすることによって得られるデータもある。世界のどこでも、従業員は自分達に関するデータへのアクセス権がない。会社を辞める場合に個人データの消去を依頼することもできない。これは変えなければならない。IEEEと協力し、望ましい職場におけるデータのガバナンスに関する、世界中で適用可能な基準づくりができれば、と期待している。」

コルクロフ部長は、日本で非正規労働者が4割に達していることに驚愕し、世界中で同じように非正規雇用が拡大しているが、我々は一丸となって現行の社会保障システムの改変を要求していくべきだと述べた。

「多くの労働者が、ただ自営業であるということだけで、或いは標準的でない働き方をせざるを得ないというだけで、社会保障システムの対象から部分的に、或いは完全に外れている。これも我々は変えていかねばならない。全ての労働者が、雇用形態に関わらず、しっかりした同じ社会的・基本的権利を持たなければならない。デジタル経済の進展によって、労働市場の門戸がまさにグローバルに開かれ、未来の労働が更に流動的で柔軟になる中、社会保障制度を改革し、現状に合わせなければ、破壊的な結果をもたらすだろう。それは容認できない。」

コルクロフ部長のプレゼン資料

コルクロフ部長の講演に続き、経済産業省産業人材政策室の伊藤参事官から、「第4次産業革命と『働き方改革』をめぐる動向」について講演を受けた。デジタル化時代に向けて、日本政府は多くの取組みを行なっている。とりわけ伊藤参事官は、正規社員の労働時間短縮の必要性を強調した。一方で、収入が不安定で断片的な仕事に就く非正規労働者も増えていることは矛盾しているように見える。

日本における急速な人口減少が、日本企業や労働者が職場におけるロボットやAIの導入に前向きな理由の1つである。しかし、多くの中小企業が直面する課題は山積しており、伊藤参事官は良き解決策を見出すために、労使の建設的な協力が不可欠だと述べた。デジタル化が労働者に及ぼす影響についての政府の取組みはこれからである。

これらの講演を受けて、フロアからは多くの意見や質問が出た。将来の社会契約はどのようなものであるべきか?という質問に、コルクロフ部長は「全ての労働者が社会的・基本的権利によって守られるようにしなければならない。自営業であろうと、雇用形態に関わらず、全ての労働者に訓練の権利と機会が与えられるよう要求すべきだ。労働者の要求が尊重されるには、労使関係においてパワーバランスが図られなければならない。そのためには組織化、組織化、組織化だ!」と繰り返した。

伊藤参事官には、TiSA(新サービス貿易協定)への日本政府の立場についての質問が出された。UNIの最近の報告書は、TiSAが及ぼす労働者及び労働条件への影響だけでなく、データ保護やデータの権利に対する負の影響について警鐘を鳴らしている。なぜ日本政府は、WTOをはじめ様々な貿易交渉において、データの自由な流通に異議を唱えないかについては明確な答弁はなかった。

「労働の未来」はUNIの重点課題の1つである。UNIは世界のサービス産業で働く仲間の声を代弁しており、常に新たな分野に踏み出してきた。ビッグ6と言われる世界の大手テクノロジー企業との新たな展開があるかもしれないので、UNIの「労働の未来」ウェブサイトにご注目を!


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