6月 2017のお知らせ

Eコマースとデジタル化:国際労働運動にとって新たな領域

Eコマースの成長と流通産業のデジタル化によって、国際労働運動において新たな連帯の機会が生まれている。UNI世界商業部会大会での議論は、我々がいかに働き、いかに買い物をするか、変化に対する組合の対応に集中した。

ピータールー・リサーチ社のハーベイ・マッケオン研究員は、デジタル化の現状について、大手オンライン企業だけが時価総額と雇用の両面で更に大きくなる一方で、伝統的な実店舗は多くの市場で縮小していると説明した。マッケオン氏によれば、アマゾンのような流通企業で見られる労働力の拡大は、会社に直接雇用される労働者と、労働者の権利に関しては法的にグレーゾーンで運営されている巨大な下請けネットワークで働く労働者から成り立っているという。同氏は調査結果として、Eコマース労働者の保護政策と、この分野での組織率の拡大の必要性を指摘した。

続いて、大会代議員は各国の取組み事例を共有した。オーストラリアSDAのネバート代議員は、同国のギグエコノミー(単発の請負労働者が多い経済)における組織化の成功を報告し、この分野では創造性が不可欠だと述べた。「革新的な部門の組織化には革新的な方法が必要だ。」

スウェーデンのユニオネンのヘルバーグ代議員は、組合がそのプロセスに積極的に関与すれば、Eコマースによって質の高い雇用が創出される可能性があると述べた。生涯学習を強調することで、ユニオネンは商業部門のスキルレベルを上げる原動力になっている。「より高いスキルがあれば、高い賃金の良い仕事につくる可能性も高くなる。」

スウェーデンの商業労組、パルメゾファー代議員は、大きな成果をあげているEコマース組織化の3か年プロジェクトについて報告した。最初の1年だけで、組合員数と協約数共に、大幅に伸びたという。

チリの商業労組、サガルディア代議員は、同国で2012年以来165%の成長を見せた、通販の急速な拡大に懸念を示した。

アルゼンチンの商業労組、ロベラ代議員は、持続可能な職場に向けて新しい文化をつくるべきだと述べ、政治的動員も必要だと力説した。「どこで働いているかにかかわらず、デジタル労働者と彼らの権利を擁護する法律が必要だ。組合には、より包括的なグローバル協定が必要だ。そのためには政治活動も継続しなければならない。」


労働の未来には公正な移行が必要

ドイツ連邦労働社会省のトーベン・アルブレヒト事務次官は、ドイツ・ベルリンで開催されたUNI世界商業部会大会に特別ゲストとして出席し、労働の未来における公正な移行について基調講演を行なった。アルブレヒト事務次官は大会代議員に問いかけた。「問題は、我々が将来どのような働き方をしたいのか、である。」それがドイツにおいて「労働4.0」が投げかけた問題である。

「労働者のニーズや価値が優先されなければならない。つまり、ディーセントで質が高く、賃金も高い仕事という意味だ。労働の未来は、人間が中心でなければならない。デジタルツールは使うが、現場の人間を監視するアルゴリズムに従属するのではない。」

「デジタルな職場を形作るのは人間でなければならない。悲観することはないが、油断せず、議論と交渉を通じて、意見の相違があってもそれを克服することで、デジタルな職場を作っていかなければならない。」

アルブレヒト事務次官は、デジタル革命によって「中間クラス」の雇用が空洞化する危険性を警告した。従って、労働者にはスキルアップや再訓練が必要になるだろう。特に低賃金労働者のスキルアップが重要である。職場で求められるスキルに投資するのは会社の責任であり、全ての労働者がスキルアップに参加できるよう、労使協議会に資源と専門性を持たせることが重要だと述べた。

更に、従来の仕事から新しい仕事への公正な移行を実現することが不可欠であり、そのためには例えば、国が失業手当を支給するより、失業する前に労働者が再訓練を受けられるよう投資することを提案した。

また、アルブレヒト事務次官は、見せかけの自営業者対策を最優先するとも明言した。「小さなコンピュータ会社を設立した起業家と、権利も年金も無いタクシー運転手は大きく違う。ドイツにはウーバーのビジネスモデルを防止する法律がある。同じ様に、デジタル・プラットフォームは使用者としての責任をクラウド労働者に負う。ドイツには、家で働く裁縫師の権利擁護を目的とする在宅労働法がある。同様の法律がクラウド労働者に適用できない理由はない。」

アルブレヒト事務次官は、多くの答えは、従来の解決策である、団体交渉、交渉の自由、組織化の自由にかかっていると述べた。「ドイツではこれらの権利は法律に書かれているが、効果的な労使協議会がない場合には、濫用されることもある。この点では、なすべきことは多い。」

最後に、本社がシリコンバレーのように他の国にあるとしても、プラットフォームがある国で事業を行うのであれば、その国の法律が適用されるべきである、とアルブレヒト事務次官は述べた。同様に、国境を超えて収入が生み出されているにも関わらず、租税回避ができるような税の抜け穴を暴く方法も見つけなければならない。


JP労組全国大会、国際活動を含む運動方針を採択

UNI加盟組織のJP労組は2017年6月14~16日、広島市で第10回全国大会を開催し、代議員、オブザーバー、来賓など約1,500人が出席した。

UNIは、大会来場者向けにチラシを配布するとともに、会場ロビーに設置されたUNIデスクでUNI及びセミナー等の活動を紹介する写真を展示した。また、UNIに関するクイズを行い、UNIへの理解及び浸透をはかった。

大会では、今後の国際活動の展開を含むJP労組2017年度運動方針が採択された。また増田光儀中央執行委員長をはじめ、新執行部が選出された。


UNI-LCJ印刷部会、アジアの印刷・パッケージング部門の組織化に貢献

2017年6月15~16日、スウェーデンのストックホルムで、UNI世界印刷・パッケージング部会執行委員会が開催され、20カ国30人が参加した。日本からは、UNI Apro印刷部会委員会副議長を務める梅原貴司全印刷中央執行委員長と森川容子UNI-LCJ事務局次長が出席した。

スペインFSC-CCOO出身のホアキナ・ロドリゲス新議長による議事進行の下、各国報告、活動報告、活動計画、財政報告が承認された。

各国共通の問題として、政治右傾化が進んでおり労働者の権利が侵害されていること、デジタル化に対応するための労働者教育や新しい組織化手法が必要であること等の意見が目立った。アムコール、キンバリークラーク、スマートフィットカッパなど主要な多国籍企業の対策、インダストリオールとの連携のあり方なども課題として共有された。3年目となるポーランド組織化プロジェクトが着実に前進していること、印刷・パッケージング部会の加盟人員減少が底を打ち、僅かながらも増加に転じていることは良い成果として報告された。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro印刷・パッケージング部会担当部長はアジア太平洋地域での活動の成果として、インドのセキュリティ印刷労組の組織化とネットワーキングに対する全印刷の貢献に感謝した。アンディ・スノッディUNI SCORE担当局長は、「アジアにおける労働組合成長のポテンシャルは非常に高い」と述べ、今後も組織化に力を入れる意欲を示した。委員会は、UNI Apro地域におけるセキュリティ印刷に関する調査を実施することを承認した。

梅原全印刷中央執行委員長は、UNI-LCJ印刷部会として取り組んだ組織化活動の成果について報告し、退任したトミー・アンダーソン前議長らの協力に感謝した。また、9月に福島で開催されるUNI Apro印刷・パッケージング部会大会の準備状況についても報告した。

 


日本の商業部会加盟組織、大会議論に貢献

2017年6月13〜15日、ドイツ・ベルリンでUNI世界商業部会大会が開催され、UAゼンセン、自動車総連から12人が出席した。

ボルトンUNI世界商業部会担当局長の活動報告を受け、UAゼンセンの久保田代議員は、サービスを提供する側と受ける側が共に尊重される社会をつくるため、「悪質クレーム撲滅対策」について共有し、4年後の大会で取組み成果が報告できるよう推進していくことを約束した。

自動車総連の三枚堂代議員は、資格審査委員長を務め、大会で報告した。大会には、39カ国56組織から総勢220人が出席し、女性95人(43.18%)、男性125人(56.82%)であった。UNIが推進する40%代表性の目標が達成された。

バングラデシュ・アコード(安全協定)の取組み経緯と成果について、アコード事務局長、アコードに署名したブランド企業としてインディテックス及びLCワイキキの代表、クリーン・クローズ・キャンペーン代表らによる円卓討論を受け、「流通サプライチェーンに組合の力を構築する」ための行動計画案を自動車総連の小川代議員が紹介し、参加者に積極的な議論を要請した。UAゼンセンの山田代議員は、UNIとインダストリオールが主導するアコードの取組みを評価し、取組みの継続を支持すると共に、アコード改定の際、結社の自由の遵守を明記することと、他のGUFとの連携構築を訴えた。

 


グローバル枠組み協定を活用して組織化を

UNI世界商業部会大会において、「世界の商業部門に組合の力を構築する」ための行動計画として、グローバル枠組み協定(GFA)を活用した組織化の好事例が共有された。

冒頭、UNI(商業部会)がGFAを結んだ8社の組合役員・組合員へのインタビュービデオが上映された。日本の企業として初めて締結した、髙島屋労組の澁谷委員長は、「協定は会社との関係の中で組合の立場や存在価値を高めると共に、結果的に企業の生産性向上、労働者の地位向上、企業の地位向上にも繋がる」とGFAの意義を強調した。また昨年、イオンが事業を行う各国の労組リーダーや従業員代表を招いて初のイオングループユニオン・グローバルネットワークコミッティを開催した、イオングループ労連の高橋会長は、「岡田CEOも出席し、イオンの健全かつ協調的労使関係をアジア各国に広げること、会社が団結権や従業員との対話の必要性を認めていることをアジア各国に伝えることができ、各国の従業員は非常に喜んでいる」と成果を強調した。八野UAゼンセン副会長は、「UAゼンセン、髙島屋労組、イオングループ労連はGFAの取組みについて、他の組合や企業が理解を深めるための活動を積極的に行なっている」と紹介した。

続いて、永島イオングループ労連副会長がGFA締結の意義とその後の取組みについて報告した。グループ各社労使で、周知、履行、検証の3つの切り口から1年サイクルで取組みを進めていること、イオングループ労連がカンボジア、インドネシア、マレーシア等、海外で働く仲間と連帯し、労組として雇用の確保と労働条件の維持改善に努める活動を紹介した。

この他、H&MとのGFAをてこに、ニューヨークの労働者の組織化に成功した事例や、カルフールとのGFAによって、同社がルーマニアで買収したビラ店舗とルーマニアのカルフール店舗で4,000人を超える労働者の組織化に繋がったことが報告された。

大会代議員は、GFAの内容及びメカニズムの強化、商業多国籍企業との締結・実施に向けた取組み強化、企業別グローバル労組同盟に加え業態別労組同盟の構築を検討すること等によって、「世界の商業部門に組合の力を構築する」ための行動計画を採択した。


UNI商業部会、前進!

2017年6月13日、ドイツ・ベルリンで、UNI世界商業部会大会が開幕した。日本からは、UAゼンセン及び自動車総連が参加している。

ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「UNI商業部会には経験豊富な加盟組織と、献身的な組合役員・活動家が多い。商業部門の労働の未来に関して、様々な課題に直面する中、直ちにアクションを起こす必要があると認識している」と述べ、大会での経験共有と戦略的議論を期待した。

提案されている2017〜2021年度UNI商業部会行動計画案は、以下の4つの柱から構成される。

  1. 世界の商業部門に組合の力を構築する
  2. インクルーディング・ユー!
  3. Eコマース、デジタル化、労働の未来
  4. 流通サプライチェーンにおける組合の力の構築

パネルディスカッション、来賓による講演、フロアからの発言等を通じて、成果や教訓を共有し、行動計画案の目的や原則について議論した上で採択することとなっている。


UNI世界商業部会委員会、アッペルバウム氏を議長に指名

2017年6月12日、ドイツ・ベルリンにおいて、13日からの同部会大会に備え、UNI世界商業部会委員会が開催された。UNI Aproからは、八野UNI世界商業部会副議(UAゼンセン)、郡司UNI世界商業部会委員(自動車総連)、スラシUNI世界商業部会委員、オブザーバー、チャンUNI Apro商業部会担当部長らが出席した。

アッペルバウム議長代行(米国UFCW/RWDSU)は、冒頭、ホスト国ドイツの加盟組織Ver.diの協力に感謝し、「前回4年前、アルゼンチン・ブエノスアイレスでの部会大会以降、世界中で大きな政治的変化やデジタル化の進展が見られ、商業部門の労働者に大きなインパクトを及ぼしている。今次部会大会では提案されている行動計画案毎に戦略的な議論をし、過去の成果と教訓を踏まえ、急激に変化する環境に先手を打てるよう、各地域や国における経験を共有し、グローバルな連帯を強化していきたい」と述べた。

ボルトンUNI世界商業部会担当局長から、自身を含め、本部及び各地域組織の担当スタッフの紹介があり、続いて、大会プログラム、行動計画案についての説明があった。

大会プログラムについては、主に以下の点を確認した。

・一部議題の順番の変更、ゲストスピーカーの変更・最新情報

・資格審査委員、決議委員の指名(自動車総連の三枚堂代議員が資格審査委員に指名された)

・行動計画案の提案(自動車総連の小川代議員が行動計画4を提案することを確認した)

行動計画案についての意見が出され、決議委員会に文言の修正が委ねられた。

次期世界商業部会議長については、八野副議長より、アッペルバウム氏のこれまでの功績を踏まえ、直面する課題に対応する上で更なるリーダーシップの発揮を期待し、同氏への支持が表明された。各地域の委員からも支持が表明され、委員会は満場一致でアッペルバウム氏を議長に指名することを確認した。アッペルバウム議長代行は委員からの支持に感謝した。

 


UNI世界ICTS部会委員会、専門職、コンタクトセンター、IT労働者の組織化を強化

2017年6月6日、UNI世界ICTS部会委員会が、クロアチア・ザグレブで開催され、各地域から30人の世界ICTS部会委員が参加した。カー世界議長(英国)は、昨年退任したテイト前局長の功績に感謝し、後任のベシガー新局長率いる新ICTS部会チームの積極的な取組みを称えた。

野田UNI Apro ICTS部会議長は、本年8月末にマレーシア・クアラルンプールで開催予定の、UNI Apro ICTS部会大会の準備状況を報告し、大会テーマの「IT労働者の組織化」、「第4次産業革命時代のICTS産業」、「新たな労働の世界への対応」等の課題について説明した。また、バングラディシュのグラミンフォンやバングラリンクにおける深刻な労働組合権侵害の実態に対処するため、「親会社の労組やUNI本部と連携して状況改善を図っていきたい」と述べ、一丸となった対応の必要性を訴えた。

年間活動計画については、①専門職・監督職の課題を扱うUNI専門職・監督職委員会(UNI P&M)との連携推進、②戦略的なコンタクトセンター組織化、特に世界最大のコンタクトセンターを有するフィリピンにおける取組み強化、③IT労働者の組織化について確認した。また、2019年に開催されるUNI世界ICTS部会大会の開催地については、アフリカ地域での実施を検討する。

引き続き、6月7~9日、UNI欧州ICTS部会大会が開催され、欧州の加盟組織から約200人が参加した。「スマートな世界における賢い労働組合」のテーマの下、「新たな労働の世界における組織化」、「AIとロボット工学-倫理的課題」、「ICT部門のアウトソーシング」等の課題について事例報告と議論が行われた。最後に、①多国籍企業との交渉力強化、②新たな労働の世界における公平性と正義の追及、③社会対話の推進を中心とした4年間の行動計画を採択し、閉会した。


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