8月 2015のお知らせ

UNI-LCJ幹部、オーストラリアの組合との関係強化

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2015~2018年度UNI-LCJ海外活動の方向性において、新たな試みとして、オセアニアの労働組合との関係強化を掲げた。これまで途上国労組の支援が中心であったが、UNI Aproの労働運動を牽引する両国の組合リーダー間の友好・協力関係の構築・強化をもって、更なるUNI運動の発展を進めていくことが目的である。

オーストラリアには現在9つの組合がUNIに加盟している。UNIが各国に結成を推奨するUNI加盟組合協議会は存在しないが、2000年のUNI結成以来、オーストラリア最大労組の1つ商業労組(SDA)のデブリュン氏が同国の加盟組合をまとめてきた。同氏は長年に渡りSDA書記長を務め、2000~2014年にはUNI会長も務めたが、昨年SDA書記長並びにUNI会長職を退任し、現在はSDA会長を務めている。後任のドワイヤーSDA書記長は、デブリュン氏が担っていた要職を引き継いでおり、UNI Aproでは会長代行を務めている。

UNI-LCJ代表団メンバー

団長:小俣利通UNI-LCJ議長(UNI Apro郵便・ロジスティクス部会議長)

逢見直人UNI-LCJ副議長(UNI Apro地域会長)

田原將一UNI-LCJ副議長(UNI Apro金融部会議長)

郡司典好UNI-LCJ副議長(UNI Apro商業部会副議長)

山中恵子情報労連中央執行委員(UNI Apro女性委員・予定)

事務局:小川陽子UNI-LCJ事務局長

事務局(通訳):ベイカー剛志

2015年8月18~20日、メルボルンで下記の組織を訪問した。

  • UNI加盟組合である金融労組(FSU)、ME銀行、NAB
  • UNI加盟組合である商業労組(SDA)
  • 過去加盟しており現在再加盟を働きかけているCEPU(通信・電気・配管工労組)通信部門の新書記長
  • ナショナルセンターACTU会長、副書記長

両国の当該産業の抱える課題から政治、経済状況に至るまで幅広く情報交換を行った。日本では企業別労組が産別を構成するのに対し、オーストラリアは産業別組織であり、機構上の相違はあれど、抱える課題に多くの共通点がある。また、FSUを通じて、ME銀行及びNAB(ナショナルオーストラリア銀行)を訪問し、使用者の立場から労働組合との協力について聞くことができた。NAG(ナショナルオーストラリア銀行グループ)は2006年、アジア太平洋地域で最初にUNIとグローバル協定を結んだ。締結当時かかわっていた人事部長にも会うことができた。「GFAを締結した理由は?」、「日本の経営者から国連グローバルコンパクトとの違いは何かとよく聞かれる」との問いに、「協定の内容や原則が正しいことだったので、締結に反対する理由がなかったから」と答えたのは印象的である。グローバルコンパクトは企業が一方的に宣言するものだが、UNIとのグローバル協定は締結までにUNI及び当該労組と対話のプロセスがある点が大きな違いであると述べた。

特にFSUやSDAは主要企業と建設的労使関係を構築しており、その意味ではUNI Aproが普及に努めているパートナーシップに基づく労使関係を日本と共に推進していくことができるだろう。また、UNI Aproにおける女性委員会の役員どうしの交流もできた。

更に今回の重要な任務である、CEPU新体制との面談とUNI活動への誘いかけについては、小俣団長から、オーストラリアポスト出身の通信部門新書記長に、UNIを通じた情報交換、特にUNI Apro郵便・ロジスティクス部会並びにICTS部会への参加の意義を説明、年末の地域大会や日本における様々な活動への参加を奨励した。今後のフォローが重要となるだろう。

 

写真はFlickrを参照


里山資本主義と金融サービス


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2015年8月3日、「里山資本主義と金融サービス」をテーマにUNI-LCJ金融部会主催のシンポジウムが損保労連会議室で行われた。UNI-LCJ金融部会メンバー組織に加え、UAゼンセン金融部門、全銀連合、全信労連、新生銀行従組などから合わせて42人が出席した。

開会式では、田原UNI-LCJ金融部会議長は、「里山資本主義をテーマとしたのは、現在の地域金融のすすむ方向性に疑問があることが理由。現在は、規模の論理に傾注し、統合がすすんでいるが、地域密着型経営が特徴であり、規模や拠点を増やせばよいわけではない。地域金融が自身の特徴をしっかりと考えたうえで、どう事業を展開するかが重要。そのために、労組として何をすべきかを考えることが大切」と挨拶した。ゲストスピーカーとして、中村正敏日放労委員長、マルシオ・モンザネUNI金融部会担当局長、ジャヤスリ・プリヤラルUNI Apro金融部会担当部長、小川宏全国農団労書記長の4人を迎えた。

まず、中村日放労委員長による基調講演「里山資本主義と金融サービス」では、藻谷浩介氏とNHKの番組によって知られ、反響を呼んでいる「里山資本主義」P1190904の概念が紹介された。規模の経済が当たり前となっている今日だが、マネー資本主義からの転換ないしお金だけに頼らないモデルの創造という新たな観点から、金銭換算できない価値観や幸福感、金融システムのあり方を問いなおすことも必要ではないかと指摘された。

 

 

マルシオ・モンザネUNI金融部会担当局長は、「UNIが考える協同組合と地域金融のあり方」と題する講演で、UNIの提唱する持続可能Bro. Marcioな金融産業を目指した、金融安定化理事会や規制当局へのロビー活動等の取組みを紹介し、商業銀行と投資銀行の役割の明確な分断と、商業銀行の投機活動からの保護の重要性を説いた。

 

 

 

ジャヤスリ・プリヤラルUNI Apro金融部会担当部長は、「アジアにおける地域金融の現状と課題」を紹介し、持続可能で責任ある金融産業を構築するには、金融システムに多元性や多様性を担保することが重要であり、一律な規制では特に途上国の現状に合わないとした。そして、今日的な諸問題への解決策を見出す第一歩は「ローカルに思考し、グローバルに行動することだ」と訴えた。

小川全国農団労書記長は「日本の農業金融機関の現状と課題」をテーマに、日本の農業金融機関の現状、農協・信用事業の歴史と仕組み、信用事業の存在意義、法改正が農協へもたらす影響、今後の課題などについて詳細に報告した。

最後に、櫻井大輔全労金副委員長は、「これまで金融機関は合併吸収を繰り返し、肥大化の一途を辿ってきたが、世界金融危機から落着きを取り戻しつつある今、本当に必要とされる金融機関・金融サービスとは何かを改めて考える必要があるのではないか」と問題提起し、今後もUNI-LCJ金融部会の仲間を増やし、UNIを通じて世界の動きも注視しつつ意見及び情報交換を密にしていこうとまとめた。

 

 


UNI-LCJ/モンゴル加盟協(UNI-LCM)セミナー

2015年7月27~30日、モンゴル・ウランバートルで、UNI-LCJ/モンゴル加盟協(UNI-LCM)セミナー及び関連プログラムが開催され、UNI-LCJ加盟組合より北條情報労連・NTT労組中執を団長に以下4人の講師、UNI Aproより玉井組織化キャンペーン担当部長、UNI-LCJより森川事務局次長が参加した。

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日本側参加者(団長以下は組織正式名称の50音順):

団長 情報労連 NTT労働組合中央執行委員 北條 郁子
団員 UAゼンセン 流通部門執行委員 久保田 龍輔
団員 自動車総連 組織局部長 永島 理絵
団員 JP労組 中央執行委員 清水 雅弘
事務局 UNI Apro 組織化キャンペーン担当部長 玉井 諭
事務局 UNI-LCJ 事務局次長 森川 容子

モンゴルへの支援セミナーはUNI-LCJ結成以来、継続的に開催されている唯一の海外支援活動であり、2003年のUNIモンゴル加盟協(UNI-LCM)結成、組織再編等を経て、現在では加盟組合7組織、約2100人の加盟人員数となっている。民主化・市場経済化が進み、今後は既存の加盟組合内の組織拡大だけでなく、未組織の民間企業での新規組織化が期待される。2015年1月の第16回UNI-LCJ年次総会で採択された「2015~2018年UNI-LCJ海外活動の方向性」では、現地セミナー3回(2015年、2016年、2018年)と日本への代表団招聘(2017年)が予定されており、今回のセミナーは、その初回となることから、セミナー翌日にUNI-LCM加盟組合と今後の活動について確認・共有する機会を持った。

まず、初日のセミナーには、モンゴル側は、商業、郵便、ICTS部門の6加盟組織から若手組合員、組合役員を中心に33人が参加し(女性26人、男性7人)、組織化、団体交渉、労働安全衛生のテーマで日本側、モンゴル側からの報告があり、活発な意見交換が行われた。

冒頭のオユンバヤールUNI-LCM議長、北條UNI-LCJ団長挨拶に続き、玉井UNI Apro組織化キャンペーン担当部長からUNI、UNI Apro、UNI-LCJ組織機構・活動の概要、組織化における心構え等について講演が行われた。

「組織化」のテーマでは、まず久保田UAゼンセン流通部門執行委員が具体的な組合作りの方法について説明した。ターゲットは出来る限り具体的に設定し、間接的に得た情報に頼らず実際に働いている人の声を聞いて組合結成のニーズを汲み取ることなど、豊富な経験に基づいた具体的な方法論に参加者は聞き入っていた。次に、永島自動車総連組織局部長が、組織拡大の必要性について理解を求めるなど経営側へのアプローチをベースにした取組みや定年後再雇用された非正規労働者の組織化、男女共同参画に向け女性役員の研修・教育に積極的に取り組んでいる様子を紹介した。モンゴル側からは、UNI-LCM加盟組合のモンゴルテレコム労組やペトロスター労組が加盟する産別組織である運輸・通信・石油労連のラクチャー議長がモンゴルにおける組織化の現状と課題について多くの事例を取り上げながら詳細に報告した。特に組織化を困難にしている課題は、労使双方の法的知識の不足、労働者の団結力の弱さ、組合潰しなど使用者側の圧力、有能なオルガナイザーの不足、財政基盤の弱さ等であり、現場のニーズに合った教育訓練、労働組合の声を正しく社会に伝えるメディアの確立、法的環境の整備、オルガナイザーの育成などが必要だと訴えた。

「団体交渉」のテーマでは、北條情報労連・NTT労組中執が、団体交渉と労使協議等の仕組みについて法的側面と実施の両面から紹介し、日ごろのやり取りの積み重ねによって労使の信頼関係を築くことが最終的に両者の利益につながると強調した。モンゴル側からはUNI-LCM加盟組合の統一労組出身で現在はモンゴルのナショナルセンター・CMTUで運輸部門オルガナイザーを務めるボールドサイカン氏が、モンゴルにおける団体交渉に関する法的枠組みと企業別労組、産別組織、ナショナルセンターCMTUの役割について解説した。

「労働安全衛生」のテーマでは、清水JP労組中執が、労働安全衛生法の下で安全衛生委員会を設置し労使が協力して取り組む枠組みと日本郵政における具体的な取組み事例を紹介した。モンゴル側は、統一労組出身で現在はCMTU労働社会政策局に派遣されているニャンダバー氏が報告し、モンゴルにおける労働安全衛生の取組みはまだ不十分であるが、企業への労働安全・衛生管理体制の導入は、三者協議、産業別・地域別協議、企業別協約によって解決できるとして、労組が関わって実施した具体的な事例が写真で紹介された。

質疑応答では多くの質問がモンゴル側から出された。主なものは以下の通り。

  • 国から労働組合への支援はあるのか?
  • 今回のLCJ代表団は青年が団長を務めているが、組合における青年リーダーの育成はどのようにやっているのか?
  • モンゴルで現在審議が行われている労働法改正案では、組合のない企業で労使協力をサポートする組織を作るとしており、組合は反対している。政府は日本の例を参考にしているというが、そのような組織が存在するのか?
  • UAゼンセンが組織しているような中小零細企業の場合、どうやって労働条件を向上のための交渉をしているのか。5割が非正規と聞いたが、2,3社掛け持ちで仕事している人の組合加入はどうなっているか。
  • UNI Aproとしてモンゴルでの組織拡大のプロジェクトを考えているのか?
  • 郵便事業の民営化による組織率への影響は?
  • 民営化によって労働条件が悪化した例が多く、労組は反対している。民営化が行われる際のどのように労働条件を維持し、保障しているのか。モンゴルでは従業員株主制度があるが、日本では同様の経験があるのか?

セミナー終了後は参加者との夕食懇親会が行われ、更に深い交流が図られた。

翌日は冒頭に述べた通り、UNI-LCM加盟組織幹部、玉井UNI Apro組織化キャンペーン担当部長、UNI-LCJ講師陣、森川事務局次長が同席の下、オユンバヤール議長より①組織拡大、②UNI-LCJとの協力、③UNI-LCM加盟組織間の協力について、課題と今後の計画の説明を受けた。加盟組織間の調整に関して課題も見られたが、全体として組織拡大と次世代リーダー候補となる青年役員育成について強い意欲が感じられた意見交換となった。来年度のUNI-LCJとのセミナーは、青年のリーダーシップ育成につながるような実践的なものにしたいとの要望があり、2017年派遣予定の訪日代表団についても40歳以下の若手を中心にしたいとのことであった。

午後はグループに分かれて商業労組、通信労組、郵便労組との意見交換及び職場視察後、郊外の草原に移動し、遊牧民の生活体験等を通じてUNI-LCMメンバーとの交流を深めた。

最終日には在ウランバートル日本大使館を訪問し、最新のモンゴルの政治・経済事情について見識を深めるとともに、10年以上本セミナー通訳をしているナランバヤル氏が校長を務める小中高一貫教育の私立学校「新モンゴル高等学校」を訪問し、日本の大学留学試験を控えて勉強に励む高校生達を激励するとともに労働組合についても説明して交流した。

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写真はFlickrを参照


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