10月 2013のお知らせ

緊縮財政下のギリシャで、UNI世界金融部会運営委員会



UNI世界金融部会運営委員会は、UNI欧州金融部会大会に先立ち2013年10月23日、アテネで開催され、約40名が出席した。委員会は、「規制の影 響」と「組織拡大」を中心に議論を行った。イオジア議長は各地域からの参加者と、特に新たに就任したUNI Apro金融部会の田原議長及び新たに加盟した全信連の田中氏、西村氏の出席を歓迎した。開会の挨拶でホフマンUNI副書記長は、欧州の緊縮財政で非常に 困難な時期にギリシャで開催する本委員会の意義を述べた。特に金融産業で大規模なリストラやアウトソーシングが進み、雇用喪失による組合員減少傾向にある 中で、コロンビアで新たに組合が結成されたこと、ブラジルやアルゼンチンの強い組合が米国の金融労働者組織化を支援していること、アジア太平洋地域では日 本で全信連がUNIに加盟し組織拡大に貢献したことなど、この間大きな成果も見られたと喜んだ。

「規制の影響」に関して、まずUNI本部のマッケンジー同部会政策担当から失業調査第2版(2013年10月出版)の結果として、地域で程度の差はあれ金 融危機という理由でリストラは継続していることと、成果給と連動し厳しい販売ノルマを課されていること、雇用の海外移転、心理的圧力(失職の不安や顧客か らの怒りなど)による金融労働者の健康悪化などの傾向が概説され、リアルバンキングの促進と団体交渉を通じた雇用・労働条件維持の重要性が強調された。モ ンザネ同部会担当局長は、2012年に世界経済フォーラム(WEF)が開始したマルチステークホルダーによる金融システムの規制改革プロセスを補完する取 組みを紹介した。WEFの場では経済危機以降2008年から金融産業の社会における役割―社会に対するコミットメント―について、大企業のCEO、金融政 策立案者、エコノミスト、学者、労働組合や消費者団体などの市民団体がいっしょになって議論を始めた。第1ステップとして金融システムが社会に提供すべき 点を、金融・経済の回復、安全な貯蓄・金融契約へのアクセス、経済成長を支える効率的な資本の配分、金融サービス・商品への広範なアクセス、安価で安全で 信頼性ある送金、金融リスクマネジメント、顧客の経済的意思決定に有益な情報・アドバイスの提供などであると確認した。

続いて各地域からの報告・意見提起では、プリヤラルUNI Apro金融部会担当部長が、金融包摂の重要性を訴えた。「アジアでは未だ15億人が銀行口座を持たない。欧米では金融安定化を重視しているが、アジアで は開発目標を満たすための資本の獲得も必要で、規制が障害となってはならない。欧米でうまくいく規制が他の地域にそのまま当てはまるとは限らない。社会の 発展や貧困削減について配慮が少ない。監督機関を作るのであれば組合も関与すべき」と述べた。コケラ委員(南ア)も、単一の規制を一律に適用するアプロー チに疑問を呈した。イオジア議長は、「金融規制は国際問題であり、金融安定化委員会、バーゼル委員会、欧州司令など様々な国際レベルで議論されている。 我々は有効な規制には賛成するが、社会的責任を忘れてはならない。職場を守っていかなければならない。消費者団体などとの連携も考えられるだろう」と、消 費者インターナショナルのオレリー氏を紹介した。オレリー氏は組織の活動と、UNI金融部会の行動目標との共通点を紹介し、「販売と適切なアドバイス」 キャンペーンの分野で協力していけるのではないかと述べた。

「組織拡大」について各地域から報告した。米国には金融部会加盟組織が無いが、通信労組(CWA)のステファン氏が、ブラジルやアルゼンチンの金融労組の 支援を得ながら、NGOとも連携し、主要都市をターゲットに展開している米国金融産業の組織化状況について説明し、引続きUNI金融部会を通じた世界の金 融労組の連帯支援が必要だと協力を要請した。田原UNI Apro金融部会議長は、全信連の加盟による同地域の組織人員が増大したこと、インドのステート銀行労組の再加盟を促進していること、その他、バングラデ シュ、マレーシア、ネパール、パキスタン、スリランカ、タイ、パプアニューギニア等で組織拡大が見込まれることを報告した。また途上国では加盟費徴収率が 低く、また為替の影響を受けることから、加盟費支払い人数は、実際の組合員数より少ないと説明した。UNIアフリカ地域金融部会は、39組織、16万 2000人を擁する。能力開発プロジェクトを通じて組織拡大を目指すと共に、アフリカの多くの国で事業を行う多国籍銀行エコバンクをターゲットとした組織 化にも取組んでいる。UNI欧州地域は2011年以降、組織化作業部会を設置し、毎年「組織化フォーラム」を開催し、東欧や中東での組合結成の成功事例も 紹介した。

最後にUNI世界金融部会運営委員会として、行動計画を実施するために、分野毎に作業部会を設置し、各地域の委員で責任分担することが提案された。 「CSR」作業部会はアフリカ、「組織化」作業部会は米州、「コミュニケーション」作業部会はUNIApro、「規制」作業部会は欧州が主担当となり、各 地域代表と協力していくこととなった。イオジア議長は、「欧州地域では既に各副議長が責任を分担して欧州行動計画を実施している。このアプローチを世界レ ベルに適用するということだ」と述べ、委員の協力を要請した。

欧州以外の参加者は、翌24~25日のUNI欧州地域金融部会大会を傍聴する。


UNIアフリカ地域大会

2013年10月16~18日に開催されたUNIアフリカ地域大会では、UNIアフリカの4年間の活動を振り返るとともに、来年ケープタウンで開催されるUNI世界大会を展望した。日本からは伊藤栄一UNI-LCJ事務局長が、2010年に長崎で開催されたUNI世界大会の経験を伝える目的で招待された。

大会は「UNIアフリカ、立ち上がれ」をスローガンに開催されたが、現在の経済の急成長、内戦等の減少、組合活動の前進を受け、極めて楽観的なものであった。とはいえ、社会状況は深刻である。ナイロビにはアフリカ第2の巨大スラムと言われるキベラがある一方で、富裕層の地域がすぐ近くの丘の上にあるという状況が象徴するように、貧富の差は大きい。若者たちの失業率も高い。しかし、大会では、歌や踊りを通じた躍動的なコミュニケーションがあり、来年ケープタウンで開催される世界大会も、歌や踊りが主体の楽しい大会となるだろう。アフリカの人々は非常に親日的である。このように対日感情が良い地域を私たちは大切にしなければならない。世界大会という機会を利用し、日本とアフリカの結びつきがもっと強まるように努力したい。

写真はFlickr参照。


UNIゲーム部会アジア太平洋地域会議

UNIゲーム部会アジア太平洋地域会議が2013年10月7~8日、マニラで開催され、UNI加盟のゲーム労組に加え、IUF加盟のホテル労組が招待された。日本からは、UAゼンセンの古川大総合サービス部門副事務局長、林万喜マルハンユニオン委員長、佐藤瑞樹ダイナムユニオン書記長が参加した。

開会式では、ウマリUNI-PLC(フィリピン加盟協)事務局長が挨拶し、フィリピンでの会議開催に感謝の意を表した。また、フィリピンでも新しくゲーム産業が進出し、マニラ湾岸にホテル、テーマパーク、カジノ等を統合した一大統合リゾート(エンターテイメント・シティー)を建設する方向で進んでいることを説明し、このような中、フィリピン労働運動は、イデオロギーの差を乗り越えて進むことが重要であるとコメントした。ヒダヤット・グリーンフィールズ IUFアジア太平洋地域書記長は、「今回の会議の参加者の多くはIUFとUNIに加盟しており、今日の会議は共同行動の良いスタートだ。UNIとIUFはゲーム業界の組織化で連帯していくべきである。ただし、我々は質的に高い組合を求めており、量が問題ではない」と述べた。

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UNIゲーム部会及び他地域の活動

ギエドラ・レリテUNIゲーム部会担当局長は、スペインのカジノの会社であるコードレとグローバル協定を結んだ意義を強調した。新しい組合を作り、教育を与えることが重要なので、組織化に力を尽くしているとした。

アフリカのゲーム部会は、6カ国で会議を開始したところである。2014年世界大会を契機に組織化を行い、グローバル協定の締結努力を進めたい。また、集められたチップのホテル労働者を含めた分配が一つの論点となっていることが紹介された。

北米におけるカジノ収益は、64億ドルがラスベガス、31億ドルが太平洋地域、228億ドルがその他の地域と、ラスベガスの力が大きい。また原住民運営のカジノもある。3,970万人がラスベガスを訪れているが、2007年と比べて収入、客数とも落ちている。以前MGM社は、利潤の90%をラスベガスから得ていたが、今では50%となり、替わってマカオが収入を支えている。新しい小さなカジノを各国に分散していこうという流れがあり、これはステーション・カジノと呼ばれている。ラスベガスを中心に存在し、映画館、スポーツ施設等、コミュニティーセンター的な要素を持つ。他方、南米では、カジノの組合の力は強く、アルゼンチンの組合の力で、米国UNITE-HEREの組合結成が合意に至った。

 

アジア太平洋地域からの報告

UAゼンセンの古川総合サービス部門副事務局長が日本の状況について報告し、「五輪開催は、カジノ合法化と関係があるか」、「非正規労働者の組織化と言う時、正規労働者との間に方法上の違いはあるか?」、「日本で統合リゾートを作るとすれば、1兆円以上の収入があると言われているが、本当か?」、「五輪開催までに正規労働者の数を上げるという方針はどうか?」等、多数の質問が活発に出された。

ゲンティングループは1965年に開始した。マレーシアは回教国であり、ギャンブルは禁止されている。そこで政府を説得するため、外国人観光客を呼び寄せるという理屈を使った。共産ゲリラや虎等と戦いながらも、まず道路を作り、そして山頂に20テーブルのカジノを作った。1980年から増築し、今では9,000の客室と1万3,000人の従業員を擁する大企業となった。

組合は1978年に結成され、当初はピケ、逮捕等があった。しかし政府の介入も有り、企業内労組として、カジノ労働者の組織化に成功し、最初の団体協約が結ばれた。

その後、企業は多角化し、ホテルリゾート、不動産、電力、石油、ガス、カジノ、クルーズ等を持つに至った。英国、米国、バハマ、ラスベガス、マニラ等、過去数年で進出してきた。リゾートワールドというブランドは、ゲンティングループが運営している。

組合は、健康、労働安全、負けた顧客への対応等に力を入れている。ホテル労働者の給料は安く、退職手当の充実等も課題の一つだ。

最後に、デビー・アンダーソンIUF副会長(UNITE-HERE)が、ホテルが統合リゾート化していく中、カジノ部分を取り込んでいくことが重要と述べた。ラスベガス労働者への支援等の決議を採択し、会議を終えた。

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UNIゲーム部会会議

続いて、日本、マレーシア、ネパールのUNI加盟組合だけの会議が持たれた。マグダレン・コーン・アジア太平洋地域担当部長が、今回の会議は、最初のステップとして重要であると述べた。一大統合リゾートの性質を考えると、今後もIUFの協力が必要であろう。ギエドラ担当局長は、2015年にグローバル会議を行う予定であると強調した。

ゲンティン労組は、「今後、日本、韓国、台湾等がカジノ合法化のターゲットになるとすれば、連携して行くことが重要。喫煙等、悪い労働環境があり、政府の規制等が重要である」とし、UNIとしての活動がまだ不十分であると指摘した。

古川副事務局長は、「今回初めて参加し、各国の状況をよく知ることができた。日本でカジノが合法化されるかは不透明だが、各国のカジノの状況を聞けて良かった。それぞれ状況は違うが、良い事例を共有することは重要である」と述べた。

最後に、二次喫煙等の安全衛生問題を今後のテーマに取り上げることを確認して、会議を終了した。

 


東京からトーゴへ

UNI Apro金融部会議長を關裕氏から引き継いだ田原將一損保労連委員長は、UNI金融部会のエコバンク・グローバルキャンペーンに参加した。
アフリカのエコバンク労働者の報告によると、彼らはローカル経営者による解雇や突然の望まない異動といった弾圧的な行為を恐れ、組合に入りたがらないという。また、ローカル経営者は、労働問題を巡る組合からの対話の要求を巧妙に拒み、社会対話を避けようとしているという。
こうしたことから、労働者はエコバンクの繁栄に寄与する、献身的で重要な資産であるにもかかわらず、ローカル経営者に労働者の権利を尊重する意識が欠けていることがわかる。
エコバンクは、アフリカ最大の大手銀行で、国際金融公社(IFC)のパートナーとして、アフリカ諸国の開発と貧困削減のため、世界銀行によって策定された政策を実施している。エコバンクは社会対話の発展を受け入れやすいカルチャーを持っている。
UNI金融部会は、世界中の加盟組合を動員し、エコバンク労働者が団結権を認められ、団体交渉ができるよう、彼らの闘いに連帯を示すグローバル・キャンペーンを立ち上げた。
UNI金融部会加盟組合は、各国のトーゴ大使館を訪問し、エコバンク経営者がアフリカの全ての事業所で労働者の権利と労働組合権を尊重することを求める書簡を、大使に届けるよう要請された。
田原UNI Apro金融部会議長は10月17日、東京のトーゴ共和国大使館を訪問し、スティーブ・アクレソ・ボジョナ臨時大使に、トーゴ政府がエコバンクの不当労働行為に注意喚起するよう求める連帯の書簡を手渡した。ボジョナ臨時大使は、UNI金融部会からのメッセージをトーゴ政府に伝えると約束し、エコバンクはもともとトーゴとナイジェリアによって設立されたと説明した。同銀行はアフリカ33カ国に支店を持つまで成長し、西アフリカ最大の銀行となった。

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UNI商業部会タンゴ:組織化とグローバル協定

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UNI世界商業部会大会が2013年10月9~11日、アルゼンチン・ブエノスアイレスで開催され、34カ国、49組織から295人(うち代議員114人、全体の女性比率40%)が参加した。日本からはUAゼンセン及び自動車総連より13人の代議員が出席した。

開催国アルゼンチンのカルロス・トマダ労働・雇用・社会保障大臣も臨席した開会式で、商業サービス労組FAECYSを代表してルーベン・コルチナUNI世界商業部会議長代行は、全参加者を歓迎し「85年以上の歴史の中には、民主主義の誕生や中断もあり、また工業化・経済発展に伴い組合の役割も変化してきた。皆さんにアルゼンチンの仕事の現場も見てもらいたい」と挨拶した。

アルケ・ベシガーUNI世界商業部会担当局長は、前回ダブリン大会で採択した同部会ブレイキングスルー戦略に沿って、2009~2013年の活動を振り返った。髙島屋をはじめ多くの流通企業とグローバル協定が締結された成果や、企業別労組同盟の設置・協力関係強化、グローバル協定交渉の進捗状況が報告された。また、2012年9月には商業部会として中国にミッションを派遣し、今大会にも中華全国総工会の徐楽氏が来賓として出席していることを報告した。アジア太平洋地域の活動として、UNI Apro商業部会大会を総括した他、東日本大震災に際しての連帯支援・被災地激励についても報告された。

フロアからの発言では、清水陽子代議員(UAゼンセン)が、日本で唯一の流通産別組織が結成されたことと、それでも産業全体の就業者数からみれば依然として低い組織率を上げるための組織拡大方法を紹介、世界の流通労働者と連携して社会的影響力を高めたいと述べた。

また、バングラデシュの縫製工場崩壊事故を受けて、安全衛生上危険な工場で働く労働者の労働環境・条件を改善するため、UNI及びインダストリオールが中心となって働きかけ、現在までに100社を超える企業が金銭的責任の伴う安全協定に署名したことが報告されると共に、今後の検査・修繕とモニタリングの重要性が強調された。

ジェニングスUNI書記長は、ウォルマートやGAP等、バングラデシュ安全協定未署名企業に対して「参加のドアはまだ開かれているが、特別扱いや取引は一切ない」と断言、「組合を認めないことが賢くトレンディだという企業の考えは間違っており、そうした態度を広めてはならない」と訴えた。労組同盟の事例として、カルフール、イケア、ショップライト、ウォルマートが取り上げられた。ラルス代議員は、「スウェーデンではイケア従業員の80%が組合員、店舗を含めても60%が組織され、全ての職場に協約があるが、海外ではイケアのスタンスが異なることを認識している」と述べた。トルコの参加者は、「組合員や家族への脅しや、会社がつくった第二組合による混乱等、会社の反組合的態度に直面し組織化は難航しているが、労組同盟を通じたスウェーデンの仲間からの連帯支援に感謝している」と述べた。シャリーザ代議員は「マレーシアでも2008年当時、イケアは組合を認めようとしなかったが、スウェーデンの組合やUNI Aproが経営側と会って信頼関係構築に努める等し、3年後にようやく認められた。協約も結ばれ、5年経った今ではマレーシアで最も良い産休の条件を持つ等、喜んで働ける職場となった」と報告した。コロンビアでは、組合活動は命がけであったが、UNIの支援で全国のカルフール店舗を巡り組織化を進めている。カルフールでの成功を他企業にも広げていきたい。ブラジルでは、3つのナショナルセンターが協力し、不安定労働に取組むためにウォルマート労組同盟を結成、活動を進めている。

10日午後は、8グループに分かれて、流通企業の現場を視察した。日本人グループはベア・センコスッドを訪れ、組合代表から説明を受けながら店舗内部、組合事務所、スタッフ食堂他を視察、店長及び全従業員から歓迎を受けた。

商業部門の不安定雇用に関するパネルディスカッションでは、八野正一代議員(UAゼンセン副会長)が、日本の短時間労働者の現状と待遇改善に向けた取組みを具体的事例を交えて報告した。

決議委員会より今後4年間の行動計画修正案が提案され、フロアから様々な意見が出された。相原代議員(自動車総連会長)は、行動計画に賛意を表明した上で、1000万連合実現プランに沿った自動車総連の取組みとUNI-LCJ110万人組織達成目標について述べ、特に若年層育成の重要性を訴えた。大会は、行動計画及び決議、ウォルマート労働者及びトルコのLeroy Merlin労働者への連帯決議を採択した。

最後にUNI世界商業部会運営委員会選挙が行われ、オニール代議員(米国UFCW)が議長に、八野代議員がアジア太平洋地域を代表する副議長に選出された。「力を結集し労働者の声が隅々まで届くように」との思いを込め、南米の組合員による太鼓の賑やかな演奏に合わせ、色とりどりの組合旗が振られ、大会は閉幕した。

写真はFlickr参照。


UNI MEI部会世界執行委員会

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UNI MEI部会世界執行委員会は、2013年10月2~3日、ブエノスアイレスで開催され、ゲリー・モリッシー議長(英BBC労組BECTU)をはじめ、14人の世界執行委員と、南米を中心とする構成組織からの参加者27人が出席した。

冒頭、アルゼンチンのカルロス・トマダ労働大臣が挨拶を行った。アルゼンチンは軍事政権時代もあり、南米の中でも最も政情や経済情勢が安定しない歴史を経てきた。かつては政府に反対する労組や市民を軍部が殺害する「汚い戦争」の時代もあったが、現在は左派政権の下、「組合は国の一部」をモットーに、組合活動が民主主義的な議論に欠かせないと述べた。特にメディア労組はダイナミックで重要な役割を果たしていると強調した。

委員会は、前回UNI MEI部会世界大会(2011年、メキシコシティ)からの2年間で、状況がいかに変化し、次の世界大会に向けて何を中心課題としていくかという議論から始まった。この間を通じて変わらないテーマは、メディア産業での労働がクリエイティブな仕事であるが故に労働量と賃金のバランスが見えにくくなること、またそのために、十分なファイナンスがなければ容易に労働条件の悪化を招き、組合としても闘争が難しいという点に絞られる。そのため、流動性も高く、また非正規雇用の問題も大きく、なかなか安定した雇用に繋げられない。そうした状況に、国を越えて連帯していくと同時に、メディアにおける「良質な雇用」をどう確保していくかを中心に議論が交わされた。

そうした課題をより喫緊のものとさせているのが「デジタル化」の進展だ。単にインターネットの普及拡大という意味ではなく、デジタル技術の発展によってメディア産業では、これまでのような熟練した技術がなくても簡単に制作ができるだけでなく、出来上がったコンテンツを簡単にコピーできるために商品価値も低下する傾向が強まっている。アルゼンチンでは2019年10月にアナログ放送が終了し、デジタル化が完了する予定だ。日本では、デジタル化後も放送の分離よりは一体性を守る方向で議論が進み、非正規雇用の増大等の問題を抱えつつも一応安定しているが、水平分離が進行するアルゼンチンでは、自由競争によって参入する会社がコストを抑えるため、雇用状況も次第に悪化するだけでなく、番組を制作するプロダクションは粗製濫造の傾向が増し、さらに視聴者が離れていくという悪循環に陥りつつある。

デジタル化によって流動性が高まる労働市場の中で、いかに良質な雇用を確保していくか。日本の経験から伝えられることは、労使関係の信頼の中で安全施策を含む労働環境の整備に努める、経営側をそうしたテーブルにつかせる努力を継続的に行うことだ。

アルゼンチンでは、左派政権下で組合が政府の一部と言ってよく、メディアに関わる法律制定等でも活躍している。右派勢力からの攻撃は常にあるが、それに対しても大規模なデモンストレーション等で対抗し、表現の自由や多様性の確保を法律にいかに盛り込むかを追求している。メディア産業労働者はメディア関連の専門課程がある学校を卒業している必要があること、また社会的にも認知されている職能的な意識・つながりも、こうした組合の連帯を強化する役割があること、こうした連帯と政治や社会への働きかけの積み重ねで現在のポジションを獲得していることが報告された。

ギリシャでは、政府が公共放送を無理矢理閉鎖する事態に陥っている。再開と再雇用を求めているが未だ応じられず、6月1日から給与未払いが続いている。

UNI Aproから参加した中村正敏UNI Apro MEI部会副議長と、カイルザマン・モハマド委員(マレーシア)は本年8月バンコクで開催されたUNI Apro MEI部会結成大会の状況を報告、ABUとの対話の下で議論を進めてきたことを説明した。

ブレイキングスルーというスローガンの下、労働組合が社会からその存在を無視されず、企業にとっても有効な枠組みとして存在しうるにはどうすればいいのか、今後の課題として向き合うことを確認して、委員会は終了した。

 


UNI-LCJユース、長崎で国際労働運動と平和について学ぶ

2013年9月27~30日、長崎で第13回UNI-LCJユース英語セミナーが開催され、情報労連、UAゼンセン、自動車総連、JP労組、全信連より21名の参加者と、南アフリカ・SACCAWU(商業労組)からステファニー・シェリリーン・ダフィ、ネパールテレビ労組からプジャ・シュレスタ、ミャンマー・シャン州地域開発財団からサイ・ナウ・カム・センが参加した。UNI世界長崎大会以降、2011年の沖縄、2012年の広島に続き、3年ぶりに長崎での開催である。

9月27日夜、全参加者と派遣組織の地元役員との懇親夕食会が開催された。相原UNI-LCJ議長も東京から駆け付け、参加者を激励した。世界大会当時、UNI長崎連絡会事務局長を務め、現在は連合長崎事務局長の宮崎氏からも温かい歓迎を受けた。参加者は翌日からの英語漬け合宿に先立ち、交流を深めた。

28日の開会式では、相原議長が英語で基調講演を行い、国際労働運動について学び、被爆地である長崎からUNI長崎世界大会のテーマ「核兵器廃絶・恒久平和」を次世代に継承していく重要性を訴えた。

海外講師の講演では、ステファニーが、南アフリカにおける若い女性の現状と課題、それに対する労働組合の取組みを紹介した。また、2014年に開催されるUNIケープタウン世界大会の準備について報告した。プジャは、ネパールでの女性の立場と雇用は、教育により少しずつ改善されてきていると述べた。ナウ・カムは、民族間の争いや、軍政から民政への移行過程にあるミャンマーの現状を概説し、「人々への教育こそ国を変える」と述べ、国際社会には市民と政府関係者の両方への能力開発を支援してほしいと訴えた。

グループワークでは、英語で自己紹介をすることから始まり、その後は各組合の青年活動について説明したり、ワークライフバランスについて議論したりした。アフリカ、ネパール、ミャンマーと、様々なアクセントの英語にも徐々に慣れ、活発に議論が行われた。

この他、参加者は、3つの委員会に分かれ、セッションの合間のエクササイズやゲームを指揮したり、プレゼンの司会進行をしたり、UNI-LCJユースブログやFacebookに記事と写真を掲載したりするなど、セミナーの運営をサポートしながら、チームワークを深めた。

29日の午後には、参加者はグループ毎に市内視察ルートを計画して出かけた。原爆資料館や平和公園では原爆の実相に触れ、グラバー園、浦上天主堂、孔子廟などでは、長崎と海外との交流の歴史や文化を学び、海外講師に英語で説明を行った。その後、セミナーで学んだことを英語で発表する最終プレゼンテーションに向けて、各グループは夜遅くまで海外講師と話し合い、練習を行った。

短期間ではあったが、異なる組合/産業の参加者が一致協力し、言葉の壁を越えて、ユニークで創造的なパフォーマンスを披露した。海外講師からは、「原爆の恐怖を初めて実感することができた。平和大使として、この経験を広く仲間に伝えていきたい」、「初日は控えめだった参加者も、この3日間に積極的になった」との感想が述べられた。

写真はFlickr参照


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